説明

低質油のエマルジョン化装置

【構成】 水タンクと油タンクとオゾン発生機と攪拌タンクとを備える。前記水タンクおよび前記油タンクを各々流路を介して前記攪拌タンクとつなぐ。前記オゾン発生機と前記前記攪拌タンクとを流路を介してつなげ、前記攪拌タンク内において攪拌機を作動させることによりオゾンを供給しながら水と油とをエマルジョン化する。前記攪拌タンクに流路を介してリターンタンクをつなぐ。このリターンタンクを流路を介して前記攪拌タンクにつなげ、このリターンタンク内に水センサを設ける。この水センサが水分を検出しないようになったときに信号を発する低質油のエマルジョン化装置である。
【発明の効果】所定量の水と油とが完全にエマルジョン化したことを容易に知ることができ、低質油のエマルジョン液の有効利用を促進しやすい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は低質油のエマルジョン化装置に関し、C重油をディーゼルエンジンの燃料として有効利用する際に使用される。
【背景技術】
【0002】
従来におけるこの種のエマルジョン化装置は、水タンクと油タンクとオゾン発生機と攪拌タンクとを備え、前記水タンクおよび前記油タンクを各々流路を介して前記攪拌タンクとつなぐとともに前記オゾン発生機と前記前記攪拌タンクとを流路を介してつなげ、前記攪拌タンク内において攪拌機を作動させることによりオゾンを供給しながら水と油とをエマルジョン化していた。
【0003】
【特許文献1】特開昭60−231794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来における低質油のエマルジョン化装置においては、水と油とを単に攪拌しているにすぎないため、一定割合の油と水とが完全にエマルジョン化しているか否か判断しにくい結果、エマルジョン液として有効利用しにくいという不都合を有した。
【0005】
この発明の課題はこの不都合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を達成するために、発明者は鋭意研究し、この発明を完成した。
【0007】
この発明に係る低質油のエマルジョン化装置においては、水タンクと油タンクとオゾン発生機と攪拌タンクとを備え、前記水タンクおよび前記油タンクを各々流路を介して前記攪拌タンクとつなぐとともに前記オゾン発生機と前記前記攪拌タンクとを流路を介してつなげ、前記攪拌タンク内において攪拌機を作動させることによりオゾンを供給しながら水と油とをエマルジョン化する低質油のエマルジョン化装置において、前記攪拌タンクに流路を介してリターンタンクをつなげるとともにこのリターンタンクを流路を介して前記攪拌タンクにつなげ、且つ、このリターンタンク内に水センサを設け、この水センサが水分を検出しないようになったときに信号を発するものである。
【0008】
なお、前記攪拌タンクと前記リターンタンクとの間に分離タンクを介在させ、水分とそれ以外の油分(油およびエマルジョン)を分離し、流路を介してこれらを前記リターンタンクに流し込むこともできる。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る低質油のエマルジョン化装置は、上記のように構成されているため、攪拌タンク内で水と油とが攪拌され、エマルジョン液と水と油との混合物となり、その後、リターンタンクを介して再度攪拌タンク内へ供給される。この作用を繰り返す。そして、前記リターンタンク内の水センサが水分を検知しないようになったときに、信号を発信して、油と水とのエマルジョン化の完結を知らせることができる。
【0010】
よって、この装置を使用すれば、所定量の水と油とが完全にエマルジョン化したことを容易に知ることができ、低質油のエマルジョン液の有効利用を促進しやすいものである。
【0011】
なお、前記攪拌タンクと前記リターンタンクとの間に分離タンクを介在させ、水分とそれ以外の油分(油およびエマルジョン)を分離し、流路を介してこれらを前記リターンタンクに流し込むようにすれば、途中の段階(エマルジョン液中に水分が残っている段階で)水分を含まないエマルジョン液を取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明に係る低質油のエマルジョン化装置は、前記攪拌タンクに流路を介してリターンタンクをつなげるとともにこのリターンタンクを流路を介して前記攪拌タンクにつなげ、且つ、このリターンタンク内に水センサを設け、この水センサが水分を検出しないようになったときに前記攪拌機の作動を停止させる事に最も主要な特徴を有する。
【実施例】
【0013】
以下、この発明の実施例を、図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る低質油のエマルジョン化装置のの流体系統図、図2は同断面図である。
【0014】
図において、Aは低質油のエマルジョン化装置であり、水タンク10と油タンク20とリターンタンク30とを有している。この水タンク10には水が収容され、油タンク20には軽油が収容されている。また、リターンタンク30については後記する。
【0015】
50は攪拌タンクであり、攪拌機51を有している。この攪拌タンク50には、前記水タンク10が開閉バルブ11と流量計12とを介して流路Sによって繋がれている。また、同様に、前記油タンク20も開閉バルブ21と流量計22とを介して流路Sによって繋がれている。前記水タンク10からの流路Sと前記油タンク20からの流路Sは各々の開閉バルブ11,21 および流量計12,22 の下流側で合流している。
【0016】
前記水タンク10の流量計12は前記攪拌タンク50へ供給される、エマルジョンの混合比率にもとづく水量を計測するためのものであり、また、前記油タンク20の流量計22は前記攪拌タンク50へ供給される、エマルジョンの混合比率に基づく軽油量を計測するためのものである。これらの測定は各々の開閉バルブ11,21 を開いて行われ、所定量を計測後は各々閉止される。
【0017】
前記攪拌機51は回転軸52を有している。この回転軸52は前記攪拌タンク50に回転可能に設置され、一端は前記攪拌タンク50外に突出している。53は攪拌ブレードであり、前記回転軸52の側面に突設されている。この攪拌ブレード53が前記回転軸52とともに回転し、攪拌タンク50内の水と軽油とを攪拌混合する。 521はマグネットであり、前記回転軸52の内部に設置されている。このようにマグネット521 を設置すると、後記オゾンが無くても安定した水と軽油との安定したエマルジョンを得ることができる。
【0018】
54はギャドモーターであり、前記攪拌タンク50の近傍に設置されている。このギャドモーター54は歯車機構55,56 を介してその回転を前記回転軸52に伝達する。よって、前記ギャドモーター54を作動させることによって前記攪拌タンク50内の攪拌機51を作動させることができる。
【0019】
60はオゾン発生機であり、コンプレッサー61を介して、流路Tによって前記攪拌タンク50に繋がれている。このため、このオゾン発生機60によんで発生したオゾンはコンプレッサー61によって加圧され、透孔58,58,…を介して前記攪拌タンク50内に吹き込まれる。このオゾンは、前記水と軽油との安定したエマルジョン化を促進させるためのものである。界面活性剤等の従来の乳化剤を使用しないため、形成されたエマルジョン液を利用する際に、従来のように、この界面活性剤等影響を受けることはないものである。
【0020】
なお、形成されたエマルジョン液と水と軽油との混合液は流路Sを介して、分離タンク70へ流入する。途中には、加圧ポンプ59が設置され、この混合液を前記分離タンクへ圧送している。
【0021】
71は分離フィルターであり、前記分離タンク70内に設置されている。この分離フィルター71は前記混合液(エマルジョン液と水と軽油)中のエマルジョン液および軽油のみを通過させ、これらのものと水分とを分離する。分離された水および、エマルジョン液と軽油との混合液は、切替弁73の二方向調節によってそれぞれ前記リターンタンク30内に流れ込む。このリターンタンク30内には水センサーWが設置され、流れ込む水の有無を検知している。水が存在する場合には、これらの混合液(エマルジョン液と水と軽油)を、再度、流路Sを介して前記攪拌タンク50内へ供給され、攪拌機51によってエマルジョン化される。このとき、逆止弁31および開閉バルブ32を通過する。そして、前記した分離タンク70との循環が繰り返される。なお、この循環が開始されたときには、前記コンプレッサー61の圧力は軽減され、供給されるオゾンの圧力は下げられる。
【0022】
前記エマルジョン化の循環が繰り返されている状態で、リターンタンク30の水センサーが水分を検出しないようになったときに、この水センサー30は点灯してエマルジョン化の完結を知らせる。なお、この水センサ−30は電気伝導度を測定することによって水分の有無を判定するもであるが、その他に、従来存在する水センサーを使用することもできる。
【0023】
なお、前記分離タンク70のコック75は、水の分離された混合液(エマルジョン液と軽油)を取り出すためのものである。
【0024】
また、Dは流路Sのドレン抜きである。
【0025】
なお、この実施例では油として「軽油」について説明したが、他の油にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
エマルジョン化が完結したときに、信号を発信するため、作業者はエマルジョン化の完結を容易に知ることができる。低質油のエマルジョン液の有効利用を促進させるために利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1はこの発明に係る低質油のエマルジョン化装置のの流体系統図である。
【図2】図2は同断面図である。
【符号の説明】
【0028】
A … 低質油のエマルジョン化装置
D … ドレン抜き
S … 流路
T … 流路
W … 水センサー
10 … 水タンク
11 … 開閉バルブ
12 … 流量計
20 … 油タンク
21 … 開閉バルブ
22 … 流量計
30 … リターンタンク
31 … 逆止弁
32 … 開閉バルブ
50 … 攪拌タンク
51 … 攪拌機
51 … 攪拌機
52 … 回転軸
53 … 攪拌ブレード
54 … ギャドモーター
55 … 歯車機構
56 … 歯車機構
58 … 透孔
59 … 加圧ポンプ
60 … オゾン発生機
61 … コンプレッサー
70 … 分離タンク
71 … 分離フィルター
73 … 切替弁
75 … コック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水タンクと油タンクとオゾン発生機と攪拌タンクとを備え、前記水タンクおよび前記油タンクを各々流路を介して前記攪拌タンクとつなぐとともに前記オゾン発生機と前記前記攪拌タンクとを流路を介してつなげ、前記攪拌タンク内において攪拌機を作動させることによりオゾンを供給しながら水と油とをエマルジョン化する低質油のエマルジョン化装置において、前記攪拌タンクに流路を介してリターンタンクをつなげるとともにこのリターンタンクを流路を介して前記攪拌タンクにつなげ、且つ、このリターンタンク内に水センサを設け、この水センサが水分を検出しないようになったときに信号を発することを特徴とする低質油のエマルジョン化装置。
【請求項2】
請求項1の低質油のエマルジョン化装置において、前記攪拌タンクと前記リターンタンクとの間に分離タンクを介在させ、水分とそれ以外の油分(油およびエマルジョン)を分離し、流路を介してこれらを前記リターンタンクに流し込むことを特徴とする低質油のエマルジョン化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−169625(P2007−169625A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317866(P2006−317866)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(505204192)有限会社 エッチ・ワイ・シー (5)
【Fターム(参考)】