説明

住宅完成バックアップ方法

【解決課題】住宅完成エスクローシステムにおいて、住宅の建築工事の途中で、ビルダーによる建築工事の完了ができなくなっても、住宅を完成させることができる住宅完成バックアップ方法を提供すること。
【解決手段】工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、支払予定表作成工程と、各建築工程の工程終了検査日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの検査を行う検査工程と、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、を有し、該検査工程の検査結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をすること、を特徴とする住宅完成バックアップ方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工主(買主)とビルダー(売主)との住宅建築の請負契約(完成住宅の売買契約)に基く報酬(代金)の支払いにおいて、信託会社を介在させることによる後払い式出来高払いの住宅完成エスクローシステム、及び該住宅完成エスクローシステムにおいて、ビルダー(売主)が建築工事を完了させることができなくなった場合に、バックアップビルダーに、残りの建築工事を代行させ、住宅の建築工事を完了させて、住宅を完成させる住宅完成バックアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
施工主とビルダーとの間の住宅の建築工事の請負契約においては、建築工事の途中で、該ビルダーが倒産等により、建築工事を完了させることができなくなり、住宅の建築工事に対する報酬を全額支払ったにも関らず、住宅が完成されないという該施工主のリスク、及び該施工主の破産等により、建築工事を完了させたにも関らず、報酬が受け取れないという該ビルダーのリスクがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来は、該施工主による住宅の建築工事に対する報酬の先払いが通常であったため、該施工主が上記リスクを一方的に負うことになっていた。そのため、住宅の建築工事の途中で、該ビルダーが倒産等により建築工事を完了させることができなくなった場合には、該施工主が住宅を完成させるためには、新たなビルダーを選定し、終わっていない部分の建築工事を発注し、それに対する報酬を支払わなければならず、その部分についての二重払いのリスクが発生するという問題があった。また、住宅の建築工事が中断されてしまい、住宅が完成されなくなるという問題があった。
【0004】
従って、本発明の課題は、上記のような施工主のリスクを回避し、住宅の建築工事の途中で、ビルダーによる建築工事の完了ができなくなっても、住宅を完成させることができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題は、以下の発明によって、解決される。すなわち、本発明(1)は、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該ビルダーに代わって建築工事を引き継ぐか、又は該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、前記バックアップビルダーへの前記建築工事の代行指示があったときには、それ以後、自ら建築工事を引き継いた前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーが建築工事を代行し、前記統括管理体は、代行以後に建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、前記工程終了確認工程、前記支払要求確認工程、及び前記支払要求正当性確認工程を行い、建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、前記信託会社に、建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーへの報酬の支払指示をすることを特徴とする(1)の住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0007】
また、本発明(2)は、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該ビルダーから建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該ビルダーに代わって建築工事を引き継ぐか、又は該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、前記バックアップビルダーへの前記建築工事の代行指示があったときには、それ以後、自ら建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーが建築工事を代行し、前記統括管理体は、代行以後に建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、前記工程終了確認工程、前記支払要求確認工程、及び前記支払要求正当性確認工程を行い、建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、前記信託会社に、建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーへの報酬の支払指示及び前記下請け業者への完了分の請負工事報酬の支払指示をすることを特徴とする(2)の住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明(3)は、売主から完成住宅を購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該売主に代わって建築工事を引き継ぐか、又は該売主に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、前記バックアップビルダーへの前記建築工事の代行指示があったときには、それ以後、自ら建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーが建築工事を代行し、前記統括管理体は、代行以後に建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、前記工程終了確認工程、前記支払要求確認工程、及び前記支払要求正当性確認工程を行い、建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、前記信託会社に、建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーへの報酬の支払指示をすることを特徴とする(3)の住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明(4)は、売主から完成住宅を購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該売主から建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への代金の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該売主に代わって建築工事を引き継ぐか、又は該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、前記バックアップビルダーへの前記建築工事の代行指示があったときには、それ以後、自ら建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーが建築工事を代行し、前記統括管理体は、代行以後に建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、前記工程終了確認工程、前記支払要求確認工程、及び前記支払要求正当性確認工程を行い、建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、前記信託会社に、建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーへの報酬の支払指示及び前記下請け業者への完了分の請負工事報酬の支払指示をすることを特徴とする(4)の住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0013】
また、本発明(5)は、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、前記代替ビルダーへの前記建築工事の引き継ぎ指示があったときには、それ以後、前記代替ビルダーが建築工事を代行し、前記統括管理体は、代行以後に前記代替ビルダーの行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、前記工程終了確認工程、前記支払要求確認工程、及び前記支払要求正当性確認工程を行い、前記代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、前記信託会社に、前記代替ビルダーへの報酬の支払指示をすることを特徴とする(5)の住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0015】
また、本発明(6)は、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該ビルダーから建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が、不当」であったときは、該統括管理体が、該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、前記代替ビルダーへの前記建築工事の引き継ぎ指示があったときには、それ以後、前記代替ビルダーが建築工事を代行し、前記統括管理体は、代行以後に前記代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、前記工程終了確認工程、前記支払要求確認工程、及び前記支払要求正当性確認工程を行い、前記代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、前記信託会社に、前記代替ビルダーへの報酬の支払指示及び前記下請け業者への完了分の請負工事報酬の支払指示をすることを特徴とする(6)の住宅完成バックアップ方法。
【0017】
また、本発明(7)は、売主から完成住宅を購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、該売主に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0018】
また、本発明は、前記代替ビルダーへの前記建築工事の引き継ぎ指示があったときには、それ以後、前記代替ビルダーが建築工事を代行し、前記統括管理体は、代行以後に前記代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、前記工程終了確認工程、前記支払要求確認工程、及び前記支払要求正当性確認工程を行い、前記代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、前記信託会社に、前記代替ビルダーへの報酬の支払指示をすることを特徴とする(7)の住宅完成バックアップ方法。
【0019】
また、本発明(8)は、売主から完成住宅を購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該売主から建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への代金の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、該売主に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、前記代替ビルダーへの前記建築工事の引き継ぎ指示があったときには、それ以後、前記代替ビルダーが建築工事を代行し、前記統括管理体は、代行以後に前記代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、前記工程終了確認工程、前記支払要求確認工程、及び前記支払要求正当性確認工程を行い、前記代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、前記信託会社に、前記代替ビルダーへの報酬の支払指示及び前記下請け業者への完了分の請負工事報酬の支払指示をすることを特徴とする(8)の住宅完成バックアップ方法。
【0021】
また、本発明は、撮影した映像の電子データに、位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラを用いて、建築現場の写真を撮影し、次いで、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを結合させ、次いで、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを電子認証機関に送信して、電子認証を要求し、該認証機関から電子認証を受信し、次いで、電子認証付きの検査結果の電子データを、前記ビルダー、前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダー、及び前記統括管理体に送信することにより、前記検査工程を行うことを特徴とする(1)〜(8)いずれかの住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、前記各建築工程の終了予定日、前記各建築工程の内容、該終了予定日から算出される終了検査予定日、及び該終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに前記支払要求予定日及び該支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納された電子計算機により、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に該終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成して、該検査機関に該検査指示書を送付し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成して、該工程終了確認者に該工程終了確認指示書を送付し、各建築工程の終了に対する報酬又は代金の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成して、該支払要求確認者に該支払要求確認指示書を送付し、該工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、該支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったときは、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」の入力があったときは、前記バックアップビルダーに建築工事の代行指示をするための代行指示書を作成して、前記バックアップビルダーに該代行指示書を送付することを特徴とする(1)〜(4)いずれかの住宅完成バックアップ方法を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、前記各建築工程の終了予定日、前記各建築工程の内容、該終了予定日から算出される終了検査予定日、及び該終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに前記支払要求予定日及び該支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納された電子計算機により、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に該終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成して、該検査機関に該検査指示書を送付し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成して、該工程終了確認者に該工程終了確認指示書を送付し、各建築工程の終了に対する報酬又は代金の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成して、該支払要求確認者に該支払要求確認指示書を送付し、該工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、該支払要求確認者からの報告に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」の入力があったときは、前記代替ビルダーを選定する選定者に代替ビルダー選定指示をするための選定指示書を作成し、該選定者に該選定指示書を送付することを特徴とする(5)〜(8)いずれかの住宅完成バックアップ方法を実施するための住宅完成バックアップシステム。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上記のような施工主又は買主のリスクを回避し、住宅の建築工事の途中で、ビルダー又は売主による建築工事の完了ができなくなっても、住宅を完成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の住宅完成バックアップ方法(1)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。
【図2】本発明の住宅完成バックアップ方法(1)が実施される住宅完成エスクローシステム20aである。
【図3】本発明の住宅完成バックアップ方法(1)が実施される住宅完成エスクローシステム20aである。
【図4】本発明の住宅完成バックアップ方法(1)が実施される住宅完成エスクローシステム20aである。
【図5】本発明の住宅完成バックアップ方法(1)が実施される住宅完成エスクローシステム20aである。
【図6】本発明の住宅完成バックアップ方法(2)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。
【図7】本発明の住宅完成バックアップ方法(2)が実施される住宅完成エスクローシステム20bである。
【図8】本発明の住宅完成バックアップ方法(2)が実施される住宅完成エスクローシステム20bである。
【図9】本発明の住宅完成バックアップ方法(2)が実施される住宅完成エスクローシステム20bである。
【図10】本発明の住宅完成バックアップ方法(2)が実施される住宅完成エスクローシステム20bである。
【図11】本発明の住宅完成バックアップ方法(3)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。
【図12】本発明の住宅完成バックアップ方法(3)が実施される住宅完成エスクローシステム20cである。
【図13】本発明の住宅完成バックアップ方法(3)が実施される住宅完成エスクローシステム20cである。
【図14】本発明の住宅完成バックアップ方法(3)が実施される住宅完成エスクローシステム20cである。
【図15】本発明の住宅完成バックアップ方法(3)が実施される住宅完成エスクローシステム20cである。
【図16】本発明の住宅完成バックアップ方法(4)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。
【図17】本発明の住宅完成バックアップ方法(4)が実施される住宅完成エスクローシステム20dである。
【図18】本発明の住宅完成バックアップ方法(4)が実施される住宅完成エスクローシステム20dである。
【図19】本発明の住宅完成バックアップ方法(4)が実施される住宅完成エスクローシステム20dである。
【図20】本発明の住宅完成バックアップ方法(4)が実施される住宅完成エスクローシステム20dである。
【図21】本発明の住宅完成バックアップ方法(5)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。
【図22】本発明の住宅完成バックアップ方法(5)が実施される住宅完成エスクローシステム40aである。
【図23】本発明の住宅完成バックアップ方法(5)が実施される住宅完成エスクローシステム40aである。
【図24】本発明の住宅完成バックアップ方法(5)が実施される住宅完成エスクローシステム40aである。
【図25】本発明の住宅完成バックアップ方法(6)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。
【図26】本発明の住宅完成バックアップ方法(6)が実施される住宅完成エスクローシステム40bである。
【図27】本発明の住宅完成バックアップ方法(6)が実施される住宅完成エスクローシステム40bである。
【図28】本発明の住宅完成バックアップ方法(6)が実施される住宅完成エスクローシステム40bである。
【図29】本発明の住宅完成バックアップ方法(7)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。
【図30】本発明の住宅完成バックアップ方法(7)が実施される住宅完成エスクローシステム40cである。
【図31】本発明の住宅完成バックアップ方法(7)が実施される住宅完成エスクローシステム40cである。
【図32】本発明の住宅完成バックアップ方法(7)が実施される住宅完成エスクローシステム40cである。
【図33】本発明の住宅完成バックアップ方法(8)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。
【図34】本発明の住宅完成バックアップ方法(8)が実施される住宅完成エスクローシステム40dである。
【図35】本発明の住宅完成バックアップ方法(8)が実施される住宅完成エスクローシステム40dである。
【図36】本発明の住宅完成バックアップ方法(8)が実施される住宅完成エスクローシステム40dである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第一の形態の住宅完成バックアップ方法(以下、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)とも記載する。)について、図1〜図5を参照して説明する。図1は、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。図2〜図5は、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)が実施される住宅完成エスクローシステム20aである。そして、図1に示す契約に基づいて、図2〜図5に示す住宅完成エスクローシステム20aが構築される。
【0027】
図2〜図5中の住宅完成エスクローシステム20aは、図1に示すように、施工主1とビルダー2との間の住宅の建築工事の請負契約10をきっかけに構築される。先ず、請負契約10が締結されると、施工主1、ビルダー2及び統括管理体3の3者間で、住宅完成エスクロー契約13aが締結される。住宅完成エスクロー契約13aは、施工主1は、住宅の建築工事に対する報酬を信託財産6として、信託会社4に預けること、ビルダー2は、請負契約10に基づき建築工事を行い、予め定められた住宅の建築工事の過程が終了する毎に、終了検査を受け、終了検査に合格したときには、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求8を統括管理体3にすること、統括管理体3は、ビルダー2が住宅の建築工事を行っている間は、ビルダー2からの支払要求8に基づき、信託会社4に、ビルダー2への報酬7の支払指示9aをし、バックアップビルダー5に建築工事の代行指示14をした後は、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5又は代替ビルダー19からの支払要求8に基づき、信託会社4に、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5又は代替ビルダー19への報酬7の支払を指示する支払指示9bをすることを、主たる内容とする。
【0028】
次いで、統括管理体3及び信託会社4の2者間で、信託契約11が締結される。信託契約11は、信託会社4は、施工主1からの信託財産6を預かると共に、統括管理体3からの報酬の支払指示9aに従い、信託財産6の中から、報酬7をビルダー2に支払うこと、主たる内容とする。
【0029】
また、統括管理体3、ビルダー2及びバックアップビルダー5の3者間で、住宅完成バックアップ契約12aが締結される。住宅完成バックアップ契約12aは、ビルダー2は、予め定められた住宅の建築工事の過程毎に、統括管理体3による終了検査を受けること、統括管理体3は、各建築工程毎に、後述する工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程を行い、その結果が、「工程未終了」、「支払要求無し」又は「不当」との結果であったときに、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をすること、バックアップビルダー5は、統括管理体3からの建築工事の代行指示14を受け取けたならば、自らがビルダー2に代わって建築工事を引き継ぐか、又はビルダー2に代って住宅の建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすることを、主たる内容とする。
【0030】
このように、住宅完成エスクローシステム20aは、住宅の建築工事の請負契約10をきっかけに締結される、住宅完成エスクロー契約13a、信託契約11及び住宅完成バックアップ契約12aに基づき構築される。
【0031】
図2〜図5中、住宅完成エスクローシステム20aは、住宅の建築工事を発注する施工主1と、施工主1からの住宅の建築工事を請け負うビルダー2と、施工主1が支払うべき報酬を信託財産6として預かる信託会社4と、ビルダー2が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関15に検査させる検査指示16をすると共に、ビルダー2からの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求8を受けて、信託会社4に報酬の支払指示9aをする統括管理体3と、統括管理体3の検査指示16により、各建築工事の終了検査を行い、ビルダー2及び統括管理体3に検査結果17及び検査結果18を報告する検査機関15と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らがビルダー2に代わって建築工事を引き継ぐか、又はビルダー2に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダー5からなる。
【0032】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)は、住宅完成エスクローシステム20aにおいて、実施される。
【0033】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)は、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該ビルダーに代わって建築工事を引き継ぐか、又は該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法である。
【0034】
工程終了予定表作成工程では、先ず、住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分ける。例えば、住宅の建築工事の過程を、基礎背筋工事工程、躯体工事工程、中間工事工程及び最終工事工程の4工程に分ける。次いで、複数に分けた各建築工程で完了されるべき内容、言い換えると、検査機関15により終了検査を受けるべき内容と、各建築工程の終了予定日と、を定める。なお、本発明において、各建築工程の終了とは、検査機関15により終了検査を受け、終了検査に合格することを言う。次いで、各建築工程の終了予定日に基づいて、各建築工程の終了検査予定日と、工程終了確認日と、を定める。各建築工程の終了検査予定日は、例えば、各建築工程の終了予定日の3日前に相当する日とのように定められる。工程終了確認日は、各建築工程の終了を確認する日、言い換えると、各建築工程での終了検査に合格していなければならない日である。工程終了確認日は、例えば、各建築工程の終了予定日の1週間後に相当する日とのように定められる。そして、住宅の建築工事の完了までの各建築工程と、各建築工程の内容と、各建築工程の終了検査予定日と、各建築工程の終了予定日と、工程終了確認日と、が格納された工程終了予定表を作成する。
【0035】
工程終了予定表は、例えば、コンピュータに格納される。そして、工程終了予定表が、コンピュータに格納される場合は、各建築工程の終了検査予定日は、各建築工程の終了予定日の何日前の日を、各建築工程の終了検査予定日とするかを、コンピュータで定義し、各建築工程の終了予定日を入力することにより算出され、また、工程終了確認日は、各建築工程の終了予定日の何日後の日を、工程終了確認日とするかを、コンピュータで定義し、工程終了予定日を入力することにより算出される。
【0036】
支払予定表作成工程では、工程終了予定表作成工程で複数に分けられた各建築工程が終了する毎に、ビルダー2が、各建築工程の終了に対する報酬の支払を、統括管理体3に要求する支払要求予定日を定める。支払要求予定日は、例えば、各建築工程の終了予定日の2週間後に相当する日とのように定められる。次いで、支払予定表作成工程では、各建築工程の支払要求予定日に基づいて、ビルダー2からの報酬の支払要求8の有無を確認する支払要求確認日を定める。支払要求確認日は、例えば、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求予定日の1週間後に相当する日とのように定められる。そして、住宅の建築工事の完了までの各建築工程と、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求予定日と、支払要求確認日と、が格納された支払予定表を作成する。
【0037】
支払予定表は、例えば、コンピュータに格納される。そして、支払予定表が、コンピュータに格納される場合は、支払要求予定日は、各建築工程の終了予定日の何日後の日を、支払要求予定日とするかを、コンピュータで定義し、工程終了予定日を入力することにより算出され、また、支払要求確認日は、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求予定日の何日後の日を、支払要求確認日とするかを、コンピュータで定義し、支払要求予定日が算出されることにより、その日を基に算出される。
【0038】
検査工程は、各建築工程の工程終了確認工程の前に行われる工程であり、各建築工程の終了検査を行う工程である。検査工程における終了検査では、先ず、図2に示すように、統括管理体3が、各建築工程毎に、例えば、その工程の終了検査予定日又はそれ以前に、検査内容を指示するための検査指示表を作成し、検査機関15に、作成された検査指示表を提示することにより、検査機関15に、各建築工程の終了検査の検査指示16をする。次いで、検査指示16を受けた検査機関15は、終了検査予定日に、検査指示書の検査内容に基づいて、すなわち、工程終了予定表作成工程で定められた各建築工程で終了されているべき工事内容と、実際の建築現場の工事の状況と、を比較対比することにより、終了検査を行う。そして、検査機関15は、終了予定の建築工程が終了しているか否かを判定して、終了予定の建築工程が終了していた場合には「合格」と、終了していなかった場合には「不合格」とする。次いで、検査機関15は、検査結果の電子データを作成する。
【0039】
また、同時に、検査機関15は、撮影した映像の電子データに、位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ機能を有する記録装置を用いて、建築現場の検査対象を撮影する。位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ機能を有する記録装置としては、特に制限されるものではなく、緯度及び経度の位置情報と、時刻情報とを、撮影した映像の電子データに結合させて、位置情報及び時刻情報と映像の電子データとが一体化した電子データを記録できるものであればよく、GPS内蔵デジタルカメラ、GPS内蔵デジタルカメラ付きスマートフォン等が挙げられる。
【0040】
次いで、検査機関15は、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを結合させる。
【0041】
次いで、検査機関15は、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを、インターネット、電話回線等を通じて、電子認証機関、詳細には、電子認証機関のサーバーに送信すると共に、電子認証機関に電子認証を要求する。ここで、検査機関15から電子認証を要求された電子認証機関では、位置情報、時刻情報及び映像の電子データの認証条件の確認が行われ、条件が整うと、電子認証機関は、認証を要求してきた検査機関15へ、電子認証付きの検査結果の電子データを送信する。そして、検査機関15は、電子認証機関から電子認証付きの検査結果の電子データを受信する。なお、電子認証とは、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データが改ざんされていないことを、電子認証期間が、認証又は証明することである。また、電子認証機関としては、ジオサイン株式会社等が挙げられる。
【0042】
次いで、検査機関15は、電子認証機関から電子認証付きの検査結果の電子データを受信すると、次いで、電子認証付きの検査結果の電子データを、ビルダー2及び統括管理体3に送信することにより、ビルダー2及び統括管理体3へ、検査結果17及び18を報告する。以上のようにして、検査工程が行われる。
【0043】
なお、上記検査工程での、検査機関15による終了検査の方法は、一例であり、これに制限されず、各建築工程の終了検査の実施並びにビルダー及び統括管理体への検査結果の報告が適切に行われる方法が、適宜選択される。
【0044】
検査機関15が、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを結合させ、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを、電子認証機関のサーバーに送信する手段の一形態例としては、例えば、(1)位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ付きのスマートフォンで、建築現場の検査対象の写真を撮影し、次いで、スマートフォンにて、検査結果を作成して、作成した検査結果に、映像の電子データを添付して結合させ、電子認証機関のサーバーに送信する方法や、(2)位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラで、建築現場の検査対象を撮影し、次いで、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを、ノート型パソコン等の携帯パソコンに読み込ませ、次いで、携帯パソコンにて、検査結果を作成し、次いで、作成した検査結果に、映像の電子データを添付して結合させ、電子メールにて、電子認証機関のサーバーに送信する方法等が挙げられる。
【0045】
検査工程において、統括管理体3は、自ら検査機関15となる検査員を建築現場に派遣して、派遣した検査員に終了検査を行わせてもよいし、あるいは、他の検査機関に終了検査を行わせてもよい。
【0046】
そして、検査工程での終了検査の結果が合格(工程終了との判断)であった旨の検査結果の報告を受けたビルダー2は、統括管理体3に、検査機関15から受け取った検査結果17を付して、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求8をする。なお、この点は、後述する本発明の住宅完成バックアップ方法(2)〜(8)についても同様である。
【0047】
一方、終了検査の結果が不合格(工程未終了との判断)であった旨の検査結果の報告を受けたビルダー2は、不合格箇所を修正し、再度、終了検査を受けために、統括管理体3に再検査要請をする。再検査要請を受けた統括管理体3は、検査機関15に、終了検査の再検査の指示をする。再検査の指示を受けた検査機関15は、再度、終了予定の建築工程が終了しているか否かの終了検査を行い、その結果をビルダー2及び統括管理体3に報告する。なお、終了検査の再検査は、複数回行われることもある。また、ビルダー2からの終了検査の再検査要請が、直接、検査機関15にされる形態でもよい。なお、この点は、後述する本発明の住宅完成バックアップ方法(2)〜(8)についても同様である。
【0048】
工程終了確認工程では、各建築工程の工程終了確認日毎に、工程終了確認者が、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認、すなわち、検査機関15から、その日までに各建築工程の終了検査に合格した旨の検査結果18を受け取っているか否かの確認を行う。各建築工程毎に、その工程の工程終了確認日又はそれ以前に、工程終了確認者に工程終了確認を指示するための工程終了確認指示書を作成し、工程終了確認者に、作成された工程終了確認指示書を提示する。次いで、工程終了確認者が、工程終了確認指示書に基づいて、工程終了確認日に各建築工程が終了しているか否かを確認する。
【0049】
工程終了予定表が、コンピュータに格納される場合は、各建築工程毎に、コンピュータに格納されている工程終了予定表を基に、コンピュータにより検査指示書が作成される。また、予め、コンピュータに、検査機関15への検査指示書の発信日及び発信先を入力しておけば、自動的に、コンピュータにより検査機関15に検査指示書を発信させて提示することもできる。また、各建築工程毎に、コンピュータに格納されている工程終了予定表を基に、コンピュータにより工程終了確認指示書が作成される。また、予め、コンピュータに、工程終了確認者への工程終了確認指示書の発信日及び発信先を入力しておけば、自動的に、コンピュータにより工程終了確認者に工程終了確認指示書を発信させて提示することもできる。なお、この点は、後述する本発明の住宅完成バックアップ方法(2)〜(8)についても同様である。
【0050】
支払要求確認工程では、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、ビルダー2からの報酬の支払い要求が有ったか否かの確認を行う。先ず、支払要求確認工程では、各建築工程毎に、その工程の終了に対する報酬の支払要求確認日又はそれ以前に、支払要求確認者に支払要求確認を指示するための支払要求確認指示書を作成し、支払要求確認者に、作成された支払要求確認指示書を提示する。次いで、支払要求確認者が、支払要求確認指示書に基づいて、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求が有ったか否かを確認する。
【0051】
支払予定表が、コンピュータに格納される場合は、各建築工程毎に、コンピュータに格納されている支払予定表を基に、コンピュータにより支払要求指示書が作成される。また、予め、コンピュータに、支払要求確認者への支払要求確認指示書の発信日及び発信先を入力しておけば、自動的に、コンピュータにより該支払要求確認者に支払要求確認指示書を発信させて提示することもできる。なお、この点は、後述する本発明の住宅完成バックアップ方法(2)〜(8)についても同様である。
【0052】
支払要求正当性確認工程では、ビルダー2からの支払要求8を受けた統括管理体3は、支払要求8に付されている検査結果と、検査機関15から受け取った検査結果18とを照合して、ビルダー2からの支払要求8が「正当」か「不当」かの確認を行う。具体的には、統括管理体3は、支払要求正当性確認者に、支払要求8に付されている検査結果と、検査機関15から受け取った検査結果18とを照合して、ビルダー2からの支払要求8が「正当」か「不当」かの確認を行う。なお、ビルダー2からの支払要求8が「正当」か「不当」かの確認であるが、統括管理体3は、支払要求8に付されている検査結果と、検査機関15から受け取った検査結果18とを照合して、支払要求8に付されている検査結果と、検査機関15から受け取った検査結果18とに、違いがないか、すなわち、支払要求8に付されている検査結果が改ざんされていないかどうかを調べ、改ざんが無かった場合は「正当」と、改ざんが有った場合には「不当」とする。また、検査機関15から検査結果18を受け取っていないのに、ビルダーから、検査結果が付された支払要求8を受け取った場合は、「不当」とする。
【0053】
支払要求正当性確認工程の確認結果が、「正当」であった場合には、統括管理体3は、信託会社4に、終了した建築工程に対応する額の報酬を支払う旨の報酬の支払指示9aをする。統括管理体3から報酬の支払指示9aを受けた信託会社4は、支払を指示された額、すなわち、終了した建築工程に対応する額の報酬7を、ビルダー2に支払う。
【0054】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)では、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったときは、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であった場合には、統括管理体3は、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をする。つまり、工程終了確認者からの「工事未終了」の報告を受け取ったとき、支払要求確認者からの「支払要求無し」の報告を受け取ったとき、又は支払要求正当性確認者からの「不当」の報告を受け取ったときは、統括管理者3は、建築工事の代行指示書を作成し、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をする。
【0055】
なお、本発明においては、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときを、建築工事の代行が必要なときと判断する。この点は、後述する本発明の住宅完成バックアップ方法(2)〜(8)についても同様である。
【0056】
工程終了予定表及び支払予定表が、コンピュータに格納される場合は、コンピュータに、工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力又は支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったときは、コンピュータにより建築工事の代行指示書が作成され、予め、コンピュータに、バックアップビルダー5への発信先を入力しておけば、自動的に、コンピュータによりバックアップビルダー5に建築工事の代行指示書を発信させて提示することもできる。なお、この点は、後述する本発明の住宅完成バックアップ方法(2)〜(4)についても同様である。
【0057】
また、支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」の入力があったときは、コンピュータにより建築工事の代行指示書が作成され、予め、コンピュータに、バックアップビルダー5への発信先を入力しておけば、自動的に、コンピュータによりバックアップビルダー5に建築工事の代行指示書を発信させて提示することもできる。なお、この点は、後述する本発明の住宅完成バックアップ方法(2)〜(4)についても同様である。
【0058】
本発明の住宅完成バックアップ方法(1)が実施されて、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14がされた後は、バックアップビルダー5は、自らがビルダー2に代わって建築工事を引き継ぐか、又はビルダー2に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。ビルダー2に代わって建築工事を引き継いだバックアップビルダー5、又は建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーは、住宅を完成させるために、ビルダー2に代わって、住宅の建築工事を代行する。
【0059】
このように、住宅完成エスクローシステム20aでは、ビルダー2が、正常に建築工事を行っている間は、図2に示すように、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、ビルダー2及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けたビルダー2は、建築工程の終了に対応する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求8をし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の報酬の支払指示9aをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、施工主1から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬7を、ビルダー2に支払う。
【0060】
一方、ビルダー2に異常があったとき、すなわち、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、図3(A)に示すように、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示9aを行わずに、バックアップビルダー5に、代行指示14をする。代行指示14があった以後は、図4(B)に示すように、バックアップビルダー5に選定された代替ビルダー19が、ビルダー2に代わって、建築工事を代行するか、又は図5(C)に示すように、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5自らが、ビルダー2に代わって、建築工事を代行する。
【0061】
そして、代行指示14があった以後は、図2中のビルダー2に代わって、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)となること以外は、ビルダー2が、正常に建築工事を行っている間と同様である。つまり、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)は、建築工程の終了に対応する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求8をし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の報酬の支払指示9aをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、施工主1から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬7を、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)に支払う。
【0062】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)では、バックアップビルダーへの建築工事の代行指示があったときには、それ以後、建築工事を引き継いだバックアップビルダー、又はバックアップビルダーに選定され、バックアップビルダーから建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーが建築工事を代行し、統括管理体は、代行以後に建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、工程終了確認工程、支払要求確認工程、及び支払要求正当性確認工程を行い、建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、信託会社に、建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーへの報酬の支払指示をする。
【0063】
そして、代替ビルダー19が建築工事を引き継いだ場合(図4に示す場合)は、更に、バックアップビルダー5が選定した代替ビルダー19に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示9aを行わずに、バックアップビルダー5に、代行指示14をする。代行指示14を受けたバックアップビルダー5は、代替ビルダー19に代って建築工事を引き継がせる第二の代替ビルダーを選定し、第二の代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた第二の代替ビルダーは、住宅を完成させるために、代替ビルダー19に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)が実施される。
【0064】
また、バックアップビルダー5が建築工事を引き継いだ場合(図5に示す場合)は、更に、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示9aを行わずに、バックアップビルダー5に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーは、住宅を完成させるために、バックアップビルダー5に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)が実施される。
【0065】
なお、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)では、建築現場がある地域の複数の工務店が集まって統括管理体を形成する等のように、2以上の者で統括管理体が形成されていて、そのうちの一部の者が、建築工事を引き継ぐ場合は、引き継いだ者が、統括管理体により選定された代替ビルダーである。この点は、本発明の住宅完成バックアップ方法(2)〜(4)においても同様である。
【0066】
住宅完成バックアップ方法(1)の形態例としては、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該ビルダーに代わって建築工事を引き継ぐか、又は該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をする住宅完成バックアップ方法であり、
撮影した映像の電子データに、位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ機能を有する記録装置を用いて、建築現場を撮影し、次いで、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを結合させ、次いで、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを電子認証機関に送信して、電子認証を要求し、該認証機関から電子認証を受信し、次いで、電子認証付きの検査結果の電子データを、該ビルダ及び該統括管理体に送信することにより、該検査工程を行うこと、
該各建築工程の終了予定日、該各建築工程の内容、該終了予定日から算出される終了検査予定日、及び該終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに該支払要求予定日及び該支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納された電子計算機により、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に該終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成して、該検査機関に該検査指示書を送付し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成して、該工程終了確認者に該工程終了確認指示書を送付し、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成して、該支払要求確認者に該支払要求確認指示書を送付し、該工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、該支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」との入力があったときは、該バックアップビルダーに建築工事の代行指示をするための代行指示書を作成して、該バックアップビルダーに該代行指示書を送付すること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法が挙げられる。
【0067】
本発明の第二の形態の住宅完成バックアップ方法(以下、本発明の住宅完成バックアップ方法(2)とも記載する。)について、図6〜図10を参照して説明する。図6は、本発明の住宅完成バックアップ方法(2)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。図7〜図10は、本発明の住宅完成バックアップ方法(2)が実施される住宅完成エスクローシステム20bである。そして、図6に示す契約に基づいて、図7〜図10に示す住宅完成エスクローシステム20bが構築される。
【0068】
図7〜図10中の住宅完成エスクローシステム20bは、図6に示すように、施工主1とビルダー2との間の住宅の建築工事の請負契約10をきっかけに構築される。先ず、請負契約10が締結されると、施工主1、ビルダー2及び統括管理体3の3者間で、住宅完成エスクロー契約13bが締結される。住宅完成エスクロー契約13bは、施工主1は、住宅の建築工事に対する報酬を信託財産6として、信託会社4に預けること、ビルダー2は、請負契約10に基づき建築工事を行い、予め定められた住宅の建築工事の過程が終了する毎に、終了検査を受け、終了検査に合格したときには、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求8を統括管理体3にすること、統括管理体3は、ビルダー2が住宅の建築工事を行っている間は、ビルダー2からの支払要求8に基づき、信託会社4に、ビルダー2への報酬の支払を指示する報酬の支払指示9aをし、バックアップビルダー5に建築工事の代行指示14をした後は、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5又は代替ビルダー19からの支払要求8に基づき、信託会社4に、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5又は代替ビルダー19への報酬7の支払と下請け業者21への請負工事の報酬22bの支払とを指示する支払指示9bをすることを、主たる内容とする。
【0069】
次いで、統括管理体3及び信託会社4の2者間で、信託契約11が締結される。信託契約11は、信託会社4は、施工主1からの信託財産6を預かると共に、統括管理体3からの報酬の支払指示9aに従い、信託財産6の中から、報酬7をビルダー2に支払うこと、主たる内容とする。
【0070】
また、統括管理体3、ビルダー2及びバックアップビルダー5の3者間で、住宅完成バックアップ契約12bが締結される。住宅完成バックアップ契約12bは、ビルダー2は、予め定められた住宅の建築工事の過程毎に、統括管理体3による終了検査を受けること、統括管理体3は、各建築工程毎に、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程を行い、その結果が、「工程未終了」、「支払要求無し」又は「不当」との結果であったときに、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をすること、バックアップビルダー5は、統括管理体3からの建築工事の代行指示14を受け取けたならば、自らがビルダー2に代わって建築工事を引き継ぐか、又はビルダー2に代って住宅の建築工事を引き継がせる代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をすることを、主たる内容とする。
【0071】
このように、住宅完成エスクローシステム20bは、住宅の建築工事の請負契約10をきっかけに締結される、住宅完成エスクロー契約13b、信託契約11及び住宅完成バックアップ契約12bに基づき構築される。
【0072】
図7〜図10中、住宅完成エスクローシステム20bは、住宅の建築工事を発注する施工主1と、施工主1からの住宅の建築工事を請け負うビルダー2と、ビルダー2から建築工事の一部を下請けし、下請けした工事を行う下請け業者21と、施工主1が支払うべき報酬を信託財産6として預かる信託会社4と、ビルダー2が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関15に検査させる検査指示16をすると共に、ビルダー2からの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求8を受けて、信託会社4に報酬の支払指示9aをする統括管理体3と、統括管理体3の検査指示16により、各建築工事の終了検査を行い、ビルダー2及び統括管理体3に検査結果17及び検査結果18を報告する検査機関15と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らがビルダー2に代わって建築工事を引き継ぐか、又はビルダー2に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダー5からなる。
【0073】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(2)は、住宅完成エスクローシステム20bにおいて、実施される。
【0074】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(2)は、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該ビルダーから建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該ビルダーに代わって建築工事を引き継ぐか、又は該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法である。
【0075】
住宅完成バックアップ方法(2)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程は、住宅完成バックアップ方法(1)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程と同様である。
【0076】
支払要求正当性確認工程の確認結果が、「正当」であった場合には、統括管理体3は、信託会社4に、終了した建築工程に対応する額の報酬を支払う旨の報酬の支払指示9aをする。統括管理体3から報酬の支払指示9aを受けた信託会社4は、支払を指示された額、すなわち、終了した建築工程に対応する額の報酬7を、ビルダー2に支払う。報酬7を受け取ったビルダー2は、報酬7の中から、下請け業者21に請負工事の報酬22aを支払う。
【0077】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(2)では、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったときは、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であった場合には、統括管理体3は、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をする。つまり、工程終了確認者からの「工事未終了」の報告を受け取ったとき、支払要求確認者からの「支払要求無し」の報告を受け取ったとき、又は支払要求正当性確認者からの「不当」の報告を受け取ったときは、統括管理者3は、建築工事の代行指示書を作成し、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をする。
【0078】
本発明の住宅完成バックアップ方法(2)が実施されて、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14がされた後は、バックアップビルダー5は、自らがビルダー2に代わって建築工事を引き継ぐか、又はビルダー2に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をする。ビルダー2に代わって建築工事を引き継いだバックアップビルダー5、又はバックアップビルダー5から建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダー19は、ビルダー2に代わって建築工事を代行し、住宅を完成させるために、住宅の建築工事を行う。また、下請け業者21は、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14がされた後も、ビルダー2から請け負った下請け工事を続行する。
【0079】
このように、住宅完成エスクローシステム20bでは、ビルダー2が、正常に建築工事を行っている間は、図7に示すように、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、ビルダー2及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けたビルダー2は、建築工程の終了に対応する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求8をし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の報酬の支払指示9aをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、施工主1から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬7を、ビルダー2に支払う。そして、ビルダー2は、受け取った報酬7の中から、下請け業者21に、請負工事の報酬22aを支払う。
【0080】
一方、ビルダー2に異常があったとき、すなわち、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、図8(A)に示すように、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示9aを行わずに、バックアップビルダー5に、代行指示14をする。代行指示14があった以後は、図9(B)に示すように、バックアップビルダー5から建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダー19が、ビルダー2に代わって、建築工事を代行するか、又は図10(C)に示すように、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5自らが、ビルダー2に代わって、建築工事を代行する。
【0081】
そして、代行指示14があった以後は、図7中のビルダー2に代わって、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)が、建築工事を代行する。そして、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)は、建築工程の終了に対応する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求8をし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4に、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)への終了した建築工程に見合う分の報酬の支払と下請け業者21への完了した請負工事に見合う分の報酬の支払指示9bをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、施工主1から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬7を代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)に、請負工事の報酬22bを下請け業者21に支払う。
【0082】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(2)では、バックアップビルダーへの前記建築工事の代行指示があったときには、それ以後、建築工事を引き継いだバックアップビルダー、又はバックアップビルダーに選定され、バックアップビルダーから建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーが建築工事を代行し、統括管理体は、代行以後に建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、工程終了確認工程、支払要求確認工程、及び支払要求正当性確認工程を行い、建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、前記信託会社に、建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーへの報酬の支払指示及び下請け業者への完了分の請負工事の報酬の支払指示をする。
【0083】
そして、代替ビルダー19が建築工事を引き継いだ場合(図9に示す場合)は、更に、バックアップビルダー5が選定した代替ビルダー19に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示9bを行わずに、バックアップビルダー5に、代行指示14をする。代行指示14を受けたバックアップビルダー5は、代替ビルダー19に代って建築工事を引き継がせる第二の代替ビルダーを選定し、第二の代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた第二の代替ビルダーは、住宅を完成させるために、代替ビルダー19に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(2)が実施される。
【0084】
また、バックアップビルダー5自らが建築工事を引き継いだ場合(図10に示す場合)は、更に、バックアップビルダー5に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示9bを行わずに、バックアップビルダー5に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーは、住宅を完成させるために、バックアップビルダー5に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(2)が実施される。
【0085】
本発明の住宅完成バックアップ方法(2)の形態例としては、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該ビルダーから建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該ビルダーに代わって建築工事を引き継ぐか、又は該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をする住宅完成バックアップ方法であり、
撮影した映像の電子データに、位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ機能を有する記録装置を用いて、建築現場を撮影し、次いで、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを結合させ、次いで、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを電子認証機関に送信して、電子認証を要求し、該認証機関から電子認証を受信し、次いで、電子認証付きの検査結果の電子データを、該ビルダー及び該統括管理体に送信することにより、該検査工程を行うこと、
該各建築工程の終了予定日、該各建築工程の内容、該終了予定日から算出される終了検査予定日、及び該終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに該支払要求予定日及び該支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納された電子計算機により、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に該終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成して、該検査機関に該検査指示書を送付し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成して、該工程終了確認者に該工程終了確認指示書を送付し、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成して、該支払要求確認者に該支払要求確認指示書を送付し、該工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、該支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」との入力があったときは、該バックアップビルダーに建築工事の代行指示をするための代行指示書を作成して、該バックアップビルダーに該代行指示書を送付すること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法が挙げられる。
【0086】
本発明の第三の形態の住宅完成バックアップ方法(以下、本発明の住宅完成バックアップ方法(3)とも記載する。)について、図11〜図15を参照して説明する。図11は、本発明の住宅完成バックアップ方法(3)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。図12〜図15は、本発明の住宅完成バックアップ方法(3)が実施される住宅完成エスクローシステム20cである。そして、図11に示す契約に基づいて、図12〜図15に示す住宅完成エスクローシステム20cが構築される。
【0087】
図12〜図15中の住宅完成エスクローシステム20cは、図11に示すように、買主31と売主32との間の完成住宅の売買契約30をきっかけに構築される。先ず、売買契約30が締結されると、買主31、売主32及び統括管理体3の3者間で、住宅完成エスクロー契約13cが締結される。住宅完成エスクロー契約13cは、買主31は、完成住宅の売買代金を信託財産6として、信託会社4に預けること、売主3は、売買契約30に基づき住宅を完成させるために建築工事を行い、予め定められた住宅の建築工事の過程が終了する毎に、終了検査を受け、終了検査に合格したときには、各建築工程の終了分に対応する額の代金の支払要求38aを統括管理体3にすること、統括管理体3は、売主32が住宅の建築工事を行っている間は、売主32からの支払要求38aに基づき、信託会社4に、売主32への代金37aの支払指示39aをし、バックアップビルダー5に代行指示14をした後は、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5又は代替ビルダー19からの支払要求38bに基づき、信託会社4に、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5又は代替ビルダー19への報酬371の支払指示39bをすることを、主たる内容とする。
【0088】
次いで、統括管理体3及び信託会社4の2者間で、信託契約11が締結される。信託契約11は、信託会社4は、買主31からの信託財産6を預かると共に、統括管理体3からの代金の支払指示39aに従い、信託財産6の中から、代金37aを売主32に支払うこと、主たる内容とする。
【0089】
また、統括管理体3、売主32及びバックアップビルダー5の3者間で、住宅完成バックアップ契約12cが締結される。住宅完成バックアップ契約12cは、売主32は、予め定められた住宅の建築工事の過程毎に、統括管理体3による終了検査を受けること、統括管理体3は、各建築工程毎に、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程を行い、その結果が、「工程未終了」、「支払要求無し」又は「不当」との結果であったときに、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をすること、バックアップビルダー5は、統括管理体3からの建築工事の代行指示14を受け取けたならば、自らが売主32に代わって建築工事を引き継ぐか、又は売主32に代って住宅の建築工事を引き継がせる代行ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすることを、主たる内容とする。
【0090】
このように、住宅完成エスクローシステム20cは、完成住宅の売買契約30をきっかけに締結される、住宅完成エスクロー契約13c、信託契約11及び住宅完成バックアップ契約12cに基づき構築される。
【0091】
図12〜図15中、住宅完成エスクローシステム20cは、売主32から完成住宅を購入する買主と、買主31に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主32と、買主31が支払うべき売買代金を信託財産6として預かる信託会社4と、売主32が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関15に検査させる検査指示16をすると共に、売主32からの各建築工程の終了分に対応する代金の支払要求38aを受けて、信託会社4に代金の支払指示39aをする統括管理体3と、統括管理体3の検査指示16により、各建築工事の終了検査を行い、売主32及び統括管理体3に検査結果17及び検査結果18を報告する検査機関15と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが売主32に代わって建築工事を引き継ぐか、又は売主32に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダー5からなる。
【0092】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(3)は、住宅完成エスクローシステム20cにおいて、実施される。
【0093】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(3)は、売主から完成住宅を購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該売主に代わって建築工事を引き継ぐか、又は該売主に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダーを選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法である。
【0094】
住宅完成バックアップ方法(3)に係る工程終了予定表作成工程は、住宅完成バックアップ方法(1)に係る工程終了予定表作成工程と同様である。
【0095】
支払予定表作成工程では、工程終了予定表作成工程で複数に分けられた各建築工程が終了する毎に、売主2が、各建築工程の終了分に対応する代金の支払を、統括管理体3に要求する支払要求予定日を定める。支払要求予定日は、例えば、各建築工程の終了予定日の2週間後に相当する日とのように定められる。次いで、支払予定表作成工程では、各建築工程の支払要求予定日に基づいて、売主32からの代金の支払要求38aの有無を確認する支払要求確認日を定める。支払要求確認日は、例えば、各建築工程の終了分に対応する代金の支払要求予定日の1週間後に相当する日とのように定められる。そして、住宅の建築工事の完了までの各建築工程と、各建築工程の終了分に対応する代金の支払要求予定日と、支払要求確認日と、が格納された支払予定表を作成する。
【0096】
支払予定表は、例えば、コンピュータに格納される。そして、支払予定表が、コンピュータに格納される場合は、支払要求予定日は、各建築工程の終了予定日の何日後の日を、支払要求予定日とするかを、コンピュータで定義し、工程終了予定日を入力することにより算出され、また、支払要求確認日は、各建築工程の終了分に対応する代金の支払要求予定日の何日後の日を、支払要求確認日とするかを、コンピュータで定義し、支払要求予定日が算出されることにより、その日を基に算出される。
【0097】
住宅完成バックアップ方法(3)に係る検査工程は、検査機関15が、電子認証機関から電子認証付きの検査結果の電子データを受信した後に、電子認証付きの検査結果の電子データを、売主32及び統括管理体3に送信することにより、売主32及び統括管理体3へ、検査結果17及び18を報告すること以外は、住宅完成バックアップ方法(1)に係る検査工程と同様である。
【0098】
そして、検査工程での終了検査の結果が合格(工程終了との判断)であった旨の検査結果の報告を受けた売主32は、統括管理体3に、検査機関15から受け取った検査結果17を付して、各建築工程の終了分に対応する代金の支払要求38aをする。
【0099】
一方、終了検査の結果が不合格(工程未終了との判断)であった旨の検査結果の報告を受けた売主32は、不合格箇所を修正し、再度、終了検査を受けために、統括管理体3に再検査要請をする。再検査要請を受けた統括管理体3は、検査機関15に、終了検査の再検査の指示をする。再検査の指示を受けた検査機関15は、再度、終了予定の建築工程が終了しているか否かの終了検査を行い、その結果を売主32及び統括管理体3に報告する。なお、終了検査の再検査は、複数回行われることもある。また、売主32からの終了検査の再検査要請が、直接、検査機関15にされる形態でもよい。
【0100】
住宅完成バックアップ方法(3)に係る工程終了確認工程は、住宅完成バックアップ方法(1)に係る工程終了確認工程と同様である。
【0101】
支払要求確認工程では、各建築工程の終了分に対応する代金の支払要求確認日毎に、売主32からの報酬の支払い要求が有ったか否かの確認を行う。先ず、支払要求確認工程では、各建築工程毎に、その工程の終了分に対応する代金の支払要求確認日又はそれ以前に、支払要求確認者に支払要求確認を指示するための支払要求確認指示書を作成し、支払要求確認者に、作成された支払要求確認指示書を提示する。次いで、支払要求確認者が、支払要求確認指示書に基づいて、各建築工程の終了分に対応する代金の支払要求が有ったか否かを確認する。
【0102】
支払要求正当性確認工程では、売主32からの支払要求38aを受けた統括管理体3は、支払要求38aに付されている検査結果と、検査機関15から受け取った検査結果18とを照合して、売主32からの支払要求38aが「正当」か「不当」かの確認を行う。具体的には、支払要求正当性確認者が、支払要求38aに付されている検査結果と、検査機関15から受け取った検査結果18とを照合して、売主32からの支払要求38aが「正当」か「不当」かの確認を行う。なお、売主32からの支払要求38aが「正当」か「不当」かの確認であるが、統括管理体3は、支払要求38aに付されている検査結果と、検査機関15から受け取った検査結果18とを照合して、支払要求38aに付されている検査結果と、検査機関15から受け取った検査結果18とに、違いがないか、すなわち、支払要求38aに付されている検査結果が改ざんされていないか否かを調べ、改ざんが無かった場合は「正当」と、改ざんが有った場合には「不当」とする。また、検査機関15から検査結果18を受け取っていないのに、売主32から、検査結果が付された支払要求38aを受け取った場合は、「不当」とする。
【0103】
支払要求正当性確認工程の確認結果が、「正当」であった場合には、統括管理体3は、信託会社4に、終了した建築工程に対応する額の代金を支払う旨の代金の支払指示39aをする。統括管理体3から代金の支払指示39aを受けた信託会社4は、支払を指示された額、すなわち、終了した建築工程に対応する額の代金37aを、売主32に支払う。
【0104】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(3)では、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったときは、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、統括管理体3は、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をする。つまり、工程終了確認者からの「工事未終了」の報告を受け取ったとき、支払要求確認者からの「支払要求無し」の報告を受け取ったとき、又は支払要求正当性確認者からの「不当」の報告を受け取ったときは、統括管理者3は、建築工事の代行指示書を作成し、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をする。
【0105】
本発明の住宅完成バックアップ方法(3)が実施されて、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14がされた後は、バックアップビルダー5は、自らが売主32に代わって建築工事を引き継ぐか、又は売主32に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事を引き継いだバックアップビルダー5又は建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダー19は、住宅を完成させるために、売主32に代わって、住宅の建築工事を代行する。
【0106】
このように、住宅完成エスクローシステム20cでは、売主32が、正常に建築工事を行っている間は、図12に示すように、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、売主32及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた売主32は、建築工程の終了分に対応する額の代金の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求38aをし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の代金の支払指示39aをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、買主31から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の代金37aを、売主32に支払う。
【0107】
一方、売主32に異常があったとき、すなわち、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、図13(A)に示すように、統括管理体3は、信託会社4への代金の支払指示39aを行わずに、バックアップビルダー5に、代行指示14をする。代行指示14があった以後は、図14(B)に示すように、バックアップビルダー5に選定された代替ビルダー19が、売主2に代わって、建築工事を代行するか、又は図15(C)に示すように、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5自らが、売主32に代わって、建築工事を代行する。
【0108】
そして、代行指示14があった以後は、図12中の売主32に代わって、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)が建築工事を代行する。そして、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)は、終了した建築工程に対する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求38bをし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の報酬の支払指示39bをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、買主31から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬371を、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)に支払う。
【0109】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(3)では、バックアップビルダーへの建築工事の代行指示があったときには、それ以後、建築工事を引き継いだバックアップビルダー、又はバックアップビルダーに選定され、バックアップビルダーから建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーが建築工事を代行し、統括管理体は、代行以後に建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、工程終了確認工程、支払要求確認工程、及び支払要求正当性確認工程を行い、建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、信託会社に、建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーへの報酬の支払指示をする。
【0110】
そして、代替ビルダー19が建築工事を引き継いだ場合(図14に示す場合)は、更に、バックアップビルダー5が選定した代替ビルダー19に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示39bを行わずに、バックアップビルダー5に、代行指示14をする。代行指示14を受けたバックアップビルダー5は、代替ビルダー19に代って建築工事を引き継がせる第二の代替ビルダーを選定し、第二の代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた第二の代替ビルダーは、住宅を完成させるために、代替ビルダー19に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(3)が実施される。
【0111】
また、バックアップビルダー5自らが建築工事を引き継いだ場合(図15に示す場合)は、更に、バックアップビルダー5に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示39bを行わずに、バックアップビルダー5に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーは、住宅を完成させるために、バックアップビルダー5に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(3)が実施される。
【0112】
住宅完成バックアップ方法(3)の形態例としては、売主から完成住宅を購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該売主に代わって建築工事を引き継ぐか、又は該売主に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をする住宅完成バックアップ方法であり、
撮影した映像の電子データに、位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ機能を有する記録装置を用いて、建築現場を撮影し、次いで、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを結合させ、次いで、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを電子認証機関に送信して、電子認証を要求し、該認証機関から電子認証を受信し、次いで、電子認証付きの検査結果の電子データを、該売主及び該統括管理体に送信することにより、該検査工程を行うこと、
該各建築工程の終了予定日、該各建築工程の内容、該終了予定日から算出される終了検査予定日、及び該終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに該支払要求予定日及び該支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納された電子計算機により、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に該終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成して、該検査機関に該検査指示書を送付し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成して、該工程終了確認者に該工程終了確認指示書を送付し、各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成して、該支払要求確認者に該支払要求確認指示書を送付し、該工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、該支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」との入力があったときは、該バックアップビルダーに建築工事の代行指示をするための代行指示書を作成して、該バックアップビルダーに該代行指示書を送付すること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法が挙げられる。
【0113】
本発明の第四の形態の住宅完成バックアップ方法(以下、本発明の住宅完成バックアップ方法(4)とも記載する。)について、図16〜図20を参照して説明する。図16は、本発明の住宅完成バックアップ方法(4)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。図17及び図20は、本発明の住宅完成バックアップ方法(4)が実施される住宅完成エスクローシステム20dである。そして、図16に示す契約に基づいて、図17〜図20に示す住宅完成エスクローシステム20dが構築される。
【0114】
図17〜図20中の住宅完成エスクローシステム20dは、図16に示すように、買主31と売主32との間の完成住宅の売買契約30をきっかけに構築される。先ず、売買契約30が締結されると、買主31、売主32及び統括管理体3の3者間で、住宅完成エスクロー契約13dが締結される。住宅完成エスクロー契約13dは、買主31は、完成住宅の売買代金を信託財産6として、信託会社4に預けること、売主32は、売買契約30に基づき住宅を完成させるために建築工事を行い、予め定められた住宅の建築工事の過程が終了する毎に、終了検査を受け、終了検査に合格したときには、各建築工程の終了分に対応する額の代金の支払要求38aを統括管理体3にすること、統括管理体3は、売主32が住宅の建築工事を行っている間は、売主32からの支払要求38aに基づき、信託会社4に、売主32への代金の支払を指示する代金の支払指示39aをし、バックアップビルダー5に代行指示14をした後は、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5又は代替ビルダー19からの支払要求38bに基づき、信託会社4に、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5又は代替ビルダー19への報酬371の支払と下請け業者21への請負工事の報酬22bの支払とを指示する支払指示39bをすることを、主たる内容とする。
【0115】
次いで、統括管理体3及び信託会社4の2者間で、信託契約11が締結される。信託契約11は、信託会社4は、買主31からの信託財産6を預かると共に、統括管理体3からの報酬の支払指示39aに従い、信託財産6の中から、報酬37aを売主32に支払うこと、主たる内容とする。
【0116】
また、統括管理体3、売主32及びバックアップビルダー5の3者間で、住宅完成バックアップ契約12dが締結される。住宅完成バックアップ契約12dは、売主32は、予め定められた住宅の建築工事の過程毎に、統括管理体3による終了検査を受けること、統括管理体3は、各建築工程毎に、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程を行い、その結果が、「工程未終了」、「支払要求無し」又は「不当」との結果であったときに、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をすること、バックアップビルダー5は、統括管理体3からの建築工事の代行指示14を受け取けたならば、自らが売主32に代わって建築工事を引き継ぐか、又は売主32に代って住宅の建築工事を引き継がせる代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をすることを、主たる内容とする。
【0117】
このように、住宅完成エスクローシステム20dは、完成住宅の売買契約30をきっかけに締結される、住宅完成エスクロー契約13d、信託契約11及び住宅完成バックアップ契約12dに基づき構築される。
【0118】
図17〜図20中、住宅完成エスクローシステム20dは、売主1から完成住宅を購入する買主31と、買主31に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主32と、売主32から建築工事の一部を下請けし、下請けした工事を行う下請け業者21と、買主31が支払うべき売買代金を信託財産6として預かる信託会社4と、売主32が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関15に検査させる検査指示16をすると共に、売主32からの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求38aを受けて、信託会社4に代金の支払指示39aをする統括管理体3と、統括管理体3の検査指示16により、各建築工事の終了検査を行い、売主32及び統括管理体3に検査結果17及び検査結果18を報告する検査機関15と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが売主32に代わって建築工事を引き継ぐか、又は売主32に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダー5からなる。
【0119】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(4)は、住宅完成エスクローシステム20dにおいて、実施される。
【0120】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(4)は、売主から完成住宅の購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該売主から建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への代金の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該売主に代わって建築工事を引き継ぐか、又は該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法である。
【0121】
住宅完成バックアップ方法(4)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程は、住宅完成バックアップ方法(3)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程と同様である。
【0122】
支払要求正当性確認工程の確認結果が、「正当」であった場合には、統括管理体3は、信託会社4に、終了した建築工程に対応する額の代金を支払う旨の代金の支払指示39aをする。統括管理体3から代金の支払指示39aを受けた信託会社4は、支払を指示された額、すなわち、終了した建築工程に対応する額の代金37aを、売主32に支払う。代金37aを受け取った売主32は、代金37aの中から、下請け業者21に請負工事の報酬22aを支払う。
【0123】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(4)では、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったときは、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であった場合には、統括管理体3は、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をする。つまり、工程終了確認者からの「工事未終了」の報告を受け取ったとき、支払要求確認者からの「支払要求無し」の報告を受け取ったとき、又は支払要求正当性確認者からの「不当」の報告を受け取ったときは、統括管理者3は、建築工事の代行指示書を作成し、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14をする。
【0124】
本発明の住宅完成バックアップ方法(4)が実施されて、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14がされた後は、バックアップビルダー5は、自らが売主32に代わって建築工事を引き継ぐか、又は売主32に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事を引き継いだバックアップビルダー5又はバックアップビルダー5から建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダー19は、売主32に代わって建築工事を代行し、住宅を完成させるために、住宅の建築工事を行う。また、下請け業者21は、バックアップビルダー5に、建築工事の代行指示14がされた後も、売主32から請け負った下請け工事を続行する。
【0125】
このように、住宅完成エスクローシステム20dでは、売主32が、正常に建築工事を行っている間は、図17に示すように、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、売主32及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた売主32は、建築工程の終了に対応する代金の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求38aをし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の代金の支払指示39aをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、買主31から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の代金37aを、売主32に支払う。そして、売主32は、受け取った代金37aの中から、下請け業者21に、請負工事の報酬22aを支払う。
【0126】
一方、売主32に異常があったとき、すなわち、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、図18(A)に示すように、統括管理体3は、信託会社4への代金の支払指示39aを行わずに、バックアップビルダー5に、代行指示14をする。代行指示14があった以後は、図19(B)に示すように、バックアップビルダー5から建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダー19が、売主32に代わって、建築工事を代行するか、又は図20(C)に示すように、建築工事を引き継いだバックアップビルダー5が、売主32に代わって、建築を代行する。
【0127】
そして、代行指示14があった以後は、図17中の売主32に代わって、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)が、建築工事を代行する。そして、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)は、建築工程の終了に対応する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求38bをし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4に、代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)への終了した建築工程に見合う分の報酬の支払と下請け業者21への完了した請負工事に見合う分の報酬の支払指示39bをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、買主31から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬371を代替ビルダー19(又は建築工事を引き継いだバックアップビルダー5)に、請負工事の報酬22bを下請け業者21に支払う。
【0128】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(4)では、バックアップビルダーへの前記建築工事の代行指示があったときには、それ以後、自ら建築工事を引き継いだバックアップビルダー、又はバックアップビルダーに選定され、バックアップビルダーから建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーが建築工事を代行し、統括管理体は、代行以後に建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、工程終了確認工程、支払要求確認工程、及び支払要求正当性確認工程を行い、建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、信託会社に、建築工事を引き継いだバックアップビルダー又は代替ビルダーへの報酬の支払指示及び下請け業者への完了分の請負工事の報酬の支払指示をする。
【0129】
そして、代替ビルダー19が建築工事を引き継いだ場合(図19に示す場合)は、更に、バックアップビルダー5が選定した代替ビルダー19に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示39bを行わずに、バックアップビルダー5に、代行指示14をする。代行指示14を受けたバックアップビルダー5は、代替ビルダー19に代って建築工事を引き継がせる第二の代替ビルダーを選定し、第二の代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた第二の代替ビルダーは、住宅を完成させるために、代替ビルダー19に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(4)が実施される。
【0130】
また、バックアップビルダー5が建築工事を引き継いだ場合(図20に示す場合)は、更に、バックアップビルダー5に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示39bを行わずに、バックアップビルダー5に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーは、住宅を完成させるために、バックアップビルダー5に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(4)が実施される。
【0131】
本発明の住宅完成バックアップ方法(4)の形態例としては、売主から完成住宅の購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該売主から建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への代金の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該売主に代わって建築工事を引き継ぐか、又は該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をする住宅完成バックアップ方法であり、
撮影した映像の電子データに、位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ機能を有する記録装置を用いて、建築現場を撮影し、次いで、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを結合させ、次いで、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを電子認証機関に送信して、電子認証を要求し、該認証機関から電子認証を受信し、次いで、電子認証付きの検査結果の電子データを、該売主及び該統括管理体に送信することにより、該検査工程を行うこと、
該各建築工程の終了予定日、該各建築工程の内容、該終了予定日から算出される終了検査予定日、及び該終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに該支払要求予定日及び該支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納された電子計算機により、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に該終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成して、該検査機関に該検査指示書を送付し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成して、該工程終了確認者に該工程終了確認指示書を送付し、各建築工程の終了に対する報酬又は代金の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成して、該支払要求確認者に該支払要求確認指示書を送付し、該工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、該支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」との入力があったときは、該バックアップビルダーに建築工事の代行指示をするための代行指示書を作成して、該バックアップビルダーに該代行指示書を送付すること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法が挙げられる。
【0132】
本発明の住宅完成バックアップ方法(1)、(2)、(3)及び(4)では、バックアップビルダーとしては、建築資材の製造会社、建築資材の販売会社等の建築資材の供給元や、建築現場がある地域の建築会社などが挙げられる。
【0133】
本発明の住宅完成バックアップ方法(1)、(2)、(3)及び(4)でのバックアップビルダーによるバックアップの変形形態としては、ビルダーとバックアップビルダーとの間で、ビルダーが、建築工事の代行が必要な状態になったときは、予め登録されたバックアップビルダーが代替履行をする旨の契約と、ビルダーと統括管理体との間で、ビルダーが、建築工事の代行が必要な状態になったときは、すなわち、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程の結果が、「工程未終了」、「支払要求無し」又は「不当」との結果であったときに、統括管理体が、予め登録されたバックアップビルダーに、建築工事の代行指示をするとの内容の住宅完成バックアップ契約とにより行われるバックアップビルダーによるバックアップ(以下、変形形態(1)とも記載する。)が挙げられる。変形形態(1)では、予め登録されたバックアップビルダーは、統括管理体から建築工事の代行指示を受けると、予め登録されたバックアップビルダーが自らを代替ビルダーとして選定し、自らに建築工事の引き継ぎ指示をするという形式で、代替ビルダーとなり、統括管理体から建築工事の代行指示を受けた後は、代替ビルダーとして、建築工事を代行する。また、変形形態(1)では、複数のバックアップビルダーを、予めバックアップビルダーとして登録しておき、更に、予め、代替する順番や、代替する建築工事の内容を定めておき、複数の登録バックアップビルダーが、代替ビルダー群を形成することもできる。
【0134】
従来の住宅完成エスクローシステムでは、ビルダー又は売主が住宅の建築工事を完了することができない状態になってから、例えば、倒産してから、施工主又は買主が、新たなビルダーを探すことになるので、住宅の完成が非常に遅れることになる。一方、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)、(2)、(3)及び(4)では、ビルダー又は売主が住宅の建築工事を完了することができなくなるよりも、早い段階、すなわち、各建築工程の終了が予定より遅れだしたという段階で、ビルダー又は売主の異常を察知することができ、且つ、速やかにバックアップビルダーにより選定される代替ビルダーが建築工事を継続することになるので、住宅の建築工事の途中で、ビルダー又は売主による建築工事の完了ができなくなっても、住宅の建築工事を中断することなく、住宅を完成させることができる。
【0135】
また、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)、(2)、(3)及び(4)では、検査機関からの検査結果の報告を、直接且つ速やかに受け取ることができるので、ビルダー又は売主からの正当な支払要求と不当な支払要求とを、見極めることができるので、ビルダー又は売主の異常を、察知することができる。
【0136】
また、ビルダー又は売主は、住宅の建築工事に必要な建築資材を、建築資材の供給元から購入しているので、ビルダー又は売主が倒産したときの建築資材代金の不払いのリスクを、建築資材の供給元が負うことになる。そして、従来の住宅完成エスクローシステムでは、建築資材の供給元が、ビルダー又は売主の異常を察知するのが、ビルダーが住宅の建築工事を完了することができない状態になってから、多くは倒産してからになるので、建築資材の代金の不払い額が非常に多くなってしまう。一方、本発明の住宅完成バックアップ方法(1)、(2)、(3)及び(4)では、バックアップビルダーを、建築資材の供給元とすれば、ビルダーが住宅の建築工事を完了することができなくなるよりも、早い段階で、バックアップビルダーが、ビルダー又は売主の異常を察知することができるという利点もある。
【0137】
本発明の住宅完成バックアップ方法(1)、(2)、(3)及び(4)では、ビルダー又は売主に異常があってバックアップビルダーが建築工事を引き継いだが、その後、そのバックアップビルダーにも異常があった場合に、建築現場がある地域の複数の工務店が集まって統括管理体を形成する等のように、2以上の者で統括管理体が形成されていて、そのうちの一部の者が、建築工事を引き継ぐ場合は、引き継いだ者が、統括管理体により選定された代替ビルダーである。
【0138】
本発明の第五の形態の住宅完成バックアップ方法(以下、本発明の住宅完成バックアップ方法(5)とも記載する。)について、図21〜図24を参照して説明する。図21は、本発明の住宅完成バックアップ方法(5)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。図22〜図24は、本発明の住宅完成バックアップ方法(5)が実施される住宅完成エスクローシステム40aである。そして、図21に示す契約に基づいて、図22〜図24に示す住宅完成エスクローシステム40aが構築される。
【0139】
図22〜図24中の住宅完成エスクローシステム40aは、図21に示すように、施工主1とビルダー2との間の住宅の建築工事の請負契約10をきっかけに構築される。先ず、請負契約10が締結されると、施工主1、ビルダー2及び統括管理体3の3者間で、住宅完成エスクロー契約13aが締結される。住宅完成エスクロー契約13aは、施工主1は、住宅の建築工事に対する報酬を信託財産6として、信託会社4に預けること、ビルダー2は、請負契約10に基づき建築工事を行い、予め定められた住宅の建築工事の過程が終了する毎に、終了検査を受け、終了検査に合格したときには、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求8を統括管理体3にすること、統括管理体3は、ビルダー2が住宅の建築工事を行っている間は、ビルダー2からの支払要求8に基づき、信託会社4に、ビルダー2への報酬7の支払指示9aをし、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をした後は、代替ビルダー19からの支払要求8に基づき、信託会社4に、代替ビルダー19への報酬7の支払指示9aをすることを、主たる内容とする。
【0140】
次いで、統括管理体3及び信託会社4の2者間で、信託契約11が締結される。信託契約11は、信託会社4は、施工主1からの信託財産6を預かると共に、統括管理体3からの報酬の支払指示9aに従い、信託財産6の中から、報酬7をビルダー2に支払うこと、主たる内容とする。
【0141】
また、統括管理体3及びビルダー2の間で、住宅完成バックアップ契約42aが締結される。住宅完成バックアップ契約42aは、ビルダー2は、予め定められた住宅の建築工事の過程毎に、統括管理体3による終了検査を受けること、統括管理体3は、各建築工程毎に、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程を行い、その結果が、「工程未終了」、「支払要求無し」又は「不当」との結果であったときに、統括管理体3が、ビルダー2に代って住宅の建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすることを、主たる内容とする。
【0142】
このように、住宅完成エスクローシステム40aは、住宅の建築工事の請負契約10をきっかけに締結される、住宅完成エスクロー契約13a、信託契約11及び住宅完成バックアップ契約42aに基づき構築される。
【0143】
図22〜図24中、住宅完成エスクローシステム40aは、住宅の建築工事を発注する施工主1と、施工主1からの住宅の建築工事を請け負うビルダー2と、施工主1が支払うべき報酬を信託財産6として預かる信託会社4と、ビルダー2が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関15に検査させる検査指示16をすると共に、ビルダー2からの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求8を受けて、信託会社4に報酬の支払指示9aをする統括管理体3と、統括管理体3の検査指示16により、各建築工事の終了検査を行い、ビルダー2及び統括管理体3に検査結果17及び検査結果18を報告する検査機関15と、からなる。
【0144】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(5)は、住宅完成エスクローシステム40aにおいて、実施される。
【0145】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(5)は、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法である。
【0146】
住宅完成バックアップ方法(5)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程は、住宅完成バックアップ方法(1)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程と同様である。
【0147】
支払要求正当性確認工程の確認結果が、「正当」であった場合には、統括管理体3は、信託会社4に、終了した建築工程に対応する額の報酬を支払う旨の報酬の支払指示9aをする。統括管理体3から報酬の支払指示9aを受けた信託会社4は、支払を指示された額、すなわち、終了した建築工程に対応する額の報酬7を、ビルダー2に支払う。
【0148】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(5)では、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったときは、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であった場合には、統括管理体3は、ビルダー2に代わって建築工事を引き継がせる代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に、建築工事の引き継ぎ指示をする。つまり、工程終了確認者からの「工事未終了」の報告を受け取ったとき、支払要求確認者からの「支払要求無し」の報告を受け取ったとき、又は支払要求正当性確認者からの「不当」の報告を受け取ったときは、統括管理者3は、代替ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。
【0149】
工程終了予定表及び支払予定表が、コンピュータに格納される場合は、コンピュータに、工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力、支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」の入力があったときは、コンピュータにより代替ビルダーの選定指示書が作成され、予め、コンピュータに、代替ビルダーを選定する選定者への発信先を入力しておけば、自動的に、コンピュータにより選定者に代替ビルダーの選定指示書を発信させて提示することもできる。なお、この点は、本発明の住宅完成バックアップ方法(6)〜(8)についても同様である。
【0150】
本発明の住宅完成バックアップ方法(5)が実施されると、統括管理体3は、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダー19は、住宅を完成させるために、ビルダー2に代わって、住宅の建築工事を代行する。
【0151】
このように、住宅完成エスクローシステム40aでは、ビルダー2が、正常に建築工事を行っている間は、図22に示すように、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、ビルダー2及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けたビルダー2は、建築工程の終了に対応する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求8をし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の報酬の支払指示9aをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、施工主1から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬7を、ビルダー2に支払う。
【0152】
一方、ビルダー2に異常があったとき、すなわち、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、図23(A)に示すように、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示9aを行わない。そして、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示があった以後は、図24(B)に示すように、統括管理体3に選定された代替ビルダー19が、ビルダー2に代わって、建築工事を代行する。
【0153】
そして、建築工事の引き継ぎ指示があった以後は、図22中のビルダー2に代わって、代替ビルダー19こと以外は、ビルダー2が、正常に建築工事を行っている間と同様である。つまり、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、代替ビルダー19及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた代替ビルダー19は、建築工程の終了に対応する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求8をし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の報酬の支払指示9aをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、施工主1から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬7を、代替ビルダー19に支払う。
【0154】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(5)では、バックアップビルダーへの建築工事の代行指示があったときには、それ以後、統括管理体に選定され、統括管理体から建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーが建築工事を代行し、統括管理体は、代行以後に代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、工程終了確認工程、支払要求確認工程、及び支払要求正当性確認工程を行い、代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、信託会社に、代替ビルダーへの報酬の支払指示をする。
【0155】
そして、更に、統括管理体3が選定した代替ビルダー19に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示9aを行わずに、第二の代替ビルダーを選定し、選定した第二の代替ビルダーに、建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた第二の代替ビルダーは、住宅を完成させるために、代替ビルダー19に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(5)が実施される。
【0156】
本発明の住宅完成バックアップ方法(5)の形態例としては、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする住宅完成バックアップ方法であり、
撮影した映像の電子データに、位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ機能を有する記録装置を用いて、建築現場を撮影し、次いで、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを結合させ、次いで、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを電子認証機関に送信して、電子認証を要求し、該認証機関から電子認証を受信し、次いで、電子認証付きの検査結果の電子データを、該ビルダー及び該統括管理体に送信することにより、該検査工程を行うこと、
該各建築工程の終了予定日、該各建築工程の内容、該終了予定日から算出される終了検査予定日、及び該終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに該支払要求予定日及び該支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納された電子計算機により、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に該終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成して、該検査機関に該検査指示書を送付し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成して、該工程終了確認者に該工程終了確認指示書を送付し、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成して、該支払要求確認者に該支払要求確認指示書を送付し、該工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、該支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」との入力があったときは、該代替ビルダーを選定する選定者に代替ビルダー選定指示をするための選定指示書を作成し、該選定者に該選定指示書を送付すること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法が挙げられる。
【0157】
本発明の第六の形態の住宅完成バックアップ方法(以下、本発明の住宅完成バックアップ方法(6)とも記載する。)について、図25〜図28を参照して説明する。図25は、本発明の住宅完成バックアップ方法(6)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。図26〜図28は、本発明の住宅完成バックアップ方法(6)が実施される住宅完成エスクローシステム40bである。そして、図25に示す契約に基づいて、図26〜図28に示す住宅完成エスクローシステム40bが構築される。
【0158】
図26〜図28中の住宅完成エスクローシステム40bは、図25に示すように、施工主1とビルダー2との間の住宅の建築工事の請負契約10をきっかけに構築される。先ず、請負契約10が締結されると、施工主1、ビルダー2及び統括管理体3の3者間で、住宅完成エスクロー契約13bが締結される。住宅完成エスクロー契約13bは、施工主1は、住宅の建築工事に対する報酬を信託財産6として、信託会社4に預けること、ビルダー2は、請負契約10に基づき建築工事を行い、予め定められた住宅の建築工事の過程が終了する毎に、終了検査を受け、終了検査に合格したときには、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求8を統括管理体3にすること、統括管理体3は、ビルダー2が住宅の建築工事を行っている間は、ビルダー2からの支払要求8に基づき、信託会社4に、ビルダー2への報酬の支払を指示する報酬の支払指示9aをし、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をした後は、代替ビルダー19からの支払要求8に基づき、信託会社4に、代替ビルダー19への報酬7の支払と下請け業者21への請負工事の報酬22bの支払とを指示する支払指示9bをすることを、主たる内容とする。
【0159】
次いで、統括管理体3及び信託会社4の2者間で、信託契約11が締結される。信託契約11は、信託会社4は、施工主1からの信託財産6を預かると共に、統括管理体3からの報酬の支払指示9aに従い、信託財産6の中から、報酬7をビルダー2に支払うこと、主たる内容とする。
【0160】
また、統括管理体3及びビルダー2の2者間で、住宅完成バックアップ契約42bが締結される。住宅完成バックアップ契約42bは、ビルダー2は、予め定められた住宅の建築工事の過程毎に、統括管理体3による終了検査を受けること、統括管理体3は、各建築工程毎に、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程を行い、その結果が、「工程未終了」、「支払要求無し」又は「不当」との結果であったときに、統括管理体3が、ビルダー2に代って住宅の建築工事を引き継がせる代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をすることを、主たる内容とする。
【0161】
このように、住宅完成エスクローシステム40bは、住宅の建築工事の請負契約10をきっかけに締結される、住宅完成エスクロー契約13b、信託契約11及び住宅完成バックアップ契約42bに基づき構築される。
【0162】
図26〜図28中、住宅完成エスクローシステム40bは、住宅の建築工事を発注する施工主1と、施工主1からの住宅の建築工事を請け負うビルダー2と、ビルダー2から建築工事の一部を下請けし、下請けした工事を行う下請け業者21と、施工主1が支払うべき報酬を信託財産6として預かる信託会社4と、ビルダー2が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関15に検査させる検査指示16をすると共に、ビルダー2からの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求8を受けて、信託会社4に報酬の支払指示9aをする統括管理体3と、統括管理体3の検査指示16により、各建築工事の終了検査を行い、ビルダー2及び統括管理体3に検査結果17及び検査結果18を報告する検査機関15と、からなる。
【0163】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(6)は、住宅完成エスクローシステム40bにおいて、実施される。
【0164】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(6)は、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該ビルダーから建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法である。
【0165】
住宅完成バックアップ方法(6)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程は、住宅完成バックアップ方法(2)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程と同様である。
【0166】
支払要求正当性確認工程の確認結果が、「正当」であった場合には、統括管理体3は、信託会社4に、終了した建築工程に対応する額の報酬を支払う旨の報酬の支払指示9aをする。統括管理体3から報酬の支払指示9aを受けた信託会社4は、支払を指示された額、すなわち、終了した建築工程に対応する額の報酬7を、ビルダー2に支払う。報酬7を受け取ったビルダー2は、報酬7の中から、下請け業者21に請負工事の報酬22aを支払う。
【0167】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(6)では、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったときは、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、統括管理体3は、ビルダー2に代わって建築工事を引き継がせる代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に、建築工事の引き継ぎ指示をする。つまり、工程終了確認者からの「工事未終了」の報告を受け取ったとき、支払要求確認者からの「支払要求無し」の報告を受け取ったとき、又は支払要求正当性確認者からの「不当」の報告を受け取ったときは、統括管理者3は、代替ビルダーを選定し、建築工事の引き継ぎ指示をする。
【0168】
本発明の住宅完成バックアップ方法(6)が実施されると、統括管理体3、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダー19は、ビルダー2に代わって建築工事を代行し、住宅を完成させるために、住宅の建築工事を行う。また、下請け業者21は、代替ビルダー19に、建築工事の引き継ぎ指示がされた後も、ビルダー2から請け負った下請け工事を続行する。
【0169】
このように、住宅完成エスクローシステム40bでは、ビルダー2が、正常に建築工事を行っている間は、図26に示すように、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、ビルダー2及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けたビルダー2は、建築工程の終了に対応する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求8をし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の報酬の支払指示9aをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、施工主1から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬7を、ビルダー2に支払う。そして、ビルダー2は、受け取った報酬7の中から、下請け業者21に、請負工事の報酬22aを支払う。
【0170】
一方、ビルダー2に異常があったとき、すなわち、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、図27(A)に示すように、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示9aを行わない。そして、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示があった以後は、図28に示すように、統括管理体3に選定された代替ビルダー19が、ビルダー2に代わって、建築工事を代行する。
【0171】
そして、建築工事の引き継ぎ指示があった以後は、図26中のビルダー2に代わって、代替ビルダー19が、建築工事を代行する。そして、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、代替ビルダー19及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた代替ビルダー19は、建築工程の終了に対応する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求8をし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4に、代替ビルダー19への終了した建築工程に見合う分の報酬の支払と下請け業者21への完了した請負工事に見合う分の報酬の支払指示9bをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、施工主1から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬7を代替ビルダー19に、請負工事の報酬22bを下請け業者21に支払う。
【0172】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(6)では、代替ビルダーへの前記建築工事の引き継ぎ指示があったときには、それ以後、統括管理体に選定され、統括管理体から建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーが建築工事を代行し、統括管理体は、代行以後に代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、工程終了確認工程、支払要求確認工程、及び支払要求正当性確認工程を行い、代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、前記信託会社に、代替ビルダーへの報酬の支払指示及び下請け業者への完了分の請負工事の報酬の支払指示をする。
【0173】
そして、統括管理体3が選定した代替ビルダー19に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示9bを行わずに、代替ビルダー19に代って建築工事を引き継がせる第二の代替ビルダーを選定し、第二の代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた第二の代替ビルダーは、住宅を完成させるために、代替ビルダー19に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(6)が実施される。
【0174】
本発明の住宅完成バックアップ方法(6)の形態例としては、住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該ビルダーから建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする住宅完成バックアップ方法であり、
撮影した映像の電子データに、位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ機能を有する記録装置を用いて、建築現場を撮影し、次いで、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを結合させ、次いで、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを電子認証機関に送信して、電子認証を要求し、該認証機関から電子認証を受信し、次いで、電子認証付きの検査結果の電子データを、該ビルダー及び該統括管理体に送信することにより、該検査工程を行うこと、
該各建築工程の終了予定日、該各建築工程の内容、該終了予定日から算出される終了検査予定日、及び該終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに該支払要求予定日及び該支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納された電子計算機により、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に該終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成して、該検査機関に該検査指示書を送付し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成して、該工程終了確認者に該工程終了確認指示書を送付し、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成して、該支払要求確認者に該支払要求確認指示書を送付し、該工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、該支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」との入力があったときは、該代替ビルダーを選定する選定者に代替ビルダー選定指示をするための選定指示書を作成し、該選定者に該選定指示書を送付すること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法が挙げられる。
【0175】
本発明の第七の形態の住宅完成バックアップ方法(以下、本発明の住宅完成バックアップ方法(7)とも記載する。)について、図29〜図32を参照して説明する。図29は、本発明の住宅完成バックアップ方法(7)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。図30〜図32は、本発明の住宅完成バックアップ方法(7)が実施される住宅完成エスクローシステム40cである。そして、図29に示す契約に基づいて、図30〜図32に示す住宅完成エスクローシステム40cが構築される。
【0176】
図30〜図32中の住宅完成エスクローシステム40cは、図29に示すように、買主31と売主32との間の完成住宅の売買契約30をきっかけに構築される。先ず、売買契約30が締結されると、買主31、売主32及び統括管理体3の3者間で、住宅完成エスクロー契約13cが締結される。住宅完成エスクロー契約13cは、買主31は、完成住宅の売買代金を信託財産6として、信託会社4に預けること、売主3は、売買契約30に基づき住宅を完成させるために建築工事を行い、予め定められた住宅の建築工事の過程が終了する毎に、終了検査を受け、終了検査に合格したときには、各建築工程の終了分に対応する額の代金の支払要求38aを統括管理体3にすること、統括管理体3は、売主32からの支払要求38aに基づき、信託会社4に、売主32への代金37aの支払指示39aをすることを、主たる内容とする。
【0177】
次いで、統括管理体3及び信託会社4の2者間で、信託契約11が締結される。信託契約11は、信託会社4は、買主31からの信託財産6を預かると共に、統括管理体3からの代金の支払指示39aに従い、信託財産6の中から、代金37aを売主32に支払うこと、主たる内容とする。
【0178】
また、統括管理体3及び売主32の2者間で、住宅完成バックアップ契約42cが締結される。住宅完成バックアップ契約42cは、売主32は、予め定められた住宅の建築工事の過程毎に、統括管理体3による終了検査を受けること、統括管理体3は、各建築工程毎に、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程を行い、その結果が、「工程未終了」、「支払要求無し」又は「不当」との結果であったときに、売主32に代って住宅の建築工事を引き継がせる代行ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすることを、主たる内容とする。
【0179】
このように、住宅完成エスクローシステム40cは、完成住宅の売買契約30をきっかけに締結される、住宅完成エスクロー契約13c、信託契約11及び住宅完成バックアップ契約42cに基づき構築される。
【0180】
図30〜図32中、住宅完成エスクローシステム40cは、売主32から完成住宅を購入する買主31と、買主31に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主32と、買主31が支払うべき売買代金を信託財産6として預かる信託会社4と、売主32が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関15に検査させる検査指示16をすると共に、売主32からの各建築工程の終了分に対応する代金の支払要求38aを受けて、信託会社4に代金の支払指示39aをする統括管理体3と、統括管理体3の検査指示16により、各建築工事の終了検査を行い、売主32及び統括管理体3に検査結果17及び検査結果18を報告する検査機関15と、からなる。
【0181】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(7)は、住宅完成エスクローシステム40cにおいて、実施される。
【0182】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(7)は、売主から完成住宅を購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への代金の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、該売主に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダーを選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法である。
【0183】
住宅完成バックアップ方法(7)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程は、住宅完成バックアップ方法(3)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程と同様である。
【0184】
そして、検査工程での終了検査の結果が合格(工程終了との判断)であった旨の検査結果の報告を受けた売主32は、統括管理体3に、検査機関15から受け取った検査結果17を付して、各建築工程の終了分に対応する代金の支払要求38aをする。
【0185】
一方、終了検査の結果が不合格(工程未終了との判断)であった旨の検査結果の報告を受けた売主32は、不合格箇所を修正し、再度、終了検査を受けために、統括管理体3に再検査要請をする。再検査要請を受けた統括管理体3は、検査機関15に、終了検査の再検査の指示をする。再検査の指示を受けた検査機関15は、再度、終了予定の建築工程が終了しているか否かの終了検査を行い、その結果を売主32及び統括管理体3に報告する。なお、終了検査の再検査は、複数回行われることもある。また、売主32からの終了検査の再検査要請が、直接、検査機関15にされる形態でもよい。
【0186】
支払要求正当性確認工程の確認結果が、「正当」であった場合には、統括管理体3は、信託会社4に、終了した建築工程に対応する額の代金を支払う旨の代金の支払指示39aをする。統括管理体3から代金の支払指示39aを受けた信託会社4は、支払を指示された額、すなわち、終了した建築工程に対応する額の代金37aを、売主32に支払う。
【0187】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(7)では、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったときは、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、統括管理体3は、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。つまり、工程終了確認者からの「工事未終了」の報告を受け取ったとき、支払要求確認者からの「支払要求無し」の報告を受け取ったとき、又は支払要求正当性確認者からの「不当」の報告を受け取ったときは、統括管理者3は、代替ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。
【0188】
本発明の住宅完成バックアップ方法(7)が実施されると、統括管理体3は、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダー19は、住宅を完成させるために、売主32に代わって、住宅の建築工事を代行する。
【0189】
このように、住宅完成エスクローシステム40cでは、売主32が、正常に建築工事を行っている間は、図30に示すように、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、売主32及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた売主32は、建築工程の終了分に対応する額の代金の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求38aをし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の代金の支払指示39aをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、買主31から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の代金37aを、売主32に支払う。
【0190】
一方、売主32に異常があったとき、すなわち、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、図31(A)に示すように、統括管理体3は、信託会社4への代金の支払指示39aを行わない。そして、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示があった以後は、図32(B)に示すように、統括管理体3に選定された代替ビルダー19が、売主2に代わって、建築工事を代行する。
【0191】
そして、建築工事の引き継ぎ指示があった以後は、図30中の売主32に代わって、代替ビルダー19が建築工事を代行する。そして、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、代替ビルダー19及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた代替ビルダー19は、終了した建築工程に対する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求38bをし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の報酬の支払指示39bをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、買主31から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬371を、代替ビルダー19に支払う。
【0192】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(7)では、代替ビルダーへの建築工事の引き継ぎ指示があったときには、それ以後、統括管理体に選定され、建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーが建築工事を代行し、統括管理体は、代行以後に代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、工程終了確認工程、支払要求確認工程、及び支払要求正当性確認工程を行い、代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、信託会社に、代替ビルダーへの報酬の支払指示をする。
【0193】
そして、統括管理体3が選定した代替ビルダー19に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示39bを行わずに、第二の代替ビルダーを選定し、第二の代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた第二の代替ビルダーは、住宅を完成させるために、代替ビルダー19に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(7)が実施される。
【0194】
本発明の住宅完成バックアップ方法(7)の形態例は、売主から完成住宅を購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、該売主に代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする住宅完成バックアップ方法であり、
撮影した映像の電子データに、位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ機能を有する記録装置を用いて、建築現場を撮影し、次いで、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを結合させ、次いで、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを電子認証機関に送信して、電子認証を要求し、該認証機関から電子認証を受信し、次いで、電子認証付きの検査結果の電子データを、該売主又は該代替ビルダー、及び該統括管理体に送信することにより、該検査工程を行うこと、
該各建築工程の終了予定日、該各建築工程の内容、該終了予定日から算出される終了検査予定日、及び該終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに該支払要求予定日及び該支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納された電子計算機により、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に該終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成して、該検査機関に該検査指示書を送付し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成して、該工程終了確認者に該工程終了確認指示書を送付し、各建築工程の終了に対する報酬又は代金の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成して、該支払要求確認者に該支払要求確認指示書を送付し、該工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、該支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」との入力があったときは、該代替ビルダーを選定する選定者に代替ビルダーの選定指示をするための選定指示書を作成し、該選定者に該選定指示書を送付すること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法が挙げられる。
【0195】
本発明の第八の形態の住宅完成バックアップ方法(以下、本発明の住宅完成バックアップ方法(8)とも記載する。)について、図33〜図36を参照して説明する。図33は、本発明の住宅完成バックアップ方法(8)の構築に先だって交わされる契約関係を示す図である。図34〜図36は、本発明の住宅完成バックアップ方法(8)が実施される住宅完成エスクローシステム40dである。そして、図33に示す契約に基づいて、図34〜図36に示す住宅完成エスクローシステム40dが構築される。
【0196】
図34〜図36中の住宅完成エスクローシステム40dは、図33に示すように、買主31と売主32との間の完成住宅の売買契約30をきっかけに構築される。先ず、売買契約30が締結されると、買主31、売主32及び統括管理体3の3者間で、住宅完成エスクロー契約13dが締結される。住宅完成エスクロー契約13dは、買主31は、完成住宅の売買代金を信託財産6として、信託会社4に預けること、売主32は、売買契約30に基づき住宅を完成させるために建築工事を行い、予め定められた住宅の建築工事の過程が終了する毎に、終了検査を受け、終了検査に合格したときには、各建築工程の終了分に対応する額の代金の支払要求38aを統括管理体3にすること、統括管理体3は、売主32が住宅の建築工事を行っている間は、売主32からの支払要求38aに基づき、信託会社4に、売主32への代金の支払を指示する代金の支払指示39aをし、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をした後は、代替ビルダー19からの支払要求38bに基づき、信託会社4に、代替ビルダー19への報酬371の支払と下請け業者21への請負工事の報酬22bの支払とを指示する支払指示39bをすることを、主たる内容とする。
【0197】
次いで、統括管理体3及び信託会社4の2者間で、信託契約11が締結される。信託契約11は、信託会社4は、買主31からの信託財産6を預かると共に、統括管理体3からの代金の支払指示39aに従い、信託財産6の中から、代金37aを売主32に支払うこと、主たる内容とする。
【0198】
また、統括管理体3及び売主32の2者間で、住宅完成バックアップ契約42dが締結される。住宅完成バックアップ契約42dは、売主32は、予め定められた住宅の建築工事の過程毎に、統括管理体3による終了検査を受けること、統括管理体3は、各建築工程毎に、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程を行い、その結果が、「工程未終了」、「支払要求無し」又は「不当」との結果であったときに、代替ビルダー19を選定し、建築工事の引き継ぎ指示をすることを、主たる内容とする。
【0199】
このように、住宅完成エスクローシステム40dは、完成住宅の売買契約30をきっかけに締結される、住宅完成エスクロー契約13d、信託契約11及び住宅完成バックアップ契約42dに基づき構築される。
【0200】
図33〜図36中、住宅完成エスクローシステム40dは、売主1から完成住宅を購入する買主31と、買主31に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主32と、売主32から建築工事の一部を下請けし、下請けした工事を行う下請け業者21と、買主31が支払うべき売買代金を信託財産6として預かる信託会社4と、売主32が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関15に検査させる検査指示16をすると共に、売主32からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求38aを受けて、信託会社4に代金の支払指示39aをする統括管理体3と、統括管理体3の検査指示16により、各建築工事の終了検査を行い、売主32及び統括管理体3に検査結果17及び検査結果18を報告する検査機関15と、からなる。
【0201】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(8)は、住宅完成エスクローシステム20dにおいて、実施される。
【0202】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(8)は、売主から完成住宅の購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該売主から建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への代金の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダーを選定し、代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をすること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法である。
【0203】
住宅完成バックアップ方法(8)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程は、住宅完成バックアップ方法(3)に係る工程終了予定表作成工程、支払予定表作成工程、検査工程、工程終了確認工程、支払要求確認工程及び支払要求正当性確認工程と同様である。
【0204】
支払要求正当性確認工程の確認結果が、「正当」であった場合には、統括管理体3は、信託会社4に、終了した建築工程に対応する額の代金を支払う旨の代金の支払指示39aをする。統括管理体3から代金の支払指示39aを受けた信託会社4は、支払を指示された額、すなわち、終了した建築工程に対応する額の代金37aを、売主32に支払う。代金37aを受け取った売主32は、代金37aの中から、下請け業者21に請負工事の報酬22aを支払う。
【0205】
そして、本発明の住宅完成バックアップ方法(8)では、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、統括管理体3は、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に、建築工事の引き継ぎ指示をする。つまり、工程終了確認者からの「工事未終了」の報告を受け取ったとき、支払要求確認者からの「支払要求無し」の報告を受け取ったとき、又は支払要求正当性確認者からの「不当」の報告を受け取ったときは、統括管理者3は、代替ビルダーを選定し、建築工事の引き継ぎ指示をする。
【0206】
本発明の住宅完成バックアップ方法(8)が実施されると、統括管理体3は、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダー19は、売主32に代わって建築工事を代行し、住宅を完成させるために、住宅の建築工事を行う。また、下請け業者21は、代替ビルダー19に、建築工事の引き継ぎ指示がされた後も、売主32から請け負った下請け工事を続行する。
【0207】
このように、住宅完成エスクローシステム40dでは、売主32が、正常に建築工事を行っている間は、図34に示すように、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、売主32及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた売主32は、建築工程の終了に対応する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求38aをし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4へ、終了した建築工程に見合う分の代金の支払指示39aをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、買主31から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の代金37aを、売主32に支払う。そして、売主32は、受け取った代金37aの中から、下請け業者21に、請負工事の報酬22aを支払う。
【0208】
一方、売主32に異常があったとき、すなわち、工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、図35(A)に示すように、統括管理体3は、信託会社4への代金の支払指示39aを行わない。そして、代替ビルダー19を選定し、代替ビルダー19に建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示があった以後は、図36(B)に示すように、統括管理体3から建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダー19が、売主32に代わって、建築工事を代行する。
【0209】
そして、建築工事の引き継ぎ指示があった以後は、図34中の売主32に代わって、代替ビルダー19が、建築工事を代行する。そして、各建築工程毎に、統括管理体3は検査機関15へ検査指示16をし、次いで、指示を受けた検査機関15は終了検査を行い、その検査結果17及び18を、代替ビルダー19及び統括管理体3に報告し、次いで、終了検査合格との報告を受けた代替ビルダー19は、建築工程の終了に対応する報酬の支払を求めるために、統括管理体3へ、検査結果を付して支払要求38bをし、次いで、要求を受けた統括管理体3は、信託会社4に、代替ビルダー19への終了した建築工程に見合う分の報酬の支払と下請け業者21への完了した請負工事に見合う分の報酬の支払指示39bをし、次いで、指示を受けた信託会社4は、買主31から預かった信託財産6の中から、統括管理体3から指示された分の報酬37bを代替ビルダー19に、請負工事の報酬22bを下請け業者21に支払う。
【0210】
すなわち、本発明の住宅完成バックアップ方法(8)では、代替ビルダーへの前記建築工事の引き継ぎ指示があったときには、それ以後、統括管理体に選定され、建築工事の引き継ぎ指示を受けた代替ビルダーが建築工事を代行し、統括管理体は、代行以後に代替ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、工程終了確認工程、支払要求確認工程、及び支払要求正当性確認工程を行い、代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、信託会社に、代替ビルダーへの報酬の支払指示及び下請け業者への完了分の請負工事の報酬の支払指示をする。
【0211】
そして、統括管理体3が選定した代替ビルダー19に異常があったときは、統括管理体3は、信託会社4への報酬の支払指示39bを行わずに、第二の代替ビルダーを選定し、第二の代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする。建築工事の引き継ぎ指示を受けた第二の代替ビルダーは、住宅を完成させるために、代替ビルダー19に代わって、住宅の建築工事を代行する。以降、住宅が完成するまで、同様にして、建築工事を代行している代替ビルダーに異常がある毎に、建築工事を代行している代替ビルダーから、新たな代替ビルダーへの建築工事の代行が行われ、本発明の住宅完成バックアップ方法(8)が実施される。
【0212】
本発明の住宅完成バックアップ方法(8)の形態例は、売主から完成住宅の購入する買主と、該買主に完成住宅を販売するために住宅の建築工事を行う売主と、該売主から建築工事の一部を下請けする下請け業者と、該買主が支払うべき売買代金を信託財産として預かる信託会社と、該売主が行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該売主からの各建築工程の終了に対する代金の支払要求を受けて、該信託会社に該売主への代金の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査機関と、からなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する代金の支払を、売主が統括管理体に要求する支払要求予定日及び該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該売主及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する代金の支払要求確認日毎に、該売主からの代金の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該売主からの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該売主からの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をする住宅完成バックアップ方法であり、
撮影した映像の電子データに、位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ機能を有する記録装置を用いて、建築現場を撮影し、次いで、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像データを結合させ、次いで、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを電子認証機関に送信して、電子認証を要求し、該認証機関から電子認証を受信し、次いで、電子認証付きの検査結果の電子データを、該売主及び該統括管理体に送信することにより、該検査工程を行うこと、
該各建築工程の終了予定日、該各建築工程の内容、該終了予定日から算出される終了検査予定日、及び該終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに該支払要求予定日及び該支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納された電子計算機により、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に該終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成して、該検査機関に該検査指示書を送付し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成して、該工程終了確認者に該工程終了確認指示書を送付し、各建築工程の終了に対する報酬又は代金の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成して、該支払要求確認者に該支払要求確認指示書を送付し、該工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、該支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」との入力があったときは、該代替ビルダーを選定する選定者に代替ビルダーの選定指示をするための選定指示書を作成し、該選定者に該選定指示書を送付すること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法が挙げられる。
【0213】
本発明の住宅完成バックアップ方法(5)、(6)、(7)及び(8)では、建築現場がある地域の複数の工務店が集まって統括管理体を形成する等のように、2以上の者で統括管理体が形成されていて、そのうちの一部の者が、建築工事を引き継ぐ場合は、引き継いだ者が、統括管理体により選定された代替ビルダーである。
【0214】
従来の住宅完成エスクローシステムでは、ビルダーが住宅の建築工事を完了することができない状態になってから、例えば、倒産してから、施工主が、新たなビルダーを探すことになるので、住宅の完成が非常に遅れることになる。一方、本発明の住宅完成バックアップ方法(5)、(6)、(7)及び(8)では、ビルダー又は売主が住宅の建築工事を完了することができなくなるよりも、早い段階、すなわち、各建築工程の終了が予定より遅れだしたという段階で、ビルダー又は売主の異常を察知することができ、且つ、速やかにバックアップビルダー又は統括管理体により選定される代替ビルダーが建築工事を継続することになるので、住宅の建築工事の途中で、ビルダー又は売主による建築工事の完了ができなくなっても、住宅の建築工事を中断することなく、住宅を完成させることができる。
【0215】
また、本発明の住宅完成バックアップ方法(5)、(6)、(7)及び(8)では、検査機関からの検査結果の報告を、直接且つ速やかに受け取ることができるので、ビルダー又は売主からの正当な支払要求と不当な支払要求とを、見極めることができるので、ビルダー又は売主の異常を、察知することができる。
【0216】
本発明の住宅完成エスクローシステムは、各建築工程の終了予定日、各建築工程の内容、終了予定日から算出される各建築工程の終了検査予定日、終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに支払要求予定日及び支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納されており、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成し、各建築工程の終了に対する報酬又は代金の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成し、工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」の入力があったときは、バックアップビルダーに建築工事の代行指示をするための代行指示書又は代替ビルダーを選定する選定者に選定指示書を作成するようにプログラムされている電子計算機を有することを特徴とする本発明の住宅完成バックアップ方法(1)〜(8)のいずれかを実施するための住宅完成バックアップシステムである。
【0217】
また、上記本発明の住宅完成エスクローシステムは、前記電子計算機が、前記電子計算機により作成された工程終了確認指示書、支払要求確認指示書及び代行指示書又は選定指示書が、それらの送付先に、自動的に送信されるように、プログラムされていてもよい。
【0218】
本発明の住宅完成エスクローシステムによれば、信託会社が未完成分の報酬を保管するので、出来高払いによる後払いになるため、施工主及びビルダー(又は代替ビルダー)のリスクを回避することができる。
【符号の説明】
【0219】
1 施工主
2 ビルダー
3 統括管理体
4 信託会社
5 バックアップビルダー
6 信託財産
7、371 報酬
8、38 支払要求
9a、9b、39a、39b 支払指示
10 住宅の建築工事の請負契約
11 信託契約
12a、12b、12c、12d、42a、42b、42c、42d 住宅完成バックアップ契約
13a、13b、13c、13d 住宅完成エスクロー契約
14 建築工事の代行指示
15 検査機関
16 検査指示
17、18 検査結果
19 代替ビルダー
20a、20b、20c、20d、40a、40b、40c、40d 住宅完成エスクローシステム
21 下請け業者
22a、22b 請負工事の報酬
30 売買契約
31 買主
32 売主
37 代金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の建築工事を発注する施工主と、該施工主からの住宅の建築工事を請け負うビルダーと、該施工主が支払うべき報酬を信託財産として預かる信託会社と、該ビルダーが行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせると共に、該ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、該信託会社に該ビルダーへの報酬の支払指示をする統括管理体と、該統括管理体の指示により、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルター及び該統括管理体に報告する検査機関と、建築工事の途中で、建築工事の代行が必要と判断されたときに、自らが該ビルダーに代わって建築工事を引き継ぐか、又は該ビルダーに代って建築工事を引き継がせる代替ビルダー選定し、該代替ビルダーに建築工事の引き継ぎ指示をするバックアップビルダーからなる住宅完成エスクローシステムにおいて、
住宅の建築工事の完了までの過程を複数の工程に分け、各建築工程の内容、各建築工程の終了検査予定日、各建築工程の終了予定日及び各建築工程の終了確認を行う工程終了確認日を定め、工程終了予定表を作成する工程終了予定表作成工程と、
各建築工程の終了毎に、建築工程の終了に対する報酬の支払を、ビルダーが統括管理体に要求する支払要求予定日及び該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認日を定め、支払要求予定表を作成する支払予定表作成工程と、
各建築工程毎に、各建築工程の終了検査を行い、検査結果を該ビルダー及び該統括管理体に報告する検査工程と、
各建築工程の工程終了確認日毎に、終了予定の建築工程が終了しているか否かの確認を行う工程終了確認工程と、
各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認日毎に、該ビルダーからの報酬の支払要求の有無を確認する支払要求確認工程と、
該ビルダーからの支払要求に付されている検査結果と、該検査機関から受け取った検査結果とを照合し、該ビルダーからの支払要求が正当か否かの確認を行う支払要求正当性確認工程と、
を有し、
該工程終了確認工程の確認結果が「工程未終了」であったとき、支払要求確認工程の確認結果が「支払要求無し」であったとき、又は該支払要求正当性確認工程の確認結果が「不当」であったときは、該統括管理体が、バックアップビルダーに、建築工事の代行指示をする住宅完成バックアップ方法であり、
撮影した映像の電子データに、位置情報及び時刻情報を結合させて記録することができるGPS内蔵デジタルカメラ機能を有する記録装置を用いて、建築現場を撮影し、次いで、検査結果の電子データに、位置情報及び時刻情報が結合された映像の電子データを結合させ、次いで、映像の電子データが結合された検査結果の電子データを電子認証機関に送信して、電子認証を要求し、該認証機関から電子認証を受信し、次いで、電子認証付きの検査結果の電子データを、該ビルダー及び該統括管理体に送信することにより、該検査工程を行うこと、
該各建築工程の終了予定日、該各建築工程の内容、該終了予定日から算出される終了検査予定日、及び該終了予定日から算出される工程終了確認日、並びに該支払要求予定日及び該支払要求予定日から算出される支払要求確認日が格納された電子計算機により、各建築工程の検査工程毎に、検査機関に該終了検査予定日及び検査内容を指示するための検査指示書を作成して、該検査機関に該検査指示書を送付し、各建築工程の工程終了確認工程毎に、工程終了確認者に確認指示を指示するための工程終了確認指示書を作成して、該工程終了確認者に該工程終了確認指示書を送付し、各建築工程の終了に対する報酬の支払要求確認工程毎に、支払要求確認者に確認指示をするための支払要求確認指示書を作成して、該支払要求確認者に該支払要求確認指示書を送付し、該工程終了確認者の確認に基づく「工程未終了」の入力があったとき、該支払要求確認者の確認に基づく「支払要求無し」の入力があったとき、又は支払要求正当性確認者の確認に基づく「不当」との入力があったときは、該バックアップビルダーに建築工事の代行指示をするための代行指示書を作成して、該バックアップビルダーに該代行指示書を送付すること、
を特徴とする住宅完成バックアップ方法。
【請求項2】
前記バックアップビルダーへの前記建築工事の代行指示があったときには、それ以後、建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーが建築工事を代行し、前記統括管理体は、代行以後に建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーの行う建築工事の各建築工程毎に、その工程の終了を検査機関に検査をさせ、前記工程終了確認工程、前記支払要求確認工程、及び前記支払要求正当性確認工程を行い、建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーからの各建築工程の終了に対する報酬の支払要求を受けて、前記信託会社に、建築工事を引き継いだ前記バックアップビルダー又は前記代替ビルダーへの報酬の支払指示をすることを特徴とする請求項1記載の住宅完成バックアップ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2012−59209(P2012−59209A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204600(P2010−204600)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(509145978)株式会社GIR (2)
【出願人】(705000293)サムシングホールディングス株式会社 (4)