説明

低温熱分解炉

【課題】低温熱分解炉において、熱分解時に生じる強烈な臭気を処理すること、及び、安定的な動作を継続するため熱分解の速度をコントロールすることを可能とする。
【解決手段】分解炉本体部と、ゴミ投入部と、空気取入口と、ガス排出口と、灰排出部と、分解炉本体部とガス排出口の間に設けられた触媒層と、分解炉本体部と空気取入口の間に設けられた空気変成部と、を有する低温熱分解炉において、制御部と、分解炉本体部と排気口の間に設けられた排気促進機構と、空気取入口と分解炉本体部の間に設けられた空気流入量調節機構と、触媒層の出口近傍に設けられた触媒層温度センサーとを有し、制御部において、触媒層温度センサーからの温度情報を用いて空気流入量調節機構及び/又は排気促進機構を制御すべく構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物等のゴミ、特に有機物ゴミを低温にて熱分解処理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ゴミの処理方式として一般に採用されているのは燃焼による焼却処分である。
しかし、ゴミを焼却処分する際にはダイオキシン等の有害物質が発生するため、それらが環境に与える悪影響が社会的問題となっている。燃焼・焼却処理においてダイオキシンの発生を抑えるためには、極めて高温において処理を行い、かつ十分な空気供給を行うことが必要となるが、高温処理には危険が伴い、また、十分な耐熱性を持った本体構造及び燃料費のため、初期投資段階においても、ランニング状態においても多大なコストを要する。
【0003】
低温熱分解炉は、上記問題点の解決可能性があり、特に有機物ゴミの処理に優れているため、近年、いくつかの提案がなされている。特に、磁気を活用することにより熱分解が容易となることが、理論的解明は十分とはいえないながらも、結論として知られている。すなわち、外気と略遮断した空間において、熱源を与え、磁場を通過した外気等を適宜取り入れることにより、燃焼を伴わず、低温において熱分解を行うことが可能となる。なお、ここにいう低温とは、基本的には400℃以下(好ましくは250℃以下)の反応であることが多いが、高温燃焼炉(通常800℃以上)やガス化溶融炉(通常1500℃程度)と比較した場合に、より低温であることを意味している。
【0004】
低温熱分解の特徴は、外気との遮断、及び磁場を通した空気を用いる点にある。
外気(酸素)を多く取り込んだ場合には、熱源を与えると燃焼を生じる。これに対し、低温熱分解においては、わずかな酸素しか与えないため、燃焼を生じない。しかし、単に空気(酸素)の供給量を減らしたのみでは、不完全燃焼となって、火は消え熱分解も止まってしまう。このとき、磁場を通した空気(酸素)を用いると、低温のまま熱分解を進行させることが可能となるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−204660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これまで、真に実用性のある低温熱分解炉は存在していなかった。
従来の低温熱分解炉においては、熱分解時に生じる強烈な臭気を処理することができず、また、熱分解炉として安定的な動作を継続すること、すなわち熱分解の速度の適切なコントロールも不可能であった。
本発明は、これら問題点を解決しうる低温熱分解炉を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、外気から略遮断された分解炉本体部と、分解炉本体部に分解対象物を投入するための投入部と、分解炉本体部に空気を取り入れるための空気取入口と、分解炉本体部と空気取入口の間に設けられた空気変成部と、分解炉本体部からガスを排出するためのガス排出口と、分解炉本体部とガス排出口の間に設けられた触媒層と、分解炉本体部から灰を排出するための灰排出部と、を有する低温熱分解炉において、制御部と、分解炉本体部と排気口の間に設けられた排気促進機構と、分解炉本体部と空気取入口の間に設けられた空気流入量調節機構と、触媒層又は触媒層出口近傍に設けられた触媒層温度センサーとを有し、制御部において、触媒層温度センサーからの温度情報を用いて空気流入量調節機構及び/又は排気促進機構を制御すべく構成されていることを特徴とする低温熱分解炉である。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の低温熱分解炉において、空気変成部が、磁石により形成された磁場の中を、空気取入口から分解炉本体部に流入する空気が通過するよう構成されることを特徴とする
請求項3記載の発明は、請求項1記載の低温熱分解炉において、空気変成部が、マイナスイオン発生器により構成されることを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の低温熱分解炉において、空気変成部が、空気取入口から分解炉本体部に流入する空気中の酸素をフリーラジカルとするよう構成されることを特徴とするものである。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1又は請求項4のいずれか記載の低温熱分解炉の制御部による制御において、触媒層温度センサーの計測値が一定基準を下回った場合には空気流入量調節機構により空気流入量を増加させ、触媒層温度センサーの計測値が一定基準を上回った場合には空気流入量調節機構により空気流入量を抑制することを特徴とするものである。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか記載の低温熱分解炉において、空気流入量調節機構が制御弁を用いて構成されることを特徴とするものである。
請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか記載の低温熱分解炉の制御部において、触媒層温度センサーによる測定温度が300℃から700℃の間となるよう、空気流入量調節機構を調節することを特徴とするものである。
【0010】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか記載の低温熱分解炉の制御部による制御において、空気流入量調節機構による空気流入量の調節に対応して、排気促進機構による排気量を調節することを特徴とするものである。
請求項9記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか記載の低温熱分解炉の制御部による制御において、触媒層温度センサーの計測値が一定基準を下回った場合には排気促進機構により排気量を増加させ、触媒層温度センサーの計測値が一定基準を上回った場合には排気促進機構により排気量を抑制することを特徴とするものである。
【0011】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれか記載の低温熱分解炉において、排気促進機構が吸引ファンであることを特徴とするものである。
請求項11記載の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか記載の低温熱分解炉において、触媒層が粒状セラミック触媒層であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項12記載の発明は、請求項1ないし請求項11のいずれか記載の低温熱分解炉において、分解炉本体部は下部が狭められた構造とされ、かつ空気取入口から分解炉本体部内に流入する空気の流入点が分解炉本体部の下部に設けられたことを特徴とするものである。
請求項13記載の発明は、請求項1ないし請求項12のいずれか記載の低温熱分解炉において、空気取入口から流入する空気量を計測する流入量計測部を有し、制御部において、流入量計測部によって計測された空気流入量の値を用いて分解炉本体部内に堆積した灰の量又は灰の排出時期を判断するよう構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項14記載の発明は、請求項1ないし請求項13のいずれか記載の低温熱分解炉において、分解炉本体部内の下部に火種用ヒーターを有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし請求項14のいずれか記載の低温熱分解炉において、触媒層の入口近傍に触媒層用ヒーター及び触媒層入口温度センサーを有し、制御部において、触媒層入口温度センサーからの温度情報を用いて触媒層用ヒーターの温度を制御すべく構成されていることを特徴とするものである。
請求項16記載の発明は、請求項15記載の低温熱分解炉において、制御部において、触媒層入口温度センサーによる測定温度が200℃以上となるよう、触媒層用ヒーターの温度を調節することを特徴とするものである。
【0015】
請求項17記載の発明は、請求項1ないし請求項16のいずれか記載の低温熱分解炉において、触媒層出口近傍の熱を、触媒層入口近傍に戻すよう構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項18記載の発明は、請求項1ないし請求項17のいずれか記載の低温熱分解炉において、灰排出部は、その使用時においても分解炉本体部の内部と外気とが略遮断されるよう構成されていることを特徴とするものである。
請求項19記載の発明は、請求項1ないし請求項18のいずれか記載の低温熱分解炉において、灰排出部は、分解炉本体部内の底部に堆積した灰を受けるための灰受皿部と、カム機構を用いて揺動棒を上下させることにより灰受皿部のスリットを開閉する開閉機構と、前記揺動棒の上下により落下して灰排出部底部に堆積した灰を押し出すための灰押出プレートと、灰押出プレートによって押し出された灰によって開く密封カバーとを有し、分解炉本体部の内部と外気とが遮断されるよう構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項20記載の発明は、請求項1ないし請求項19のいずれか記載の低温熱分解炉において、投入部は、その使用時においても分解炉本体部の内部と外気とが略遮断されるよう構成されていることを特徴とするものである。
請求項21記載の発明は、請求項1ないし請求項20のいずれか記載の低温熱分解炉において、投入部は、円筒形状部を有し、円筒形状部の軸方向が分解炉本体部の表面部と平行な状態で分解炉本体部に一部が埋め込まれるように設置され、円筒形状部の中心軸まわりに回転自在とされており、かつ、円筒形状部と熱分解炉本体部の交差面と略同面積の開口部を円筒形状部の側面部に有することを特徴とするものである。
【0018】
低温熱分解炉においては、分解炉本体部に外気が自由に流入して燃焼を起こすことを回避する必要がある。したがって、基本的に密封構造として、必要な空気量を空気取入口から供給し、分解により発生したガスをガス排出口から排出する。すなわち、分解炉本体部は外気から略遮断された構成とする。
【0019】
投入部は、分解対象物を分解炉本体部に投入するために存する。分解対象物は、典型的には有機物ゴミである。投入部は、最低限の仕様としては単純な蓋付投入口でもよいが、ゴミの投入中においても外気の流入は可及的に回避すべきであるため、後述するような外気遮断構造を有する機構とすることが望ましい。
【0020】
空気取入口は、分解対象物を低温熱分解するために必要な空気を分解炉本体内部内に供給するための取入口である。
【0021】
空気変成部は、空気取入口から取り入れられた空気を、分解炉本体部に至る過程において、磁石によって形成された磁場の中を通過させる構造とするものが最適である。このように磁石を使用することにより低温熱分解が促進されることは、理論的解明は必ずしも進んでいないが実証されている。
空気変成部としては、マイナスイオン発生器により構成されるものも可能である。すなわち、マイナスイオン発生器により空気中の酸素の一部がO-とされるよう構成されるものである。あるいは、その他の方法であって、酸素をフリーラジカルとするものでもよい。
本発明においては、上記の、空気を磁石によって形成された磁場の中を通過させる機構、マイナスイオン発生器を通過させる機構、その他空気中の酸素をフリーラジカルとする機構を総称して、空気変成部という。
【0022】
ガス排出口は、分解反応により発生したCO等を含むガスを排出するための排出口である。
触媒層は、分解炉本体部とガス排出口の間に設けられ、排出されるガスの臭気、CO、その他の有害物質を除去するためのものである。自動車の排気ガスの浄化装置等に用いられているものと類似の構造を有する。粒状セラミックを用いたものが好ましいが、ハニカム構造を有するもの等、その他の形式のものを用いることも可能である。粒状セラミックを用いた触媒については、特許第4055710号の明細書において詳細な記載がなされている。
【0023】
灰排出部は、分解された有機物ゴミ等が灰になって分解炉本体部内部に堆積するため、これを排出するために存在する。もっとも単純な形態としては、手動で排出するための単純な蓋付排出口でもよいが、灰の排出中においても外気の流入は可及的に回避すべきであるため、後述するような外気遮断構造を有する機構が望ましい。
【0024】
制御部は、CPU等を用いたコンピュータシステムであってソフトウェアにより必要な制御プログラムが記述されているものが好ましいが、本発明に必要な制御を行いうるものであればそれ以外の実現方法によってもよい。
【0025】
排気促進機構は、ガス排出口からの強制排気をおこなうための機構で、吸引ファン(送風機)等を用いて構成されることが望ましいがこれに限られない。
【0026】
空気流入量調節機構は、空気取入口からの空気流入を調節するための機構である。 空気流入量調節機構としては、制御弁を用いて構成することが可能であるがこれに限られない。制御弁を用いる場合、これにより空気取入口から分解炉本体部内に至る空気流入路の全部又は一部を閉じることにより空気流入量は制限される。制御弁としては、電磁弁を用いることが可能である。また、比例制御弁としても、複数の通路を設けてそれら通路の一部又は全部を閉じる機構としてもよい。
なお、空気流入量調節機構と空気変成部とは、いずれも分解炉本体部と空気取入口の間に設けられるが、いずれが空気取入口に近いほうに存してもよい。
【0027】
触媒層温度センサーは、触媒層又は触媒層近傍に設けられた、触媒層の温度または触媒層温度に対応する温度を計測するためのセンサーである。触媒層の出口近傍(ガス通路等)に設置することが好ましいが、触媒層内部又は表面(カバー部)、あるいはその他の触媒層温度(に対応する温度)を測定しうる場所に設置してもよい。
【0028】
熱分解反応を継続させるためには、適切な空気量の供給が必要である。空気量の供給が過小であれば反応が停止し、逆に空気量が過剰となると燃焼に転じてしまう。さらには、触媒層による処理能力を超える量のガスが排出されないために、熱分解の速度を触媒層の処理能力内に調整する必要も生じる。
ところが、まず、分解炉本体部内の何らかのファクターを計測することにより熱分解反応の状態・速度を把握して制御することは困難であり、仮にそれが可能であるとしてもコストがかかる。また、適切な空気供給量というもの自体を定量的に把握することも困難であり、仮にこれが把握できたとしても、定量的な空気供給を行う機構を備えることは困難ないしコストを要する。
このため、従来は、熱分解反応を適切な速度に制御し、長時間連続稼動することが可能な実用的な低温熱分解炉は存在しなかった。
【0029】
本発明においては、分解炉内部で行われている熱分解反応の状況を把握し、熱分解反応スピードが速すぎる場合にはこれを抑制し、遅すぎる場合にはこれを促進するというコントロールを行うため、触媒層の温度と空気供給量の関係に着目した。すなわち、制御部において、触媒層温度センサーからの温度情報を用いて空気流入量調節機構及び/又は排気促進機構を制御すべく構成した。
【0030】
分解炉本体部内における熱分解が活発化すると、発生するガスの量が増大するため、これを処理するための触媒層内の反応が活発化する。その結果、触媒層の温度が上昇する。逆に、分解炉本体部内における熱分解が沈静化すると、発生するガスの量が減少するため、これを処理するための触媒層内の反応も減少し、触媒層の温度が下降する。
このように、本発明の発明者は、分解炉本体部の外にある触媒層の温度を測定することにより、分解炉本体部の内部に何らのセンサーないし測定器を設けることなく、分解炉本体部内における熱分解の様子を把握することができることを見出した。
【0031】
そして、制御部による制御において、触媒層温度が低すぎる場合、低くなりすぎると予測される場合、あるいは一定基準を下回った場合等には空気流入量調節機構により空気流入量を増加させる。これにより、分解炉本体部内の分解反応が活発化する。その結果として触媒層の温度も徐々に上昇する。逆に、触媒層温度が高すぎる場合、高くなりすぎると予測される場合、あるいは一定基準を上回った場合等には空気流入量調節機構により空気流入量を抑制する。これにより分解炉本体部内の分解反応速度が遅くなり、その結果、触媒層の温度は徐々に下降する。
このような制御を継続的に行うことによって、分解炉本体部内における反応速度を適切にコントロールすることが可能となるものである。
【0032】
触媒層温度センサーと空気流入量調節機構についての具体的な温度制御としては、触媒層温度センサーによる測定温度が300℃から700℃(さらに好ましくは350℃から550℃)となるように制御することが望ましい。すなわち、空気流入量調節機構として制御弁を用いる場合には、触媒層温度センサーによる測定温度が低下した場合には、触媒層温度が300℃を下回らないよう制御弁を開いて空気流入量を増加させ、逆に触媒層温度センサーによる測定温度が上昇した場合には、触媒層温度が700℃を上回らないよう制御弁を閉じて空気流入量を抑制する。
【0033】
そして、空気取入口からの空気流入路の開閉に応じた空気の流入が行われるようにするため、吸引ファン等の排気促進機構を用いた強制排気を行う。これにより、空気取入口からの自然吸気、ガス排出口からの自然排気では不可能であった適正な空気の循環が可能となる。
このとき、排気促進機構の処理能力については、一定の強制排気を行うのみとしてもよいが、制御部によって制御を行ってもよい。
【0034】
排気促進機構制御としては、制御部において、空気流入量調節機構による空気流入量の調節に対応して、排気促進機構による排気量を調節する方法が採用しうる。より具体的には、空気流入量に略比例する量の排気を行うことが考えられる。
これとは別に、主として排気促進機構による排出量を制御することにより空気流量の調節を行うこととしてもよい。具体的には、空気流入量調節機構の制御において説明したと同様の制御を排気促進機構において行なう。すなわち、制御部による制御において、触媒層温度が一定基準を下回った場合には排気促進機構により排気量を増加させ、触媒層温度が一定基準を上回った場合には排気促進機構により排気量を抑制する。
【0035】
このように、触媒層の温度を指標として空気量の制御を行うという視点は、これまでになく、この視点に着目することにより、過大なコストをかけることなく適切な熱反応速度のコントロールをすることが可能となった。
【0036】
分解炉本体部は、下部が狭められた構造とされ、かつ、空気取入口から分解炉本体部内に流入する空気の流入する地点が、分解炉本体部の下部に設けられるよう構成される、すなわち空気取入口から流入する空気が分解炉本体部下部の火床近傍に流入するよう構成されることが望ましい。熱分解箇所は特定の位置(火床周辺)で起きる構造とし、分解箇所の灰を適宜取り出せる構造とすることが望ましいからである。熱分解は熱源があるところから開始し、その後伝播していく。伝播していくところには常時空気が必要である。このとき、空気取入口から分解炉本体部に流入する空気の流入口が分解炉本体部の上部に存すると、下部付近には空気が行き渡らずに分解残りが生じる。すると、分解後の灰を下部から排出することができず、効率が悪くなる。灰排出部は分解炉本体部の下部付近に存したほうが便宜だからである。
【0037】
また、灰の排出時期を適切に判断するため、空気取入口から流入する空気量を計測する流入量計測部を備え、制御部において、流入量計測部によって計測された空気流入量の値を用いて分解炉本体部内に堆積した灰の量又は排出時期を判断するよう構成することもできる。前述のように、空気取入口から流入する空気が分解炉本体部の下部に流入するよう構成した場合、熱反応後の灰が堆積してくると、灰は一般に分解前の有機物ゴミよりも密度が高いため、空気取入口からの流入口を塞ぎ、空気の流入状態が悪化する。これはとりもなおさず、灰が過多に堆積していることを示しているため、灰を排出すべきであることを意味している。すなわち、本発明は、空気流入量を測定することにより、灰の量ないし排出時期を判断することができることに着目している。灰がどの程度堆積しているのかを知ることは一般に困難であるところ、この方法によれば、過大なコストをかけることなくこれを認識することができる。
【0038】
なお、火種は、マニュアルで投入しても良いが、分解炉本体部内に、外部又は制御部により操作可能な火種用ヒーターを備えることが効率的である。
【0039】
触媒層用ヒーターは、触媒層の温度を上げるためのヒーターである。触媒層の温度が低すぎる場合、触媒層による十分な触媒反応が期待できず、また、排出ガスがタールとして触媒層に付着しガスの通過を妨げるという問題が生じる。そこで、触媒層の入口温度を測定するための触媒層入口温度センサーを設け、これによる温度情報を用いて、制御部によって触媒層用ヒーターの温度を調節し、触媒層の入口温度を適正に保つこと、より詳細には、触媒層入口温度センサーによる測定温度が200℃以上(制御上は250℃から300℃程度)となるよう、触媒層用ヒーターの温度を調節することが好ましい。
【0040】
触媒層におけるヒーター加熱にかかるコストを軽減するため、触媒層出口近傍の熱を、触媒層入口近傍に戻すよう構成してもよい。触媒層出口近傍には熱が発生するところ、これを単に廃棄することなく、触媒層入口近傍に戻すことにより、触媒層用ヒーターによる加熱量を軽減し、コストダウンすることができる。
【0041】
前述のように、低温熱分解炉においては、分解炉本体部の内部と外気とが遮断されるよう構成されることが望ましいので、投入部及び灰排出部においてもできる限り(それらの使用中においても)外気が流入しないような構成(分解炉本体部の内部と外気とが略遮断されるような構成)を採用することが好ましい。
【0042】
灰排出部につき、分解炉本体部内の底部に堆積した灰を受けるための灰受皿部と、カム機構を用いて揺動棒を上下させることにより灰受皿部のスリットを開閉する開閉機構と、前記揺動棒の上下により落下して灰排出部底部に堆積した灰を押し出すための灰押出プレートと、灰押出プレートによって押し出された灰によって開く密封カバーとを有し、分解炉本体部の内部と外気とが遮断されるよう構成してもよい。
【0043】
また、投入部につき、円筒形状部からなり、円筒形状部の軸方向が分解炉本体部の表面部と平行な状態で分解炉本体部に一部が埋め込まれるように設置され、円筒形状部の中心軸まわりに回転自在とされており、かつ、円筒形状部と熱分解炉本体部の交差面と略同面積の開口部を円筒形状部の側面部に有するよう構成してもよい。
【発明の効果】
【0044】
本発明の低温熱分解炉は、燃焼を生じさせず、ダイオキシン等の有害物質が発生せず、安全で、低価格、かつ重油・灯油等の燃料が不要で低ランニングコストであって、さらに、臭気の発生をおさえ、熱分解炉としての安定的動作及び燃焼速度のコントロールを可能とするという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の低温熱分解装置の主たる実施例についての側面図を示す図である。
【図2】図2は、本発明の低温熱分解装置の主たる実施例についての正面図を示す図である。
【図3】図3は、本発明の低温熱分解装置の実施例についての斜視図を示す図である。
【図4】図4は、本発明の低温熱分解装置の投入部の実施例の動作を示す図である。
【図5】図5は、本発明の低温熱分解装置の実施例における、制御部による空気流入量調節機構たる電磁弁の開閉制御の例を示す図、及び、触媒層用ヒーターの制御の例を示す図である。
【図6(a)】図6(a)は、本発明の低温熱分解装置の灰排出部の実施例の動作を示す図である。
【図6(b)】図6(b)は、本発明の低温熱分解装置の灰排出部の実施例の動作を示す図である。
【図6(c)】図6(c)は、本発明の低温熱分解装置の灰排出部の実施例の動作を示す図である。
【図6(d)】図6(d)は、本発明の低温熱分解装置の灰排出部の実施例の動作を示す図である。
【図7】図7は、本発明の低温熱分解装置の灰排出部の実施例の構造の一部を示す図である。
【図8】図8は、空気取入口を複数備える場合の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明における低温熱分解炉の側面図であり、図2は同正面図である。
図1における本発明の低温熱分解炉は、分解炉本体部1と、分解炉本体部に分解対象物を投入するための投入部2と、分解炉本体部に空気を取り入れるための空気取入口3と、分解炉本体部と空気取入口の間に設けられ磁石により形成された磁場の中を空気取入口から分解炉本体部に流入する空気が通過するよう構成される空気変成部4と、分解炉本体部からガスを排出するためのガス排出口5と、分解炉本体部とガス排出口の間に設けられた触媒層である粒状セラミック触媒層6と、分解炉本体部から灰を排出するための灰排出部7を有している。
【0047】
粒状セラミック触媒層6は、前述の特許第4055710号に記載された構成のものを使用することが可能である。粒状セラミック触媒は、ガスとの接触が効率的でタールやばい煙などの捕捉もでき、目詰まりなどもおきにくい。
【0048】
投入部2は、回転式で、外部からの空気流入が少ない構造とされている。
灰排出部7は、後述するように、空気の流入を回避しつつ、灰を自動的に排出することが可能な構成とされている。
【0049】
さらに、図示しない制御部と、分解炉本体部と排気口の間に設けられた排気促進機構である吸引ファン8と、空気取入口と分解炉本体部の間に設けられた空気流入量調節機構である電磁弁9と、触媒層の出口近傍に設けられた触媒層温度センサー10とを有している。
【0050】
熱分解を起こす箇所(以下、「熱分解スペース」という。)は一定の場で進行させる構造が採用されている。満遍なく継続的に熱分解が起こるようにするためである。通常、熱分解は熱伝播で新たな有機物ゴミに向かって進行していく。それを一定の場で進行させるための構造として、分解炉本体部1内部の最も低い位置を熱分解スペースとした。熱分解スペースは熱源のあるところから開始するため、広いスペースは不要である。分解炉本体部1下部の熱分解スペースの周囲の受け板は熱分解スペースに向かって傾斜し、下部が狭められた構造とされている。分解炉本体部1に投入した有機物ゴミが熱分解スペースに随時集まりやすくするためである。
【0051】
また、分解炉本体部1の底部、かつ空気が流入する地点の近傍には、火種用ヒーター14が設置されている。
【0052】
そして、制御部において、触媒層温度センサーからの温度情報を用いて電磁弁9を制御すべく構成されている。
【0053】
次に本実施例の低温熱分解炉の使用方法及び動作状況について説明する。
図4(a)及び(b)に示すように、まず、投入部2から分解炉本体部1内に、人力により分解対象物である有機物ゴミ16を投入する。
処理しうる有機物としては、生ゴミ類、紙くず類、木くず・落ち葉類、プラスチック・ゴム類、布・皮類などがある。
【0054】
このとき、投入部2の実施形態として、図3及び図4に示すように、円筒形状部からなり、円筒形状部の軸方向が分解炉本体部の表面部と平行な状態で分解炉本体部に一部(2分の1を超えず、望ましくは断面円周の3分の1程度)が埋め込まれるように設置され、円筒形状部の中心軸まわりに回転自在とされており、かつ、円筒形状部と熱分解炉本体部の交差面と略同面積の開口部を円筒形状部の側面部に有するものが考えられる。当該開口部から有機物ゴミを投入し、円筒形状部を回転させると、開口部が分解炉本体部1の内側に入ったときに、有機物ゴミがその内部に落下する。このような構造により、ゴミ投入時にも一定の気密性を保つことが可能となる。
【0055】
そして、前述のように、分解炉本体部1は、下部が狭められた構造とされているため投入された有機物ゴミは分解炉本体部1の内部において、その下部中央付近に向かって堆積する。
【0056】
その後、火種用ヒーターにより火種を与える。これは、マニュアル操作によって行っても、制御部において制御することにより行ってもよい。
本発明の熱分解炉は、基本的には外気の自由な流入を遮断する構造とされており、必要な空気は空気取入口3から取り入れ、空気変成部4によって磁場を通し、熱分解スペース近傍に供給することとされているため、熱源である火種用ヒーター14のところから熱分解が開始する。
【0057】
そして、安定的に熱分解を継続するため、制御部により、触媒層温度センサー10からの情報を用いて、空気流入量調節機構たる制御弁9の開閉を制御する。本実施例においては、二つの電磁弁のうち一つは常にON(空気流入)とし、他方の電磁弁をON・OFFすることにより、触媒層温度センサーによる測定温度が300℃から700℃(さらに好ましくは350℃から550℃)となるように制御する。具体的には、図5(a)に示すように、触媒層温度センサー10による測定温度が420℃より低下した場合には、当該電磁弁を開いて(ONにして)空気流入量を増加させ、逆に触媒層温度センサーによる測定温度が450℃より上昇した場合には、当該電磁弁を閉じて(OFFにして)空気流入量を抑制する。
【0058】
このような制御により、有機物ゴミを約150℃から250℃程度の低温で24時間連続分解することができる。熱分解の結果、有機物ゴミは、もとの1/30から1/50の容積の灰となる。低温で熱分解が進行すると、水素、炭化水素、一酸化炭素といった熱分解ガスが発生する。このとき、低酸素濃度雰囲気下でガス化を行うため、ダイオキシン類の発生はきわめて少ない。
CO等を含む熱分解ガスは、吸引ファン8を用いて、前述の粒状セラミック触媒層6を通し、無害化処理されてガス排出口5から排出される。
【0059】
次に、特に運転初期状態における触媒層による十分な触媒反応を確保し、また、排出ガスがタールとして触媒層に付着しガスの通過を妨げるのを避けるための別の制御(触媒層用ヒーターの制御)について説明する。これは、制御部において、触媒層入口温度センサー11による測定温度が200℃以上となるよう、触媒層用ヒーター12の温度を調節するものである。すなわち、図5(b)に示すように、触媒層入口温度センサー11による測定温度が260℃を下回った場合には触媒層用ヒーター12をONとし、また、触媒層入口温度センサー11による測定温度が300℃を上回った場合には、エネルギー節約のため触媒層用ヒーター12をOFFとするという制御を行う。
【0060】
熱分解反応が進行すると、分解炉本体部1内には、熱分解後の灰が堆積する。熱分解スペースは、熱分解後の灰が堆積する場所でもある。
灰が過度に堆積すると、空気が反応前の有機物ゴミに到達しにくくなるため、灰を排出するための灰排出部7が設けられている。灰排出部は、マニュアルで排出を行うための単純な蓋付開口部でも良いが、自動ないし半自動で排出するための機構を設けても良い。
【0061】
図6(a)〜(d)、及び図7に、灰排出部の一実施形態を示す。
灰排出部7は、灰落下受皿枠7aと灰落下受皿棒7bにより構成されるスリットを有する灰受皿部と、灰落下駆動カム7dと灰落下駆動カム軸7eにより構成されるカム機構を用いて灰落下揺動棒7cを上下させることにより灰受皿部のスリットを開閉する開閉機構と、前記揺動棒の上下により落下して灰排出部底部に堆積した灰を押し出すための灰押出プレート7fと、灰押出プレートによって押し出された灰によって開く密封カバー7gとを有する。
【0062】
制御部により、定期的に、あるいは後述するタイミングで、灰落下駆動モータ7hを所定回数動作させ、灰落下駆動カム7dの回転により灰落下揺動棒7cを上下させる。すると、灰落下揺動棒7cが下降したとき灰落下受皿枠7aと灰落下受皿棒7cとの間に形成される隙間から灰が落ちる。その後、灰落下駆動カムを灰落下揺動棒が最高位置にくる状態にて停止させ、外気との気密を保つ。そして、図示しない灰押出プレート駆動装置を駆動させて灰押出プレート7fをスライドさせ、灰を外部に押し出す。このとき、密封カバー7gは、灰に押されて開くが、灰が外部に落下すると重力で閉じ、かつその内側は残された灰が堆積して出口を塞いでいる。このため、次回の灰落下揺動棒7cの上下によって灰受皿部のスリットが開いた際にも、外部との気密は保たれることになる。
【0063】
また、灰の排出時期を適切に判断するために、空気取入口から流入する空気量を計測する流入量計測部を備えてもよい。そして、制御部において、流入量計測部によって計測された空気流入量の値を用いて分解炉本体部内に堆積した灰の量又は排出時期を判断するよう構成する。より具体的には、空気流入量が空気流入量調節機構による調節量に照らし過小である場合には、灰が堆積することによって空気の流通が悪くなっていることを意味している。そこで、空気流入量が一定の基準を下回った場合には、制御部において灰を排出すべき時期であると判断する。灰がどの程度堆積しているのかを知ることは一般に困難であるところ、この方法によれば、過大なコストをかけることなくこれを認識することができる。
【0064】
触媒層で生じた廃熱は、熱交換し、温風、温水として利用することができる。
【0065】
次に、図8に、空気取入口を3個備えた場合の実施形態を示す。
空気取入口を複数個備える場合、それぞれを並列に並べ、それぞれに空気流入量調節機構を設けると、ある空気流入量調節機構からの空気流入を制限すると、他の空気取入口からの空気流入とのバランスを欠く結果となり、分解炉本体部1の内部における熱分解に偏りが生じることとなる。そこで、空気取入口3自体は3個とし、それぞれに空気流入量調節機構9を備え、これら空気取入口から流入する空気を一度合流させ、さらに3つに分岐させる。この結果、ひとつの空気取入口3に取り付けられた空気流入量調節機構9により空気流入を制限しても、分解炉本体部1に流入する際には均等な流れとなって、アンバランスを生じず、熱分解に偏りが生じないという効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、ダイオキシン等の有害物質が発生せず、安全、低価格、低ランニングコストであって、さらに、臭気の発生をおさえ、熱分解炉としての安定的動作及び燃焼速度のコントロールを可能とする低温熱分解炉を提案するものである。本発明により、長時間連続稼動可能な実用性のある低温熱分解炉が提供される。当該低温熱分解炉は、特に有機物ゴミの処理に有効である。
【符号の説明】
【0067】
1 分解炉本体部
2 投入部
3 空気取入口
4 空気変成部
5 ガス排出口
6 触媒層
7 灰排出部
8 排気促進機構
9 空気流入量調節機構
10 触媒層温度センサー
11 触媒層入口温度センサー
12 触媒層用ヒーター
13 空気流入路
14 火種用ヒーター
15 熱交換器
16 分解対象物
17 流入量計測部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気から略遮断された分解炉本体部と、
分解炉本体部に分解対象物を投入するための投入部と、
分解炉本体部に空気を取り入れるための空気取入口と、
分解炉本体部と空気取入口の間に設けられた空気変成部と、
分解炉本体部からガスを排出するためのガス排出口と、
分解炉本体部とガス排出口の間に設けられた触媒層と、
分解炉本体部から灰を排出するための灰排出部と、
を有する低温熱分解炉において、
制御部と、
分解炉本体部と排気口の間に設けられた排気促進機構と、
分解炉本体部と空気取入口の間に設けられた空気流入量調節機構と、
触媒層又は触媒層出口近傍に設けられた触媒層温度センサーとを有し、
制御部において、触媒層温度センサーからの温度情報を用いて空気流入量調節機構及び/又は排気促進機構を制御すべく構成されている
ことを特徴とする低温熱分解炉。
【請求項2】
空気変成部が、磁石により形成された磁場の中を、空気取入口から分解炉本体部に流入する空気が通過するよう構成されることを特徴とする、請求項1記載の低温熱分解炉。
【請求項3】
空気変成部が、マイナスイオン発生器により構成されることを特徴とする、請求項1記載の低温熱分解炉。
【請求項4】
空気変成部が、空気取入口から分解炉本体部に流入する空気中の酸素をフリーラジカルとするよう構成されることを特徴とする、請求項1記載の低温熱分解炉。
【請求項5】
制御部による制御において、触媒層温度センサーの計測値が一定基準を下回った場合には空気流入量調節機構により空気流入量を増加させ、触媒層温度センサーの計測値が一定基準を上回った場合には空気流入量調節機構により空気流入量を抑制することを特徴とする、請求項1又は請求項4のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項6】
空気流入量調節機構が制御弁を用いて構成されることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項7】
制御部において、触媒層温度センサーによる測定温度が300℃から700℃の間となるよう、空気流入量調節機構を調節することを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項8】
制御部による制御において、空気流入量調節機構による空気流入量の調節に対応して、排気促進機構による排気量を調節することを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項9】
制御部による制御において、触媒層温度センサーの計測値が一定基準を下回った場合には排気促進機構により排気量を増加させ、触媒層温度センサーの計測値が一定基準を上回った場合には排気促進機構により排気量を抑制することを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項10】
排気促進機構が吸引ファンであることを特徴とする、請求項1ないし請求項9のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項11】
触媒層が粒状セラミック触媒層であることを特徴とする、請求項1ないし請求項10のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項12】
分解炉本体部は下部が狭められた構造とされ、かつ空気取入口から分解炉本体部内に流入する空気の流入点が分解炉本体部の下部に設けられたことを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項13】
空気取入口から流入する空気量を計測する流入量計測部を有し、制御部において、流入量計測部によって計測された空気流入量の値を用いて分解炉本体部内に堆積した灰の量又は灰の排出時期を判断するよう構成されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項12のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項14】
分解炉本体部内の下部に火種用ヒーターを有することを特徴とする、請求項1ないし請求項13のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項15】
触媒層の入口近傍に触媒層用ヒーター及び触媒層入口温度センサーを有し、
制御部において、触媒層入口温度センサーからの温度情報を用いて触媒層用ヒーターの温度を制御すべく構成されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項14のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項16】
制御部において、触媒層入口温度センサーによる測定温度が200℃以上となるよう、触媒層用ヒーターの温度を調節することを特徴とする、請求項15記載の低温熱分解炉。
【請求項17】
触媒層出口近傍の熱を、触媒層入口近傍に戻すよう構成されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項16のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項18】
灰排出部は、その使用時においても、分解炉本体部の内部と外気とが略遮断されるよう構成されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項17のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項19】
灰排出部は、
分解炉本体部内の底部に堆積した灰を受けるための灰受皿部と、
カム機構を用いて揺動棒を上下させることにより灰受皿部のスリットを開閉する開閉機構と、
前記揺動棒の上下により落下して灰排出部底部に堆積した灰を押し出すための灰押出プレートと、
灰押出プレートによって押し出された灰によって開く密封カバーとを有し、
分解炉本体部の内部と外気とが遮断されるよう構成されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項18のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項20】
投入部は、その使用時においても、分解炉本体部の内部と外気とが略遮断されるよう構成されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項19のいずれか記載の低温熱分解炉。
【請求項21】
投入部は、
円筒形状部を有し、円筒形状部の軸方向が分解炉本体部の表面部と平行な状態で分解炉本体部に一部が埋め込まれるように設置され、円筒形状部の中心軸まわりに回転自在とされており、かつ、円筒形状部と熱分解炉本体部の交差面と略同面積の開口部を円筒形状部の側面部に有することを特徴とする、請求項1ないし請求項20のいずれか記載の低温熱分解炉。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【図6(d)】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−270980(P2010−270980A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123902(P2009−123902)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(501474508)株式会社 ケミカルオート (3)
【Fターム(参考)】