説明

低濃度の界面活性剤を含有する食器洗浄システム

【課題】すすぎ工程において界面活性剤を必要としない、界面活性剤を含有する洗浄組成物を使用した自動、業務用食器洗浄機中での食器洗浄方法を提供する。
【解決手段】界面活性剤を、洗剤の重量に基づいて15重量%を超えない量で洗浄工程において使用する。界面活性剤の量は、食器上に界面活性剤の層を提供するに十分であり、いかなるリンス剤を添加することもなく水性すすぎ工程において被覆作用を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用(institutional:施設用)食器洗浄洗剤又は産業用食器洗浄洗剤並びに洗浄サイクル及びすすぎサイクルで作動する自動食器洗浄機におけるその使用に関する。本発明の洗剤は、洗浄段階において土壌除去及びすすぎ段階においてすすぎ又はリンス水被覆(sheeting)を促進する。当該洗剤は、洗浄段階において低濃度の界面活性剤を含み、そしてすすぎ段階において界面活性剤の投入を不要とする。
【背景技術】
【0002】
現在の業務的食器洗浄プロセスは、少なくとも2つの工程を含む;メイン洗浄である工程1、ここで、ノズルを介して基材(substrates)上にメイン洗浄溶液を汲み上げることによって、基材が洗浄される。このメイン洗浄溶液は、アルカリ性剤、ビルダー、漂白剤、酵素、消泡又は洗浄のための界面活性剤、ポリマー、腐食防止剤等の成分を含み得る、メイン洗浄洗剤を溶解することによって得られる。工程2は、メイン洗浄後のすすぎ工程である。これは、リンス助剤溶液を含有する温水又は熱水を基材上に流すことによって行われ、これに、さらに乾燥プロセスを改善するためにホットエアーストリーム(hot air stream:温風流)が続き得る。リンス助剤は、典型的には、しばしばヒドロトロープ及び時としてはポリマー、シリコーン、酸等の他の添加剤と組み合わせて、水中に10〜30%の量で存在する非イオン性物質からなる。
【0003】
これらの業務的食器洗浄プロセスのために、いわゆるシングルタンク、ダンプ又はマルチタンク機等の多数の機械が使用される。これらの業務的食器洗浄プロセスにおける典型的な条件は、以下である:
A.50〜70℃のシングルタンク及びダンプ機におけるメイン洗浄の一定温度。
B.マルチタンク機中の洗浄溶液の温度は、第1(洗浄前)タンクにおいて約40℃そして最終洗浄タンクにおいて約60℃である。
C.シングルタンク及びマルチタンク機について80〜90℃並びにダンプ機について約60℃の高温のすすぎ溶液。
D.短い総洗浄サイクルは、約40秒から5分まで変動する。すすぎサイクルは、2分以下であり、そして大抵の場合2〜10秒しかかからない。
E.洗浄水は多くの洗浄サイクルに再使用される(ダンプ機を除く)。
F.洗浄溶液の量は、約5から、10リットルまで(ダンプ機について)、40リットルまで(シングルタンク再使用機について)、400リットルまで(マルチタンク機について)変動する。
G.いわゆる高温シングルタンク機及びマルチタンク機についての最終すすぎ溶液へのメイン洗浄溶液の持ち越し(carry-over)がない。異なるポンプ、チューブ及びノズルが、洗浄溶液及びすすぎ溶液について使用され、そしてすすぎ溶液は、最終すすぎの間、洗浄タンクを介して再循環されない。
H.基材は、最終すすぎ後に乾燥していなければならず、これは、程度の差があるが連続的なバッチプロセスであるためであり、ここで、基材は、洗浄されそして乾燥された基材の次のバッチが機械から出てくる前に、片付けられる。これらの機械は、多くの基材が短期間で洗浄される施設(レストレン、病院、酒場(cantines)等)で使用される。
【0004】
これらの業務的皿洗浄プロセスについての機械及びプロセスの条件は、家庭用タイプの皿洗浄機についての条件とは顕著に相違している。業務的食器洗浄とは相違する家庭的皿洗浄の最も重要な特徴は、以下である:
A.家庭的皿洗浄プロセスは、約30分〜1.5時間かかる。これらのプロセスにおけるすすぎサイクルは、約5分から40分間まで変動する。
B.洗浄溶液は、家庭的皿洗浄プロセスにおいて再使用されない。
C.洗浄溶液の一部が、すすぎ溶液中へ持ち越される(例えば、洗浄及びすすぎのために使用される同一のポンプ、チューブ及びノズルを介して;そしてこれは、すすぎ溶液は、すすぎの間、洗浄タンクを通って再循環されるためである)。
D.家庭的洗浄プロセスにおける温度は、完全に相違しており;通常、機械を充填するために冷水が使用される。この水は、洗浄プロセスの間に、約60℃まで加熱される。
E.洗浄溶液の量は、約3〜10リットルである。
F.洗浄プロセス及びすすぎプロセス後に、基材をさらに乾燥するために十分な時間が残されている。これは、閉鎖された家庭用皿洗浄機中における温かい条件よって促進される。
【0005】
家庭的皿洗浄における重要な最近の傾向は、最終すすぎ溶液へ別個のリンス製品が添加される必要性なしに、家庭用皿洗浄機において使用され得る皿洗浄製品の開発である。この開発の重要な要素は、簡易性である。
【0006】
これらの製品(しばしば、錠剤)は、乾燥プロセスを促進する成分を含有する。主な目的は、基材の改善された視覚的外観を得ることである。これらのいわゆる2−イン−1又は3−イン−1製品中の最も重要な乾燥成分は、ポリマー及び非イオン性物質(non-ionics)である。
【0007】
家庭用皿洗浄機におけるこのいわゆるビルトインリンスコンセプト(built-in rinse concept)によって許容可能な乾燥特性を得るための重大なパラメータ/条件は、以下である:
A.すすぎ溶液への、乾燥成分を含有する、メイン洗浄溶液の一部の持ち越し。この持ち越しは、典型的に、洗浄及びすすぎに使用される同一のポンプ、チューブ及びノズルを介して生じ、そしてこれは、すすぎの間に皿食器を含む洗浄タンクを通ってすすぎ溶液が再循環されるためである。
B.比較的長い洗浄時間及びすすぎ時間。
C.機械表面(壁)及び皿食器の比較的広い領域;ここに、乾燥成分(ポリマー及び非イオン性物質)が、機械部品及び皿食器上へ染み付いている残留水中に残留する。最終すすぎ溶液中のすすぎ成分の一部はこの残留水に由来する。メイン洗浄からすすぎ溶液へのすすぎ成分の持ち越しのこのプロセスは、洗浄溶液の一部がメイン洗浄サイクルの終了時点で泡として存在する場合、さらに促進される。
【0008】
これらの条件にもかかわらず、ビルトインリンス成分を含むこれらの錠剤による家庭用皿洗浄機中における乾燥結果は、しばしば、別個のリンス助剤を介して当該リンス中へリンス成分を添加することによる乾燥よりも劣っている。
【0009】
業務的食器洗浄プロセスは、非常に短い洗浄サイクル及びすすぎサイクル、即ち、洗浄溶液と基材との非常に短い接触時間及びすすぎ溶液と基材との非常に短い接触時間を特徴とする。さらに、業務用高温シングルタンク機及びマルチタンク機において、当該機械のポンプ、チューブ及びノズルを介しての洗浄溶液の持ち越されず、そして機械壁を介しての吸着及びその後の脱着によって持ち越しされない(これは、すすぎ溶液は、洗浄タンク中を再循環されないためである)。したがって、ビルトインリンス成分のコンセプトは、業務的食器洗浄プロセスにおいて機能するとは予想されない。さらに、短縮された乾燥時間は、家庭的皿洗浄(ここで、重要視されるのは視覚的外観である)についてよりも業務的食器洗浄プロセスについて遥かにより重要である。
【0010】
したがって、業務用食器洗浄機における全ての適切な食器洗浄プロセスは、すすぎ成分が最終すすぎ溶液中に存在する必要性を要求し、これは、このすすぎ溶液中に別個のリンス助剤を投入することによって導入される。
【0011】
ビルトインリンス成分を用いての業務的食器洗浄機用のメイン洗浄洗剤製品を開発する1つの試みが、米国特許第RE38,262号に記載されている。本特許において、高濃度の非イオン性物質(20〜40%)が、すすぎ水へリンス剤を添加しない場合に視覚的な乾燥利益を得るために必要とされている。この量のリンス剤は、適切に皿を洗浄しつつ、十分な濃度のリンス剤残留物を当該機械の内部構造物(ラック及びウェア(ware)、スプレーアーム、壁等を含む)及び層上に残し、飲用水すすぎサイクルにおいてすすぎ又は被覆を促進するのに十分なアルカリ性供給源及び他の成分を洗剤組成物が含有することを確実にする。特に、米国特許第RE38,262号において、アルカリ性洗剤材料が約25重量%を超える非イオン性被覆剤を含有する場合、水性リンス中の非イオン性被覆剤の濃度は、一般的に、水性リンス100万部当たり約20〜40重量部以上となることが見出された。
【0012】
米国特許第RE38,262号の実施例に記載のプロセスは、家庭的皿洗浄プロセスにおけるビルトインリンス効果を導く持ち越し効果と高い類似性を有する。重大なのは、非イオン性物質が、すすぎ溶液中に溶解され、そしてしたがって改善された視覚的乾燥効果を導くことである。持ち越しの濃度は、食器洗浄機のタイプによって決定され、そしてこの理由のために、いわゆるダンプ低温機がこのプロセスには好ましい。
【0013】
これらの高濃度の非イオン性物質は、流動性及び安定性等の物性を犠牲にすることなしにメイン洗浄洗剤中に組み込むことは非常に困難であり、そして高コストを導く。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
界面活性剤を含有する洗浄組成物を使用した食器洗浄方法が提供され、洗浄工程において、自動、業務用食器洗浄機中で、食器と水性洗浄組成物とを接触させることを含む。該水性洗浄組成物は、大部分の水性希釈剤と当該水性希釈剤100万部当たり約200〜5000重量部の食器洗浄洗剤とを含む。該洗剤は、15重量%を超えない量で存在する界面活性剤を含む。この洗浄された食器を、すすぎ工程において、飲用水性リンスと接触させる。該水性リンスは、意図的に添加されたリンス剤を実質的に含まない。リンス剤が飲用水性リンスに意図的に添加されてないことが好ましい。該食器洗浄洗剤は、該食器上に界面活性剤の層を提供するのに十分な吸着性界面活性剤を含有しており、したがって該飲用水性すすぎ工程において被覆作用を奏する。
【0015】
本発明方法においては、上記洗浄工程は10分を超えず、より好ましくは5分を超えない。さらに、上記水性すすぎ工程は2分を超えない。
【0016】
食器洗浄洗剤における使用に好適である界面活性剤は、業務的食器洗浄プロセスにおいて低発泡性であるべきであり、且つ、固体表面上に十分に吸着すべきであり、これは全体的に短縮された乾燥時間を導く。
【0017】
好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤及び高分子界面活性剤からなる群から選択される。
【0018】
好ましい非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド基と本来は脂肪族又はアルキル芳香族であり得る有機疎水性材料との縮合によって得られる化合物であり、好ましくは、EO、PO、BO及びPEO部分を有するC2〜C18アルコールアルコキシレート又はポリアルキレンオキシドブロックコポリマーからなる群より選択される化合物である。
【0019】
好ましい高分子界面活性剤は、ホモポリマー性又はコポリマー性のポリカルボン酸又はポリカルボキシレートである。好適なポリマー性ポリカルボン酸化合物は、(メタ)アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸及び/又はメタクリル酸とマレインとのコポリマー並びに/若しくはマレイン酸とオレフィンとのコポリマーである。
【0020】
一態様においては、界面活性剤は、洗浄工程の間に食器上に吸着され、その後、該食器の表面に接触するすすぎ水の接触角を低下させ、すすぎ水膜の厚みを低下させ、したがって被覆作用を生じさせる。これは、淡水ですすがれる際に、基材をより迅速に乾燥させる。
【0021】
さらに別の態様においては、洗浄工程における50〜60℃とすすぎ工程における約80〜90℃との間の温度で作動されるシングルタンク食器洗浄機が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明方法において、例えばシングルタンク又はマルチタンク機であり得る、自動、業務用食器洗浄機中において食器が洗浄される。下記の材料が使用され得る。
【0023】
界面活性剤
本発明方法における使用に好適である界面活性剤は、業務的食器洗浄プロセスにおいて低発泡性であるべきであり、且つ、固体表面上に十分に吸着すべきであり、これは全体的に改善された乾燥挙動(短縮された乾燥時間)を導く。
【0024】
本発明方法についての界面活性剤の適合性を決定するために、基材の乾燥挙動を、メイン洗浄工程とすすぎ工程とを含む業務的食器洗浄プロセスを使用して、理想的な条件下で比較し、ここで、界面活性剤を存在させるか又は存在させないで、洗剤組成物をメイン洗浄工程において使用し、続けて、淡水、即ち、リンス助剤が添加されていない水(例えば、水道水)を用いてすすぎ工程を行う。
【0025】
本発明方法における使用に好適である界面活性剤は、0.9以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、さらにより好ましくは0.6以下、さらにより好ましくは0.5以下、さらにより好ましくは0.4以下、最も好ましくは0.3以下である、
(界面活性剤を含む洗剤を使用しての乾燥時間)/(界面活性剤を含まない洗剤を使用しての乾燥時間)の比に対応する改善された乾燥挙動を提供し、そして、該洗剤中で試験される界面活性剤の存在又は非存在以外は理想的な条件下で測定される。この比の下限値は、典型的には約0.1であり得る。
【0026】
3つの異なるタイプの基材について乾燥挙動を測定した。これらは、すすぎ成分を使用しない場合は業務的食器洗浄プロセスにおいて乾燥するのが典型的に困難であるクーポンである。これらの基材は、
− 2つのガラスクーポン(148×79×4mm)
− 2つのプラスチック(「Nytralon 6E」(Quadrant Engineering Plastic Products);naturel)クーポン(97×97×3mm)
− 2つのステンレススチール(304)クーポン(150×35×1mm)
である。
【0027】
乾燥挙動は、ガラス及びスチールについては乾燥時間(秒)として、そしてプラスチックについては5分間の乾燥後の液滴の残留量として測定される。典型的に、機械を開いた直後に測定を開始する。
【0028】
試験される界面活性剤の濃度は、典型的に、洗剤組成物中4〜8重量%である。
【0029】
界面活性剤を含む場合と含まない場合との乾燥挙動の適切な差異を提供する試験条件を選択するように注意すべきである。例えば、一般的なリンス助剤がすすぎ水へ添加されることを伴うプロセスと、界面活性剤を含まない洗剤を使用し、淡水でのすすぎ工程を伴うプロセスとを比較した場合に、乾燥時間の適切な差異を提供する条件が好適である。このようなプロセスについての典型的な乾燥時間は、それぞれ、約2分及び約4分であり得る。好適な条件は、例えば、実施例1、実施例2又は実施例8のものである。一般的なリンス助剤は、すすぎ水中に約100ppmで投入される非イオン性界面活性剤、例えばリンス助剤A(実施例1を参照のこと)であり得る。
【0030】
この比較に使用され得る洗剤組成物は、典型的に、メタケイ酸塩、リン酸塩及び次亜塩素酸塩、例えば、0.4g/lのトリポリリン酸ナトリウム(STP;LV 7 ex−Rhodia)+0.285g/lのメタケイ酸ナトリウム無水物(SMS無水物)+0.285g/lのメタケイ酸ナトリウム五水和物(SMS五水和物)+0.03g/lのジクロロイソシアヌル酸Na塩二水和物(NaDCCA)を含有する。
【0031】
非イオン性界面活性剤
好ましい界面活性剤は、1つ又は複数の帯電していない親水性置換基を有する表面活性化合物として広範囲に定義され得る非イオン性界面活性剤である。主なクラスの非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド基と本来は脂肪族又はアルキル芳香族であり得る有機疎水性材料との縮合によって生成される化合物である。任意の特定の疎水性基と縮合される親水性ラジカル又はポリオキシアルキレンラジカルの長さは、親水性エレメントと疎水性エレメントとの所望の程度のバランスを有する水溶性化合物が得られるように容易に調節され得る。種々の好適な非イオン性界面活性剤タイプの例示的であって限定的ではない例を下記に示す。
【0032】
EO、PO、BO及びPEO部分を有するC2〜C18アルコールアルコキシレート又はポリアルキレンオキシドブロックコポリマー。
【0033】
直鎖又は分岐鎖及び不飽和又は飽和に関わらず、脂肪族カルボン酸のポリオキシアルケン縮合物、特に、脂肪鎖中に約8〜約18の炭素原子を含み、且つ、約2〜約50のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位が組み込まれる、エトキシル化及び/又はプロポキシ化された脂肪酸。好適なカルボン酸としては、平均約12の炭素原子を含む「ココナッツ」脂肪酸(ココナッツオイル由来)、平均約18の炭素原子を含む「獣脂」脂肪酸(獣脂クラスの脂肪由来)、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、及びラウリン酸が挙げられる。
【0034】
直鎖又は分岐鎖及び不飽和又は飽和に関わらず、脂肪族アルコールのポリオキシアルケン縮合物、特に、約6〜約24の炭素原子を含み、且つ、約2〜約50のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位が組み込まれる、エトキシル化及び/又はプロポキシ化された脂肪族アルコール。好適なアルコールとしては、「ココナッツ」脂肪族アルコール、「獣脂」脂肪族アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール及びオレイルアルコールが挙げられる。
【0035】
エトキシル化脂肪族アルコールは、単独で又はアニオン性界面活性剤と混合して使用され得る。一般式:
11O(CHCHO)
中のアルキル基R11の平均鎖長
【0036】
11は、6から20の炭素原子である。特に、R11基は、9〜18の炭素原子の範囲の鎖長を有し得る。
【0037】
nの平均値は、少なくとも2であるべきである。エチレンオキシド残基の数は、平均値辺りの統計的分布であり得る。しかし、既知のように、分布は、エトキシル化の後に分別によって変更される生産プロセッサー(manufacturing processor)によって影響され得る。
【0038】
例としては、9〜18の炭素原子を有するR11基を有しそしてnが2〜8である、エトキシル化脂肪族アルコールである。
【0039】
非イオン性界面活性剤の他のタイプの例は、BASFの米国特許第4,340,766号に記載されるような、保護された末端基を有する直鎖脂肪族アルコールアルコキシレートである。
【0040】
このカテゴリー内に含まれる別の非イオン性界面活性剤は、式:
12−−(CHCHO)
(式中、R12は、C〜C24の直鎖又は分岐鎖アルキル炭化水素ラジカルであり、そしてqは、2〜50の数であり、より好ましくは、R12は、C〜C18の直鎖アルキル混合物であり、そしてqは、2〜15の数である)の化合物である。
【0041】
約6〜12の炭素原子を含み、且つ、約2〜約25モルのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドが組み込まれる、直鎖又は分岐鎖及び不飽和又は飽和にかかわらない、アルキルフェノールのポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン縮合物。ソルビタンモノ−、ジ−、及びトリ−脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、ここで、脂肪酸成分は、約12〜約24の炭素原子を有する。ポリオキシエチレン誘導体タイプの例は、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタールトリステアレート、ソルビタンモノオレエート、及びソルビタントリオレエートである。ポリオキシエチレン鎖は、約4〜約30のエチレンオキシド単位、好ましくは約10〜約20を含み得る。ソルビタンエステル誘導体は、それらがモノ−、ジ−又はトリ−酸エステルであるかどうかによって、1、2又は3のポリオキシエチレン鎖を含む。
【0042】
式:
HO(CHCHO)(CH(CH)CHO)(CHCHO)
又は
HO(CH(CH)CHO)(CHCHO)(CH(CH)CHO)
(式中、a、b、c、d、e及びfは、上記ポリマーのそれぞれのポリエチレンオキシドブロック及びポリプロピレンオキシドブロックを反映する1〜350の整数である)を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー。上記ブロックポリマーのポリオキシエチレン成分は、上記ブロックポリマーの少なくとも約10%を構成する。当該材料は、例えば、約1,000〜約15,000、より特には約1,500〜約6,000の分子量を有する。これらの材料は当該分野において既知である。それらは、商標「Pluronic」及び「Pluronic.R」(BASF社製)で入手可能である。
【0043】
高分子界面活性剤
好ましい高分子界面活性剤は、ホモポリマー性又はコポリマー性のポリカルボン酸又はポリカルボキシレート、例えば、800〜150,000の範囲の分子量を有するものである。好適なポリマー性ポリカルボン酸化合物は、(メタ)アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸及び/又はメタクリル酸とスチレン又はマレイン酸無水物等のビニルモノマーとのコポリマー並びにマレイン酸とオレフィンとのコポリマーである。
【0044】
好適なアクリル酸ポリマーは、BASFによって商標Sokalan PA又はAlcoによってAlcosperseで販売されているものである。(メタ)アクリル酸と他のビニルモノマーとの好適なコポリマーは、商標SokalanでBASFにより販売されているか、又はAlcosperse、Narlex及びVersaflexの商標でAlcoにより販売されているような、アクリル酸/マレイン酸コポリマーである。
【0045】
特に好ましいのは、式:
【0046】
【化1】

【0047】
(式中、Lは、水素、アンモニウム又はアルカリ金属の群から選択され;そして、R、R、R及びRは、各々独立して、水素又は1〜約8の炭素原子、好ましくは1〜約5の炭素原子を含有するアルキル基(直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和)の群から選択される)を有するマレイン酸/オレフィンコポリマーである。xのyに対するモノマー比は、約1:5〜約5:1、好ましくは約1:3〜約3:1、そして最も好ましくは1.5:1〜約1:1.5である。当該コポリマーの平均分子量は、典型的には、約20,000未満、より典型的には約4,000〜約12,000である。
【0048】
好ましいマレイン酸−オレフィンコポリマーは、約12,000の平均分子量及び約1:1のモノマー比(x:y)を有するマレイン酸−ジ−イソブチレンコポリマーである。このようなコポリマーは、BASF社から商標「Sokalan CP−9」で入手可能である。Lは水素又はナトリウムであり、R及びRは水素であり、Rはメチルであり、そしてRはネオペンチルである。別の好ましい製品は、マレイン酸−トリメチルイソブチレンエチレンコポリマーである。Lは水素又はナトリウムであり、R及びRは各々メチルであり、Rは水素であり、そしてRは第3級ブチルである。
【0049】
洗浄溶液中においてカルシウム(Ca2+)、マグネシウム(Mg2+)イオン若しくはアルミニウム(Al3+)等の2+又は3+に正に帯電した金属イオンと相互作用する場合、上記コポリマーが特に好ましいことが見出される。これらのイオン(特に、カルシウム及びマグネシウム)は水道水中の硬水ミネラルとして存在し、又は、例えば、これらのコポリマーと共に洗浄溶液中に添加され得る。これらのコポリマーとこれらの2+/3+金属イオンとの組み合わせが、本明細書中で記載される業務的食器洗浄についてのビルトインリンスのコンセプトにおいて特に有効であることが見出される。
【0050】
別の好ましい高分子界面活性剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)等のピロリドンに基づく。
【0051】
別の好ましい高分子界面活性剤は、ポリヒドロキシアミドである。
【0052】
他の好ましい高分子界面活性剤は、ポリペプチドの群において見られる。特に好ましいのはカゼインである。
【0053】
別の好ましい高分子界面活性剤は、疎水的に修飾されたイヌリン等の、疎水的に修飾された多糖類の群において見られる。
【0054】
特に好ましいのは、以下の界面活性剤である:
・脂肪族アルコールアルコキシレート、例えば、Adekanol B2020(Adeka)、Dehypon LS36(Cognis)、Plurafac LF 221(C13−15、EO/BO(95%))、Plurafac LF 300、Plurafac LF 303(EO/PO)、Plurafac LF 1300、Degressal SD 20(ポリプロポキシレート)(全てBASF製)、Surfonic LF 17(C12〜18エトキシル化プロポキシル化アルコール、Huntsman)、Triton EF 24(Dow);
・アルコキシポリエチルベンジルエーテル、例えば、Triton DF 12又はDF18(DOW);
・アクリル酸ホモポリマー、例えば、Alcosperse 602 TG(アクリル酸ホモポリマー、Mw 6000、Alco)、Sokalan PA40(ポリアクリル酸、Na塩、Mw 15000)、Sokalan PA15(ポリアクリル酸、ナトリウム塩、Mw 1200)(BASF);
・コポリマー、例えば、Sokalan CP9(マレイン酸/オレフィン−コポリマー、Na塩、Mw 12000)、Sokalan CP5(マレイン酸/アクリル酸コポリマー、Na塩、Mw 70000)、Sokalan PM 70(修飾ポリカルボキシレート、Na塩、Mw 20000(BASF)、Versaflex SI(アクリル酸コポリマー)、Alcosperse 175(マレイン酸/アクリル酸コポリマー、Mw 75000)、Narlex LD 36V(アクリル酸コポリマー、Mw 5000)、Narlex LD 54(アクリル酸コポリマー、Mw 5000)(Alco);
・ポリマー性ピロリドン、例えば、Surfadone LP−100(N−オクチル−2−ピロリドン、ISP)又はポリビニルピロリドン、例えば、PVP K−30、PVP K−60、PVP K−90、PVP K−120(ISP);
・ポリヒドロキシアミド、例えば、Anticor A 40(ADD APT Chemicals BV);
・ポリペプチド、例えば、カゼイン;
・疎水的に修飾された多糖類、例えば、疎水的に修飾されたイヌリン(Inutec SP 1、Orafti BBC)。
【0055】
これらの界面活性剤は、洗剤組成物中において単独で又は組み合わせて使用され得る。
【0056】
好ましい組み合わせは、例えば、Sokalan CP9及びDegressal SD 20;Plurafac LP 1300及びSokalan CP9;Plurafac LF 300及びDegressal SD 20及びSokalan CP 5;Plurafac LF 300及びDegressal SD 20及びSokalan PA 40;Plurafac LF 300及びDegressal SD 20及びVersaflex SI;Plurafac LF 300及びDegressal SD 20及びAlcosperse 175;Plurafac LF 300及びDegressal SD 20及びNarlex LD 54である。
【0057】
界面活性剤の好ましい濃度範囲は、洗剤組成物の約0.5〜約15重量%、より好ましくは約0.5〜約10重量%、最も好ましくは約3〜約7重量%である。
【0058】
洗浄剤組成物
本明細書中で上記に記載の必須の成分に加えて、本明細書に開示される組成物は、好ましくはアルカリ性供給源、ビルダー(即ち、キレート剤/封鎖剤のクラスを含む洗浄ビルダー)、漂白系、抗スケール剤(anti-scalants)、腐食防止剤、消泡剤、及び酵素から選択される、従来の成分を有する洗剤組成物として配合され得る。好適な苛性剤(caustic agents)としては、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、及びアルカリ金属ケイ酸塩、例えば、メタケイ酸ナトリウムが挙げられる。特に有効なのは、約1.0〜約3.3、好ましくは約1.8〜約2.2のSiO:NaOのモル比を有するケイ酸ナトリウムであり、通常、二ケイ酸ナトリウムをいう。
【0059】
ビルダー材料
好適なビルダー材料(ホスフェート及び非ホスフェートビルダー材料)は、当該分野において既知であり、そして多くのタイプの有機化合物及び無機化合物が文献に記載されている。それらは、通常、全ての種類の洗浄組成物中において使用され、アルカリ性及び緩衝能を提供し、凝集を防止し、イオン強度を維持し、土壌から金属を抽出し、及び/又は洗浄溶液からアルカリ土類金属イオンを除去する。
【0060】
本発明において有用なビルダー材料は、種々の既知のホスフェート及び非ホスフェートビルダー材料の任意の1つ又は混合物であり得る。好適な非ホスフェートビルダー材料の例は、アルカリ金属クエン酸塩、炭酸塩及び重炭酸塩;並びにニトリロ三酢酸(NTA)の塩;メチルグリシン二酢酸(MGDA);ポリカルボキシレート、例えば、ポリマレエート、ポリアセテート、ポリヒドロキシアクリレート、ポリアクリレート/ポリマレエートコポリマー、及びポリアクリレート/ポリメタクリラートコポリマー、並びにゼオライト;層状シリカ、並びにそれらの混合物である。それらは、1〜70、そして好ましくは5〜60、より好ましくは10〜60の範囲で存在し得る(重量%)。
【0061】
特に好ましいビルダーは、リン酸塩、NTA、EDTA、MGDA、クエン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ポリアクリレート/ポリマレエート、無水マレイン酸/(メタ)アクリル酸コポリマー、例えば、BASF製のSokalan CP5である。
【0062】
抗スケール剤
皿及び機械部品上のスケール形成(scale formation)は、顕著な問題であり得る。それは多数の供給源から生じ得るが、主として、アルカリ土類金属炭酸塩、リン酸塩あるいはケイ酸塩のいずれかの析出に起因する。炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムは、最も顕著な問題である。この問題を軽減するために、スケール形成を最小化する成分が組成物に組み込まれ得る。これらとしては、1,000〜400,000の分子量のポリアクリレート(これらの例は、Rohm & Haas、BASF及びAlco Corp.によって供給される)、及び他の部分と組み合わされたアクリル酸に基づくポリマーが挙げられる。これらとしては、以下と組み合わされたアクリル酸が挙げられる:マレイン酸、例えば、BASFによって供給されるSokalan CP5及びCP7又はRohm & Haasによって供給されるAcusol 479N;メタクリル酸、例えば、Rhone-Poulencによって供給されるColloid 226/35;ホスホネート、例えば、Buckman Laboratoriesによって供給されるCasi 773;マレイン酸及び酢酸ビニル、例えば、Hulsによって供給されるポリマー;アクリルアミド;スルホフェノールメタリルエーテル、例えば、Alcoによって供給されるAquatreat AR 540;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、例えば、Rohm & Haasによって供給されるAcumer 3100又はGoodrichによって供給されるK−775;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びスチレンスルホン酸ナトリウム、例えば、Goodrichによって供給されるK−798;メタクリル酸メチル、メタリルスルホン酸ナトリウム及びスルホフェノールメタリルエーテル、例えば、Alcoによって供給されるAlcosperse 240;ポリマレエート、例えば、FMCによって供給されるBelclene 200;ポリメタクリレート、例えば、Rohm & Haas製のTamol 850;ポリアスパルテート;エチレンジアミンジスクシネート;オルガノポリホスホン酸及びそれらの塩、例えば、アミノトリ(メチレンホスホン酸)及びエタン1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸のナトリウム塩。抗スケール剤は、存在する場合、組成物中に、約0.05重量%〜約10重量%、好ましくは0.1重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約5重量%含まれる。
【0063】
漂白剤
本発明に従うシステムにおける使用に好適な漂白剤は、ハロゲン系漂白剤又は酸素系漂白剤であり得る。2種以上の漂白剤が使用されてもよい。
【0064】
ハロゲン漂白剤として、アルカリ金属次亜塩素酸塩が使用され得る。他の好適なハロゲン漂白剤は、ジクロロ及びトリクロロ並びにジブロモ及びトリブロモシアヌル酸のアルカリ金属塩である。好適な酸素系漂白剤は、過酸素漂白剤、例えば、過ホウ酸ナトリウム(四水和物又は一水和物)、炭酸ナトリウム、又は過酸化水素である。
【0065】
次亜塩素酸塩、ジクロロシアヌル酸及び過ホウ酸ナトリウム又は過炭酸ナトリウムの量は、それぞれ、15重量%及び25重量%を超えず、例えば、それぞれ、1〜10重量%及び4〜25重量%である。
【0066】
酵素
デンプン分解酵素及び/又はタンパク質分解酵素は、通常、酵素成分として使用される。本明細書中で使用可能なデンプン分解酵素は、細菌又は真菌から誘導されるものであり得る。
【0067】
少量の種々の他の成分が、上記化学的洗浄システム中に存在し得る。これらは、溶媒、及びヒドロトロープ、例えば、エタノール、イソプロパノール及びキシレンスルホネート、流動制御剤、酵素安定化剤;抗再堆積剤(anti-redeposition agents);腐食防止剤;及び他の機能性添加剤を含む。
【0068】
本発明の成分は、独立して、固体(必要に応じて、使用前に溶解される)、水性液体又は非水性液体(必要に応じて、使用前に希釈される)の形態で配合され得る。
【0069】
食器洗浄洗剤は、液体又は粉末の形態であり得る。粉末は、顆粒粉末であり得る。粉末形態の場合、良好な流動特性を提供し、そして粉末の塊形成を防止するために、流動助剤が存在し得る。洗剤は、好ましくは、錠剤又は固形ブロックの形態で存在し得る。また、好ましくは、洗剤は、小袋中における粉末と錠剤との組み合わせであり、数回の洗浄用の単位用量を与え得る。
【0070】
典型的な業務的食器洗浄プロセスは、連続的又は非連続的であり、そしてシングルタンク又はマルチタンク/コンベヤータイプの機械のいずれかにおいて行われる。コンベヤーシステムにおいて、洗浄前領域、洗浄領域、すすぎ後領域及び乾燥領域が、一般的に、仕切りを使用して設置されている。汚れた皿食器が逆流方向で移送されながら、洗浄水が、すすぎ領域中へ導入され、そして洗浄前領域へ縦列様式で戻される。
【0071】
本発明の化学的洗浄システムは、従来の自動業務的食器洗浄プロセスのいずれにおいても使用され得る。
【0072】
本発明は、下記の実施例からより十分に理解される。しかし、当業者は、議論される特定の方法及び結果は本発明の単なる例示であり、そして本発明の限定が意図されるものではないことが容易に理解される。
【0073】
業務的食器洗浄プロセスにおける基材の乾燥に対するメイン洗浄溶液へ添加される比較的低い濃度の種々のタイプの界面活性剤の効果を研究する試みによって、驚くべき効果が示された。これらの洗浄プロセスにおける基材の適切な乾燥が、淡水でのすすぎによってさえ、したがってリンス助剤を投入することによってすすぎ溶液へすすぎ成分を添加することなく達成され得ることが見出された。これらの適切な乾燥結果は、メイン洗浄溶液中における或る特定のタイプの非イオン性物質及び/又は高分子界面活性剤の比較的低い濃度(20〜50ppm)で既に得られる。さらにより驚くべきことは、これらの適切な乾燥効果が、洗浄水、機械壁、スプレーアーム、食器及びラックからすすぎ溶液へのすすぎ成分の持ち越し及び溶解ができない標準的なシングルタンク高温食器洗浄機中においてでさえ得られることである(実施例1を参照のこと)。
【0074】
これらの結果は驚くべきことであり、これは、上述のように、ビルトインリンスコンセプトによって家庭用皿洗浄機における乾燥を導く条件が業務用食器洗浄機に存在しないためである。明らかに、業務的食器洗浄プロセスのメイン洗浄中における低濃度の或る特定の非イオン性物質及び/又は高分子界面活性剤の存在によって得られるこれらの乾燥効果は、家庭的皿洗浄プロセスにおいて得られる乾燥効果又は米国特許第RE38,262号に記載されるようなすすぎ溶液への高濃度の非イオン性物質の持ち越しによって得られる乾燥効果とは異なる機構によって引き起こされる。
【0075】
これらの現象の機構を研究する試みは、界面活性剤が、洗浄工程の間に食器上に吸着し、その後すすぎ水によって接触されると接触角の減少を伴い、すすぎ水膜の厚さが低下され、淡水ですすがれる際に基材のより迅速な乾燥をもたらし得ることを示す。さらなる試験は、メイン洗浄の間の界面活性剤の吸着及びその後の淡水でのすすぎによって基材を乾燥するというこのプロセスは、業務用食器洗浄機における洗浄プロセスの場合にように、短いすすぎサイクルを伴う洗浄プロセスに特に好適であることを示す。
【0076】
これらの比較的低い濃度の界面活性剤(固形のメイン洗浄洗剤中3〜7%の範囲が好ましい)は、流動及び安定性等の物性を犠牲にすることなく、錠剤、ブロック、粉末又は顆粒等のメイン洗浄洗剤中にむしろ容易に組み込まれ得る。
【0077】
洗浄洗剤中に組み込まれた界面活性剤は、液体形態であり得るが、固体形態であってもよい。必要に応じて、洗浄洗剤中の界面活性剤の安定性は、食器洗浄洗剤由来の他の成分(苛性剤、次亜塩素酸塩)との化学反応を防止するために、いくつかの方法で、改善され得る。いくつかの選択肢は、
A.他の食器洗浄成分との混合前に多孔性材料中に界面活性剤を吸着させること;例えば、トリポリリン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、二ケイ酸ナトリウム、ベントナイト、又は他のタイプのクレイ中に吸着させること、
B.顆粒化プロセスにおいて顆粒状態の界面活性剤の別の材料への組み込み(「共顆粒化」);例えば、トリポリリン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソーダ灰、NTAの顆粒化の間の噴霧乾燥、
C.他の食器洗浄成分と混合する前に、界面活性剤又は吸着されたか若しくは共顆粒化された界面活性剤を別の材料によって(例えば、スターチ、ポリマー又は炭酸ナトリウムによって)封入すること
である。
【0078】
ビルトインリンスのこのコンセプトで、より簡単な洗浄プロセスが、業務的食器洗浄について得られ、これは、別個のリンス助剤を使用する必要性を排除する。容易さの増大に加えて、このコンセプトは、別個のリンス助剤の原料、包装、加工処理、輸送及び貯蔵についての明確なコスト削減を提供するだけでなく、ポンプがすすぎ溶液へリンス助剤を投入する必要性を排除する。
【0079】
さらに以下が見出された:
A.業務的食器洗浄プロセスのメイン洗浄溶液中の低濃度の非イオン性物質の存在は、基材のより迅速な乾燥を導くだけでなく、基材のより良好な視覚的外観を導き、最終すすぎが淡水のみからなる本プロセスによって、より少ない残留物(スポット又はストリーク/フィルム)が形成される(実施例3を参照のこと)。
B.改善された相乗的な乾燥効果が、メイン洗浄プロセスにおける非イオン性物質の或る特定の組み合わせを有することによって得られる(実施例2を参照のこと)。
C.種々の基材(例えば、セラミック、ガラス、金属及びプラスチック材料に基づく)の適切な乾燥が、或る特定の高分子界面活性剤によって個々で及びメイン洗浄溶液中において或る特定の非イオン性物質と或る特定のポリマーとを組み合わせることによって、得ることができる(実施例1G及び実施例8を参照のこと)。いくつかの高分子界面活性剤(例えば、マレイン酸/オレフィンコポリマー、例えばSokalan CP9)はまた、非イオン性界面活性剤の存在なしで種々の基材に対して適切な乾燥を提供する。洗浄溶液中においてマレイン酸/オレフィンコポリマーが多価カチオンと組み合わされる場合、乾燥特性は最適である(実施例9を参照のこと)。消泡性タイプの非イオン性界面活性剤が、泡形成を防止するために存在し得る。
D.メイン洗浄において基材のこれらの非イオン性物質との接触によって基材の乾燥が達成される、このプロセスについて最適なタイプの非イオン性物質は、最終すすぎにおいて投入されるような、別個のリンス助剤で使用される場合に最良の乾燥特性を提供するタイプの非イオン性物質とは異なる。
E.メイン洗浄溶液中に存在する場合、適切な乾燥を得るために必要とされる、或る特定の非イオン性物質の濃度は、最終すすぎ水へ典型的に添加される非イオン性物質の濃度よりも顕著に低い(実施例1を参照のこと)。これは、全体的なプロセスについてのコスト削減を導く。
F.メイン洗浄における或る特定の非イオン性物質及び/又はポリマーの存在によって、これらの改善される乾燥特性は、液体のメイン洗浄洗剤(NTA及び苛性剤等の他の成分を含有する)又は固体のメイン洗浄製品(STP、苛性剤及び塩素等の他の成分を含有する)との組み合わせで得られる(実施例1、実施例2及び実施例8を参照のこと)。
G.改善された乾燥特性はまた、或る特定のエンドキャップ(末端封鎖)された非イオン性物質で得ることができる。これらのエンドキャップされた非イオン性物質は、苛性剤及び塩素等の成分と組み合わせてより良好な安定性を提供する。
H.メイン洗浄中における或る特定の非イオン性物質の存在による改善された乾燥特性はまた、いわゆる低温(又はダンプ)業務的食器洗浄プロセスについて得られる。
I.業務的食器洗浄プロセスのメイン洗浄溶液中の或る特定の非イオン性物質及び/又はポリマーの存在による乾燥効果は、実験室において制御条件下で得られるが、マルチタンクの洗浄浴における本物の土壌を含む実際的な条件下においても確認される。
【0080】
メイン食器洗浄における特定の成分によるすすぎのこのようなプロセスの他の利点は、以下である:
J.標準的な食器洗浄プロセスのようなすすぎ成分の存在なしで、最終工程において淡水ですすぐことによって、よりきれいな基材が得られる。最終すすぎにおいてリンス助剤は投入されず、したがってリンス助剤界面活性剤は皿上に残留せず、このことによって、食物と接触する基材を使用する場合にこれらの残留するリンス助剤界面活性剤が有し得る任意の安全性リスクを排除する。
K.業務的食器洗浄プロセスについてのビルトインリンスのこのコンセプトにおいて最適な乾燥特性を提供するタイプの非イオン性物質及びポリマーは、いくつかの洗浄、消泡、ビルダー、スケール防止又は腐食防止特性を有し、したがって全体的な洗浄プロセスを改善する。
【0081】
メイン洗浄溶液を介して適切な乾燥を送達するために組み込まれる最適な界面活性剤を含むこれらのメイン洗浄洗剤中において使用されるタイプの成分は、別個のリンス助剤が適切な乾燥のために適用される、標準的な業務的食器洗浄プロセスにおいても使用され得る。しかし、このコンセプトにおいて新しいのは、ビルトインリンス特性を有するこれらの製品が、最終すすぎへすすぎ成分を添加することなく、異なる業務的洗浄プロセスにおいて使用されるということである。
【実施例1】
【0082】
この実施例において、種々の基材の乾燥挙動を業務用シングルタンク食器洗浄機において試験する。標準な業務的洗浄プロセスが、アルカリ性のリン酸塩及び次亜塩素酸塩を含有するメイン洗浄プロセスを伴って、この試験について適用される。第1に(試験1A)、標準的なすすぎプロセスでのこのプロセスの乾燥挙動を測定する。この標準的なすすぎプロセスにおいて、リンス助剤が、別個のすすぎにおいて投入される。
【0083】
次いで(試験1B)、すすぎ成分が存在しない(別個のリンスを介して投入されず、且つ、メイン洗浄プロセスへ添加されない)洗浄プロセスについて、乾燥挙動を測定する。
【0084】
次いで(試験1C〜試験1G)、すすぎ成分が別個のすすぎ(rinsed)で投入されない(したがって、淡水でのみすすぐ)が、種々のタイプの界面活性剤(又は混合物)が他のメイン洗浄成分と共にメイン洗浄へ添加される、種々の洗浄プロセスについて、乾燥挙動を測定する。これらの界面活性剤は、
− Adekanol B2020(試験1C)
− Plurafac LF 303(試験1D)
− Plurafac LF 221及びPlurafac LF 303の混合物(試験1E)
− Surfonic LF 17(試験1F)
− Surfonic LF 17及びSokalan PM 70の混合物(試験1G)
である。
【0085】
食器洗浄機は、Hobartシングルタンクフード機であり、これは、実験室試験について自動化され、フードが自動的に開閉し、そして食器を有するラックが機械の内外へ自動的に輸送される。
仕様 シングルタンクフード機(実施例1について)
タイプ:Hobart AUX70E洗浄浴量:50L
すすぎ量:1L(2秒)
洗浄時間:30秒
すすぎ時間:2秒
洗浄温度:50〜55℃
すすぎ温度:80℃
【0086】
プロセス
洗浄浴が軟水で充填され加熱されると、洗浄プログラムが開始される。皿食器上に内部洗浄ポンプ及び洗浄アームによって機械中に洗浄水を循環させる。洗浄時間が終了すると、洗浄ポンプが停止し、そして洗浄水は基材の下のリザーバに留まる。次いで、4Lの洗浄浴から、排水管へポンプによって自動的に排水される。次いで、すすぎプログラムが開始され、(蛇口へ直接接続された)ボイラーからの温かい淡水を、皿食器上にすすぎアームによってすすぐ。すすぎ時間が終了すると、機械が開かれる。
【0087】
(皿洗浄機の消費タイプとは対照的に)淡水のみが基材上にすすがれることを注意すべきである。メイン洗浄プロセス由来の成分は、すすぎ水中に溶解され得ない。洗浄ポンプ並びに洗浄アーム及びノズルは、すすぎのために使用されず、そしてすすぎ水は、すすぎの間、洗浄タンク中に循環されない。
【0088】
作動方法
この試験についてのパラメータを設定し(洗浄サイクル:50℃で30秒、すすぎサイクル:淡水を用いて80℃で2秒)、そして機械が冷たい軟水で充填され水温が50℃になると、メイン洗浄粉末(及び試験される界面活性剤)が、ラック上のプレートを介して添加される。上記製品を完全に溶解することを確実にするために、1回の洗浄サイクルが行われる。メイン洗浄粉末は、0.6g/lのトリポリリン酸ナトリウム(STP;LV 7 ex−Rhodia)+0.37g/lの水酸化ナトリウム(NaOH)+0.03g/lのジクロロイソシアヌル酸Na塩二水和物(NaDCCA)である。
【0089】
乾燥時間を、6つの異なるタイプの基材について測定する:
− 2つの白色の装飾されていないセラミックプレート
− 2つのプラスチックトレイ
− 2つのガラスボウル
− 2つの青色のプラスチックコップ
− 2つの白色の装飾されていないセラミックコップ
− 刃物類:2つのステンレススチールスプーン及び2つのステンレスチールナイフ。
【0090】
上記の基材を有するラックをHobart機中に配置した後、洗浄サイクル(40秒)及びすすぎサイクル(淡水を用いて2秒)を実行し、そしてフードを開くことで食器洗浄機が起動するとすぐに、タイマーが開始する。当該ラックがスタート位置にあると、ドアが開き、プラスチック及びセラミックのコップの上部が乾燥され、そして周囲温度での洗浄済み基材の乾燥時間(秒)が測定される。
【0091】
乾燥時間の評価について、ラック、プレート及びトレイの角、並びにボウル及びコップの内部と接触している領域は考慮されない。
【0092】
洗浄サイクル及び乾燥時間の測定を、同一の基材を用いてそして任意の化学薬品を添加することなしに、2回以上繰り返した。
【0093】
備考
基材を、新しい一連の試験ごとに取り換える(上記食器上へ場合によっては吸着された成分によって、乾燥結果に影響を与えないため)。乾燥時間が300秒より長い場合、それは300秒と記録される。
【0094】
結果
下記の表において、これらの試験の各々について3回の洗浄サイクル(cycli)の平均乾燥時間(秒)が与えられる。基材は、セラミックプレート(1)、セラミックコップ(2)、ガラスボウル(3)、プラスチックトレイ(4)、刃物類(5)及び淡青色のコップ(6)である。
【0095】
【表1】

【0096】
試験1A 標準的皿洗浄プロセスについての参照試験
この参照試験において、リンス助剤が投入されるすすぎ溶液ですすぐことによって食器の乾燥が得られる、代表的で標準的な業務的皿洗浄プロセスについて、乾燥効果が測定される。
【0097】
これらの洗浄成分は、最終すすぎ水へ、ボイラーの直前の別個のすすぎポンプを介して投入される。リンス助剤がボイラーを介して均一に分布されることを確実にするために、3回の洗浄サイクルが、試験が開始する前に行われる。
【0098】
この実施例において、リンス助剤Aを、業務用食器洗浄についての代表的なリンス助剤として使用する。この中性リンス助剤は、約30%の非イオン性混合物を含有する。このリンス助剤を0.4g/Lの濃度で投入することによって、すすぎ溶液中の非イオン性物質の濃度は約120ppmになる。
【0099】
【表2】

【0100】
試験1B 特別に添加された乾燥成分の存在なしでの参照試験
この試験において、類似の洗浄プロセスについて、しかし今回はすすぎ溶液中にすすぎ成分を投入することなく、したがって淡水ですすいだだけで、乾燥時間を測定する。
【0101】
これらの結果は、比較的長い乾燥時間が得られることを示し、これは、現在の標準である、最終すすぎにおけるすすぎ成分の効果を確認する。
【0102】
試験1C、1D、1E、1F、1G メイン洗浄プロセスにおいて界面活性剤を添加し、淡水のみですすぐ試験
この一連の試験において、試験1Bで記載したのと類似の洗浄プロセスについて、したがって淡水ですすぎ、しかし今回は50ppmの界面活性剤を他のメイン洗浄成分と共にメイン洗浄プロセスに添加し、乾燥時間を測定する。これらの濃度は、洗剤が約5重量%の界面活性剤を含有することに関連している。
【0103】
試験1C、1D、1E及び1Fのこれらの結果は、メイン洗浄における比較的低い濃度の或る特定の非イオン性物質(これらの実施例において、Adekanol B2020、Plurafac LF 303、Pluarafac LF 303とLF 221との混合物又はSurfonic LF 17等)の存在が、すすぎ成分を用いない試験(試験1B)と比較した場合に、種々の基材に対する乾燥時間を短縮させことを示している。これらの乾燥時間は、以下の基材で特に短縮される:セラミックコップ、プラスチックトレイ、刃物類及び淡青色のコップ。すすぎ成分を用いない場合、これらの基材は、乾燥が非常に遅い(試験1B)。乾燥するのが最も困難で非常に関係深いこれらの基材の乾燥時間は、低濃度の上記非イオン性物質の存在によって顕著に短縮される。これらの最適化されていないシステムでさえ、最終すすぎにおいて別個にすすぎ成分が投入される標準的な食器洗浄システム(試験1A)についての乾燥時間に匹敵する乾燥時間が得られる。
【0104】
これらの結果はまた、メイン洗浄溶液中における或る特定の非イオン性物質の存在によって基材を乾燥し、続いて淡水ですすぐことについて、標準的な食器洗浄システム(ここで、この実施例において、120ppmの非イオン性物質)を介しての乾燥についてよりも低い濃度の非イオン性物質(50ppm)が必要とされ、使用されることを示している。
【0105】
試験1F及び試験1Gの結果は、この非イオン性物質とポリマーSokalan PM 70とを組み合わせることによって、Surfonic LF 17の乾燥能が、セラミック及びガラスタイプの基材について特に改善され得ることを示す。これらの結果は、種々の基材(例えば、セラミック、ガラス、金属及びプラスチック材料に基づく)の適切な乾燥のために、メイン洗浄溶液中の或る特定の非イオン性物質と或る特定のポリマーとの組み合わせが使用され得ることを示す。
【実施例2】
【0106】
これらの一連の試験に使用される食器洗浄機は、Electrolux Wash Tech 60シングルタンク機である。仕様 シングルタンクフード機(実施例2について):
タイプ:Electrolux Wash Tech 60
洗浄浴量:40L
すすぎ量:4L
洗浄時間:60秒
すすぎ時間:8秒
洗浄温度:55〜65℃
すすぎ温度:80〜90℃
【0107】
プロセス
洗浄浴が軟水で充填され加熱されると、洗浄プログラムが開始される。皿食器上に内部洗浄ポンプ及び洗浄アームによって機械中に洗浄水を循環させる。洗浄時間が終了すると、洗浄ポンプが停止する。次いで、すすぎプログラムが開始され、(蛇口へ直接接続された)ボイラーからの温かい淡水を、皿食器上にすすぎアームによってすすぐ。すすぎ水は、一部が排水管へオーバーフロー管(overflow pipe:溢水管)によって直接流れ出て、残りの部分が洗浄浴に流れる。すすぎ時間が終了すると、機械が開かれる。
【0108】
この実施形態においても、淡水のみが基材上にすすがれることを注意すべきである。メイン洗浄プロセス由来の成分は、すすぎ水中に溶解され得ない。洗浄ポンプ並びに洗浄アーム及びノズルは、すすぎのために使用されず、そしてすすぎ水は、すすぎの間、洗浄タンク中に循環されない。
【0109】
作動方法
A.この試験についてのパラメータを設定し(洗浄サイクル:60℃で60秒、すすぎサイクル:85℃で8秒)、そして機械が冷たい軟水で充填されると、液体のメイン洗浄製品(2g/lのLX)と混合されて試験される界面活性剤を手動で添加する。
【0110】
【表3】

【0111】
B.4つの異なるタイプの基材について乾燥時間を測定する:
− 2つの青色のセラミックプレート
− 2つの青色のプラスチックプレート
− 2つの長い飲用グラス
− 2つの青色のプラスチックコップ
【0112】
C.上記のきれいな基材を有するラックをElectrolux機中に配置した後、洗浄サイクルを実行し、そしてすすぎサイクルが終了するとすぐにタイマーを開始させる。ラックを機械から取り出し、コップ及びグラスの上部が乾燥されて、乾燥時間(秒)を周囲温度で洗浄済み基材について測定する。洗浄サイクルを繰り返し、そして同一の基材を用いて、且つ任意の化学薬品を添加しないで乾燥時間測定(2回目)を行い、平均乾燥時間を算出する。
【0113】
【表4】

【0114】
これらの結果は、一連の試験1A(別の機械を用い、そして異なる条件下)からの結果と一致して、メイン洗浄中の比較的低い濃度の或る特定の非イオン性物質(これらの実施例において、Plurafac LF 303及びPluarafac LF 221等)の存在が、種々の基材に対する乾燥時間を非常に短縮させることを示す。これらの濃度は、洗剤が約1重量%の界面活性剤を含有することに関連する。
【0115】
さらに、これらの結果は、LF 303とLF 221との混合物が最良の乾燥時間を導くことを示し、これは、2つの別個の乾燥時間の平均値よりも良好で、そして各別個のシステムの乾燥時間よりも良好である。これらの結果は、メイン洗浄プロセスにおける非イオン性物質の或る特定の組み合わせを有することによって、改善された相乗的な乾燥効果が得られることを示している。
【実施例3】
【0116】
実施例2に記載されるのと同一の機械及び試験条件を使用し、しかし今回は、乾燥プロセス後の基材の視覚的外観に注意を払う。基材を、下記の局面において、1(非常に粗悪である)から5(非常に良好である)までの範囲のスコアで視覚的に評価する:
A.フィルミング(Filming):ここで、乾燥パターン及び基材上の視覚的な層の形成を評価する;1=基材上に視覚的な層を伴う不均等な乾燥;5=均等な乾燥及び基材上に視覚的な層が存在しない。
B.スポッティング(Spotting):液滴及び縞の形成を乾燥後に評価する;1=多くの液滴及び縞;5=液滴及び縞を伴わずに完全に乾燥された。
【0117】
視覚的外観のこの評価によって、ラック、プレートの角、並びにグラス及びコップの内部と接触する領域は考慮されない。洗浄サイクルを繰り返し、そして同一の基材を用い、化学薬品を添加しないで2回目の視覚的外観評価を行い、そして平均値を算出する。
【0118】
これらの一連の試験において、以下の間での比較を行う:
A.すすぎ成分が存在せず、淡水ですすがれる洗浄システム。
B.リンス助剤が投入されるすすぎ溶液ですすぐことによって食器の乾燥が得られる、代表的で標準的な業務的皿洗浄プロセスについての参照試験。これらのすすぎ成分は、最終すすぎ水へ、ボイラーの直前の別個のすすぎポンプを介して投入される。リンス助剤がボイラーを介して均一に分布されることを確実にするために、3回の洗浄サイクルが、試験が開始する前に行われる。この実施例において、リンス助剤Aを、業務用食器洗浄についての代表的なリンス助剤として使用する。この中性リンス助剤は、30%の非イオン性混合物を含有する。このリンス助剤を0.2g/Lの濃度で投入することによって、すすぎ溶液中の非イオン性物質の濃度は60ppmになる。
C.2つの非イオン性物質(Plurafac LF 303及びLF 221)の混合物20ppmがメイン洗浄プロセスへ添加され、淡水ですすがれる洗浄システム。
【0119】
【表5】

【0120】
【表6】

【0121】
これらの一連の試験の結果は、一般的に、すすぎ溶液中に存在するすすぎ成分ですすぐこと(標準的な業務用食器洗浄プロセス)が、基材の改善された視覚的外観を導くことを示す。より少ないフィルミング及びスポッテッィングが得られる。
【0122】
この視覚的外観は、或る特定の非イオン性物質がメイン洗浄プロセス中に存在し、続いて淡水ですすがれるプロセスについて、より一層良好である。
【実施例4】
【0123】
実施例1に記載されるのと同一の機械及び大部分の試験条件を使用した。しかし、この実施例において、淡水でのすすぎ時間は、0〜25秒まで変動させた(そしてしたがって、すすぎ淡水(fresh rinse water)の量を0〜12.5Lまで変動させた)。業務的洗浄プロセスのメイン洗浄中に存在する界面活性剤による、乾燥特性に対するこのパラメータの効果を試験するために、これを行う。メイン洗浄プロセスの間に基材上へ吸着される界面活性剤が、淡水でより長くすすぐ場合、より多く脱着することが予測される。したがって、より長いすすぎ時間がより長い乾燥時間を導くと仮定される。界面活性剤として、Triton EF 24(Dow製)を使用する。この実施例において、メイン洗浄及びすすぎ淡水の温度は、両方とも60℃とした。基材の温度変化によって乾燥特性が影響されることを防止するために、これらの温度を一定に維持した。
【0124】
下記の表において、これらの試験の各々についての2回の洗浄サイクル(cycli)の平均乾燥時間(秒)が与えられる。基材は、セラミックプレート(1)、セラミックコップ(2)、ガラスボウル(3)、プラスチックトレイ(4)、刃物類(5)及び淡青色のコップ(6)である。
【0125】
【表7】

【0126】
試験4A:すすぎ成分及びすすぎサイクルを伴わない試験
この試験において、すすぎ成分を投入せず淡水でのすすぎも伴わない(すすぎサイクルのパラメータ:0秒)洗浄プロセスについて、乾燥時間を測定する。
【0127】
この参照試験は乾燥時間が長いことを示しており、これは、別個のリンス助剤が使用されず、且つ、特定の界面活性剤がメイン洗浄プロセスにおいて存在しないためである。
【0128】
試験4B 界面活性剤をメイン洗浄プロセスに添加し、すすぎサイクルを伴わない試験
この試験において、試験4Aで記載したのと類似の洗浄プロセスについて、したがってすすぎは行わず、しかし今回は、50ppmのTriton EF24界面活性剤を他のメイン洗浄成分と共に添加し、乾燥時間を測定する。
【0129】
試験4Bのこれらの結果は、メイン洗浄中における比較的低い濃度の非イオン性物質のTriton EF24の存在が、すすぎサイクルがない場合でさえ、大抵の基材についての乾燥時間を顕著に短縮させることを示す。
【0130】
試験4C、4D、4E、4F 界面活性剤がメイン洗浄プロセスに存在し、種々のすすぎ時間を伴って淡水のみですすぎを行う試験
これらの一連の試験において、試験4Bで記載されるのと類似の洗浄プロセスについて、したがって界面活性剤として50ppmのTriton EF24を他のメイン洗浄成分と共に添加し、しかし今回は、或る特定の期間のすすぎサイクルを適用し、乾燥時間を測定する。すすぎを淡水のみで行う。これらの濃度は、洗剤が約5重量%の界面活性剤を含有することに関連する。
【0131】
試験4C、4D、4E及び4Fの結果は、これらの条件下で、メイン洗浄中おける50ppmのTriton EF 24の存在によって引き起こされる乾燥挙動は、淡水でのすすぎサイクルが15秒以下でない限り(7.5L以下の量の淡水を基材にすすぐことに関連)、依然として良好であることを示す。しかし、淡水でのすすぎサイクルが25秒(12.5Lの淡水に関連)である場合、乾燥はより長くなる。これは、12.5L以上の淡水が、25秒以上の間、基材上にすすがれる場合、メイン洗浄の間に吸着された界面活性剤が、基材から脱着されることを示す。基材からの界面活性剤の脱着は、すすぎ時間だけでなく、界面活性剤の種類、水量及び流動特性等の因子によっても決定されることを留意すべきである。
【0132】
これらの結果は、メイン洗浄の間の界面活性剤Triton EF 24の吸着及び淡水でのその後のすすぎによって基材が乾燥されるこの洗浄プロセスは、業務用食器洗浄機における洗浄プロセスの場合のように、短いすすぎサイクルを伴う洗浄プロセスにのみ好適であることを示す。
【実施例5】
【0133】
実施例1に記載されるのと同一の機械及び試験条件を使用する。パラメータは以下である(洗浄サイクル:50℃で30秒、すすぎサイクル:淡水(1L)を用いて80℃で2秒)。この実施例において、いくつかの特定のタイプの界面活性剤を、メイン洗浄へ添加した場合、それらの乾燥特性について試験した。
【0134】
第1に(試験5A)、標準的なすすぎプロセスでのこのプロセスの乾燥挙動を測定する。この標準的なすすぎプロセスにおいて、リンス助剤が、別個のすすぎにおいて投入される。次いで(試験5B)、すすぎ成分が存在しない(別個のリンスを介して投入されず、且つ、メイン洗浄プロセスへ添加されない)洗浄プロセスについて、乾燥挙動を測定する。
【0135】
次いで(試験5C〜試験5G)、すすぎ成分が別個のすすぎ(rinsed)で投入されない(したがって、淡水でのみすすぐ)が、種々のタイプの界面活性剤が他のメイン洗浄成分と共にメイン洗浄へ添加される、種々の洗浄プロセスについて、乾燥挙動を測定する。これらの界面活性剤は、
− Anticor A40(試験5C)
− Ferrocor Flash(試験5D)
− PVP K−90(試験5E)
− Surfadone LP 100(試験5F)
− Triton DF 12(試験5G)
である。
【0136】
下記の表において、これらの試験の各々について3回の洗浄サイクル(cycli)の平均乾燥時間(秒)が与えられる。基材は、セラミックプレート(1)、セラミックコップ(2)、ガラスボウル(3)、プラスチックトレイ(4)及び刃物類(5)である。
【0137】
【表8】

【0138】
試験5A 標準的な食器洗浄プロセスについての参照試験
この参照試験において、リンス助剤が投入されるすすぎ溶液ですすぐことによって食器の乾燥が得られる、代表的で標準的な業務的皿洗浄プロセスについて、乾燥効果が測定される。これらの洗浄成分は、最終すすぎ水へ、ボイラーの直前の別個のすすぎポンプを介して投入される。リンス助剤がボイラーを介して均一に分布されることを確実にするために、3回の洗浄サイクルが、試験が開始する前に行われる。
【0139】
この実施例において、リンス助剤Aを、業務用食器洗浄についての代表的なリンス助剤として使用する。この中性リンス助剤は、約30%の非イオン性混合物を含有する。このリンス助剤を0.4g/Lの濃度で投入することによって、すすぎ溶液中の非イオン性物質の濃度は約120ppmになる。
【0140】
試験5B 特別に添加された乾燥成分の存在なしでの参照試験
この試験において、類似の洗浄プロセスについて、しかし今回はすすぎ溶液中にすすぎ成分を投入することなく、したがって淡水ですすいだだけで、乾燥時間を測定する。これらの結果は、比較的長い乾燥時間が得られることを再び示し、これは、現在の標準である、最終すすぎにおけるすすぎ成分の効果を確認する。
【0141】
試験5C〜試験5G メイン洗浄プロセスにおいて界面活性剤を添加し、淡水のみですすぐ試験
この一連の試験において、試験5Bで記載したのと類似の洗浄プロセスについて、したがって淡水ですすぎ、しかし今回は50ppmの界面活性剤を他のメイン洗浄成分と共にメイン洗浄プロセスに添加し、乾燥時間を測定する。
【0142】
試験5Bの乾燥結果(界面活性剤が存在せず、そして淡水ですすぐ)と試験5C〜試験5Gの結果とを比較した場合、メイン洗浄中の低濃度の下記の界面活性剤の存在によって、乾燥時間が顕著に短縮されると結論付けることができる:Anticor A40、Ferrocor Flash、PVP K−90、Surfadone LP 100及びTriton DF 12。これらの乾燥時間は、別個のすすぎ中に遥かに高い濃度の標準的なすすぎ成分を投入することによって引き起こされる乾燥と類似するか又はほとんど同じぐらい良好である(試験5A)。
【実施例6】
【0143】
粉末又は顆粒化製品への液体材料の添加は、この製品の流動及び投入特性(flow and dosing properties)を低下させ得る。この実施例において、流動及び投入特性に対する負の効果を有することなく、この製品への流動助剤の添加によって、どのように5%の非イオン性物質が顆粒化製品中に組み込まれ得るかが実証される。
【0144】
4つの試験製品、製剤A、B、C及びDを、与えられる量及び順番で下記の表に記載される原料を混合することによって製造した。これらの製剤から、DFR(動的流量(dynamic flow rate))値を測定することによって、流動特性を測定した。
【0145】
DFR(ml/秒)測定の原理は、既知の体積の粉末がオリフィス(orifice)を通って流動され、そして流動時間が記録されるというものである。測定のために、長さ50cm及び内径3.5cmのガラス管が使用される。さらに、直径2.25cmの黄銅オリフィス及び当該管の下部をブロックするための金属スライドが使用される。
【0146】
直径2.25cmのオリフィスを上記管へ取り付ける。オリフィスを上記金属スライドで閉鎖し、そして試験する粉末で当該管を充填する。オリフィスを開き、そして粉末が上部の目盛線を通過する際に、ストップウォッチを起動させる。粉末が下部の目盛線を通過する際に、ストップウォッチを止め、そして経過時間を書き留める。これを2回以上繰り返す。2つの目盛線間の体積及び時間から平均流量を算出し、そしてml/秒で記録する。4つの試験製品について測定されたDFR値を下記の表に与える。
【0147】
【表9】


【0148】
製剤Aは、業務用食器洗浄機用の標準的な顆粒化食器洗浄製品を示す。125ml/秒のDFR値を有するこの試験製品は、適切な流動特性を有し、塊にならず、そして機械へ自動的に投入され得る。一般的に、100ml/秒を超えるDFR値は、自由流動性(free flowing)粉末に関連する。
【0149】
5%のトリポリリン酸ナトリウムを5%の非イオン性物質(Triton EF−24)に置き換えている、製剤Bは、これらの条件下で全く自由流動性を有さない。DFR値は0である。
【0150】
2%の流動助剤を添加することによって、試験製剤C及び試験製剤Dについて行われるように、約130〜135ml/秒のDFR値の適切な流動特性が再び得られる。これらの試験製品において使用される流動助剤は、Aerosil 200及びNeosyl GP、二酸化ケイ素(silicone dioxide)、非常に高い活性表面を有する原料である。
【0151】
この実施例は、液体界面活性剤の添加が粉末タイプの製品の流動特性に対して有し得る負の効果は、これらの製品中に流動助剤を組み込むことによって克服することができることを示している。
【実施例7】
【0152】
業務的洗浄プロセスの洗浄溶液中における比較的低い濃度の界面活性剤の存在に起因する驚くべき乾燥効果においてより多くの見識を得るために、これらの洗浄溶液と接触された基材上の水の接触角を測定した。界面活性剤が洗浄プロセスの間に食器上へ吸着すると仮定される。この吸着はこれらの界面活性剤が存在しない同一の洗浄システムと比較した場合、これらの基材上の水の接触角が減少される。この減少された接触角は、水でのすすぎ後に水層をより薄くし、そしてしたがって基材のより迅速な乾燥を生じさせる。
【0153】
この仮定を立証するために、界面活性剤を含有しないか又は異なるタイプの非イオン性物質を含有する、異なる洗浄溶液と接触させた、3つの異なるタイプの基材について、水の接触角を測定した。
【0154】
試験法 接触角測定
FTA 200(First Ten Angstroms)装置を使用して、接触角測定を行った。ドロップシェイプ法を測定の間適用した。これらの試験のために、以下の基材由来の平らな断片を使用した:ガラス、プラスチックトレイ及び刃物類。
【0155】
業務的洗浄プロセスの洗浄工程の間に生じる効果を、可能な限り厳密にシミュレートしようとした。したがって、これらの基材を、撹拌しながら、軟水+50ppmの非イオン性物質+2g/lのLXを含むガラスビーカー中に浸漬した(組成物は実施例2を参照のこと)。これらの濃度は、洗剤が約2.5重量%の界面活性剤を含有することに関連する。この「洗浄溶液」の温度は60℃であった。40秒後、基材をこの溶液から取り出し、振って付着している水を取り除き、そしてそれを乾燥させた。下記のように、ドロップシェイプ法によって、これらの基材について、接触角を測定した。
【0156】
液滴(20μl)の軟水が分配針(dispensing needle)から脱着し、そして「固着性」(sessile)又は定着性(sitting)液滴として基材上に静止する。液滴が基材に触れると、ユーザーがトリガーをクリックする。トリガー後、或る特定の間隔で画像を撮影することによって、接触角が自動的に測定される。洗浄溶液中におけるこれらの基材に対する以下の非イオン性物質の吸着の効果を試験した:Adekanol B2020、Triton EF 24、Triton DF 12、Plurafac LF 303。これらの非イオン性物質が、水のみですすぐ場合に業務的洗浄プロセスの洗浄溶液中に存在する場合、これらの基材のより迅速な乾燥を生じさせたために、これらの非イオン性物質を選択した。これらの非イオン性物質の効果を試験するために、非イオン性物質が存在しないが、アルカリ性洗浄溶液LXのみが存在する参照試験を行う。
【0157】
【表10】

【0158】
これらの結果は、上述の非イオン性物質50ppmを含有する洗浄溶液と接触していた基材上の水の接触角は、これらの非イオン性物質を含まない洗浄溶液と接触している類似の基材上の水の接触と比較した場合に、減少されることを示している。これらの結果は、これらの非イオン性界面活性剤が洗浄工程の間に食器上に吸着し、その後すすぎ水の接触角が低下し、すすぎ水膜の厚みが減少され、そしてしたがって業務的洗浄プロセスの条件下で、淡水ですすがれる際に、基材のより迅速な乾燥を生じさせるという仮説を確認する。
【実施例8】
【0159】
この実施例において、業務用食器洗浄プロセスにおける種々の基材の乾燥挙動に対する、種々の高分子界面活性剤及び非イオン性物質との組み合わせの効果を記載する。標準的な業務的洗浄プロセスをこの試験に適用し、メイン洗浄プロセスはメタケイ酸塩、リン酸塩及び次亜塩素酸塩を含む。
【0160】
第1に(試験8A)、基材の乾燥挙動を、標準的なすすぎプロセスについて測定する。この標準的なすすぎプロセスにおいて、リンス助剤が、最終すすぎ水へ、ボイラーの直前の別個のすすぎポンプを介して投入される。この実施例において、リンス助剤Aを、業務用食器洗浄についての代表的なリンス助剤として使用する(詳細:実施例1を参照のこと)。
【0161】
次いで(試験8B:参照)、基材の乾燥挙動を、すすぎ成分が存在しない(別個のリンスを介して投入されず、且つ、メイン洗浄プロセスへ添加されない)洗浄プロセスについて測定する。この場合において、メイン洗浄は、メイン洗浄粉末(メタケイ酸塩、リン酸塩及び次亜塩素酸塩)のみを含有し、そしてすすぎを淡水で行う。
【0162】
次いで(試験8C〜試験8R)、すすぎ成分が別個のすすぎ(rinsed)で投入されない(したがって、淡水でのみすすぐ)が、種々の界面活性剤が他のメイン洗浄成分と共にメイン洗浄へ添加される、種々の洗浄プロセスについて、乾燥挙動を測定する。界面活性剤として使用される材料は、
Plurafac LF 300(試験8D〜試験8L)、BASFから、脂肪族アルコールアルコキシレート、
Plurafac LF 1300(試験8C)、BASFから、脂肪族アルコールアルコキシレート、
Degressal SD 20(試験8D〜試験8N及び試験8P)、BASFから、脂肪族アルコールアルコキシレート(ポリプロポキシレート)、
Alcosperse 602 TG(試験8F及び試験8L)、Alcoから、アクリル酸ホモポリマー(Mw 6000)、
Sokalan CP9(試験8C及び試験8M〜試験8O)、BASFから、マレイン酸/オレフィン−コポリマー、Na塩(Mw 12000)、
Sokalan CP5(試験8D)、BASFから、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、Na塩(Mw 70000)、
Sokalan PA40(試験8E)、BASFから、ポリアクリル酸、Na塩(Mw 15000)、
Sokalan PA15(試験8G)、BASFから、ポリアクリル酸、ナトリウム塩(Mw 1200)、
Versaflex SI(試験8H)、Alcoから、アクリル酸系コポリマー、
Alcosperse 175(試験8I)、Alcoから、マレイン酸/アクリル酸コポリマー(Mw 75000)、
Narlex LD 36V(試験8J)、Alcoから、アクリル酸コポリマー(Mw 5000)、
Narlex LD 54(試験8K)、Alcoから、アクリル酸コポリマー(Mw 5000)、
Casein(試験8Q)、Aldrichから(工業銘柄)、
Inutec SP1(試験8R)、Oraftiから、(C12アルキル鎖による)疎水性修飾イヌリン(Mw 5000)
である。
【0163】
以下の表において、界面活性剤の各々についてのメイン洗浄溶液中のこれらの材料の濃度が記載される。これらの濃度は、洗剤がこれらの種々の実施例において約2〜7.5重量%の界面活性剤を含有することに関連している。
【0164】
同一の自動化Hobart食器洗浄機を、実施例1において記載されるように使用する。条件及び試験手順は、実施例1における記載に類似する。重要な差異は
すすぎ量:4L
洗浄時間:29秒
すすぎ時間:8秒
洗浄温度:50℃
すすぎ温度:80℃
水:水道水(水の硬度:9DH)
である。
【0165】
作動方法
メイン洗浄粉末は以下である:0.4g/lのトリポリリン酸ナトリウム(STP;LV 7 ex−Rhodia)+0.285g/lのメタケイ酸ナトリウム無水物(SMS無水物)+0.285g/lのメタケイ酸ナトリウム五水和物(SMS五水和物)+0.03g/lのジクロロイソシアヌル酸Na塩二水和物(NaDCCA)。
【0166】
乾燥時間を3つの異なるタイプの基材について測定する。これらは、すすぎ成分なしでは業務用食器洗浄プロセスにおいて乾燥が困難であり、且つ、以下の(実際には関連する)材料から作製されるクーポンである:
− 2つのガラスクーポン(148×79×4mm)
− 2つのプラスチック(「Nytralon 6E」(Quadrant Engineering Plastic Products);naturel)クーポン(97×97×3mm)
− 2つのステンレススチール(304)クーポン(150×35×1mm)
【0167】
洗浄サイクル(29秒)及びすすぎサイクル(水道水の淡水(fresh tap water)で8秒)後、周囲温度で洗浄済み基材の乾燥時間(秒)を測定する。乾燥時間が300秒より長い場合、それは300秒と記録される。しかし、プラスチッククーポンはしばしば5分以内では乾燥されない。その場合には、クーポン上に残留する液滴をカウントする。
【0168】
洗浄サイクル及び乾燥時間測定を、同一の基材を用いて化学薬品を添加せずに2回以上繰り返す。基材は、各々の新しい試験で取り換える(食器上に場合によっては吸着された成分によって、乾燥結果が影響されないように)。
【0169】
結果
下記の表はこれらの一連の試験の結果を比較する。ステンレススチール(1)及びガラス(2)クーポンについて、3回の繰り返し試験についての乾燥時間の平均値が与えられる。プラスチッククーポン(3)について、3回の繰り返し試験についての5分後のクーポン上の液滴の数の平均値が与えられる。
【0170】
試験8Aは、現在の標準である、最終すすぎにおけるすすぎ成分の効果を確認する。別個のリンス助剤での標準的プロセスの使用は、3つの基材全てについて適切な乾燥を導く。
【0171】
試験8Bは、リンス助剤が洗浄プロセスにおいて使用されない場合に、比較的長い乾燥時間又はプラスチック上に多くの水滴が得られることを示している。
【0172】
試験8C〜試験8Rは、メイン洗浄における比較的低いレベルでの種々の界面活性剤の存在が、ステンレススチール又はガラスに対する乾燥時間、又はプラスチック上の水滴の数を顕著に減少させ得ることを示している。これらの乾燥挙動のいくつかは、別個のリンス助剤を使用するものに匹敵するか、又はなおより良好である。
【0173】
これらの実施例において最良の界面活性剤の1つは、試験8Nによって提供され、Sokalan CP9とDegressal SD20との組み合わせからなる。Degressal SD 20はまた、高い機械力で、洗浄プロセスにおける泡形成を防止する消泡剤として、この組成物中に存在する。試験8O及び試験8Pにおいて、これらの成分の各々の効果を別々に試験する。これらの試験は、特に、メイン洗浄における高分子界面活性剤Sokalan CP9の存在が、水道水の淡水のみですすがれるこれらの条件下で優れた乾燥挙動を導くことを示している。
【0174】
【表11】





【実施例9】
【0175】
この実施例において、業務用食器洗浄プロセスにおける高分子界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む界面活性剤の乾燥挙動に対する硬水イオンの効果を測定する。
【0176】
この実施例において、メイン洗浄プロセスは、リン酸塩、苛性剤及び次亜塩素酸塩を含有する。全てのこれらの試験について、別個のすすぎにおいてすすぎ成分を投入せず、したがって基材を淡水のみですすぐ。
【0177】
第1に(試験9A)、すすぎ成分が存在しない(別個のリンスを介して投入されず、且つ、メイン洗浄プロセスへ添加されない)洗浄プロセスについて、乾燥挙動を測定する。この場合において、水道水を使用し、そしてメイン洗浄は、メイン洗浄粉末(リン酸塩、苛性剤及び次亜塩素酸塩)のみを含有する。
【0178】
これらのメイン洗浄成分に加えて、以下の界面活性剤もまた試験9B〜試験9Eに存在する:40ppmのDegressal SD20及び20ppmのSokalan CP9。さらに、これらの試験において、水の硬度並びにカルシウム(Ca2+)及びマグネシウム(Mg2+)イオン等のプラスに帯電した金属イオンの添加効果を試験する。
【0179】
プロセス及び作動方法は、この実施例においてメイン洗浄粉末の組成が以下であること以外は、実施例8に記載のものと同一である:0.6g/lのトリポリリン酸ナトリウム(STP;LV 7 ex−Rhodia)+0.37g/lの苛性剤(caustic)(NaOH)+0.03g/lのジクロロイソシアヌル酸Na塩二水和物(NaDCCA)。
【0180】
【表12】


【0181】
また、軟水を用い、軟水中において塩化マグネシウム及び塩化カルシウムを使用して、参照試験(9A)を行った(メイン洗浄において界面活性剤を使用しないで、試験9C〜試験9Eと同一の条件)。それぞれの場合において、当該参照についての結果は、水道水において得られるもの(試験9A)と類似している。
【0182】
試験9Aは、リンス助剤が洗浄プロセスにおいて使用されない場合に、比較的長い乾燥時間又はプラスチック上の多くの水滴が得られることを示している。
【0183】
試験9Bは、Sokalan CP9及びDegressal SD20を含む界面活性剤が、水道水における全ての基材に対する乾燥挙動を改善することを示している。この結果は、異なるメイン洗浄組成物についての実施例8Nにおいて測定された効果と一致している。
【0184】
この界面活性剤の乾燥挙動に対する効果は、硬水塩が存在しない場合、それほど顕著ではない(軟水中での試験9Cのように)。
【0185】
軟水中へのカルシウム(Ca2+)及びマグネシウム(Mg2+)イオン等のプラスに帯電した金属イオンの添加(試験9D及び試験9E)は、全ての基材に対するより迅速な乾燥を導く。これらの乾燥挙動のいくつかは、水道水を使用する場合に匹敵するか又はなおより良好である。
【0186】
これらの実施例は、硬水イオンの存在又は多価金属イオンの添加が、この界面活性剤(Degressal SD20及びSokalan CP9)がメイン洗浄に存在する業務用食器洗浄プロセスについてより迅速な乾燥を導くことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含有する洗浄組成物を使用した食器洗浄方法であって、
(a)自動、業務用食器洗浄機中で、食器と水性洗浄組成物とを接触させる洗浄工程であって、該洗浄機は、該洗浄工程からすすぎ工程への該水性洗浄組成物の持ち越しが起こらないように構成されており、該水性洗浄組成物は、主成分の水性希釈剤と該水性希釈剤100万部当たり約200〜5000重量部の食器洗浄洗剤とを含んでおり、該洗剤は10重量%を超えない量で存在する界面活性剤を含んでいる洗浄工程;及び
(b)前記洗浄された食器と飲用水性リンスとを接触させるすすぎ工程あって、該水性リンスは意図的に添加されたリンス剤を実質的に含んでいないすすぎ工程
を有しており、
前記食器洗浄洗剤は、該食器上に界面活性剤の層を提供するのに十分な吸着性界面活性剤を含有しており、前記飲用水性すすぎ工程において被覆作用を提供し、
該方法は、意図的に添加されたリンス剤を含む組成物を用いたすすぎ工程を有してはおらず、さらに
該洗剤は固体の形態をしていることを特徴とする食器洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄工程が10分を超えないか、若しくは前記水性すすぎ工程が2分を超えないか、又はその双方を満たす請求項1に記載の食器洗浄方法。
【請求項3】
前記界面活性剤が、0.9以下の、
(界面活性剤を含む洗剤を使用しての乾燥時間)/(界面活性剤を含まない洗剤を使用しての乾燥時間)
の比に対応する改善された乾燥挙動を提供する請求項1に記載の食器洗浄方法。
【請求項4】
前記界面活性剤が、自動、業務的食器洗浄プロセスにおいて泡を生じないか又は限られたレベルの泡を生じさせる低発泡性界面活性剤である請求項1に記載の食器洗浄方法。
【請求項5】
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤及び高分子界面活性剤からなる群より選択される請求項1に記載の食器洗浄方法。
【請求項6】
前記非イオン性界面活性剤が、EO、PO、BO及びPEO部分を有するC2〜C18アルコールアルコキシレート又はポリアルキレンオキシドブロックコポリマーからなる群より選択される請求項5に記載の食器洗浄方法。
【請求項7】
前記アルコールアルコキシレートがエンドキャップされている請求項6に記載の食器洗浄方法。
【請求項8】
前記高分子界面活性剤が、(メタ)アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸及び/又はメタクリル酸とスチレン又は無水マレイン酸とのコポリマー、並びにマレイン酸とオレフィンとのコポリマーからなる群より選択される請求項5に記載の食器洗浄方法。
【請求項9】
前記高分子界面活性剤が、ポリペプチド又は疎水的に修飾された多糖類である請求項5に記載の食器洗浄方法。
【請求項10】
高分子界面活性剤が非イオン性界面活性剤と組み合わされる請求項5に記載の食器洗浄方法。
【請求項11】
前記高分子界面活性剤が、ポリビニルピロリドンである請求項5に記載の食器洗浄方法。
【請求項12】
前記高分子界面活性剤がポリヒドロキシアミドである請求項5に記載の食器洗浄方法。
【請求項13】
前記洗剤が高分子界面活性剤を含んでおり、該高分子界面活性剤がマレイン酸/オレフィンコポリマーであり、さらに該高分子界面活性剤がカルシウムイオン又はマグネシウムイオン又はその双方と組み合わされる請求項1に記載の食器洗浄方法。
【請求項14】
前記マレイン酸/オレフィンコポリマーが式:

(式中、Lは水素又はナトリウムであり、R及びRは水素であり、Rはメチルであり、Rはネオペンチルであり、xは1であり、yは1である)を有する請求項13に記載の食器洗浄方法。
【請求項15】
前記洗剤が非イオン性界面活性剤をさらに含む請求項14に記載の食器洗浄方法。
【請求項16】
前記非イオン性界面活性剤がポリプロポキシレートである請求項15に記載の食器洗浄方法。

【公開番号】特開2013−39389(P2013−39389A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−220597(P2012−220597)
【出願日】平成24年10月2日(2012.10.2)
【分割の表示】特願2008−510096(P2008−510096)の分割
【原出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(398061050)ディバーシー・インコーポレーテッド (101)
【住所又は居所原語表記】8310 16th Street,Sturtevant,Wisconsin 53177−0902,United States of America
【Fターム(参考)】