説明

低粘性アルコキシシラン基を含んでなるプレポリマー、その製造方法およびその使用

本発明は、アルコキシシラン基を含有する、新規な低粘性ポリウレタンプレポリマー、その製造方法および接着剤、シーラント、プライマーまたはコーティングのためのバインダーとしてのその利用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、革新的な低粘性のアルコキシシラン官能性プレポリマー、その製造方法および接着剤、シーラント、プライマーまたはコーティングのためのバインダーとしてのその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
シラン重縮合によって架橋するアルコキシシラン官能性ポリウレタンは、長い間にわたって周知である。例えば、この主題についての概要記事は、Adhesives Age、1995年4月、第30頁以下(著者:Ta−Min Feng、B.A.Waldmann)において見出される。この種の、アルコキシシランで終端された、湿気硬化性の一成分ポリウレタンは、建築および自動車産業で、エラストマーのコーティング、シーリングおよび接着材料としてますます用いられている。
【0003】
US3627722またはUS3632557によると、この種のアルコキシシラン官能性ポリウレタンは、ポリエーテルポリオールと、例えば、過剰のポリイソシアネートを反応させてNCO含有プレポリマーを生成し、その後、該プレポリマーを次にアミノ官能性アルコキシシランとさらに反応させることによって調製し得る。得られたアルコキシシラン官能性プレポリマーは、高い濃度でウレア基とウレタン基とを含有し、そのことは、生成物のその部分で高い粘度を生じさせる。
【0004】
ウレア基によって生じる水素結合密度の割合を少なくとも減少させる一つの効果的な方法は、置換ウレアを生じさせるために第二級アミノシランを用いることである。種々の方法が、この目標のために提案された;US3627722およびUS3632557では、アルキル置換アミノシランが用いられ、US4067844では、アクリレートと第一級アミノシランとを付加反応させ、EP−A596360では、マレイン酸エステルと第一級アミノシランとを付加反応させ、EP−A676403では、アリール置換アミノシランを導入する。しかし、これらの方法は全て、末端ウレア基上の一つ水素原子のみを置換でき全てのさらなるウレアプロトンとウレタンプロトンは、水素結合によって、高い粘度の原因となり続ける。
【0005】
水素結合の密度、したがって粘度を減少させる、さらなる適当な方法は、EP−A372561に開示される。その公報では、ポリイソシアネートとの反応によって、低い延長度を有する、他の化合物の中でも、極めて長鎖状のポリエーテルポリオールが用いられている。このため、特定の製造方法によって、低い不飽和度と多分散性とともに高官能価を有するポリエーテルが必要とされる。この技術のさらなる態様は、WO99/48942およびWO00/26271において明らかにされている。しかしながら、この原理は、低弾性率のバインダーとして設計された非常に長鎖状のプレポリマーの場合にのみ重要な効果を生じ、単に水素結合密度の一部を排除し得るのみである。
【0006】
イソシアネート官能性アルコキシシラン単位の使用によって、特に低粘性のプレポリマーを得る可能性が、とりわけUS4345053に開示されている。そこでは、OH官能性プレポリマーはイソシアネート官能性アルコキシシランで終端され、それは、最終的に、終端あたり一つのウレア基を節減することを意味する。しかしながら、OH官能性プレポリマーはポリエーテルポリオールとジイソシアネートとの延長から生じるウレタン基をなお含有する。このウレタン基は、同じくEP−A372561で開示されるように、低い不飽和度と多分散性を有する、特別に調製された長鎖状ポリエーテルを用いることによって節減することができる。しかしながら、この種のイソシアネート官能性アルコキシシラン単位の化学量論的反応の場合には、不十分なキャッピングに起因して、特に非常に長鎖状のポリエーテルを用いる際、硬化時に十分に架橋することができないバインダーが得られる。このため高い表面タック性および不十分な弾力性、または高い塑性変形性を有する、非常に軟らかいポリマーとなる。
【特許文献1】US3627722
【特許文献2】US3632557
【特許文献3】US4067844
【特許文献4】EP−A596360
【特許文献5】EP−A676403
【特許文献6】EP−A372561
【特許文献7】WO99/48942
【特許文献8】WO00/26271
【特許文献9】EP−A372561
【非特許文献1】Ta−Min Feng、B.A.Waldmann、「Adhesives Age」、1995年4月、第30頁以下
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、先行技術で述べたこれらの欠点を有さず、さらに同程度の粘度である変性アルコキシシラン官能性プレポリマーを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
要求特性を有するプレポリマーは、長鎖状ポリエーテルまたはOH官能性ポリエーテルプレポリマーを、まず過剰のイソシアネート官能性アルコキシシランと反応させ、その後、アロファネート化または低分子量NCO反応性化合物との反応によって、過剰のイソシアネート基を除去することにより調製し得ることが判明した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
従って、本発明は、アルコキシシラン官能性プレポリマーを調製する方法であって、
A)一以上のポリオキシアルキレンポリオールまたはポリオキシアルキレンポリオールプレポリマーを含んでなる、3000g/mol〜20000g/molの数平均分子量を有するポリオール成分1.0Eqと
B)式(I):
【化1】

(式中、
X,YおよびZは、互いに独立して、C〜Cアルキル−またはC〜Cアルコキシ基であって、該基の少なくとも一つは、C〜Cアルコキシ基であり、
Rは、少なくとも2の官能価を有する任意の有機基、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキレン基である。)
で示されるイソシアネート−およびアルコキシシラン官能性化合物1.05〜1.50Eqとを反応させること、およびその後に
C)アロファネート化によって、またはイソシアネート反応性化合物との反応によって、残存する遊離NCO基をさらに反応させること
を含んでなる、方法を提供する。
【0010】
X、YおよびZは、互いに独立して、分枝または架橋してもよい。
【0011】
Rがアルキレン基である場合、それは、分枝鎖状または環状であってよい。
【0012】
好ましくは、式(I)のX、YおよびZは、互いに独立して、メトキシまたはエトキシである。
【0013】
基Rに対して、メチレン基またはプロピレン基は、特に好ましい。
【0014】
さらに、本発明は、本発明の方法によって得られるアルコキシシラン官能性プレポリマーを提供する。
【0015】
好ましくは、成分A)は、8000g/mol〜18000g/molの数平均分子量を有する。
【0016】
本発明によるポリオール成分A)として有用なポリオキシアルキレンポリオールは、ポリウレタン化学で慣用されるポリエーテル、例えば、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはエピクロロヒドロリン、特に、エチレンオキシド、および/またはプロピレンオキシドの付加物または共付加物などであり、それらは、二価ないし六価の出発分子、例えば、水または上述のポリオールまたは1〜4個のNH結合を有するアミンなどを用いて調製される。平均2〜4個のヒドロキシル基を有し、50重量%まで組み入れられたポリエチレンオキシド単位を含有し得るプロピレンオキシドポリエーテルは、好ましい。これに関して、例えば、水酸化カリウムによる触媒に基づいて調製される従来のポリエーテルだけでなく、二重金属シアニド触媒に基づくより最近の方法によって調製されたポリエーテルも使用することが考えられる。一般に、後者のポリエーテルは0.07meq/g未満の特に少ない末端不飽和含量を有し、著しく低いモノオール濃度を含有し、一般に1.5未満の低い多分散性を有する。二重金属シアニド触媒によって調製されたこの種のポリエーテルを用いることは、好ましい。これに関して、1.0〜1.5の多分散性を有するポリエーテルは、特に好ましい;1.0〜1.3の多分散性は、極めて特に好ましい。
【0017】
多分散性は、数平均分子量(M)だけでなく、重量平均分子量(M)をも決定するために、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いることによって、当業者にとってそれ自体既知の方法で決定し得る。多分散性は、PD=M/Mとして与えられる。
【0018】
この種の好ましいポリエーテルの例は、Bayer Material Science AG、レーフェルクーゼン、ドイツ国、からの製品Acclaim(登録商標)4200、Acclaim(登録商標)6300、Acclaim(登録商標)8200、Acclaim(登録商標)12200およびAcclaim(登録商標)18200(または相当するAcclaim(登録商標)xx00N等級)である。
【0019】
好ましくは、A)において本発明に従って用いるポリオキシアルキレンポリオールは、好ましくは3000g/mol〜20000g/mol、特に好ましくは8000g/mol〜18000g/molの数平均分子量を有する。
【0020】
このポリオキシアルキレンポリオールは、異なったポリエーテルの混合物として純粋形態で用いることができる。低分子量を有するポリオールを添加することは、好ましくはないが、考えられる。
【0021】
好ましくは、用いるポリエーテルは、1.8〜4の平均OH官能価を有し、また、ポリエーテル混合物中では、1〜6のOH官能価を有するポリエーテルを用いることが可能である。
【0022】
同様に、ピュアポリオキシアルキレンポリオールではないが、代わりに、例えば、US4345053またはEP−A931800に記載されるように、1000g/mol〜15000g/molの数平均分子量を有するポリオキシアルキレンポリオールを、好ましくは3000g/mol〜20000g/mol、特に好ましくは8000g/mol〜18000g/molの分子量までジイソシアネートと反応させることによって、構成することで得られるOH官能性プレポリマーを用いることが可能である。しかし、そのようなOH官能性プレポリマーの使用は、好ましくない。
【0023】
適当なイソシアネート−およびアルコキシシラン−官能性化合物B)は、原則として、140g/mol〜500g/molの分子量を有する全てのアルコキシシラン官能性モノイソシアネートを含む。そのような化合物の例は、イソシアナトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、(イソシアナトメチル)メチルジメトキシシラン、(イソシアナトメチル)メチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランおよび3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシランである。ここで、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランの使用は好ましい。
【0024】
さらに、US4146585またはEP−A1136495に記載されるような、ジイソシアネートと、アミノシランまたはチオシランとを反応させることによって調製される、イソシアネート官能性シランを用いることは考えられる。しかしながら、これらの化合物を用いることは、好ましくない。
【0025】
一般に、本発明の方法は、二段階で行われる。残留する過剰のイソシアネート含量を、その後のアロファネート化によって除去する場合には、最初に始める必要のある成分A)とB)とのウレタン化と一緒に、この反応工程を行うこともできる。
【0026】
成分A)およびB)のウレタン化は、任意に触媒を用いて行われる。適当な触媒化合物は、当業者にとってそれ自体既知のウレタン化触媒、例えば、有機スズ化合物またはアミノ触媒などを含む。有機スズ化合物としては、例えば下記のものが例示される:例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズ−ビス−アセトアセトネートおよびスズカルボキシレート、例えば、オクタン酸スズなど。前記スズ触媒は、必要に応じてアミノ触媒、例えば、アミノシランまたは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどと組み合わせて用いてよい。
【0027】
ウレタン化触媒としてジブチルスズジラウレートを用いることは、特に好ましい。
【0028】
本発明の方法において、この触媒成分は、用いられる場合、該方法の生成物の固形分に基づいて0.001〜5.0重量%、好ましくは0.001重量%〜0.1重量%および特に好ましくは0.005重量%〜0.05重量%の量で用いられる。
【0029】
成分A)とB)のウレタン化は、20〜200℃、好ましくは40〜120℃および特に好ましくは60〜100℃の温度で行われる。
【0030】
成分A)の化合物のOH基の変換が達成されるまで、反応を続ける。反応の進行は、反応槽に設置された適当な器具を用いて、および/または採取されたサンプルの分析によって監視することができる。適当な方法は、当業者にとって既知である。例えば、それらは、粘度測定、NCO含量の測定、屈折率の測定、OH含量の測定、ガスクロマトグラフィー(GC)、核磁気共鳴(NMR)分光法、赤外分光法および近赤外(NIR)分光法を含む。好ましくは、混合物のNCO含量は、滴定法で決定される。全OH基の完全な変換を確実とするため、理論上のNCO含量に達した後でも、NCO含量中で粘稠度が観察されるまで、反応状態を維持することが好ましい。
【0031】
成分A)とB)との反応生成物中のNCO含量をさらに除去するため、本発明の方法によって二つの可能な経路が存在する。最初の選択肢は、さらにNCO反応性成分C)を添加することであり、それを、その後の反応工程で残存するNCO基と反応させる。
【0032】
成分C)としての適性は、400g/molまでの数平均分子量を有し、一つ以上のアルコール、アミンまたはチオール官能基を含有する低分子量化合物によって保有され、この化合物は他の官能価を含むことも可能である。これに関して、チオール化合物は、しばしば不快なその臭気の理由で、あまり好ましくない。
【0033】
本発明に従って有益な単官能性アルコールの例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなど、例えば、不飽和アルコール、例えば、アリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコールなど、芳香族アルコール(フェノール)、例えば、フェノール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノールなど、芳香脂肪族アルコール、例えば、ベンジルアルコール、アニスアルコールまたは桂皮アルコールなどである。
【0034】
多官能性アルコールの例は、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロパン1,2および−1,3−ジオール、ブタン−1,4および−1,3−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、または1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、1,4−フェノールジメタノール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサン−1,2,6−トリオール−ブタン−1,2,4−トリオール、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシドおよび4,3,6−ジアンヒドロヘキシトールである。
【0035】
使用し得るアミンには、第一級だけでなく、第二級化合物、例えば、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス−(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチル−およびN−エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミンおよびまたヘテロ環式第二級アミン、例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾールなども含まれる。
【0036】
さらに、芳香族アミン、例えば、アニリン、ジフェニルアミンまたは適切に置換された誘導体なども適当である。
【0037】
また、二つ以上のアミノ官能基を有する化合物、例えば、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサンまたはイソホロンジアミンなどを用いることも可能である。
【0038】
同様に、アルコール官能基だけでなく、アミノ官能基をも含有する化合物、例えば、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−ブチルアミノエタノールおよびジエタノールアミンなどは適当である。
【0039】
これらに加えて、また、イソシアネート反応性だけでなく、したがって、シラン官能性でもある化合物を用いることも可能である。そのような化合物の例は、アミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、(アミノメチル)メチルジメトキシシラン、(アミノメチル)メチルジエトキシシラン、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルおよびN−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルである。
【0040】
残存するNCO含量と少なくとも当量である、成分C)の量を添加することは必要である。A)とB)とのウレタン化後に残っているNCO基当量あたり1〜1.5当量のC)を有することは、好ましい。
【0041】
成分C)の過剰なイソシアネート含量の反応のため、さらなる触媒を添加することは考えられるが、先行するウレタン化に由来する混合物は、なお触媒を含有するので、それは一般には不要である。
【0042】
成分C)による過剰なイソシアネート含量の除去は、20〜200℃、好ましくは40〜120℃、および特に好ましくは60〜100℃の温度で行われる。成分C)が低揮発性である場合、それに相当して低い温度が選択される。
【0043】
NCO基(遊離NCO基含量<0.5重量%、好ましくは<0.1重量%、特に好ましくは<0.05重量%)の完全な除去が達成されるまで、反応を続ける。これは、前述の方法によって分析的に調査し得る。
【0044】
成分A)とB)との反応生成物のNCO含量の、さらなる除去のための二番目の選択は、アロファネート化反応である。さらに成分C)を添加しない場合には、残存するNCO基は事前に形成されるウレタン基と反応する。
【0045】
適度な温度で比較的迅速にそのようなアロファネート化を行うために、アロファネート化を推進する触媒を用いることは好ましい。
【0046】
用いるアロファネート化触媒は、当業者にとって、この目的のためにそれ自体既知である化合物、例えば、亜鉛塩オクタン酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネートおよび亜鉛2−エチルカプロエートなど、またはテトラアルキルアンモニウム化合物、例えば、N,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム水酸化物、N,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートまたはコリン2−エチルヘキサノエートなどである。オクタン酸亜鉛(亜鉛2−エチルヘキサノエート)およびテトラアルキルアンモニウム化合物を用いることは好ましく、特にオクタン酸亜鉛を用いることは好ましい。
【0047】
触媒は、本方法の生成物の固形分に基づいて0.001〜5.0重量%、好ましくは0.01〜1.0重量%および特に好ましくは0.05〜0.5重量%の量で用いられる。
【0048】
アロファネート化触媒は、全てを一度に、または何回かに分けて、あるいは連続的に、添加することができる。一度に全量を添加することは好ましい。
【0049】
本発明の中核をなすアロファネート化は、20〜200℃、好ましくは40〜160℃、特に好ましくは60〜140℃、特に80〜120℃の温度で行われる。
【0050】
例えば、本発明の方法を、連続して、スタティックミキサー、押出機または混合機中で、または、例えば、撹拌反応器中でバッチ式に行うかどうかは、重要ではない。
【0051】
好ましくは、本発明の方法は、撹拌反応器中で行われる。
【0052】
ここで再び、反応の進度は、上述のように、反応槽に設置された適当な器具を用いて、および/または採取されたサンプルを用いて監視できる。
【0053】
好ましくは、アロファネート化反応は、生成物のNCO含量が、0.05重量%未満、特に好ましくは0.03重量%未満であるまで、続けられる。
【0054】
特定の触媒を用いて最初のウレタン化を行い、その後、第二の反応工程で、第二の触媒を用いてアロファネート化を行う二段階型の他に、本発明の方法に従って、一工程で反応を行ってもよい。その場合、ウレタン化とアロファネート化のいずれにも十分に迅速な触媒として働く触媒を用いることが必要である。そのような触媒の一例は、亜鉛2−エチルヘキサノエートである。
【0055】
本発明の化合物は、好ましくは自動車工学および建築分野のための、イソシアネートを含有しない弾性ポリウレタン接着剤およびシーラントを製造するためのバインダーとしての使用に、特に適している。この接着剤は、シラノール重縮合を経て、大気中の水分に曝されて架橋する。
【0056】
同様に、プライマーまたはコーティングにおける適用が考えられる。
【0057】
さらに、本発明は、本発明のポリウレタンプレポリマーに基づく接着剤、シーラント、プライマーおよびコーティングを提供する。
【0058】
この種のシーラントまたは接着剤の調製のため、アルコキシシラン末端基を有する本発明のポリウレタンプレポリマーと、典型的な充填剤、顔料、可塑剤、乾燥剤、添加剤、光安定剤、抗酸化物質、チキソトロープ剤、触媒、接着促進剤、および任意に、さらなる補助剤および添加剤と一緒に、シーラントを製造する既知の方法によって調合することができる。
【0059】
適当な塩基性充填剤として使用し得る物質は、沈降または粉砕チョーク、金属酸化物、金属硫酸塩、金属ケイ酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩および炭酸水素金属塩である。さらなる充填剤の例は、強化および非強化充填剤、例えば、カーボンブラック、沈降ケイ素、焼成シリカ、粉砕石英または多種の繊維などである。塩基性充填剤だけでなく、さらなる強化または非強化充填剤も、任意に、表面改質されてもよい。特に好ましい塩基性充填剤候補は、沈降または粉砕チョークならびに焼成シリカである。充填剤の混合物も用いることができる。
【0060】
適当な可塑剤として、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、フェノールのアルキルスルホン酸エステル、またはリン酸エステルを挙げることができる。加えて、長鎖状炭化水素、ポリエーテルおよび植物油を、可塑剤として用いてよい。
【0061】
チキソトロープ剤として、例えば、焼成シリカ、ポリアミド、水素化ヒマシ油誘導体あるいは塩化ポリビニルを挙げることができる。
【0062】
使用する適当な硬化触媒は、シラン重縮合を促進することが既知である任意の有機金属化合物およびアミン触媒であり得る。特に適当な有機金属化合物は、特に、スズおよびチタニウムの化合物である。好ましいスズ化合物の例は、下記を含む:ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズマレエートおよびスズカルボキシレート、例えば、オクタン酸スズ(II)またはジブチルスズビスアセトアセトネートなど。任意に、規定のスズ触媒を、アミン触媒、例えば、アミノシランまたは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどと組み合わせて用いてよい。例えば、好ましいチタニウム化合物は、アルキルチタニウム、例えばジイソブチルビス(エチルアセトアセテート)チタニウムなどを含む。アミン触媒単体の使用にとって、特に、適合性は、高塩基強度を有するもの、例えばアミジン構造を有するアミンなどによって支配される。従って、好ましいアミン触媒は、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エンまたは1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンである。
【0063】
乾燥剤として、特に、アルコキシシリル化合物、例えば、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシランおよびヘキサデシルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
【0064】
既知の官能性シランは、接着促進剤として使用され、例えば上記種類のアミノシランなど、ならびにN−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシおよび/またはN−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、エポキシシランおよび/またはメルカプトシランが挙げられる。
【0065】
架橋ポリマーは、非常に優れた引っ張り強さおよび低い伸びの高弾性のため注目し得る。加えて、粘着性(タック)は、本発明ではない比較例の場合よりも非常に低い。所定の分子量に対して、NCO/OH比が低下するにつれて、弾性係数とショア硬度の減少、および破断伸びの増加がポリマー中で観察される。
【実施例】
【0066】
他に表示がない限り、全てのパーセンテージは重量によるものである。
【0067】
NCO含量の%での決定は、DIN EN ISO 11909に基づいて、ブチルアミンとの反応に続く0.1mol/l塩酸との逆滴定によって行われる。
【0068】
粘度測定は、ISO/DIS3219:1990に従って、プレート/プレート回転の粘度計、Haake、ドイツ国、からのRoto Visko 1、を用いて行われる。
【0069】
実験を実施する時に一般的である23℃の大気温度は、RTとして示される。
【0070】
実施例1(本発明の、ウレタン化反応による過剰な摂取):
OH価6.1のポリプロピレングリコール(Acclaim(登録商標)18200N、Bayer Material Science AG、レーフェルクーゼン)1009.8gを120℃で減圧(低い窒素置換比率)しながら6時間乾燥させた。その後、最初は60℃で、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(A−link 35(登録商標)、GE Advanced Materials、ウィルトン、コネチカット州、米国)(指数1.20)28.88gと、その後、ジブチルスズジラウレート(Desmorapid Z(登録商標)、Bayer Material Science AG、レーフェルクーゼン、ドイツ国)100ppmを素早く添加し、残NCO量0.09%に達するまで、60℃で5時間以上反応を続けた。反応を50℃まで冷却し、ブタンジオール1.67gを混合した。NCO含量が検出されなくなるまで、50℃で約90分間撹拌を続けた。アルコキシシリル末端基を含有する、得られるポリウレタンプレポリマーは、35000mPas(23℃)の粘度を有する。
【0071】
実施例2(本発明の、ウレタン化反応による過剰な摂取):
OH価6.1のポリプロピレングリコール(Acclaim(登録商標)18200N、Bayer Material Science AG、レーフェルクーゼン)1009.8gを120℃で減圧(低い窒素置換比率)しながら6時間乾燥させた。その後、最初は60℃で、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(NCO=19.2%、A−link 35(登録商標)、GE Advanced Materials、ウィルトン、コネチカット州、米国)(指数1.10)26.46gと、その後、100ppmのジブチルスズジラウレート(Desmorapid Z(登録商標)、Bayer Material Science AG、レーフェルクーゼン、ドイツ国)を素早く添加し、残NCO量0.04%に達するまで、60℃で5時間以上反応を続けた。その後、オクタン酸亜鉛(2−エチルヘキサン酸亜鉛、Octa−Soligen亜鉛22、Borchers、マンハイム、ドイツ国)1.0gを添加し、NCO含量が検出されなくなるまで、撹拌を100℃で約6時間続けた。アルコキシシリル末端基を含有する、得られるポリウレタンプレポリマーは、49700mPas(23℃)の粘度を有する。
【0072】
比較例:
OH価6.1のポリプロピレングリコール(Acclaim(登録商標)18200N、Bayer Material Science AG、レーフェルクーゼン)918gを120℃で減圧(低い窒素置換比率)しながら6時間乾燥させた。その後、最初は60℃で、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(A−link 35(登録商標)、GE Advanced Materials、ウィルトン、コネチカット州、米国)(指数1.0)21.88gと、その後、ジブチルスズジラウレート(Desmorapid Z(登録商標)、Bayer Material Science AG、レーフェルクーゼン、ドイツ国)100ppmを素早く添加し、NCO含量が検出されなくなるまで、60℃で5時間以上反応を続けた。アルコキシシリル末端基を含有する、得られるポリウレタンプレポリマーは、34000mPas(23℃)の粘度を有する。
【0073】
接着シーリング化合物の調製
市販の慣用される真空遊星型溶解機中で、次の成分を、使用できる状態のシーラントへと加工した。
【0074】
【表1】

【0075】
生成物は、市販の通例のポリエチレンカートリッジへと満たされ、室温で貯蔵される。
【0076】
1日間の貯蔵後、こうして生成されたシーラント化合物は、10〜20分間の被膜形成時間で硬化する。
【0077】
【表2】

【0078】
総括
調製されたバインダーの機械的特性は、比較例に対して、ショアA硬度、引っ張り強さ、および100%弾性率に関して著しく増加した値を示し、また、ポリマー表面の(主観的)粘着性の減少を示す。この全ては、本発明に従う方法によって達成可能な、長い高分子鎖の著しく改良された架橋を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシシラン官能性プレポリマーの製造方法であって、
A)一以上のポリオキシアルキレンポリオールまたはポリオキシアルキレンポリオールプレポリマーを含んでなる、3000g/mol〜20000g/molの数平均分子量を有するポリオール成分1.0Eqと
B)式(I):
【化1】

(式中、
X,YおよびZは、互いに独立して、C〜Cアルキル−またはC〜Cアルコキシ基であって、少なくとも一つの基は、C〜Cアルコキシ基であり、
Rは、少なくとも2の官能価を有する任意の有機基、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキレン基である。)
で示されるイソシアネート−およびアルコキシシラン官能性化合物1.05〜1.50Eqと
を反応させること、
およびその後に
C)アロファネート化によって、またはイソシアネート反応性化合物との反応によって、残存する遊離NCO基をさらに反応させること
を含んでなる、方法。
【請求項2】
式(I)中のX、YおよびZは、互いに独立して、メトキシ基またはエトキシ基であり、およびRは、メチレン基またはプロピレン基であることを特徴とする、請求項1に記載のアルコキシシラン官能性プレポリマーの製造方法。
【請求項3】
A)において、8000g/mol〜18000g/molの数平均分子量を有するポリオキシアルキレンポリオールのみを用いることを特徴とする、請求項1または2に記載のアルコキシシラン官能性プレポリマーの製造方法。
【請求項4】
A)で用いるポリエーテルが、0.07meq/g未満の末端不飽和含量および1.5未満の多分散性を有することを特徴とする、請求項3に記載のアルコキシシラン官能性プレポリマーの製造方法。
【請求項5】
成分B)の化合物が、140g/mol〜500g/molの分子量を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のアルコキシシラン官能性プレポリマーの製造方法。
【請求項6】
段階C)でのウレタン化のためのイソシアネート反応性化合物を、遊離NCO基あたり1〜1.5当量のイソシアネート反応性基が存在するような量で添加することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のアルコキシシラン官能性プレポリマーの製造方法。
【請求項7】
段階C)でのウレタン化後の遊離NCO基の量が、反応混合物に基づいて0.05重量%未満であることを特徴とする、請求項6に記載のアルコキシシラン官能性プレポリマーの製造方法。
【請求項8】
C)でアロファネート化を行い、段階C)でのアロファネート化後の遊離NCO基の量が、反応混合物に基づいて0.05重量%未満であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のアルコキシシラン官能性プレポリマーの製造方法。
【請求項9】
段階C)で触媒を用いることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のアルコキシシラン官能性プレポリマーの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の方法によって得られる、アルコキシシラン官能性プレポリマー。
【請求項11】
接着剤、シーラント、プライマーまたはコーティングの製造における、請求項10に記載のアルコキシシラン官能性プレポリマーの使用。
【請求項12】
請求項10に記載のアルコキシシラン官能性プレポリマーから得られる被覆物で、コート、結合または封止された基材。

【公表番号】特表2009−507088(P2009−507088A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528387(P2008−528387)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008275
【国際公開番号】WO2007/025668
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】