説明

低温調製可能な低粘度で長期安定性を有する化粧用エマルジョン

【課題】 低温調製可能な低粘度で長期安定性を有する化粧用エマルジョンを提供する。
【解決手段】 本発明は、低温調製可能な長期安定性を有する低粘度で微細なPEGフリーの水中油型エマルジョンと、好ましくは清澄な油相から、または好ましくは清澄〜透明なマイクロエマルジョン様濃縮物を介してのその調製と、対応する油相またはマイクロエマルジョン様濃縮物と、本発明のエマルジョンの、化粧品製剤、皮膚用剤、または医薬製剤、または工業用製剤を製造するため、特に、ウェットワイプ用含浸エマルジョンまたは噴霧可能な手入れ用エマルジョンを製造するための使用とを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温調製可能な長期安定性を有する低粘度で微細な水中油型エマルジョンと、好ましくは清澄な油相から、または好ましくは清澄〜透明なマイクロエマルジョン様濃縮物を介してのその調製と、対応する油相またはマイクロエマルジョン様濃縮物と、化粧品製剤、皮膚用剤、または医薬製剤を製造するためならびに家庭用および工業用の清掃用および手入れ用エマルジョンを製造するため、特に、ウェットワイプ用含浸エマルジョンまたは噴霧可能な手入れ用エマルジョンを製造するための本発明のエマルジョンの使用とを提供する。
【0002】
本発明の微細な水中油型エマルジョンは、好ましくは、ポリエチレングリコールを含む物質を含有せず(「PEGフリー」)、そして、非イオン性一次乳化剤成分(好ましくはポリオール部分エステル)および中和可能な二次乳化剤成分から構成される乳化剤混合物と、これに加えて界面活性なコサーファクタント、好ましくは防腐性を有する芳香族コサーファクタントと、これに加えて油、好ましくはエステルおよび/またはエーテル油と、場合によりさらなる慣用の助剤および添加剤とを含むものである。
【背景技術】
【0003】
エマルジョンは、化粧品製剤、皮膚用剤、および/または医薬製剤分野における重要な種類の製品を構成する要素である。化粧品製剤は基本的にスキンケア用として使用される。化粧的な意味におけるスキンケアとは、主として、環境による影響(例えば、汚れ、化学物質、微生物)および内在性物質(例えば、水分、天然脂質、電解質)の損失を防ぐ障壁としての皮膚本来の機能を強化および/または回復させることである。
【0004】
スキンケアのさらなるねらいは、日々の洗浄によって失われる皮膚の脂質および水分を補うことと、皮膚の柔軟性および滑らかさを保持および回復させることとにある。本来の再生能力が十分でない場合、このことが正に重要になってくる。これに加えて、スキンケア製品は、環境、特に日光および風からの影響を防御し、皮膚の老化を遅らせるものでなければならない。
【0005】
一般に、局所用医薬組成物には、1種またはそれ以上の薬剤が有効濃度で含有されている。話を簡単にするため、化粧用途および医療用途ならびにこれらに対応する製品を、ドイツ連邦協和国の法規定(例えば、化粧品法、食品医薬品法)を参照して明確に区別するものとする。
【0006】
ここ数年、使い方が極めて簡単で便利な化粧用ウェットワイプがその重要性を増しつつある。当初、化粧品市場では、実質的に汚れを落とすことのみを目的としたウェットワイプしか扱われておらず、これは主として、界面活性剤を含有する水性の含浸溶液を含ませたものであった。ところが最近では、手入れ用品として市場に出回るものも増えつつあり、これらは含浸エマルジョンをベースとしているため、手入れ用の油成分をさらに含有している。
【0007】
このようなボディケアおよびフェイスケア用の化粧用ウェットワイプのほとんどは、PIT乳化法((非特許文献1)または(非特許文献2))によって調製されたエマルジョンを含浸させたものである。
【0008】
PIT法は、ポリエチレングリコールを含む非イオン性乳化剤(「PEG含有乳化剤」)によって安定化された水中油型(O/W)エマルジョンの温度を上昇させることにより、油中水型(W/O)エマルジョンへの転相を誘起することができるという事実を利用したものである(転相;PIT:転相温度)。
【0009】
この転相領域における水と油の界面張力は極めて低いため、これを冷却することにより極めて微細な水中油型エマルジョンを得ることができる。しかしながら、このためには、乳化される系ごとにエマルジョンの個々の成分を互いに正確に調節する必要がある。これは、乳化剤混合物および乳化剤の濃度を異なる油相ごとに「合わせて調整」しなければならないことを意味する。
【0010】
こうして生成された微細で低粘度なエマルジョンは、長期安定性に極めて優れ、したがって、ウェットワイプ用含浸溶液として非常に好適である。このような系は、例えば,(特許文献1)または(特許文献2)に記載されている。
【0011】
PIT乳化技術を用いるための基本的な要件は、ここに記載したように、エマルジョン全体を転相温度を超える温度に加熱した後に再び冷却することが必要なことである。
【0012】
工程操作の最適化が求められ、エネルギーコストも制限されている現在において、このことは、加熱/冷却曲線を経る必要のない系と比較して明らかに不利であることを意味している。こうした理由から、さらに加熱/冷却曲線を経ることを必要とせずに長期安定性を有する微細なエマルジョンを室温で調製(「低温調製」)できれば有利であろう。
【0013】
PITエマルジョンをベースとするウェットワイプ用含浸溶液の他の欠点は、PEG含有乳化剤の使用を前提としていることにある。極めて自然に近い化粧品製剤という観点に立てば、ポリエチレングリコール(「PEG」)を含む乳化剤を省くことができる化粧品を研究することが重要な目標となる。したがって、PEGフリーの代替溶液の探索が盛んになってきている。
【0014】
エトキシル化された乳化剤は肌に幾分水っぽい感触を与えることも知られており、例えば、ポリグリセリルエステルを使用することによってこの感覚を改善することができる。
【0015】
例えば、(特許文献3)には、ポリオールのポリ12−ヒドロキシステアリン酸エステルおよびアルキルグリコシドをベースとするPEGフリーの化粧用ウェットワイプ用含浸エマルジョンが記載されている。このような乳化剤混合物を使用すると、これを含浸させた紙製品の柔軟性が改善され、それ以外でも、これを用いて製造されたウェットワイプの使用時の感覚特性が改善される。しかし、このような乳化剤の組合せを用いた場合、この含浸エマルジョンに十分な防腐を組み合わせて良好な長期安定性を達成することが難しいのが通常である。
【0016】
特に、ウェットワイプを製造する場合は、細菌の増殖を抑制するために含浸溶液に十分な防腐を施すことが絶対に必要である。この防腐は、含浸溶液そのものだけでなく、最終的には含浸されたウェットワイプについても同様に、細菌の増殖を長期間にわたって防止するのに十分でなければならない。
【0017】
通常、好ましく使用される防腐剤混合物は、例えば、オイクシール(Euxyl)(登録商標)K300(シュルケ・ウント・マイヤー(Schuelke & Mayr))またはフェノニップ(Phenonip)(登録商標)(クラリアント(Clariant))の商品名で市販されている、アルキルパラベンエステルとフェノキシエタノールとの混合物である。
【0018】
ここに記載したように、含浸溶液およびウェットワイプを確実に防腐することに関する要求が高いことから、通常は、このようなアルキルパラベンエステル/フェノキシエタノール混合物の最終含浸溶液中における使用量を比較的多く(0.5〜1.0重量%)することが必要とされている。理想的には、エマルジョン濃縮物の製造において、できるだけ早い段階で防腐剤の全量を混合する必要がある。このようにすると、その後に水で希釈することによって簡単に所望の使用濃度の含浸溶液を作り出すことができる。
【0019】
このようなアルキルパラベンエステル/フェノキシエタノール混合物を使用すると、これらの化合物が非常に界面活性が高く、乳化剤分子と油−水界面の空間を奪い合うことから、エマルジョンに負荷が及ぶ(emulsion−stressing influence)ことは知られている。これらの防腐剤混合物が界面活性な性質を有することから、これらを防腐性を有する芳香族コサーファクタントと説明することもできる。ウェットワイプ用含浸エマルジョンの場合、これらの防腐剤の所要量が多いことと含浸溶液の粘度が低いこととにより、通常、このエマルジョンへの負荷作用は増大する。
【0020】
したがって、これらを要約すると、従来技術に記載されている乳化剤または乳化剤の組合せを用いても、典型的には含浸エマルジョンまたは噴霧可能なローション剤に使用される、十分に防腐が施された低粘度で微細な長期安定性を有する低温調製可能なエマルジョンを調製することはできないと言えよう。
【0021】
【特許文献1】欧州特許第1 268 740B号明細書
【特許文献2】国際公開第00/04230号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/056841号パンフレット
【特許文献4】DE102005011785.6号明細書
【非特許文献1】篠田耕三(K.Shinoda)、國枝博信(H.Kunieda)、エマルジョンの相特性:PITおよびHLB(Phase properties of emulsions:PIT and HLB)、エマルジョン技術百科事典(Encycl.of emulsion Technology)、第1巻、pp.337〜367、1983年
【非特許文献2】Th・フェルスター(Th.Foerster)、F・シャンビル(F.Schambil)、W・フォン・リュビンスキー(W.von Rybinski)、J.Disp.Sci.And Technology、第13巻、第2号、pp.183〜93(1992年)
【非特許文献3】ウルマン工業化学百科事典(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry)、第B7巻、E.ワイス(Weise)編、第5版、VCH、ヴァインハイム(Weinheim)、p.78、1995年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、本発明の目的は、典型的には含浸エマルジョンまたは噴霧可能なローション剤に使用される低粘度で微細な長期安定性を有するエマルジョン、すなわち、同時に、
室温で調製可能であり、そして
エトキシル化された構成成分を含まず、そして
十分な量の防腐剤化合物をさらに含む、
エマルジョンを調製することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
驚くべきことに、ポリオール部分エステルおよび中和可能な酸部分エステルをベースとする好適な乳化剤の組合せを油(好ましくはエステルおよび/またはエーテル油)およびコサーファクタント(好ましくは防腐性を有する芳香族コサーファクタント)と一緒に使用すると、含浸エマルジョンとして、または噴霧可能な系中に使用するのに抜群に適した低粘度で微細な長期安定性を有する水中油型エマルジョンが室温で調製できることがここに見出された。
【発明の効果】
【0024】
このようなエマルジョンは、調製が容易であることおよび微細に分散していることに加えて、エトキシル化された成分を基本的に含まない(「PEGフリー」エマルジョン系)点に注目すべきである。さらに、このような含浸溶液を利用して製造されたウェットワイプが極めて心地よい感覚特性を示すことにも注目すべきである。
【0025】
本発明の水中油型エマルジョンは、室温調製が可能であると同時に、本発明による好ましい防腐に有効な芳香族コサーファクタントの使用により防腐が十分に施された長期安定性を有し、したがって、特にウェットワイプ用含浸エマルジョンとして使用するのに好適な、低粘度で微細なPEGフリーのエマルジョンを初めて提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
したがって、本発明は、長期安定性を有する低粘度で微細な水中油型エマルジョンであって、
A)乳化剤混合物であって、
a)少なくとも1種の非イオン性一次乳化剤および
b)全部または一部が場合により中和されていてもよい1種またはそれ以上の酸官能基を含む少なくとも1種の二次乳化剤から構成される乳化剤混合物と、
B)1種またはそれ以上のコサーファクタントと、
C)1種またはそれ以上の油と、場合により、
D)1種またはそれ以上の極性可溶化剤と、場合により、
E)慣用の助剤および添加剤と、
を含み、ただし、該エマルジョンの水相の含有量が、エマルジョン全体を基準として80重量%以上である水中油型エマルジョンを提供する。
【0027】
本発明による好ましいエマルジョンは、粘度が低く、微細に分散しており、かつ長期安定性を有している。
【0028】
「低粘度」とは、エマルジョンが慣用の装置で噴霧できる粘度を意味するものと理解される。一般に、このようなエマルジョン粘度は、4000mPas(ブルックフィールドRVT、スピンドル4、10rpm(20℃))以下、好ましくは2500mPas以下、より好ましくは1000mPas以下である。より高い粘度を達成することも可能ではあるが、本発明による好ましいものではない。
【0029】
「微細」とは、エマルジョン小滴の平均半径が20nm以上〜500nm以下、好ましくは30nm以上〜200nm以下、より好ましくは40nm以上〜120nm以下であることを意味するものと理解される。
【0030】
「長期安定性」とは、本発明のエマルジョンが室温で3ヶ月間かつ40℃で1ヶ月間、不可逆的なクリーミングまたはそれ以外の不安定性の兆候を示すことなく保管できることを意味するものと理解される。
【0031】
本発明の水中油型エマルジョンは、典型的には、水相の含有量が70重量%以上〜99重量%以下、好ましくは80重量%以上〜97重量%以下である。
【0032】
製剤中の、水相に添加された物質またはその親水性の性質により水相に溶解もしくは分散可能な物質はすべて水相に含まれる。本発明の水中油型エマルジョンに関して言えば、水、またはグリコール、ポリアルキレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、アルコール、水溶性ポリマー、有効成分等の任意の構成成分は、いかなる場合においても水相に属する。
【0033】
本発明のすべての主題において、使用される乳化剤混合物(A)、コサーファクタント(B)、および油(C)の重量比率(これら3種の成分を基準とする)は、好ましくは、(A)10以上〜30以下/(B)3以上〜20以下/(C)50以上〜87以下であり、より好ましくは、重量比率は、20以上〜25以下/5以上〜15以下/60以上〜75以下であり、乳化剤混合物(A)は、非イオン性一次乳化剤(a)75重量%以上〜99.5重量%以下と、酸基を含む二次乳化剤(b)0.5重量%以上〜25重量%以下とから構成される。
【0034】
乳化剤混合物(A)に関し、本発明により好ましく使用される非イオン性一次乳化剤(a)は、
a1)好ましくは、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族カルボン酸を、グリセロール、ポリグリセロール、またはこれら2種の混合物でエステル化することにより調製された、グリセリルおよびポリグリセリル部分エステル、
a2)好ましくは、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族カルボン酸を、ソルビトールでエステル化することにより調製された、ソルビタンまたはソルビトール部分エステル、
a3)好ましくは、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族カルボン酸を、単−または多糖、および場合により、より単糖数の多い多糖でエステル化することにより調製された、炭水化物エステル、好ましくはグリコシドまたはショ糖エステル、
a4)好ましくは、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはさらなるヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族アルコールを、単−または多糖と反応させることにより調製された、(アルキルポリ)グリコシド、または
これらの混合物
のうちの少なくとも1つの群から選択されるポリオール部分エステルである。
【0035】
典型的には、非イオン性一次乳化剤成分(a)の主要部分はポリグリセリルエステルから構成され、好ましくは、ここにソルビタンエステルが、一次乳化剤成分(a)全体を基準として、0重量%以上〜75重量%以下、好ましくは0重量%以上〜50重量%以下、より好ましくは0重量%以上〜25重量%以下の量で添加される。
【0036】
10個以上〜18個以下の炭素原子を有する鎖長の脂肪酸基を疎水性部分として含むポリグリセリル部分エステルおよびソルビタン部分エステルが好ましい。
【0037】
ラウリン酸ポリグリセリルおよびラウリン酸ソルビタンの組合せが特に非常に好ましい。
【0038】
乳化剤混合物(A)に関し、好ましい二次乳化剤成分(b)は、
b1)それぞれ、その酸基の一部が、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族または芳香族アルコールでエステル化されている、場合によりヒドロキシルを含むジ−またはポリカルボン酸エステル、硫酸化、スルホン酸化、またはリン酸化されたカルボン酸エステル、マロン酸エステル、リンゴ酸エステル、コハク酸エステル、スルホコハク酸エステル、クエン酸エステル、酒石酸エステル、
b2)それぞれ、その酸基の一部が、ポリオール、ポリオール部分エステル(好ましくは、グリセロール、ポリグリセロール、および/またはソルビトールと直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族または芳香族カルボン酸とから形成されたもの)でエステル化されている、場合によりヒドロキシルを含むジ−またはポリカルボン酸エステル、硫酸化またはスルホン酸化またはリン酸化されたカルボン酸エステル、マロン酸エステル、リンゴ酸エステル、コハク酸エステル、スルホコハク酸エステル、クエン酸エステル、酒石酸エステル、
b3)直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子2個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族または芳香族モノ、ジ−、またはポリカルボン酸で一部がエステル化されている、ポリオール、好ましくは、グリセロール、ポリグリセロール、およびソルビトールであって、ただし、分子内に遊離の中和可能な酸基が存在するもの、
b4)そのヒドロキシル基の少なくとも一部が、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族カルボン酸と反応されている、ヒドロキシ官能基を有するモノ、ジ−、またはポリカルボン酸、
b5)直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族または芳香族基を含む、サルコシン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のN−アシルアミノ酸(塩)、
b6)直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族または芳香族アシル基を含む、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、またはリン酸塩、または
これらの混合物
のうちの少なくとも1つの群から選択される化合物である。
【0039】
(b)の種類の乳化剤は、乳化剤配合物中において、好ましくは少なくとも一部が中和された形態で存在する。有利には、これらは既に(一部が)中和された成分として使用される。所望により、後段の好適な工程段階で中和段階を実施することもでき、その場合、中和に使用される塩基は、好ましくは1または2価の陽イオン性対イオンを有する陰イオン性乳化剤を導くものである。特に好ましい対イオンはナトリウムおよびカリウムである。
【0040】
疎水性基がそれぞれ10個以上〜18個以下の炭素原子を含む、中和されたクエン酸部分エステルを使用することが好ましい。
【0041】
クエン酸とラウリルアルコールとの部分エステルまたはクエン酸とモノもしくはジラウリン酸グリセリルとの部分エステルに加えて、クエン酸とオレイルアルコールとの部分エステルまたはクエン酸とモノもしくはジオレイン酸グリセリルとの部分エステルも特に非常に好ましい。
【0042】
本発明の文脈におけるコサーファクタントとは、特に、界面活性を特徴とする(このことは、界面張力を低下させるか、あるいは界面膜に組み込まれることで明らかになり得る)ものの、これらの物質を単独で用いても、水中で界面活性剤特有の凝集を呈することによってミセル構造となったり、乳化剤に特有のエマルジョン小滴の安定化を行うことのない化合物を意味するものと理解される。
【0043】
これに加えて、またはこれに替えて、本発明の文脈におけるコサーファクタントとは、特に、グリフィン(Griffin)によるHLB値が4以上〜10以下である化合物を意味するものと理解される。より好ましくは、これらのコサーファクタントは、オクタノール−水分配係数logPまたはlogKowが1〜2であるという特徴を有する。オクタノール−水分配係数は、室温で平衡状態にあるオクタノール中および水中に溶解された物質の量の商の常用対数から算出される((非特許文献3)参照)。
【0044】
有利には、本発明のコサーファクタントは、分子内に4〜14個の炭素原子および1種またはそれ以上の極性基を有する非イオン性の有機化合物である。
【0045】
典型的な周知の非芳香族コサーファクタントは、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等の脂肪族アルコールである。本発明の好ましい実施形態において使用されるコサーファクタントは、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、または1,2−オクタンジオールである。
【0046】
これに加えて、同様に使用されるコサーファクタントは、好ましくは、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはジエチレングリコールと、6〜10個の炭素原子を有する脂肪酸またはアルコールとをベースとするモノアルキルエーテルまたはモノアルキルエステルである。
【0047】
本発明の好ましい実施形態において使用されるコサーファクタントは、芳香族コサーファクタントである。本発明の文脈における芳香族コサーファクタントとは、特に、1種またはそれ以上のアリール基を含み、それ単独で用いても水中でミセル構造を形成しない界面活性な物質を意味するものと理解される。
【0048】
これらの芳香族コサーファクタントは、有利には、さらに抗菌性を有することを特徴とする。すなわちこれらは、防腐性を有する芳香族コサーファクタントである。この種のコサーファクタントを使用すると、理想的にはさらなる防腐剤を必要とせずに本発明のO/Wエマルジョンを調製することが可能となる。また、例えば(特許文献4)に記載されているように、さらなる慣用の防腐剤を(助剤および添加剤として)添加することももちろん可能である。
【0049】
防腐性を有する本発明による特に好ましい芳香族コサーファクタントは、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコールを、単独とするかまたは1種もしくはそれ以上のアルキルパラベンエステル(好ましくは、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、および/またはイソブチルパラベン)と組み合わせたものである。特に、オイクシール(登録商標)K300(シュルケ・ウント・マイヤー)またはフェノニップ(登録商標)(クラリアント)の商品名で市販されている、アルキルパラベンエステルとフェノキシエタノールとの混合物を使用することが好ましい。
【0050】
上述したように、防腐活性を有する上記芳香族コサーファクタントと他の好適な防腐剤との混合物を使用することも同様に可能である。例えば、オイクシールPE9010(シュルケ・ウント・マイヤー)の名称で市販されている、フェノキシエタノールとエチルヘキシルグリセロールとの混合物を使用することも同様に可能である。
【0051】
本発明の文脈における油とは、特に、6〜20個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールをベースとするゲルベアルコール、直鎖C1〜C44脂肪酸と直鎖C1〜C22脂肪族アルコールとのエステル、分岐C1〜C44カルボン酸と直鎖C1〜C22脂肪族アルコールとのエステル、直鎖C1〜C44脂肪酸と分岐アルコールとのエステル、直鎖および/もしくは分岐の脂肪酸と多価アルコールおよび/もしくはゲルベアルコールとのエステル、C1〜C44脂肪酸をベースとするトリグリセリド、植物油、分岐の第1級アルコール、置換シクロヘキサン、ゲルベカーボネート(Guerbet carbonate)、ジアルキル(アルキレン)エーテル、ジアルキル(アルキレン)カーボネート、ならびに/または脂肪族もしくはナフテン系炭化水素、シリコーン油、ジメチコーン、シクロメチコーン、エトキシル化および/もしくはプロポキシル化された有機アルコール、エトキシル化および/もしくはプロポキシル化された有機酸、またはこれらの混合物の群から選択される化合物を意味するものと理解される。当業者に周知の香油も同様に、本発明の文脈における油相の役割を果たすであろう。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において使用される油は、エステル油、エーテル系油、炭化水素、およびプロポキシル化された有機アルコール、ならびにこれらの化合物の混合物である。
【0053】
有用なエステル油としては、特に、2個以上〜44個以下の炭素原子を有する直鎖および/または分岐のモノおよび/またはジカルボン酸と、1個以上〜22個以下の炭素原子を有する直鎖および/または分岐の(特に2−エチルヘキサノール)飽和または不飽和アルコールとのモノまたはジエステルが挙げられる。本発明の文脈において同様に好適なのは、2個以上〜36個以下の炭素原子を有する二官能性または三官能性の脂肪族アルコール(特にダイマージオールおよび/またはトリマージオール)と、1個以上〜22個以下の炭素原子を有する1種またはそれ以上の単官能性脂肪族カルボン酸とのエステル化生成物である。本発明によれば、芳香族基を含むエステル油も同様に好適である。
【0054】
室温でロウ様の性質を示すエステル油、例えばミリスチン酸ミリスチルを一部使用することにより、エマルジョンの肌感触をよりこってりとしたものにすることができる。
【0055】
有用なエーテル油は、特に、4個以上〜24個以下の炭素原子を有するジアルキルエーテルである。本発明によれば、特に、飽和C6〜C18ジアルキルエーテル、例えば、ジ−n−オクチルエーテル、ジ(2−エチルヘキシル)エーテル、ラウリルメチルエーテル、またはオクチルブチルエーテルに加えてジドデシルエーテルも好適である。
【0056】
特に好ましい油成分は、化粧用エステル油であるパルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸エチルヘキシル、ヤシ油脂肪酸デシル、炭酸ジエチルヘキシル、炭酸ジオクチル、エチルヘキサン酸セテアリル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソセチル、イソノナン酸セテアリル、ラウリン酸ヘキシル、イソノナン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸イソプロピル、および安息香酸C12〜15アルキル、ならびに化粧用エーテル油であるジカプリリルエーテルおよびプロポキシル化された有機アルコールであるPPG15ステアリルエーテルまたはPPG4ブチルエーテル、ならびに上述の化合物の混合物である。
【0057】
本発明の文脈における「極性可溶化剤」とは、特に、清澄な油相を得ることを目的として以下に記載する油相に10重量%までの量で添加される極性化合物を意味するものと理解される。これらは、好ましくは、水、グリコール、ポリアルキレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、またはエタノール、イソプロパノール等の短鎖アルコールである。
【0058】
助剤および添加剤としては、この分野の当業者に従来技術として周知のあらゆる助剤および添加剤、例えば(特許文献4)に記載されているような、油およびワックス、市販の界面活性剤または乳化剤、粘度付与剤(bodying agent)、増粘剤(例えば高分子系)、無機および有機紫外線防御遮蔽剤(UV light protection filter)、セルフタンニング剤、顔料、酸化防止剤、ハイドロトロープ剤、防臭および制汗有効成分、それ以外の有効成分、染料、さらなる防腐剤、香料等を使用してもよい。
【0059】
助剤および添加剤は、油相または水相に添加しても、あるいはエマルジョン調製工程において希釈水に添加しても、いずれであってもよい。
【0060】
好ましい有効成分は、特に、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、デオキシリボ核酸、コエンザイムQ10、レチノールおよびレチニル誘導体、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、ヒアルロン酸、クレアチン(およびクレアチン誘導体)、グアニジン(およびグアニジン誘導体)、セラミド、フィトスフィンゴシン(およびフィトスフィンゴシン誘導体)、スフィンゴシン(およびスフィンゴシン誘導体)、疑似セラミド、精油、ペプチド、タンパク質加水分解物、植物抽出物、ならびにビタミン複合体である。
【0061】
本発明のO/Wエマルジョンは、原則として、簡単な撹拌装置を利用して調製することができる。さらなる均質化段階は不要である。
【0062】
好ましくは、この調製は、乳化剤混合物、コサーファクタント、油、ならびに場合により慣用の助剤および添加剤を含む清澄な単相の油相を室温で希釈水中に直接注ぐことによって実施される。必要に応じて、10重量%までの極性可溶化剤を添加することによって油相を清澄な相に転換してもよい。このような極性可溶化剤は、水、グリコール、ポリアルキレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、またはエタノール、イソプロパノール等の短鎖アルコールであってもよい。好ましくは、極性可溶化剤として水を使用する。
【0063】
均質な清澄な油相は、本発明の微細なO/Wエマルジョンの調製に有利である。通常、濁った油相を使用すると、長期安定性が十分でないことが多い比較的粗大なエマルジョンとなる。清澄な油相から濁った油相への転換は起こりやすい。十分な長期安定性を有するエマルジョンが調製できる不透明度は使用される成分の種類および量に依存し、このような限られた場合において個々に判断する必要がある。
【0064】
上述した方法の別法として、清澄〜透明なマイクロエマルジョン様濃縮物の中間段階を経て本発明の微細な水中油型エマルジョンを生成させることもできる。通常、この濃縮物は、乳化剤混合物、コサーファクタント、油、ならびに場合により極性可溶化剤、ならびに/または慣用の助剤および添加剤を含む油相を30重量%超〜90重量%以下、好ましくは油相を40重量%以上〜80重量%以下から構成される。このような清澄〜透明なマイクロエマルジョン様濃縮物は、好ましくは、室温で水を油相中にかき混ぜながら加えることによって調製される。このような濃縮物の調製に濁った油相を使用することも可能である。この濃縮物の最適な水含有量は、その配合(例えば使用される油)に依存するが、通常は、10重量%以上〜70重量%未満、好ましくは20重量%以上〜60重量%以下である。
【0065】
このようなマイクロエマルジョン様濃縮物を最終的に希釈することによって本発明の水中油型エマルジョンを得てもよい。マイクロエマルジョン様濃縮物の調製も、最終希釈段階も、簡単な撹拌装置を用いて室温で実施することができる。
【0066】
したがって、本発明はさらに、
A)乳化剤混合物であって、
a)少なくとも1種の非イオン性一次乳化剤および
b)全部または一部が場合により中和されていてもよい1種またはそれ以上の酸官能基を含む少なくとも1種の二次乳化剤から構成される乳化剤混合物と、
B)1種またはそれ以上のコサーファクタントと、
C)1種またはそれ以上の油と、
D)1種またはそれ以上の極性可溶化剤を0重量%以上〜10重量%未満(油相全体を基準とする)と、場合により、
E)慣用の助剤および添加剤と、
を含む油相を提供する。
【0067】
本発明によれば、均質で清澄な油相が好ましい。
【0068】
このような油相は、周知の従来技術の方法によって調製することができる。例えば、この油相は、使用される成分の稠度および濃度に応じて、成分を20℃以上〜75℃以下の範囲の温度で単純に混合することによって調製することができる。この油相は、本発明の水中油型エマルジョンの調製時においては、室温で使用することができる。
【0069】
さらに本発明は、本発明の水中油型エマルジョンを調製する方法であって、好ましくは、このような清澄な油相を、40℃未満の温度、特に室温で、それ自体周知の条件下に適切な水相を用いて、水相の総含有量が70重量%以上、好ましくは80重量%以上となるように調節する方法を提供する。
【0070】
本発明はさらに、清澄〜透明なマイクロエマルジョン様濃縮物であって、
A)乳化剤混合物であって、
a)少なくとも1種の非イオン性一次乳化剤および
b)全部または一部が場合により中和されていてもよい1種またはそれ以上の酸官能基を含む少なくとも1種の二次乳化剤から構成される乳化剤混合物と、
B)1種またはそれ以上のコサーファクタントと、
C)1種またはそれ以上の油と、場合により、
D)1種またはそれ以上の極性可溶化剤と、場合により、
E)慣用の助剤および添加剤と、
を含み、ただし、該マイクロエマルジョン様濃縮物の水相の総含有量が濃縮物全体を基準として10重量%以上〜70重量%未満である、マイクロエマルジョン様濃縮物を提供する。
【0071】
さらに本発明は、本発明の水中油型エマルジョンを調製するための方法であって、好ましくは、このようなマイクロエマルジョン様濃縮物を、40℃未満の温度、特に室温で、それ自体周知の条件下に適切な水相を用いて、水相の総含有量が70重量%以上、好ましくは80重量%以上になるように調節する方法を提供する。
【産業上の利用可能性】
【0072】
さらに本発明は、本発明のエマルジョンの、化粧品製剤、皮膚製剤、または医薬製剤を製造するための使用を提供する。ウェットワイプ、非常に具体的には、皮膚の手入れおよび清浄化用の化粧用ウェットワイプを製造するための含浸溶液としての使用を特に中心とする。
【0073】
さらに本発明は、該エマルジョンの、皮膚および皮膚付属器官の清浄化および手入れ用化粧品製剤における使用を提供する。特に、噴霧可能な製剤における使用、例えば、フェイスケアおよびボディケア用品、ベビーケア、日光防御製剤(sun protection preparation)、メーク落とし、ならびに制汗/防臭剤のための使用を中心とする。
【0074】
本発明の水中油型エマルジョンは、家庭用および工業用として、清掃および手入れ用ウェットワイプの製造に用いるのにも、かつ、そのまま噴霧可能なエマルジョン系形態として、表面の清掃および手入れ(例えば、繊維製品の手入れ、皮革の手入れ、金属または非金属表面の手入れおよび清掃、例えば、自動車または家具の清掃および手入れ)用として使用するのにも抜群に適している。
【0075】
したがって、本発明はさらに、家庭用および工業用の、繊維製品、皮革、プラスチック、金属および非金属表面等の清掃用組成物および手入れ用組成物を製造するための該エマルジョンの使用を提供する。ウェットワイプ製造用含浸溶液としての使用および噴霧可能な製剤中における使用を特に中心とする。
【0076】
本明細書に記載されている技術的教示により、既に十分な防腐が施された低粘度で微細な長期安定性を有するPEGフリーの水中油型エマルジョンを、室温下において簡単な方法で調製することが可能となる。
【実施例】
【0077】
以下に示す実施例は、これらの実施例に限定することなく本発明の主題を詳細に例示することを意図したものである。
【0078】
すべての実施例において、濃度を重量%で報告する。
【0079】
本発明の油相、本発明のマイクロエマルジョン様濃縮物、および本発明のエマルジョンの調製を、簡単な手動式混合装置を用いて実施した。対応する油相を調製した後、本発明のマイクロエマルジョン様濃縮物への転換および本発明の水中油型エマルジョンへの転換をいずれも30℃未満の温度で実施した。
【0080】
エマルジョンを調製する場合、乳化剤混合物の一部として用いられる酸部分エステル(b)は、最初から少なくとも一部が中和された形態で使用すると有利である。しかしながら、最初は中和されていない酸部分エステルを用いて作業を行い、調製工程のより後の時点で中和段階を実施することも可能である。
【0081】
本実施例においては、使用される酸部分エステルは中和形態で使用した。
【0082】
乳化剤の実施例1〜11:
実施例の製剤に使用される乳化剤系の説明(いずれの場合も、乳化剤系ごとの重量百分率の合計は全体で100となる)
乳化剤1:
乳化剤成分A:ラウリン酸ポリグリセリル−41) 97%
乳化剤成分B:クエン酸ジラウリル2) 3%
乳化剤2:
乳化剤成分A:ラウリン酸ポリグリセリル−41) 96%
乳化剤成分B:クエン酸ジラウリル2) 4%
乳化剤3:
乳化剤成分A:ラウリン酸ポリグリセリル−41) 95%
乳化剤成分B:クエン酸ジラウリル2) 5%
乳化剤4:
乳化剤成分A:ラウリン酸ポリグリセリル−41) 92%
乳化剤成分B:クエン酸ジラウリル2) 8%
乳化剤5:
乳化剤成分A:ラウリン酸ポリグリセリル−41) 98.5%
乳化剤成分B:スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム3) 1.5%
乳化剤6:
乳化剤成分A:ラウリン酸ポリグリセリル−34) 98.5%
乳化剤成分B:セチルリン酸カリウム5) 1.5%
乳化剤7:
乳化剤成分A:ラウリン酸ポリグリセリル−41) 77%
ラウリン酸ソルビタン6) 19%
乳化剤成分B:クエン酸ジラウリル2) 4%
乳化剤8:
乳化剤成分A:ラウリン酸ポリグリセリル−67) 64%
ラウリン酸ポリグリセリル−41) 29%
乳化剤成分B:クエン酸ジラウリル2) 7%
乳化剤9:
乳化剤成分A:ラウリン酸ポリグリセリル−67) 49%
ラウリン酸ソルビタン6) 46%
乳化剤成分B:クエン酸ジラウリル2) 5%
乳化剤10:
乳化剤成分A:ラウリン酸ポリグリセリル−108) 19%
ラウリン酸ソルビタン6) 77%
乳化剤成分B:クエン酸ジラウリル2) 4%
乳化剤11:
乳化剤成分A:ラウリン酸ポリグリセリル−41) 94%
乳化剤成分B:クエン酸ジラウリル2) 6%
1)テゴ(TEGO)(登録商標)カーレ(Care)PL4(デグサ(Degussa))
2)一部がKOHで中和された、ラウリルアルコールおよびクエン酸から形成されたジエステル
3)レオポール(REWOPOL)(登録商標)SB F 12 P(デグサ)
4)OH基のエステル化度が20%であるラウリン酸ポリグリセリル−3
5)アンフィゾル(Amphisol)(登録商標)K(ロシュ(Roche))
6)テゴ(登録商標)SML(デグサ)
7)OH基のエステル化度が13%であるラウリン酸ポリグリセリル−6
8)OH基のエステル化度が8%であるラウリン酸ポリグリセリル−10
【0083】
清澄な油相の実施例1〜10:
これらの実施例は、さらなる段階において室温で処理することによって本発明の微細な水中油型エマルジョン(エマルジョン実施例1〜10参照)を得ることができる、本発明の清澄な油相の組成(データは重量%で示す)を示すことを特に意図したものである。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
清澄〜透明なマイクロエマルジョン様濃縮物の実施例1〜10:
これらの実施例は、さらなるステップにおいて室温で処理することによって本発明の微細な水中油型エマルジョン(エマルジョン実施例11〜20参照)を得ることができる、本発明の清澄〜透明なマイクロエマルジョン様濃縮物の組成(データは重量%で示す)を示すことを特に意図したものである。
【0087】
【表3】

【0088】
【表4】

【0089】
エマルジョンの実施例1〜24:
エマルジョン1〜24は、実施例を用いて本発明のエマルジョンの構成を例示することを意図したものである(データは重量%で示す)。
【0090】
エマルジョン1〜10は、簡単な手動式撹拌装置を使用し、清澄な油相(実施例1〜10(上記参照))を室温で水中に注ぐことによって調製したものである。
【0091】
エマルジョン11〜20は、簡単な手動式撹拌装置を使用し、清澄〜透明なマイクロエマルジョン様濃縮物(実施例1〜10(上記参照)に対応)を室温で希釈することによって同様に調製したものである。
【0092】
エマルジョン実施例21〜24は、清澄な油相2および3をベースとし、混合しながら希釈を行うことによってこれらから調製したものである。一例として、水溶性の助剤および添加剤を水相に添加した。
【0093】
幾つかの実施例においては、本発明に従い、助剤および添加剤として香料を添加した。これらは、清澄な油相または清澄〜透明なマイクロエマルジョン様濃縮物中に速やかに適量を溶解させることができた。
【0094】
どの実施例のエマルジョンも低粘度であり、微細に分散されており、かつ長期安定性を有していた。
【0095】
【表5】

【0096】
【表6】

【0097】
【表7】

【0098】
【表8】

【0099】
【表9】

【0100】
動的光散乱による粒度測定:
本発明のエマルジョンの分散の度合いが極めて微細であることの一例として、動的光散乱を用いることにより個々のエマルジョン実施例の粒度に関する特性を決定した。
【0101】
動的光散乱は、溶液中に拡散している粒子の散乱光強度の変動の分析に基づいている。希薄溶液の場合は、それによって、溶液中の粒子の拡散係数を決定することができ、これを、ストークス・アインシュタインの式によって、粒子(本明細書においてはエマルジョン小滴)の流体力学的半径<r>の平均値に変換することができる。
【0102】
本実施例の場合は、上述のエマルジョン実施例を脱塩水で10倍に希釈し、マルバーン・インストゥルメンツ(Malvern Instruments)からの動的光散乱装置(HPPS3.1)を用いて25℃で特性を決定した。いずれの場合も測定時間を100秒間とし、いずれの場合も3回の測定の平均値を報告する。
【0103】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長期安定性を有する低粘度で微細な水中油型エマルジョンであって、
A)乳化剤混合物であって、
a)少なくとも1種の非イオン性一次乳化剤および
b)全部または一部が場合により中和されていてもよい1種またはそれ以上の酸官能基を含む少なくとも1種の二次乳化剤から構成される乳化剤混合物と、
B)1種またはそれ以上のコサーファクタントと、
C)1種またはそれ以上の油と、場合により、
D)1種またはそれ以上の極性可溶化剤と、場合により、
E)慣用の助剤および添加剤と、
を含み、ただし、前記エマルジョンの水相の含有量が、エマルジョン全体を基準として70重量%以上である、水中油型エマルジョン。
【請求項2】
水相の含有量が80重量%以上〜99重量%以下である、請求項1に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項3】
乳化剤混合物(A)、コサーファクタント(B)、および油(C)の重量比率が、(A)が10以上〜30以下、(B)が3以上〜20以下、(C)が50以上〜87以下で存在する、請求項1または2に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項4】
前記乳化剤混合物(A)が、非イオン性一次乳化剤成分(a)が75重量%以上〜99.5重量%以下および酸基を含む乳化剤成分(b)が0.5重量%以上〜25重量%以下から構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項5】
前記乳化剤混合物(A)中の前記非イオン性一次乳化剤成分(a)が、以下に示す群:
a1)好ましくは、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族カルボン酸を、グリセロール、ポリグリセロール、またはこれら2種の混合物でエステル化することにより調製された、グリセリルおよびポリグリセリル部分エステル、
a2)好ましくは、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族カルボン酸を、ソルビトールでエステル化することにより調製された、ソルビタンまたはソルビトール部分エステル、
a3)好ましくは、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族カルボン酸を、単−または多糖、および場合により、より単糖数の多い多糖でエステル化することにより調製された、炭水化物エステル、好ましくはグリコシドまたはショ糖エステル、
a4)好ましくは、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはさらなるヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族アルコールを、単−または多糖と反応させることにより調製された、(アルキルポリ)グリコシド、または
これらの混合物
から選択される1種またはそれ以上の乳化剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項6】
前記非イオン性一次乳化剤成分(a)が、ポリグリセリル部分エステルを25重量%以上〜100重量%以下と、炭素原子10個以上〜18個以下の鎖長の脂肪酸基を疎水性部分として含むソルビタンエステルを0重量%以上〜75重量%以下との混合物から構成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項7】
前記非イオン性一次乳化剤成分(a)が、ラウリン酸ポリグリセリルまたはラウリン酸ポリグリセリルとラウリン酸ソルビタンとの混合物から構成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項8】
1種またはそれ以上の酸官能基を含む前記乳化剤成分(b)が、
b1)それぞれ、その酸基の一部が、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族または芳香族アルコールでエステル化されている、場合によりヒドロキシルを含むジ−またはポリカルボン酸エステル、硫酸化、スルホン酸化、またはリン酸化されたカルボン酸エステル、マロン酸エステル、リンゴ酸エステル、コハク酸エステル、スルホコハク酸エステル、クエン酸エステル、酒石酸エステル、
b2)それぞれ、その酸基の一部が、ポリオール、ポリオール部分エステル(好ましくは、グリセロール、ポリグリセロール、および/またはソルビトールと直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族または芳香族カルボン酸とから形成されたもの)でエステル化されている、場合によりヒドロキシルを含むジ−またはポリカルボン酸エステル、硫酸化またはスルホン酸化またはリン酸化されたカルボン酸エステル、マロン酸エステル、リンゴ酸エステル、コハク酸エステル、スルホコハク酸エステル、クエン酸エステル、酒石酸エステル、
b3)直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子2個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族または芳香族モノ、ジ−、またはポリカルボン酸で一部がエステル化されている、ポリオール、好ましくは、グリセロール、ポリグリセロール、およびソルビトールであって、ただし、分子内に遊離の中和可能な酸基が存在するもの、
b4)そのヒドロキシル基の少なくとも一部が、直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族カルボン酸と反応されている、ヒドロキシ官能基を有するモノ、ジ−、またはポリカルボン酸、
b5)直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族または芳香族基を含む、サルコシン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のN−アシルアミノ酸、
b6)直鎖または分岐の場合により不飽和および/またはヒドロキシ官能基を有する炭素原子6個以上〜22個以下の鎖長の脂肪族または芳香族基を含む、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、またはリン酸塩、または
これらの混合物
のうちの少なくとも1つの群から選択される1種またはそれ以上の乳化剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項9】
使用される前記二次乳化剤成分b)が、その疎水性基がそれぞれ10個以上〜18個以下の炭素原子を含む、一部中和または中和されたクエン酸部分エステルを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項10】
n−ペンタノール、n−ヘキサノール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、および1,2−オクタンジオールの群から選択される少なくとも1種の脂肪族コサーファクタント(B)が使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項11】
少なくとも1種の芳香族コサーファクタント(B)が使用される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項12】
使用される前記芳香族コサーファクタント(B)が、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、アルキルパラベンエステル単独であるかまたは互いのおよび/もしくは慣用の防腐剤との混合物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項13】
使用される前記油(C)が、化粧用エステルまたはエーテル油である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項14】
使用される前記油が、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸エチルヘキシル、ヤシ油脂肪酸デシル、炭酸ジエチルヘキシル、炭酸ジオクチル、エチルヘキサン酸セテアリル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソセチル、イソノナン酸セテアリル、ラウリン酸ヘキシル、イソノナン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸イソプロピル、安息香酸C12〜15アルキル、ジカプリリルエーテル、鉱油、イソヘキサデカン、シクロペンタシロキサン、オクチルドデカノール、またはこれらの化合物の混合物の群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項15】
油相であって、
A)乳化剤混合物であって、
a)少なくとも1種の非イオン性一次乳化剤および
b)全部または一部が場合により中和されていてもよい1種またはそれ以上の酸官能基を含む少なくとも1種の二次乳化剤から構成される乳化剤混合物と、
B)1種またはそれ以上のコサーファクタントと、
C)1種またはそれ以上の油と、
D)1種またはそれ以上の極性可溶化剤を、油相全体を基準として0重量%以上〜10重量%未満と、場合により、
E)慣用の助剤および添加剤と、
を含む、油相。
【請求項16】
均質で清澄な、請求項15に記載の油相。
【請求項17】
水中油型エマルジョンを調製するための方法であって、請求項15または16に記載の油相を、それ自体周知の条件下で適切な水相を用いて、水相の総含有量が70重量%以上となるように調節することを含む、方法。
【請求項18】
清澄〜透明なマイクロエマルジョン様濃縮物であって、
A)乳化剤混合物であって、
a)少なくとも1種の非イオン性一次乳化剤および
b)全部または一部が場合により中和されていてもよい1種またはそれ以上の酸官能基を含む少なくとも1種の二次乳化剤から構成される乳化剤混合物と、
B)1種またはそれ以上のコサーファクタントと、
C)1種またはそれ以上の油と、場合により、
D)1種またはそれ以上の極性可溶化剤と、場合により、
E)慣用の助剤および添加剤と、
を含み、ただし、前記マイクロエマルジョン様濃縮物の水相の総含有量が濃縮物全体を基準として10重量%以上〜70重量%未満である、マイクロエマルジョン様濃縮物。
【請求項19】
水中油型エマルジョンを調製するための方法であって、請求項18に記載の清澄〜透明なマイクロエマルジョン様濃縮物を、それ自体周知の条件下で適切な水相を用いて、水相の総含有量が70重量%以上となるように調節することを含む、方法。
【請求項20】
化粧品製剤、皮膚用剤、または医薬製剤を製造するための、請求項1〜14のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョンの使用。
【請求項21】
フェイスおよびボディケア、ベビーケア、日光防御、メーク落とし、制汗/防臭用の、含浸ワイプを製造するためまたは噴霧可能な製剤中における、請求項20に記載の水中油型エマルジョンの使用。
【請求項22】
家庭用および工業用の清掃用組成物および手入れ用組成物を製造するための、請求項1〜14のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョンの使用。
【請求項23】
繊維製品、皮革、プラスチック、金属および非金属表面の清掃および手入れ用の、含浸ワイプを製造するためまたは噴霧可能な製剤中における、請求項22に記載の水中油型エマルジョンの使用。

【公開番号】特開2007−203288(P2007−203288A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14083(P2007−14083)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(500442021)ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (28)
【Fターム(参考)】