説明

低電気抵抗率を有する補強ベルト

【解決手段】 コンベヤーベルトまたは動力伝達ベルトとして使用されるリンクベルトが提供されている。前記ベルトは、一連の連続して重複する関係を形成する複数のリンクで形成されている。各ベルトリンクの上面は導電層を含む。また、各ベルトリンクの下面も導電層を有することができる。前記導電層は前記ベルトに沿って電気経路を提供し、使用中、前記ベルトが駆動している時に静電気の蓄積を防げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年7月17日に出願された米国出願第12/174,786号の一部継続出願である2009年7月2日に出願された米国出願第12/497,226号に対して優先権を主張する。前述の出願のそれぞれの全体の開示が、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は連動リンクコンベヤーまたは動力伝達ベルトに関し、前記ベルトでの静電荷が望ましくない環境でベルトが使用される用途で特に使用される。
【背景技術】
【0003】
リンクベルトは、動力伝達ベルトおよびコンベヤーベルトなどの様々な用途でよく知られ使用されている。周知のベルトは、強化ポリマー材料の複数の層で形成されている。前記ベルトは、様々な用途および環境で成功裏に使用されているが、前記ベルトからの静電放電を防ぐことが重要である環境では受け入れられてこなかった。過去において、ベルトで静電気が蓄積するのを防ぐための幾つかのベルトが提案されてきたが、どれ1つとして動力伝達および/またはコンベヤー用途に必要とされる動作特性を提供することができなかった。それ故に、有意な量の電荷を蓄積しないベルトが要求される用途において、動作可能な高強度リンクベルトが必要とされてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
静電気の蓄積を減らす特性を有する有効なコンベヤーまたは動力伝達ベルトの長年の要求を踏まえて、本発明は導電層を有するベルトを提供する。
【0005】
1つの観点によれば、本発明は、重ね配置で相互に連結された複数のリンクで形成されるリンクベルトを提供する。各ベルトは前記リンクを隣接するリンクと連結するコネクタを有する。各リンクは、マトリックス材、補強層、および導電層から形成される。前記補強層は前記マトリックス材の中に組み込まれ、且つ、前記マトリックス材より高い弾性係数を有する。前記導電層は、前記マトリックス材の外層に形成され、前記マトリックス材の抵抗率より大幅に低い抵抗率を有する。また、前記導電層は、1枚の金属繊維で形成することができる。
【0006】
別の観点によれば、本発明は、複数のリンクで形成されるリンクベルトを提供する。各リンクは、上導電層、下導電層、および当該導電層間にあるマトリックス材を有する。補強層は、前記マトリックス層に組み込まれ、前記リンクの引張強度を提供する。前記リンクが連結されると、隣接リンクの前記導電層の間の接触点は、前記ベルト長に沿って導電路を提供し、前記ベルトに静電荷が蓄積するのを妨ぐ。
【0007】
別の観点によれば、本発明は、静電荷の蓄積を減らす特性を有するリンクベルトを製造する方法を提供する。この方法は、結合剤を提供する工程と、当該結合剤を補強層によって補強する工程とを含む。1枚の導電材料が、前記結合剤が硬化する前に、前記結合剤の上層に適用される。次に、前記結合剤、補強層、および導電層を一緒に硬化させてベルト材料が作成され、これを複数のベルトリンクに切断する。前記リンクは、リンクの複数の導電接点が隣接リンクと導電関係を築くような方法で、連続するリンクを機械的に連動し、重ね合わせて一連の連続して重複するリンクを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
前述の発明の概要および次の本発明の好適な実施形態の詳細な説明は、添付の図面とともに読むとき最も理解されるであろう。
【図1】図1は、アセンブリの駆動機構によって係合している低電気抵抗率を有するリンクベルトアセンブリの側面図である。
【図2】図2は、組み立て(アセンブリ)前の図1に示したベルトの個々のリンクの上面図である。
【図3】図3は、図2に示した個々のベルトリンクの側面図である。
【図4】図4は、図1に示したベルトの一部断面の部分側面図である。
【図5】図5は、図4に示したベルトの平面図である。
【図6】図6は、別のベルトの一部断面の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
これらから一般に図面を参照しながら、特に図1では、導電路40を有するベルトが概して10と指定されている。前記ベルト10は、2つのプーリに巻きかけられて示されている。前記導電路40は前記ベルトにおける静電荷の蓄積を防げる。前記ベルトはコンベヤーベルトとして図示されているが、前記ベルト10は、例えば駆動プーリから駆動プーリに動力を伝達するような、駆動素子から駆動素子に動力を伝達する動力伝達ベルトであってもよい。好適な実施形態では、前記ベルト10は、複数のリンクから形成されるリンクベルトであり、各リンクは前記導電路40を形成する表面を有する。
【0010】
図4および5を参照すると、前記ベルト10は、好ましくは一連の連動ベルトリンク20を有する。前記ベルト10を構成する前記個々のリンク20の1つが、図2および3に図示されている。各ベルトリンク20は、本体22と、当該本体に連結する締結部30とを有する。本実施例において、前記ベルトリンク20の上面と下面の間の厚さは、リンク全体に亘って略均一である。
【0011】
導電層は、各ベルトリンクの外面の1つに永久的に接合される。前記導電層は前記ベルトリンクの上層または下層のいずれかである。本実施形態において、各リンクは上導電層35および下導電層36の両方を含む。また、本実施形態では、前記導電層は、前記ベルトリンク20の上面/下面に同一の広がりを持つ。前記ベルトリンク20がベルト10を形成するように組み立てられると、隣接するリンクの前記導電層35、36は、以下でさらに詳しく説明するように、お互いに接触して導電路を形成する。
【0012】
前記ベルトリンク20の本体22は概して長方形であり、先端23と後端24の間で長手方向に延長する2つの端部25があり、前記先端および後端の双方は前記2つの端部の間を横断して延長する。前記先端23に近接する先開口部29は本体22の厚さを通りぬけて延長する。前記先開口部29から長手方向に間隔を空け、前記後端24に近接した後開口部28が前記本体22の厚さを通り抜けて延長する。
【0013】
前記先端23は、図4の矢印で示された前記アセンブリ10が移動する方向に対応している。しかしながら、前記アセンブリ10が移動する方向は、前記アセンブリの実際の移動に対して前記先端23が前記後端24を先導しないように逆方向も可能である。
【0014】
前記締結部30は前記本体22に一体的に連結しており、締結タブ32とくびれ部33とを有する。前記くびれ部は、その一端が前記締結タブ32に連結し、他端が前記本体22の後端24に連結するよう長手方向に延長している。前記後端24と前記締結タブ32との間の前記くびれ部33の長さは、以下でさらに説明するように、前記締結タブ32が2つのベルトリンク20の開口部を通って延長することが可能な十分な長さである。
【0015】
前記締結タブ32は概して台形形状であり、前記くびれ部33を横行する2つの平行な端部を有する。前記締結タブ32は実質的に前記くびれ部33より幅広く、前記くびれ部と交差する位置で最も幅広く、前記くびれ部から離れて延びるに従って先細りする。
【0016】
前記ベルトリンク20は前記リンク締結部を隣接ベルトリンクの開口部を貫通することによって連結する。前記ベルトリンクが適切に連結できていることを確実にするように、前記開口部は前記締結タブおよび前記くびれ部を基準にして構成および寸法決めされている。
【0017】
本実施形態において、前記本体22を貫通する開口部は非円形である。前記開口部28および29の双方は、それらの長さが幅より大きくなるように長手方向に延長している。前記締結タブ32が前記開口部を貫通できることを確実にするように、前記開口部の長さは前記締結タブ32の最大幅よりも大きい。
【0018】
前記開口部28および29の幅は一定ではない。それどころか、前記開口部は、前記先端23に向かって延びるに従って幅が広くなる。前記ベルトリンク20間の適切な連結を提供するように、前記開口部は前記締結部の幅より狭くなっており、これにより前記締結部は、一旦前記ベルトリンクが接続されると、前記開口部を逆方向に通り抜けることができない。ただし、前記開口部は前記くびれ部33より幅広く、下記で説明するように、前記ベルトリンクが接続される際には、前記くびれ部が前記開口部を通って延長することが可能である。
【0019】
前記ベルトリンク20は、動力伝達用途で使用される場合には、ワークピースの重量をまたは必要な動力を伝達するのに十分な引張強度の材料から作られる。好適な実施形態では、前記ベルトリンク20はポリエステル織物で強化された熱硬化性ウレタンから作られている。
【0020】
前記ベルトリンクは前記ワークピースの重量を伝達するのに十分な引張強度を有するので、前記導電層35を作成するのに使用される前記材料は、その引張強度について深く考慮しなくとも、例えば抵抗率および可撓性などの特性に従って選択することができる。前記導電層を形成するのに様々な導電素子が使用でき、例えば金属、カーボン、炭素繊維、または非常に高導電性ポリマーなどがある。本実施形態において、前記導電層は導電材料(例えば、金属材料)の層であり、図2および5で示すように、前記導電層はメッシュ(例えば、金属繊維のメッシュ)である。より具体的には本実施形態では、前記導電層は金属で被覆された織物層である。
【0021】
上述したように、前記導電層は前記リンクの上面または下面に沿って設けることができ、本実施形態では上面および下面に設けられている。しかしながら、上面または下面に設けられる前記導電層は必ずしも、導電材料が前記リンクの上面または下面の露出面に設けられることを意味するものではない。ある材料は、製造工程において前記導電材料を被覆することもできる。例えば、薄層のバインダー材料が前記導電材料を被覆することもできる。これは、とりわけ前記バインダーが入り込みやすい例えばメッシュまたは織物のような材料について言えることである。しかしながら、本実施形態では、前記導電材料は前記上面および下面の外面に実質的に近接しており、これにより前記導電材料を被覆する材料の層は前記導電材料の厚さより小さい。
【0022】
各導電層の厚さが例証目的のため図では誇張されている点に留意する必要がある。実際、前記各導電層の厚さは、前記ベルトリンクの全体の厚さに比べるとごく小さいものである。例えば、各リンクの厚さは略0.200インチであり、各導電層は0.050インチ未満である。特に、前記導電材料の厚さは0.005インチ〜0.025インチの間であり、本実施例において前記導電材料の厚さは0.0125インチである。
【0023】
前述したように、前記連動リンクベルト10は導電層40を有し、上記で説明してきた複数のベルトリンク20から成っている。以下において、前記ベルト10を形成する前記ベルトリンク20間の相互連結について説明する。
【0024】
図4および5に示すように、一連のベルトリンク20は、重ね合わされ連続する重複関係で配置され、導電層40を有する前記ベルト10を形成する。各ベルトリンクの下面は隣接するベルトリンクの上面と重なり合い、これにより前記ベルト10の厚さは個々のベルトリンク20の厚さの少なくとも2倍になる。
【0025】
図4はアセンブリ10の一部を図示し、前記ベルトリンクが相互に連結されたとき、導電層が作用し合って導電路が形成される方法を示している。これらの図に示されているのは、ベルトリンク20Aと2つの後続ベルトリンク20Bおよび20Cとの間の連結である。この連結では、前記ベルトリンク20Aの締結タブ32Aが、前記2つの後続ベルトリンクの開口部を斜めに貫通している。これは、最初に前記隣接の後続ベルトリンク20Bの後開口部28Bを貫通し、そして、次の後続ベルトリンク20Cの先開口部29Cを貫通する。
【0026】
用語の後方は、図4において矢印で示すように前記アセンブリが移動する方向に対して使用される。移動方向を反対方向に向けることができるため、前記先行するベルトリンクを前記アセンブリ10の実際の移動に対して後続にすることができる。
【0027】
前記ベルトリンク20Cの開口部を貫通した後、前記ベルトリンクの締結タブ32Aはねじられ、前記ベルトリンク20Cの下面36Cを圧迫する。この方法で連結された場合、前記ベルリンク20Aの上面35Aは前記ベルト10の上面11になり、前記ベルトリンク20Cの下面36Cは前記ベルト10の下面12になる。
【0028】
前記リンク構成およびこれらの連結方法により、前記ベルトリンク間に複数の導電路が提供される。例えば、図2および3から、前記導電層が前記ベルトリンク20の端部にまで延長していることを見て取ることができる。また、前記導電層は、前記固定タブ32を含む前記締結部30の端部にまで延長している。図4に示すように、前記締結部30は先行リンクの1つの下面を圧迫し、前記リンクの下面は前記先行リンクの上導電層と接触する。また、前記くびれ部33は、当該くびれ部を貫通する前記リンクのいずれかの導電層35、36の1つと接触することもできる。これらの複数の接触点により、複数の導電路が提供される。
【0029】
電気経路の1つは、前記ベルト10と前記プーリ5の間の電気経路である。特に、各リンク20の本体22の露出導電端部は、前記リンクと前記プーリ5との間に電気経路を形成する。前記プーリは、導電材料(例えば、金属)から形成され、例えば機械またはそうでないもののフレームに連結されることにより接地される。従って、前記ベルト10と前記プーリとの間の連結は、前記ベルトと前記プーリ5との間に導電路を提供する。このようにして、さもなければ前記ベルトに蓄積する傾向がある静電気は、前記導電層に導通し、次に前記プーリに導通して前記静電気が放散される。
【0030】
前記リンクベルトは、各リンクが単一の先行ベルトのみに重ねて配置するよう形成することができるが、本実施形態では、各リンクは図4に示すように隣接する2つのリンクに重ねて配置される。従って、各リンクは前記2つの隣接するリンクに導電接触状態に潜在的になり、これにより前記隣接リンク間で並列電気経路が提供される。
【0031】
例えば、図4および5を参照すると、リンク20aはリンク20bおよび20cと重なっている。従って、前記リンク20aのくびれ部33は、前記リンク20bの後開口部28bと前記リンク20cの先開口部29cとを貫通する。上述したように、前記導電層35、36は前記リンクの端部まで延長している。従って、前記開口部28、29の端部は、前記くびれ部33cの端部に沿う導電接点と接触が可能な導電接点を有する。このようにして、前記リンク20bの導電層35a、36bは、前記リンク20aのくびれ部33aを介して前記リンク20bおよび20cの前記導電層35b、35cおよび36b、36cと接触する。同様に、前記リンク20bは、前記コネクタ30および前記くびれ部33の露出した端部を介して前記リンク20cおよび後続リンクに接続する。このようにして、重複リンクはまた、前記隣接リンクの導電層間に重複する並行経路を提供する。従って、1若しくはそれ以上の前記導電路が2つのリンク間のある箇所で遮断された場合でも、別の並列接続の1つが前記隣接リンク間の電気経路を提供して、導電路が前記ベルト長に沿って維持される。
【0032】
また、前記ベルトは3以上の重複リンクを含むこともでき、これはさらに多くの並行経路を提供して前記導電路を維持する。特に、上述したように、各リンクは2つの隣接リンクと重なり合う。しかしながら、特定の用途においては、各ベルトリンクが3若しくはそれ以上の隣接リンクと重なるように前記ベルトを構成することが望ましい。このような実施形態において、前記リンクは開口部をさらに含み、前記各リンクのコネクタは3若しくはそれ以上の隣接リンクを通り抜ける。このようにして、各コネクタは、3つの隣接リンクと電気的に接続する並行経路を提供する。
【0033】
前述において、前記ベルト10の実施形態をリンク20から形成されているとして説明した、前記リンクの各々は当該リンクの本体に一体的に形成されたコネクタ30を有する。しかしながら、前記リンクベルト10は、独立するコネクタを利用するリンクから形成することもできる。例えば、前記コネクタは、図6においてベルト210の物として示しているような、隣接リンクを接続するリベット230であってもよい。或いは、前記コネクタは、各ベルトリンクの開口部を貫通する細長いヘッドを有する締結スタッドであってもよい。このような締結スタッドは、前記連結タブ32が上述したような前記リンクの下面を圧迫する方法と同様な、前記リンクの下面を圧迫する拡張ヘッドを有する。
【0034】
また、前記開口部の構成が別のコネクタを使用する際に変化することは理解されるべきである。例えば、リベットを使用する場合、上述のような細長い開口部28、29よりも寧ろより円形の穴が望ましい。一方、スタッドを使用する場合、前記開口部はより細長いまたはスロット形状であってもよい。
【0035】
独立したコネクタを使用する利点の1つは、多くの場合このようなコネクタが例えば鋼鉄のような導電材から形成されていることである。従って、前記独立コネクタは、隣接層の導電層間に改善された電気接続を提供することができる。また、前記コネクタは、例えば黄銅またはアルミニウムのような、スパークを防ぐ材料から形成されてもよい。
【0036】
前記ベルト10は以下のようにして製造される。前記ベルト10を作成する前記ベルトリンク20は少なくとも1つの層の補強材(例えば、織って作られたポリエステルシート)を含む。前記補強材に結合剤を含浸させて複合材料が形成される。前記結合剤は液化したものであり、液体の状態で前記補強材に被着する。好ましくは、前記複合材料は補強材の複数の層を含み、前記結合剤は熱硬化性ウレタンである。
【0037】
前記導電層35、36は、好ましくは前記結合剤が湿潤である状態で前記複合材料に置かれる。すなわち、好ましくは前記導電層は、前記複合材料が硬化または乾燥する前に当該複合材料の上に置かれる。前記導電材料は噴霧されるまたは注がれるようにしてもよく、前記複合材料は導電材料の浴槽に部分的に浸漬させてもよい。しかしながら、好ましくは前記導電層は、前記結合剤および前記補強材の上に置かれる導電材料のシートである。例えば、本実施形態では、前記導電材料は、前記補強層の上面/下面に略同一の広がりを持つ金属を含有する繊維材料である。望ましい抵抗率を提供する1つの材料は、金属材料(例えば、洋銀合金)で被覆された不織布ポイント結合ポリマー織物(a non−woven point bonded polymer fabric)である。前記複合材料の結合剤は、前記導電性シートが当該複合材料の上に置かれるとき湿潤であるので、前記導電性シートは前記補強層を有する前記結合剤に付着する。
【0038】
前記導電性シートが前記結合剤および前記補強材と共に一緒に置かれたあと、この組合わせは高圧力の下で一緒に押圧される。前記層が一緒に押圧されたあと、前記組合わせは硬化する。前記硬化プロセスの間で、前記導電層35、36は前記複合材料に永久結合する。
【0039】
通常、前記硬化材料は、前記ベルトリンク20の幅よりも少なくとも数倍広い。従って、前記硬化材料は、前記ベルトリンク20の幅と略同じ広さの複数の細長いストリップに切断される。次に、前記ベルトリンクが前記硬化材料のストリップから切り出される。本実施形態では、前記ベルトリンクは打ち抜きによって形成され、さらに前記ベルトリンクの後開口部および前開口部も同時に打ち抜く。
【0040】
こうようにして形成され、前記ベルトリンク20は当該ベルトリンクの上面および下面35、36を形成する2つの一体型の導電層を有する。前記導電層は前記ベルトリンク20を形成する基板材料に同一の広がりを持ち、これは本実施形態においてポリエステル補強熱硬化性ウレタンである。
【0041】
前記ベルトリンク20は組み立てられて連続して連動するリンクベルト10を形成する。前記ベルトリンク20は、上述および図4および5で説明したように相互に連結している。
【0042】
前述の実施形態において、前記ベルトリンクは、当該ベルトリンクの上面または下面に配置された導電層と共に形成されている。別の実施形態では、前記導電層はマトリックス内に配置することもできる。例えば、別の実施形態において、導電材料の層は前記ベルトリンクの真ん中に組み込まれてもよい。このような実施形態では、前記マトリックス材は、前記導電層が前記ベルトリンクの上面または下面に導電路を提供するのを防護する。ただし、上述のように、前記導電層は前記リンクの端部にまで延長している。従って、前記導電層は、前記リンクの端部に一連の露出した導電接点を形成する。前記リンクが相互接続した場合、隣接リンクの前記露出した導電接点は前記リンク間の経路を提供する。
【0043】
例えば、前記導電層が前記マトリックスの中心に配置されたとき、当該導電層は前記コネクタ30の端部に露出する。従って、前記導電層は前記コネクタのくびれ部33の端部に沿った面において露出する。同様に、前記導電層はまた、前記開口部28、29の内側端部で露出する。前記リンクが結合されてベルトを形成するとき、前記コネクタ30のくびれ部33は2つのリンクの前記開口部28、29を貫通する。この結果、前記くびれ部33の端部は前記開口部28、29の内側端部に接触する。このようにして、前記くびれ部に沿った前記導電層の露出端部は、2つの隣接リンクの 導電層に導電路を提供する1若しくはそれ以上の接触点を提供する。
【0044】
前記リンク間の電気経路は、前記導電層が当該リンク内に組み込まれている場合いには一層高い抵抗を有するが、前記電気経路は、動作中の前記ベルトの静電荷の蓄積を防げる程に未だ十分に低い。また、各リンクは2つの隣接リンクと結合しているので、前記導電層は並列接続でお互いに連結している。従って、1つのリンクのくびれ部と隣接リンクの開口部が導電経路に供給するだけの十分な接触ができていない場合、前記並列接続の1つが前記リンク間の導電経路を提供する。
【0045】
さらに別の実施形態において、前記補強層を前記導電層に組み込むこともできる。例えば、上述したように、前記導電層は織物層(例えば、不織布)であってもよい。次に、前記織物は導電材料(例えば、金属)で被覆される。従って、前記織物は、前記ベルトの負荷要求に耐えるのに十分な引張強度を有するように選択することもできる。次に、前記補強繊維は導電材料(例えば、金属)で被覆することができる。次に、前記補強織物および金属層は前記マトリックス材に組み込まれて前記リンクを補強する。隣接リンク間の導電路は、前記導電層が前記リンク内に組み込まれたことを上述した前記実施形態と同様である。前記ベルトの引張強度要求に基づいて、追加の補強層がさらに前記ベルト内に組み込まれる。前記追加の補強層は、操作上の要件および費用制約に基づいて導電層を含めていも良いし、含めなくても良い。
【0046】
好適な実施形態において前記ベルトはリンクベルトであるが、本発明は他のタイプのベルト(例えば、エンドレスベルト(すなわち、単一長さの材料でできており、端部を接合することによってベルトを形成する))をも含め得る程に十分に広範である。エンドレスベルトの場合、前記ベルト材料は上述したように形成することができ、次に適切な長さおよび幅のベルト長に切断する。次に、前記端部は、ベルトを継ぎ合わせるための様々な周知のあらゆる継ぎ手(例えば、機械的に締結するまたは接着剤で結合する重ね継ぎ手)を使用して接合される。次に、前記組み立てられたベルトの端部が切り取られる。
【0047】
本発明の広範な発明思想から逸脱せずに上述の実施形態に変更または修正を加え得ることは、当業者によって理解されるであろう。従って、本発明が明細書に記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の本発明の範囲と精神のなかにおいて全ての変更および修正を含むことを意図していることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電プーリに巻きかけられたリンクベルトであって、
重ね配置で相互に連結された複数のリンクであって、各リンクは
弾性係数および導電率を有するマトリックス材と、
前記マトリックス材より高い弾性係数を有する、前記マトリックス材の中の補強層と、
前記マトリックス材の抵抗率よりかなり低い抵抗率を有する導電層であって、この導電層は、前記リンクの端部にまで延長しており、前記導電プーリに導電接続を形成するように形成されるものである、前記導電層と
を有するものである、前記複数のリンク
を有するリンクベルト。
【請求項2】
請求項1記載のリンクベルトにおいて、前記導電層は、金属外層を備えた非金属基板が設けられた金属繊維を有するものである。
【請求項3】
請求項1記載のリンクベルトにおいて、前記各リンクは、前記導電層の一部を有する一体的なコネクタを有し、これにより当該一体的なコネクタは隣接するリンクの間に導電経路を提供するものである。
【請求項4】
請求項3記載のリンクベルトにおいて、前記各リンクは開口部を有し、前記導電層の一部は導電経路を提供するように当該開口部の一部に沿って十分に露出されており、前記コネクタは前記隣接リンクの開口部を貫通しており、前記コネクタの導電層は当該コネクタが貫通する前記リンクの開口部の導電層に導電経路を提供するものである。
【請求項5】
請求項4記載のリンクベルトにおいて、前記コネクタの導電層と前記開口部の導電層との間の抵抗率は、略10,000オーム/スクエア未満である。
【請求項6】
請求項1記載のリンクベルトにおいて、前記導電層は、複数の導電接点を有し、隣接するリンク間の複数の接点に沿って導電路を提供するものである。
【請求項7】
請求項6記載のリンクベルトにおいて、前記複数の導電接点は前記ベルト長に沿って導電経路を作成するものある。
【請求項8】
請求項6記載のリンクベルトにおいて、前記隣接ベルトリンクの外面間の表面抵抗率は、略10,000オーム/スクエア未満である。
【請求項9】
請求項8記載のリンクベルトにおいて、前記隣接するベルトリンクの外面間の表面抵抗率は、略1,000オーム/スクエア未満である。
【請求項10】
請求項6記載のリンクベルトにおいて、前記リンクのコネクタは、前記リンクと前記コネクタが連結するリンクとの間に導電路を提供するものである。
【請求項11】
リンクベルトを製造する方法であって、
結合剤を提供する工程と、
前記結合剤を補強材の層で補強して層状材料を作成する、補強する工程と、
前記結合剤が硬化する前に前記層状材料の上部に1枚の導電材料を適用する工程と、
前記導電性シートを前記層状材料とともに硬化させてベルト材料を作成する、硬化させる工程と、
前記ベルト材料から複数のリンクを切断する工程であって、前記リンクは、前記導電材料が当該リンクの外端に沿って導電接点を提供できるよう十分に露出するように切断されるものである、前記切断する工程と、
前記複数のリンクを連結して、一連の連続した重複するリンクを形成し、1つのベルト長を形成する、連結する工程であって、リンクからの複数の導電接点が隣接リンクと導電関係になるような方法で連続するリンクを機械的に連動して重ね合わせる工程を有するものである、前記複数のリンクを連結する工程と、
前記ベルト長を導電性プーリに巻きかける工程であって、これにより前記リンクの外端に沿った導電接点が前記導電性プーリと導電関係になるものである、前記巻きかける工程と
を有する方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、この方法は、
前記結合剤が硬化する前に、2枚目の導電材料を前記層状材料の下部に適用する工程を有するものである。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記複数のリンクを連結する工程は、第1のリンクの上層の導電材料の上層が隣接リンクの下層の導電材料と導電関係になるよう前記リンクを連結する工程を有するものである。
【請求項14】
請求項12記載の方法において、前記複数のリンクを連結する工程は、リンクの上導電層と異なるリンクの下導電層との間に電気経路が作成されるよう前記リンクを連結する工程を有するものである。
【請求項15】
請求導項12記載の方法において、前記1枚の導電材料を適用する工程は、金属材料で被覆された不織布を適用する工程を有するものである。
【請求項16】
リンクベルトであって、
重ね配置で相互に連結された複数のリンクであって、各リンクは、
略絶縁性の材料であるマトリックス材と、
前記マトリックス材より高い弾性係数を有する、前記材料の中にに組み込まれる補強層と、
前記補強素子および前記マトリックス材より高い導電性を有する導電要素と
を有し、
隣接リンクの前記導電素子が相互に作用して、当該隣接リンク間に導電経路を提供するものである、前記複数のリンク
を有するリンクベルト。
【請求項17】
リンクベルトであって、
重ね配置で相互に連結された複数のリンクであって、各リンクは、
導電層と、
前記導電層の抵抗率より大幅に高い抵抗率を有するマトリックス材と、
前記マトリックス材より高い弾性係数を有する、前記マトリックスの中に組み込まれる補強層と、
前記リンクの厚さを通り抜ける開口部であって、この開口部は内側端部を有し、前記導電層が当該開口部の内側端部に1若しくはそれ以上の導電接点を形成するものである、前記開口部と
を有するものである、前記複数のリンクと、
前記リンクを一緒に結合する複数のコネクタであって、外面に沿って露出した導電接点を有し、各コネクタはリンクと隣接リンクの前記開口部の内側端部の1若しくはそれ以上の前記露出した導電接点との間に導電路を提供するものである、前記複数のコネクタと
を有するリンクベルト。
【請求項18】
請求項17記載のリンクベルトにおいて、前記露出した導電接点は、前記隣接リンクの開口部の1若しくはそれ以上の前記露出した導電接点との導電コミュニケーションである。
【請求項19】
ベルトであって、
弾性係数および導電性を有するマトリックス材と、
前記マトリックス材より高い弾性係数を有する、前記マトリックス材の中に組み込まれた補強層と、
前記マトリックス材の外層に形成される導電層であって、前記マトリックス材の抵抗率より大幅に低い抵抗率を有し、1枚の金属繊維から形成されるものである、前記導電層と
を有するベルト。
【請求項20】
請求項19記載のリンクベルトにおいて、前記金属繊維は、金属外層を備えた非金属性基板を有するものである。
【請求項21】
請求項19記載のリンクベルトにおいて、前記導電層は、1枚の導電金属性織物を有するものである。
【請求項22】
請求項21記載のリンクベルトにおいて、前記金属性織物は、1層の金属材料で被覆された非金属不織布を有するものである。
【請求項23】
リンクベルトを製造する方法であって、
結合剤を1層の補強材で補強する工程と、
1層の導電材料を提供することによって、前記結合剤、補強材、および導電材料から形成される複合材料を形成するものである、前記提供する工程と、
前記複合材料を硬化させて、ベルト材料を作成するものである、硬化させる工程と、
前記ベルト材料から複数のリンクを切断する工程であって、これは各リンクにおいて開口部を切断する工程を含み、これにより当該開口部は前記導電材料の複数の接点を露出させる内側端部を有するものである、前記切断する工程と、
前記複数のリンクを連結して、一連の連続して重複するリンクを形成するものである連結する工程であって、
露出した導電面を有するコネクタを隣接リンクの開口部の中に挿入する工程であって、これによりリンクの前記コネクタは前記隣接リンクの1つの開口部の内側端部に沿って1若しくはそれ以上の導電接点に係合するものである、前記挿入する工程
を有する前記連結する工程と
を有する方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、前記1層の導電材料を提供する工程は、前記結合剤を補強する工程の前に前記補強材に導電材料のコーティングを適用する工程を有するものである。
【請求項25】
請求項23記載の方法において、前記1層の導電材料を提供する工程は、1層の導電性織物を適用する工程を有するものである。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、前記1層の導電材料を提供する工程は、前記補強された結合剤に1層の導電性織物を適用する工程を有するものである。
【請求項27】
リンクベルトであって、
重ね配置で相互に連結された複数のリンクであって、各リンクは、
導電層と、
前記導電層の抵抗率より大幅に高い抵抗率を有するマトリックス材と、
前記マトリックス材より高い弾性係数を有する、前記マトリックス材の中に組み込まれる補強層と、
前記リンクの厚さを通り抜ける開口部であって、この開口部は内側端部を有し、前記導電層は当該開口部の内側端部に1若しくはそれ以上の露出した導電接点を形成するものである、前記開口部と
を有する前記複数のリンクと、
前記リンクを一緒に連結する複数のコネクタであって、外面に沿って露出した導電接点を有し、各コネクタはリンクと隣接するリンクの前記開口部の内側端部の1若しくはそれ以上の前記露出した導電接点との間に導電路を提供するものである、前記複数のコネクタと
を有するリンクベルト。
【請求項28】
請求項27記載のリンクベルトにおいて、前記露出した導電接点は、前記隣接リンクの開口部の1若しくはそれ以上の露出した導電接点と導電コミュニケーションするものである。
【請求項29】
請求項27記載のリンクベルトにおいて、前記導電層は、前記ベルトリンクの外面である。
【請求項30】
請求項27記載のリンクベルトにおいて、前記コネクタは、各リンクが一体的に形成されるコネクタを有するように前記リンクと一体形成されているものである。
【請求項31】
請求項27記載のリンクベルトにおいて、前記コネクタは前記リンクから分離可能で、略スパークしない金属で形成されている。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2011−528423(P2011−528423A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518882(P2011−518882)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/050692
【国際公開番号】WO2010/009230
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(506139509)フェナー ユー.エス.、インク. (2)
【Fターム(参考)】