説明

低粘度押出成形および射出成形のためのカルコゲナイドガラス

【課題】押出および射出成形を含む様々なポリマー成形プロセスに使用するのに適したガラスからなる精密光学要素を提供する。
【解決手段】微細または超微細いずれかの微小構造を有するカルコゲナイドガラス体を有してなり、このカルコゲナイドガラスは、一般化学式YZを有し、ここで、YはGe,As,Sbまたはこれら2つ以上の混合物であり、ZはS,Se,Teまたはこれら2つ以上の混合物であり、原子または元素パーセントで表して、Yは15〜70%の範囲にあり、Zは30〜85%の範囲にあり、GeがAsおよびSbの内の一方または両方と混合された場合には、Geの量は、0<Ge<25%の範囲にあり、また、このカルコゲナイドガラスは、500℃以下で10,000ポアズ以下の粘度を有し、1000〜10,000s-1の範囲の剪断速度下で結晶化に耐性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学成分および非酸化物ガラス材料を用いたその製造に関する。本発明は、特に、低いガラス転移温度(Tg)を有するカルコゲナイドガラスであって、射出成形、押出成形、エンボス加工、熱成形、ブロー成形、回転成形および当該技術分野で公知の同様の方法などの従来のプラスチック成形技法により加工できるカルコゲナイドガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
光学成分は、センサ、イメージ・プロジェクタ、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ・ディスプレイ、および電子発光ディスプレイ)、並びに通信用の光電子素子を含む、数多くの多様な技術に様々な用途が見出されている。通信産業自体が発展するにつれて、微小構造を含む精密な光学要素を開発する必要性が増す。通信素子において、例えば、ファイバとレーザ・カプラ、光スイッチに、またはWDM用途の回折格子、および波長管理モジュールまたはコリメータ用途のための密に充填されたマイクロレンズ・アレイ(MLA)として、光学要素は用いられるであろう。精密な光学要素には、高度に研磨された表面または精密な表面形状と品質が必要である。これらの表面は、互いに対して適切な幾何学関係で製造されることが要求される。光学要素を通信用途に使用すべき場合、それらの要素は、制御された均一かつ等方性の屈折率を持つ材料から調製される。
【0003】
複雑な精密光学要素を製造するために、様々な方法および材料が用いられるであろう。しかしながら、光学要素を製造するための従来の機械加工プロセスの大半は、非常に小さな特徴を製造するのに適していない。500マイクロメートル以下の表面特徴または寸法を有する成分は、一般に、適用性の限られたいくつかの方法によってしか製造できない。ポリマーを用いた微小構造表面の製造は、集積回路を製造するために半導体産業で開発されたプロセス、例えば、ミリメートル未満の表面特徴を有する構造を形成するためのフォトリソグラフィーおよびイオンエッチング技法に由来する。しかしながら、これらの方法は、大規模製造には適していない。微小構造をエッチングするのに要するプロセス所要時間は、微小構造の要求される総深さに比例して依存する。さらに、そのような方法は、高価なだけでなく、限られた範囲の特徴タイプしか製造できない。エッチングプロセスは、粗い表面を製造し得るので、特に厄介である。その結果、滑らかな凹面または凸面のプロファイル、もしくは真の柱形プロファイルは、上述した2つの技法のいずれを用いても容易には達成できない。
【0004】
その一方で、プラスチックまたはガラス材料の成形または熱エンボス加工は、マイクロメートルからマイクロメートル未満のサイズの特徴を形成できる。プラスチックは、成形型に従い、複雑な設計または微細な微小構造を忠実に再現できる。残念ながら、多くの通信用途に関して、プラスチック材料は、様々な欠点のために理想的ではない。例えば、プラスチック材料は、機械的性質が限られており;長い間に、環境劣化に耐えるほど十分に頑丈ではなくなることが多く;熱膨張係数が大きく(これにより、屈折率と容積が変化し得る);プラスチック光学デバイスは、湿度または高温への長い曝露に耐えられないことが多いことが分かった。これらの全てによって、プラスチック光学デバイスが有用であろう温度範囲が限られてしまう。
【0005】
本発明のカルコゲナイドガラスとは異なり、プラスチック材料は、赤外(「IR」)における透明性が完全ではない。その結果、プラスチックが吸収するIR範囲におけるレンズまたは他の光学デバイスを形成するために、プラスチック材料を使用することはできない。さらに、プラスチックは、プラスチック成分の表面特徴を劣化させ、その屈折率を変化させる(その両方とも、光学に関しては許容できない)材料の内部加熱のために、ハイパワーの光を透過できない。さらに、光学用途のプラスチック材料は、限られた範囲の分散および屈折率でしか利用できないので、プラスチックは制限された透過範囲しか提供できない。その結果、限られた通信帯域幅内でさえ、プラスチック材料の有用性は、内部応力を蓄積する傾向によって限られてしまう。これは、使用中に透過光の歪みとなる条件である。多くのプラスチックは、引っ掻き傷が付き易く、黄変したり、ヘイズや複屈折を生じる傾向にある。耐摩耗コーティングおよび反射防止コーティングを適用しても、プラスチック材料のこれらの欠点は完全には解決されない。最終的に、多くの化学薬品や環境要因によりプラスチックは劣化する。このために、プラスチックを効果的に洗浄することが難しくなる。
【0006】
プラスチックと比べて、ガラスは、光学材料としての使用により適した性質を有する。ガラスは、通常、プラスチック材料の欠点がなく、有害な環境条件や動作条件により一層耐えることができる。それゆえ、ガラスはより好ましい材料であり、ガラス光学成分は、プラスチックから製造されたものとは異なる部類のデバイスを示す。しかしながら、ガラスを使用する成形プロセスの要件は、プラスチックのものよりも厳しい。
【0007】
ガラスの精密な光学要素は、通例、2つの複雑な多段階プロセスの内の1つによって製造される。第1の方法において、ガラスバッチは高温で溶融され、溶融物が、制御された均一な屈折率を有するガラス体または塊に形成される。その後、ガラス体は、所望の最終物品に近い形状を形成する再圧縮技法を用いて二次成形してもよい。しかしながら、製造のこの段階でのガラス体の表面品質および仕上げ状態は、イメージ形成光学素子にとって適していない。その結果、粗い物品は、適切な屈折率を生じさせるように巧妙にアニールされ、表面特徴は、従来の研削および研磨手法によって改善される。第2の方法において、ガラス溶融物はバルク体に形成される。このバルク体は、直ちに巧妙にアニールされ、切断され、所望の形状の物品に研削される。これらの方法の両方とも、制限がある。研削および研磨は、比較的単純な形状、例えば、平面、球形、および放物面の製造に限られる。他の形状および一般の非球面は、研削するのが難しく、研磨するのは複雑である。一方で、ガラスを加熱加圧成形するための従来の技法では、クリアなイメージ形成または伝送用途に要求される精密な表面特徴および品質が提供されない。表面と表面特徴における冷却皺の存在が許容できない欠陥である。
【0008】
従来より、ガラス成形には他の問題が数多くある。一般に、ガラスを成形するためには、成形型により画成されるような要求されるプロファイル中にガラスを従わせるまたは流入させるように、典型的に約700℃または800℃より高い高温を使用しなければならない。しかしながら、そのような比較的高い温度では、ガラスは化学的に非常に反応性になる。この反応性のために、ガラスの成形には、不活性接触表面を持つ耐火性の高い成形型、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素または他のセラミック材料、鉄アルミナイドなどの合金材料、およびタングステンなどの硬質材料の成形型が必要とされる。しかしながら、多くの場合、そのような材料は、満足な光学品質の表面仕上げを行うための十分な表面平滑性を達成できない。精密な光学要素には、精密な微小構造と品質の高度に研磨された表面が必要である。金属製成形型は、高温で変形し、再結晶化し得る。これらの両方は、成形されている物品の表面品質と光学品質に悪影響を与え得る。これは、成形型を修復し維持するための追加の費用と、製品における高い欠陥率を意味する。第2に、高温でのガラスの反応性のために、成形は、不活性雰囲気で行わなければならない。このため、プロセスが複雑になり、費用が増す。第3に、成形された物品中に気泡が捕捉される可能性が、高温成形の別の欠点である。ガラス物品内に捕捉された気泡は、物品の光学的性質を低下させる。気泡は、イメージを歪ませ、一般に、光の透過を乱す。第4に、高温でさえも、高温ガラス成形では、回折格子に要求されるような複雑な高周波数のミリメートル未満の微小構造を形成できない。
【0009】
成形されたガラス物品も特許文献1〜5(全てコーニング・ガラス・ワークス社(Corning Glass Works)、今ではコーニング社(Corning Incorporated)に譲渡されている)に記載されている。しかしながら、これらのプロセスにおいて、成形は、108〜1012ポアズの範囲の超高粘度での圧縮(または圧縮成形)により行われる。例えば、非球面レンズは、成形型内で約109ポアズのガラス塊を加圧することによりこれらのプロセスを用いて形成できる。成形は、ガラスの結晶化を防ぐために、これらの超高粘度で行った。この成形プロセスでは、特許文献6に記載されたような組成を有するガラスを用いた。その組成は、アルカリ−Ta25−B23−P25ガラス組成である。これらは、非特許文献1による高剪断で結晶化することが分かったタイプの組成である。
【0010】
過去においては、既存の技法で使用できるガラスおよび/または新たな材料から製造される光学要素を製造するための成形技法を開発するために労力が払われてきた。本発明は、非常に微細な表面特徴、例えば、マイクロメートル未満の範囲の特徴を有するガラス要素の成形に適したガラス材料を開示した。その材料は、射出成形、押出成形、エンボス加工、熱成形、ブロー成形、回転成形および当該技術分野で公知の他の方法などの従来のプラスチック成形技法によって加工できるカルコゲナイドガラスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4481023号明細書
【特許文献2】米国特許第4929265号明細書
【特許文献3】米国特許第4897101号明細書
【特許文献4】米国特許第4747864号明細書
【特許文献5】米国特許第4734118号明細書
【特許文献6】米国特許第4323654号明細書
【非特許文献1】C.E.Crowder et al. "Melt crystallization of zinc alkali phosphate glasses", J.Non-Crystalline Solids, V.210(1997), pages 209-223
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、押出し、射出成形、エンボス加工、熱成形、ブロー成形、回転成形およびプラスチック加工装置を用いて他の様式で形成できるカルコゲナイドガラスに関する。本発明のガラスは一般化学式YZを有し、ここで、YはGe,As,Sbまたはこれら2つ以上の混合物であり、ZはS,Se,Teまたはこれら2つ以上の混合物である。本発明のカルコゲナイドガラスの成分は、Y=15〜70%およびZ=30〜85%の範囲の量(原子または元素パーセント)で存在する。さらに、本発明のガラスは、Ga,P,SnおよびInなどの追加の成分を1種類以上含有しても差し支えなく、これらの成分は、0〜10%の範囲の量で独立して存在する。各成分の合計は100%である。
【0013】
本発明はさらに、500℃以下で、好ましくは400℃以下で、約10,000ポアズ以下の粘度を有し、1000〜10,000s-1の範囲の高い剪断速度で加工したときに、結晶化に耐性であるカルコゲナイドガラスに関する。
【0014】
本発明はさらに、一般化学式YZを有するカルコゲナイドガラスであって、ここで、YはGe,As,Sbまたはこれら2つ以上の混合物であり、ZはS,Se,Teまたはこれら2つ以上の混合物であり、YおよびZは、Y=15〜70%およびZ=30〜85%の範囲の量(原子または元素パーセント)で存在するカルコゲナイドガラスから製造された光学要素に関する。さらに、本発明の光学要素を製造するために用いられるガラスは、Ga,P,SnおよびInなどの追加の成分を1種類以上含有してもよく、これらの成分は、0〜10%の範囲の量で独立して存在する。各成分の合計は100%である。
【0015】
本発明は、一般化学式YZを有するカルコゲナイドガラスであって、ここで、YはGe,As,Sbまたはこれら2つ以上の混合物であり、ZはS,Se,Teまたはこれら2つ以上の混合物であり、YおよびZは、Y=15〜70%およびZ=30〜85%の範囲の量(原子または元素パーセント)で存在するカルコゲナイドガラスを射出成形することによって光学要素を製造する方法にも関する。さらに、本発明の方法により光学要素を製造するために用いられるガラスは、Ga,P,SnおよびInなどの追加の成分を1種類以上含有してもよく、これらの成分は、0〜10%の範囲の量で独立して存在する。各成分の合計は100%である。
【0016】
本発明はさらに、押出および射出成形プロセスで使用できるカルコゲナイドガラス組成物に関する。特に、本発明のガラスは、プラスチック物品の低コスト製造に従来用いられる、連続スクリュー押出プロセス、並びにスクリュー射出成形プロセスに使用できる。
【0017】
本発明はさらに、カルコゲナイドガラスから光学要素を製造する方法において、
射出成形、押出し、エンボス加工、熱成形、ブロー成形、および回転成形を含む従来のプラスチック成形技法に用いられる装置、並びに当該技術分野において公知の他のプラスチック成形装置を提供し、
一般化学式YZを有するカルコゲナイドガラスであって、ここで、YはGe,As,Sbまたはこれら2つ以上の混合物であり、ZはS,Se,Teまたはこれら2つ以上の混合物であり、YおよびZは、Y=15〜70%およびZ=30〜85%の範囲の量(原子または元素パーセント)で存在するカルコゲナイドガラスを粒子形態で提供し、
カルコゲナイドガラスが、500℃未満の温度で10,000ポアズの粘度を持つ流体となるのに十分な温度で、選択された装置に粒子を装填し、
提供されたカルコゲナイドガラスを精密光学要素に成形し、
光学要素を装置から取り出す、
各工程を有してなる方法に関する。
【0018】
好ましい実施の形態において、提供されたカルコゲナイドガラスは、400℃未満の温度で10,000ポアズの粘度を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】表1に列記したカルコゲナイドガラスの粘度の温度依存性を示すグラフ
【図2】エンジニアリング・プラスチック材料(Radel A200Aポリスルホン)と比較したカルコゲナイドガラスの粘度(η)の剪断依存性を示すグラフ
【図3】カルコゲンの関数としてのカルコゲナイドガラスの透過率%対波長の変動を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここに記載したガラスの組成に関して、全ての組成は、原子/元素パーセントで示されている。
【0021】
ここに用いているように、「カルコゲナイドガラス」という用語は、少なくとも一種類の金属およびVIA族元素の硫黄、セレンおよびテルルの内の一種類以上を含有する非酸化物ガラスを意味する。カルコゲナイドガラスは一般に、赤外スペクトルの500〜20,000nmの範囲の電磁放射線(光)を透過させる。
【0022】
本発明のガラスは、一般化学式YZを有し、ここで、YはGe,As,Sbまたはこれら2つ以上の混合物であり、ZはS,Se,Teまたはこれら2つ以上の混合物である。本発明のカルコゲナイドガラスの成分は、本発明のカルコゲナイドガラスがAsおよびSbの一方または両方と共にGeを含有するときに、混合金属組成物中に存在するGeの量が0<Ge≦20%の範囲にあることを条件として、Y=15〜70%およびZ=30〜85%の範囲の量(原子または元素パーセント)で存在する。
【0023】
本発明のカルコゲナイドガラスは、必要に応じて、Ge,P,SnおよびInなどの追加の金属元素および/または非金属元素を、それぞれ独立して0<(元素)≦10%の範囲の量で一種類以上含有してもよい。カルコゲナイドガラスに必要に応じて加えても差し支えないさらに別の金属元素および非金属元素としては、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、銀(Ag)、ハロゲン(別々にまたは組合せでF,Cl,BrまたはI)、酸素(O)および任意のランタニド元素が挙げられる。存在する場合、それぞれが独立して0<(元素)≦0.5%の範囲の量で加えられるランタニド元素を除いて、これらの追加の随意的な元素の各々は、0<(元素)≦5%の範囲の量でガラス組成に独立して加えることができる。各組成は合計で100%になる。説明の目的で、40%のAs(金属元素)および60%のS(非金属元素)を含有する組成物を基礎ガラスとして使用して、随意的元素として、1%のGa(金属元素)、3%のI(非金属元素)および0.1%のEr(金属元素)を含有するガラスを調製してもよい。よって、得られたガラスは、38.9%のAs、1%のGa、および0.1%のErの金属組成(金属の合計=40%)、および5%のIおよび55%のSの非金属組成(非金属の合計=60%)を有し、組成の合計は100%になる。
【0024】
様々なプラスチック物品を製造するのに用いられる効率的かつ低コストの低温プロセス、例えば、射出成形は、多くの技術用途において、有機ポリマー材料でガラスを置き換えることができる。しかしながら、コストは別にして、ガラス物品は、特定の用途のための優れた物理的性質のために、多くの場合で好ましいであろう。ガラスを優れた材料とする特徴のいくつかを以下に挙げる:(1)対応するプラスチック要素よりも硬く、それゆえ、使用中に引っ掻き傷が付きにくい;(2)屈折率の温度依存性が、プラスチック材料よりもガラスのほうがずっと低い;(3)ガラスは、水分と気体に対して不浸透性である。しかしながら、低コストの射出成形プロセスを使用してガラス要素を製造することが可能であれば、そのような要素は、プラスチックの対応品と商業的に競合できるであろう。そのような要素の例としては、レンズ、プリズム、光スイッチ、回折格子、カプラ、センサ、光ファイバおよび選択された波長の光を検出、透過、多重化、逆多重化、増幅および他の様式で操作および/または透過させるのに用いられる他の要素が挙げられる。以下に説明するカルコゲナイドガラスは、例えば、制限を意図するものではなく、レンズ、マイクロレンズ、マイクロレンズのアレイ、ファイバ、回折格子、表面レリーフ・ディフューザおよびフレネル・レンズを製造するための押出成形および射出成形に適している。前記要素は、マイクロメートル未満の範囲にある微細なまたは超微細な構造、例えば、格子に存在する罫線を有していてもよい。
【0025】
典型的なプラスチック射出成形プロセスにおいて、熱可塑性材料が、高圧下で鋼材または他の適切な材料から製造された金型中に射出される。その材料が固化した後、金型を開き、金型の形状を持つ部品を取り出す。射出成形プロセスの詳細な説明、およびそのプロセスに用いられる設備が、the Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (electronic version), "Plastics Processing" by M.Xanthos and D.B.Todd, (John Wiley & Sons, copy right, 2002, posted online November 14, 2003), DOI (Digital Object Identifier)10,1002/0471238961.161201192401.aol.pub2, および追加の文献とその中に引用されたKirk-Othmer Sectionsに見つけられる。
【0026】
射出成形には、「ラム」プロセスと「スクリュー」プロセスの2つの基本的なタイプがある。ラム・プロセスでは、プランジャーの各ストロークにより、未溶融材料が、加熱されたシリンダ中に押し込まれる。このシリンダは、転じて、シリンダの前面で、溶融材料をノズルに通して押し出し、金型中に押し入れる。スクリュー・プロセスでは、未溶融の粒状材料が、オーガ・タイプの構成部材の回転によって、加熱されたシリンダを通して、前方に搬送される。この材料は、摩擦の作用、およびシリンダから伝達された熱によって粘性溶融物に転化される。スクリューの前方にある溶融材料は、別のプランジャー/ラムによって、またはスクリュー自体によって、金型中に射出される。スクリュー・タイプの射出成形機は、スクリュー・プロセスの優れた混合およびプロセスの一貫性のために、プランジャー・タイプの成形機にほとんど完全に取って代わった。
【0027】
ポリマー産業により実施されている射出成形プロセスは、典型的に、500℃の最高温度(ある高温材料について)で、好ましくは400℃の最高温度で運転される。したがって、ガラスを射出成形するために、ガラスは、400℃以下の10,000ポアズ温度を有する必要があり、またその10,000ポアズ温度において高い剪断速度(典型的に、1,000〜10,000s-1の範囲の剪断速度)で加工したときに、そのガラスは、結晶化に対して耐性である必要がある。以前の研究で、低いガラス転移温度(Tg)を有するメタリン酸塩ガラスおよびピロリン酸塩ガラスを押出成形および射出成形する可能性が探求された。しかしながら、示差走査熱量測定には明白な結晶化発熱がないにもかかわらず、これらのメタリン酸塩ガラスおよびピロリン酸塩ガラスは、必然的に、C.E.Crowder et al., "Melt crystallization of zinc alkali phosphate glasses", J.Non-Crystalline Solids, V.210 (1997), pages 209-223により説明されるように、押出機の高剪断環境において結晶化することが分かった。さらに、本願の発明者等の知る限りでは、本当のうまくいったガラスの低温(<400℃)射出成形の商業用途は公開された記録にはない。特開平10−139454号公報は、「弗燐酸系光学ガラスの射出成形方法」と題するものである。しかしながら、その公報は、金型表面からのガラスの離型を改善する方法を教示しているだけである。この方法は、ハロゲン含有ガラス組成物に特有なものである。さらに、特開平10−139454号公報において、射出成形は不連続のラムタイプ・プロセスを用いて行われた。このプロセスは、本発明に記載されたカルコゲナイドガラスについて示された成形プロセスよりもずっと費用効果的ではない。
【0028】
本発明は、特定のカルコゲナイドガラスの剪断減粘性挙動を示している。この挙動のために、カルコゲナイドガラスが射出成形に理想的な材料となる。具体的には、射出成形プロセスで、1550nmで動作する通信および赤外範囲で動作する熱センサに使用できる光学要素を製造する。キャピラリーレオメータで測定した剪断減粘性挙動、並びに加工温度での標準的な金属取付具との適合性に基づいて、ヒ素の豊富なセレン化物ガラスおよび硫化物ガラスが、通信波長、例えば、近赤外1550nm通信帯域での透過が可能なレンズなどのガラス物品の射出成形の候補として特定されている。
【0029】
表1には、本発明により製造された様々なカルコゲナイドガラスの組成が列記されている。試料の979BUGガラスは、85℃での85%相対湿度への1000時間の曝露(通信光学成分を評価するために用いられる標準的な85/85試験条件)後に変質していなかった。他のガラスも同様の耐久性を示すと予測される。表1には、剪断減粘性に関するキャピラリーレオメータ試験結果を得た温度(右側の列、T℃、押出/成形)が列記されている。この温度は、ガラスが10,000ポアズの粘度を有するおおよその温度である。レオメータ試験温度は、おおよその押出/成形温度にもほぼ対応する。
【表1】

【0030】
図1は、表1に列記されたカルコゲナイドガラスの粘度の温度依存性を示している。これらのガラスは全て、400℃未満の10,000ポアズ温度を示す。これらのガラスの内2つのガラス、979BUFおよび979BUGは、300℃未満の10,000ポアズ温度を示し、それゆえ、他のガラスの粘度もすべて溶融加工に適した範囲にあるが、これら2つのガラスが射出成形プロセスの優れた候補となる。
【0031】
図2は、300℃でキャピラリーレオメータにより測定されたカルコゲナイドガラス979BUGの剪断依存性(dη/dγ)を示しており、979BUGの挙動を、345℃で測定した押出可能かつ射出成形可能なポリスルホンポリマーRadel A200Aの挙動と比較している。図1から分かるように、カルコゲナイドガラスは、押出可能かつ射出成形可能なポリマー材料の剪断減粘性挙動特性を示す。さらに、979BUGの剪断誘発結晶化の形跡はない。そのような結晶化は、高い剪断速度での粘度の増加により示されていた。
【0032】
図3は、カルコゲン(S,SeまたはTe)の関数としてのカルコゲナイドガラスに関する透過率%(フレネル反射損失に関して未補正)対波長を示すグラフである。このグラフは、全てのカルコゲンガラスが、波長(λ)が2〜12.5μmのおおよその範囲にあるときに十分に透過性であることを示している。硫化物ガラスは、約12μmでカットオフ(最大透過率の50%)を示し、セレン化物ガラスは17μmで、テルル化物ガラスは約22μmでカットオフを示す。
【0033】
本発明のカルコゲナイドガラスは、当該技術分野において公知の手法にしたがって、選択された出発材料を混合することによって製造することができる。例えば、ガラスは、約600から1000℃の範囲の溶融温度で石英アンプル内で純粋な元素を溶融することによって製造できる。次いで、ガラスを急冷し、次いで、得られたガラス材料を粉々に破壊し、研磨し、押出機に使用するのに適した選択したサイズ範囲に篩分けする。得られた材料は、粉末または顆粒であってもよい。所望であれば、微細過ぎる粒子と大き過ぎる粒子をその後の調製に再利用しても差し支えない。しかしながら、本発明のプロセスに用いられる粒子は一般に、0.1〜4mmのサイズ範囲にあり、0.5〜4mmの範囲の粒子が好ましく、1から2mmの範囲の粒子がより好ましい。
【0034】
次いで、得られた粒子を、得られる材料が、1000〜10,000s-1の範囲の剪断速度で4000ポアズ未満の粘度を有するのに十分な温度で動作する押出機に装填して差し支えない。本発明のカルコゲナイドガラスについて、この温度は500℃未満であり、好ましくは400℃未満である。あるいは、押出機が最大限の加熱負荷を負うのを防ぐために、粒子を、押出機の動作温度より50〜100℃低い範囲の温度に予熱してもよい。材料が押出機中を移動するにつれ、摩擦加熱とヒータ・バンドによりバレル中に伝達される熱により、ガラスが固体から、成形できる粘性液体となる。この材料は、ダイ内で成形され、適切な取出装置により収集される。あるいは、押出機は、ガラスを射出成形機中に直接供給できる。しかしながら、これは、ずっと費用のかかる製造オプションであり、直接供給の利点は明らかではなく、まだ実証されていない。
【実施例1】
【0035】
本発明を制限するものと捉えるべきではない一例として、カルコゲナイドガラス979BUGを、本発明のプロセスを表す以下の様式で、調製し、押し出した。以下のプロセスにおいて用いた設備は全て市販されている。
【0036】
原子パーセントで表して、1.6%のGe、28.4%のAsおよび70%のSeの混合物を、500グラムのガラス・ブールを調製するのに十分な量で一緒に混合し、石英アンプル内に配置した。このアンプルを真空にし(10-3mmHg以下に)、密封した。このアンプルを、30〜36時間の範囲の期間に亘り約800℃の温度まで加熱し、500℃にゆっくりと冷却し、次いで、アンプル壁からカルコゲナイドガラスが剥離するまで、室温の水を含む4000mlビーカー内にアンプルを浸漬することによって急激に冷却(急冷)した。この時点で、アンプルを約125℃の温度でのアニール炉内に配置し、0.25から2時間に亘りこの温度に保持した。次いで、炉の電力をオフにし、炉を室温まで自然に冷ませた。次いで、アンプルを炉から取り出し、アンプルからカルコゲナイドガラスを取り出した。
【0037】
上述したように10個のブールのカルコゲナイドガラスを調製し、マイナス20メッシュ(0.8mmの最大粒径)のサイズ範囲の粒子に破壊した。粒子を混ぜ合わせ、以下の押出しに、5000グラムの総質量を用いた。混ぜ合わせた粒子を分析し、ガラスが、予測組成Ge1.6As28.4Se70を有することが分かった。均質な溶融物が製造されることを確実にするために、調製されているブールのサイズが増加する場合には、加熱の期間を増加させる必要があることを理解すべきである。一般に、ブールのサイズを二倍にする場合、その温度で保つ時間を40〜60%増加させるべきである。粒子は、スクリュー・タイプの押出機に用いた。
【0038】
K−tron減量式二軸スクリュー重量フィーダ(米国、ニュージャージー州、ピットマン所在のケー・トロン社(K-tron Company)を用いて、ガラス粒子を30:1のL/Dを持つWayne 1”一軸スクリュー押出機(米国、ニュージャージー州、トヨワ所在のウェイン・マシン・アンド・ダイ社(Wayne Machine & Dye Company))中に供給した。ガラス押出プロセスには、一軸スクリュー押出機を選択した。何故ならば、このタイプの押出機は、二軸スクリュー押出機よりも与える剪断が少なく、コーニング(Corning)社の研究者は以前、剪断誘発結晶化に関連する粘度増加により、スクリューがバレル内で過熱して動かなくなり得ると判断したからである。
【0039】
移行部分におけるガラスの非常に高い研磨性を考慮して、押出機には、耐摩耗性のスクリューとバレルを備え付けた。一段の2:1圧縮比を持つスクリューを窒化ホウ素コートして、ガラスをバレルへと下流に搬送するために必要な滑りを与えた。スクリューは、標準的なスクリューのスクリュー尖端に一般的にある溶融材料が滞留する溜まり場を除去するように設計された台形尖端と付随するアダプタを有していた。このいくぶん特化された工具は、ガラスが失透しないことを確実にするために選択した。しかしながら、標準的な尖端とアダプタもおそらく、ガラスが結晶化する傾向を示さないように同様にうまく働くであろう。
【0040】
加工条件は、供給口冷却液がオフになっており、バレルの温度が後方から前方へと約293,299,305および305℃(華氏560,570,580および580度)であるような条件であった。アダプタの温度は322℃(華氏630度)に設定した。ダイは用いなかった。モータのトルク制限を超えることを防ぐために、ガラスは、約2.27kg/時(5ポンド/時)で装置に不足気味に供給した(starve feeding)。20rpmのスクリュー速度で、トルクは6ampsで安定であった。上述した条件により、安定な流動と均質な溶融物が得られた。この溶融物は、ダイ(例えば、管、ファイバ、シートなど)をアダプタに取り付ければ、連続プロファイルに容易に成形できるであろう。
【0041】
ガラス産業は、ある期間、ラム押出機を用いた押出プロセスを実施してきたが、そのプロセスは、上述したプロセスとは基本的に異なる。ラム押出機(米国、マサチューセッツ州、ブリムフィールド所在のアドバンデック・エンジニアリング(Advantek Engineering)社)は、1200℃まで上昇できる単独の温度制御装置を備えた炉からなる。ガラスのビレットを保持するスリーブが炉内に降下され、ガラスが106〜1012ポアズの範囲の粘度に達するまで、長期間(一般に、一晩)に亘り、ガラスは加熱される。次いで、ピストンが、軟化したガラスをダイに押し通す。ガラスが尽きたとき、炉を冷却し、別のビレットを再度補充し、次いで、再度予熱する必要がある。このプロセスは遅く、ポリマー産業により実施され、実施例1に示すようなスクリュー押出プロセスとは異なり不連続である。
【実施例2】
【0042】
2個取り両凸レンズ(25mmの直径で8mmの厚さ)金型を用いて、Arburg 370 CS600−100成形機(コネチカット州、ニューイントン所在のアーバーグ(Arburg)社)で979BUGガラス組成物を射出成形した。この成形機は、2:1の圧縮比のスクリューを備えた30mmの直径の射出ユニットを有した。ガラスの付着を防ぐために、水スラリーからの窒化ホウ素の薄層を、スクリュー、ノズル、スプルーブラシ、ランナー、ゲートおよびキャビティの前面に施した。破砕したガラスを約0.5〜2.0mmの粒径範囲に篩い分けし、十分な供給(flood feeding)のために標準的なホッパー内に配置した。表2に与えた以下のプロセス条件で部品を成形した。
【表2】

【0043】
スプルー、ランナーおよび部品は、問題なく、金型の移動側に移った。スプルーとランナーは離型し、きれいに取り出されたが、レンズは、コアのピンからレンズを離型するために、小型の硬質ゴム製ハンマーでその周囲をやさしく軽く叩かなければならなかった。これは非常に準備的な実験であり、最適化された成形条件ではないという事実にもかかわらず、金型の幾何学形状と表面仕上げを複製したレンズが一貫して製造された。
【0044】
最初の押出成形の試行の前に、表1に列記したカルコゲナイドガラス配合物979BUGおよび979BSLを、押出機および成形機の構造に一般的に用いられる冶金との適合性に関して試験した。不都合な反応は観察されなかった。さらに、ガラス979BSLおよび979BUGは、沸騰水中の1000時間後にも質量損失を示さず、85/85試験の100時間後に外観の変化を示さなかった。979BUGを、7000s-1の剪断速度までキャピラリーレオメータ内において300℃で試験し、その粘度は、剪断速度が増加するにつれ、9000ポアズから2500ポアズまで絶え間なく減少した。さらに、結晶化は観察されなかった。このことは、ポリマー加工に一般に用いられる粘度範囲と温度範囲において剪断減粘性を示すガラスの最初の公知の例であると考えられる。
【0045】
As:Geが約17:1のAsが豊富なGeAsSeガラスを用いた追加の細管流体測定法は、剪断減粘性挙動は少なくとも60から80%のSeに亘ることを示している。979BIK(As:Ge=2:1、Tg=160℃)および979BLK(As:Ge=1:1、Tg=140℃)などのAsの少ない試料に関する流体測定データは、これらの材料は、剪断の下で結晶化に対して十分に耐性であり、したがって、押出/射出成形プロセスにこれらの材料を使用できることを示している。これらのガラスは、それぞれ、380および365℃で試験した。この温度は、ポリマー加工において通常遭遇する400℃の温度限界に十分に入るものである。射出成形可能なガラスの三成分As−Ge−Se系について、個々の成分の好ましい範囲は、0〜15%のGe、0〜45%のAsおよび55〜85%のSeである。試料979BSL、As=40%、S=60%に関するデータは、この配合物も、押出および射出成形プロセスにとって適した材料であることを示している。さらに、セレン化物ガラスの良好な中IR透明性(800から12,000nm)を有することに加えて、979BSLは、約600から800nmの可視範囲においてある程度の透過を提供する。表1に列記したカルコゲナイドガラスのデータは、As−Ge−Se−Sなどの四成分系およびAs−Se−Sなどの三成分系が、押出および射出成形に適したカルコゲナイドガラスを提供することを示唆している。
【0046】
カルコゲナイドSおよびSeを使用したガラス以外に、テルル(Te)を用いてカルコゲナイドガラスを製造できる。これらのガラスは、表1に列記したガラスと同じ様式で製造できる。図3に示したように、テルル化物ガラスは、SおよびSeを用いて製造したガラスとは異なる透過範囲を有する。図3は、存在するカルコゲナイド元素の関数としてのカルコゲナイドガラスの透過範囲を示している。図3には、1つであるが異なるカルコゲナイド元素を用いて製造したガラスに関する重複した光透過範囲が示されている。ガラス組成を、複数のカルコゲナイド元素を含むように変更することによって、特定の必要性を満たすようにガラスの透過範囲を調節することができる。
【0047】
本発明を、実施例と図面並びに好ましい実施の形態の例によって、一般的と、詳細に説明してきた。しかしながら、当業者には、本発明は、特別に開示された実施の形態に必ずしも制限されず、本発明の範囲から逸脱せずに、本発明とその使用に、置換、改変および変更を行ってもよいことが理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲およびその同等物により定義される本発明の範囲から逸脱しない限り、変更はここに含まれるものと考えるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細または超微細いずれかの微小構造を有するカルコゲナイドガラス体を有してなる精密光学要素において、前記ガラス体が、一般化学式YZを有するカルコゲナイドガラスからなり、ここで、YはGe,As,Sbまたはこれら2つ以上の混合物であり、ZはS,Se,Teまたはこれら2つ以上の混合物であり、
原子または元素パーセントで表して、Yは15〜70%の範囲にあり、Zは30〜85%の範囲にあり、GeがAsおよびSbの内の一方または両方と混合された場合には、Geの量は、0<Ge<25%の範囲にあり、
前記カルコゲナイドガラスが、500℃以下で10,000ポアズ以下の粘度を有し、1000〜10,000s-1の範囲の剪断速度下で結晶化に耐性である、
ことを特徴とする精密光学要素。
【請求項2】
前記ガラスが、原子または元素パーセントで表して、P,In,SnおよびGaからなる群より選択される元素一種類以上を、各々0〜10%で含有することを特徴とする請求項1記載の精密光学要素。
【請求項3】
前記ガラスが、Tl,Pb,Bi,Zn,Si,Cu,Ag,O,ハロゲンおよび一種類以上のランタニド元素からなる群より選択される金属元素および/または非金属元素一種類以上を含有し、
前記元素の各々が、存在する場合、原子または元素パーセントで表して、0<(元素)≦5%の範囲の量で独立して存在し、前記元素がランタニド元素である場合は、該元素が0<(ランタニド元素)≦0.5%の量で存在することを特徴とする請求項1記載の精密光学要素。
【請求項4】
前記光学要素が、射出成形、トランスファー成形、異形押出、または熱エンボス加工により形成されることを特徴とする請求項1記載の精密光学要素。
【請求項5】
前記光学要素が、レンズ、マイクロレンズ、マイクロレンズのアレイ、回折格子、表面レリーフ・ディフューザ、フレネルレンズまたは光ファイバであることを特徴とする請求項3記載の精密光学要素。
【請求項6】
前記光学要素が、赤外および近赤外放射線に対して透過性であることを特徴とする請求項3記載の精密光学要素。
【請求項7】
前記光学要素が、原子または元素パーセントで表して、0〜15%のGe、0〜45%のAsおよび55〜85%のSeからなる三成分系カルコゲナイドガラスからなることを特徴とする請求項1記載の精密光学要素。
【請求項8】
前記光学要素が、原子または元素パーセントで表して、As:Ge比が17:1であり、60から80%のSeを含み、剪断減粘性挙動特性を示し、剪断速度が増加するにつれて粘度が9000ポアズから2500ポアズまで絶え間なく減少する、GeAsSe三成分系ガラスカルコゲナイドガラスからなることを特徴とする請求項1記載の精密光学要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−148975(P2012−148975A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98721(P2012−98721)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【分割の表示】特願2006−110616(P2006−110616)の分割
【原出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】