説明

低率混紡糸の製造方法

【課題】低率の混紡糸でありながら、均質な混紡であって、混紡素材の性能が糸全体に斑なく発揮され、品質面、価格面でも有利な低率混紡糸を提供する。
【解決手段】メイン素材の合成繊維に混紡素材を混紡率5質量%以下で混紡し低率混紡の紡績糸を製造するに際し、混紡素材を混紡素材が50質量%以上含まれるスライバー又は粗糸とし、打綿工程、梳綿工程、練条工程又はギル工程にて設定の低混紡率になるように前記スライバー又は粗糸を供給して混合した後、紡績工程を通すことによって、低率混紡糸を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成繊維主体の混紡素材の混紡率が5質量%以下の低率混紡糸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アクリル繊維等の合成繊維の混紡紡績糸は、合成繊維に、混紡素材である収縮性の異なる他の合成繊維やウール等の天然繊維を、原綿の段階で混合し、ローラーカードでスライバーとした後、通常の紡績工程を通して作成されるか、或いはスライバーの段階でギルで混合した後、通常の紡績工程を通して作成され、一般的には混紡素材の混紡率は、他の合成繊維の場合は30〜40質量%、天然繊維の場合は10〜60質量%である。
【0003】
原綿の段階で混合する場合は、それぞれの繊維の原綿をホッパーラチス上に計量して重ね合わせ、ホッパーミキサーへ供給し開綿と混綿を行って混合して、次の工程へ送られるが、原綿段階の混綿では投入する原綿の形態によって混紡斑が発生し、また混紡斑の発生は不可避のものである。
【0004】
近年、合成繊維と、静電性繊維に代表される高機能繊維やカシミヤに代表される高価格な天然繊維との混紡糸の需要が高まり、しかも高機能繊維や天然繊維が低率の混紡率の混紡糸が求められ、従来の混紡方法では、混綿斑が多く、均質な低率混紡糸を得ることが困難であった。また、低率混紡を安定させるため、予めメイン素材の一部と混紡素材とを混綿、開綿した種綿を作成し、種綿を混綿する方法も提案されているが、混紡率の調整が困難で、混紡ミスを起こし易いという問題があった。
【0005】
例えば、特許文献1には、アクリル繊維と導電糸の低率混紡糸が開示されているが、混紡率を10%程度とすることは示されているものの、その製造方法については具体的に示されいない。また、特許文献2には、色相、収縮率の異なるスライバーを練条工程で引き揃えた後、通常の紡績工程を通してなる紡績糸が示されているものの、混紡率を特定の低率の範囲とすることや具体的な製造方法については示されいない。
【0006】
【特許文献1】特開2003−96619号公報
【特許文献2】特開2004−131902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、低率の混紡糸でありながら、均質な混紡であって、混紡素材の性能が糸全体に斑なく発揮され、品質面、価格面でも有利な低率混紡糸を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は、メイン素材の合成繊維に混紡素材を混紡率5質量%以下で混紡し低率混紡の紡績糸を製造するに際し、混紡素材を混紡素材が50質量%以上含まれるスライバー又は粗糸とし、打綿工程、梳綿工程、練条工程又はギル工程にて設定の低混紡率になるように前記スライバー又は粗糸を供給してメイン素材と混合した後、通常の紡績工程を通すことからなる低率混紡糸の製造方法、にある。
【0009】
より具体的には、本発明は、メイン素材の合成繊維に混紡素材を混紡率5%以下で混紡し低率混紡の紡績糸を短綿紡にて製造するに際しては、混紡素材を混紡素材が50質量%以上含まれる粗糸とし、混打綿工程にてラップ巻き取り時に用いるリッキング防止用巻き込み篠に前記粗糸を用い、設定の低混紡率になる粗糸本数を打綿機で形成されたメイン素材のラップに巻き込み、梳綿機にてスライバーとした後、通常の紡績工程を通すことからなる低率混紡糸の製造方法、
【0010】
メイン素材の合成繊維に混紡素材を混紡率5%以下で混紡し低率混紡の紡績糸を短綿紡にて製造するに際しては、メイン素材をシュート給綿方式によりフラットカードに供給してスライバーを作成すると共に、混紡素材を混紡素材が50質量%以上含まれる粗糸とし、前記粗糸を設定の低混紡率になる粗糸本数供給して練条機にてメイン素材のスライバーと混合した後、通常の紡績工程を通すことからなる低率混紡糸の製造方法、
【0011】
メイン素材の合成繊維に混紡素材を混紡率5%以下で混紡し低率混紡の紡績糸を梳毛紡にて製造するに際しては、混紡素材を混紡素材が50質量%以上含まれるスライバーとすると共に、メイン素材の合成繊維を開綿機、混綿機、ローラーカードを通してスライバーとし、ギルにて前記混紡素材のスライバーを設定の低混紡率になるスライバー本数供給してメイン素材と混合した後、通常の紡績工程を通すことからなる低率混紡糸を製造方法、にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、混紡素材を低率に混紡しながら、糸の長手方向に均質に混紡され、混紡素材の性能が糸全体に斑なく発揮され、品質面、価格面でも有利な低率混紡糸を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
通常の紡績工程は、原綿の投入(開俵)から製品梱包までの工程を含み、綿紡では開俵、開綿、混打綿、練条、精梳、練条、精紡、巻き糸、梱包の工程、短綿紡では開俵、開綿、混打綿、梳綿(フラットカード)、練条粗紡、精紡、巻き糸、梱包の工程、梳毛紡では開俵、開綿、混綿、練条、ローラーカード、ギル、粗紡、精紡、巻き糸、梱包の工程からなる。
【0014】
本発明においては、メイン素材の合成繊維に混紡素材を混紡率5質量%以下で混紡し低率混紡の紡績糸を製造するに際し、混紡素材を混紡素材が50質量%以上含まれるスライバー又は粗糸とし、メイン素材の紡績における打綿工程、梳綿工程、練条工程又はギル工程にて、設定の低混紡率になるように前記スライバー又は粗糸を供給してメイン素材と混合した後、通常のそれ以降の紡績工程を通すものであり。従って、通常の紡績工程を通すとは、打綿工程で混合した場合は、打綿より以降の工程、梳綿工程で混合した場合は、梳綿より以降の工程、練条工程で混合した場合は、練条より以降の工程、ギル工程で混合した場合は、ギルより以降の工程を通すことを意味する。
【0015】
本発明において、短綿紡により混紡素材の混紡率が5%以下の低率混紡糸を製造する方法においては、予め、混紡素材より、混紡素材のみからなるスライバー或いは混紡素材が50質量%以上含むメイン素材との混合物からなるスライバー又は粗糸(以下、単に混紡素材のスライバー又は粗糸という)を作成した後、混紡素材量にて混紡率を調整する。メイン素材の合成繊維は、混打綿工程より紡績を行い、打綿機を用いる工程の場合は、混打綿機上のメイン素材のラップ形成時に、混紡素材の粗糸をラップのリッキング防止用巻き込み篠として用い、メイン素材のラップの目付に対して目的の低混紡率になるよう粗糸の巻き込み本数を調整する。
【0016】
本発明において、メイン素材を、混打綿機を用いずに、混綿、開繊を行った後、給綿機を経て空気輸送するシュート給綿方式によりフラットカードに供給してスライバーを作成する方法においては、フラットカード(梳綿機)に供給されたメイン素材の供給目付に対して混紡素材の粗糸を目的の低混紡率になるような本数フラットカードのフィードローラーより供給するか、または梳綿後の最初の練条工程にて総供給スライバーの量目に対して目的の低混紡率になるようにスライバー又は粗糸を供給する。
【0017】
梳毛紡により混紡素材の混紡率が5%以下の低率混紡糸を製造する方法においては、混紡素材を混紡素材が50質量%以上含まれるスライバーとすると共に、メイン素材の合成繊維を開綿機、混綿機、ローラーカードを通してスライバーとし、ギル工程でのギルにて混紡素材のスライバーを設定の低混紡率になるスライバー本数供給してメイン素材のスライバーと混合した後、通常の紡績工程を通す。
【0018】
メイン素材としては、アクリル繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維の他に、綿やウールの天然繊維がメイン素材の一部として用いられる。メイン素材の一部として、綿、麻等の天然繊維を用いる場合は、原綿段階での混綿も可能であるが、梳綿工程後の練条工程にてメイン素材と混紡することが好ましく、またメイン素材の一部として、ウールを用いる場合は、ウールを所定長にカットして原綿とし、メイン素材と混紡する。
【0019】
梳毛紡にて低率混紡糸を製造する方法においては、メイン素材の合成繊維は、合成繊維の製造の際に生成される繊維が束状となった連続した繊維トウを所定長にカットし、短繊維にした原綿であってよいし、繊維トウをストレッチブレーキングマシンを用いて牽切して繊維がバリアブルにカットされた短繊維からなるスライバーであってもよい。メイン素材の合成繊維が短繊維からなる原綿である場合は、開綿工程、混綿工程より行い、ローラーカードにてスライバーを作成する。
【0020】
繊維トウをストレッチブレーキングマシンを用いて牽切してスライバーとする際は、最初のギル工程にてメイン素材のスライバーの供給目付に対して目的の低混紡率になるよう混紡素材のスライバー又は粗糸を供給する。メイン素材の一部としてウールを用いる場合も、ギル工程にて供給することが好ましい。
【0021】
短綿紡の場合、低率混紡糸における撚り数は、T=K√M(T:1m当たりの撚り数、M:メートル番手)にての撚り係数Kが80〜105、オープンエンド紡績の場合、低率混紡糸における撚り数は、撚り係数Kが105〜120であることが好ましい。また、短綿紡の場合或いはオープンエンド紡績の場合、メイン素材に用いる合成繊維は、単繊維繊度が0.5〜3.3dtexで、繊維長38〜51mmの範囲で定長カットされたものであることが好ましい。
【0022】
梳毛紡の場合、低率混紡糸における撚り数は、撚り係数Kが60〜85が好ましい。また、メイン素材に用いる合成繊維は、単繊維繊度が0.5〜5.6dtexで、繊維長76〜127mmにバリアブルカットされたものであることが好ましいが、定長カットされたものであってもよい。
【0023】
本発明において用いる混紡素材としては、例えば、アクリロニトリル系重合体に導電材を練り込んで形成した導電性繊維が挙げられるが、導電性繊維だけでなく、他の機能性繊維であってもよく、本発明によれば、低混紡率でありながら充分にそれらの機能を効率よく発揮する混紡糸を得ることができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、紡績糸中の混紡状態を評価するため、紡績糸の長手方向の任意の10箇所での糸断面における混紡素材の繊維の本数を測定した。
【0025】
(実施例1)
メイン素材として、単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mmのアクリル繊維(繊維A1)の短繊維からなる原綿97質量%を、また、混紡素材として、アクリロニトリル系重合体に導電材を練り込んで形成した単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mmの導電性繊維(B)の短繊維からなる原綿3質量%を、紡績原料とした。予め、混紡素材の導電性繊維の原綿から0.8g/mの粗糸を8本作成し、巻き込み篠とした。メイン素材のアクリル繊維の原綿を打綿機にて10オンス/ヤード・m(310g/m)のラップを形成し、先に作成した粗糸8本を巻き込んで、フラットカードにかけ、フラットカードでラップを巻き込み篠と一緒に解除しつつスライバーを作成した後、以降通常の紡績工程を通し、紡出番手1/52Nm、撚り数690t/mの紡績糸を作成した。得られた紡績糸を用い、編地を編成して、染色仕上加工を施した。紡績性、加工性(編立て性)、紡績糸中の混紡状態、製品性状の評価、総合評価を表1に示した。
【0026】
(実施例2)
メイン素材として、単繊維繊度1.0dtex、繊維長38mmのアクリル繊維(繊維A1)の短繊維からなる原綿67質量%とコーマ綿(繊維A3)30質量%を、また、混紡素材として、アクリロニトリル系重合体に導電材を練り込んで形成した単繊維繊度3.3dtex、繊維長38mmの導電性繊維(繊維B)の短繊維からなる原綿3質量%を、紡績原料とした。予め、混紡素材の導電性繊維(繊維B)の原綿から0.45g/mの粗糸を作成した。メイン素材の2種の原綿を、それぞれ混綿及び開綿した後、シュート給綿方式のフラットカード(梳綿機)でアクリル繊維(繊維A1)の原綿をスライバーとし、さらに練条機で4.1g/mのスライバーを作成し、また、シュート給綿方式の梳綿機(フラットカード)でコーマ綿(繊維A3)をスライバーとし、さらに練条機で4.1g/mのスライバーを作成した。その後、アクリル繊維(繊維A1)のスライバー5本とコーマ綿(繊維A3)のスライバー2本と先に作成した粗糸2本を、さらに2番練条機にて混綿した後、3番練条以降は通常の紡績工程を通し、紡出番手30/1S、撚り数17.9回/吋の紡績糸を作成した。得られた紡績糸を用い、編地を編成して、染色仕上加工を施した。紡績性、加工性(編立て性)、紡績糸中の混紡状態、製品性状の評価、総合評価を表1に示した。
【0027】
(実施例3)
メイン素材として、単繊維繊度2.2dtex、繊維長64〜102mmのバリアブルカットのアクリル繊維(繊維A1)の短繊維からなる原綿37質量%と単繊維繊度2.2dtex、繊維長64〜102mmのバリアブルカットの収縮性アクリル繊維(繊維A2)の短繊維からなる原綿40質量%とウール(繊維A3)40質量%を、また、混紡素材として、アクリロニトリル系重合体に導電材を練り込んで形成した単繊維繊度3.3dtex、繊維長76mmの導電性繊維(繊維B)の短繊維からなる原綿3質量%を、紡績原料とした。予め、混紡素材の導電性繊維(繊維B)の原綿から3.0g/mのスライバーを作成した。メイン素材のアクリル繊維(繊維A1)の原綿と収縮性アクリル繊維(繊維A2)の原綿を、48:52の比率で混綿機で混綿し、開綿機及びローラーカードを通してスライバーとし、ギルで9.6g/mのスライバーを作成した。次のギルで、繊維A1の原綿と繊維A2の原綿から作成したスライバー8本と、別途作成した20g/mのウール(繊維A3)のスライバー(ウールではトップという)1本と、先に作成した導電性繊維(繊維B)の原綿からのスライバー1本とを混合し、さらにギルを通して混合した後、通常の紡績工程を通し、紡出番手1/42Nm、撚り数454t/mの紡績糸を作成した。得られた紡績糸を用い、編地を編成して、染色仕上加工を施した。紡績性、加工性(編立て性)、紡績糸中の混紡状態、製品性状の評価、総合評価を表1に示した。
【0028】
(実施例4)
メイン素材として、単繊維繊度2.2dtex、総繊度107ktexのアクリル繊維トウをストレッチブレキーングマシンにて牽切して得た収縮性アクリル繊維(繊維A1)の短繊維からなるスライバー(7g/m)37質量%と単繊維繊度2.2dtex、総繊度107ktexのアクリル繊維トウをストレッチブレキーングマシンにて牽切した後弛緩処理により非収縮繊維化した非収縮性アクリル繊維(繊維A2)の短繊維からなるスライバー(7.58g/m)40質量%とウール(繊維A3)のトップ(20g/m)20質量%を、また、混紡素材として、実施例4で用いたと同じ単繊維繊度3.3dtex、繊維長76mmの導電性繊維(繊維B)の短繊維からなる原綿3質量%を、紡績原料とした。予め、混紡素材の導電性繊維(繊維B)の原綿から3.0g/mのスライバーを作成した。梳毛紡における2番ギルで、メイン素材のアクリル繊維(繊維A1)のスライバー3本と収縮性アクリル繊維(繊維A2)のスライバー3本とウールトップ1本と、予め作成した導電性繊維(繊維B)の原綿からのスライバー1本とを混合した後、3番ギル以降は通常の紡績工程を通し、紡出番手1/42Nm、撚り数454t/mの紡績糸を作成した。得られた紡績糸を用い、編地を編成して、染色仕上加工を施した。紡績性、加工性(編立て性)、紡績糸中の混紡状態、製品性状の評価、総合評価を表1に示した。
【0029】
(実施例5)
メイン素材として、単繊維繊度1.15dtex、繊維長38mmのポリエステル繊維(繊維A1)の短繊維からなる原綿67質量%とコーマ綿(繊維A3)30質量%を、また、混紡素材として、実施例2で用いたと同じ単繊維繊度3.3dtex、繊維長38mmの導電性繊維(繊維B)の短繊維からなる原綿3質量%を、紡績原料とした。予め、混紡素材の導電性繊維(繊維B)の原綿から0.45g/mの粗糸を作成した。メイン素材の2種の原綿を、それぞれ混綿及び開綿した後、シュート給綿方式のフラットカード(梳綿機)でポリエステル繊維(繊維A1)のスライバーとし、さらに練条機で4.1g/mのスライバーを作成した。また、シュート給綿方式のフラットカード(梳綿機)でコーマ綿(繊維A3)をスライバーとし、さらに練条機で4.1g/mのスライバーを作成した。その後、ポリエステル繊維(繊維A1)のスライバー5本とコーマ綿(繊維A3)のスライバー2本と先に作成した粗糸2本を、さらに2番練条機にて混綿した後、3番練条以降は通常の紡績工程を通し、紡出番手30/1S、撚り数17.9回/吋の紡績糸を作成した。得られた紡績糸を用い、編地を編成して、染色仕上加工を施した。紡績性、加工性(編立て性)、紡績糸中の混紡状態、製品性状の評価、総合評価を表1に示した。
【0030】
(比較例1)
メイン素材として単繊維繊度1.7dtex、繊維長52mmのアクリル繊維(繊維A1)の短繊維からなる原綿97質量%と、また、混紡素材として、アクリロニトリル系重合体に導電材を練り込んで形成した単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mmの導電性繊維(繊維B)の短繊維からなる原綿3質量%を、紡績原料とし、計量し展開して積層した後、混打綿機で混合してカードを通しラップを形成し、通常の紡績工程を通し、紡出番手1/52Nm、撚り数690t/mの紡績糸を作成した。得られた紡績糸を用い、編地を編成して、染色仕上加工を施した。紡績性、加工性(編立て性)、紡績糸中の混紡状態、製品性状の評価、総合評価を表1に示した。
【0031】
(比較例2)
メイン素材として単繊維繊度2.2dtex、繊維長64〜102mmのバリアブルカットのアクリル繊維(繊維A1)の短繊維からなる原綿37質量%と単繊維繊度2.2dtex、繊維長64〜102mmのバリアブルカットの収縮性アクリル繊維(繊維A2)の短繊維からなる原綿40質量%とウール(繊維A3)20質量%を、また、混紡素材としてアクリロニトリル系重合体に導電材を練り込んで形成した単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mmの導電性繊維(繊維B)の短繊維からなる原綿3質量%を、紡績原料とした。アクリル繊維(繊維A1)の原綿と収縮性アクリル繊維(繊維A2)の原綿を先に計量し展開して積層した後、混綿機でローラーカードを通し、ギルで10g/mのスライバーを形成し、次のギルでこのスライバー8本とウールスライバー1本を混合し、さらにギルを通した後、通常の紡績工程を通し、紡出番手1/42Nm、撚り数454t/mの紡績糸を作成した。得られた紡績糸を用い、編地を編成して、染色仕上加工を施した。紡績性、加工性(編立て性)、紡績糸中の混紡状態、製品性状の評価、総合評価を表1に示した。
【0032】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の方法は、低率混紡糸の製造が容易になるものであり、品種切り替えも容易で、品質のバラツキも少ない低率混紡糸の生産が可能である。また、混紡素材が糸の長手方向及び糸の断面に均一に分散され、混紡斑といった混紡素材の性能の糸での断続部がないもである。さらに、本発明の方法は、複合機能素材の展開に有用なるもので、経済面でも有効なるものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン素材の合成繊維に混紡素材を混紡率5質量%以下で混紡し低率混紡の紡績糸を製造するに際し、混紡素材を混紡素材が50質量%以上含まれるスライバー又は粗糸とし、打綿工程、梳綿工程、練条工程又はギル工程にて設定の低混紡率になるように前記スライバー又は粗糸を供給してメイン素材と混合した後、通常の紡績工程を通すことからなる低率混紡糸の製造方法。
【請求項2】
メイン素材の合成繊維に混紡素材を混紡率5%以下で混紡し低率混紡の紡績糸を短綿紡にて製造するに際して、混紡素材を混紡素材が50質量%以上含まれる粗糸とし、打綿工程にてラップ巻き取り時に用いるリッキング防止用巻き込み篠に前記粗糸を用い、設定の低混紡率になる粗糸本数を打綿機で形成されたメイン素材のラップに巻き込み、梳綿機にてスライバーとした後、通常の紡績工程を通すことからなる低率混紡糸の製造方法。
【請求項3】
メイン素材の合成繊維に混紡素材を混紡率5%以下で混紡し低率混紡の紡績糸を短綿紡にて製造するに際して、メイン素材をシュート給綿方式によりフラットカードに供給してスライバーを作成すると共に、混紡素材を混紡素材が50質量%以上含まれる粗糸とし、前記粗糸を設定の低混紡率になる粗糸本数供給して練条機にてメイン素材のスライバーと混合した後、通常の紡績工程を通すことからなる低率混紡糸の製造方法。
【請求項4】
メイン素材の合成繊維に混紡素材を混紡率5%以下で混紡し低率混紡の紡績糸を梳毛紡にて製造するに際して、混紡素材を混紡素材が50質量%以上含まれるスライバーとすると共に、メイン素材の合成繊維を開綿機、混綿機、ローラーカードを通してスライバーとし、ギルにて前記混紡素材のスライバーを設定の低混紡率になるスライバー本数供給してメイン素材と混合した後、通常の紡績工程を通すことからなる低率混紡糸を製造方法
梳毛紡では、混綿の前に開綿があるようですので、上記順序にしました。