説明

低誘電率押出成形品

【目的】 高強度(高硬度)であり、しかも高湿保存下でも、低誘電率、低誘電正接を保持できる絶縁材料、及び当該絶縁被覆用材料を用いたコネクター、熱収縮チューブ等の成形品、絶縁電線を提供する。
【解決手段】 平均炭素数13以上の脂肪族ジカルボン酸と、脂環式ジアミンを50モル%以上含むジアミンとを重縮合してなるポリアミドを主成分とする組成物を押出成形してなる。前記ジカルボン酸は、ダイマー酸を少なくとも50モル%含有することが好ましく、前記脂環式ジアミンは、1,3−ジアミノシクロヘキサン誘導体であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁電線、熱収縮チューブ、コネクター、CPUコネクターのように、誘電率の低減、特に吸水、吸湿状態となっても低誘電率であることが求められている電子、電気部品の絶縁被覆に用いられる熱収縮チューブ、コネクター等の成形品、及び当該成形品で絶縁被覆した絶縁電線に関する。
【背景技術】
【0002】
日本、アジア等の高温・多湿型気候の地域で保管、使用される絶縁電線では、電気的特性が吸水、吸湿により低下しないように、絶縁被覆材料は、低吸水、低吸湿性であることが求められる。ポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレンでは誘電率が2.2−2.3と低く、吸水性が小さいので、高湿下でも優れた電気的特性を保持することができる。
【0003】
一方、自動車や船舶等の車両部品、ロボット等の産業機械、電子機器等において配線、配索に用いられる絶縁電線では、組み付け時に他部材と接触したり、さらに使用時にも振動等によって他部材との接触を受けるなどの理由から、絶縁被覆材料には、高い摩耗性も要求される。しかしながら、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂は、一般に耐摩耗性が低い。
【0004】
低吸水性と耐摩耗性の要件を充足するために、例えば、特開平4−368715号公報(特許文献1)で提案されているように、ショアD硬度50以上のポリオレフィン系樹脂を用いている。しかしながら、高硬度ポリオレフィン系樹脂であっても、実施例に示されるように、せいぜいショアD硬度60程度であるため、上記機器の絶縁電線用絶縁被覆材料としては、耐摩耗性の更なる向上が求められる。
【0005】
高度な耐摩耗性を充足するために、例えば、特開2002−124138号公報(特許文献2)や特開2002−140939号公報(特許文献3)では、ポリエチレンを主成分とする絶縁内層と耐摩耗性に優れたポリアミド樹脂を主成分とする絶縁外層との2層構造の絶縁被覆が提案されている。また、特開2010−198898号公報(特許文献4)では、自動車の配線に用いられる絶縁被覆部材として、ポリオレフィン樹脂とポリアミド樹脂の混合物を主成分とすることを提案しており、このブレンド物の場合には、1層で、耐摩耗性、耐外傷性、難燃性を充足できることが示されている。しかしながら、特許文献4には、吸水による影響について記載されていない。
【0006】
また、液晶テレビ、複写機、コンピュータ等の液晶パネルの表示に利用しているバックライトの光源には冷陰極管等が使用されており、点灯回路で発生させた高周波数、高電圧の電流を冷陰極管に供給している。冷陰極管への供給電力の高周波数化、高電圧化に伴い、これらに用いられる絶縁電線についても、絶縁層の誘電率の低減により、漏れ電流を低減する必要がある。特開2010−118207号公報(特許文献5)では、このような電子機器内配線に使用される燃絶縁電線として、導体の外周を被覆する第1絶縁層をスチレン系エラストマー及びポリオレフィン樹脂の混合物と、ポリフェニレンエーテルとの混合物で、誘電率が3.2以下の材料で構成することを提案している。特許文献5では、絶縁第1層上に、さらに絶縁第2層が設けられており、吸水による電気的特性の影響については、記載されていない。
【0007】
さらに、自動車に配設される電線のうち、ノイズに対する遮蔽が要求される箇所には、シールド線が用いられている。このシールド線は、複数本の信号線となる絶縁電線とアース用ドレン線とを内包し、ドレン線及び絶縁電線をシールド層及び絶縁樹脂材料からなるシースで順次被覆してなるもので、シールド線の端末部分は、シース及びシールド層を皮剥ぎ後、止水処理がされる。特開2008−234974号公報(特許文献6)では、シールド線の端末部分のスリム化、シールド性能の向上を目的として、端末部のシース及びシールド層の皮剥ぎ端を熱収縮チューブで覆い、さらにホットメルトチューブで覆うドレン線の止水構造を提案している。このような止水構造に用いる熱収縮チューブは、皮剥ぎ端が水分に曝されても、電位特性の低下が小さくて済み、さらに組み付け時に他の部材と接触することがあるので、高い摩耗性も必要である。
【0008】
さらにまた、コンピュータの伝送信号の高周波化に伴い、高周波数に対応したCPU用コネクターなど、高速での電気的信号の伝達に深く関与する接続部位に使用される絶縁部材には、より小さな誘電率、誘電特性に優れる部材が求められる。さらに、コンピュータの小型化による省スペース化に伴い、コネクターも小型化、薄肉化が要求されており、コネクター材料としては、絶縁性、低誘電率だけでなく、高強度であることも必要とされる。
従って、コネクター等の電気、電子部品の絶縁部材としては、高強度で、耐熱性、耐薬品性、成形性などの特性に優れているナイロン46、ナイロン12等の脂肪族ポリアミドが従来より多用されている。しかしながら、ポリアミドは、アミド基の親水性に基づき、一般に吸湿性が高く、雰囲気に応じて吸水する性質を有し、ナイロン46、ナイロン12等のポリアミドは、吸湿により誘電率、誘電正接が大きく上昇する傾向にあるため、吸水率の小さいポリアミドが検討されている。
【0009】
例えば、特開2000−67985号公報(特許文献7)には、DSCで測定した融点が280℃以上であり、ジカルボン酸の45−100モル%がテレフタル酸であるジカルボン酸と、ジアミンの80−100モル%が脂肪族ジアミン(実施例では1,9−ジアミノノナンと2−メチル−1,8−ジアミノオクタンの混合物)であるジアミンとからなるポリアミドが提案されている。
【0010】
また、特開2008−189929号公報(特許文献8)には、低吸水性ポリアミドとして、ポリアミド613等の脂肪族ポリアミドと、ヘキサメチレンジアミン及びテレフタル酸及び/又はイソフタル酸を重合してなるポリアミドとの混合物に、ガラス繊維等の充填剤を配合したポリアミド成形材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平4−368715号公報
【特許文献2】特開2002−124138号公報
【特許文献3】特開2002−140939号公報
【特許文献4】特開2010−198898号公報
【特許文献5】特開2010−118207号公報
【特許文献6】特開2008−234974号公報
【特許文献7】特開2000−67985号公報
【特許文献8】特開2008−189929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上のように、ポリオレフィン単独で耐摩耗性と絶縁材料を提供することは困難である。一方、ポリアミドについては、例えば特許文献7で提案されているような、融点が280℃以上のポリアミドでは、280℃以上で押出成形を実施する必要があり、生産コストの増大、高温による添加剤の分解などをもたらすおそれがある。また、特許文献8で提案されているポリアミド樹脂では、充填剤を添加することで吸水率を低減することができても、伸びなどの機械的特性について、ポリアミド本来の優れた特性が生かされない場合がある。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高強度(高硬度)であり、しかも高湿保存下でも、低誘電率、低誘電正接を保持できる絶縁材料、及び当該絶縁被覆用材料を用いたコネクター、熱収縮チューブ等の成形品、絶縁電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは種々のポリアミドについて検討した結果、特定モノマー組成のポリアミドでは、吸水、吸湿によっても低誘電率、低誘電正接を保持できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の低誘電率押出成形物は、平均炭素数13以上の脂肪族ジカルボン酸と、脂環式ジアミンを50モル%以上含むジアミンとを重縮合してなるポリアミドを主成分とする組成物を押出成形してなることを特徴とする。
【0015】
前記ジカルボン酸は、ダイマー酸を少なくとも50モル%含有することが好ましく、また前記ダイマー酸は、植物由来であることが好ましい。
【0016】
また、前記脂環式ジアミンは、1,3−ジアミノシクロヘキサン誘導体であることが好ましく、特にイソホロンジアミンであることが好ましい。また、前記ポリアミドは非晶性ポリアミドであることが好ましい。
【0017】
本発明の低誘電率押出成形物は、乾燥時の比誘電率が3.3以下であることが好ましく、さらに、常温にて水に1週間浸漬した後の誘電率が、乾燥時の誘電率の1.1倍以下であることが好ましい。
【0018】
本発明の絶縁電線は、導体の外周が、上記本発明のいずれかの押出成形物で絶縁被覆されたたものである。
【0019】
本発明は、チューブ状に押出成形された上記本発明の押出成形物を、さらに拡径し、当該拡径状態を固定してなる熱収縮チューブ、上記本発明の押出成形物を筺体とするコネクターも包含する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の押出成形物は、特定のポリアミドを原料として用いているので、乾燥時の誘電率が低く、しかも吸水、吸湿による誘電率増大が小さい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、今回、開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<低誘電率押出成形品用ポリアミド>
はじめに、本発明の低誘電率押出成形品材料の主成分であるポリアミドについて説明する。
【0023】
本発明で用いられるポリアミドは、脂環式ジアミンを50モル%以上含むジアミンと平均炭素数13以上の脂肪族ジカルボン酸とを重縮合してなるポリアミドであり、低誘電率で、しかも吸水によっても誘電率の増大が小さいポリアミドである。好ましくは、乾燥時の誘電率が3.3以下、より好ましくは3.0以下であり、また25℃で水に1週間浸漬後の誘電率が乾燥時の誘電率の1.1倍以内であることが好ましく、より好ましくは1.05倍以内である。ここで、乾燥時の誘電率とは、40℃恒温槽で10時間放置した後の状態をいう。
【0024】
ポリアミドの原料モノマーとなる脂環式ジアミンとしては、イソホロンジアミン(1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンに該当)、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の単環型脂環式炭化水素誘導体;ビス−(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−2,2’−ジメチルプロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノ−5−エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノ−5−エチルシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノ−5−イソプロピルシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノ−5−イソプロピルシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジイソプロピル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジイソプロピル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−エチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−エチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−イソプロピル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−イソプロピル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン等のビス体タイプの多環型脂環式炭化水素誘導体;ビスアミノメチルノルボルネン等の縮合環型脂環式炭化水素誘導体;ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン等の環状アミン等を、1種又は2種以上混合して用いることができる。これらのうち、イソホロンジアミン、ビス(3−メチル−4アミノシクロヘキシル)メタン等のように、分岐構造を有する脂環式ジアミン、環構造の非対称位置に官能基を有する脂環式ジアミンが結晶化の阻害効果が大きく、乾燥時の誘電率低減に寄与するとともに、吸水、吸湿による誘電率増大を抑制する傾向にあることから、1,3−ジアミノシクロヘキサン誘導体が好ましく、より好ましくはイソホロンジアミンである。
【0025】
脂環式ジアミン以外に、ポリアミドの吸水による電気的特性の影響度を損なわない範囲(具体的にジアミン化合物の50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下)であれば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;ε−カプロラクタム、ω−ラウリルラクタム、2−ピロリドンなどのラクタム類;6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノ酸;メタキシリレンジアミン、パラキシレンジアミン芳香族ジアミンを、共重合モノマーとして用いてもよい。さらに、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート類などを用いることもできる。
【0026】
ポリアミドの原料モノマーとなるジカルボン酸としては、平均炭素数13以上の脂肪族ジカルボン酸が用いられる。飽和脂肪酸であってもよいし、不飽和脂肪酸であってもよいし、また不飽和脂肪酸の水素添加物であってもよい。具体的には、テトラデカンジカルボン酸(C1224(COOH)2)等の炭素数13以上の脂肪族ジカルボン酸;脂肪酸を2量化したダイマー酸;平均炭素数13以上となる2種以上の脂肪族ジカルボン酸の混合物などを用いることができる。
【0027】
ここで、平均炭素数13以上となる2種以上の脂肪族ジカルボン酸の混合物とは、炭素数13以上の脂肪族ジカルボン酸と炭素数13未満の脂肪族ジカルボン酸とを、平均炭素数13以上となるように組み合わせた混合物をいう。組合せは特に限定しないが、例えば、スベリン酸(C8144)とダイマー酸の混合物、アジピン酸(C6104)とダイマー酸の混合物、セバシン酸(C10184)とダイマー酸の混合物、アゼライン酸(C9164)とダイマー酸の混合物などのように、ダイマー酸との混合物が好ましく用いられる。炭素数13以上の脂肪族ジカルボン酸と炭素数13未満の脂肪族ジカルボン酸との混合比率は、ジカルボン酸の種類に応じて、平均炭素数13以上となるように適宜設定できるが、好ましくはダイマー酸の含有率が50モル%以上であることが好ましい。
【0028】
上記ダイマー酸とは、一般に炭素数8〜24の不飽和脂肪酸、主に、オレイン酸(C18342)、リノール酸(C18322)、リノレン酸(C18302)などを、二量体化した重合脂肪酸であり、二量体の他に、単量体や三量体などを含んでいてもよい。単一の不飽和脂肪酸の2量体であってもよいし、数種類の不飽和脂肪酸(トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の天然、好ましくは植物由来脂肪酸)を二量化させたものであってもよい。また、環状ダイマー酸であっても、非環状ダイマー酸であってもよい。一般に、リノール酸(C18322)、リノレン酸(C18302)の含有が多いと、環状ダイマー酸を比較的多く生成しやすい。
【0029】
平均炭素数13以上のジカルボン酸のうち、好ましくは炭素数20以上のジカルボン酸である。炭素数が多いほど、乾燥時の誘電率が低くなる傾向にあり、低誘電率のポリアミドを得ることができる。炭素数が多いジカルボン酸としては、ダイマー酸が入手容易性の点から好ましく用いることができ、さらに植物由来脂肪酸のダイマー酸では、原料生産のサイクルが短い(6カ月〜1年)ので、原料確保が容易であることから好ましく用いることができる。一方、低炭素数のジカルボン酸の方が、高硬度のポリアミドを得られやすい傾向にあることから、成形品の用途、求められる特性に応じて、ポリアミド構成モノマーとしてのジカルボン酸を適宜選択すればよい。
【0030】
ジアミンとジカルボン酸の重縮合方法としては、従来より一般に行われている方法を用いることができ、具体的には、ジアミンとジカルボン酸とを、重合開始剤存在下で、例えば、150〜250℃程度で加熱して、3〜10時間程度重縮合させればよい。また、加熱は減圧下で行ってもよい。
【0031】
以上のようなポリアミドは、構成モノマーの種類にもよるが、40℃恒温槽で10時間放置後の吸水率が0.3重量%以上であり、室温で水に7日間浸漬した後の吸水率が0.6重量%以上と、現在、絶縁材料の主成分として用いられているポリアミドに比べて吸水、吸湿性である。しかしながら、高吸水性、高吸湿性のポリアミドであるにもかかわらず、低誘電率であり、しかも、室温で水に7日間浸漬した後も乾燥時の誘電率の1.1倍以下、好ましくは1.05倍以下に抑制される。
【0032】
ポリアミドが吸水、吸湿性であるにも関わらず、低誘電率である理由は明らかではないが、脂環式ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の組合せは結晶化しにくく、ポリアミド分子鎖が整列できず、ランダムな状態で存在することになる。その結果、誘電率に寄与する、ポリアミド分子鎖のアミド結合もランダムな方向を向いた状態(非晶性)となるため、アミド結合と水分子の配位が起こりにくく、誘電率増大への寄与が小さいのではないかと推測する。
【0033】
<成形品>
本発明の低誘電率押出成形品は、以上のような構成を有するポリアミドを主成分とする樹脂組成物を押出成形したものである。
【0034】
前記樹脂組成物には、ポリアミド以外の樹脂、添加材などを必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば含有してもよい。
ポリアミド樹脂以外の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、環状ポリオレフィンなどの炭化水素系ポリマーやエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体などのエチレン系共重合体、さらに該エチレン系共重合体に無水マレイン酸やアクリル酸、グリシジルエーテルなどを共重合したポリマー、該ポリマーに無水マレイン酸やアクリル酸をグラフトしたポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンブチレート、ポリフェニレンエーテルなどのエンジニアリングプラスチック、ポリブチレンサクシネートやポリ乳酸などの生分解性ポリマーなどが例示できる。その含有率は樹脂成分の30重量%未満であり、より好ましくは10重量%未満である。上記添加剤としては、顔料、染料、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、難燃材、滑剤、充填材、シランカップリング剤、トリメチロールプロパントリメタクリレートやトリアリルイソシアヌレート等の多官能性モノマー等が挙げられる。
【0035】
前記押出成形は、上記樹脂組成物を溶融し、押出機で押し出す成形方法であり、所望の形状を与えるダイを通過させて連続的に成形する狭義の押出成形の他、Tダイ押出成形、異型押出し、押出樹脂中に空気を吹き込むインフレーション成形、金型キャビティ中に溶融樹脂を充填する射出成形などが挙げられる。
【0036】
本発明の押出成形品としては、絶縁電線の絶縁被膜、シールド線の皮剥ぎ端の止水構造に用いるような熱収縮チューブ、電気、電子部品のコネクターの筺体などが挙げられる。
【0037】
尚、得られた成形品に電離放射線を照射して架橋してもよい。電離放射線の照射により、高分子の分子間、分子内架橋が生じ、成形品の耐熱性、耐摩耗性が向上する。
電離放射線源としては、加速電子線やγ線、X線、α線、紫外線などが挙げられる。線源利用の簡便さや電離放射線の透過厚み、架橋処理の速度等、工業的利用の観点から、加速電子線が最も好ましく利用できる。
加速電子線の加速電圧は、成形物の肉厚によって適宜設定すればよい。例えば、厚み0.01mm〜1.5mmの成形物では、加速電圧は200〜2000kVの間で選定される。照射線量としては、20〜500kGyで十分な架橋度が得られる。
【0038】
〔絶縁電線〕
本発明の絶縁電線は、上記本発明の押出成形品を導体の絶縁皮膜として用いたものである。
導体としては、銅や銅合金線、その錫メッキ線やニッケルメッキ線、アルミニウム線、マグネシウム、鉄、ニッケルなどの金属導体が用いられる。素線の他、複数本の素線を撚り合わせたもの、撚り合わせた後に圧縮させたものを用いることができる。
【0039】
導体外周に絶縁被膜を形成する成形方法は、絶縁電線の種類に応じて適宜選択される。例えば、電線被覆の場合、クロスヘッド型ダイなどを用いて、導体の外周を、上記樹脂組成物が覆うように押出成形することにより製造すればよい。
【0040】
得られた絶縁電線に電離放射線を照射して架橋してもよい。電離放射線の照射により、絶縁被膜中の高分子の分子間、分子内架橋を生じさせ、絶縁被膜の耐熱性、耐摩耗性を向上させることができる。
【0041】
本発明の絶縁電線は、低誘電率、及び誘電率等の電気的特性が吸水による影響を受けにくく、しかもショアD硬度60以上の材料で構成されている。従って、自動車および船舶等の運輸手段、エレベータ、ロボット等の産業機器のように、他の部品等と接触等により耐摩耗性、耐外傷性が要求されるような箇所の配線、信号線として用いられる絶縁電線として好適である。
さらに、低誘電率で、誘電率等の電気的特性が吸水による影響を受けにくく、高硬度であることから、導体の外周を直接被覆する1層構造の絶縁被覆で求められる特性を充足することが可能となり、絶縁被膜の薄肉化、しいては電線の小型化、スリム化の要求も充足させることが可能となる。従って、小型軽量化が求められている自動車、電気機器の配線に用いられる絶縁電線、さらには液晶テレビ、複写機、コンピュータ等の電子機器等において、小型化、薄肉化の要請がある絶縁電線としても好適である。
【0042】
〔コネクター〕
本発明の低誘電率押出成形品は、低誘電率で、しかも誘電率等の電気的特性が吸水等による影響が少ないので、高速で作動する電子部品を実働するためのコネクター用筺体としても好適である。誘電率が小さいコネクターは、誘電損失による電気的信号の伝達上のトラブルを減少させることができる。
【0043】
ここで、コネクターとは、回路または機器などを相互に接続するための接続具で、一般に相手側と接触して電気的接続を行うコンタクトと呼ばれる金属片と、それらを支持する絶縁体、挿入、抜去、固定を容易にするための補助機構などで構成されている。本発明の押出成形品は、電気的接続部位を支持する絶縁体部に用いられる。
【0044】
コネクターは、前記樹脂組成物を溶融し、射出成形法、押出成形法など、金型等で所望の形状に成形して製造すればよい。
【0045】
〔熱収縮チューブ〕
本発明の熱収縮チューブは、ポリアミドを主成分とする樹脂組成物をチューブ状に押出成形したもので、且つ加熱により所定径に収縮できるチューブ状成形品である。このような熱収縮チューブは、上記ポリアミドを、ポリアミドの軟化点以上の温度に加熱した状態で、チューブ内に圧縮空気を導入する等の方法により、所定の外径に膨張した後、冷却して形状を固定する。
【0046】
押出成形後、電離放射線を照射して架橋しておくことが好ましい。電離放射線の照射架橋により、被覆材としての拡径、収縮特性が向上する。膨張倍率は、1.2〜5倍程度とすることが好ましい。チューブ状成形品の肉厚は、特に限定しないが、0.01〜1.5mmとすることが好ましい。
【0047】
押出機の種類は特に限定せず、スクリュー式、非スクリュー式のいずれもよいが、好ましくはスクリュー式である。スクリューの種類も特に限定しないが、全長Lとシリンダ孔径Dの比(L/D)は、通常15〜40程度であることが好ましい。またダイス引落し率(DDR)は、特に限定しないが、1〜20程度が好ましい。また、ヒータの温度は、使用するポリアミド組成物を均一に軟化溶融できる温度、具体的には、軟化点から20℃程度高い温度であればよい。
【0048】
本発明の熱収縮チューブは、主成分であるポリアミドの種類にもよるが、架橋により、80〜110℃で収縮させることができ、吸水、吸湿により、誘電率等の電気的特性に対する影響が小さくて済むので、ワイヤーハーネスなど電線被覆を剥離結線した部位の絶縁被覆、シールド線の皮剥ぎ端末の止水処理に用いることができる。例えば、シールド線の皮剥ぎ端にホットメルトチューブを被せるとともに、熱収縮チューブをかぶせ、加熱により熱収縮チューブを加熱収縮させるとともに、ホットメルトチューブを溶融させて、ホットメルト樹脂をシールド線に内包されているドレン線の素線間に浸透させて充填することで、端末部の止水処理ができる。
【実施例】
【0049】
本発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0050】
〔測定、評価方法〕
はじめに、本実施例で行なった測定、評価方法について説明する。なお、以下の測定は、すべて、25℃、湿度25%下で行った。
(1)融点
島津製作所社製のDSC−50を用いて、25−300℃まで10℃/分で加熱し、融点を確認した。ここで、融点とは、10℃/minの昇温速度で測定したとき、1cal/g以上の結晶融解熱を示すときの温度と定義し、結晶融解熱が1cal/g以下のものは、融点なしとした。また、融点となるピークが2つ表れた場合には、いずれも融点とした。
【0051】
(2)比誘電率(ε)、tanδの測定
インピーダンスアナライザ4(横河ヒューレットパッカード製の4276A(LCZメータ)を用いて、周波数1kHzの条件で、その静電容量及びtanδを測定した。
シート実測厚み、真空での誘電率、測定面積により換算して、比誘電率を求めた。
【0052】
(3)体積固有抵抗(ρ)
横河ヒューレットパッカード製の4329A High Resistanceメータを用いて、体積固有抵抗(Ω・cm)を測定した。
【0053】
(4)吸水率(重量%)
カールフィシャー法にて、190℃に加熱しサンプルシートに含まれる水分量を測定し、乾燥前のシート重量に対する重量割合を算出した。
【0054】
(5)透明性
厚み1mmのシート状成形物を三層積層して、文字が印加されたシートの上に設置し、文字を確認した。文字が読めた場合を「○」、読めなかった場合を透明性が劣っているとして「×」とした。
【0055】
(6)ショアD硬度
デュロメータ(アスカーゴム硬度計D型:高分子計器製)を用いて測定した。
【0056】
(7)εの吸水影響度
40℃の恒温槽で10時間放置乾燥した後(乾燥時)の比誘電率(a)に対して、水に1週間浸漬した後の比誘電率(b)の増大割合(b/a)を算出した。
【0057】
〔ポリアミドNo.1−4、11−15の合成〕
脂環式ジアミン成分としてイソホロンジアミン(IPDA)又は1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3−BAC)、あるいは脂肪族ジアミンとしてヘキサメチレンジアミン(HMDA)を使用し、ジカルボン酸成分としてダイマー酸、セバシン酸、又はアジピン酸のいずれかを、表1、表2に示す量比(モル比)で配合し、200℃で3時間重縮合し、更に減圧下で1時間反応させる。
【0058】
なお、ダイマー酸としては、築野食品工業株式会社製ツノダイム395(単量体/二量体/三量体=2.5/94/3.5)を用いた。
【0059】
〔ポリアミドNo.5−8、16〕
これらのポリアミドは市販品であり、ポリアミド構成成分としての主たるジカルボン酸、ジアミンは、以下のとおりである。
・No.5:ナイロン11、「リルサン(登録商標)B ESN−TL」
ポリアミド原料はウンデカラクタム
・No.6:ナイロン12、宇部興産株式会社製の「UBESTA(登録商標)3035JU3」
ポリアミド原料は、ラウリルラクタム
・No.7:SealerPA、
ポリアミドの主たる原料モノマーは、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサメチレンジアミン
・No.8:ジェネスタG1300H
ポリアミドの主たる原料モノマーは、テレフタル酸、ノナンジアミン
・No.16:TR90
ポリアミドの主たる原料モノマーは、ドデカンジカルボン酸、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)
【0060】
〔ポリアミド樹脂製シートの作製〕
上記で合成したポリアミドNo.1−4、11−15及び市販のポリアミド(No.5−8、16)をミキシングロールにて混合し、プレス成形して、厚み1mmのシートを製造した。
ポリアミドを用いて製造したシートを40℃恒温槽で10時間放置後、上記測定方法に基づいて、比誘電率、tanδ、体積固有抵抗、吸水率、ショアD硬度、透明性を測定した。さらに、常温で水に1週間の浸漬処理、高湿度(40℃、90%)下で14日放置処理した後、比誘電率、tanδ、体積固有抵抗、吸水率を測定し、比誘電率の吸水影響度を算出した。測定結果を、各ポリアミドの構成、融点とともに、表1及び表2に併せて示す。
【0061】
尚、平均炭素数13以上のジカルボン酸と脂環式ジアミンを50モル%以上含むジアミンを構成モノマーとするポリアミドを用いたサンプルシートNo.1,11−15が、本発明の実施例に該当する。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
表1において、No.3は、ポリアミド構成モノマーであるジアミンとして、脂肪族ジアミンを用いた場合である。乾燥時の誘電率は3.12と低誘電率を満足できる値であったが、1週間の浸水処理漬後には、乾燥時の1.37倍も誘電率が増大し、吸水、吸湿状態では電気的特性を充足できない。この点、ジアミンとして、脂環式ジアミンを50モル%以上含んでいる場合(No.1,2,4)、いずれも吸水影響度は1.1倍以下であり、吸水、吸湿による誘電率の増大が抑制されていることがわかる。
【0065】
市販品に関して、No.5,6は、ポリアミド原料としてラクタムを用いた場合であり、脂環式ジアミンを含んでいなので、乾燥時の誘電率が3.7以上と高く、このようなポリアミド単独で、高湿度下で保管、使用される絶縁材料として用いることには不適である。
【0066】
また、No.7,8は、構成モノマーとしてテレフタル酸及び/又はイソフタル酸といった芳香族ジカルボン酸を使用し、ジアミンとして脂環式ジアミンが実質的に用いられていない場合である。いずれも乾燥時の誘電率が高く、低誘電率が求められる用途には用いることができない。
【0067】
一方、脂環式ジアミンを50モル%以上含有するジアミンを用い、且つ脂肪族ジカルボン酸を用いて合成されるポリアミドのシートNo.1,2,4においては、炭素数10のセバシン酸を用いたNo.2,4は、炭素数13以上のダイマー酸を用いたNo.1と比べて、乾燥時の誘電率が3.3以上と高かった。
【0068】
No.11−15は、いずれも構成モノマーとして、脂環式ジアミンを使用し、脂肪族ジカルボン酸としてダイマー酸と炭素数13未満のジカルボン酸との混合物を使用した場合で、融点を示さず、非晶性ポリアミドに属する。
No.16は、ジカルボン酸として炭素数12のドデカンジカルボン酸を使用しており、さらにジアミンとして対称型の脂環式ジアミンを使用した場合である。No.16の初期の誘電率は2.98と低誘電率を満足できたが、吸水後の誘電率は、吸水前の1.1倍以上となり、吸水による誘電率増大の影響は、平均炭素数13以上のジカルボン酸(ダイマー酸)を50モル%以上含有するジカルボン酸を用いたNo.11−15、No.1よりも大きかった。
【0069】
No.11−13はジカルボン酸としてダイマー酸とセバシン酸との混合物を使用し、その混合割合を変えた場合である。ダイマー酸の含有割合が高くなるほど、乾燥時の誘電率が下がっていることがわかる。また、No.11とNo.15の比較から、ダイマー酸の含有率が同じでも、混合するジカルボン酸の種類を変えることで、平均炭素数を低くなっているNo.15の方が、No.11よりも乾燥時の誘電率が高くなっていた。従って、ジカルボン酸として平均炭素数が高くなるほど、より低誘電率のポリアミド絶縁材料を提供できることがわかる。
【0070】
また、No.11と14とを比べると、ジアミンとしてIPDAを使用したNo.11の方が、乾燥時の誘電率が低く、且つ吸水影響度も小さかった。
【0071】
No.1−8、11−16は、いずれもショアD硬度60以上であり、耐摩耗性を充足できるが、低誘電率で、しかも吸水、吸湿によっても誘電率の増大が小さいという要件を充足するものは、実施例に該当するNo.1,11−15であった。ショアD硬度については、ジカルボン酸の平均炭素数が少ないほど、ショアD硬度は高くなる傾向にあることから(No.1−3の比較、No.11−13の比較)、耐摩耗性の要請の程度、高湿度条件での保管状況など、製品の用途に応じてジカルボン酸を選択すればよいことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の低誘電率押出成形品は、低誘電率で、吸水、吸湿による誘電率の増大が少なくて済むので、高湿下で用いられる絶縁電線や電気・電子部品の絶縁被覆材として利用できる。また、高硬度で、透明なので、耐摩耗性、耐外傷性も求められる自動車等の車両やロボット等の産業機器に用いられる絶縁電線にも好適に用いることができる。特に、本発明の押出成形物を絶縁被膜として用いる場合、当該絶縁被膜1層構造だけで、耐摩耗性、吸水又は吸湿による電気的特性低下の防止を図ることができるので、絶縁被膜の薄肉化が可能となり、コンピュータや複写機等の小型、軽量化が求められているOA機器の配線に用いられる絶縁電線にも好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均炭素数13以上の脂肪族ジカルボン酸と、脂環式ジアミンを50モル%以上含むジアミンとを重縮合してなるポリアミドを主成分とする組成物を押出成形してなることを特徴とする低誘電率押出成形物。
【請求項2】
前記ジカルボン酸は、ダイマー酸を少なくとも50モル%含有する請求項1に記載の低誘電率押出成形物。
【請求項3】
前記ダイマー酸は、植物由来である請求項2に記載の低誘電率押出成形物。
【請求項4】
前記脂環式ジアミンは、1,3−ジアミノシクロヘキサン誘導体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の低誘電率押出成形物。
【請求項5】
前記脂環式ジアミンは、イソホロンジアミンである請求項4に記載の低誘電率押出成形物。
【請求項6】
前記ポリアミドは非晶性ポリアミドである請求項1〜5のいずれか1項に記載の低誘電率押出成形物。
【請求項7】
乾燥時の比誘電率が3.3以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の低誘電率押出成形物。
【請求項8】
常温にて水に1週間浸漬した後の誘電率が、乾燥時の誘電率の1.1倍以下である請求項7に記載の低誘電率押出成形物。
【請求項9】
導体の外周が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の押出成形物で絶縁被覆されている絶縁電線。
【請求項10】
チューブ状に押出成形された請求項1〜8のいずれか1項に記載の押出成形物を、さらに拡径し、当該拡径状態を固定してなる熱収縮チューブ。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の押出成形物を筺体とするコネクター。


【公開番号】特開2012−184372(P2012−184372A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49948(P2011−49948)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(591066362)築野食品工業株式会社 (31)
【Fターム(参考)】