説明

住宅シミュレーションシステム及びプログラム

【課題】二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットなどの環境影響値の目標値を定め、それを満たすことができる住宅を設計することができる住宅シミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】目標とする住宅の環境影響値を設定する目標値設定部203と、住宅の設計仕様情報を有する設計仕様ファイル221と建材毎に所定単位あたりの環境影響値のデータを有する建材ファイル222とを記憶するデータベース220と、住宅の設計仕様を設定する住宅設計仕様設定部204と、建材を設定する建材設定部205と、設定された住宅の環境影響値と、設定された住宅の設計仕様と、設定された建材と、該データベースの情報とに基づき、住宅の環境影響値を算出する演算部206とを備える住宅シミュレーションシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅のシミュレーションシステム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識が高まっており、企業においては二酸化炭素の排出を抑制するために、工場や製品の生産ラインを見直すことが行われている。そして、住宅においても、建設する際に二酸化炭素が発生しており、環境に配慮した対応が必要である。
【0003】
二酸化炭素の排出抑制という観点においては、木は光合成によって二酸化炭素を吸収して固定していると言うことができる。そして、木は、伐採されて木材となり、住宅を建設する際に、柱、梁、土台、外壁材、内壁材、屋根材等の建材の原料として使用される。この場合、木材に吸収された二酸化炭素は建材の中に固定されており、二酸化炭素を固定する手段として有効である。
【0004】
また、木材には間伐材を使用して製造される建材がある。例えば、特許文献1には、間伐材を用いて外壁材を製造する方法が開示されており、このような建材を用いて住宅を建設すると、間伐材を有効利用できるとともに、間伐材に吸収された二酸化炭素を建材の中に固定することになり、さらに、間伐された森林では木の生長が促進され、二酸化炭素の吸収量が増える。
【0005】
一方、木材を全く使用しない建材がある。例えば、特許文献2には、軽量気泡コンクリート板が開示されているが、該軽量気泡コンクリート板は、珪酸質原料と石灰質原料とを主原料とする原料スラリーを成型用型枠に打設した後に、オートクレーブ養生することにより製造されており、木材を含有していないので、二酸化炭素吸収量はゼロであり、二酸化炭素固定量はゼロである。
このように、木材を含むか否かにより、建材の二酸化炭素吸収量及び二酸化炭素固定量は大きく異なる。
【0006】
しかし、従来は住宅を設計するにあたり、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットなどが考慮されることは行われておらず、設計図面を作成し、間取り、屋根の形状、窓などの開口部の位置を決定した後、様々な形状、寸法、模様、柄、色調を有する建材を複数配列して内壁、外壁のデザインを構築するに停まる。なお、「二酸化炭素固定量」は、その建材が木材を含むことによって二酸化炭素を吸収して固定していると考えられる量である。「二酸化炭素吸収量」は、建材が間伐された木材を含むことによって、該木材の産地である森林が生長過程で吸収すると考えられる二酸化炭素量であり、該建材に含まれる木材が生長過程で吸収した二酸化炭素量、及び、該森林が今後生長過程で吸収する二酸化炭素量を含む。「カーボン・クレジット」は取引可能な温室効果ガスの排出削減量証明のことである。このようにこれらの「二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット」は、定義は異なるが、いずれも温室効果ガスの排出削減量を示す指標である。
【0007】
例えば、特許文献3には、住宅の外観デザインを作成するシミュレーションをネットワークで接続されたサーバ−クライアント間で実現するシステムが開示されている。このシステムによれば、クライアント装置を用いて、サーバ装置からシミュレーションに必要な建材画像等のデータを取得し、クライアント装置に予め保持している家屋画像データなどに貼り付けることにより、住宅の外観デザインを作成するシミュレーションを行うことができるが、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットなどを算出、考慮することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−325052号公報
【特許文献2】特開2009−96665号公報
【特許文献3】特開2002−41879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、従来より、外観を考慮して建材を決定することが行われてはいるものの、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなどの環境影響値を考慮して住宅の建材を選択して設計することは行われていない。
【0010】
本発明は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなどの環境影響値について目標値を定め、それを満たすことができる住宅を設計することができる住宅シミュレーションシステム及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、目標値設定部と、データベースと、住宅設計仕様設定部と、建材設定部と、演算部とを備えた住宅シミュレーションシステムを提供するものである。目標値設定部は、目標とする住宅の環境影響値を設定する。データベースは、住宅の設計仕様情報を有する設計仕様ファイルと、建材情報を有する建材ファイルとを記憶する。なお、建材ファイルは、建材毎に、環境影響値のデータを有している。住宅設計仕様設定部は、住宅の設計仕様を設定する。建材設定部は、建材を設定する。演算部は、必要な建材の量を算出する。詳しくは、演算部は、目標値設定部により設定された住宅の環境影響値と、住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様と、データベースの情報とに基づき、該目標値設定部により設定された住宅の環境影響値に必要な建材の量を算出する。なお、演算部は、更に、建材設定部により設定された建材について、目標値設定部により設定された住宅の環境影響値に必要な建材の量を算出することもできる。そして、本発明の住宅シミュレーションシステムは、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットなどの環境影響値によって環境への貢献度を数値として表示できる。これにより、顧客は、環境への貢献度を数値として設定、把握することができる。また、住宅を決定する際に、環境への貢献度を数値で明確に考慮することができる。
【0012】
また、本発明の住宅シミュレーションシステムは、建材毎に、演算部により算出された、目標値設定部により設定された住宅の環境影響値に必要な建材の量と、住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様を行うために必要な建材の量を比較する比較部を備えることができる。比較部により、住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様を行うために必要な建材の量が、目標値設定部により設定された住宅の環境影響値に必要な建材の量より少ない状態になることを防ぐことができる。
【0013】
更に、本発明の住宅シミュレーションシステムは、自己活動設定部と、二酸化炭素排出ファイルも備えていることが好ましい。自己活動設定部は、顧客の自己活動を設定し、二酸化炭素排出ファイルは、生活状況に基づく二酸化炭素排出データを有する。二酸化炭素排出ファイルはデータベースに記憶されており、演算部は、自己活動設定部により設定された顧客の自己活動に関するデータと、該二酸化炭素排出ファイルとに基づき二酸化炭素排出量を算出することができる。これにより、顧客は、自己活動による二酸化炭素排出量を把握し、明確な目標値を設定することができるので、好ましい。なお、演算部は、算出された二酸化炭素排出量から必要な環境影響値を算出し、目標値設定部は、算出された必要な環境影響値を目標値として設定することができると、より好ましい。
【0014】
更に、本発明の住宅シミュレーションシステムにおいて、建材設定部は、更に、設定された住宅の設計仕様に適用する建材のみを適用可能な建材として顧客に提示し、顧客が選定した建材を設定された建材と決定することもできる。例えば、設計仕様ファイルに設計仕様毎に適用可能な建材のデータを含ませて、適用可能な建材のみを選択できるようにしても良いし、建材ファイルに建材毎に適用可能な設計仕様のデータを含ませて、住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様に対応可能な建材のみを選択できるようにしても良い。これにより、顧客が施工できない建材を選択してしまうことを防ぐことができる。
【0015】
更に、本発明の住宅シミュレーションシステムにおいて、設計仕様ファイルは、設計仕様毎に適用可能な建材の必要量のデータを有する、又は、建材ファイルは、建材毎に適用可能な設計仕様における必要量のデータを有すると、住宅の環境影響値の算出がスムーズとなるので好ましい。また、この場合には、演算部は、適用可能な建材について、目標値設定部により設定された住宅の環境影響値に必要な建材の量を算出し、比較部は、適用可能な建材について、演算部により算出された必要量と、設計仕様ファイル又は建材ファイルに記憶されている必要量を比較して、適用可能な建材を設定し、建材設定部は、比較部により適用可能と判断された建材のみを適用可能な建材として顧客に提示し、顧客が選定した建材を設定された建材と決定することもできる。これにより、顧客が設定した目標を満たすことができない建材を選択してしまうことを防ぐことができる。なお、比較部による適用可能な建材の設定は、具体的には、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットについては、設計仕様ファイル又は建材ファイルに記憶されている必要量の方が多い場合である。
【0016】
更に、本発明の住宅シミュレーションシステムにおいて、建材ファイルは、建材毎に、商品名、寸法、形状、イメージデータを有しても良い。これにより、顧客は、建材の情報をより詳しく把握した上で選択を行うことができる。
更に、本発明は、コンピュータを、上記住宅シミュレーションシステム、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットなどの環境影響値について目標値を定め、それを満たすことができる住宅を設計することができる住宅シミュレーションシステム及びプログラムを提供することができる。このシステムにより、環境への貢献の大きい建材の販売が促進されるとともに、顧客は環境への貢献を把握することができる。また、二酸化炭素の抑制、改善に繋がる。更に、建設する際に排出された二酸化炭素をオフセットすることが可能な住宅を意図的に設計することが可能となるので、環境への貢献も大きい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の住宅シミュレーションシステムの実施形態1について、全体システム構成例を概略的に示す図である。
【図2】実施形態1におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図3】実施形態1におけるデータベース内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。
【図4】クライアント装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図5】実施形態1における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図6】目標とする住宅の環境影響値の設定を行う画面の例を示す図である。
【図7】住宅の設計仕様の設定を行う画面の例を示す図である。
【図8】建材の設定を行う画面の例を示す図である。
【図9】実施形態2におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図10】実施形態2における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図11】住宅の設計仕様の設定を行う画面の例を示す図である。
【図12】実施形態3におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図13】実施形態3におけるデータベース内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。
【図14】実施形態3における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図15】実施形態4におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図16】実施形態4における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図17】実施形態4における自己活動を設定する画面の例を示す図である。
【図18】実施形態5におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図19】実施形態5における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図20】建材を設定する画面の例を示す図である。
【図21】建材を設定する画面の例を示す図である。
【図22】住宅の施工イメージ図の例を示す図である。
【図23】住宅の施工イメージ図の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の住宅シミュレーションシステムを実施するための形態を説明する。図1〜図23は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0020】
図1は、本発明の住宅シミュレーションシステムの実施形態1について、全体システム構成例を概略的に示す図である。実施形態1のシステムは、住宅メーカー又は建材メーカーなどに設置されるサーバ装置100と、顧客あるいは工務店や設計事業者等又はこれら事業者のショールームなどに設置されるクライアント装置120と、該サーバ装置100と該クライアント装置120を接続するネットワーク110とから構成されている。サーバ装置100は、サーバ210及びデータベース220から構成されており、本発明の対象である住宅シミュレーションシステムである。
【0021】
サーバ装置100と各クライアント装置120とは、ネットワーク110を通じて通信可能なサーバ−クライアントシステムを構成している。サーバ装置100及び各クライアント装置120間それぞれの機能については、データベース層、ファンクション層(アプリケーションサーバ)、プレゼンテーション層(ユーザインターフェイス)からなる3層構造とするのが好ましい。この場合、サーバ装置100においてデータベース220及びアプリケーションサーバ210を備えるとともに、クライアント装置120ではユーザインターフェイス(WEBブラウザ等)のみを備えるように構成することができる。
【0022】
図2は、実施形態1におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。サーバ210は、主制御部200、記憶部201、ネッワークインターフェイス部202、目標値設定部203、住宅設計仕様設定部204、建材設定部205、演算部206、及び比較部207とから構成されている。データベース220は、設計仕様ファイル221、建材ファイル222、演算結果ファイル223、及びRDBMS230とから構成されている。
【0023】
サーバ210の主制御部200は、CPU、MPU等の処理装置から構成されており、予め記憶されているプログラム等に従って、所定の演算を行い、本サーバ210内の各構成部分の動作を制御し、各構成部分間のデータ通信を制御する。
【0024】
記憶部201は、揮発性又は不揮発性の半導体記憶素子などから構成されており、主制御部200の動作用プログラムを記憶したROMや、主制御部200の作業領域として利用されるRAMなどを含んでいる。また、各種データやアプリケーションプログラムなどを記憶しておくための磁気ディスク装置(ハードディスク)やリムーバブルディスクメディア(CD−R、MO等)などの補助記憶装置をさらに含んでいてもよい。
【0025】
ネットワークインターフェイス部202は、ネットワークを通じてクライアント装置120との通信を可能にするためのインターフェイスであり、NIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタ及びこれを駆動するためのソフトウェアから構成されるものである。例えば、ネットワークがインターネットである場合には、TCP/IP等のプロトコルを利用して通信を行うことができる。
【0026】
目標値設定部203は、目標とする住宅の環境影響値を設定する。環境影響値は、代表的には二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットであるが、これらに限られない。目標値設定部203は、サーバ210上で動作するプログラムとして実装されているものである。
【0027】
住宅設計仕様設定部204は、設計仕様ファイル221に含まれる住宅の設計仕様の中から、顧客の住宅の設計仕様又は顧客の要望にあった住宅の設計仕様を設定する。尚、住宅設計仕様設定部204は、サーバ210上で動作するプログラムとして実装されているものである。
【0028】
建材設定部205は、建材ファイル222に含まれる建材商品の中から、建材商品を設定する。また、建材設定部205は、設計仕様ファイル221に含まれる住宅の設計仕様データ、建材ファイル222に含まれる建材商品の用途データ及び性能データに基づいて、対象である住宅に適した建材商品の選定も行う。尚、建材設定部205は、サーバ210上で動作するプログラムとして実装されているものである。
【0029】
演算部206は、目標値設定部203により設定された住宅の環境影響値の目標値と、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様と、データベース220の情報とに基づき、目標値設定部203により設定された住宅の環境影響値の目標値に必要な建材の量を算出する。また、演算部206は、建材設定部205により設定された建材について、目標値設定部203により設定された住宅の環境影響値に必要な建材の量を算出することもできる。演算部206は、サーバ210上で動作するプログラムとして実装されているものである。
【0030】
比較部207は、演算部206で算出された建材の数量が複数ある場合、それらを比較することができる。または、演算部206で算出された建材の数量を、他のデータと比較することもできる。比較部207は、サーバ210上で動作するプログラムとして実装されているものである。
【0031】
RDBMS230は、データベース220を操作するための基本的なデータベース管理システム(Relational Database Management System)であり、主制御部200はRDBMS230に命令することにより、各ファイル221〜223に対して、データの検索、追加、更新、削除等の所定の操作を行うことができるようになっている。
【0032】
図3は、実施形態1におけるデータベース内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。データベース220の設計仕様ファイル221は、設計仕様データ、CADデータ等で構成された設計図面データや、設計基礎データなどを保持している。設計仕様データは、設計仕様毎に適用可能な建材商品コードを含み、建材ファイル222とリレーションしている。また、設計仕様データには、過去の実績に基づいて定められた、建設に伴う二酸化炭素発生量のデータや、各部位への環境影響値の割り当てデータも含まれている。
【0033】
建材ファイル222は、各建材について、商品コード、商品名、寸法・形状、価格、防耐火性能、耐震性能、イメージデータ、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリント、間伐材含有量、間伐材の産地、用途データ、性能データなどを保持している。実施形態1において、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントは、建材毎に、所定の単位あたりの数量、例えば、一枚あたり、mあたりなどのデータで含まれている。用途データは、各建材商品を使用用途に基づいて分類し、グループ化し、あるいは関連付けるためのデータである。具体的には、同一の使用用途に属する建材商品には、共通するコードを割り当てておくなどする。例えば、柱として使用する建材には、柱として使用可能であることを示すコードを割り当てる。他に、梁、外壁材、内壁材、断熱材などの建材があるが、それぞれ別のコードを割り当てる。なお、外壁材や内壁材のどちらでも使用可能な商品もあるので、一つの建材に複数のコードが割り当てられることもある。また、性能データは、各建材商品をその耐震性能、耐火性能等に基づいて分類し、グループ化し、あるいは関連付けるためのデータである。具体的には、耐火等級を満たすために必要な建材商品群は指定されているので、それらに共通するコードを割り当てるようにすればよい。
【0034】
演算結果ファイル223は、目標値設定部203により設定された目標値、演算部206により算出された建材の数量等を保持している。また、演算で用いられた設計仕様の設計仕様コードと建材の建材商品コードとを含んでおり、設計仕様ファイル221、建材ファイル222とリレーションしている。
【0035】
図4は、クライアント装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。クライアント装置120は、主制御部400、記憶部401、表示部402、入力部403、ネットワークインターフェイス部404、及びユーザインターフェイス部405とから構成されている。
【0036】
クライアント装置120の主制御部400は、CPU、MPU等の処理装置から構成されており、予め記憶されているプログラム等に従って、所定の演算を行い、本クライアント装置120内の各構成部分の動作を制御し、各構成部分間のデータ通信を制御する。
【0037】
記憶部401は、揮発性又は不揮発性の半導体記憶素子などから構成されており、主制御部400の動作用プログラムを記憶したROMや、主制御部400の作業領域として利用されるRAMなどを含んでいる。また、各種データやアプリケーションプログラムなどを記憶しておくための磁気ディスク装置(ハードディスク)やリムーバブルディスクメディア(CD−R、MO等)などの補助記憶装置をさらに含んでいてもよい。
【0038】
表示部402は、モニタ装置やスピーカ等から構成されるものであり、映像及び音声による情報をクライアント装置120の操作者に表示する。入力部403は、本クライアント装置120に対する操作者からの入力操作を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びマウスを含んでいる。
【0039】
ネットワークインターフェイス部404は、ネットワークを通じてクライアント装置120との通信を可能にするためのインターフェイスであり、NIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタ及びこれを駆動するためのソフトウェアから構成されるものである。例えば、ネットワークがインターネットである場合には、TCP/IP等のプロトコルを利用して通信を行うことができる。
【0040】
ユーザインターフェイス部405は、サーバ装置100において実現される各種サービスをユーザに提供する機能(クライアント−サーバシステムにおけるプレゼンテーション層の機能)を備えている。具体的には、ネットワークを通じてサーバ装置100から受信した各種データや情報を所定の形式で、表示部402等を介してユーザに表示し、あるいは記憶部401に記憶させ、また、ユーザが入力部403から入力した各種データや情報をサーバ装置100に送信する機能を有するプログラム等として実装することができる。一般的には、WEBブラウザ等のプログラムが用いられることが多いが、実施形態1のシステムでは、施工シミュレーションを行うために図形処理等のプラグインソフトなどを必要に応じてWEBブラウザ等に追加したものを用いるのが好ましい。
【0041】
図5は、実施形態1における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。次に、上記のように構成された実施形態1の住宅シミュレーションシステムの利用形態とクライアント装置120及びサーバ装置100の動作について詳細に説明する。
【0042】
実施形態1では、まず、目標を設定する(ステップS11)。図6は、この実施形態1における住宅の環境影響値の設定を行う画面の例であり、目標値設定部203により表示されるので、顧客は、目標とする住宅の環境影響値(例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなど)を入力する。なお、図6では、入力にあたり、参考となるデータを参照するために、参照ボタンが設けられている。そして決定ボタン301をクリックすることにより、顧客により入力された値は、目標値設定部203により、本シミュレーションにおける目標値として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。戻るボタン302をクリックすることにより、前画面に戻り、ヘルプボタン303をクリックすることにより、操作説明画面を表示する。
【0043】
次に、住宅の設計仕様を設定する(ステップS12)。図7は、この実施形態1における住宅の設計仕様の設定を行う画面の例であり、住宅設計仕様設定部204により、設計仕様ファイル221に含まれている住宅の設計仕様とリンクした住宅の設計仕様が表示されるので、顧客は、住宅の設計仕様を選定する。図7の画面では、縦軸に住宅の設計仕様、横軸に住宅の建物面積(延べ床面積)を配した表が表示されているので、顧客は、要望する設計仕様、建物面積が交差した箇所をクリックすることにより、建物面積を含む住宅の設計仕様を選定することができる。図7では、木造住宅で建物面積30坪が選定されており、木造住宅の縦軸と建物面積30坪の横軸が交差した箇所が黒印で示されている。そして、顧客により選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部204により、本シミュレーションにおける住宅の設計仕様として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。なお、設計仕様ファイル221には、建設に伴う二酸化炭素排出量データも含まれているので、これらの情報も記憶部201に記憶される。
【0044】
次に、建材設定部205により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能な建材が選定される(ステップS13)。データベース220の設計仕様ファイル221の設計仕様データには、設計仕様毎に適用可能な建材商品コードを含むので、建材設定部205は、データベース220の設計仕様ファイル221から、設定された住宅の設計仕様に関する設計仕様データを取得し、そこに含まれている適用可能な建材商品コードを適用可能な建材として、サーバ210の記憶部201に記憶する。なお、設計仕様ファイル221は、各部位への環境影響値の割り当てデータも含まれているので、これらの情報も記憶部201に記憶される。
【0045】
ステップS13の処理を終えると、次に、建材を設定する(ステップS14)。図8は、この実施形態1における建材の設定を行う画面の例であり、ステップS13で適用可能と記憶された建材のみが、建材設定部205により表示されるので、顧客は、建材を選定する。図8の画面では、顧客は、まず、表の左端にある用途分類で選定しようとしている建材を抽出する。このシステムでは、建材ファイル222は用途データを含むので、用途データを用いることにより、建材を用途毎に分類することが容易であり、セルの右上端にある下三角をクリックすると、用途の一覧がプルダウン表示されるので、顧客は選定しようとする建材を用途別に抽出することができる。図8では、表の左端にあるセルの右上端をクリックすると、柱、外壁、屋根、内壁等の分類リストが表示されるので、一番上のセルでは、柱を、その下のセルでは外壁を選択している。そして、それらのセルの右には、商品名、商品画像、価格、CO2固定量、CO2吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリント、及び詳細情報等を表示するセルが列記されているが、これらのセルは全て表の左端の用途分類のセルに連動している。すなわち、行は用途分類のセルに連動している。そのため、一番上の行では、用途分類で柱を選択しているので、商品名には柱として用いることが可能な建材しか表示されない。そして、商品画像、価格、CO2固定量、CO2吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリント、及び詳細情報等は選択された商品名に連動し、商品名で選択された商品の情報を表示する。なお、詳細情報では、その商品についてより詳しい情報を閲覧することができる。そして、顧客により選定された建材は、建材設定部205により、本シミュレーションにおける建材として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0046】
ステップS14の処理を終えると、演算部206により目標を満たすために必要な建材の数量が算出される(ステップS15)。具体的には、記憶部201には、目標値設定部203により設定された、目標とする住宅の環境影響値と、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様と、住宅の設計仕様における各部位への環境影響値の割り当てデータと、該住宅の設計仕様における建設に伴う二酸化炭素排出量データと、建材設定部205により設定された建材のデータが保持されているので、演算部206では、これらのデータを用いて、目標とする住宅の環境影響値を満たすための各建材の数量が算出される。より詳しくは、住宅の建設に伴う二酸化炭素排出量を考慮するため、目標とする住宅の環境影響値から、設定された住宅の設計仕様における建設に伴う二酸化炭素排出量を加算したのち、各建材の数量が算出される。この算出は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、及びカーボン・クレジットのいずれに対しても行うことができる。算出された結果は、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0047】
例えば、二酸化炭素固定量の目標値を満たす建材の数量を計算するのであれば、次式のように計算することができる。
a=(b+c)×(12/44)×2/d
ここで、a:建材の数量(枚)
b:二酸化炭素固定量の目標値(kg)
c:建設に伴う二酸化炭素排出量(kg)
d:建材1枚あたりの木材使用量(kg/枚)
ただし、木材重量(kg)の5割が炭素(kg)であるとした(林野庁の資料「木材利用に係る環境貢献度の定量的評価手法について(中間とりまとめ)」より)。
【0048】
ステップS15の処理を終えると、演算部206により、設定された住宅に必要な建材の数量が算出される(ステップS16)。具体的には、記憶部201には、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様と、建材設定部205により設定された建材のデータが保持されているので、演算部206では、これらのデータを用いて、住宅に必要な各建材の数量が算出される。算出された結果は、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0049】
ステップS16の処理を終えると、次に比較部207により、各建材毎に、ステップS15で算出された数量とステップS16で算出された数量が比較される(ステップS17)。そして、ステップS16で算出された数量が、ステップS15で算出された数量よりも少ない場合には、再度、ステップS12に戻り、住宅の設計仕様から設定を行う。
【0050】
ステップS16で算出された数量が、ステップS15で算出された数量よりも多い、又は同じ場合には、作業が終了し、得られた結果は演算結果ファイルに演算結果コードをつけて保存される。顧客は、このようにして算出した結果を自身のクライアント装置120に保存したり、印刷したりすることができる。
【0051】
図9は、実施形態2におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図であり、図10は、その処理の流れを概略的に示すフローチャートである。本発明の住宅シミュレーションシステムの実施形態2として、目標値を満たす建材のみを選定可能とするようにすることもできる。このため、本実施形態2のサーバ211には、比較部がない。
【0052】
実施形態2でも、まず、目標を設定する(ステップS21)。目標を設定する画面としては、図6を用いることができる。目標を設定する画面は、目標値設定部203により表示されるので、顧客は、目標とする住宅の環境影響値(例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなど)を入力する。そして、顧客により入力された値は、目標値設定部203により、本シミュレーションにおける目標値として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0053】
次に、住宅の設計仕様を設定する(ステップS22)。本実施形態2における、住宅の設計仕様の設定を行う画面の例を図11に示すが、非常に簡素化することができる。なお、住宅の設計仕様を設定する画面は、住宅設計仕様設定部204により表示されるので、顧客は住宅の設計仕様を選定する。選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部204により、本シミュレーションにおける住宅の設計仕様として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0054】
次に、建材設定部205により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能な建材が選定され(ステップS23)、ステップS23の処理を終えると、適用可能な建材毎に、目標値を満たすための数量が算出される(ステップS24)。具体的には、記憶部201には、目標値設定部203により設定された、目標とする住宅の環境影響値と、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様と、該住宅の設計仕様における各部位への環境影響値の割り当てデータと、該住宅の設計仕様における建設に伴う二酸化炭素排出量データと、建材設定部205により設定された建材のデータが保持されているので、演算部206では、これらのデータを用いて、目標とする住宅の環境影響値を満たすための各建材の数量が算出される。この算出は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットのいずれに対しても行うことができる。算出された結果は、演算結果ファイル223に記憶される。
【0055】
ステップS24の処理を終えると、建材設定部205により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能で、かつ、目標値を満たす建材が選定される(ステップS25)。具体的には、ステップS23で適用可能と選定された各建材について、ステップS24で算出された数量と、設計仕様ファイルに保持されている建材の必要数量が比較され、ステップS24で算出された数量の方が少ない建材のみが目標値を満たす建材として選定され、サーバ211の記憶部201に記憶される。
【0056】
そして、ステップS25の処理を終えると、次に、建材を設定する(ステップS26)。建材を設定する画面では、ステップS25で目標値を満たすと記憶された建材のみが建材設定部205により表示されるので、建材設定部205により表示されるので、顧客は、建材を選定する。顧客により選定された建材は、建材設定部205により、本シミュレーションにおける建材として設定され、目標値、住宅の設計仕様とともに、演算結果ファイルに演算結果コードをつけて保存される。なお、建材を設定する画面としては、図8を用いることができる。
【0057】
図12は、実施形態3におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図であり、図13は、データベース220内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図であり、図14は、その処理の流れを概略的に示すフローチャートである。本発明の住宅シミュレーションシステムの実施形態3として、顧客は設計仕様をアップロードし、アップロードされた設計仕様に対して建材を設定することもできる。
【0058】
本実施形態3では、図12に示すように、データベース320は顧客情報ファイル224を備える。顧客情報ファイル224は、図13に示すように、顧客の基本的な属性に関する情報、例えば、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、施工予定、宅地の種類などを含んでいる。尚、工務店、設計業者等が顧客の窓口となっている場合には、顧客の連絡先等は工務店、設計業者等の連絡先等に置き換えてもよい。そして、この実施形態3では、図13に示すように、設計仕様ファイル221は、CADデータ等で構成された設計図面データや、設計仕様データ、設計基礎データなどを、その施主である顧客の顧客コードとともに保持しており、顧客情報ファイル224とリレーションしている。
【0059】
本実施形態3では、まず、クライアント装置120からサーバ装置100に、顧客の設計仕様データをアップロードする(ステップS31)。アップロードされた顧客の設計仕様データは、住宅設計仕様設定部204により、本シミュレーションにおける住宅の設計仕様として設定され、サーバ210の記憶部201と設計仕様ファイル221に記憶される。なお、住宅の設計仕様における建設に伴う二酸化炭素排出量データもアップロード又は入力され、サーバ210の記憶部201と設計仕様ファイル221に記憶される。
【0060】
次に、目標を設定する(ステップS32)。目標を設定する画面としては、図6を用いることができる。目標を設定する画面は、目標値設定部203により表示されるので、顧客は、目標とする住宅の環境影響値(例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなど)を入力する。そして、顧客により入力された値は、目標値設定部203により、本シミュレーションにおける目標値として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0061】
次に、建材を設定する(ステップS33)。建材を設定する画面は、建材設定部205により表示されるので、顧客は、建材を選定する。顧客により選定された建材は、建材設定部205により、本シミュレーションにおける建材として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。なお、建材を設定する画面としては、図8を用いることができる。
【0062】
ステップS33の処理を終えると、演算部206により目標を満たすために必要な建材の数量が算出される(ステップS34)。具体的には、記憶部201には、目標値設定部203により設定された、目標とする住宅の環境影響値と、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様と、該住宅の設計仕様における建設に伴う二酸化炭素排出量データと、建材設定部205により設定された建材のデータが保持されているので、演算部206では、これらのデータを用いて、目標とする住宅の環境影響値を満たすための各建材の数量が算出される。この算出は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットのいずれに対しても行うことができる。算出された結果は、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0063】
ステップS34の処理を終えると、演算部206により、設定された住宅に必要な建材の数量が算出される(ステップS35)。具体的には、記憶部201には、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様と、建材設定部205により設定された建材のデータが保持されているので、演算部206では、これらのデータを用いて、住宅に必要な各建材の数量が算出される。算出された結果は、演算結果ファイル223に記憶される。
【0064】
ステップS35の処理を終えると、次に比較部207により、各建材毎に、ステップS34で算出された数量とステップS35で算出された数量が比較される(ステップS36)。そして、ステップS35で算出された数量が、ステップS34で算出された数量よりも少ない場合には、再度、ステップS33に戻り、建材の設定を行う。
【0065】
ステップS35で算出された数量が、ステップS34で算出された数量よりも多い場合には、作業が終了し、得られた結果は演算結果ファイル223に演算結果コードをつけて保存される。顧客は、このようにして算出した結果を自身のクライアント装置120に保存したり、印刷したりすることができる。
【0066】
図15は、実施形態4におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図であり、図16は、その処理の流れを概略的に示すフローチャートであり、図17は、実施形態4における自己活動を設定する画面の例を示す図である。本発明の住宅シミュレーションシステムの実施態様4として、顧客の自己活動による二酸化炭素排出量を算出する機能と、該二酸化炭素排出量をオフセットするのに必要な環境影響値を算出する機能を備えることもできる。
【0067】
本実施形態4では、図15に示すように、サーバ212に自己活動設定部208を備え、データベース321に二酸化炭素排出ファイル225と換算ファイル226を備える。自己活動設定部208は、顧客の自己活動を設定するものであり、サーバ212上で動作するプログラムとして実装されている。二酸化炭素排出ファイル225は、人、自動車、電気、ガスによる二酸化炭素排出データを含んでおり、換算ファイル226は、二酸化炭素をオフセットするのに必要な二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットのデータを含んでいる。
【0068】
本実施形態4では、まず、顧客は自己活動を設定する(ステップS41)。図17は、この実施形態4における自己活動を設定する画面の例であり、顧客が家族構成、自動車データ、電気使用量、ガス使用量を入力する。なお、図17では、入力にあたり、参考となるデータを参照するために、参照ボタンが設けられている。また、図17では、家族構成、自動車データ、電気使用量、ガス使用量が入力されると、入力データと二酸化炭素排出ファイル225のデータに基づき、演算部206が二酸化炭素排出量を算出するように設けてある(ステップS42)。算出された二酸化炭素排出量は、自己活動設定部208により、本シミュレーションにおける顧客の自己活動による二酸化炭素排出量として設定され、サーバ212の記憶部201に記憶される。
【0069】
ステップS42の処理を終えると、次に、演算部206により、換算ファイル226を用いて、顧客の自己活動による二酸化炭素排出量をオフセットするのに必要な環境影響値が算出される(ステップS43)。環境影響値は、例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなどである。算出された環境影響値は、目標値設定部203により、本シミュレーションにおける目標値として設定され(ステップS44)、サーバ212の記憶部201に記憶される。
【0070】
ステップS44の処理を終えると、次に、住宅の設計仕様を設定する(ステップS45)。住宅の設計仕様を設定する画面は、住宅設計仕様設定部204により表示されるので、顧客は住宅の設計仕様を選定する。選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部204により、本シミュレーションにおける住宅の設計仕様として設定され、サーバ212の記憶部201に記憶される。なお、住宅の設計仕様を設定する画面としては、図6に示す画面を用いることができる。
【0071】
ステップS45の処理を終えると、建材設定部205により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能な建材が設定される(ステップS46)。そして、ステップS46の処理を終えると、適用可能な建材毎に、目標値を満たすための数量が算出される(ステップS47)。具体的には、記憶部201には、目標値設定部203により設定された、目標とする住宅の環境影響値と、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様と、該住宅の設計仕様における各部位への環境影響値の割り当てデータと、該住宅の設計仕様における建設に伴う二酸化炭素排出量データと、建材設定部205により設定された建材のデータが保持されているので、演算部206では、これらのデータを用いて、目標とする住宅の環境影響値を満たすための各建材の数量が算出される。この算出は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットのいずれに対しても行うことができる。算出された結果は、サーバ212の記憶部201に記憶される
【0072】
ステップS47の処理を終えると、建材設定部205により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能で、かつ、目標値を満たす建材が選定される(ステップS48)。具体的には、ステップS46で適用可能と選定された各建材について、ステップS47で算出された数量と、設計仕様ファイルに保持されている建材の必要数量が比較され、ステップS47で算出された数量の方が少ない建材のみが目標値を満たす建材として選定され、サーバ212の記憶部201に記憶される。
【0073】
そして、ステップS48の処理を終えると、次に、建材を設定する(ステップS49)。建材を設定する画面では、ステップS48で目標値を満たすと記憶された建材のみが建材設定部205により表示されるので、顧客は、建材を選定する。顧客により選定された建材は、建材設定部205により、本シミュレーションにおける建材として設定され、目標値、住宅の設計仕様とともに、演算結果ファイルに演算結果コードをつけて保存される。なお、建材を設定する画面としては、図8を用いることができる。
【0074】
図18は、実施形態5におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図であり、図19は、その処理の流れを概略的に示すフローチャートである。本発明の住宅シミュレーションシステムの実施形態5として、設定された住宅のイメージ図を作成する機能を備えることもできる。
【0075】
本実施形態5では、図18に示すように、サーバ213に施工イメージ作成部209を備える。施工イメージ作成部209は、データベース220に記憶されている設計仕様ファイル221及び建材ファイル222のデータを用いて施工シミュレーションを行う機能をクライアント装置120に対して提供する。
【0076】
本実施形態5でも、まず、目標を設定する(ステップS51)。目標を設定する画面としては、図6を用いることができる。目標を設定する画面は、目標値設定部203により表示されるので、顧客は、目標とする住宅の環境影響値(例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなど)を入力する。そして、顧客により入力された値は、目標値設定部203により、本シミュレーションにおける目標値として設定され、サーバ213の記憶部201に記憶される。
【0077】
次に、住宅の設計仕様を設定する(ステップS52)。本実施形態5における、住宅の設計仕様の設定を行う画面としては、図11を用いることができるが、非常に簡素化することができる。なお、住宅の設計仕様を設定する画面は、住宅設計仕様設定部204により表示されるので、顧客は住宅の設計仕様を選定する。選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部204により、本シミュレーションにおける住宅の設計仕様として設定され、サーバ213の記憶部201に記憶される。
【0078】
次に、建材設定部205により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能な建材が選定され(ステップS53)、ステップS53の処理を終えると、適用可能な建材毎に、目標値を満たすための数量が算出される(ステップS54)。具体的には、記憶部201には、目標値設定部203により設定された、目標とする住宅の環境影響値と、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様と、該住宅の設計仕様における各部位への環境影響値の割り当てデータと、該住宅の設計仕様における建設に伴う二酸化炭素排出量データと、建材設定部205により設定された建材のデータが保持されているので、演算部206では、これらのデータを用いて、目標とする住宅の環境影響値を満たすための各建材の数量が算出される。この算出は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットのいずれに対しても行うことができる。算出された結果は、サーバ213の記憶部201に記憶される。
【0079】
ステップS54の処理を終えると、建材設定部205により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能で、かつ、目標値を満たす建材が選定される(ステップS55)。具体的には、ステップS53で適用可能と選定された各建材について、ステップS54で算出された数量と、設計仕様ファイルに保持されている建材の必要数量が比較され、ステップS54で算出された数量の方が少ない建材のみが目標値を満たす建材として選定され、サーバ213の記憶部201に記憶される。
【0080】
そして、ステップS55の処理を終えると、次に、建材を設定する(ステップS56)。建材を設定する画面では、ステップS55で目標値を満たすと記憶された建材のみが建材設定部205により表示されるので、顧客は、建材を選定する。本実施形態5では、施工イメージ作成部により施工イメージを作成することができるので、建材を設定する画面としては、図20、21に示すような、建材の施工される位置を確認しながら設定する画面を用いることができる。なお、図20は通し柱を選定する画面であり、左には構造躯体の図が、右には適用可能な柱材が表示されており、左の構造躯体図においては、設定しようとしている柱材の箇所がどこであるか判別可能なように斜線で示されており、設定しようとする柱材が住宅のどこに施工されるものか確認しながら設定することができる。また、各柱材については、商品画像、価格、寸法、材料、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、カーボン・クレジット、及びカーボン・フットプリントの情報が表示されるので、顧客は情報を参照しながら建材を選定することができる。更に、各柱材の商品情報欄には、詳細情報のボタンが設けてあり、クリックすると、その柱材について、より詳しい情報が表示されるように設定されている。なお、選択した柱材の画像を左の構造躯体図に反映させるようにすることも可能である。図21は、住宅の2階部分の外壁として施工する外壁材を設定する画面であり、左には住宅図が、右には適用可能な外壁材が表示されており、左の住宅図においては、設定しようとしている外壁材の箇所がどこであるか判別可能なように斜線で示されており、設定しようとする外壁材が住宅のどこに施工されるものか確認しながら設定することができる。なお、図21についても、図20と同様に、各外壁材の商品情報欄が設けてあり、情報を参照しながら外壁材を選定することができる。また、選択した外壁材の画像を左の住宅図に反映させることもできる。選定する建材をクリックして、決定ボタン301をクリックすることにより、顧客により選定された建材は、建材設定部205により、本シミュレーションにおける建材として設定され、サーバ213の記憶部201に記憶される。取消ボタン306をクリックすることにより、仮に選定した建材の選定を取り消すことができる。戻るボタン302をクリックすることにより、前画面に戻る。終了ボタン307をクリックすることにより、建材の設定ステップS56の処理を終える。
【0081】
ステップS56の処理を終えると、施工イメージ作成部209により、設定された住宅の設計仕様と建材により、住宅の施工イメージ図が作成される(ステップS57)。住宅の施工イメージ図の例を図22、23に示す。そのため、顧客は、施工イメージ図と、例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、又はカーボン・フットプリントなどを参照して、住宅を決めることができる。この住宅の施工イメージデータは演算結果とともに演算結果ファイル223に記憶され、印刷ボタン308をクリックすることにより、随時、印刷することができる。
【0082】
以上、本発明の住宅シミュレーションシステムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態又は他の実施形態にかかる発明の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。また、住宅の外壁面、内壁面、躯体等の一部にのみ適用することも可能である。本発明の住宅シミュレーションシステムは、コンピュータを本住宅シミュレーションシステムとして機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されていてもよい。
このプログラムを記録した記録媒体は、図1に示される住宅シミュレーションシステムのROMそのものであってもよいし、また、外部記憶装置としてCD−ROMドライブ等のプログラム読取装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なCD−ROM等であってもよい。
また、上記記録媒体は、磁気テープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、ハードディスク、MO/MD/DVD等、又は半導体メモリであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなどの環境影響値の目標値を定め、それを満たすことができる住宅を設計することができる住宅シミュレーションシステム及びプログラムを提供することができる。このシステムにより、環境への貢献の大きい建材の販売が促進されるとともに、顧客は環境への貢献を把握することができる。また、二酸化炭素の抑制、改善に繋がる。更に、建設する際に排出された二酸化炭素をオフセットすることが可能な住宅を意図的に設計することが可能となるので、環境への貢献も大きい。
【符号の説明】
【0084】
200 主制御部
201 記憶部
202 ネットワークインターフェイス部
203 目標値設定部
204 住宅設計仕様設定部
205 建材設定部
206 演算部
207 比較部
208 自己活動設定部
209 施工イメージ作成部
220 データベース
221 設計仕様ファイル
222 建材ファイル
223 演算結果ファイル
224 顧客情報ファイル
225 二酸化炭素排出ファイル
226 換算ファイル
400 主制御部
401 記憶部
402 表示部
403 入力部
404 ネットワークインターフェイス部
405 ユーザインターフェイス部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の設計仕様情報を有する設計仕様ファイルと、建材毎の環境影響値を含む建材情報を有する建材ファイルとを記憶するデータベースと、
住宅の環境影響値の目標値を設定する目標値設定部と、
住宅の設計仕様を設定する住宅設計仕様設定部と、
建材を設定する建材設定部と、
前記目標値設定部により設定された前記目標値と、前記住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様と、前記データベースの情報とに基づき、該目標値に必要な建材の量を算出する演算部と
を備えることを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記演算部は、前記建材設定部により設定された建材について、前記目標値に必要な建材の量を算出することを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
更に、比較部を備え、
前記比較部は、建材毎に、前記演算部により算出された、前記目標値に必要な建材の量と、前記住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様を実現するために必要な建材の量を比較することを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステムであって、
更に、顧客の自己活動を設定する自己活動設定部と、
生活状況に基づく二酸化炭素排出データを有する二酸化炭素排出ファイルとを備え、
前記二酸化炭素排出ファイルは前記データベースに記憶されており、
前記演算部は、前記自己活動設定部により設定された顧客の自己活動に関するデータと、前記二酸化炭素排出ファイルとに基づき二酸化炭素排出量を算出することを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記演算部は、算出された二酸化炭素排出量から必要な環境影響値を算出し、
前記目標値設定部は、前記演算部により算出された必要な環境影響値を目標値として設定することを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記設計仕様ファイルは、設計仕様毎に適用可能な建材のデータを有することを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材ファイルは、建材毎に適用可能な設計仕様のデータを有することを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材設定部は、設定された住宅の設計仕様に適用する建材のみを適用可能な建材として顧客に提示し、顧客が選択した建材を設定された建材と決定することを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記設計仕様ファイルは、設計仕様毎に適用可能な建材の必要量のデータを有することを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材ファイルは、建材毎に適用可能な設計仕様における必要量のデータを有することを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記演算部は、適用可能な建材について、前記目標値設定部により設定された住宅の環境影響値に必要な建材の量を算出し、
前記比較部は、適用可能な建材について、前記目標値設定部により設定された住宅の環境影響値に必要な建材の量と、前記設計仕様ファイル又は前記建材ファイルに記憶されている必要量を比較して、適用可能な建材を設定し、
前記建材設定部は、前記比較部により適用可能と判断された建材のみを適用可能な建材として顧客に提示し、顧客が選択した建材を設定された建材と決定する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材ファイルは、建材毎の商品名、寸法、形状、及びイメージデータを有することを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1〜12のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステム、として機能させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−215957(P2012−215957A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79196(P2011−79196)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【特許番号】特許第4931264号(P4931264)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(000110860)ニチハ株式会社 (182)
【Fターム(参考)】