低静電容量の容器を塗装するシステム及び方法
静電塗装作業のために容器Bを帯電させる装置及び方法は、静電塗装作業中に容器を支持する支持部材32を含み、該支持部材は、容器の表面と直接接触する非金属の導電性材料又は電気的に半導電性の部分を含む。電気的に半導電性の部分は、非金属、抵抗性又は低導電性の材料を含み、電気エネルギー源に結合されているため、容器は反対の極性に帯電されて、静電塗装作業によって生じる静電荷の蓄積を相殺又は低減する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、限定はされないがガラス瓶等の非導電性及び低導電性の容器を、液体又は粉体等の塗料で塗装することに関する。より詳細には、本開示は、低静電容量デバイスを使用する静電塗装プロセスを用いて低導電性容器を塗装することに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの非導電性又は低導電性の容器は、それらの外面に1つ又は複数の塗料が塗布されている。これらの塗料は、例えば保護層として用いることができる。塗料は、これまで、静電プロセスを用いて塗布されていた。ガラス瓶の場合、例えば、金属ピンを瓶と誘電分離させた状態で瓶開口内に挿入していた。静電塗装システムの金属部品は、望ましくない容量放電を起こす可能性があり、場合によっては安全上の危険を生じさせる可能性がある。
【0003】
ガラス瓶等の非導電性及び低導電性の被加工物に対する静電塗装作業中に、容器が効果的に接地されない場合があるため、静電プロセスによって瓶に静電荷が蓄積する可能性があり、これがコンデンサーのように作用する可能性がある。この電荷の蓄積は、全体的な仕上げ及び塗着効率に悪影響を与える可能性がある。したがって、低導電性容器は、静電塗装作業中にどれだけの静電荷が容器に印加される可能性があるのかに関して自らの制限となる可能性がある。塗装作業中に容器上に塗料が蓄積することは、さらに塗装プロセスを制限する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示において提示される本発明のうちの1つの実施の形態によると、非導電性又は低導電性の容器の静電塗装装置は、塗装作業のために容器を支持する支持部材を備え、支持部材は、容器の表面部分と直接接触するか又は密に接触する電荷移動材料(電荷輸送材料)で作製される静電荷移動部分を含む。本明細書において言及する1つの種類の電荷移動材料は、低導電性又は半導電性の電荷移動材料である(本明細書では「半導電性材料」という省略した言及も用いるが、半導電性材料は、本明細書において用いられる場合、低導電性又は半導電性の電荷移動材料を指すことが理解される)。より詳細な例では、半導電性材料は、非金属材料、つまり、電荷移動材料中に金属を実質的に含まない材料とすることができる。一般的な意味で、本発明では電荷移動材料に関して「非金属」及び「半導電性」という用語を用いるが、この理由は、この電荷移動材料が、例えば、抵抗などの、電流の流れ又は放電に対するインピーダンスを有するが、電気エネルギー源と容器との間で所望の量の電荷移動が生じることも可能にするためである。
【0005】
一実施の形態では、支持部材の静電荷移動部分を用いて容器の外側面に静電荷を印加し、静電塗装作業中に容器の外側面に反対の極性の静電荷が蓄積することを相殺するか又は低減する。より詳細な実施の形態では、支持部材の静電荷移動部分は、電気エネルギー源に電気的に結合される電気抵抗材料を含む。電気エネルギーは、電荷移動材料を介して、静電塗装作業によって生成される静電荷とは反対の極性の静電荷を容器に印加する。例示的な実施の形態では、静電塗装作業は、例えば米国特許第6,056,215号(その全開示は参照によって本明細書に全て援用される)に示されるような、主に低静電容量の非金属構成要素で構成される回転式噴霧器を用いて行うことができる。相殺用の静電荷は、静電塗装作業の前、最中、後、又はそれらの任意の組み合わせで容器に印加することができる。より詳細な例示的な実施の形態では、電気的に半導電性の部分は、炭素又はグラファイトを充填したポリマー、例えば炭素充填TEFLON(商標)材料、又はグラファイト充填PEEK(商標)材料を含むことができる。さらなる実施の形態では、支持部材は、塗装作業中に軸を中心に回転可能である。
【0006】
電荷移動材料は、電流の流れ又は放電に対するインピーダンスを有することによって、相殺用の静電荷を容器に印加するために用いることができるだけではなく、電荷移動材料が電気エネルギー源に結合されている間の操作者又は他の接地電位への望ましくない容量放電も防止することになる。例示的な実施の形態では、電荷移動材料のインピーダンスは、望ましくない静電放電が生じることも制限又は防止しながらも、相殺用の電荷移動を容器に印加することを可能にする範囲で選択することができる。
【0007】
相殺用の静電荷を容器表面に提供することによって、容器は、概して、中性の又は低い残留電荷電位に保たれることができるため、塗装された後では、該容器がさらなる仕上げ段階又は加工段階へ進むときに放電を生じるほど十分な電荷又は電気エネルギーを容量的に保持しなくなる。任意の低い残留表面電荷が例えば大気などへ徐々に放出されるため、塗装された容器は接地電位へ放電することができない。この利点は、一部には、例えば低導電性又は半導電性の電荷移動材料を用いることによって支持部材が低静電容量デバイスにされるため、その残留電荷を保持する容量がなくなると共に大気へ徐々に放出させることができることに起因している。好ましくは、支持部材は、望ましくない静電荷の貯蔵容量を最小限に抑えるように金属部品をわずかしか含まないか又は全く含まない。
【0008】
本開示の発明の別の態様は、塗装作業のために容器に静電荷を印加する装置である。一実施の形態では、この装置は、容器の低静電容量支持体を含む。一実施の形態では、低静電容量支持部材は、容器の表面部分と直接接触するか又は密に接触する電荷移動材料で作製される静電荷移動部分を含む。この電荷移動部分を用いて静電荷を容器に印加し、静電塗装作業中の静電荷の蓄積を相殺するか又は低減する。本明細書において言及される1つの種類の電荷移動材料は、低導電性又は半導電性の電荷移動材料である。より詳細な例では、半導電性材料は、非金属の導電性材料、すなわち換言すると該材料中に金属を実質的に含まない材料とすることができるが、これは必須ではない。一般的な意味で、電荷移動材料に関して半導電性という用語を用いるが、この理由は、電荷移動材料が、例えば抵抗などの、電流の流れ又は放電に対するインピーダンスを有するが、電気エネルギー源と容器との間で所望の量の電荷移動が生じることも可能にするためである。半導電性部分は、操作者又は他の接地電位への静電放電も防止する働きをし、さらに、支持部材によって蓄えられる静電容量エネルギーを制限する。例示的な一実施の形態では、この部材の電気的に半導電性の部分は、電気エネルギー源に電気的に結合される低導電性、抵抗性又は半導電性の材料を含む。電気エネルギーは、塗装作業によって生成される静電荷とは反対の極性の静電荷を容器に印加する。静電荷は、静電塗装作業の前、最中、後、又はそれらの任意の組み合わせで容器に印加することができる。より詳細な例示的な実施の形態では、電気的に半導電性の部分は、炭素又はグラファイトを充填したポリマー材料を含むことができる。支持体は、該支持体が塗装作業中に回転することを可能にする任意選択的な機構を含むことができる。別の実施の形態では、電気エネルギーは、電気的に半導電性の部分と電気的に半導電性の電荷移動部材との間に接触を形成することによって該電気的に半導電性の部分に結合される。
【0009】
電荷移動材料に半導電性材料、及び任意選択的には非金属材料を使用することは、支持部材が、導電性要素又は地面に近接している場合に放電を生じる可能性があるほどの電気エネルギーを蓄えるか又は静電容量の電荷を蓄える材料を全く含む必要がないという点で低静電容量塗装システムを可能にする。電荷移動部材は同様に、相殺用の静電荷を非導電性ゾーン又は領域内で塗装される容器に印加することができるように低静電容量材料で作製されることができる。このように、支持部材及び電荷移動部材、並びに被加工物を回転させる任意選択的な回転機構は、システム内に蓄えられる可能性がある電気エネルギーを低減するように低静電容量とすることができる。また、任意選択的に上述の低静電容量静電スプレー塗装デバイス又は装置を用いることによって、塗装システムの全体的な静電容量をさらに低減することができる。これは、操作者をシステム内で静電ショックから遮蔽する必要がないという点で安全性を促す。
【0010】
本開示は、非導電性又は低導電性の容器の静電塗装作業中に静電荷が容量蓄積することを相殺又は低減する本発明の方法も提示する。この方法の一実施の形態では、相殺用の静電荷は、静電塗装作業の前、最中、後、又はそれらの任意の組み合わせで容器に印加される。静電荷は、容器の一部と、塗装作業のために容器を支持する電気的に低導電性又は半導電性の電荷移動材料との直接接触によって印加される。より詳細な実施の形態では、電気的に半導電性の電荷移動材料は、電気エネルギー源に電気的に結合される非金属、抵抗性又は低導電性の材料を含む。電荷移動材料は、容器の低静電容量支持体を提供することによって、支持されている容器からの望ましくない放電も防止する。より詳細な実施の形態では、この方法は、静電塗装作業のために、相殺用の静電荷を容器に印加することを含み、それによって、容器は、概して中性の又は低い残留電荷電位に保たれることができるため、塗装された後では、該容器がさらなる仕上げ段階又は加工段階へ進むときに放電を生成するほど十分な電荷又は電気エネルギーを容量的に保持しなくなる。任意の低い残留電荷が例えば大気などへ徐々に放出されるため、塗装された容器は放電することができない。
【0011】
上記方法の別の実施の形態では、塗装作業中に相殺用の静電荷を容器に印加するのに用いられる電気エネルギー源からの電流が監視され、電流レベルの変化に応じて電気エネルギー源の出力電圧が調整される。一実施の形態では、この調整は、容器の表面において逆電離を生じさせかねないあまりに多くの相殺用の電荷が容器に印加されることを防止するために用いることができる。
【0012】
本開示は、直立の向き、逆さの向き又はその両方で容器を支持することができる支持部材の種々の実施の形態も提示する。
【0013】
本明細書において開示される本発明のこれら及び他の態様並びに利点は、添付の図面に照らして例示的な実施形態の以下の詳細な説明から当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】静電式の容器塗装システムの実施形態の簡潔な概略的な形の平面図である。
【図2】図1の円で囲まれた部分のより詳細な立面図である。
【図3】図2の図の端面図である。
【図4】図1において用いられるような被加工物支持部材の立面図である。
【図5】図4の支持部材の部分的な長手方向断面図である。
【図6】被加工物の直立の向き又は逆さの向きに用いることができる支持部材の一実施形態の、わずかに斜視方向の立面図である。
【図7】図6の支持部材の分解図である。
【図8】図6の支持部材の長手方向断面図である。
【図9】図8の円で囲まれた領域Aの拡大図である。
【図10】図8の円で囲まれた領域Bの拡大図である。
【図11】図6のコレットの実施形態を圧縮位置で示す図である。
【図12】図6のコレットの実施形態を拡張位置で示す図である。
【図13】被加工物の直立の向き又は逆さの向きに用いることができる支持部材の別の実施形態の、わずかに斜視方向の立面図である。
【図14】図13の支持部材の分解図である。
【図15】図13の支持部材の長手方向断面図である。
【図16】図15の円で囲まれた領域Aの拡大図である。
【図17】図13のコレットの実施形態を圧縮位置で示す図である。
【図18】図13のコレットの実施形態を拡張位置で示す図である。
【図19】被加工物が直立の向きの場合に支持部材を用いるための構造を有する静電スプレーブースの簡略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書ではガラス容器の液体塗装に特に言及しながら種々の実施形態を説明するが、本発明はそれらの特定の用途に限定されない。本発明は、液体塗料及び粉体塗料等を含む、低導電性容器の静電塗装に用いられるあらゆる種類の塗料に用途が見出される。さらに、本発明は、非導電性又は低導電性の被加工物のいかなる特定の種類、寸法、形状又は材料にも限定されない。本発明は、ガラス瓶及び他のガラス容器、プラスチック瓶及び他のプラスチック容器等を含むがこれらに限定されない多くの被加工物に用途が見出される。1つの種類の塗料の例はUV塗料であるが、本発明はいかなる特定の塗料にも限定されない。
【0016】
例示的な実施形態における組み合わせで具現されるものとして、本発明の種々の発明的態様、概念及び特徴が本明細書において説明及び図示され得るが、これらの種々の態様、概念及び特徴は、多くの代替的な実施形態において使用されることができ、個々に使用されることもでき、又はその種々の組み合わせ及び部分的な組み合わせで使用されることもできる。本明細書において明白に除外されない限り、このような全ての組み合わせ及び部分的な組み合わせは本発明の範囲内にあることが意図される。さらになお、代替的な材料、構造、構成、方法、回路、装置、及び構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、制御論理、形成、適合及び機能に関する代替形態等のような、本発明の種々の態様、概念及び特徴に関する種々の代替的な実施形態を本明細書に記載することができるが、このような記載は、現時点で既知であるか又は後に開発されるかにかかわらず、利用可能な代替的な実施形態の完全又は網羅的なリストであることは意図されない。当業者は、そのような実施形態が本明細書において別段に開示されていない場合であっても、本発明の範囲内の付加的な実施形態及び使用に、本発明の態様、概念又は特徴のうち1つ又は複数を容易に採用することができる。さらに、本発明のいくつかの特徴、概念又は態様を好ましい構成又は方法であるものとして本明細書中に記載することができるとしても、そのような記載は、そのように明記されていない限り、このような特徴が要求されるか又は必要であることを示唆することは意図されない。さらになお、例示的若しくは代表的な値及び範囲が、本開示を理解する際に役立つように挙げられ得るが、このような値及び範囲は限定的な意味に解釈されるべきではなく、そのように明記される場合にのみ、重要な値又は範囲であることが意図される。さらに、種々の態様、特徴及び概念は、本明細書中に発明的であるとして又は本発明の一部であるとして明記されることができ、このような明記は、排他的であることを意図せず、むしろ、そのような発明として又は特定の発明の一部として明記されることなく、本明細書中に十分に記載されている本発明の態様、概念及び特徴とすることができ、その代わりに、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載される。例示的な方法又はプロセスの記載は、全ての場合において要求されるものとして全ての工程を含むことに限定されず、また、それらの工程が提示される順序は、そのように明記されない限り、要求されるものとして又は必要であるものとして解釈されるべきではない。
【0017】
図1を参照すると、1つ又は複数の本発明の第1の実施形態が提示されている。塗装システム10は、低導電性の瓶B等の容器型の被加工物を移動させて1つ又は複数の塗布デバイス14を通過させるコンベヤー12又は他の好適な位置決め装置を含むことができる。塗布デバイス14は、コンベヤー12の一方の側に配置することができ、回収システム16は、コンベヤー12の、塗布デバイス14と反対の側に配置することができる。回収システム16は、当業者に既知であるような多くの異なる形状及び機能を有することができる。例えば、液体塗料の場合、回収システム16は、被加工物にスプレーされるが被加工物に付着しない液体材料が回収されるように、水壁18及びトラフ(細長い箱型の容器)20の構成を含むことができる。粉体塗料の場合、カートリッジシステム及びスプレーブース等の粉体回収システムが当該技術分野において既知である。使用される特定の塗布デバイス14は、被加工物に塗布される塗料の種類を含む多くの要因に応じて決まる。ガラス瓶の典型的な液体塗料の塗布の場合、塗布デバイス14は、オハイオ州ウェストレイクのノードソンコーポレーションから入手可能な低静電容量のRA20回転式噴霧器等の静電スプレーデバイスとすることができる。このデバイスは、低静電容量の非金属構成要素、例えば回転カップを主に用いることができるタイプのスプレーデバイスの一例である。システム10のいくつかの設計では、コンベヤー12は、被加工物Bを搬送して塗布デバイス14を通過させた後で、この被加工物をさらなる加工ステーション22まで搬送する。例えば、コンベヤーは、被加工物を、被加工物に付着する塗料を乾燥又は硬化させる炉22まで搬送することができる。
【0018】
図1に概略的に示されるように、典型的な塗料塗布デバイス14は、塗布デバイス14を塗料の供給源26に接続する供給ホース24を含むことができる。電気ケーブル28を、塗布デバイス14を高電圧電源30等の電気エネルギー源に接続するために用いることができる。電源30は、当該技術分野において既知であるような従来の設計とすることができる。電源30は、高い直流電圧を塗布デバイス14に供給することができるか、又は塗布デバイス14のハウジング内に収納されているものとすることができる。後者の場合、通常は低い電圧が好適な低電圧供給源から塗布デバイス14内の電圧倍増器に入力される。
【0019】
図2及び図3は、図1の破線で囲まれた構造をより詳細に示す。コンベヤー12は、容器Bを、図2の矢印Dによって示されるような方向の経路Dに沿って被加工物装填器構成45(図1)から移動させる。被加工物装填器45は手動又は自動とすることができる。この例では、コンベヤー12は、容器を搬送して塗布デバイス14を通過させ、塗布デバイスが容器に塗料をスプレーするか又は別様に塗装するようにする。各容器Bはこの実施形態では、支持部材32上に逆さの向きで支持される瓶とすることができる。代替的には、以下でさらに説明するように、瓶を直立の向きで懸吊させた状態で支持する支持部材も設けることができる。必要に応じて他の支持構成及び向きを用いることができるが、この場合、支持構造は、以下で説明するように静電塗装作業の一部として相殺用の静電荷を被加工物へ印加する低静電容量構造を提供するために用いられる。
【0020】
支持部材32は、コンベヤー12により、コンベヤー取付構成の任意の簡便な構造又は方法によって取り付けられて担持される。コンベヤーシステムは非常に様々であり、当該技術分野において既知である。各支持部材32は、コンベヤー12に取り付けられる支持柱又はスピンドル36(図2に仮想線で示す)上で摺動する中空の本体すなわち管34を含むことができる。したがって、この例では、スピンドル36は、コンベヤー取付構成の構造として働く。各支持部材32に対して1つ又は複数のスピンドルがあってもよく、又はコンベヤー上で部材32を支持するために何らかの他の技法も用いることができる。本体34とスピンドル36との間の嵌め合いは、好ましくはスピンドルの軸線Xを中心に部材32を回転させることができるほど緩い。好ましくは、本体は非導電性の非金属材料で作製される。
【0021】
本体34は、任意選択的に、各支持部材32を回転させる機構38を含むことができ、それによって各支持部材32により被加工物Bが支持される。回転機構38は、例えば、静止チェーン40と協働するギア状の部品の形態で実現することができる。コンベヤー12が支持部材32を移動させて並列位置でチェーン40を通過させるときに、ギア38が静止チェーン40と噛み合うことによって部材32が軸線Xを中心に回転する。支持部材32、したがって被加工物Bの回転速度は、コンベヤー12の速度及びギア/チェーンの接触部分に応じて変わる。代替的な実施形態では、チェーン40は、それ自体が同じ方向D又はDとは反対の方向に沿って移動可能であり、コンベヤー12の速度を変更する必要なく変更可能な速度で被加工物を回転させることができる。被加工物Bが塗布デバイス14を通過するときに支持部材32及び被加工物に回転を加えるために、ギア及びチェーン以外の機構を用いることができる。例えば、磁気継手を用いてもよいし、又はコンベヤー12がスピンドル36及び/又は支持部材32を回転させる機構を含んでもよい。別の代替形態として、ギアによる接触部分の代わりに、単純な摩擦車を本体34に担持させて、該摩擦車を摩擦ロッド又はパッドと係合させ、回転運動を加えることができる。
【0022】
図2及び図3にさらに示されるように、システムの構成要素上に集まる液体材料の過剰なスプレーの量を低減するために、任意選択的な遮蔽体Sを塗布デバイス14とコンベヤー構成との間に位置決めすることができる。例えば、遮蔽体Sは、細長い穴すなわち開口S1を含むプラスチック等の非金属又は非導電性の材料シートを含むことができ、塗布デバイス14は細長い穴すなわち開口S1を通して被加工物Bにスプレーすることができる。遮蔽体Sの下側部分は、塗料の多くがコンベヤー12の構成要素、並びに電荷移動部材44及び支持部材32に方向付けられることを防止する。
【0023】
支持部材32は、電気的に2つの有用な特性を有する電荷移動材料からなる第1の電荷移動部分すなわち第1の電荷移動要素42をさらに含む。第1に、電荷移動材料は、十分に導電性であるため、以下でさらに説明するように塗装作業中に静電荷を容器Bに印加することができる。第2に、電荷移動材料は、電流の流れに抵抗するのに十分であると共に、電荷移動材料が接地電位又は反対の極性の電位に晒される場合に望ましくない静電放電を防止する抵抗などの、電流の流れに対するインピーダンスを有する。本明細書における例示的な実施形態では、電荷移動材料は装置の種々の部分に関して同じである(これは必須ではない)が、必要であれば装置の異なる部分に関して異なる材料を用いることができる。
【0024】
本明細書における実施形態では、電荷移動材料は、本質的に電気的に抵抗性又は半導電性である低導電性材料を含む。概して、本発明では電荷移動材料に関して半導電性という用語を用いるが、この理由は、電荷移動材料が、例えば抵抗などの、電流の流れ又は放電に対するインピーダンスを有するが、電気エネルギー源と容器との間で所望の量の電荷移動が生じることも可能にするほど十分に導電性であるためである。本明細書において開示される実施形態では、半導電性材料は非金属の導電性材料からなるが、これは全ての用途において必要というわけではない。したがって、非金属の導電性材料は、本明細書における発明と共に用いることができる半導電性材料の好ましい例である。「導体」という用語は、本明細書において用いられる場合、当該技術分野において良好な導電体として認識されている、例えば銅ワイヤーのような材料を指す。例えば銅で作製されるような導体は、通常はおよそ10−8オーム・メートルの抵抗率を有する。「半導電性」という用語は、本明細書において用いられる場合、半導体として一般的に既知である材料の種類を指すわけではないが、半導体材料は、本明細書において一種の半導電性材料として必ずしも除外されない。
【0025】
電荷移動材料に非金属又は半導電性の材料を用いることの利点は、支持部材32を、望ましくない放電を生じるほど十分な電気エネルギー又は静電荷を蓄えることができない低静電容量デバイスであるように、主に非金属部品で作製することができることである。代替的に何らかの金属を支持部材32において用いることもできるが、用いられる金属の量は、操作者又は接地電位に対する望ましくない放電という危険性を呈するほど十分な静電容量の電荷を支持部材32が蓄えるには不十分であることが意図され、また、そうであることが好ましい。非金属又は半導電性の電荷移動材料の使用は、電荷移動材料が電気エネルギー源に接続されているときに望ましくない放電を防止するために電流の流れに抵抗するようにも機能する。
【0026】
この実施形態では、第1の電荷移動部分42は、本体34の外側にぴったり嵌まった状態で摺動する電荷移動リングの形態で実現することができる。本体34は、好ましくは、例えばプラスチック等の非金属の、非導電性材料から作製される。リング42は、フレーム43上に支持されている細長い材料棒体の形態で実現することができる電荷移動部材44と接触するように本体34に配置される。電荷移動部材44は、リング42と同じ材料から作製することができるがこれは必須ではない。この実施形態では、電荷移動部材44は非金属材料からなる。電荷移動部材44は、導体(例えばワイヤー47等、図1を参照のこと)によって第2の電気エネルギー源46に電気的に結合されている。第2の電気エネルギー源46は、第1の電源30とよく似た従来の電源として実現することができる。
【0027】
電荷移動部材44は、任意の好適な手段、例えばフレーム43によって支持することができる。支持部材リング42と電荷移動部材44との間の接触を維持するために、コンベヤー12が容器Bを移動させて電荷移動部材44を通過させるときに、リング42が、実際に支持部材32の軸線を(容器及び支持部材32の図2の垂直軸線Xに対して)わずかにずらすことができる干渉量で電荷移動部材44と接触するように、電荷移動部材44及びフレーム43を横方向に位置決めすることができる。換言すると、支持部材32が電荷移動部材44と接触している間に、支持部材32及び容器Bはわずかに傾けられて軸線をずらされることによって、実際には容器の重量によってリング42が電荷移動部材44に当接したまま保持される。容器が電荷移動部材を通過した後で容器が前後に揺動することを防止するために、フレーム43及び電荷移動部材には、導入半径及び導出半径すなわちテーパー43a及び43bを設けることができる。導入テーパー43aは、容器及び支持部材32が徐々に動いて軸線がずれた向きをとることを可能にし、導出テーパー43bは、容器及び支持部材32が垂直な向きに徐々に戻ることを可能にするため、容器は揺動又は振動しない。わずかに軸線がずれた位置は任意選択的に、容器をスプレーデバイス14の正面で露呈角度まで傾けて、塗装の均一性を改善するのにも有用である。以下で説明するように、容器がオーバーヘッドコンベヤーから吊設されることによって直立位置に支持される実施形態の場合は、電荷移動リングと電荷移動部材との間の接触を維持するために、この接触を維持するのに容器の重量が用いられる場合と同様の技法を用いることができる。代替的には、容器がいずれかの向きで支持される場合、電荷移動部材44及びフレーム43又は支持部材32は、電荷移動部材44を電荷移動リング42と接触させた状態で維持する偏りを有することができる。
【0028】
電荷移動部材44は、該部材44から隣接する接地物体へのアーク放電、又は棒体44に近接しているか若しくは接触している操作者への電気ショックの放出を防止するために、十分な抵抗性又は低導電性の材料で作製することができる。電荷移動部材44は、また、電荷移動リング42及び容器への電荷移動を可能にするのに十分な導電率を有する。したがって、電荷移動部材44は、電荷移動リング42に用いられる電荷移動材料と同じ電荷移動材料からなっていてもよい。
【0029】
支持部材リング42及び電荷移動部材44の電荷移動材料としての使用に好適な材料は、TEFLON(商標)等の炭素充填ポリマーである。本発明者らは、例えば炭素の充填率が約25%であるTEFLON(商標)タイプの材料、又は他の好適なポリマー、プラスチック若しくは複合材料が好適な高い抵抗率を有するが、容器への静電荷の移動を可能にする十分な導電率も有することを見出した。高温動作に関しては、本発明者らは、別の例としてグラファイト充填PEEK(商標)材料を用いることができることを見出した。これらの例示的な材料は好ましくは非金属であるが、全ての用途において必須というわけではない。本発明者らは、電荷移動材料の好適な表面抵抗率を、約15マイクロアンペアの電荷移動電流の場合に約95kVを供給する例示的な電源46に関して約1000オーム/スクエアとすることができることを見出した。しかし、用いられる実際の表面抵抗率は、電源の種類、電圧レベル、電流及び電荷移動レベル、容器の種類及び寸法、並びに容器の材料等に基づいて選択して、電流放電特性を制御すると共に容器への十分な相殺用の電荷移動を可能にすることができる。金属導体は通常、およそ10−5オーム/スクエアの表面抵抗率を有するが、開示の実施形態に用いられる電荷移動材料は、約95kVの電圧源及び約15マイクロアンペアの電荷移動電流の場合に、約10−3オーム/スクエア〜約106オーム/スクエアの範囲、より好ましくは約10−1オーム/スクエア〜約103オーム/スクエアの範囲の表面抵抗率を有することができる。これらの数字は本質的に例示であり、特定の用途の必要性に応じて選択することができる。
【0030】
支持部材32及び電荷移動部材44の低導電性の、及び任意選択的には非金属の導電性材料は、支持部材32及び電荷移動部材44が蓄える可能性がある電気エネルギー又は静電容量の電荷の量を低減するために、支持部材32及び電荷移動部材44を低静電容量デバイスとすることも可能にする。これは、容器及び支持部材32が瓶塗装設備内を搬送されるときに、地面への望ましくない放電又は支持部材から操作者へのショックを防止する。いくつかの代替的な実施形態では、支持部材32はいくらかの金属又は導体を含有することができるが、この金属又は導体の量は、支持部材が電気エネルギー又は静電容量の電荷を蓄えるには不十分であること、及びさらに、電流の放電を防止するために半導電性又は非金属の材料が支持部材32に含まれることが意図される。電荷移動部材44は、操作者へのショック又は接地電位への放電を防止するために金属を含有しないことが好ましい。
【0031】
図4及び図5は、支持部材32をより詳細に示す。本体34は、ギア部材38が任意の簡便な手段によって取り付けられているか又はギア部材38と一体である概ね筒状の構造とすることができる。電荷移動リング42は、外側円筒面34a(図5)にぴったりと滑り嵌めすることができる。本体34の上端48は開放しており、任意選択的な概ね円筒形の被加工物ホルダー50を入れ子式に受け入れる。被加工物ホルダー50は代替的には本体34と一体形成することもできるが、別個の部材とすることによって、被加工物を取り替えるたびに本体34を取り替える必要なく、異なる寸法の被加工物を単一の設計の本体34と共に用いることができる。したがって、被加工物ホルダー50は、別個の要素として具現される場合、異なる寸法の容器間の切替を簡単にするアダプターとしても機能する。
【0032】
被加工物ホルダー50は、本体34にぴったりと嵌まることができるか又はより緩く嵌まることができる。後者の場合、例えば、本体34には、図示のように本体34を貫通する例えば単純な非金属のピン又はロッドのような留め具機構52を設けることができる。被加工物ホルダー50は、留め具機構52に滑って重なるその下端にノッチ54を含むことができるため、適切な高さに支持される。
【0033】
被加工物ホルダー50の上側の開放端50aには、第2の電荷移動部分すなわち電荷移動要素56がある。第2の電荷移動部分56は、好ましくは第1の電荷移動部分すなわちリング42と同じ電荷移動材料で作製され、関連する被加工物をその上に解放可能に取り付けることができるような適当な寸法及び形状である。例えば、図示のように、従来のガラスの飲料瓶の形状の被加工物の場合、第2の電荷移動部分56は、ストッパーによく似た、容器の口に挿入されるテーパー状又は切頭円錐の形状を有することができる。部材56の選択される形状及び寸法は、その上に取り付けられる関連する被加工物に応じて変わる。
【0034】
第2の電荷移動部分56は、被加工物を、この場合は瓶の開口すなわち口の内面と確実に直接接触するように支持する(図2を参照のこと)。極めて密な接触は、第2の電荷移動部分56と容器との間の良好な電気的導通を確保し、これは、塗装作業中に相殺用の表面静電荷を容器に印加することを可能にする。
【0035】
第2の電荷移動部分56は、電荷移動リング42及び電荷移動棒体44(図2)と同じ抵抗性又は低導電性の材料から作製することができるがこれは必須ではない。代替的には、第1の電気的に半導電性の部材42及び第2の電気的に半導電性の部材56は、必要に応じて電荷移動材料の単一のすなわちひと続きの部品で形成してもよいし、又は複数の部品で作製してもよい。電荷移動材料の抵抗率は、静電荷を被加工物に印加することができるが、その一方でスパーク又はショックを防止するために放電電流を制限するように選択することができる。本明細書における図4及び図5の実施形態では、ワイヤー58又は他の好適な導体を本体34及び被加工物ホルダー50の内部に配置することができる。ワイヤーは絶縁することができ、その端部は銅ワイヤーを露出させるために除去されている。ワイヤー58の一端60は、本体34の壁の孔62に通すことができる。リング42が定位置まで滑って孔62を覆うと、ワイヤー58とリング42との間で良好な電気接触がなされる。ワイヤー58の反対端64は、内側壁面66と第2の電荷移動部分56の外側壁面68との間に捕捉することができる。このように、第2の電荷移動部分56は、第1の電荷移動部分すなわちリング42に電気的に結合される。好ましくは、支持部材32に関連する任意の金属構成要素、例えばワイヤー58を本体34内に配置して、接地電位への放電を防止する。
【0036】
図2を再び参照すると、作業時に、第2の電気エネルギー源すなわち電源46は、電荷移動棒体44に電圧を印加する。部材32が電荷移動棒体44を通り過ぎるときに、第1の電荷移動部分すなわちリング42は、電荷移動部材44の表面にわたって回転するように該電荷移動部材44と接触し、第2の電気エネルギー源46から、被加工物と接触している第2の電荷移動部分56へ電気的導通を提供する。被加工物Bが第2の電荷移動部分56と密に接触した状態で、第2の電気エネルギー源46から印加された高電圧は、静電荷を被加工物Bへ移動する。この電荷は、塗装作業中に塗布デバイス14の動作によって形成される静電荷とは反対の極性であるように選択される。例えば、静電スプレーガンは、多くの場合、負の電圧供給源を用い、この場合、第2の電気エネルギー源46は、被加工物Bの外側面に正の静電荷を生成するように選択することができる。被加工物の表面への相殺用の電荷の量を適切に制御することによって、被加工物への正味の表面電荷をほとんど中性若しくは中性に維持することができ、又は、塗装作業に起因して静電荷が蓄積するという悪影響につながりかねないことを回避するほど十分に低く維持することができる。容器をほとんど中性の正味表面電荷とすることによって、容器は、支持部材32が電荷移動部材44と接触しなくなった後で放電又はショックを引き起こすほどの静電容量の電荷又は電気エネルギーを蓄えなくなる。実際には、相殺用の電荷は、塗装作業中の正味の表面電荷の蓄積を防止することによって、被加工物の正味の外表面電荷を低減するように機能する。
【0037】
支持部材32がもはや電荷移動部材44と接触しなくなった後でも容器にはいくらかの残留電荷が残っている可能性があるが、この正味の残留電荷は、放電又はショックを可能にしないほど低く、支持部材32が低静電容量であるために迅速に大気へ放出される。正味の残留電荷を最小限に抑えるには、リング42を最初に電荷移動部材44と接触させてから容器を静電的にスプレーデバイス14の方に向けすなわち対面させ、容器がスプレーデバイスを通り過ぎた後でも接触させたままにすることができる。最大静電荷は、容器が塗装されているときに生じ、この理由は、塗装によって容器がスプレーデバイス14からの最も高い静電荷に晒されるためである。
【0038】
加えて、抵抗性の電荷移動材料の使用は、支持部材32又は電荷移動部材44が接地電位に近づくか又はこれと接触する場合に生じかねない電流を制限することによって、支持部材32又は電荷移動部材44からの望ましくない放電又はショックを防止するように作用する。
【0039】
図2に示されるように、被加工物が塗装作業を受ける前に、換言すると被加工物が塗布デバイス14からの電荷に著しく晒される前に、リング42が電荷移動部材44と接触することができるように、電荷移動部材44には、任意選択的に、十分な長さYを設けることができる。これは、実際に、被加工物Bに、塗装作業の電荷効果とは反対の極性の電荷を予め帯電させ、部品が塗装されている間の電荷の蓄積からのいかなる効果もさらに低減する。被加工物が塗布デバイス14を通り過ぎた後も、電荷移動棒体44は、任意選択的に、支持部材32と接触したままにすることもできる。必須ではないが好ましくは、第2の電気エネルギー源46を、塗装作業全体の間ずっと、及びリング42が電荷移動部材44と接触している全時間の間ずっと、オンにすることで、相殺用の静電荷を容器に印加し続けて塗装作業による電荷を相殺し、容器をほとんど中性又は中性の正味電荷に維持する。したがって、本明細書における例示的な構成は、静電塗装作業の前、最中、後、又はそれらの任意の組み合わせで、被加工物を帯電させて塗装作業による電荷を相殺することを可能にする。
【0040】
当業者には、塗布デバイス14からの電流を監視及び制御して、例えば、アーク放電を防止することができることが既知である。本開示の発明の別の態様によると、第2の電気エネルギー源46からの電流は、被加工物に印加される相殺用の静電荷の量に関連するため、従来の電流検出すなわち自動フィードバック電流(AFC)回路70によって監視することができる。したがって、第2の電気エネルギー源46からの電流は、スプレーデバイス14によって容器に印加される静電荷の量に依存する。電流レベルは、検出された電流に応答する電圧調整回路72を用いて第2の電気エネルギー源46の出力電圧を調整することによって調整することができる。このように、被加工物は、塗装作業中に中性の電荷近くに維持することができる。例示的な実施形態では、電流は、約95kVの電圧源である場合には、約10マイクロアンペア〜約15マイクロアンペアとすることができ、電荷移動材料の抵抗率は約1000オーム/スクエアとなる。例えば、容器がスプレーデバイス14を通り過ぎるときに、スプレーデバイス14に起因する表面電荷は、塗装プロセスに起因してかなり増大する。スプレーデバイスから生成される電荷は、塗装作業中に生成される静電荷の量にも関連する。この電荷は、コンベヤーに沿って進む容器の数及び密集度、並びにスプレーデバイスからの電圧及び電流に応じて変わる。第2の電気エネルギー源46から取り出される電流は、スプレーデバイスが生成する電荷の量に応じて変わる。容器がスプレーデバイスの近くから離れると、スプレーデバイス14に起因する表面電荷は減少する。したがって、容器をほとんど中性に維持するためにそれほど多くの相殺用の電荷は必要ではない。したがって、第2の電気エネルギー源46からの出力電圧は、相殺用の電荷レベルを下げるように低下させることができる。これは、容器の表面のあまりに多くの不平衡な相殺用の電荷によって逆電離が生じて塗装に悪影響を与える可能性があるいくつかの用途では重要であり得る。一例では、第2の電気エネルギー源46からの電圧は、例えば約1000オーム/スクエアの抵抗率を有する電荷移動材料の場合は、約95kVから約45kVへ低減することができる。
【0041】
低導電性被加工物を静電塗装する例示的な方法では、必須ではないが好ましくは塗装作業の開始前に相殺用の静電荷を被加工物に印加する。相殺用の電荷は、静電塗装作業の前、最中、後、又はそれらの任意の組み合わせで印加することができる。この電荷は、塗布デバイス14によって生成される電荷の極性とは反対の極性の静電荷を印加する電気エネルギー源に電気的に結合される部分である、被加工物の支持部材の電荷移動部分すなわち材料との直接的な密な電気接触によって印加される。電荷移動部分すなわち材料は、2つの有用な特性を有する。第1に、電荷移動材料は、相殺用の静電荷を塗装作業の対象の容器Bに印加することができるように十分に導電性である。第2に、電荷移動材料は、接地電位又は反対の極性の電位に晒される場合に電流の流れに抵抗すると共に望ましくない静電放電を防止するのに十分な抵抗などの、電流の流れに対するインピーダンスを有する。電荷移動材料は、抵抗性又は半導電性の材料、好ましくは非金属とすることができる。本方法は、電気エネルギー源からの電流を監視すること、及び電気エネルギー源の出力電圧を調整して被加工物に印加される相殺用の電荷の量及びタイミングを制御することを、任意選択的に含むことができる。必須ではないが好ましくは、相殺用の電荷は、塗装作業のために、そしてまた、特に、電気エネルギー源が電荷移動部分から分離されるときに、被加工物を電気的にほとんど中性又は中性に保つために印加される。
【0042】
したがって、上記説明から、電荷移動材料を用いて、本明細書における装置及び方法にとって重要な1つ又は複数の機能を提供することができる。まず、電荷移動材料は、該材料が電気エネルギー源に結合されているときに、相殺用の電荷を容器に印加することを可能にする。また、電荷移動材料は、第2の電気エネルギー源46に接続されているときであっても、その材料の抵抗によって、電流を制限して放電又はショックを防止する。またさらに、電荷移動材料を用いて、容器の低静電容量支持部材を提供することができ、これによって、支持部材32が電荷移動部材44と接触しなくなった後で残留電荷を大気へ放出することが可能となる。
【0043】
図6〜図8を参照すると、例えば、瓶等の被加工物を直立の向きで支持するために用いることができる別の実施形態の支持部材80を示す。また、例えば、支持部材80を回転させることができる機構(図19を参照のこと)によって支持部材80が位置決めされる場合に、支持部材80は、被加工物を逆さの向き又は両方の向きで支持するために用いることもできる。
【0044】
被加工物を直立位置で支持するには、支持部材80には、被加工物を把持すなわち保持するデバイスを設けることができ、この例の把持部すなわちホルダーは拡張可能なコレット82の形態で実現される。図6に示されるような第1の、すなわち圧縮位置では、コレット82は、図11に示されるようなその自然な弛緩位置にあることができる。そのような位置では、コレット82は、被加工物を把持すなわち保持しない。図12に示されるような第2の、すなわち拡張位置では、コレットは、被加工物(図示せず)の内部と接触するように半径方向に(支持部材80の長手方向軸線に対して半径方向に)拡張することができる。例えば、瓶の場合、コレット82は、瓶の内側首領域と係合することができる。被加工物は、瓶の内部としっかりと係合するようにコレット82が十分に拡張することによって支持されることができる。
【0045】
支持部材80は、電圧ピックアップリング86を支持する外筒84を含むことができる。ピックアップリング86は、上記実施形態のリング42と同様の設計とすることができるが必ずしも同様の設計である必要はなく、したがって、抵抗性又は半導電性の好ましくは非金属の電荷移動材料、例えば、グラファイト充填PEEK(商標)で構成される。アクチュエーターロッド88が外筒を貫通し、その遠位端部88bが拡張器90に接続されている(図9も参照のこと)。拡張器90は、概ね球すなわちボールの形状とすることができるが、必ずしもその必要はない。拡張器90は、例えば、圧入又は螺合によってアクチュエーターロッドに取着することができる。拡張器90も電荷移動材料を含む。アクチュエーターロッドの自由端88aは、アクチュエーターロッド88を長手方向軸線Xに沿って直線運動させる駆動機構Dに接続又は連結することができる。この駆動機構Dは、任意選択的に、被加工物が静電塗装作業中に回転することができるようにアクチュエーターロッドを軸線Xを中心に回転運動させることができる。駆動機構Dは、アクチュエーターロッド88を、第1の位置すなわち拡張位置と第2の位置又は後退位置との間で軸線方向運動させる。
【0046】
カラー92が外筒84の第1の端84aに接合されており、該カラー92はコレット82を保持するのに用いられる。この実施形態では(図9も参照すると)、カラー92は、内側肩部94を含み、内側肩部94に対して外筒84の第1の端が着座する。カラー92は、例えば、圧入によって外筒を受け入れてもよい。カラー92は、また、例えば、圧入によってコレット82の剛性の首端部82aを受け入れてもよい。
【0047】
図7及び図9に最もよく示されているように、コレット82は、好ましくは、電荷移動材料で作製される幾分中空の単一片の部材とすることができ、複数の可撓性断片96を有する。したがって、コレット82が被加工物を支持しており、したがって被加工物と極めて密に接触しているときに、コレット82は、静電荷を被加工物へ移動させるために使用されてもよい。可撓性断片96は、コレット82の壁100にある一連のスリット98によって提供することができる。可撓性は、可撓性断片96の撓み領域104付近に拡張部102を設けることによっても高めることができる。
【0048】
可撓性断片96のそれぞれには、内向きにテーパー状の表面106(図9)も設けることができる。これらのテーパー状の表面106は、拡張器90をコレット82の内側へ少なくとも部分的に引くように、アクチュエーターロッド88が軸線方向に後退した位置へ移動したときに拡張器90の外面と係合する。拡張器90がコレット82に引き入れられてテーパー状の表面106と当接すると、可撓性断片96が外方へ反ることによってコレット82が被加工物の内面を把持することが容易になる。これは、図12に示されている状態である。被加工物によっては内側テーパー及び円筒形以外の形状を有する場合があるため、可撓性断片96が外方へ反ることを用いて、コレット82が被加工物を把持することができることを容易にすることができる逆テーパー角度θ(本明細書では長手方向軸線Xに対して言及している)をもたらすことができる。アクチュエーターロッド88がその軸線方向に伸張した位置にあるとき、拡張器90は、単にテーパー状の表面106と接触してもよいし、又はテーパー状の表面と接触しなくなるまで軸線方向にさらに移動させてもよいが、いずれの場合も、被加工物がもはやコレット82によって保持されないことを可能にするほど十分にコレット82を圧縮することを可能にする。
【0049】
図10も参照すると、ピックアップリング86は、好ましくは外筒84上でぴったりと保持されている。電荷移動カラー108が、ピックアップリング86と概ね軸線方向に位置合わせされてアクチュエーターロッド上に設けられている。電荷移動カラー108も電荷移動材料からなる。一連のばね押し接点110が、電荷移動カラー108の外面とピックアップリング86の内面との間に配置されている。例えば、各接点110は、ピックアップリング86の内側に形成されている溝112に捕捉される外側端部と、電荷移動カラー108の外面と接触する内側端部すなわち反対端部とを有することができる。接点110は、外筒84に形成されているそれぞれの孔114を貫通することができる。接点は、金属等の導体であってもよいし、又は半導電性材料であってもよい。好ましくは、接点110は、ばね押し式に又は他の方法で付勢されて電荷移動カラー108と接触することで、アクチュエーターロッド88及び電荷移動カラー108の移動中であっても電荷移動カラー108との接触を維持する。電荷移動カラーの軸線方向寸法及び位置は、好ましくは、アクチュエーターロッド88がその軸線方向に後退した位置(コレット82の拡張状態に対応する)に移動するときに、接点110が電荷移動カラー108との電気的導通を維持することが確実となるように選択することができる。さらに、アクチュエーターロッド88が軸線方向に伸張して可撓性断片100を引き離す位置から拡張器90を移動させる(したがってコレット82の圧縮状態に対応する)と、好ましくは、接点110はもはや電荷移動カラー108との電気的導通を有しなくなる。それによって、この後者の状態により、コレットが被加工物を保持していないときに拡張器90及びコレット82からいかなる電圧も絶縁される。
【0050】
図9及び図10に最もよく示されるように、アクチュエーターロッド88が後退位置にあるときに、電荷移動スリーブ116を用いて電荷移動カラー108と拡張器90とを電気的に結合してもよい。電荷移動スリーブ116は、アクチュエーターロッド88に沿って軸線方向に遠位端部116aまで延在するため、アクチュエーターロッド88が後退位置にある場合には、電荷移動スリーブ116は拡張器90と接触する。この位置では、拡張器90は、また、可撓性断片100と密に接触しているため、電気エネルギー、とりわけ静電荷を、塗装作業のために被加工物へ移動させることができる。アクチュエーターロッド88が伸張した軸線方向位置にある場合、電荷移動スリーブ116が拡張器90と接触しなくなることで、電気エネルギーが拡張器90及びコレット82から隔離される。また、電気エネルギーが拡張器90及びコレット82へ供給されるようにアクチュエーターロッド88が後退位置にある場合、電荷移動スリーブ116は外筒84の内部に全体的に配置されて電荷及び電流を周囲環境から隔離するのを助けることに留意されたい。好ましくは、外筒は、プラスチックなどの非導電性材料で作製されてこの隔離を促すことができる。
【0051】
上記実施形態におけるように、ピックアップリング86は電荷移動部材と接触して電力源から電気エネルギーを受け取る。したがって、電気エネルギー、とりわけ静電荷は、支持部材80を通じて及びコレット82と被加工物との間の密な接触を通じて被加工物へ移動される。
【0052】
代替的な実施形態では、アクチュエーターロッド88は2つの部分から作製することができ、下側部分は電荷移動材料からなり、上側部分は電気的に非導電性である。この場合、電荷移動カラー108はアクチュエーターロッドと直接接触することができるため、電荷移動スリーブの使用を排除する。
【0053】
さらに、異なる寸法の容器のために異なる寸法のカラーが必要である場合、取り替え又は寸法変更のために、単に拡張器90をアクチュエーターロッド88から取り外すことによってコレットをカラー92から引き出すことができることに留意されたい。
【0054】
図13〜図18を参照すると、被加工物を把持すなわち保持するために用いることができる、別の実施形態の支持部材200を示す。図13〜図18の実施形態は、被加工物を直立の向き、逆さの向き又は場合によっては両方の向きで支持すなわち保持するために用いることができる。図6の実施形態と図13の実施形態との主な違いは、以下でさらに説明するように、コレットデバイス又は被加工物ホルダーの設計である。
【0055】
支持部材200は、電荷移動材料からなる電圧ピックアップリング202を含むことができ、ピックアップリング202は電荷移動部材と接触することになる。ピックアップリング202は、外筒204上で支持されている。この例では、アクチュエーターロッド組立体206が、非導電性駆動部分208と電気的に半導電性の引っ張り部分210とを含む2部品アクチュエーターロッドを含む。引っ張り部分210は、外筒204内を通ってカラーすなわちコレット組立体212を貫通し、その遠位端部が、ねじ216等の任意の好適な機構によって拡張器214に取着されている。コレット組立体212は、この例では、一緒に保持されると円筒形を形成する又は円錐状の外面220であってもよい4つの類似のコレット断片218a〜218dを含む(図17及び図18も参照のこと)。円錐状の外形の場合、コレット断片218は、上述したような逆テーパー角度θを提供することができる。コレット断片218a〜218dのそれぞれは、第1のテーパー状の表面222及び第2のテーパー状の表面224を含むことができる。コレット組立体212は、例えば、外筒にある孔228と協働するねじ226等の任意の好適な手段によって外筒204の遠位端部に取着されるコレットホルダー基部224をさらに含むことができる。コレットホルダー基部の遠位端部は、コレット断片218の第1のテーパー状の表面222と係合するテーパー状の表面230を含むことができる。拡張器214は、コレット断片218の第2のテーパー状の表面222bと係合するテーパー状の表面232を含むことができる。1つ又は複数の弾性ホルダー234、例えば、Oリングを用いて、コレット断片を、コレットホルダー基部のテーパー状の表面230及び拡張器のテーパー状の表面232に対してこれらの間で圧縮した状態で保持することができる。
【0056】
図6の実施形態と同様に、アクチュエーターロッド206が第1の位置すなわち軸線方向に伸張した位置にある場合、コレット断片218は、全体的に、弾性ホルダー234によって、被加工物を把持すなわち保持しないほど小さい第1の直径すなわち外寸まで共に圧縮される。これは、図15及び図17に示されている位置である。アクチュエーターロッド206が第2の位置すなわち後退位置まで軸線方向に移動されると、拡張器216がコレット組立体212内に引き込まれて、図18に示されるような拡張位置までコレットホルダー断片を引き離し、コレット断片218を被加工物の内面と係合させるのに用いることができる直径すなわち外寸まで増やす。アクチュエーターロッド206の軸線方向移動に加えて、駆動機構Dは、塗装作業中に被加工物を回転させるように回転運動もさせることができる。ここでもまた、様々な寸法の被加工物に、コレット断片218の全体的な外寸によって、拡張器216の後退によって強制される最大寸法まで対応することができる。弾性ホルダー234を取り外すことにより、かつ、拡張器216及びコレットホルダー基部224の様々な寸法の代替品も含むことができる異なる寸法の組のコレット断片218を用いることにより、コレット断片218の単純な交換によってより多くの寸法に容易に対応することができる。コレット断片218は、正しい設置向きを示すために溝又は帯体などの1つ又は複数の印236を含むことができる。
【0057】
2部品アクチュエーターロッド208は、例えば、図示のように端部同士をねじ留めしてもよいし、又は他の好適な手段によって接続してもよい。2部品ロッド208は、電気エネルギーがコレット組立体212のみに印加されてアクチュエーターロッドの駆動機構Dまでは戻らないことを可能にし、この場合も静電荷は実質的に外筒204及び任意の取り付けられた被加工物内に含まれている。
【0058】
電圧ピックアップリング202は、ばね押し式ピン238を用いてアクチュエーターロッドの引っ張り部分210の電荷移動材料と電気的に接続することができる。必須ではないが好ましくは、拡張器214、及び塗装作業中に被加工物の内面と密に接触するコレット断片218も、電荷移動材料で作製することができる。弾性ホルダー234も、電荷移動材料からなっていてもよいが、必ずしもその必要はない。
【0059】
図19を参照すると、上記のように、例えば、図6及び図13の支持部材を用いて、塗装作業のために瓶等の被加工物Wを直立の向きで保持すなわち把持することができる。典型的であるが例示的な構成において、スプレーブースAは、入口B及び出口Cを含むことができ、被加工物はこれらを通してオーバーヘッドコンベヤーEによって搬送されて静電スプレー塗装デバイスFを通過する。スプレーデバイス(単数又は複数)は、塗装作業中にスプレーデバイスを上下移動させる振動器H、及び必要に応じてスプレーデバイスをブースAに出入りさせるガン移動器J等の移動システムGに取り付けることができる。被加工物Wは、オーバーヘッドコンベヤーのアクチュエーターモーターKから懸吊させることができ、このアクチュエーターモーターKは、塗装作業中に必要に応じて支持部材Lを回転させることができ、また必要に応じて適時に被加工物を把持及び解放するためにアクチュエーターロッドMを直線運動させることができる。半導電性又は非金属の電荷移動材料からなる電荷移動部材Nは、電気エネルギー源Pに電気的に結合されている。コンベヤーが被加工物を搬送してスプレーデバイスFを通過させるときに、電荷移動部材Nが支持部材LのピックアップリングRと接触し、それによって前述したように相殺用の静電荷を被加工物Wに印加することができる。図1の実施形態と同様に、被加工物は、わずかに軸線がずれた位置で電荷移動部材Nと係合するようにコンベヤーから懸吊させることができ、それによって、容器すなわち被加工物の重量によってピックアップリングRを電荷移動部材Nと接触した状態に保持する。
【0060】
任意選択的に、電荷移動部材Nを非導電性フレームSによって支持することもでき、それによって被加工物を囲む非導電性ゾーン、例えば、導電性部材又は接地材料が被加工物の所望の距離内にないゾーンがあるようにする。典型的な距離は、例えば、18インチ(約45.72cm)とすることができる。この非導電性ゾーンは、支持部材32が電荷移動部材44と接触しなくなった後で容器が残留電荷を大気へ徐々に放出することも可能にする。非導電性ゾーンは、非導電性の外筒34、84、204の使用によって容易になり、非導電性の外筒34、84、204によって、相殺用の静電荷及び電圧を支持部材Lの外筒及び被加工物自体の内部に概ね閉じ込めることができる。電気エネルギー源から被加工物へ電荷移動するための半導電性材料、好ましくは、非金属材料の使用は、低静電容量スプレー塗装システムの一部としても用いることができる。この理由は、支持部材及び電荷移動部材は、電流を搬送する部分に関しては低静電容量材料から、また所望であれば、被加工物をオーバーヘッドコンベヤーから吊設させてスプレー塗装作業中に回転させるために用いられる機構を含む他の構成要素に関しては非導電性材料から、作製することができるためである。図5の実施形態は導体58を用いることができるがこれは必須ではなく、代わりに電荷移動材料も用いることができる。導体58がいかなる場合にも短く、電荷移動材料の2つの部品間に接続されているため、支持部材32の静電容量は、あったとしても非常に低く、電流は制限される。
【0061】
例示的な実施形態を参照して本発明の態様を説明してきた。変更及び変形は、本明細書を読んで理解すれば他者に想起されるであろう。それらの変更及び変形は、添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限り全て包含されることが意図される。
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、限定はされないがガラス瓶等の非導電性及び低導電性の容器を、液体又は粉体等の塗料で塗装することに関する。より詳細には、本開示は、低静電容量デバイスを使用する静電塗装プロセスを用いて低導電性容器を塗装することに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの非導電性又は低導電性の容器は、それらの外面に1つ又は複数の塗料が塗布されている。これらの塗料は、例えば保護層として用いることができる。塗料は、これまで、静電プロセスを用いて塗布されていた。ガラス瓶の場合、例えば、金属ピンを瓶と誘電分離させた状態で瓶開口内に挿入していた。静電塗装システムの金属部品は、望ましくない容量放電を起こす可能性があり、場合によっては安全上の危険を生じさせる可能性がある。
【0003】
ガラス瓶等の非導電性及び低導電性の被加工物に対する静電塗装作業中に、容器が効果的に接地されない場合があるため、静電プロセスによって瓶に静電荷が蓄積する可能性があり、これがコンデンサーのように作用する可能性がある。この電荷の蓄積は、全体的な仕上げ及び塗着効率に悪影響を与える可能性がある。したがって、低導電性容器は、静電塗装作業中にどれだけの静電荷が容器に印加される可能性があるのかに関して自らの制限となる可能性がある。塗装作業中に容器上に塗料が蓄積することは、さらに塗装プロセスを制限する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示において提示される本発明のうちの1つの実施の形態によると、非導電性又は低導電性の容器の静電塗装装置は、塗装作業のために容器を支持する支持部材を備え、支持部材は、容器の表面部分と直接接触するか又は密に接触する電荷移動材料(電荷輸送材料)で作製される静電荷移動部分を含む。本明細書において言及する1つの種類の電荷移動材料は、低導電性又は半導電性の電荷移動材料である(本明細書では「半導電性材料」という省略した言及も用いるが、半導電性材料は、本明細書において用いられる場合、低導電性又は半導電性の電荷移動材料を指すことが理解される)。より詳細な例では、半導電性材料は、非金属材料、つまり、電荷移動材料中に金属を実質的に含まない材料とすることができる。一般的な意味で、本発明では電荷移動材料に関して「非金属」及び「半導電性」という用語を用いるが、この理由は、この電荷移動材料が、例えば、抵抗などの、電流の流れ又は放電に対するインピーダンスを有するが、電気エネルギー源と容器との間で所望の量の電荷移動が生じることも可能にするためである。
【0005】
一実施の形態では、支持部材の静電荷移動部分を用いて容器の外側面に静電荷を印加し、静電塗装作業中に容器の外側面に反対の極性の静電荷が蓄積することを相殺するか又は低減する。より詳細な実施の形態では、支持部材の静電荷移動部分は、電気エネルギー源に電気的に結合される電気抵抗材料を含む。電気エネルギーは、電荷移動材料を介して、静電塗装作業によって生成される静電荷とは反対の極性の静電荷を容器に印加する。例示的な実施の形態では、静電塗装作業は、例えば米国特許第6,056,215号(その全開示は参照によって本明細書に全て援用される)に示されるような、主に低静電容量の非金属構成要素で構成される回転式噴霧器を用いて行うことができる。相殺用の静電荷は、静電塗装作業の前、最中、後、又はそれらの任意の組み合わせで容器に印加することができる。より詳細な例示的な実施の形態では、電気的に半導電性の部分は、炭素又はグラファイトを充填したポリマー、例えば炭素充填TEFLON(商標)材料、又はグラファイト充填PEEK(商標)材料を含むことができる。さらなる実施の形態では、支持部材は、塗装作業中に軸を中心に回転可能である。
【0006】
電荷移動材料は、電流の流れ又は放電に対するインピーダンスを有することによって、相殺用の静電荷を容器に印加するために用いることができるだけではなく、電荷移動材料が電気エネルギー源に結合されている間の操作者又は他の接地電位への望ましくない容量放電も防止することになる。例示的な実施の形態では、電荷移動材料のインピーダンスは、望ましくない静電放電が生じることも制限又は防止しながらも、相殺用の電荷移動を容器に印加することを可能にする範囲で選択することができる。
【0007】
相殺用の静電荷を容器表面に提供することによって、容器は、概して、中性の又は低い残留電荷電位に保たれることができるため、塗装された後では、該容器がさらなる仕上げ段階又は加工段階へ進むときに放電を生じるほど十分な電荷又は電気エネルギーを容量的に保持しなくなる。任意の低い残留表面電荷が例えば大気などへ徐々に放出されるため、塗装された容器は接地電位へ放電することができない。この利点は、一部には、例えば低導電性又は半導電性の電荷移動材料を用いることによって支持部材が低静電容量デバイスにされるため、その残留電荷を保持する容量がなくなると共に大気へ徐々に放出させることができることに起因している。好ましくは、支持部材は、望ましくない静電荷の貯蔵容量を最小限に抑えるように金属部品をわずかしか含まないか又は全く含まない。
【0008】
本開示の発明の別の態様は、塗装作業のために容器に静電荷を印加する装置である。一実施の形態では、この装置は、容器の低静電容量支持体を含む。一実施の形態では、低静電容量支持部材は、容器の表面部分と直接接触するか又は密に接触する電荷移動材料で作製される静電荷移動部分を含む。この電荷移動部分を用いて静電荷を容器に印加し、静電塗装作業中の静電荷の蓄積を相殺するか又は低減する。本明細書において言及される1つの種類の電荷移動材料は、低導電性又は半導電性の電荷移動材料である。より詳細な例では、半導電性材料は、非金属の導電性材料、すなわち換言すると該材料中に金属を実質的に含まない材料とすることができるが、これは必須ではない。一般的な意味で、電荷移動材料に関して半導電性という用語を用いるが、この理由は、電荷移動材料が、例えば抵抗などの、電流の流れ又は放電に対するインピーダンスを有するが、電気エネルギー源と容器との間で所望の量の電荷移動が生じることも可能にするためである。半導電性部分は、操作者又は他の接地電位への静電放電も防止する働きをし、さらに、支持部材によって蓄えられる静電容量エネルギーを制限する。例示的な一実施の形態では、この部材の電気的に半導電性の部分は、電気エネルギー源に電気的に結合される低導電性、抵抗性又は半導電性の材料を含む。電気エネルギーは、塗装作業によって生成される静電荷とは反対の極性の静電荷を容器に印加する。静電荷は、静電塗装作業の前、最中、後、又はそれらの任意の組み合わせで容器に印加することができる。より詳細な例示的な実施の形態では、電気的に半導電性の部分は、炭素又はグラファイトを充填したポリマー材料を含むことができる。支持体は、該支持体が塗装作業中に回転することを可能にする任意選択的な機構を含むことができる。別の実施の形態では、電気エネルギーは、電気的に半導電性の部分と電気的に半導電性の電荷移動部材との間に接触を形成することによって該電気的に半導電性の部分に結合される。
【0009】
電荷移動材料に半導電性材料、及び任意選択的には非金属材料を使用することは、支持部材が、導電性要素又は地面に近接している場合に放電を生じる可能性があるほどの電気エネルギーを蓄えるか又は静電容量の電荷を蓄える材料を全く含む必要がないという点で低静電容量塗装システムを可能にする。電荷移動部材は同様に、相殺用の静電荷を非導電性ゾーン又は領域内で塗装される容器に印加することができるように低静電容量材料で作製されることができる。このように、支持部材及び電荷移動部材、並びに被加工物を回転させる任意選択的な回転機構は、システム内に蓄えられる可能性がある電気エネルギーを低減するように低静電容量とすることができる。また、任意選択的に上述の低静電容量静電スプレー塗装デバイス又は装置を用いることによって、塗装システムの全体的な静電容量をさらに低減することができる。これは、操作者をシステム内で静電ショックから遮蔽する必要がないという点で安全性を促す。
【0010】
本開示は、非導電性又は低導電性の容器の静電塗装作業中に静電荷が容量蓄積することを相殺又は低減する本発明の方法も提示する。この方法の一実施の形態では、相殺用の静電荷は、静電塗装作業の前、最中、後、又はそれらの任意の組み合わせで容器に印加される。静電荷は、容器の一部と、塗装作業のために容器を支持する電気的に低導電性又は半導電性の電荷移動材料との直接接触によって印加される。より詳細な実施の形態では、電気的に半導電性の電荷移動材料は、電気エネルギー源に電気的に結合される非金属、抵抗性又は低導電性の材料を含む。電荷移動材料は、容器の低静電容量支持体を提供することによって、支持されている容器からの望ましくない放電も防止する。より詳細な実施の形態では、この方法は、静電塗装作業のために、相殺用の静電荷を容器に印加することを含み、それによって、容器は、概して中性の又は低い残留電荷電位に保たれることができるため、塗装された後では、該容器がさらなる仕上げ段階又は加工段階へ進むときに放電を生成するほど十分な電荷又は電気エネルギーを容量的に保持しなくなる。任意の低い残留電荷が例えば大気などへ徐々に放出されるため、塗装された容器は放電することができない。
【0011】
上記方法の別の実施の形態では、塗装作業中に相殺用の静電荷を容器に印加するのに用いられる電気エネルギー源からの電流が監視され、電流レベルの変化に応じて電気エネルギー源の出力電圧が調整される。一実施の形態では、この調整は、容器の表面において逆電離を生じさせかねないあまりに多くの相殺用の電荷が容器に印加されることを防止するために用いることができる。
【0012】
本開示は、直立の向き、逆さの向き又はその両方で容器を支持することができる支持部材の種々の実施の形態も提示する。
【0013】
本明細書において開示される本発明のこれら及び他の態様並びに利点は、添付の図面に照らして例示的な実施形態の以下の詳細な説明から当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】静電式の容器塗装システムの実施形態の簡潔な概略的な形の平面図である。
【図2】図1の円で囲まれた部分のより詳細な立面図である。
【図3】図2の図の端面図である。
【図4】図1において用いられるような被加工物支持部材の立面図である。
【図5】図4の支持部材の部分的な長手方向断面図である。
【図6】被加工物の直立の向き又は逆さの向きに用いることができる支持部材の一実施形態の、わずかに斜視方向の立面図である。
【図7】図6の支持部材の分解図である。
【図8】図6の支持部材の長手方向断面図である。
【図9】図8の円で囲まれた領域Aの拡大図である。
【図10】図8の円で囲まれた領域Bの拡大図である。
【図11】図6のコレットの実施形態を圧縮位置で示す図である。
【図12】図6のコレットの実施形態を拡張位置で示す図である。
【図13】被加工物の直立の向き又は逆さの向きに用いることができる支持部材の別の実施形態の、わずかに斜視方向の立面図である。
【図14】図13の支持部材の分解図である。
【図15】図13の支持部材の長手方向断面図である。
【図16】図15の円で囲まれた領域Aの拡大図である。
【図17】図13のコレットの実施形態を圧縮位置で示す図である。
【図18】図13のコレットの実施形態を拡張位置で示す図である。
【図19】被加工物が直立の向きの場合に支持部材を用いるための構造を有する静電スプレーブースの簡略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書ではガラス容器の液体塗装に特に言及しながら種々の実施形態を説明するが、本発明はそれらの特定の用途に限定されない。本発明は、液体塗料及び粉体塗料等を含む、低導電性容器の静電塗装に用いられるあらゆる種類の塗料に用途が見出される。さらに、本発明は、非導電性又は低導電性の被加工物のいかなる特定の種類、寸法、形状又は材料にも限定されない。本発明は、ガラス瓶及び他のガラス容器、プラスチック瓶及び他のプラスチック容器等を含むがこれらに限定されない多くの被加工物に用途が見出される。1つの種類の塗料の例はUV塗料であるが、本発明はいかなる特定の塗料にも限定されない。
【0016】
例示的な実施形態における組み合わせで具現されるものとして、本発明の種々の発明的態様、概念及び特徴が本明細書において説明及び図示され得るが、これらの種々の態様、概念及び特徴は、多くの代替的な実施形態において使用されることができ、個々に使用されることもでき、又はその種々の組み合わせ及び部分的な組み合わせで使用されることもできる。本明細書において明白に除外されない限り、このような全ての組み合わせ及び部分的な組み合わせは本発明の範囲内にあることが意図される。さらになお、代替的な材料、構造、構成、方法、回路、装置、及び構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、制御論理、形成、適合及び機能に関する代替形態等のような、本発明の種々の態様、概念及び特徴に関する種々の代替的な実施形態を本明細書に記載することができるが、このような記載は、現時点で既知であるか又は後に開発されるかにかかわらず、利用可能な代替的な実施形態の完全又は網羅的なリストであることは意図されない。当業者は、そのような実施形態が本明細書において別段に開示されていない場合であっても、本発明の範囲内の付加的な実施形態及び使用に、本発明の態様、概念又は特徴のうち1つ又は複数を容易に採用することができる。さらに、本発明のいくつかの特徴、概念又は態様を好ましい構成又は方法であるものとして本明細書中に記載することができるとしても、そのような記載は、そのように明記されていない限り、このような特徴が要求されるか又は必要であることを示唆することは意図されない。さらになお、例示的若しくは代表的な値及び範囲が、本開示を理解する際に役立つように挙げられ得るが、このような値及び範囲は限定的な意味に解釈されるべきではなく、そのように明記される場合にのみ、重要な値又は範囲であることが意図される。さらに、種々の態様、特徴及び概念は、本明細書中に発明的であるとして又は本発明の一部であるとして明記されることができ、このような明記は、排他的であることを意図せず、むしろ、そのような発明として又は特定の発明の一部として明記されることなく、本明細書中に十分に記載されている本発明の態様、概念及び特徴とすることができ、その代わりに、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載される。例示的な方法又はプロセスの記載は、全ての場合において要求されるものとして全ての工程を含むことに限定されず、また、それらの工程が提示される順序は、そのように明記されない限り、要求されるものとして又は必要であるものとして解釈されるべきではない。
【0017】
図1を参照すると、1つ又は複数の本発明の第1の実施形態が提示されている。塗装システム10は、低導電性の瓶B等の容器型の被加工物を移動させて1つ又は複数の塗布デバイス14を通過させるコンベヤー12又は他の好適な位置決め装置を含むことができる。塗布デバイス14は、コンベヤー12の一方の側に配置することができ、回収システム16は、コンベヤー12の、塗布デバイス14と反対の側に配置することができる。回収システム16は、当業者に既知であるような多くの異なる形状及び機能を有することができる。例えば、液体塗料の場合、回収システム16は、被加工物にスプレーされるが被加工物に付着しない液体材料が回収されるように、水壁18及びトラフ(細長い箱型の容器)20の構成を含むことができる。粉体塗料の場合、カートリッジシステム及びスプレーブース等の粉体回収システムが当該技術分野において既知である。使用される特定の塗布デバイス14は、被加工物に塗布される塗料の種類を含む多くの要因に応じて決まる。ガラス瓶の典型的な液体塗料の塗布の場合、塗布デバイス14は、オハイオ州ウェストレイクのノードソンコーポレーションから入手可能な低静電容量のRA20回転式噴霧器等の静電スプレーデバイスとすることができる。このデバイスは、低静電容量の非金属構成要素、例えば回転カップを主に用いることができるタイプのスプレーデバイスの一例である。システム10のいくつかの設計では、コンベヤー12は、被加工物Bを搬送して塗布デバイス14を通過させた後で、この被加工物をさらなる加工ステーション22まで搬送する。例えば、コンベヤーは、被加工物を、被加工物に付着する塗料を乾燥又は硬化させる炉22まで搬送することができる。
【0018】
図1に概略的に示されるように、典型的な塗料塗布デバイス14は、塗布デバイス14を塗料の供給源26に接続する供給ホース24を含むことができる。電気ケーブル28を、塗布デバイス14を高電圧電源30等の電気エネルギー源に接続するために用いることができる。電源30は、当該技術分野において既知であるような従来の設計とすることができる。電源30は、高い直流電圧を塗布デバイス14に供給することができるか、又は塗布デバイス14のハウジング内に収納されているものとすることができる。後者の場合、通常は低い電圧が好適な低電圧供給源から塗布デバイス14内の電圧倍増器に入力される。
【0019】
図2及び図3は、図1の破線で囲まれた構造をより詳細に示す。コンベヤー12は、容器Bを、図2の矢印Dによって示されるような方向の経路Dに沿って被加工物装填器構成45(図1)から移動させる。被加工物装填器45は手動又は自動とすることができる。この例では、コンベヤー12は、容器を搬送して塗布デバイス14を通過させ、塗布デバイスが容器に塗料をスプレーするか又は別様に塗装するようにする。各容器Bはこの実施形態では、支持部材32上に逆さの向きで支持される瓶とすることができる。代替的には、以下でさらに説明するように、瓶を直立の向きで懸吊させた状態で支持する支持部材も設けることができる。必要に応じて他の支持構成及び向きを用いることができるが、この場合、支持構造は、以下で説明するように静電塗装作業の一部として相殺用の静電荷を被加工物へ印加する低静電容量構造を提供するために用いられる。
【0020】
支持部材32は、コンベヤー12により、コンベヤー取付構成の任意の簡便な構造又は方法によって取り付けられて担持される。コンベヤーシステムは非常に様々であり、当該技術分野において既知である。各支持部材32は、コンベヤー12に取り付けられる支持柱又はスピンドル36(図2に仮想線で示す)上で摺動する中空の本体すなわち管34を含むことができる。したがって、この例では、スピンドル36は、コンベヤー取付構成の構造として働く。各支持部材32に対して1つ又は複数のスピンドルがあってもよく、又はコンベヤー上で部材32を支持するために何らかの他の技法も用いることができる。本体34とスピンドル36との間の嵌め合いは、好ましくはスピンドルの軸線Xを中心に部材32を回転させることができるほど緩い。好ましくは、本体は非導電性の非金属材料で作製される。
【0021】
本体34は、任意選択的に、各支持部材32を回転させる機構38を含むことができ、それによって各支持部材32により被加工物Bが支持される。回転機構38は、例えば、静止チェーン40と協働するギア状の部品の形態で実現することができる。コンベヤー12が支持部材32を移動させて並列位置でチェーン40を通過させるときに、ギア38が静止チェーン40と噛み合うことによって部材32が軸線Xを中心に回転する。支持部材32、したがって被加工物Bの回転速度は、コンベヤー12の速度及びギア/チェーンの接触部分に応じて変わる。代替的な実施形態では、チェーン40は、それ自体が同じ方向D又はDとは反対の方向に沿って移動可能であり、コンベヤー12の速度を変更する必要なく変更可能な速度で被加工物を回転させることができる。被加工物Bが塗布デバイス14を通過するときに支持部材32及び被加工物に回転を加えるために、ギア及びチェーン以外の機構を用いることができる。例えば、磁気継手を用いてもよいし、又はコンベヤー12がスピンドル36及び/又は支持部材32を回転させる機構を含んでもよい。別の代替形態として、ギアによる接触部分の代わりに、単純な摩擦車を本体34に担持させて、該摩擦車を摩擦ロッド又はパッドと係合させ、回転運動を加えることができる。
【0022】
図2及び図3にさらに示されるように、システムの構成要素上に集まる液体材料の過剰なスプレーの量を低減するために、任意選択的な遮蔽体Sを塗布デバイス14とコンベヤー構成との間に位置決めすることができる。例えば、遮蔽体Sは、細長い穴すなわち開口S1を含むプラスチック等の非金属又は非導電性の材料シートを含むことができ、塗布デバイス14は細長い穴すなわち開口S1を通して被加工物Bにスプレーすることができる。遮蔽体Sの下側部分は、塗料の多くがコンベヤー12の構成要素、並びに電荷移動部材44及び支持部材32に方向付けられることを防止する。
【0023】
支持部材32は、電気的に2つの有用な特性を有する電荷移動材料からなる第1の電荷移動部分すなわち第1の電荷移動要素42をさらに含む。第1に、電荷移動材料は、十分に導電性であるため、以下でさらに説明するように塗装作業中に静電荷を容器Bに印加することができる。第2に、電荷移動材料は、電流の流れに抵抗するのに十分であると共に、電荷移動材料が接地電位又は反対の極性の電位に晒される場合に望ましくない静電放電を防止する抵抗などの、電流の流れに対するインピーダンスを有する。本明細書における例示的な実施形態では、電荷移動材料は装置の種々の部分に関して同じである(これは必須ではない)が、必要であれば装置の異なる部分に関して異なる材料を用いることができる。
【0024】
本明細書における実施形態では、電荷移動材料は、本質的に電気的に抵抗性又は半導電性である低導電性材料を含む。概して、本発明では電荷移動材料に関して半導電性という用語を用いるが、この理由は、電荷移動材料が、例えば抵抗などの、電流の流れ又は放電に対するインピーダンスを有するが、電気エネルギー源と容器との間で所望の量の電荷移動が生じることも可能にするほど十分に導電性であるためである。本明細書において開示される実施形態では、半導電性材料は非金属の導電性材料からなるが、これは全ての用途において必要というわけではない。したがって、非金属の導電性材料は、本明細書における発明と共に用いることができる半導電性材料の好ましい例である。「導体」という用語は、本明細書において用いられる場合、当該技術分野において良好な導電体として認識されている、例えば銅ワイヤーのような材料を指す。例えば銅で作製されるような導体は、通常はおよそ10−8オーム・メートルの抵抗率を有する。「半導電性」という用語は、本明細書において用いられる場合、半導体として一般的に既知である材料の種類を指すわけではないが、半導体材料は、本明細書において一種の半導電性材料として必ずしも除外されない。
【0025】
電荷移動材料に非金属又は半導電性の材料を用いることの利点は、支持部材32を、望ましくない放電を生じるほど十分な電気エネルギー又は静電荷を蓄えることができない低静電容量デバイスであるように、主に非金属部品で作製することができることである。代替的に何らかの金属を支持部材32において用いることもできるが、用いられる金属の量は、操作者又は接地電位に対する望ましくない放電という危険性を呈するほど十分な静電容量の電荷を支持部材32が蓄えるには不十分であることが意図され、また、そうであることが好ましい。非金属又は半導電性の電荷移動材料の使用は、電荷移動材料が電気エネルギー源に接続されているときに望ましくない放電を防止するために電流の流れに抵抗するようにも機能する。
【0026】
この実施形態では、第1の電荷移動部分42は、本体34の外側にぴったり嵌まった状態で摺動する電荷移動リングの形態で実現することができる。本体34は、好ましくは、例えばプラスチック等の非金属の、非導電性材料から作製される。リング42は、フレーム43上に支持されている細長い材料棒体の形態で実現することができる電荷移動部材44と接触するように本体34に配置される。電荷移動部材44は、リング42と同じ材料から作製することができるがこれは必須ではない。この実施形態では、電荷移動部材44は非金属材料からなる。電荷移動部材44は、導体(例えばワイヤー47等、図1を参照のこと)によって第2の電気エネルギー源46に電気的に結合されている。第2の電気エネルギー源46は、第1の電源30とよく似た従来の電源として実現することができる。
【0027】
電荷移動部材44は、任意の好適な手段、例えばフレーム43によって支持することができる。支持部材リング42と電荷移動部材44との間の接触を維持するために、コンベヤー12が容器Bを移動させて電荷移動部材44を通過させるときに、リング42が、実際に支持部材32の軸線を(容器及び支持部材32の図2の垂直軸線Xに対して)わずかにずらすことができる干渉量で電荷移動部材44と接触するように、電荷移動部材44及びフレーム43を横方向に位置決めすることができる。換言すると、支持部材32が電荷移動部材44と接触している間に、支持部材32及び容器Bはわずかに傾けられて軸線をずらされることによって、実際には容器の重量によってリング42が電荷移動部材44に当接したまま保持される。容器が電荷移動部材を通過した後で容器が前後に揺動することを防止するために、フレーム43及び電荷移動部材には、導入半径及び導出半径すなわちテーパー43a及び43bを設けることができる。導入テーパー43aは、容器及び支持部材32が徐々に動いて軸線がずれた向きをとることを可能にし、導出テーパー43bは、容器及び支持部材32が垂直な向きに徐々に戻ることを可能にするため、容器は揺動又は振動しない。わずかに軸線がずれた位置は任意選択的に、容器をスプレーデバイス14の正面で露呈角度まで傾けて、塗装の均一性を改善するのにも有用である。以下で説明するように、容器がオーバーヘッドコンベヤーから吊設されることによって直立位置に支持される実施形態の場合は、電荷移動リングと電荷移動部材との間の接触を維持するために、この接触を維持するのに容器の重量が用いられる場合と同様の技法を用いることができる。代替的には、容器がいずれかの向きで支持される場合、電荷移動部材44及びフレーム43又は支持部材32は、電荷移動部材44を電荷移動リング42と接触させた状態で維持する偏りを有することができる。
【0028】
電荷移動部材44は、該部材44から隣接する接地物体へのアーク放電、又は棒体44に近接しているか若しくは接触している操作者への電気ショックの放出を防止するために、十分な抵抗性又は低導電性の材料で作製することができる。電荷移動部材44は、また、電荷移動リング42及び容器への電荷移動を可能にするのに十分な導電率を有する。したがって、電荷移動部材44は、電荷移動リング42に用いられる電荷移動材料と同じ電荷移動材料からなっていてもよい。
【0029】
支持部材リング42及び電荷移動部材44の電荷移動材料としての使用に好適な材料は、TEFLON(商標)等の炭素充填ポリマーである。本発明者らは、例えば炭素の充填率が約25%であるTEFLON(商標)タイプの材料、又は他の好適なポリマー、プラスチック若しくは複合材料が好適な高い抵抗率を有するが、容器への静電荷の移動を可能にする十分な導電率も有することを見出した。高温動作に関しては、本発明者らは、別の例としてグラファイト充填PEEK(商標)材料を用いることができることを見出した。これらの例示的な材料は好ましくは非金属であるが、全ての用途において必須というわけではない。本発明者らは、電荷移動材料の好適な表面抵抗率を、約15マイクロアンペアの電荷移動電流の場合に約95kVを供給する例示的な電源46に関して約1000オーム/スクエアとすることができることを見出した。しかし、用いられる実際の表面抵抗率は、電源の種類、電圧レベル、電流及び電荷移動レベル、容器の種類及び寸法、並びに容器の材料等に基づいて選択して、電流放電特性を制御すると共に容器への十分な相殺用の電荷移動を可能にすることができる。金属導体は通常、およそ10−5オーム/スクエアの表面抵抗率を有するが、開示の実施形態に用いられる電荷移動材料は、約95kVの電圧源及び約15マイクロアンペアの電荷移動電流の場合に、約10−3オーム/スクエア〜約106オーム/スクエアの範囲、より好ましくは約10−1オーム/スクエア〜約103オーム/スクエアの範囲の表面抵抗率を有することができる。これらの数字は本質的に例示であり、特定の用途の必要性に応じて選択することができる。
【0030】
支持部材32及び電荷移動部材44の低導電性の、及び任意選択的には非金属の導電性材料は、支持部材32及び電荷移動部材44が蓄える可能性がある電気エネルギー又は静電容量の電荷の量を低減するために、支持部材32及び電荷移動部材44を低静電容量デバイスとすることも可能にする。これは、容器及び支持部材32が瓶塗装設備内を搬送されるときに、地面への望ましくない放電又は支持部材から操作者へのショックを防止する。いくつかの代替的な実施形態では、支持部材32はいくらかの金属又は導体を含有することができるが、この金属又は導体の量は、支持部材が電気エネルギー又は静電容量の電荷を蓄えるには不十分であること、及びさらに、電流の放電を防止するために半導電性又は非金属の材料が支持部材32に含まれることが意図される。電荷移動部材44は、操作者へのショック又は接地電位への放電を防止するために金属を含有しないことが好ましい。
【0031】
図4及び図5は、支持部材32をより詳細に示す。本体34は、ギア部材38が任意の簡便な手段によって取り付けられているか又はギア部材38と一体である概ね筒状の構造とすることができる。電荷移動リング42は、外側円筒面34a(図5)にぴったりと滑り嵌めすることができる。本体34の上端48は開放しており、任意選択的な概ね円筒形の被加工物ホルダー50を入れ子式に受け入れる。被加工物ホルダー50は代替的には本体34と一体形成することもできるが、別個の部材とすることによって、被加工物を取り替えるたびに本体34を取り替える必要なく、異なる寸法の被加工物を単一の設計の本体34と共に用いることができる。したがって、被加工物ホルダー50は、別個の要素として具現される場合、異なる寸法の容器間の切替を簡単にするアダプターとしても機能する。
【0032】
被加工物ホルダー50は、本体34にぴったりと嵌まることができるか又はより緩く嵌まることができる。後者の場合、例えば、本体34には、図示のように本体34を貫通する例えば単純な非金属のピン又はロッドのような留め具機構52を設けることができる。被加工物ホルダー50は、留め具機構52に滑って重なるその下端にノッチ54を含むことができるため、適切な高さに支持される。
【0033】
被加工物ホルダー50の上側の開放端50aには、第2の電荷移動部分すなわち電荷移動要素56がある。第2の電荷移動部分56は、好ましくは第1の電荷移動部分すなわちリング42と同じ電荷移動材料で作製され、関連する被加工物をその上に解放可能に取り付けることができるような適当な寸法及び形状である。例えば、図示のように、従来のガラスの飲料瓶の形状の被加工物の場合、第2の電荷移動部分56は、ストッパーによく似た、容器の口に挿入されるテーパー状又は切頭円錐の形状を有することができる。部材56の選択される形状及び寸法は、その上に取り付けられる関連する被加工物に応じて変わる。
【0034】
第2の電荷移動部分56は、被加工物を、この場合は瓶の開口すなわち口の内面と確実に直接接触するように支持する(図2を参照のこと)。極めて密な接触は、第2の電荷移動部分56と容器との間の良好な電気的導通を確保し、これは、塗装作業中に相殺用の表面静電荷を容器に印加することを可能にする。
【0035】
第2の電荷移動部分56は、電荷移動リング42及び電荷移動棒体44(図2)と同じ抵抗性又は低導電性の材料から作製することができるがこれは必須ではない。代替的には、第1の電気的に半導電性の部材42及び第2の電気的に半導電性の部材56は、必要に応じて電荷移動材料の単一のすなわちひと続きの部品で形成してもよいし、又は複数の部品で作製してもよい。電荷移動材料の抵抗率は、静電荷を被加工物に印加することができるが、その一方でスパーク又はショックを防止するために放電電流を制限するように選択することができる。本明細書における図4及び図5の実施形態では、ワイヤー58又は他の好適な導体を本体34及び被加工物ホルダー50の内部に配置することができる。ワイヤーは絶縁することができ、その端部は銅ワイヤーを露出させるために除去されている。ワイヤー58の一端60は、本体34の壁の孔62に通すことができる。リング42が定位置まで滑って孔62を覆うと、ワイヤー58とリング42との間で良好な電気接触がなされる。ワイヤー58の反対端64は、内側壁面66と第2の電荷移動部分56の外側壁面68との間に捕捉することができる。このように、第2の電荷移動部分56は、第1の電荷移動部分すなわちリング42に電気的に結合される。好ましくは、支持部材32に関連する任意の金属構成要素、例えばワイヤー58を本体34内に配置して、接地電位への放電を防止する。
【0036】
図2を再び参照すると、作業時に、第2の電気エネルギー源すなわち電源46は、電荷移動棒体44に電圧を印加する。部材32が電荷移動棒体44を通り過ぎるときに、第1の電荷移動部分すなわちリング42は、電荷移動部材44の表面にわたって回転するように該電荷移動部材44と接触し、第2の電気エネルギー源46から、被加工物と接触している第2の電荷移動部分56へ電気的導通を提供する。被加工物Bが第2の電荷移動部分56と密に接触した状態で、第2の電気エネルギー源46から印加された高電圧は、静電荷を被加工物Bへ移動する。この電荷は、塗装作業中に塗布デバイス14の動作によって形成される静電荷とは反対の極性であるように選択される。例えば、静電スプレーガンは、多くの場合、負の電圧供給源を用い、この場合、第2の電気エネルギー源46は、被加工物Bの外側面に正の静電荷を生成するように選択することができる。被加工物の表面への相殺用の電荷の量を適切に制御することによって、被加工物への正味の表面電荷をほとんど中性若しくは中性に維持することができ、又は、塗装作業に起因して静電荷が蓄積するという悪影響につながりかねないことを回避するほど十分に低く維持することができる。容器をほとんど中性の正味表面電荷とすることによって、容器は、支持部材32が電荷移動部材44と接触しなくなった後で放電又はショックを引き起こすほどの静電容量の電荷又は電気エネルギーを蓄えなくなる。実際には、相殺用の電荷は、塗装作業中の正味の表面電荷の蓄積を防止することによって、被加工物の正味の外表面電荷を低減するように機能する。
【0037】
支持部材32がもはや電荷移動部材44と接触しなくなった後でも容器にはいくらかの残留電荷が残っている可能性があるが、この正味の残留電荷は、放電又はショックを可能にしないほど低く、支持部材32が低静電容量であるために迅速に大気へ放出される。正味の残留電荷を最小限に抑えるには、リング42を最初に電荷移動部材44と接触させてから容器を静電的にスプレーデバイス14の方に向けすなわち対面させ、容器がスプレーデバイスを通り過ぎた後でも接触させたままにすることができる。最大静電荷は、容器が塗装されているときに生じ、この理由は、塗装によって容器がスプレーデバイス14からの最も高い静電荷に晒されるためである。
【0038】
加えて、抵抗性の電荷移動材料の使用は、支持部材32又は電荷移動部材44が接地電位に近づくか又はこれと接触する場合に生じかねない電流を制限することによって、支持部材32又は電荷移動部材44からの望ましくない放電又はショックを防止するように作用する。
【0039】
図2に示されるように、被加工物が塗装作業を受ける前に、換言すると被加工物が塗布デバイス14からの電荷に著しく晒される前に、リング42が電荷移動部材44と接触することができるように、電荷移動部材44には、任意選択的に、十分な長さYを設けることができる。これは、実際に、被加工物Bに、塗装作業の電荷効果とは反対の極性の電荷を予め帯電させ、部品が塗装されている間の電荷の蓄積からのいかなる効果もさらに低減する。被加工物が塗布デバイス14を通り過ぎた後も、電荷移動棒体44は、任意選択的に、支持部材32と接触したままにすることもできる。必須ではないが好ましくは、第2の電気エネルギー源46を、塗装作業全体の間ずっと、及びリング42が電荷移動部材44と接触している全時間の間ずっと、オンにすることで、相殺用の静電荷を容器に印加し続けて塗装作業による電荷を相殺し、容器をほとんど中性又は中性の正味電荷に維持する。したがって、本明細書における例示的な構成は、静電塗装作業の前、最中、後、又はそれらの任意の組み合わせで、被加工物を帯電させて塗装作業による電荷を相殺することを可能にする。
【0040】
当業者には、塗布デバイス14からの電流を監視及び制御して、例えば、アーク放電を防止することができることが既知である。本開示の発明の別の態様によると、第2の電気エネルギー源46からの電流は、被加工物に印加される相殺用の静電荷の量に関連するため、従来の電流検出すなわち自動フィードバック電流(AFC)回路70によって監視することができる。したがって、第2の電気エネルギー源46からの電流は、スプレーデバイス14によって容器に印加される静電荷の量に依存する。電流レベルは、検出された電流に応答する電圧調整回路72を用いて第2の電気エネルギー源46の出力電圧を調整することによって調整することができる。このように、被加工物は、塗装作業中に中性の電荷近くに維持することができる。例示的な実施形態では、電流は、約95kVの電圧源である場合には、約10マイクロアンペア〜約15マイクロアンペアとすることができ、電荷移動材料の抵抗率は約1000オーム/スクエアとなる。例えば、容器がスプレーデバイス14を通り過ぎるときに、スプレーデバイス14に起因する表面電荷は、塗装プロセスに起因してかなり増大する。スプレーデバイスから生成される電荷は、塗装作業中に生成される静電荷の量にも関連する。この電荷は、コンベヤーに沿って進む容器の数及び密集度、並びにスプレーデバイスからの電圧及び電流に応じて変わる。第2の電気エネルギー源46から取り出される電流は、スプレーデバイスが生成する電荷の量に応じて変わる。容器がスプレーデバイスの近くから離れると、スプレーデバイス14に起因する表面電荷は減少する。したがって、容器をほとんど中性に維持するためにそれほど多くの相殺用の電荷は必要ではない。したがって、第2の電気エネルギー源46からの出力電圧は、相殺用の電荷レベルを下げるように低下させることができる。これは、容器の表面のあまりに多くの不平衡な相殺用の電荷によって逆電離が生じて塗装に悪影響を与える可能性があるいくつかの用途では重要であり得る。一例では、第2の電気エネルギー源46からの電圧は、例えば約1000オーム/スクエアの抵抗率を有する電荷移動材料の場合は、約95kVから約45kVへ低減することができる。
【0041】
低導電性被加工物を静電塗装する例示的な方法では、必須ではないが好ましくは塗装作業の開始前に相殺用の静電荷を被加工物に印加する。相殺用の電荷は、静電塗装作業の前、最中、後、又はそれらの任意の組み合わせで印加することができる。この電荷は、塗布デバイス14によって生成される電荷の極性とは反対の極性の静電荷を印加する電気エネルギー源に電気的に結合される部分である、被加工物の支持部材の電荷移動部分すなわち材料との直接的な密な電気接触によって印加される。電荷移動部分すなわち材料は、2つの有用な特性を有する。第1に、電荷移動材料は、相殺用の静電荷を塗装作業の対象の容器Bに印加することができるように十分に導電性である。第2に、電荷移動材料は、接地電位又は反対の極性の電位に晒される場合に電流の流れに抵抗すると共に望ましくない静電放電を防止するのに十分な抵抗などの、電流の流れに対するインピーダンスを有する。電荷移動材料は、抵抗性又は半導電性の材料、好ましくは非金属とすることができる。本方法は、電気エネルギー源からの電流を監視すること、及び電気エネルギー源の出力電圧を調整して被加工物に印加される相殺用の電荷の量及びタイミングを制御することを、任意選択的に含むことができる。必須ではないが好ましくは、相殺用の電荷は、塗装作業のために、そしてまた、特に、電気エネルギー源が電荷移動部分から分離されるときに、被加工物を電気的にほとんど中性又は中性に保つために印加される。
【0042】
したがって、上記説明から、電荷移動材料を用いて、本明細書における装置及び方法にとって重要な1つ又は複数の機能を提供することができる。まず、電荷移動材料は、該材料が電気エネルギー源に結合されているときに、相殺用の電荷を容器に印加することを可能にする。また、電荷移動材料は、第2の電気エネルギー源46に接続されているときであっても、その材料の抵抗によって、電流を制限して放電又はショックを防止する。またさらに、電荷移動材料を用いて、容器の低静電容量支持部材を提供することができ、これによって、支持部材32が電荷移動部材44と接触しなくなった後で残留電荷を大気へ放出することが可能となる。
【0043】
図6〜図8を参照すると、例えば、瓶等の被加工物を直立の向きで支持するために用いることができる別の実施形態の支持部材80を示す。また、例えば、支持部材80を回転させることができる機構(図19を参照のこと)によって支持部材80が位置決めされる場合に、支持部材80は、被加工物を逆さの向き又は両方の向きで支持するために用いることもできる。
【0044】
被加工物を直立位置で支持するには、支持部材80には、被加工物を把持すなわち保持するデバイスを設けることができ、この例の把持部すなわちホルダーは拡張可能なコレット82の形態で実現される。図6に示されるような第1の、すなわち圧縮位置では、コレット82は、図11に示されるようなその自然な弛緩位置にあることができる。そのような位置では、コレット82は、被加工物を把持すなわち保持しない。図12に示されるような第2の、すなわち拡張位置では、コレットは、被加工物(図示せず)の内部と接触するように半径方向に(支持部材80の長手方向軸線に対して半径方向に)拡張することができる。例えば、瓶の場合、コレット82は、瓶の内側首領域と係合することができる。被加工物は、瓶の内部としっかりと係合するようにコレット82が十分に拡張することによって支持されることができる。
【0045】
支持部材80は、電圧ピックアップリング86を支持する外筒84を含むことができる。ピックアップリング86は、上記実施形態のリング42と同様の設計とすることができるが必ずしも同様の設計である必要はなく、したがって、抵抗性又は半導電性の好ましくは非金属の電荷移動材料、例えば、グラファイト充填PEEK(商標)で構成される。アクチュエーターロッド88が外筒を貫通し、その遠位端部88bが拡張器90に接続されている(図9も参照のこと)。拡張器90は、概ね球すなわちボールの形状とすることができるが、必ずしもその必要はない。拡張器90は、例えば、圧入又は螺合によってアクチュエーターロッドに取着することができる。拡張器90も電荷移動材料を含む。アクチュエーターロッドの自由端88aは、アクチュエーターロッド88を長手方向軸線Xに沿って直線運動させる駆動機構Dに接続又は連結することができる。この駆動機構Dは、任意選択的に、被加工物が静電塗装作業中に回転することができるようにアクチュエーターロッドを軸線Xを中心に回転運動させることができる。駆動機構Dは、アクチュエーターロッド88を、第1の位置すなわち拡張位置と第2の位置又は後退位置との間で軸線方向運動させる。
【0046】
カラー92が外筒84の第1の端84aに接合されており、該カラー92はコレット82を保持するのに用いられる。この実施形態では(図9も参照すると)、カラー92は、内側肩部94を含み、内側肩部94に対して外筒84の第1の端が着座する。カラー92は、例えば、圧入によって外筒を受け入れてもよい。カラー92は、また、例えば、圧入によってコレット82の剛性の首端部82aを受け入れてもよい。
【0047】
図7及び図9に最もよく示されているように、コレット82は、好ましくは、電荷移動材料で作製される幾分中空の単一片の部材とすることができ、複数の可撓性断片96を有する。したがって、コレット82が被加工物を支持しており、したがって被加工物と極めて密に接触しているときに、コレット82は、静電荷を被加工物へ移動させるために使用されてもよい。可撓性断片96は、コレット82の壁100にある一連のスリット98によって提供することができる。可撓性は、可撓性断片96の撓み領域104付近に拡張部102を設けることによっても高めることができる。
【0048】
可撓性断片96のそれぞれには、内向きにテーパー状の表面106(図9)も設けることができる。これらのテーパー状の表面106は、拡張器90をコレット82の内側へ少なくとも部分的に引くように、アクチュエーターロッド88が軸線方向に後退した位置へ移動したときに拡張器90の外面と係合する。拡張器90がコレット82に引き入れられてテーパー状の表面106と当接すると、可撓性断片96が外方へ反ることによってコレット82が被加工物の内面を把持することが容易になる。これは、図12に示されている状態である。被加工物によっては内側テーパー及び円筒形以外の形状を有する場合があるため、可撓性断片96が外方へ反ることを用いて、コレット82が被加工物を把持することができることを容易にすることができる逆テーパー角度θ(本明細書では長手方向軸線Xに対して言及している)をもたらすことができる。アクチュエーターロッド88がその軸線方向に伸張した位置にあるとき、拡張器90は、単にテーパー状の表面106と接触してもよいし、又はテーパー状の表面と接触しなくなるまで軸線方向にさらに移動させてもよいが、いずれの場合も、被加工物がもはやコレット82によって保持されないことを可能にするほど十分にコレット82を圧縮することを可能にする。
【0049】
図10も参照すると、ピックアップリング86は、好ましくは外筒84上でぴったりと保持されている。電荷移動カラー108が、ピックアップリング86と概ね軸線方向に位置合わせされてアクチュエーターロッド上に設けられている。電荷移動カラー108も電荷移動材料からなる。一連のばね押し接点110が、電荷移動カラー108の外面とピックアップリング86の内面との間に配置されている。例えば、各接点110は、ピックアップリング86の内側に形成されている溝112に捕捉される外側端部と、電荷移動カラー108の外面と接触する内側端部すなわち反対端部とを有することができる。接点110は、外筒84に形成されているそれぞれの孔114を貫通することができる。接点は、金属等の導体であってもよいし、又は半導電性材料であってもよい。好ましくは、接点110は、ばね押し式に又は他の方法で付勢されて電荷移動カラー108と接触することで、アクチュエーターロッド88及び電荷移動カラー108の移動中であっても電荷移動カラー108との接触を維持する。電荷移動カラーの軸線方向寸法及び位置は、好ましくは、アクチュエーターロッド88がその軸線方向に後退した位置(コレット82の拡張状態に対応する)に移動するときに、接点110が電荷移動カラー108との電気的導通を維持することが確実となるように選択することができる。さらに、アクチュエーターロッド88が軸線方向に伸張して可撓性断片100を引き離す位置から拡張器90を移動させる(したがってコレット82の圧縮状態に対応する)と、好ましくは、接点110はもはや電荷移動カラー108との電気的導通を有しなくなる。それによって、この後者の状態により、コレットが被加工物を保持していないときに拡張器90及びコレット82からいかなる電圧も絶縁される。
【0050】
図9及び図10に最もよく示されるように、アクチュエーターロッド88が後退位置にあるときに、電荷移動スリーブ116を用いて電荷移動カラー108と拡張器90とを電気的に結合してもよい。電荷移動スリーブ116は、アクチュエーターロッド88に沿って軸線方向に遠位端部116aまで延在するため、アクチュエーターロッド88が後退位置にある場合には、電荷移動スリーブ116は拡張器90と接触する。この位置では、拡張器90は、また、可撓性断片100と密に接触しているため、電気エネルギー、とりわけ静電荷を、塗装作業のために被加工物へ移動させることができる。アクチュエーターロッド88が伸張した軸線方向位置にある場合、電荷移動スリーブ116が拡張器90と接触しなくなることで、電気エネルギーが拡張器90及びコレット82から隔離される。また、電気エネルギーが拡張器90及びコレット82へ供給されるようにアクチュエーターロッド88が後退位置にある場合、電荷移動スリーブ116は外筒84の内部に全体的に配置されて電荷及び電流を周囲環境から隔離するのを助けることに留意されたい。好ましくは、外筒は、プラスチックなどの非導電性材料で作製されてこの隔離を促すことができる。
【0051】
上記実施形態におけるように、ピックアップリング86は電荷移動部材と接触して電力源から電気エネルギーを受け取る。したがって、電気エネルギー、とりわけ静電荷は、支持部材80を通じて及びコレット82と被加工物との間の密な接触を通じて被加工物へ移動される。
【0052】
代替的な実施形態では、アクチュエーターロッド88は2つの部分から作製することができ、下側部分は電荷移動材料からなり、上側部分は電気的に非導電性である。この場合、電荷移動カラー108はアクチュエーターロッドと直接接触することができるため、電荷移動スリーブの使用を排除する。
【0053】
さらに、異なる寸法の容器のために異なる寸法のカラーが必要である場合、取り替え又は寸法変更のために、単に拡張器90をアクチュエーターロッド88から取り外すことによってコレットをカラー92から引き出すことができることに留意されたい。
【0054】
図13〜図18を参照すると、被加工物を把持すなわち保持するために用いることができる、別の実施形態の支持部材200を示す。図13〜図18の実施形態は、被加工物を直立の向き、逆さの向き又は場合によっては両方の向きで支持すなわち保持するために用いることができる。図6の実施形態と図13の実施形態との主な違いは、以下でさらに説明するように、コレットデバイス又は被加工物ホルダーの設計である。
【0055】
支持部材200は、電荷移動材料からなる電圧ピックアップリング202を含むことができ、ピックアップリング202は電荷移動部材と接触することになる。ピックアップリング202は、外筒204上で支持されている。この例では、アクチュエーターロッド組立体206が、非導電性駆動部分208と電気的に半導電性の引っ張り部分210とを含む2部品アクチュエーターロッドを含む。引っ張り部分210は、外筒204内を通ってカラーすなわちコレット組立体212を貫通し、その遠位端部が、ねじ216等の任意の好適な機構によって拡張器214に取着されている。コレット組立体212は、この例では、一緒に保持されると円筒形を形成する又は円錐状の外面220であってもよい4つの類似のコレット断片218a〜218dを含む(図17及び図18も参照のこと)。円錐状の外形の場合、コレット断片218は、上述したような逆テーパー角度θを提供することができる。コレット断片218a〜218dのそれぞれは、第1のテーパー状の表面222及び第2のテーパー状の表面224を含むことができる。コレット組立体212は、例えば、外筒にある孔228と協働するねじ226等の任意の好適な手段によって外筒204の遠位端部に取着されるコレットホルダー基部224をさらに含むことができる。コレットホルダー基部の遠位端部は、コレット断片218の第1のテーパー状の表面222と係合するテーパー状の表面230を含むことができる。拡張器214は、コレット断片218の第2のテーパー状の表面222bと係合するテーパー状の表面232を含むことができる。1つ又は複数の弾性ホルダー234、例えば、Oリングを用いて、コレット断片を、コレットホルダー基部のテーパー状の表面230及び拡張器のテーパー状の表面232に対してこれらの間で圧縮した状態で保持することができる。
【0056】
図6の実施形態と同様に、アクチュエーターロッド206が第1の位置すなわち軸線方向に伸張した位置にある場合、コレット断片218は、全体的に、弾性ホルダー234によって、被加工物を把持すなわち保持しないほど小さい第1の直径すなわち外寸まで共に圧縮される。これは、図15及び図17に示されている位置である。アクチュエーターロッド206が第2の位置すなわち後退位置まで軸線方向に移動されると、拡張器216がコレット組立体212内に引き込まれて、図18に示されるような拡張位置までコレットホルダー断片を引き離し、コレット断片218を被加工物の内面と係合させるのに用いることができる直径すなわち外寸まで増やす。アクチュエーターロッド206の軸線方向移動に加えて、駆動機構Dは、塗装作業中に被加工物を回転させるように回転運動もさせることができる。ここでもまた、様々な寸法の被加工物に、コレット断片218の全体的な外寸によって、拡張器216の後退によって強制される最大寸法まで対応することができる。弾性ホルダー234を取り外すことにより、かつ、拡張器216及びコレットホルダー基部224の様々な寸法の代替品も含むことができる異なる寸法の組のコレット断片218を用いることにより、コレット断片218の単純な交換によってより多くの寸法に容易に対応することができる。コレット断片218は、正しい設置向きを示すために溝又は帯体などの1つ又は複数の印236を含むことができる。
【0057】
2部品アクチュエーターロッド208は、例えば、図示のように端部同士をねじ留めしてもよいし、又は他の好適な手段によって接続してもよい。2部品ロッド208は、電気エネルギーがコレット組立体212のみに印加されてアクチュエーターロッドの駆動機構Dまでは戻らないことを可能にし、この場合も静電荷は実質的に外筒204及び任意の取り付けられた被加工物内に含まれている。
【0058】
電圧ピックアップリング202は、ばね押し式ピン238を用いてアクチュエーターロッドの引っ張り部分210の電荷移動材料と電気的に接続することができる。必須ではないが好ましくは、拡張器214、及び塗装作業中に被加工物の内面と密に接触するコレット断片218も、電荷移動材料で作製することができる。弾性ホルダー234も、電荷移動材料からなっていてもよいが、必ずしもその必要はない。
【0059】
図19を参照すると、上記のように、例えば、図6及び図13の支持部材を用いて、塗装作業のために瓶等の被加工物Wを直立の向きで保持すなわち把持することができる。典型的であるが例示的な構成において、スプレーブースAは、入口B及び出口Cを含むことができ、被加工物はこれらを通してオーバーヘッドコンベヤーEによって搬送されて静電スプレー塗装デバイスFを通過する。スプレーデバイス(単数又は複数)は、塗装作業中にスプレーデバイスを上下移動させる振動器H、及び必要に応じてスプレーデバイスをブースAに出入りさせるガン移動器J等の移動システムGに取り付けることができる。被加工物Wは、オーバーヘッドコンベヤーのアクチュエーターモーターKから懸吊させることができ、このアクチュエーターモーターKは、塗装作業中に必要に応じて支持部材Lを回転させることができ、また必要に応じて適時に被加工物を把持及び解放するためにアクチュエーターロッドMを直線運動させることができる。半導電性又は非金属の電荷移動材料からなる電荷移動部材Nは、電気エネルギー源Pに電気的に結合されている。コンベヤーが被加工物を搬送してスプレーデバイスFを通過させるときに、電荷移動部材Nが支持部材LのピックアップリングRと接触し、それによって前述したように相殺用の静電荷を被加工物Wに印加することができる。図1の実施形態と同様に、被加工物は、わずかに軸線がずれた位置で電荷移動部材Nと係合するようにコンベヤーから懸吊させることができ、それによって、容器すなわち被加工物の重量によってピックアップリングRを電荷移動部材Nと接触した状態に保持する。
【0060】
任意選択的に、電荷移動部材Nを非導電性フレームSによって支持することもでき、それによって被加工物を囲む非導電性ゾーン、例えば、導電性部材又は接地材料が被加工物の所望の距離内にないゾーンがあるようにする。典型的な距離は、例えば、18インチ(約45.72cm)とすることができる。この非導電性ゾーンは、支持部材32が電荷移動部材44と接触しなくなった後で容器が残留電荷を大気へ徐々に放出することも可能にする。非導電性ゾーンは、非導電性の外筒34、84、204の使用によって容易になり、非導電性の外筒34、84、204によって、相殺用の静電荷及び電圧を支持部材Lの外筒及び被加工物自体の内部に概ね閉じ込めることができる。電気エネルギー源から被加工物へ電荷移動するための半導電性材料、好ましくは、非金属材料の使用は、低静電容量スプレー塗装システムの一部としても用いることができる。この理由は、支持部材及び電荷移動部材は、電流を搬送する部分に関しては低静電容量材料から、また所望であれば、被加工物をオーバーヘッドコンベヤーから吊設させてスプレー塗装作業中に回転させるために用いられる機構を含む他の構成要素に関しては非導電性材料から、作製することができるためである。図5の実施形態は導体58を用いることができるがこれは必須ではなく、代わりに電荷移動材料も用いることができる。導体58がいかなる場合にも短く、電荷移動材料の2つの部品間に接続されているため、支持部材32の静電容量は、あったとしても非常に低く、電流は制限される。
【0061】
例示的な実施形態を参照して本発明の態様を説明してきた。変更及び変形は、本明細書を読んで理解すれば他者に想起されるであろう。それらの変更及び変形は、添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限り全て包含されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器塗装装置であって、
第1の電気エネルギー源に接続されていると共に、供給源から塗料を受け取るように構成され、容器に塗料をスプレーする静電塗料塗布デバイスと、
前記容器を支持する支持部材であって、前記支持部材は、前記容器が前記塗料塗布デバイスによって塗装されている間に該容器を支持するように構成され、前記支持部材は、該容器が該支持部材によって支持されているときに該容器の表面に直接接触する非金属の電荷移動部分からなり、該非金属の電荷移動部分は、第2の電気エネルギー源に接続可能である、前記支持部材と、
を備える容器塗装装置。
【請求項2】
前記静電塗料塗布デバイスに接続されている前記第1の電気エネルギー源は、第1の極性を有し、前記非金属の電荷移動部分へ電圧を印加する前記第2の電気エネルギー源は、前記第1の極性とは反対の第2の極性を有する請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項3】
前記非金属の電荷移動部分は、前記材料塗布デバイスが前記容器に塗料を塗布する前、最中及び/又は後で前記第2の電気エネルギー源から電流を受け取る請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項4】
前記第2の電気エネルギー源のパラメーターを監視するセンサーと、該センサーからの出力信号に応じて前記第2の電気エネルギー源の出力を調整する回路とを備える請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項5】
前記センサーは、電流を監視する請求項4に記載の容器塗装装置。
【請求項6】
塗装作業中に前記容器を回転させる手段を備える請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項7】
前記電荷移動部分は、前記電気エネルギー源に接続可能である前記支持部材の第1の電荷移動要素と、前記支持部材の第2の電荷移動要素とを含み、該第1の電荷移動要素及び該第2の電荷移動要素は、電気的に接続されている請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項8】
前記第1の電荷移動要素及び前記第2の電荷移動要素は、前記支持部材上で空間的に分離されており、前記第2の電荷移動要素は、前記容器と接触する環状の外面を有する請求項7に記載の容器塗装装置。
【請求項9】
前記第1の電荷移動要素及び前記第2の電荷移動要素は、非金属の電荷移動材料で構成される請求項7に記載の容器塗装装置。
【請求項10】
前記容器塗装装置は、電荷移動棒体をさらに備え、該電荷移動棒体は、前記第2の電気エネルギー源に接続されており、前記第1の電荷移動要素は、前記電荷移動棒体と接触して配置されて、電気エネルギーを前記第2の電気エネルギー源から該第1の電荷移動要素を通じて前記第2の電荷移動要素へ移動するように構成されている請求項9に記載の容器塗装装置。
【請求項11】
前記第1の電荷移動要素は、前記電荷移動棒体と接触して配置されるように構成される環状の外面を有する請求項10に記載の容器塗装装置。
【請求項12】
前記電荷移動棒体は、非金属材料で構成される請求項10に記載の容器塗装装置。
【請求項13】
前記第1の電荷移動要素は、前記材料塗布デバイスが前記容器に塗料を塗布する前、最中及び/又は後で前記電荷移動棒体と接触する請求項10に記載の容器塗装装置。
【請求項14】
前記第1の電荷移動要素と前記電荷移動棒体との接触によって前記容器が回転する請求項13に記載の容器塗装装置。
【請求項15】
前記非金属の電荷移動材料は、炭素充填ポリマーからなる請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項16】
前記支持部材は、前記容器を直立の向き、逆さの向き又は直立の向き及び逆さの向きの両方で支持することができる請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項17】
前記支持部材は、圧縮位置及び拡張位置を有する把持部を備え、該把持部は、前記圧縮位置では前記容器を解放し、前記拡張位置では前記容器を保持する請求項14に記載の容器塗装装置。
【請求項18】
前記把持部は、逆テーパーを有するコレットを含む請求項17に記載の容器塗装装置。
【請求項19】
前記支持部材は、前記把持部の前記圧縮位置に対応する伸張位置と、前記把持部の前記拡張位置に対応する後退位置とを有するアクチュエーターを備える請求項17に記載の容器塗装装置。
【請求項20】
前記把持部は、多部品コレットを含む請求項17に記載の容器塗装装置。
【請求項21】
前記把持部は、単一部品の断片化されたコレットを含む請求項17に記載の容器塗装装置。
【請求項22】
前記材料塗布デバイスは、前記塗料をスプレー及び噴霧する非金属回転カップと非金属ハウジングとを有する回転式噴霧器を備える請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項23】
前記非金属の電荷移動部分は、前記支持部材から着脱可能であり、該支持部材全体を変えることなく異なる寸法の容器に対応するように変えることができる請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項24】
前記電荷移動部分は、拡張可能なコレットからなる請求項23に記載の容器塗装装置。
【請求項25】
前記電荷移動部分は、第1の電荷移動要素であり、第2の電気エネルギー源は、前記第1の電荷移動要素と電気的に接触している第2の電荷移動要素に接続されており、前記第1の電荷移動要素及び前記第2の電荷移動要素は、非金属の電荷移動材料で構成されている請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項26】
前記非金属の第2の電荷移動要素は、前記容器が前記支持部材上で支持されているときに該容器の内面と接触する請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項27】
前記第1の非金属の電荷移動要素及び前記第2の非金属の電荷移動要素は、約10−3オーム/スクエア〜約106オーム/スクエアの範囲の抵抗率を有する非金属の電荷移動材料で構成されている請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項28】
容器に静電荷を印加する装置であって、
前記容器を静電塗装作業のために所望の向きで保持する支持体を備え、
前記支持体は、前記容器と直接接触する非金属の静電荷移動材料からなり、該非金属の静電荷移動材料は、また、静電荷を前記容器へ印加するように電気エネルギー源に電気的に接続可能である装置。
【請求項29】
前記非金属の静電荷移動材料は、炭素充填ポリマーからなる請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記容器に印加される静電荷は、静電塗装作業中に該容器へ印加される静電荷とは反対の極性である請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記容器は、ガラス瓶であり、前記支持体は、該瓶を直立の向き、逆さの向き又はその両方で保持する請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記支持体は、圧縮位置及び拡張位置を有する把持部を備え、該把持部は、前記圧縮位置では前記容器を解放し、前記拡張位置では前記容器を保持する請求項28に記載の装置。
【請求項33】
前記把持部は、逆テーパーを有するコレットからなる請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記支持体は、前記把持部の前記圧縮位置に対応する伸張位置と、前記把持部の前記拡張位置に対応する後退位置とを有するアクチュエーターを備える請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記把持部は、多部品コレットからなる請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記把持部は、単一部品の断片化されたコレットからなる請求項32に記載の装置。
【請求項37】
容器を静電塗装する方法であって、
第1の電気的極性を有する静電塗装デバイスから前記容器へ塗料を塗布する工程と、
前記塗料が塗布されている間、並びに前記塗料が塗布される前及び前記塗料が塗布された後で前記容器を支持する工程と、
前記容器が支持されている間に該容器の一部と非金属の電荷移動材料とを直接接触させる工程と、
前記塗料を前記容器に塗布する前、最中及び/又は後で、前記第1の電気的極性とは反対の第2の電気的極性を有し前記非金属の電荷移動材料に印加される電気エネルギーを用いて、前記容器に相殺用の静電荷を印加する工程と、
を有する方法。
【請求項38】
前記非金属の電荷移動材料に印加される電圧を調整して前記容器に印加される前記相殺用の静電荷を調整する工程を有する請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記相殺用の静電荷は、前記容器を塗装作業に対して中性の電荷に又はほとんど中性の電荷に維持するために印加される請求項37に記載の方法。
【請求項40】
容器塗装装置であって、
供給源から塗料を受け取るように構成された静電塗料塗布デバイスと、
前記塗料で塗装される容器を支持する支持部材であって、該支持部材は、塗装作業中に前記容器を支持するように構成され、該支持部材は、該容器が該支持部材によって支持されているときに該容器の表面と直接接触する抵抗性の電荷移動材料からなり、該抵抗性の電荷移動材料は、電気エネルギー源に接続可能である、支持部材と、
を備える容器塗装装置。
【請求項1】
容器塗装装置であって、
第1の電気エネルギー源に接続されていると共に、供給源から塗料を受け取るように構成され、容器に塗料をスプレーする静電塗料塗布デバイスと、
前記容器を支持する支持部材であって、前記支持部材は、前記容器が前記塗料塗布デバイスによって塗装されている間に該容器を支持するように構成され、前記支持部材は、該容器が該支持部材によって支持されているときに該容器の表面に直接接触する非金属の電荷移動部分からなり、該非金属の電荷移動部分は、第2の電気エネルギー源に接続可能である、前記支持部材と、
を備える容器塗装装置。
【請求項2】
前記静電塗料塗布デバイスに接続されている前記第1の電気エネルギー源は、第1の極性を有し、前記非金属の電荷移動部分へ電圧を印加する前記第2の電気エネルギー源は、前記第1の極性とは反対の第2の極性を有する請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項3】
前記非金属の電荷移動部分は、前記材料塗布デバイスが前記容器に塗料を塗布する前、最中及び/又は後で前記第2の電気エネルギー源から電流を受け取る請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項4】
前記第2の電気エネルギー源のパラメーターを監視するセンサーと、該センサーからの出力信号に応じて前記第2の電気エネルギー源の出力を調整する回路とを備える請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項5】
前記センサーは、電流を監視する請求項4に記載の容器塗装装置。
【請求項6】
塗装作業中に前記容器を回転させる手段を備える請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項7】
前記電荷移動部分は、前記電気エネルギー源に接続可能である前記支持部材の第1の電荷移動要素と、前記支持部材の第2の電荷移動要素とを含み、該第1の電荷移動要素及び該第2の電荷移動要素は、電気的に接続されている請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項8】
前記第1の電荷移動要素及び前記第2の電荷移動要素は、前記支持部材上で空間的に分離されており、前記第2の電荷移動要素は、前記容器と接触する環状の外面を有する請求項7に記載の容器塗装装置。
【請求項9】
前記第1の電荷移動要素及び前記第2の電荷移動要素は、非金属の電荷移動材料で構成される請求項7に記載の容器塗装装置。
【請求項10】
前記容器塗装装置は、電荷移動棒体をさらに備え、該電荷移動棒体は、前記第2の電気エネルギー源に接続されており、前記第1の電荷移動要素は、前記電荷移動棒体と接触して配置されて、電気エネルギーを前記第2の電気エネルギー源から該第1の電荷移動要素を通じて前記第2の電荷移動要素へ移動するように構成されている請求項9に記載の容器塗装装置。
【請求項11】
前記第1の電荷移動要素は、前記電荷移動棒体と接触して配置されるように構成される環状の外面を有する請求項10に記載の容器塗装装置。
【請求項12】
前記電荷移動棒体は、非金属材料で構成される請求項10に記載の容器塗装装置。
【請求項13】
前記第1の電荷移動要素は、前記材料塗布デバイスが前記容器に塗料を塗布する前、最中及び/又は後で前記電荷移動棒体と接触する請求項10に記載の容器塗装装置。
【請求項14】
前記第1の電荷移動要素と前記電荷移動棒体との接触によって前記容器が回転する請求項13に記載の容器塗装装置。
【請求項15】
前記非金属の電荷移動材料は、炭素充填ポリマーからなる請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項16】
前記支持部材は、前記容器を直立の向き、逆さの向き又は直立の向き及び逆さの向きの両方で支持することができる請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項17】
前記支持部材は、圧縮位置及び拡張位置を有する把持部を備え、該把持部は、前記圧縮位置では前記容器を解放し、前記拡張位置では前記容器を保持する請求項14に記載の容器塗装装置。
【請求項18】
前記把持部は、逆テーパーを有するコレットを含む請求項17に記載の容器塗装装置。
【請求項19】
前記支持部材は、前記把持部の前記圧縮位置に対応する伸張位置と、前記把持部の前記拡張位置に対応する後退位置とを有するアクチュエーターを備える請求項17に記載の容器塗装装置。
【請求項20】
前記把持部は、多部品コレットを含む請求項17に記載の容器塗装装置。
【請求項21】
前記把持部は、単一部品の断片化されたコレットを含む請求項17に記載の容器塗装装置。
【請求項22】
前記材料塗布デバイスは、前記塗料をスプレー及び噴霧する非金属回転カップと非金属ハウジングとを有する回転式噴霧器を備える請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項23】
前記非金属の電荷移動部分は、前記支持部材から着脱可能であり、該支持部材全体を変えることなく異なる寸法の容器に対応するように変えることができる請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項24】
前記電荷移動部分は、拡張可能なコレットからなる請求項23に記載の容器塗装装置。
【請求項25】
前記電荷移動部分は、第1の電荷移動要素であり、第2の電気エネルギー源は、前記第1の電荷移動要素と電気的に接触している第2の電荷移動要素に接続されており、前記第1の電荷移動要素及び前記第2の電荷移動要素は、非金属の電荷移動材料で構成されている請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項26】
前記非金属の第2の電荷移動要素は、前記容器が前記支持部材上で支持されているときに該容器の内面と接触する請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項27】
前記第1の非金属の電荷移動要素及び前記第2の非金属の電荷移動要素は、約10−3オーム/スクエア〜約106オーム/スクエアの範囲の抵抗率を有する非金属の電荷移動材料で構成されている請求項1に記載の容器塗装装置。
【請求項28】
容器に静電荷を印加する装置であって、
前記容器を静電塗装作業のために所望の向きで保持する支持体を備え、
前記支持体は、前記容器と直接接触する非金属の静電荷移動材料からなり、該非金属の静電荷移動材料は、また、静電荷を前記容器へ印加するように電気エネルギー源に電気的に接続可能である装置。
【請求項29】
前記非金属の静電荷移動材料は、炭素充填ポリマーからなる請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記容器に印加される静電荷は、静電塗装作業中に該容器へ印加される静電荷とは反対の極性である請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記容器は、ガラス瓶であり、前記支持体は、該瓶を直立の向き、逆さの向き又はその両方で保持する請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記支持体は、圧縮位置及び拡張位置を有する把持部を備え、該把持部は、前記圧縮位置では前記容器を解放し、前記拡張位置では前記容器を保持する請求項28に記載の装置。
【請求項33】
前記把持部は、逆テーパーを有するコレットからなる請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記支持体は、前記把持部の前記圧縮位置に対応する伸張位置と、前記把持部の前記拡張位置に対応する後退位置とを有するアクチュエーターを備える請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記把持部は、多部品コレットからなる請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記把持部は、単一部品の断片化されたコレットからなる請求項32に記載の装置。
【請求項37】
容器を静電塗装する方法であって、
第1の電気的極性を有する静電塗装デバイスから前記容器へ塗料を塗布する工程と、
前記塗料が塗布されている間、並びに前記塗料が塗布される前及び前記塗料が塗布された後で前記容器を支持する工程と、
前記容器が支持されている間に該容器の一部と非金属の電荷移動材料とを直接接触させる工程と、
前記塗料を前記容器に塗布する前、最中及び/又は後で、前記第1の電気的極性とは反対の第2の電気的極性を有し前記非金属の電荷移動材料に印加される電気エネルギーを用いて、前記容器に相殺用の静電荷を印加する工程と、
を有する方法。
【請求項38】
前記非金属の電荷移動材料に印加される電圧を調整して前記容器に印加される前記相殺用の静電荷を調整する工程を有する請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記相殺用の静電荷は、前記容器を塗装作業に対して中性の電荷に又はほとんど中性の電荷に維持するために印加される請求項37に記載の方法。
【請求項40】
容器塗装装置であって、
供給源から塗料を受け取るように構成された静電塗料塗布デバイスと、
前記塗料で塗装される容器を支持する支持部材であって、該支持部材は、塗装作業中に前記容器を支持するように構成され、該支持部材は、該容器が該支持部材によって支持されているときに該容器の表面と直接接触する抵抗性の電荷移動材料からなり、該抵抗性の電荷移動材料は、電気エネルギー源に接続可能である、支持部材と、
を備える容器塗装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2012−511429(P2012−511429A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540865(P2011−540865)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/067331
【国際公開番号】WO2010/077737
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/067331
【国際公開番号】WO2010/077737
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
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