説明

低臭ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物、化粧料添加剤および化粧料

【課題】 臭気がなく、経時で発生する悪臭が極めて少ないポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物、化粧料添加剤および化粧料を提供する。
【解決手段】(A)白金系触媒を用いてオルガノハイドロジェンポリシロキサンと末端二重結合を有するポリオキシアルキレンをヒドロシリル化反応させることにより合成され、さらに低臭化処理を行って得られたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンと、(B)残存している該白金系触媒の不活化剤とからなることを特徴とする、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物。さらに、(C)酸化防止剤を含んでなるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物。これらの組成物である化粧料添加剤。これらの組成物と(D)ポリオキシアルキレン鎖を含む化合物またはグリコール類を含む化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臭気がなく、経時で発生する悪臭が極めて少ないことを特徴とするポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物、これからなる化粧料添加剤、およびこれを含有する化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンはハイドロジェンシロキサンと末端二重結合を有するポリオキシアルキレンとの白金系触媒を用いたヒドロシリル化反応により製造されている。ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは各化粧料の原料成分の相溶性を向上させ、光沢性および滑らかさを改善することができ、また、湿潤性、起泡性、整泡性、乳化性、洗浄性、帯電防止能を向上させることができるので、各種化粧料に配合され、幅広く用いられている。
【0003】
しかし、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンを化粧料に配合した場合、経時で悪臭が発生するという問題点があった。この原因のひとつとして、ヒドロシリル化反応中にアリルエーテル基含有ポリオキシアルキレンの末端二重結合の内部転位が起こり、異性体であるプロペニルエーテル基含有ポリオキシアルキレンが副生して、これが空気の水分やわずかな酸の存在により除々に加水分解して、悪臭の原因であるプロピオンアルデヒドが発生するためと考えられている。そこで、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの脱臭方法として、ヒドロシリル化反応後に酸性物質と水を加えて強制的にプロピオンアルデヒド等の臭気原因物質を発生させた後、これらを除去する方法が提案されている(特公平7−91389号公報参照)。また、ヒドロシリル化反応後に水素を添加してすべての不飽和結合を水素化する低臭化方法も提案されている(特開平7−330907号公報参照)。また、本発明者らは、ヒドロシリル化反応により得られたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンを特定の酸性物質または酸性の白金系触媒と低級アルコールで処理し、低沸点の臭気原因物質を形成させ、この物質を除去することで低臭化する方法を見出した(特開2004−189959号公報参照)。
【0004】
しかし、上述のように低臭化処理したポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンであっても、ヘアケア、スキンケア、メーキャップ等のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物やグリコール類を含む化粧料へ配合すると、経時で臭気が発生するため多量の配合が困難であり、特にスキンケアやメーキャップ化粧料には配合が困難であるという問題があった。この主たる原因は、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン中に残存する白金系触媒が、化粧料に含まれるポリオキシアルキレン鎖やグリコール類を分解してアルデヒド等の臭気物質が生じるためと考えられている。そこで、臭気がなく、経時的にも臭気が発生しないポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの製造方法として、ケイソウ土あるいは活性炭で残存白金系触媒を吸着させて取り除くことが開示されている(特許第2995154号公報参照)。しかし、この方法は粘度の高いポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの場合、多量の溶剤で希釈あるいは加熱する必要があり、生産性が悪くコスト高となる上、臭気を改善する効果も不十分であった。そこで、水素添加反応後に窒素加圧下でケイソウ土あるいは活性炭を用いて濾過することにより残存する白金系触媒を除去する方法が開示されている(特開2000−26737号公報参照)。この場合、水素添加反応によって触媒中における白金原子のイオン価が下がり、触媒自体が非溶解性の微粒子になるため、容易に分離することができるが、水素添加反応には特別の設備が必要であり、汎用の装置では工業的な生産が困難であった。また粘度の高いポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの場合、多量の溶剤で希釈あるいは加熱する必要があり、白金系触媒を吸着濾過して取り除く場合、作業時間と固体廃棄物の増加、製造コストの増大、収率の低下を引き起こすという問題があった。
【0005】
さらに、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン中のポリオキシアルキレン鎖は酸化劣化により臭気原因となるアルデヒド類を生成する。ポリオキシアルキレン化合物と水を含む化粧品に関しては、白金系触媒を用いてヒドロシリル化反応により架橋したシリコーンゴム粉末を白金系触媒の触媒作用と低下させる化合物を含浸させることで、経時的な異臭の発生を抑制する方法が知られている(特開平11−217444号公報、特開平11−217324号公報参照)。しかし、これらの発明においては、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンをグリコール類に配合した際の低臭化については明示されておらず、ポリオキシアルキレン鎖の酸化劣化については記載されていない。また、シリコーンゴム粉末を含まないポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物の低臭化や、シリコーンゴム粉末を含まない化粧料の低臭化について、全く記載されていない。
【0006】
【特許文献1】特公平7−91389号公報
【特許文献2】特開平7−330907号公報
【特許文献3】特開2004−189959号公報
【特許文献4】特許第2995154号公報
【特許文献5】特開2000−26737号公報
【特許文献6】特開平11−217444号公報
【特許文献7】特開平11−217324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、多量の溶剤を用いることなく、汎用の装置で効率的に生産することができ、臭気がなく、経時によるポリオキシアルキレン鎖の酸化劣化を防止され、ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物またはグリコール類を含有する化粧料に配合された場合でも、臭気がなく、経時で発生する悪臭が極めて少ないことを特徴とするポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物、この組成物であることを特徴とする化粧料添加剤、およびこの組成物とポリオキシアルキレン鎖を有する化合物またはグリコール類とを含有することを特徴とする化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、(A)白金系触媒を用いてオルガノハイドロジェンポリシロキサンと末端二重結合を有するポリオキシアルキレンをヒドロシリル化反応させることにより合成され、さらに低臭化処理を行って得られたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンと(B)残存している該白金系触媒の不活化剤とからなるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物、上記(A)成分と(B)成分と(C)酸化防止剤とからなるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物、この組成物からなる化粧料添加剤およびこの組成物とポリオキシアルキレン鎖を有する化合物またはグリコール類とを含有することを特徴とする化粧料によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多量の溶剤を用いることなく、汎用の装置で効率的に生産することができ、臭気がなく、経時によるポリオキシアルキレン鎖の酸化劣化を防止され、ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物またはグリコール類を含有する化粧料に配合された場合でも、臭気がなく経時で発生する悪臭が極めて少ないことを特徴とするポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物、この組成物であることを特徴とする化粧料添加剤、およびこの組成物とポリオキシアルキレン鎖を有する化合物またはグリコール類を含有することを特徴とする化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において、(A)成分は、白金系触媒を用いてオルガノハイドロジェンポリシロキサンと末端二重結合を有するポリオキシアルキレンをヒドロシリル化反応させることにより合成され、さらに低臭化処理を行って得られたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンである。
はじめに、そのためのオルガノハイドロジェンポリシロキサンについて詳細に説明する。
このオルガノハイドロジェンシポリロキサンは、平均単位式:
SiO(4−a)/2 (1)
{式中、Rは同一または異なる非置換または置換の一価炭化水素基および水素原子であり、具体的には、一価炭化水素基はメチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基などの飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基,シクロヘキシル基などの飽和脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基;これらの炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子が部分的にハロゲン原子またはエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基などを含む有機基で置換された基が例示される。但し、1分子中に少なくとも1つのケイ素原子に結合した水素原子を有する。aは0<a≦3である。} で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが例示される。
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は限定されず、直鎖状、一部分岐状を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、樹枝状が例示される。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、平均構造式:
【化1】

(式中、Rは一価の非置換または置換の炭化水素基であり、具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基などの飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基,シクロヘキシル基などの飽和脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基;これらの炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子が部分的にハロゲン原子またはエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基などを含む有機基で置換された基が例示され、アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。mは0または正の整数、nは正の整数である。)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、平均構造式:
【化2】

(式中、Rおよびmは(2)式の場合と同じであり、nは0または正の整数である。)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、平均構造式:
【化3】

(式中、R、mおよびnは(3)式の場合と同じである。)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが例示される。これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、単独で用いることも可能であり、組み合わせで用いることも可能である。
【0011】
末端二重結合を有するポリオキシアルキレンとしては、平均構造式:
O(RO)yR (5)
{式中、Rは同一又は異種の非置換または置換の一価炭化水素基(例えば、ビニル基,アリル基,3−ブテニル基、ヘキセニル基などの不飽和脂肪族炭化水素基;水素原子;メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基などの飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基,シクロヘキシル基などの飽和脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基;これらの炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子が部分的にハロゲン原子またはエポキシ基、カルボキシル基、メタクリル基を含む有機基で置換された基が例示される。)、Rは同一または異種のアルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、アミレン基が挙げられる。)、yは正の整数である。但し、1分子中のRの少なくとも一つは不飽和脂肪族炭化水素基である。} で表される末端二重結合を有するポリオキシアルキレンが例示される。これらの末端二重結合を有するポリオキシアルキレンは単独で用いることも可能であり、組み合わせで用いることも可能である。
【0012】
白金系触媒は、上記オルガノハイドロジェンシロキサンと末端二重結合を有するポリオキシアルキレンのヒドロシリル化反応を触媒するものである。具体的には、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸,塩化白金酸のオレフィン錯体,塩化白金酸とケトン類との錯体,塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯体、四塩化白金、白金微粉末、アルミナまたはシリカの担体に固体状白金を担持させたもの、白金黒、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体、これらの白金系触媒を含むメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性有機樹脂粉末の白金系触媒が挙げられる。塩化白金酸を用いることが特に好ましい。
【0013】
白金系触媒として、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸,塩化白金酸のオレフィン錯体,塩化白金酸とケトン類との錯体,塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯体、または四塩化白金を用いた場合、これらの白金系触媒は合成されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン中に残存し、酸性物質として作用するため、低級アルコールにより処理するだけで低沸点臭気原因物質を生成させることができるという利点がある。
【0014】
白金系触媒の添加量は触媒量であり特に限定されないが、上記オルガノハイドロジェンシロキサンと末端二重結合を有するポリオキシアルキレンの合計量に対して白金金属量が0.1〜1,000ppm(重量)となるような量が好ましく、0.5〜100ppm(重量)となる量がより好ましい。このヒドロシリル化反応は無溶媒でも進行するが、必要に応じて有機溶剤を用いてもよい。使用される有機溶剤は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジオキサン、THF等のエーテル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、塩素化炭化水素系溶剤が挙げられる。反応温度は、通常、50〜150℃である。
【0015】
上記ヒドロシリル化反応によって合成されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの低臭化処理は、上記ヒドロシリル化反応に伴って副生するプロペニルエーテル基含有ポリオキシアルキレンから、経時で低沸点臭気原因物質(アセタール化合物)が生成して臭気の原因となることを防止する目的で行うものである。合成されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンを酸性物質と低級アルコールの存在下で処理して低沸点臭気原因物質を生成させた後、該低沸点臭気原因物質を除去することが好ましい。
【0016】
低臭化処理に用いられる酸性物質は、濃塩酸、濃硫酸、濃硝酸、リン酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、トリフロロ酢酸等の低級脂肪酸、有機スルホン酸、有機スルフィン酸、フェノール、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とケトン類との錯体、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯体、四塩化白金が例示される。尚、本発明でいう濃塩酸とは濃度35%以上の含水塩酸液であり、濃硫酸、濃硝酸は濃度90%以上の含水硫酸液、含水硝酸液である。これらの酸性物質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて使用してもよい。塩化白金酸または塩酸を用いることが特に好ましい。これらの酸性物質の使用量はポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンに対して適宜設定され、特に限定されないが、濃塩酸の場合には、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンに対して1〜1000ppmの範囲が好ましく、5〜500ppmがより好ましい。塩化白金酸を用いる場合には、上記オルガノハイドロジェンシロキサンとポリオキシアルキレンの合計量に対して白金金属量が0.1〜1,000ppm(重量)となるような量が好ましく、0.5〜100ppm(重量)となる量がより好ましい。
【0017】
低臭化処理に用いられる低級アルコールは、上記ヒドロシリル化反応時に副生した内部二重結合を有するポリオキシアルキレンと反応して、低沸点臭気原因物質を形成する。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールが例示される。これらの中でも,安全性の点からエタノールが好ましい。また、これらの低級アルコールは1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、その配合量は特に限定されないが、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンに対して0.1〜200重量%の範囲であることが好ましく、1〜100重量%がより好ましい。
【0018】
低臭化処理は、合成されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン中に上記酸性物質と低級アルコールを添加して放置または加熱することで、低沸点臭気原因物質を生成させる工程を含む。ここで、塩化白金酸のような酸性物質として作用する白金系触媒を用いてポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンを合成した場合には、合成されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン中に酸性物質として作用する白金系触媒が残存しているため、低級アルコールのみを添加して放置または加熱するだけでよく、処理操作が極めて簡便であるという利点がある。ここで、加熱温度は、使用した低級アルコールの沸点以下の温度または低級アルコールが還流する温度が好ましい。処理時間は、使用した塩化白金酸や低級アルコールの量または反応温度によって異なるが、30分〜5時間であることが好ましい。また処理時は、無溶媒でもよく溶媒を使用してもよい。溶媒は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系;ジオキサン、THF等のエーテル系;脂肪族炭化水素系;エステル系;ケトン系;塩素化炭化水素系や、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサンが挙げられる。
【0019】
低臭化処理は上記分解反応により生成した低沸点臭気原因物質を除去する工程を含む。除去方法は、常圧下あるいは減圧下におけるストリッピングが好ましく、120℃以下で行うことが好ましい。効率よくストリッピングするためには、減圧下において行うか、例えば窒素ガスのような不活性ガス下において行うことが好ましい。
【0020】
本発明のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物は(B)成分として、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと末端二重結合を有するポリオキシアルキレンのヒドロシリル化反応に用いられる白金系触媒の不活化剤を含むことを特徴としている。具体的には、このような(B)成分は窒素、リンまたは硫黄の化合物であり、その水溶液のpHが7〜11の塩基性を示す場合、白金系触媒を不活化するとともにポリオキシアルキレン鎖の酸化を抑制する効果も期待できるため、(B)成分は塩基性の化合物であることが好ましい。このような(B)成分として、具体的には、窒素化合物がアミノアルコール、アミノ酸またはアンモニアであり、リン化合物がリン酸アルカリ金属塩であり、硫黄化合物がアルキル硫酸アルカリ金属塩、アルキル硫酸アミン塩または亜硫酸アルカリ金属塩が挙げられる。さらに具体的には、アミノアルコールが2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールまたは2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールであり、アミノ酸がL−アルギニンまたはL−リジンであり、リン酸アルカリ金属塩がリン酸1水素ナトリウムであり、アルキル硫酸アルカリ金属塩がアルキル硫酸ナトリウムであり、アルキル硫酸アミン塩がアルキル硫酸トリエタノールアミン塩であり、亜硫酸アルカリ金属塩が亜硫酸ナトリウムが挙げられる。臭気低減の点から、亜硫酸ナトリウム、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールが特に好ましい。このとき、(B)成分の添加量は残存白金系触媒を不活性化するのに十分な量であればよく、白金含有量に対して10〜100倍モルであることが好ましい。また、(B)成分は(A)成分から減圧下で低沸点臭気原因物質を留去する低臭化処理の前に添加することが好ましい。
【0021】
(B)成分が固体の場合は、そのまま添加することもできるが、希釈溶媒に分散させて添加するのが好ましい。希釈溶媒を使用する場合は水、エタノール、イソプロピルアルコールのアルコール系、トルエン、キシレンの芳香族炭化水素系、ジオキサン、THFのエーテル系、脂肪族炭化水素系、エステル系、ケトン系、塩素化炭化水素系の有機溶剤やオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサンを溶媒として使用したり、ヒドロシリル化反応に使用した溶媒をそのまま使用しても良い。また、(B)成分を添加する際には、室温で混合してもよく、ポリオキシアルキレン鎖を劣化させない範囲であれば、100℃程度まで加熱してもよい。
【0022】
本発明のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物は、さらに(C)成分として各種の酸化防止剤を含有することによって、ポリオキシアルキレン鎖の酸化をさらに防止し、ポリオキシアルキレン鎖の経時的な酸化に由来する臭いの発生をさらに抑制することを特徴とする。このような(C)成分はポリオキシアルキレン鎖の酸化を防止する作用を有するものであればよく、その種類は特に限定されない。かかる酸化防止剤としては、p-t-ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、ビタミンC、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンD4、ビタミンEが挙げられる。これらの中でも、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、ビタミンC、ビタミンEが好ましい。酸化防止剤の添加量はポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物に対し10〜1000ppm、好ましくは50〜500ppmである。(C)成分の添加は、(A)成分から減圧下で低沸点臭気原因物質を留去する低臭化処理の前に行うこともできる。
【0023】
本発明のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物は各種の用途に使用することができるが、特に皮膚や毛髪に外用されるすべての化粧料の添加剤として好適である。
【0024】
特に、本発明にかかるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物は、(D)ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物、グリコール類、もしくはこれらの混合物を含む化粧料に配合された場合、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物中のポリオキシアルキレン鎖の酸化劣化が防止されると共に、白金系触媒が不活化されているため、化粧料に含まれるポリオキシアルキレン鎖やグリコール類が分解されてアルデヒド等の臭気物質が生じることがほとんどなく、経時的な臭気の発生が抑制されるという利点がある。さらに、本発明にかかる(A)成分は、合成した後に低臭化処理がなされたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物であるため、化粧品添加剤として化粧料に配合されてもほとんど臭気を有さず、また経時的な臭気の発生も抑制されるため、本発明にかかるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物を含んでなる化粧料は配合直後から経時的にも臭気をほとんど発生しないという優れた特性を有する。
【0025】
(D)成分はポリオキシアルキレン鎖を有する化合物またはグリコール類であり、通常の化粧料の原料として用いられる成分であれば特に限定されるものではなく、単独でも両者の混合物でもよく、それぞれ2種類以上の混合物であってもよい。ポリオキシアルキレン鎖を含む化合物は、ポリアルキレングリコールおよびポリアルキレングリコール誘導体が例示される。これらの化合物は、分子中に含まれるポリオキシアルキレン鎖の種類または重合度によって限定されるものではない。また、グリコール類は水酸基の一部または全部がエステル化されていてもよい。
【0026】
具体的には、ポリアルキレングリコールとしてポリエチレングリコール(PEG),ポリプロピレングリコール(PPG),ポリブチレングリコール(PBG)が挙げられる。また、ポリアルキレングリコール誘導体は、ポリアルキレングリコールエーテル、ポリアルキレングリコールエステル、ポリアルキレングリコールアミド、ポリアルキレングリコールと他のポリマーとの共重合体、またはその誘導体が例示される。
【0027】
具体的には、ポリアルキレングリコールエーテルとして、直鎖構造または分岐構造を有し飽和または不飽和の脂肪族炭化水素鎖を有する炭素原子数10〜100の高級アルコールのポリエチレングリコール(PEG)エーテル,PEGアブラナ種子油ステロール,PEG水添パーム油、PEG水添ヒマシ油,PEGダイズステロール,PEGデシルペンタデシル,PEGベンジルエーテル,PEGペンタエリスリチルエーテル,PEGホホバアルコール,PEGメチルエーテル,イソステアリン酸PEGグリセリル,オレイン酸PEGプロピレングリコール,グリセリンのポリエチレングリコールエーテル,ヤシ油アルコールのポリエチレングリコールエーテル,コレステロールのポリエチレングリコールエーテル,水添牛脂アルキルのポリエチレングリコールエーテル,水添パーム油脂肪酸PEGグリセリズ,パーム核脂肪酸PEGグリセリズ,ババス脂肪酸PEGグリセリズ,ステアリン酸PEGプロピレングリコール,ステアリン酸PEGグリセリル,モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油,モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン,ソルビトールのポリエチレングリコールエーテル,トリイソステアリン酸PEGグリセリル,オレイン酸PEGメチルグルコース,メチルグルセス,ポリオキシエチレンラノリン,ポリオキシエチレンラノリンアルコール,ポリオキシエチレンミツロウ,ポリオキシエチレン水素添加ラノリンアルコールエーテル,直鎖構造または分岐構造を有し飽和または不飽和の脂肪族炭化水素鎖を有する炭素原子数10〜100の高級アルコールのポリプロピレングリコール(PPG)エーテル,グリセリンのポリプロピレングリコールエーテル,ジグリセリンのポリプロピレングリコールエーテル,ソルビトールのポリプロピレングリコールエーテル,1,4−ブタンジオールのポリプロピレングリコールエーテル,ペンタエリスリトールのポリプロピレングリコールエーテル,ポリオキシプロピレンブチルエーテル,ポリオキシプロピレンメチルグルコシド,ポリオキシプロピレンラノリン,ポリオキシプロピレンラノリンアルコールエーテルが挙げられる。
【0028】
ポリアルキレングリコールエステルとして、イソステアリン酸のポリエチレングリコールエステル,2−エチルヘキサン酸のポリエチレングリコールエステル,オリーブ油脂肪酸のポリエチレングリコールエステル,オレイン酸のポリエチレングリコールエステル,カプリル酸のポリエチレングリコールエステル,カプリン酸のポリエチレングリコールエステル,ヒドロキシステアリン酸のポリエチレングリコールエステル,ベヘン酸のポリエチレングリコールエステル,ヘプタン酸のポリエチレングリコールエステル,ポリヒドロキシステアリン酸のポリエチレングリコールエステル,ホホバ脂肪酸のポリエチレングリコールエステル,ミリスチン酸のポリエチレングリコールエステル,モンタン酸のポリエチレングリコールエステル,ラウリル酸のポリエチレングリコールエステル,ラウリン酸のポリエチレングリコールエステル,ステアリン酸のポリエチレングリコールエステル,ラノリン脂肪酸のポリエチレングリコールエステルが挙げられる。また、ポリアルキレングリコールアミドとして、アブラナ種子油脂肪酸のポリエチレングリコールアミド,オレイン酸のポリエチレングリコールアミド,ステアリン酸のポリエチレングリコールアミドが挙げられる。
【0029】
ポリアルキレングリコールと他のポリマーとの共重合体、またはその誘導体として、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリメチロールプロパン,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキシレングリコールエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル,ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体, ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキシプロピレンオレイルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。
【0030】
グリコール類として、エチレングリコール,プロピレングリコール,1,3−ブチレングリコール,トリメチレングリコール,1,4−ブチレングリコール,1,5−ペンタンジオール,ピナコール,ベンズピナコール,シクロペンタン−1,2−ジオール,シクロヘキサン−1,2−ジオール,シクロヘキサン−1,4−ジオール,モノイソステアリン酸エチレングリコール,ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコールが挙げられる。
【0031】
本発明にかかる化粧料は、(D)成分以外の化合物であっても、その目的に応じて更に油剤を含有することができる。油剤としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、固体、半固体、液状の油剤等、いずれのものも使用することができる。このような油剤として、天然動植物油脂類及び半合成油脂、炭化水素油、高級アルコール、エステル油、オルガノポリシロキサン油であって(D)成分以外のものが挙げられる。
【0032】
具体的には、天然動植物油脂類及び半合成油脂として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、卵黄油が挙げられる。
【0033】
炭化水素油としては、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等;高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸が挙げられる。
【0034】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロールが挙げられる。
【0035】
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等;が挙げられる。
【0036】
オルガノポリシロキサン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン,メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の低粘度から高粘度のオルガノポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン,テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサン、高重合度のガム状ジメチルポリシロキサン、ガム状のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等のシリコーンゴム、及びシリコーンゴムの環状シロキサン溶液、トリメチルシロキシケイ酸、トリメチルシロキシケイ酸の環状シロキサン溶液、ステアロキシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、シリコーン樹脂及びシリコーンレジンの溶解物等が挙げられる。フッ素系油剤としては、パーフルオロポリオキシアルキレン、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0037】
本発明の化粧料には、その目的に応じて、1種又は2種以上の、分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物や水溶性高分子を用いることもできる。本発明において添加することのできるアルコール性水酸基を有する化合物としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ソルビトール、マルトース等の糖アルコール等があり、ステロールとして、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール等がある。水溶性高分子としては、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、カチオンポリマーなど他の合成水溶性高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子がある。また、本発明で使用することのできる水溶性高分子には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンの皮膜形成剤も含まれる。
【0038】
本発明の化粧料には、その目的に応じて更に粉体を用いることができる。粉体としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができる。これらの紛体としては無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、天然色素があげられる。
【0039】
無機粉体の具体例としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカが挙げられる。
【0040】
有機粉体の具体例としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロンパウダー、6ナイロンパウダー、シリコーンパウダー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂等の合成樹脂紛体、微結晶繊維粉体、デンプン粉末、ラウロイルリジン粉末が挙げられる。
【0041】
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウムが挙げられる。
【0042】
有色顔料の具体例としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色系顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体が挙げられる。
【0043】
パール顔料の具体例としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダーが挙げられる。
【0044】
タール系色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシンから選ばれる粉体が挙げられる。
【0045】
これらの粉体は、本発明の効果を妨げない範囲で、粉体の複合化や一般油剤、本発明のオルガノポリシロキサン化合物以外のシリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができ、必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。
【0046】
本発明の化粧料は、その目的に応じてポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物以外の1種又は2種以上の界面活性剤であって(D)成分以外のものも含有することができる。このような界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の活性剤があるが、本発明においては、通常の化粧料に使用されるものであればいずれのものも使用することができ、特に制限されるものではない。以下に具体的に例示する。
【0047】
アニオン性界面活性剤として、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、ステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アミノ酸と脂肪酸の縮合物塩、アルカンスルホン酸塩、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、ホルマリン縮合系スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等;カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等;非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、アルカノールアミド、糖アミド;両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体が挙げられる。
【0048】
本発明の化粧料は、その目的に応じて1種又は2種以上の架橋型オルガノポリシロキサンを含有することもできる。この架橋型オルガノポリシロキサンは、0.65〜10.0mm2/sの低粘度オルガノポリシロキサンに対し、自重以上の低粘度オルガノポリシロキサンを含み膨潤することが好ましい。また、この架橋型オルガノポリシロキサンの架橋剤は、分子中に二つ以上のビニル性反応部位を持ち、かつ、ケイ素原子に直接結合した水素原子との間で反応することにより、架橋構造を形成することが好ましい。更に、この架橋型オルガノポリシロキサンは、アルキル部分、アルケニル部分、アリール部分、及びフルオロアルキル部分からなる群から選択される少なくとも1種を架橋分子中に含有することが好ましい。架橋型オルガノポリシロキサンを用いる場合の配合量としては、化粧料の総量に対して0.1〜30重量%が好ましく、更に好ましくは1〜10重量%である。
【0049】
本発明の化粧料は、その目的に応じて1種又は2種以上のアクリル/シリコーングラフト又はブロック共重合体、シリコーン網状化合物等のシリコーン樹脂を含有することもできる。このシリコーン樹脂はアクリルシリコーン樹脂であることが好ましい。また、このシリコーン樹脂は、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分及びフルオロアルキル部分からなる群から選択される少なくとも1種を分子中に含有するアクリルシリコーン樹脂であることが好ましい。アクリル/シリコーングラフト又はブロック共重合体、シリコーン樹脂を用いる場合の配合量としては、化粧料の総量に対して0.1〜20重量%であることが好ましく、更に1〜10重量%であることが好ましい。
【0050】
本発明の化粧料は、本発明の効果を妨げない範囲で通常の化粧料に使用される成分、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等を含有することができる。
【0051】
油溶性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等から選ばれるゲル化剤が挙げられる。
【0052】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤、4−t−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0053】
防菌防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等がある。
【0054】
酸化防止剤としては、(C)成分として用いられるもののほか、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等、pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、キレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等、清涼剤としては、L−メントール、カンフル等、抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びグリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、アズレン等が挙げられる。
【0055】
美肌用成分としては、胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0056】
ビタミン類としては(C)成分として用いられるもののほか、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、 L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンH、ビタミンP、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチンがある。
【0057】
アミノ酸類としては、グリシン、ヴァリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等、核酸としては、デオキシリボ核酸等、ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等が挙げられる。
【0058】
本発明にかかる化粧料は、化粧水、乳液、クリーム、クレンジング、マッサージ料、洗浄剤、制汗剤、脱臭剤等のスキンケア料、ファンデーション、メークアップ下地、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、口紅等のメークアップ料、シャンプ−、リンス、トリートメント等の毛髪料等が挙げられる。剤型は液状、乳液状、固形状、ペースト状、ゲル状、さらにスプレー状等種々の形態を選択することができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の実施例と比較例を示すが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。参考例で使用したメチルハイドロジェンポリシロキサンは、常法の平衡化反応により製造したものである。なお、実施例と比較例中、「wt%」は「重量%」を表す。
○残存プロペニル基とアセタール化合物の合計量の測定方法
ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンを、13C−NMR(日本電子(株)製JNM−EX400;重ベンゼン希釈)により分析した。プロペニル基に帰属するシグナル(化学シフト9〜14、97〜101、145〜148)と、アセタール化合物由来のプロピル基に帰属するシグナル(化学シフト8〜10、25〜29、100〜107)を積分してそれぞれの平均値を求めた。また、全体のシグナルに対する上記シグナルの強度比を求めた。これらの値から、プロペニル基とアセタール化合物由来のプロピル基の合計量を算出した。
○1,3−ブチレングリコール添加系の臭気の測定方法
100mlガラス製サンプル瓶にポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物30gと1,3−ブチレングリコール1.5gを加え密栓し、50℃で30日間放置後臭気を嗅いだ。

○ポリプロピレングリコール添加系の臭気の測定方法
100mlガラス製サンプル瓶にポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物30gとポリプロピレングリコール1.5gを加え密栓し、50℃で30日間放置後臭気を嗅いだ。
○ポリエチレングリコール添加系の臭気の測定方法
100mlガラス製サンプル瓶にポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物30gとポリエチレングリコール1.5gを加え密栓し、50℃で30日間放置後臭気を嗅いだ。
○化粧品用ソフトゲルの評価方法
得られたゲルを100mlガラス瓶に移し、25℃で3時間静置した後、得られたゲルの外観を目視で観察し、臭気を嗅いだ。その後、得られたゲルを密栓して、70℃で7日間放置後、前記の方法でその外観を観察し、臭気を嗅いだ。
【0060】
[参考例1]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、
式:
【化4】


で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサンと、式:
CH=CHCHO(CO)19(CO)19CH
で表されるアリルエーテル化ポリオキシアルキレンとをそれらのヒドロシリル基とアリル基との当量比が1:1になるような原料比で100重量部を秤量し、溶媒としてデカメチルペンタシロキサン30重量部を加えた。更に塩化白金酸(反応原料の合計重量に対して7ppmになる量)を加えて反応温度80℃で5時間攪拌した後、60℃まで冷却し、エタノール15重量部を加えて1時間攪拌処理した。次いで、デカメチルペンタシロキサン 70重量部を加え、10分間攪拌した後、ロータリーポンプで30mmHgまで減圧にして、低分子量臭気成分(1,1−ジエトキシプロパン)を留去して得られたポリオキシアルキレン変性メチルポリシロキサンを試料No.1とした。このとき、残存プロペニル基およびアセタール化合物の総量は100ppm以下であり、臭気は認められなかった。
【0061】
[参考例2]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、
式:
【化5】


で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサンと、式:
CH=CHCHO(CO)12CH
で表されるアリルエーテル化ポリオキシアルキレンとをそれらのヒドロシリル基とアリル基との当量比が1:1.2になるような原料比で100重量部を秤量し、溶媒としてデカメチルペンタシロキサン30重量部を加えた。更に白金と1,3ジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体(白金金属が反応原料の合計重量に対して4ppmになる量)を秤量して反応温度100℃で5時間攪拌した。次いで、60℃まで冷却した後、エタノール15重量部と濃塩酸8ppmを加えて1時間攪拌処理した。これをロータリーポンプで30mmHgまで減圧にして、低分子量臭気成分(1,1−ジエトキシプロパン)を留去して得られたポリオキシアルキレン変性メチルポリシロキサンを試料No.2とした。このとき、残存プロペニル基およびアセタール化合物の総量は100ppm以下であり、臭気は認められなかった。
【0062】
[参考例3]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、
式:
【化6】


で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサンと、式:
CH=CHCHO(CO)12
で表されるアリルエーテル化ポリオキシアルキレンとをそれらのヒドロシリル基とアリル基との当量比が1:1.2になるような原料比で100重量部を秤量し、更に白金と1,3ジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体(白金金属が反応原料の合計重量に対して4ppmになる量)を秤量して反応温度100℃で5時間攪拌した。次いで、60℃まで冷却した後、エタノール15重量部と濃塩酸8ppmを加えて1時間攪拌処理した。この後、これをロータリーポンプで30mmHgまで減圧にして、低分子量臭気成分(1,1−ジエトキシプロパン)を留去して得られたポリオキシアルキレン変性メチルポリシロキサンを試料No.3とした。このとき、残存プロペニル基およびアセタール化合物の総量は100ppm以下であり、臭気は認められなかった。
【0063】
[実施例1]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、参考例1で調製した試料No.1 200.0gと、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールの0.4wt%水溶液2.0gを投入した。さらに、これを攪拌しながらロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して、試料No.4を得た。得られた試料No.4に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0064】
[実施例2]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、参考例1で調製した試料No.1 200.0gを投入した。これを攪拌しながら70℃に加熱した後、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールの0.4wt%水溶液2.0gとビタミンE 0.04gを投入した。さらに、これを攪拌しながらロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して、試料No.5を得た。得られた試料No.5に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0065】
[実施例3]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、参考例1で調製した試料No.1 200.0g、リン酸1水素2ナトリウムの0.5wt%水溶液2.0gおよびビタミンE 0.04gを投入した。さらに、これを攪拌しながらロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して、試料No.6を得た。得られた試料No.6に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0066】
[比較例1]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、参考例1で調製した試料No.1 200.0gとビタミンE 0.04gを投入した。これを攪拌しながら70℃に加熱した。さらに、これを攪拌しながらロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して、試料No.7を得た。得られた試料No.7に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0067】
[実施例4]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、参考例2で調製した試料No.2 200.0g、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールの0.4wt%水溶液2.0gおよびBHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)0.04gを投入した。さらに、これを攪拌しながらロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して、試料No.8を得た。得られた試料No.8に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0068】
[実施例5]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、参考例2で調製した試料No.2 200.0g、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールの0.4wt%水溶液2.0gおよびビタミンE 0.04gを投入した。さらに、これを攪拌しながらロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して、試料No.9を得た。得られた試料No.9に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0069】
[実施例6]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、参考例2で調製した試料No.2 200.0g、亜硫酸ナトリウムの0.5wt%水溶液2.0gおよびビタミンE 0.04gを投入した。さらに、これを攪拌しながらロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して、試料No.10を得た。得られた試料No.10に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0070】
[比較例2]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、参考例2で調製した試料No.2 200.0gとビタミンE 0.04gを投入した。これを攪拌しながら70℃まで加熱した。さらに、これを攪拌しながらロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して試料No.11を得た。得られた試料No.11に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0071】
[比較例3]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、参考例2で調製した試料No.2 200.0g、酢酸ナトリウムの0.3wt%水溶液2.0gおよびビタミンE 0.04gを投入した。さらに、これを攪拌しながらロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して試料No.12を得た。得られた試料No.12に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0072】
[実施例7]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、参考例3で調製した試料No.3 200.0g、L−アルギニンの0.4wt%水溶液2.0gおよびBHT 0.04gを投入した。さらに、これを攪拌しながらロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して試料No.13を得た。得られた試料No.13に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0073】
[比較例4]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコ中で、参考例3で調製した試料No.3 200.0gを投入した。これを攪拌しながら70℃まで加熱した。さらに、これを攪拌しながらロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して試料No.14を得た。得られた試料No.14に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0074】
[比較例5]
温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、参考例2で調製した試料No.2 200.0g、IPA 60.0gおよび活性炭 4.0gを投入した。これを70℃で2時間攪拌した後、窒素圧下でろ過を行った。温度計および攪拌機を備えた300mlの四つ口のセパラブルフラスコに、ろ過後の組成物 250.0gとビタミンE 0.04gを投入し、70℃でロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して試料No.15を得た。得られた試料No.15に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0075】
[比較例6]
ステンレス製の1Lオートクレーブに、参考例2で調製した試料No.2 500.0g、イソプロピルアルコール150gおよびラネーニッケル25gを投入した。さらに、水素でオートクレー部内部を置換した後、水素圧を690kPaまで加圧した。反応物を攪拌しながら、100℃まで除々に温度を上げ、100℃で6時間で反応させた後、冷却した。さらに、窒素圧下でろ過を行い、ビタミンE 0.1gを添加した後、70℃でロータリーポンプで30mmHgまで減圧にすることにより、低分子量臭気成分を留去して試料No.16を得た。得られた試料No.16に前記の方法で1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを添加し、経時的に発生する臭気を評価し、その結果を表1に示した。
【0076】
【表1】

経時的に発生する臭気の評価結果
*○:臭気なし、△:若干臭気有り、×:臭気あり
【0077】
[実施例17〜19、比較例7,8,9]
300mlポリカップに試料No.4,5,7,15または16 20g、デカメチルペンタシクロシロキサン73gおよび1,3−ブチレングリコール5gを秤量した。これをTKホモディスパー(特殊機化製)を用いて均一に溶解した後、3000rpmで攪拌しながらイオン交換水2gを滴下した。90秒攪拌した後、ポリカップおよびホモディスパーに付着した粗ゲルのかき落としを行い、3000rpmで更に300秒間攪拌し化粧品用ソフトゲルを調製した。各化粧用ソフトゲルの組成、外観および試作直後から経時で発生した臭気の評価結果を表2に示した。
【0078】
【表2】

化粧品用ソフトゲルの組成、外観および臭気の評価結果
* ○:臭気なし、△:若干臭気有り、×:臭気あり
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物は、臭気がなく、ポリオキシアルキレン鎖を含む化合物またはグリコール類と共に配合された場合でも、経時で発生する臭気が極めて少ないため、化粧品、皮膚洗浄剤、塗料、コーティング剤、消泡剤、封止剤、インキ、防曇剤、およびシリコーンコンパウンドの原料として有用である。特にポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの着臭のため、その使用が困難であった化粧品分野の原料として非常に有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)白金系触媒を用いてオルガノハイドロジェンポリシロキサンと末端二重結合を有するポリオキシアルキレンをヒドロシリル化反応させることにより合成され、さらに低臭化処理を行って得られたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンと、(B)残存している該白金系触媒の不活化剤とからなることを特徴とする、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
(A)白金系触媒を用いてオルガノハイドロジェンポリシロキサンと末端二重結合を有するポリオキシアルキレンをヒドロシリル化反応させることにより合成され、さらに低臭化処理を行って得られたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンと、(B)残存している該白金系触媒の不活化剤と、(C)酸化防止剤とからなることを特徴とする、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
白金系触媒が、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とケトン類との錯体、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯体、または四塩化白金であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
低臭化処理が、合成されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンを酸性物質と低級アルコールの存在下で処理して低沸点臭気原因物質を生成させた後、該低沸点臭気原因物質を除去することであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
成分(B)が窒素、リンまたは硫黄の化合物であり、その水溶液が塩基性を呈することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
窒素化合物がアミノアルコール、アミノ酸またはアンモニアであり、リン化合物がリン酸アルカリ金属塩であり、硫黄化合物がアルキル硫酸アルカリ金属塩、アルキル硫酸アミン塩または亜硫酸アルカリ金属塩であることを特徴とする、請求項5に記載されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項7】
アミノアルコールが2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールまたは2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールであり、アミノ酸がL−アルギニンまたはL−リジンであり、リン酸アルカリ金属塩がリン酸1水素ナトリウムであり、アルキル硫酸アルカリ金属塩がアルキル硫酸ナトリウムであり、アルキル硫酸アミン塩がアルキル硫酸トリエタノールアミン塩であり、亜硫酸アルカリ金属塩が亜硫酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項6に記載されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項8】
成分(C)がBHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、ビタミンCまたはビタミンEであることを特徴とする、請求項2に記載されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項9】
成分(A)に対する成分(B)の配合量が残存白金系触媒を不活性化するのに十分な量であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物であることを特徴とする化粧料添加剤。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載されたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物と(D)ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物またはグリコール類を含有することを特徴とする化粧料。


【公開番号】特開2006−176655(P2006−176655A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371501(P2004−371501)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】