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低軟化点ガラス粉末
説明

低軟化点ガラス粉末

【課題】本発明の課題は、鉛、アンチモン、テルル、ビスマスの酸化物を含有しないガラス粉末であり、軟化点が400℃以下で、熱的に安定で、かつ耐水性に優れた低軟化点ガラス粉末を提供することである。
【解決手段】本発明に係るガラス粉末は、実質的に鉛、アンチモン、テルル、ビスマスの酸化物を含有しないガラス粉末において、重量%でV2O5を45〜65%、BaOを25〜45%、ZnOを0〜6%、SrOを0〜7%、P2O5を0〜20%含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エレクトロニクス分野において封着用として主にガスや湿気を防止する目的で使用される低軟化点ガラス粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス分野における封着は、電子部品の安定作動において重要な工程であり、現在は酸化鉛を含有したガラス粉末が使用されている。低軟化点ガラス粉末は、また、絶縁を達成することができるため、太陽光発電用セルをはじめ電子部品の電極封着材としても使用される。
【0003】
しかし、近年鉛の有する毒性が問題となっている。鉛は人体に摂取されると排出しにくく、体内に蓄積する特徴を有するため、多量摂取した際には、鉛中毒を引き起こすことが知られている。
【0004】
また、鉛は酸性雨により廃棄された電子部品から地下に浸透し、土壌汚染、地下水汚染を引き起こすとされている。このため、環境規制等が整備されている欧州においては、電子部材への鉛の使用が規制されている。
【0005】
このような背景から、鉛を使用しない封着可能な低軟化点ガラス粉末の開発が強く要求されている。
【0006】
これまでに、実用的な無鉛低軟化点ガラス材料としてビスマス系ガラス(特許文献1)が提案されているが、ビスマスは鉛の副産物であるため現在管理物質に取り上げられている。また、バナジウム系ガラスの使用も提案されているが、低軟化点および耐水性を達成するために酸化アンチモンや二酸化テルル、酸化ビスマス等の重金属元素を含有しており、これらの物質も管理物質として指定されるなど必ずしも安全なガラス粉末ではなかった。(特許文献2〜4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-139478号報
【特許文献2】特開2004-250276号報
【特許文献3】特開2006-342044号報
【特許文献4】特開2007-320822号報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
鉛、酸化アンチモン、二酸化テルル、酸化ビスマスの重金属物質を含有しない安全な低軟化点ガラス粉末であることを出発点とし、軟化点が400℃以下で、熱的に安定で、かつ耐水性に優れた低軟化点ガラス粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明に係るガラス粉末は、重量%でV2O5を45〜65%、BaOを25〜45%、ZnOを0〜6%、SrOを0〜7%、P2O5を0〜20%含有し、実質的に鉛、アンチモン、テルル、ビスマスの酸化物を含有しない。
【0010】
V2O5はガラスの骨格を形成する成分であり、低融点、耐水性、熱的安定性を達成するために重要な成分である。最適な含有量は45〜65wt%である。含有量が45wt%未満では400℃以下の軟化点を達成することができず、65wt%を超えると耐水性と熱的な安定性を達成することができない。
【0011】
BaOは、本発明を達成するために重要な成分であり、その含有量が25wt%未満では耐水性が著しく低下し、45wt%を超えると低軟化点を達成でできず、更に熱的安定性も悪化する。
【0012】
ZnOは、耐水性の向上と膨張係数を低下させるため、0〜6wt%の範囲で含有させることができる。ZnOが6wt%を超えると、ガラスの熱的安定性が悪化し結晶を析出しやすくなってしまう。
【0013】
SrOは、耐水性の向上と熱的安定性の向上をさせるため、0〜7wt%の範囲で含有させることができる。SrOが7wt%を超えると、低軟化性を達成できず、更に熱的安定性も悪化する。また、同等のイオン半径を有する遷移金属酸化物も添加することができる。
【0014】
P2O5は、ガラスの結晶化傾向を抑制する成分であり、含有させることができる。最適な含有量は、0〜20wt%である。P2O5の含有量が20wt%を超えると、低融性を達成することが困難となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上述のように適切な組成範囲において、熱的に安定でかつ耐水性に優れたガラス粉末を提供するものである。実験の結果、本発明に係るガラス粉末は、軟化点が400℃以下で、熱的な安定性を示す△T(結晶化温度-ガラス転移温度)が100℃以上で、かつ70℃の蒸留水中に1時間浸漬した際の重量減少が1.0%以下となった。
【0016】
(軟化点が400℃以下であること)
電子部品等は高温に曝されると性能劣化を引起してしまうため、封着などはより低温で行われることが望ましい。また、封着温度が高い場合には、より低温で溶けるガラスを使用することにより封着に要する時間を大幅に短縮することができる。
(熱的に安定であること)
熱的に安定である(結晶化しない)ことにより、結晶質に見られる粒界が存在せず、より高い密封度を得ることができる。
(耐水性に優れること)
耐水性が劣ると水との反応によりガラスが溶出し、密封を壊してしまうばかりか、これが他の電子部品の性能劣化を招いてしまうため、耐水性は優れていなければならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
原料酸化物として、V2O5、RCO3(R=Mg、Ca、Sr、Ba)、ZnO、メタリン酸原料を表1及び表2に示す比率(重量%)で混合した原料バッチを用意する。その原料バッチを、白金坩堝に充填し、電気炉内で1000℃、60分の条件で溶融する。その後、溶融物をステンレス板上に流し出し、ガラスを得た。得られたガラスは、ハンマーミルによって粉砕され、目開き100μmのふるいによって分級した。上記ふるいを通過したガラス粉末をポットミルによって48時間微粉砕を行い、平均粒径1〜3μmのガラス粉末を得た。
【0019】
得られたガラス粉末は、ガラス転移温度、軟化点、結晶化温度を測定し、熱的安定性を示すΔTを算出した。また、耐水性の評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0020】
<ガラス転移温度、軟化点、結晶化温度、熱的安定性>
示差熱分析(DTA)により、リファレンスにα-アルミナを用い加熱速度10K/分で測定を行った。得られたDTA曲線の微分曲線の第一吸熱ピークをガラス転移温度、第二吸熱ピークを軟化点、第一発熱ピークを結晶化温度とした。熱的安定性を示すΔTは、結晶化温度からガラス転移温度を差から算出した。
【0021】
<耐水性>
溶融後得られたガラス片を徐冷し、ひずみを完全に除去した。その後、ガラス片を1mm3に加工し、500mLの蒸留水が入った容器の中に浸漬させた。このとき、ガラス片の表面を同一状態になるように、#320のサンドペーパーで研磨を行った。容器中の蒸留水が70℃になるよう加熱し、一時間放置した。一時間加熱後、120℃に設定された恒温槽で水分を乾燥させ、初期重量に対する重量減少率を算出した。
【表1】

【表2】

【0022】
本発明の低軟化点ガラス粉末を電極材として使用した場合、電極(金属)の酸化防止と基板への密着性が向上する。また、太陽光発電用セルにおいては良好なファイヤースルー性能と、オーミック接続性が向上する。ここで、「ファイヤースルー」とは、セル表面に存在する反射防止膜をガラスが溶解することによって反射防止膜を突き抜け、セルと電極材を接合する性能を言う。また、「オーミック接続性」とは、セルと電極材を抵抗なく接合させる能力を言う。
【0023】
本発明の低軟化点ガラス粉末を用いて電極材を製造する場合、例えば、有機ビヒクル、有機溶媒、ガラスフリット、銀粉を混錬し、スクリーン印刷によって電極回路を形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に鉛、アンチモン、テルル、ビスマスの酸化物を含有しないガラス粉末において、
重量%でV2O5を45〜65%、BaOを25〜45%、ZnOを0〜6%、SrOを0〜7%、P2O5を0〜20%含有することを特徴とする低軟化ガラス粉末。
【請求項2】
前記ガラス粉末の軟化点が400℃以下で、熱的な安定性を示す△T(結晶化温度-ガラス転移温度)が100℃以上で、かつ70℃の蒸留水中に1時間浸漬した際の重量減少が1.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の低軟化点ガラス粉末。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の低軟化点ガラス粉末を含有したことを特徴とする電極材。
【請求項4】
ガスや湿気を封入する封着材において、請求項1又は2に記載の低軟化点ガラス粉末を含有したことを特徴とする封着材。

【公開番号】特開2013−71861(P2013−71861A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211528(P2011−211528)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(391007851)岡本硝子株式会社 (18)
【Fターム(参考)】