説明

低粘度エチレン性不飽和ポリウレタン

【課題】従来技術の欠点を有していないエチレン性不飽和ポリウレタンを提供する。
【解決手段】NCO 基を含まず、25 ℃で液体であり、1〜12 重量%のエチレン性不飽和基総含有量を有し、A)NTI と B)OH 成分[i)5〜100 OH 当量%の、200〜1000 の Mn を有し、式:CH2=C(R1)-C(O)-O-R2-[O-C(O)-R3]n-OH[式中、n は 1〜5 の整数であり、R1 は水素又はメチルであり、R2 及び R3 は非置換又は置換アルキレン基を表す。]を有する OH 官能性ラクトンエステル(メタ)アクリレート、ii)95 OH 当量%までの i)以外のモノ OH 官能性エチレン性不飽和化合物、iii)20 OH 当量%までの i)又は ii)以外の OH 化合物からなる。]との反応生成物を含む低粘度エチレン性不飽和ポリウレタン。但し、i)、ii)、iii)の OH 当量%は i)、ii)、iii)の総重量に基づいて合計で 100 %になり、A)の B)に対する NCO:OH 当量比は 1.10:1〜1:1.10 である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、25 ℃で液体であるエチレン性不飽和ポリウレタン、及び一液型コーティング組成物におけるバインダーとしての該ポリウレタンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリロイル基含有脂肪族ポリウレタンは既知であり、米国特許第 5,128,432 号明細書、同第 5,136,009 号明細書、同第 5,300,615 号明細書、同第 5,777,024 号明細書、同第 5,854,301 号明細書及び同第 6,306,504 号明細書に記載されている。米国特許第 5,128,432 号明細書は、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)のような単量体ジイソシアネートからの液状ウレタンアクリレートの調製を対象としている。固体生成物の形成を回避するために、単量体ジイソシアネートを、ヒドロキシアルキルアクリレート、エステル基含有単官能性アルコール(例えば、任意にアルコキシル化され得る、トリメチロールプロパン(TMP)ジアセテート又はジアクリレート)及び飽和多価アルコール(例えば TMP)の混合物と反応させることが必要である。
【0003】
米国特許第 5,136,009 号明細書は、トリメチル-HDI と、ヒドロキシアルキルアクリレート及び TMP のような飽和多価アルコールの混合物との反応による、トリメチル-HDI からのウレタンアクリレートの調製を対象としている。米国特許第 5,300,615 号明細書は、米国特許第 5,128,432 号明細書のウレタンアクリレートが、10 ℃未満で混濁することを開示している。この問題は、HDI 及び IPDI の混合物と、ヒドロキシアルキルアクリレート、エステル基含有アルコキシル化単官能性アルコール(例えば、アルコキシル化 TMP ジアセテート又はジアクリレート)、分枝飽和の一価又は二価アルコール、及び任意に直鎖飽和の一価又は二価アルコールの混合物との反応によって解決される。
【0004】
米国特許第 5,777,024 号明細書は、粘度低下のためにアロファネート基で変性された低粘度 HDI 三量体と、ヒドロキシ官能性オレフィン化合物(例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びこれら(メタ)アクリレートのラクトン変性体)との反応生成物を対象としている。得られた生成物についての1つの問題点は、結晶を除去するために濾過を行わなければならないことであり、これは、追加の工程段階を生じ、収率を低下させる。
【0005】
米国特許第 6,306,504 号明細書は、低粘度ポリイソシアネート(例えば、低粘度 HDI 三量体)と、低分子量ヒドロキシアルキルアクリレート(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート又はヒドロキシプロピルアクリレート)との反応生成物を含む、ポリカーボネートのためのコーティング組成物を対象としている。該組成物はまた、最終組成物の粘度を低下させる反応性希釈剤として、ビス-アクリレートを含む。
【0006】
これら米国特許に記載されている組成物の欠点は、溶媒不含有一液型コーティング組成物に使用するには粘度が高すぎることである。HDI のような単量体ジイソシアネートと低分子量ヒドロキシアルキルアクリレートとの直接反応による粘度低下の試みにより、固体又は極めて粘稠な生成物が形成される。米国特許第 6,306,504 号明細書に記載されている HDI 三量体のような低粘度ポリイソシアネートを使用する試みによっても、反応性希釈剤の不存在下で高粘度生成物が形成されるか、又は米国特許第 5,777,024 号明細書に記載されているような濾過を行わなければならない結晶が形成される。
【0007】
米国特許第 5,854,301 号明細書は、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート(NTI)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物を対象としている。この生成物は、従来技術に記載されているエチレン性不飽和ポリウレタンに関する一部の問題点を解決する。しかしながら、この生成物が低粘度を有するにも拘わらず、溶媒及び反応性希釈剤の存在に関する強化された政府規制の故に、粘度を更に低下させることがなお必要である。
【特許文献1】米国特許第 5,128,432 号明細書
【特許文献2】米国特許第 5,136,009 号明細書
【特許文献3】米国特許第 5,300,615 号明細書
【特許文献4】米国特許第 5,777,024 号明細書
【特許文献5】米国特許第 5,854,301 号明細書
【特許文献6】米国特許第 6,306,504 号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点を有していないエチレン性不飽和ポリウレタンを提供することである。本発明の更なる目的は、一液型コーティング組成物用バインダーとしての使用に適当であり、環境的に好ましくなく政府によって規制されている有機溶媒及び反応性希釈剤の必要なく許容できる低粘度を有する、エチレン性不飽和ポリウレタンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、以下に詳細に記載されている、本発明のエチレン性不飽和ポリウレタンによって達成され得る。本発明に従って使用したヒドロキシ官能性エチレン性不飽和化合物は、米国特許第 5,854,301 号明細書に記載されているヒドロキシ官能性エチレン性不飽和化合物より高い分子量を有し、従って、より高い粘度を有するポリウレタンが生じると予想されていたので、同米国特許に開示されているエチレン性不飽和ポリウレタンの粘度より低下させることができたという事実は意外なことである。
【0010】
本発明は、イソシアネート基を実質上含まず、25 ℃で液体であり、1〜12 重量%のエチレン性不飽和基総含有量(C=C、MW 24 として算出)を有し、
A)4-イソシアナトメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート(NTI)と、
B)i)5〜100 ヒドロキシル当量%の、約 200〜1,000 の数平均分子量を有し、式:
CH2=C(R1)-C(O)-O-R2-[O-C(O)-R3]n-OH
[式中、n は 1〜5 の整数であり、R1 は水素又はメチルであり、R2 は、2〜10 個の炭素原子を有する、アルキレン基又は置換アルキレン基(1〜12 個の炭素原子を有する 1 個以上のアルキル基で置換されていてよい。)を表し、R3 は、1〜12 個の炭素原子を有する 1 個以上のアルキル基で置換されていてよい、3〜8 個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレン基を表す。]
を有する1種以上のヒドロキシ官能性ラクトンエステル(メタ)アクリレート、
ii)成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいて 95 ヒドロキシル当量%までの、成分 B-i)以外のモノヒドロキシ官能性エチレン性不飽和化合物、及び
iii)成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいて 20 ヒドロキシル当量%までの、成分 B-i)又は B-ii)以外の、飽和ヒドロキシル化合物又は不飽和ヒドロキシル化合物
からなるヒドロキシル成分
との反応生成物を含む、低粘度エチレン性不飽和ポリウレタンであって、
I)成分 B-i)、B-ii)及び B-iii)のヒドロキシル当量%が、成分 B-i)、B-ii)及び B-iii)の総重量に基づいて合計で 100 %になり、
II)成分 A)の成分 B)に対する NCO:OH 当量比が 1.10:1〜1:1.10 である、低粘度エチレン性不飽和ポリウレタンに関する。
【0011】
本発明はまた、これらのエチレン性不飽和ポリウレタンを含む一液型コーティング組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
低粘度エチレン性不飽和ポリウレタンは、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート(NTI)と、約 200〜1,000、好ましくは 200〜700、より好ましくは 200〜500 の数平均分子量を有し、式:
CH2=C(R1)-C(O)-O-R2-[O-C(O)-R3]n-OH
[式中、n は 1〜5 の整数、好ましくは 1 又は 2、より好ましくは 2 であり、R1 は水素又はメチル、好ましくは水素であり、R2 は、2〜10 個、好ましくは 2〜4 個、より好ましくは 2 個の炭素原子を有する、アルキレン基又は置換アルキレン基(1〜12 個の炭素原子を有する 1 個以上のアルキル基、好ましくは 1 個のアルキル基、より好ましくは 1 個のメチル基で置換されていてよい。)を表し、R3 は、1〜12 個の炭素原子を有する 1 個以上のアルキル基で置換されていてよいが、好ましくは非置換である、3〜8 個、好ましくは 5 個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレン基を表す。]
に相当する1種以上のヒドロキシ官能性ラクトンエステル(メタ)アクリレートを含むヒドロキシル成分との反応生成物に基づく。
【0013】
適当なヒドロキシ官能性ラクトンエステル(メタ)アクリレートは、当技術分野で既知である。このエステル(以下、「ラクトン-アクリレート付加物」と称する。)は、適当なラクトンとアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとの反応によって調製される。
【0014】
ラクトン-アクリレート付加物の調製に使用されるラクトンは、一般に、式:
【化1】

[式中、R5 は、水素又は 1〜12 個の炭素原子を有するアルキル基であり、z は 2〜7 である。]
を有する。
【0015】
好ましいラクトンは、ε-カプロラクトン[式中、z は 4 であり、R5 の少なくとも 6 個は水素であり、存在するならその残りはアルキル基である。]である。好ましくは、置換基は 12 個超の炭素原子を含まず、ラクトン環上のこれら置換基の炭素原子総数は 12 を超えない。非置換ε-カプロラクトン、即ち、各々の R5 が水素であるε-カプロラクトンは、6-ヒドロキシヘキサン酸の誘導体である。非置換及び置換の両方のε-カプロラクトンは、対応するシクロヘキサノンと過酢酸のような酸化剤との反応によって得られる。
【0016】
本発明のラクトン-アクリレート付加物の調製に最も適当であると考えられる置換ε-カプロラクトンは、アルキル基が 1〜12 個の炭素原子を有する各種ε-モノアルキルカプロラクトン、例えば、ε-メチル-カプロラクトン、ε-エチル-カプロラクトン、ε-プロピル-カプロラクトン、及びε-ドデシル-カプロラクトンである。両方がω炭素原子上ではない同じ又は異なった炭素原子上で 2 個のアルキル基により置換されている、ε-ジアルキルカプロラクトンも適当である。
【0017】
ω炭素原子が二置換されずにラクトン環の 2 又は 3 個の炭素原子が置換されている、ε-トリアルキルカプロラクトンも適当である。最も好ましいラクトン出発反応体は、ε-カプロラクトン[ラクトンの式中、z は 4 であり、各 R5 は水素である。]である。
【0018】
ラクトン-アクリレート付加物の調製に利用されるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルは、1〜3 個、好ましくは 1 個のアクリリル基又はα-置換アクリリル基、及び 1 個のヒドロキシル基を有する。このようなエステルは、市販されているか、及び/又は容易に合成できる。市販のエステルは、アルキル基が 2〜10 個、好ましくは 2〜4 個の炭素原子を有する、ヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルメタクリレートを含む。ヒドロキシアルキルアクリレート及びヒドロキシアルキルメタクリレートは、以下の式:
CH2=CR1-C(O)O-R2-OH
[式中、R1 は水素又はメチルであり、R2 は、2〜10 個、好ましくは 2〜4 個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキレン基である。]
を有する。
【0019】
適当なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの例は、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシペンチルアクリレート、6-ヒドロキシノニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、2-ヒドロキシペンチルメタクリレート、5-ヒドロキシペンチルメタクリレート、7-ヒドロキシヘプチルメタクリレート及び 5-ヒドロキシデシルメタクリレートを含む。
【0020】
好ましいラクトン-アクリレート付加物は、式:
CH2=CR1-C(O)O-R2-(O-C(O)R3)2-OH
[式中、R1、R2 及び R3 は、前記のとおりである。]
を有する。
【0021】
ラクトン-アクリレート付加物 B-i)は、約 200 ppm 未満の触媒の存在下、ラクトンと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応によって調製される。使用され得る触媒は、1種以上の、有機金属化合物、塩化第二スズ又は塩化第二鉄のような他の金属化合物、及び他のルイス酸又はプロトン酸を含む。好ましい触媒は、オクチル酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、及び他のスズ化合物、並びにテトライソプロピルチタネート及びブチルチタネートのようなチタネートである。
【0022】
反応は、約 100〜400 ℃、好ましくは約 120〜130 ℃の温度で行うことができる。反応は大気圧で行い得るが、高圧又は低圧を用いてもよい。反応は、一般に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの重合を禁止するために、酸素の存在下で行う。反応は一般に、約 2〜20 時間行う。ラクトンのエステル中ヒドロキシル基に対するモル比は、約 1:0.1〜1:5、好ましくは約 1:0.3〜1:3 である。
【0023】
反応は、ヒドロキシアルキルアクリレート二重結合の重合を防ぐために、適当な重合禁止剤の存在下で行う。適当な重合禁止剤は、ヒドロキノンのモノメチルエーテル、ベンゾキノンのモノメチルエーテル、フェノチアジン、メチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルキノン、ヒドロキノン、ベンゾキノン、及び当技術分野で既知の他の一般的なラジカル重合禁止剤を含む。使用される重合禁止剤の濃度は、1,000 ppm 未満、好ましくは 800 ppm 未満、より好ましくは 600 ppm 未満である。
【0024】
本発明での使用に好ましいラクトン-アクリレート付加物の例は、式:
CH2=CH-C(O)O-CH2-CH2-(O-C(O)(CH2)5)2-OH
を有する、商品名 TONE M-100 で Dow 社によって供給されているカプロラクトン-2-ヒドロキシエチルアクリレート付加物である。
【0025】
本発明の好ましい態様において、ラクトン-アクリレートは、アクリレート基 1 個あたり平均で2分子のラクトンを含むが、有用な生成物は、アクリレート基 1 個あたり 1〜5 個のラクトン単位を有し得るか、又は 1〜5 個のラクトン単位を有する化合物の混合物であり得る。ε-カプロラクトンに加えて、ラクトン単位は、他のラクトン、例えば、β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ブチロラクトン、z-エナントラクトン及びエタカプリロラクトン、又は置換ラクトン、例えば、6-メチル-ε-カプロラクトン、3-メチル-ε-カプロラクトン、5-メチル-ε-カプロラクトン、4-メチル-δ-バレロラクトン及び 3,5-ジメチル-ε-カプロラクトンから誘導することができる。
【0026】
ヒドロキシ官能性ラクトンエステル(メタ)アクリレート B-i)は、成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいて、5〜100 ヒドロキシル当量%、好ましくは 30〜100 ヒドロキシル当量%、より好ましくは 50〜100 ヒドロキシル当量%の量で存在する。ヒドロキシ官能性ラクトンエステル(メタ)アクリレートを NTI と反応させるために単独で使用し得る一方で、成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいて、95 ヒドロキシル当量%まで、好ましくは 70 ヒドロキシル当量%まで、より好ましくは 50 ヒドロキシル当量%までの他のモノヒドロキシ官能性エチレン性不飽和化合物 B-ii)も使用し得る。成分 B-ii)が存在する場合、好適には、成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいて、少なくとも 10 ヒドロキシル当量%、より好ましくは少なくとも 30 ヒドロキシル当量%、最も好ましくは少なくとも 50 ヒドロキシル当量%の量で存在する。
【0027】
モノヒドロキシ官能性エチレン性不飽和化合物 B-ii)の例は、ラクトン-アクリレート付加物 B-i)の調製に適当であるとして先に記載したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;好ましくはプロピレンオキシド又はエチレンオキシドによる、これらヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのアルコキシル化生成物;(メタ)アクリル酸と過剰量の高官能性飽和アルコールとの反応生成物、例えば、グリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレート、並びに対応するメタクリレート;好ましくは 5〜14 個の炭素原子を有し、少なくとも 1 個、好ましくは少なくとも 2 個のβ,γ-エチレン性不飽和エーテル基を有するβ,γ-エチレン性不飽和エーテルアルコール、例えばアリルアルコール、グリセロールジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル;ヒドロキシアルキルビニルエーテル、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル及び 4-ヒドロキシブチルビニルエーテル;及び(メタ)アクリル酸とモノエポキシ化合物との反応生成物を含む。
【0028】
ヒドロキシル化合物 B-iii)も、ヒドロキシル成分 B)としての使用に適しており、これは、飽和ヒドロキシル化合物、及び少なくとも 2 個のヒドロキシル基を有するヒドロキシ官能性エチレン性不飽和化合物を含む。ヒドロキシル化合物 B-iii)は、成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいて、20 ヒドロキシル当量%まで、好ましくは 10 ヒドロキシル当量%まで、より好ましくは 5 ヒドロキシル当量%までの量で存在する。
【0029】
飽和ヒドロキシル化合物の例は、32〜400 の数平均分子量を有する、一価から三価、好ましくは一価及び二価の脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-ヘキサノール、イソオクタノール、イソドデカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、グリセロール、及びアルコキシル化によってこれらアルコールから得られたアルコールを含む。少なくとも 2 個のヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の例は、トリメチロールプロパンモノアクリレート及びモノアリルエーテル、並びにペンタエリスリトールジアクリレート及びジアリルエーテルを含む。
【0030】
エチレン性不飽和ポリウレタンを調製するために、NTI を、一般に、約 40〜90 ℃、通常約 60 ℃の温度に加熱する。この時点で、触媒量のウレタン触媒、例えばジラウリン酸ジブチルスズ及び/又は阻害剤を添加し得、続いて、ラクトン-アクリレート付加物 B-i)並びに任意にヒドロキシル成分 B-ii)及び B-iii)を、所望の反応温度を維持する速度で添加し得る。ヒドロキシル成分 B)のヒドロキシル基数に対する NTI のイソシアネート基数が基本的に当量となるように、即ち、NCO:OH 当量比が、1.10:1〜1:1.10、好ましくは 1.05:1〜1:1.05、より好ましくは 1.02:1〜1:1.02 となるように、反応体の量を選択する。
【0031】
反応温度は、約 2〜4 時間維持するか、又は NCO 含有量が、例えばジブチルアミンでの滴定による測定で、0.5 重量%未満、好ましくは 0.3 重量%未満になるまで維持する。イソシアネート含有量が高すぎる場合は、残留イソシアネート基と反応させるために、追加量のヒドロキシル成分 B)を添加できる。その後、貯蔵前に生成物を冷却する。
【0032】
ラクトンエステルの製造及び/又はラクトンエステルとイソシアネートとの反応生成物についての更なる詳細は、米国特許第 4,188,472 号明細書、同第 4,340,497 号明細書、同第 4,429,082 号明細書、同第 4,504,635 号明細書、同第 4,683,287 号明細書、同第 6,465,539 号明細書及び同第 6,534,128 号明細書(これら特許の全てを引用してここに組み込む。)、国際公開第 97/04881 号パンフレット、同第 03/027162 号パンフレット、及びドイツ国特許出願公開第 2,914,982 号明細書に見られる。
【0033】
本発明のエチレン性不飽和ポリウレタンは、イソシアネート基を実質上含まず、1〜12 重量%、好ましくは 2〜10 重量%、より好ましくは 3〜10 重量%のエチレン性不飽和基総含有量(C=C、MW 24 として算出)を有する。
【0034】
本発明のエチレン性不飽和ポリウレタンは、好ましくは、25 ℃で 15,000 mPa・s 未満、より好ましくは 10,000 mPa・s 未満の粘度を有する。好ましくは、これらの粘度は、正味の樹脂、即ち、溶媒又は共重合性モノマーを含まない樹脂について得られる。
【0035】
本発明のエチレン性不飽和ポリウレタンを本発明のコーティング組成物に使用する前に、既知の添加剤と混合してもよい。これら添加剤の例は、湿潤剤、流れ制御剤、皮張り防止剤、消泡剤、艶消剤(例えば、シリカ、ケイ酸アルミニウム及び高沸点ワックス)、粘度調整剤、顔料(有機顔料及び無機顔料の両方を含む)、染料、紫外線吸収剤、並びに熱及び酸化分解に対する安定剤を含む。
【0036】
他の添加剤は、有機溶媒及び/又は共重合性モノマー、好ましくは共重合性モノマーを含む。適当な溶媒の例は、ポリウレタンコーティング技術分野で既知の溶媒、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、酢酸ブチル、酢酸エチル、エチルグリコールアセテート、メトキシプロピルアセテート(MPA)、アセトン、メチルエチルケトン及びこれらの混合物を含む。
【0037】
適当な共重合性モノマーは、1〜4 個、好ましくは 2〜4 個のエチレン性不飽和基を有し、好ましくは、23 ℃で 1,000 mPa・s 以下、より好ましくは 500 mPa・s 以下の粘度を有する有機化合物、例えば、2〜6 個の炭素原子を有するグリコール並びに 3〜4 個のヒドロキシル基及び 3〜6 個の炭素原子を有するポリオールの、ジアクリレート、ポリアクリレート、ジメタクリレート及びポリメタクリレートから選ばれる。
【0038】
共重合性モノマーの例は、エチレングリコールジアクリレート、プロパン-1,3-ジオールジアクリレート、ブタン-1,4-ジオールジアクリレート、ヘキサン-1,6-ジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレート、並びに対応するメタクリレートを含む。エチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオールで開始したポリエーテルグリコールのジ(メタ)アクリレート;1 mol のトリメチロールプロパンと 2.5〜5 mol のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応生成物のトリアクリレート;並びに 1 mol のペンタエリスリトールと 3〜6 mol のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応生成物のトリアクリレート及びテトラアクリレートも適当である。他の共重合性モノマーは、スチレンのような芳香族ビニル化合物;ビニルブチルエーテル又はトリエチレングリコールジビニルエーテルのようなビニルアルキルエーテル;及びトリアリルイソシアヌレートのようなアリル化合物を含む。好ましくは、共重合性モノマーは、2 以上の官能価を有する。
【0039】
共重合性モノマーも不活性有機溶媒も存在する必要はないが、好ましくは、本発明のコーティング組成物には、少なくとも一方が存在する。共重合性モノマー及び不活性有機溶媒は、樹脂固形分に基づいて、200 重量%、好ましくは 100 重量%、より好ましくは 50 重量%の最大総量で存在する。存在する場合、共重合性モノマー及び不活性有機溶媒の最小配合量は、樹脂固形分に基づいて、少なくとも 5 重量%、好ましくは少なくとも 10 重量%、より好ましくは少なくとも 15 重量%である。
【0040】
本発明のコーティング組成物は、木材、プラスチック、皮革、紙、繊維製品、ガラス、セラミック、石膏、石材、金属及びコンクリートのような、あらゆる種類の基材を被覆するために使用できる。該コーティング組成物は、吹付塗り、引き塗り、流し塗り、流延、浸漬、ロール塗りのような標準的な方法によって塗布できる。該コーティング組成物は、透明ラッカー又は着色ラッカーであり得る。
【0041】
使用した不活性溶媒の一部又は全てを任意に蒸発させた後、塗膜を、高エネルギー放射線、或いは紫外線又は可視光線のような低エネルギー放射線(好ましくは少なくとも 320 nm の波長を有し、より好ましくは約 320〜500 nm の波長を有する)、電子線、ガンマ線、水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、太陽光及び放射線源を用いることによる;過酸化物又はアゾ化合物の存在下で高温に加熱することによる;高温或いは室温又は室温より低い温度で、ドライヤーの酸金属塩及び任意に(ヒドロ)ペルオキシドを用いて硬化することによる、ラジカル重合によって架橋することができる。
【0042】
塗膜を紫外線照射によって架橋する場合、光開始剤をコーティング組成物に添加する。適当な光開始剤は既知であり、J. Korsar 著、"Light-Sensitive Systems"、J. Wiley & Sons、ニューヨーク-ロンドン-シドニー、1976 年、及び Houben-Weyl、Methoden der Organischen Chemie、E 20 巻、80 頁以下、Georg Thieme Verlag、シュトゥットガルト、1987 年に記載されているものを含む。
【0043】
特に適当な光開始剤は、ベンゾインイソプロピルエーテルのようなベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタールのようなベンジルケタール類、及び 1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オンのようなヒドロキシアルキルフェノン類を含む。光開始剤は、用途に応じて、エチレン性不飽和ポリウレタン及び他の共重合性モノマーの重量に基づいて、0.1〜10 重量%、好ましくは 0.1〜5 重量%の量で添加され得る。有利な相乗効果を得るために、光開始剤を個々に添加してもよいし、又は混合物として使用してもよい。
【0044】
高温でコーティング組成物を硬化するには、エチレン性不飽和ポリウレタンの重量に基づいて、0.1〜10 重量%、好ましくは 0.1〜5 重量%の、過酸化物又はアゾ化合物のような開始剤の存在下で硬化を行わなければならない。高温でコーティング組成物を硬化するためには、80〜240 ℃、好ましくは 120〜160 ℃の温度が必要である。
【0045】
適当な開始剤は、既知のラジカル開始剤、例えば、アゾジイソブチロニトリル、アゾ-ビス-2-メチル-バレロニトリル、1,1'-アゾ-ビス-1-シクロヘキサンニトリル、及びアルキル-2,2'-アゾ-ビス-イソブチレートのような脂肪族アゾ化合物;アセチルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド又はブチリルペルオキシド、ブロモ基、ニトロ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されているベンゾイルペルオキシド、及びラウリルペルオキシドのような対称ジアシルペルオキシド;ジエチルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート及びジベンゾイルペルオキシジカーボネートのような対称ペルオキシジカーボネート;t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート及び t-ブチルペルベンゾエート;t-ブチルヒドロペルオキシド及びクメンヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド;及びジクミルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド又はジ-t-ブチルペルオキシドのようなジアルキルペルオキシドを含む。
【0046】
本発明のコーティング組成物は、イソシアネート基の一部がβ,γ-エチレン性不飽和エーテルアルコールと反応しておれば、ドライヤー及び任意に(ヒドロ)ペルオキシドの存在下、室温でも硬化され得る。この方法によってアクリロイル基を硬化することはできないが、アリルエーテル基を開始させたなら、アリルエーテル基が(メタ)アクリロイル基と反応できる。
【0047】
適当なドライヤーは既知であり、亜麻仁油脂肪酸、トール油脂肪酸及び大豆油脂肪酸のような酸;アビエチン酸及びナフテン酸のような樹脂酸;酢酸;イソオクタン酸;塩酸及び硫酸のような無機酸の、金属塩、好ましくはコバルト塩又はバナジウム塩を含む。コーティング組成物に可溶であり、ドライヤーとして作用する、コバルト及びバナジウム化合物が特に好ましく、上記酸の塩、及び Akzo 社によって販売されている "Vanadiumbeschleuniger VN-2(Vanadium Accelerator VN-2)" のような市販品も含む。ドライヤーは一般に、金属含有量がエチレン性不飽和ポリウレタンの重量に基づいて 0.0005〜1.0 重量%、好ましくは 0.001〜0.5 重量%となるような量で、有機溶液として使用される。
【0048】
(ヒドロ)ペルオキシドの例は、ジ-t-ブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジノニルペルオキシド、ビス-(4-t-ブチルシクロヘキシル)-ペルオキシ-ジカーボネート、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ヒドロペルオキシド及びジイソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシドを含む。(ヒドロ)ペルオキシドは、好ましくは、エチレン性不飽和ポリウレタンの重量に基づいて 1〜10 重量%の量で使用される。
【0049】
コバルト及び過酸化物の存在下で硬化する場合、コーティング組成物は、一般に、20 ℃で 1〜24 時間かけて硬化し、高品質塗膜を形成する。しかしながら、硬化は、低温(例えば -5 ℃)で、又は 130 ℃までの高温で迅速に行うこともできる。
【0050】
(使用した放射線の種類に拘わらず)完全に硬化させる場合、塗膜は、従来の塗膜に少なくとも匹敵する硬度及び耐衝撃性を示す。
【0051】
以下の実施例及び比較例は、範囲を限定することなく本発明を説明することを目的としている。「部」及び「%」で示した全ての量は、特に記載のない限り重量による。
【実施例】
【0052】
NTI:4-イソシアナトメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート、NCO 含有量は 50.2 %、25 ℃での粘度は 10 mPa・s 未満。
HDI:1,6-ジイソシアナトヘキサン、NCO 含有量は 50.0 %、25 ℃での粘度は 20 mPa・s 未満。
ポリイソシアネート 3600:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートから調製され、約 23 %のイソシアネート含有量、0.25 %未満の単量体ジイソシアネート含有量及び 23 ℃で 1,200 mPa・s の粘度を有する、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(Desmodur N 3600 として Bayer Material Science 社から入手可能)。
ポリイソシアネート 2410:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートから調製され、23.6 %のイソシアネート含有量、0.30 %未満の単量体ジイソシアネート含有量及び 25 ℃で 640 mPa・s の粘度を有する、イソシアヌレート基及びイミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネート(Desmodur XP 2410 として Bayer Material Science 社から入手可能)。
ポリイソシアネート 2580:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートから調製され、19.4 %のイソシアネート含有量、0.30 %未満の単量体ジイソシアネート含有量及び 25 ℃で 350 mPa・s の粘度を有する、アロファネート基及びイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(Desmodur XP 2580 として Bayer Material Science 社から入手可能)。
OH 官能性アクリレート M 100:233 のヒドロキシル当量を有し、式:
CH2=CH-C(O)O-CH2-CH2-(O-C(O)(CH2)5)2-OH
に相当する、カプロラクトン-2-ヒドロキシエチルアクリレート付加物(Tone M 100 として Dow 社から入手可能)。
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
【0053】
実施例1-(比較例)-不飽和ポリウレタンの調製
撹拌機、加熱マントル及び冷却器を備えた3ツ口フラスコに、約 342 部(1.91 当量)のポリイソシアネート 3600、及び約 658 部(1.91 当量)の OH 官能性アクリレート M 100 を導入した。次いで、5 滴のジラウリン酸ジブチルスズを添加し、反応混合物を 60 ℃まで発熱させた。約 5 時間後、反応混合物を室温まで冷却した。生成物は、0.19 重量%の NCO 含有量(FTIR によって測定)、及び 25 ℃で 22,600 mPa・s の粘度を有していた。
【0054】
実施例2〜11-エチレン性不飽和ポリウレタンの調製
最終生成物の重量に基づいて、1 当量のポリイソシアネート、及び 0.1 %のジラウリン酸ジブチルスズを丸底フラスコに導入した。フラスコは、オーバーヘッド撹拌機、空気吸入口、熱電対、温度調節器、加熱マントル及び冷却器を備えていた。ポリイソシアネートを 60 ℃まで加熱し、次いで、温度が 60 ℃を超えないように、乾燥空気を供給しながら、1 当量のヒドロキシ官能性エチレン性不飽和化合物を、撹拌されているフラスコに徐々に添加した。添加完了後、FTIR 分析により NCO ピークがもはや現れなくなることによって又は滴定によって確定されるが、イソシアネート含有量が 0.3 重量%未満になるまで、温度を 60 ℃で 2 時間維持した。ポリイソシアネート、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和化合物、得られたエチレン性不飽和ポリウレタンの粘度及び算出したエチレン性不飽和基含有量(C=C、MW 24)を、表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
上記表は、NTI 及び OH 官能性アクリレート M 100 のみ、又はそれらとヒドロキシエチルアクリレートとの混合物から調製した不飽和ポリウレタンのいずれ(実施例2〜7)もが、25 ℃で低粘度の樹脂であることを示している。これらの樹脂を、HDI、他の脂肪族ジイソシアネート及び OH 官能性アクリレート M 100 から調製した不飽和ポリウレタン(実施例9)と比較するとき、これらが液体であるという事実は意外である。実施例2〜7の不飽和ポリウレタンの粘度を、NTI 及びヒドロキシエチルアクリレートから調製した不飽和ポリウレタン(実施例8)の粘度と比較すると、これらの樹脂がこのような低粘度を有するという事実は意外である。また、本発明の不飽和ポリウレタンの粘度は、他の低粘度ポリイソシアネートから調製した不飽和ポリウレタン(実施例1、10及び11)の粘度よりも低い。
【0057】
実施例12〜21-不飽和ポリウレタンから製造した塗膜
塗膜を、以下の配合を用いて、実施例1〜8、10及び11の不飽和ポリウレタンから製造した。
【表2】

【0058】
組成物を、4 mil の湿潤フィルム厚でガラス板上に塗布し、25.4 cm/4 分の高度で 450 ワット電球の下、紫外線硬化させた。各塗膜を硬化するために供給したエネルギーを、Power Puck 2000 測定装置(IET Instrument Markets 社から入手可能)で測定した。エネルギー量を以下の表に示す。
【表3】

【0059】
コーティング組成物を調製するために使用した不飽和ポリウレタン、及び得られた塗膜の振子硬度を、表2に示す。
【表4】

【0060】
コーティング組成物を調製するために使用した不飽和ポリウレタン、及び得られた塗膜の耐溶剤性を、表3に示す。
【表5】

【0061】
表2及び表3は、本発明の不飽和ポリウレタン(実施例2〜7)から製造した塗膜が、比較の低粘度ポリイソシアネートから調製した不飽和ポリウレタン(実施例1、10及び11)に基づく塗膜と同等の、そしてほとんどの場合はより優れた硬度及び耐溶剤性を有することを示している。
【0062】
本発明は、説明の目的で上記に詳細を記載したが、このような詳細は、説明の目的のためだけであり、請求項によって限定される以外は、本発明の意図及び範囲から外れることなく、当業者によって変化をなし得ることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基を実質上含まず、25 ℃で液体であり、1〜12 重量%のエチレン性不飽和基総含有量(C=C、MW 24 として算出)を有し、
A)4-イソシアナトメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート(NTI)と、
B)i)5〜100 ヒドロキシル当量%の、約 200〜1,000 の数平均分子量を有し、式:
CH2=C(R1)-C(O)-O-R2-[O-C(O)-R3]n-OH
[式中、n は 1〜5 の整数であり、R1 は水素又はメチルであり、R2 は、2〜10 個の炭素原子を有する、アルキレン基又は置換アルキレン基(1〜12 個の炭素原子を有する 1 個以上のアルキル基で置換されていてよい。)を表し、R3 は、1〜12 個の炭素原子を有する 1 個以上のアルキル基で置換されていてよい、3〜8 個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレン基を表す。]
を有する1種以上のヒドロキシ官能性ラクトンエステル(メタ)アクリレート、
ii)成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいて 95 ヒドロキシル当量%までの、成分 B-i)以外のモノヒドロキシ官能性エチレン性不飽和化合物、及び
iii)成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいて 20 ヒドロキシル当量%までの、成分 B-i)又は B-ii)以外の、飽和ヒドロキシル化合物又は不飽和ヒドロキシル化合物
からなるヒドロキシル成分
との反応生成物を含む、低粘度エチレン性不飽和ポリウレタンであって、
I)成分 B-i)、B-ii)及び B-iii)のヒドロキシル当量%が、成分 B-i)、B-ii)及び B-iii)の総重量に基づいて合計で 100 %になり、
II)成分 A)の成分 B)に対する NCO:OH 当量比が 1.10:1〜1:1.10 である、低粘度エチレン性不飽和ポリウレタン。
【請求項2】
成分 B-ii)が、式:
CH2=CR1-C(O)O-R2-OH
[式中、R1 及び R2 は請求項1で定義したとおりである。]
を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分 B-i)が 30〜100 ヒドロキシル当量%の量で存在し、成分 B-ii)が 70 ヒドロキシル当量%までの量で存在し、これらのパーセントが成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいている、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
成分 B-i)が 30〜100 ヒドロキシル当量%の量で存在し、成分 B-ii)が 70 ヒドロキシル当量%までの量で存在し、これらのパーセントが成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいている、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
成分 B-i)が 50〜100 ヒドロキシル当量%の量で存在し、成分 B-ii)が 50 ヒドロキシル当量%までの量で存在し、これらのパーセントが成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいている、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
成分 B-i)が 50〜100 ヒドロキシル当量%の量で存在し、成分 B-ii)が 50 ヒドロキシル当量%までの量で存在し、これらのパーセントが成分 B)の総ヒドロキシル当量に基づいている、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
n が 1 又は 2 であり、R2 がメチル基で置換されていてよい C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
n が 1 又は 2 であり、R2 がメチル基で置換されていてよい C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
n が 1 又は 2 であり、R2 がメチル基で置換されていてよい C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項10】
n が 1 又は 2 であり、R2 がメチル基で置換されていてよい C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項11】
n が 1 又は 2 であり、R2 がメチル基で置換されていてよい C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
n が 1 又は 2 であり、R2 がメチル基で置換されていてよい C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
n が 2 であり、R1 が水素であり、R2 が C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
n が 2 であり、R1 が水素であり、R2 が C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
n が 2 であり、R1 が水素であり、R2 が C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項16】
n が 2 であり、R1 が水素であり、R2 が C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項17】
n が 2 であり、R1 が水素であり、R2 が C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項18】
n が 2 であり、R1 が水素であり、R2 が C2-アルキレンであり、R3 が C5-アルキレンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項19】
請求項1に記載のエチレン性不飽和ポリウレタンを含む一液型コーティング組成物。

【公開番号】特開2007−2254(P2007−2254A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−174947(P2006−174947)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】