説明

住宅情報通信システム

【課題】給水機器などの住宅設備機器のエネルギー消費量を確実に収集できる住宅情報通信システムを提供する。
【解決手段】住宅情報通信システム1は流量計29,31,33及び温度計30,32,34と住宅に設置された洗面化粧台4の吐水管19と吐水管19の金属鍍金層23に形成されたアンテナ35と送信機36とサーバーとを備えている。流量計29,31,33は給水管13,15,21内の水などの単位時間当たりの流量を検出する。温度計30,32,34は給水管13,15,21内の水などの温度を検出する。送信機36は流量計29,31,33が検出した単位時間当たりの流量を示す流量情報と温度計30,32,34が検出した温度を示す温度情報をアンテナ35から送信する。サーバーは送信機36が送信した流量情報及び温度情報を受信機を介して受信して記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅内での特に給水機器などの住宅設備機器におけるエネルギー消費量を収集する住宅情報通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空調機器、照明機器、換気機器などのエネルギー消費量を収集する住宅情報通信システムが提案されている。この種の住宅情報通信システムは、二酸化炭素の排出量を削減するための資とするために、空調機器、照明機器、換気機器のエネルギー消費量を収集する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一般の住宅では、各種の給水機器などの住宅設備機器におけるエネルギー消費量が、住宅全体のエネルギー消費量の約40%を占めている。このため、従来から提案されている住宅情報通信システムは、空調機器、照明機器、換気機器のエネルギー消費量を収集するだけであるために、二酸化炭素の排出量を削減するための資とするために十分な情報を収集できなかった。
【0004】
また、前述した住宅情報通信システムでは、各機器が消費したエネルギーを示す情報を、無線などによりサーバーまで送信する必要がある。しかしながら、住宅内には、吐水管や鏡などの表面に金属膜層としての金属鍍金層が施された住宅設備機器が多く設置されているために、サーバーまで情報を確実に送信できずに、エネルギー消費量を確実に把握できないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、給水機器などの住宅設備機器のエネルギー消費量を確実に把握できる住宅情報通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る住宅情報通信システムは、住宅の給水管内の水の状態を検出する状態検出手段と、前記住宅に設置された住宅設備機器を構成するとともに、表面の少なくとも一部に金属膜層が形成された住宅設備部品と、前記金属膜層に形成されたアンテナと、前記状態検出手段が検出した前記水の状態を示す状態情報を前記アンテナから送信する送信手段と、前記状態情報を受信する受信機器と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記住宅情報通信システムでは、給水管内の水の状態を状態検出手段が検出して、検出して得た状態情報を送信手段が受信機器に向かって送信するので、住宅設備機器のエネルギー消費量を求めることが可能な状態情報を把握することができる。また、アンテナを住宅設備部品の表面に形成された金属膜層に形成しているので、アンテナから送信する情報が住宅設備部品の表面に形成された金属膜層に阻まれにくくなり、受信機器まで送信されることとなる。よって、住宅設備機器のエネルギー消費量を求めることが可能な状態情報を確実に収集することができる。したがって、住宅設備機器のエネルギー消費量を求めることが可能な状態情報を確実に収集できるので、住宅全体のエネルギー消費量を把握でき、二酸化炭素の排出量を削減するための資とするために十分な情報を収集することができる。
【0008】
また、前記住宅情報通信システムでは、前記住宅設備部品が、吐水管であり、かつ、前記受信機器が、前記状態情報を記憶しかつ前記住宅設備機器のエネルギー消費量を算出するサーバーである、ことが好ましい。この住宅情報通信システムでは、アンテナが吐水管の表面の金属膜層に形成されているので、給水管内の水の状態を検出する状態検出手段とアンテナとの距離を最小限にすることができ、送信手段からサーバーへ情報を送信する際の損失を最小限にすることができる。よって、住宅設備機器のエネルギー消費量をより確実に把握することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る住宅情報通信システムは、送信手段から送信される情報が住宅設備機器の表面に形成された金属膜層に遮られにくくなるため、住宅設備機器のエネルギー消費量を確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施形態1に係る住宅情報通信システムを示す概略構成図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る住宅情報通信システムの要部の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る住宅情報通信システムのアンテナの構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、実施形態1の変形例に係る住宅情報通信システムのアンテナの構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、実施形態2に係る住宅情報通信システムのアンテナの構成を鏡の裏面側から示す斜視図である。
【図6】図6は、実施形態2の変形例に係る住宅情報通信システムのアンテナの構成を鏡の裏面側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る住宅情報通信システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る住宅情報通信システムを示す概略構成図、図2は、実施形態1に係る住宅情報通信システムの要部の構成を示すブロック図、図3は、実施形態1に係る住宅情報通信システムのアンテナの構成を示す斜視図である。
【0013】
図1、図2に示す実施形態1の住宅情報通信システム(以下、単に、通信システムと呼ぶ)1は、典型的には、住宅に設置される住宅設備機器のエネルギー消費量を収集するシステムである。なお、本発明でいう住宅設備機器とは、勿論、住宅内に設置されて、この住宅の給水にかかる各種の給水機器などの設備機器をいい、具体的には、トイレ、トイレ手洗、洗面化粧台、浴槽、キッチン、給湯器、水栓装置などをいう。
【0014】
図1には、前述した住宅設備機器として、給湯器2、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6、水栓装置10を示している。給湯器2は、上水道11からの水を所望の温度まで加熱して、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9に温水として供給する。また、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6、水栓装置10には、上水道11からの水が加熱などされることなく供給される。
【0015】
また、実施形態1では、給湯器2からの温水は、一旦、ヘッダー12に送られた後に、このヘッダー12から分岐した給水管13を通して、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9に供給される。これらの給水管13は、それぞれ、勿論、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9と1対1で対応しており、一端がヘッダー12に接続しかつ他端がキッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9のいずれかに接続している。なお、水栓装置を構成する部品としての後述する吐水管19や水栓20などは住宅設備部品に相当する。なお、本発明でいう住宅設備部品とは、前述した住宅設備機器を構成する部品全般をいう。
【0016】
また、上水道11からの水は、一旦、前記ヘッダー12とは別体のヘッダー14に送られた後に、このヘッダー14から分岐した給水管15を通して、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6、水栓装置10に供給される。これらの給水管15は、それぞれ、勿論、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6、水栓装置10と1対1で対応しており、一端がヘッダー14に接続しかつ他端がキッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6、水栓装置10のいずれかに接続している。ヘッダー12とヘッダー14は、水(本明細書では、前述した水や温水などを含んで、これらを包括して水と記す)を蓄えることが可能な容器である。
【0017】
通信システム1は、前述したキッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6、水栓装置10に水を供給する給水管13,15内を通る水などが消費したエネルギーの値即ちキッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6、水栓装置10のエネルギー消費量を収集するシステムである。なお、前述したキッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6、水栓装置10に設けられる、通信システム1に関する機器は、略同一であるため、以下、洗面化粧台4を代表して説明する。
【0018】
洗面化粧台4は、図1に示すように、洗面台16と、キャビネット17と、鏡18と、洗面台16上などに設けられた水栓装置8などを備えている。洗面台16の底部には排水用の配管が接続している。キャビネット17と鏡18は、洗面台16上に設けられている。キャビネット17は、各種の物品を収容可能である。鏡18は、平板状に形成されかつ洗面台16を使用する人物などを映すことができる。
【0019】
水栓装置8は、図1及び図2に示すように、吐水管19と、水栓20と、を備えている。吐水管19は、水栓装置8即ち洗面化粧台4を構成するとともに、図1に示すように、洗面台16の上面などから立設して設けられ、先端部が洗面台16の底に向かって曲げられているとともに、先端部に洗面台16の底に相対した吐水口が設けられている。吐水管19は、その内側に吐水口に連通した給水管21(図2に示す)を通している。吐水管19は、図3に示すように、絶縁性の合成樹脂(即ち、絶縁体)で構成された母材22と、この母材22の表面の略全体(即ち、少なくとも一部)に形成された金属膜層としての金属鍍金層23とを備えている。金属鍍金層23は、ニッケル、クロムのうち少なくとも一つの金属で構成されている。
【0020】
水栓20は、図2に示すように、水栓本体24と、バルブとしての図示しない湯水混合弁とを備えている。水栓本体24は、吐水管19と同様に絶縁性の合成樹脂(即ち、絶縁体)で構成された母材と、この母材の表面の略全体(即ち、少なくとも一部)に形成された金属膜層としての金属鍍金層とを備えている。金属鍍金層は、ニッケル、クロムのうち少なくとも一つの金属で構成されている。
【0021】
水栓本体24は、柱状部25と、柱状部25の上端部に取り付けられた操作レバー26とを備えている。柱状部25は、洗面台16の上面などから立設している。柱状部25は、外観が柱状に形成されている。柱状部25は、その長手方向が鉛直方向と平行に設けられている。
【0022】
操作レバー26は、柱状部25の上端部に取り付けられた円筒状部27と、この円筒状部27の外周面に一端部が連なった手動操作部としての操作片部28とを備えている。円筒状部27は、上側が閉塞された円筒状に形成されているとともに、柱状部25と同軸に設けられている。操作片部28は、円筒状部27の外周面からこの円筒状部27の外周方向に直線状に延びている。操作レバー26は、円筒状部27及び操作片部28が柱状部25の軸心回りに回動自在に設けられている。また、操作レバー26は、その操作片部28の他端部が鉛直方向に変位するように、前記一端部を中心として揺動自在に設けられている。
【0023】
湯水混合弁は、水栓本体24の柱状部25の内部に設けられ、前述した給水管13,15が接続している。また、湯水混合弁には、吐水管19内に通される給水管21が接続している。湯水混合弁は、操作レバー26の操作により作動状態が変化されて、ヘッダー12,14からの水の混合比率及びこれらの流量を調節(変更)するとともに、給水管21内の流路の開閉即ち給水管21を通して流される水の吐水と止水を行なう。
【0024】
水栓20は、操作片部28の一端部を中心として揺動されることで、ヘッダー12,14のうちの少なくとも一方からの水を吐水管19の吐水口に供給したり、これらの水の吐水口への供給を停止したりするとともに、これらの水等の吐水口への供給量を変更する。こうして、水栓20の操作片部28は、吐水口からの水等の吐水と止水とを変更可能であるとともに吐水口から吐水される水等の流量を変更可能な湯水混合弁を操作する。また、水栓20の操作片部28は、柱状部25の軸心回りに回動されることで、ヘッダー12,14からの水の混合比率を変更可能な湯水混合弁を操作する。
【0025】
通信システム1は、図2に示すように、前述した給水管13に設けられた流量計29及び温度計30と、給水管15に設けられた流量計31及び温度計32と、給水管21に設けられた流量計33及び温度計34と、アンテナ35と、流量計29,31,33及び温度計30,32,34に接続した送信手段としての送信機36と、受信機37(図1に示す)と、受信機器としてのサーバー38(図1に示す)と、表示端末39(図1に示す)を備えている。流量計29,31,33及び温度計30,32,34は、給水管13,15,21内の水の温度や流量などの状態を検出する状態検出手段をなしている。これらの流量計29,31,33、温度計30,32,34及び送信機36は、前述した洗面化粧台4の洗面台16の下方に設置されている。
【0026】
流量計29,31,33は、給水管13,15,21内の水の単位時間当たりの流量を予め定められた所定の時間間隔で検出し、検出した結果を所定の時間間隔で送信機36に向かって出力する。また、流量計29,31,33は、給水管13,15,21内に設けられかつこの給水管13,15,21内の水の流れにより回転する羽根車を備えており、この羽根車の回転により発電して、得た電力を送信機36に供給する。温度計30,32,34は、給水管13,15,21内の水の温度を予め定められた所定の時間間隔で検出し、検出した結果を所定の時間間隔で送信機36に向かって出力する。なお、給水管13,15,21内の水の単位時間当たりの流量と、給水管13,15,21内の水の温度は、給水管13,15,21内の水の状態をなしている。
【0027】
アンテナ35は、吐水管19の金属鍍金層23の一部がサンドブラスト加工、切削加工やエッチング加工により母材22の表面から除去されて形成されている。アンテナ35は、金属鍍金層23の残りの部分と母材22により電気的に絶縁されている。アンテナ35は、図3に示すように、互いに間隔をあけて直線状に延在した三つの直線部40と、互いに隣り合う直線部40の端部同士を連結した連結部41とを有して、複数回屈曲したあたかもパターンアンテナ形状に形成されている。なお、直線部40の長手方向は、吐水口付近の給水管21の長手方向と平行であり、連結部41の長手方向は、吐水口付近の給水管21の長手方向に対して直交している。アンテナ35の両端には、送信機36が接続している。こうして、アンテナ35は、金属鍍金層23に形成されている。なお、直線部40の長さは、アンテナ35の小型化と利得向上を図るために、送信機36の送信する信号の実効波長の1/4の整数倍に形成されている。
【0028】
送信機36は、前述した流量計29,31,33のうち少なくとも一つから電力が供給されると駆動する。送信機36は、前述した流量計29,31,33からの給水管13,15,21内の水の単位時間当たりの流量を示す流量情報(状態情報に相当)及び温度計30,32,34からの給水管13,15,21内の水の温度を示す温度情報(状態情報に相当)を、アンテナ35に向かって所定の時間間隔で出力する。送信機36は、流量計29,31,33からの給水管13,15,21内の水の単位時間当たりの流量を示す流量情報及び温度計30,32,34からの給水管13,15,21内の水の温度を示す温度情報をアンテナ35から受信機37に向かって無線送信する。
【0029】
受信機37は、住宅の適宜箇所に設置されている。受信機37は、送信機36が送信した給水管13,15,21内の水の単位時間当たりの流量を示す流量情報及び温度計30,32,34からの給水管13,15,21内の水の温度を示す温度情報を受信して、サーバー38に向かって出力する。サーバー38は、住宅の適宜箇所に設置されている。サーバー38は、受信機37が受信した給水管13,15,21内の水の単位時間当たりの流量を示す流量情報及び温度計30,32,34からの給水管13,15,21内の水の温度を示す温度情報、受信した時間などに基いて、洗面化粧台4の水栓装置8におけるエネルギー消費量を算出して、温度情報、流量情報、エネルギー消費量を記憶する。即ち、サーバー38は、受信機37を介して、状態情報としての温度情報、流量情報を受信して記憶する。また、サーバー38は、エネルギー消費量に関する情報を記憶する。こうして、サーバー38は、送信機36が送信した流量情報及び温度情報を、受信機37を介して受信し、洗面化粧台4の水栓装置8におけるエネルギー消費量を時間とともに記憶する。
【0030】
表示端末39は、住宅の適宜箇所に設置されている。表示端末39は、洗面化粧台4などのエネルギー消費量を表示する。
【0031】
前述した通信システム1では、キッチン3、浴槽5、トイレ6、水栓装置10は、前述した洗面化粧台4と同様に流量計29,31,33、温度計30,32,34や送信機36などを備えて、給水管13,15内の水などの状態を示す流量情報及び温度情報をサーバー38に接続した受信機37に向かって送信する。そして、通信システム1のサーバー38は、キッチン3、浴槽5、トイレ6、水栓装置10のエネルギー消費量を算出して、時間とともに記憶する。勿論、表示端末39は、キッチン3、浴槽5、トイレ6、水栓装置10のエネルギー消費量を表示する。
【0032】
上記のように構成された通信システム1は、給水管13,15,21内の水の単位時間当たりの流量や温度などの状態を流量計29,31,33や温度計30,32,34が検出して、検出して得た単位時間当たりの流量及び温度を示す流量情報及び温度情報を送信機36が受信機37を介して、サーバー38に向かって無線送信するので、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6、水栓装置10のエネルギー消費量を求めることが可能な状態情報を把握することができる。また、アンテナ35を吐水管19の表面に形成された金属鍍金層23に形成しているので、アンテナ35が送信する流量情報及び温度情報が吐水管19などの表面に形成された金属鍍金層23により阻まれにくくなり、サーバー38まで送信されることとなる。よって、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6、水栓装置10などの住宅設備機器のエネルギー消費量を求めることが可能な状態情報を確実に収集することができる。したがって、通信システム1は、住宅設備機器のエネルギー消費量を求めることが可能な状態情報を確実に収集できるので、住宅全体のエネルギー消費量を確実に把握でき、二酸化炭素の排出量を削減するための資とするために十分な情報を収集することができる。
【0033】
また、アンテナ35が吐水管19の表面の金属鍍金層23に形成されているので、給水管13,15,21内の水の状態を検出する流量計29,31,33や温度計30,32,34とアンテナ35との距離を最小限にすることができ、送信機36からサーバー38へ情報を送信する際の損失を最小限にすることができる。よって、住宅設備機器のエネルギー消費量をより確実に収集することができる。
【0034】
〔実施形態1の変形例〕
以下、実施形態1に係る住宅情報通信システム1の変形例について説明する。なお、前述した実施形態1と同一部分には、同一符合を付して説明を省略する。図4は、実施形態1の変形例に係る住宅情報通信システムのアンテナの構成を示す斜視図である。
【0035】
実施形態1の変形例では、図4に示すように、アンテナ35は、互いに間隔をあけて直線状に延在した二つの直線部42と、互いに隣り合う直線部42の中央部同士を連結した連結部43とを有している。なお、直線部42の長手方向は、吐水口付近の給水管21の長手方向に対して直交しており、連結部43の長手方向は、吐水口付近の給水管21の長手方向と平行である。連結部43には、送信機36が接続している。こうして、アンテナ35は、金属鍍金層23に形成されている。
【0036】
実施形態1の変形例によれば、前述した実施形態1と同様に、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6、水栓装置10などの住宅設備機器のエネルギー消費量を確実に収集することができる。
【0037】
〔実施形態2〕
以下、実施形態2に係る住宅情報通信システム1について説明する。なお、前述した実施形態1と同一部分には、同一符合を付して説明を省略する。図5は、実施形態2に係る住宅情報通信システムのアンテナの構成を鏡の裏面側から示す斜視図である。
【0038】
実施形態2では、アンテナ35は、洗面化粧台4の住宅設備部品としての鏡18に形成されている。鏡18は、図5に示すように、絶縁性のガラスなどで構成される母材としての板ガラス44の裏面(表面に相当)に、金属膜層としての金属膜部45と、図示しない保護塗料膜とが順に形成されている。なお、図5では、保護塗料膜を省略している。実施形態2では、金属膜部45は、板ガラス44の裏面に銀膜部と銅膜部が順に形成されて、構成されている。金属膜部45の銀膜部は、銀が板ガラス44の裏面に無電解鍍金されることで形成されている。また、本発明では、銀の他に、クロム、ニッケル、アルミニウムを板ガラス44の裏面に形成しても良い。即ち、金属膜層を、銀、ニッケル、クロム、アルミニウムのうち少なくとも一つの金属で構成することができる。
【0039】
アンテナ35は、鏡18の金属膜層としての金属膜部45の一部がサンドブラスト加工、切削加工やエッチング加工により板ガラス44の裏面から除去されて形成されている。アンテナ35は、金属膜部45の残りの部分と板ガラス44により電気的に絶縁されている。アンテナ35は、図5に示すように、互いに間隔をあけて直線状に延在した四つの直線部46と、互いに隣り合う直線部46の端部同士を連結した連結部47とを有して、複数回屈曲したあたかもパターンアンテナ形状に形成されている。なお、直線部46の長手方向は、水平方向と平行であり、連結部47の長手方向は、鉛直方向と平行である。アンテナ35の両端には、送信機36が接続している。こうして、アンテナ35は、金属膜層としての金属膜部45に形成されている。なお、直線部46の長さは、アンテナ35の小型化と利得向上を図るために、送信機36の送信する信号の実効波長の1/4の整数倍に形成されている。
【0040】
実施形態2によれば、前述した実施形態1と同様に、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6、水栓装置10などの住宅設備機器のエネルギー消費量を確実に収集することができる。
【0041】
〔実施形態2の変形例〕
以下、実施形態2に係る住宅情報通信システム1の変形例について説明する。なお、前述した実施形態2と同一部分には、同一符合を付して説明を省略する。図6は、実施形態2の変形例に係る住宅情報通信システムのアンテナの構成を鏡の裏面側から示す斜視図である。
【0042】
実施形態2の変形例では、アンテナ35は、互いに間隔をあけて直線状に延在した二つの直線部48と、互いに隣り合う直線部48の下端部同士を連結した連結部49とを有している。なお、直線部48の長手方向は、鉛直方向と平行であり、連結部49の長手方向は、水平方向と平行である。アンテナ35の両端には、送信機36が接続している。こうして、アンテナ35は、金属膜層としての金属膜部45に形成されている。なお、直線部48の長さは、アンテナ35の小型化と利得向上を図るために、送信機36の送信する信号の波長の1/4に形成されている。
【0043】
実施形態2の変形例においても、前述した実施形態1及び実施形態2と同様に、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6、水栓装置10などの住宅設備機器のエネルギー消費量を確実に収集することができる。
【0044】
前述した実施形態では、吐水管19の金属鍍金層23や鏡18の金属膜部45にアンテナ35を形成している例を示しているが、本発明は、これらに限定することなく、アンテナ35を前述した種々の住宅設備機器を構成する種々の住宅設備部品の金属膜層に形成しても良いことは勿論である。また、本発明では、アンテナ35が形成される金属膜層は、勿論、種々の住宅設備部品の表面の少なくとも一部に形成されていれば良い。
【0045】
前述した実施形態では、給水管13,15,21内の水の状態として単位時間当たりの流量及び温度を示しているが、本発明は、これに限定されない。即ち、住宅設備機器の消費エネルギーの値を算出できれば、給水管13,15,21内の水の状態として種々の値を用いることができる。また、住宅設備機器のエネルギー消費量を算出できれば、流量計29,31,33と温度計30,32,34の全てを設けなくても良い。
【0046】
前述した実施形態では、住宅設備機器としての洗面化粧台4などと受信機器としてのサーバー38との間で状態情報などを送受信している。しかしながら、本発明では、複数の住宅設備機器間で状態情報などを送受信しても良い。この場合、送受信する住宅設備機器のうちの送信する一方が、請求項に記載された住宅設備機器をなし、受信する他方が、請求項に記載された受信機器をなす。例えば、住宅設備機器としての洗面化粧台4と、受信機器としてのキッチン3との間で状態情報の送受信を行なう際には、受信機器としてのキッチン3の水栓装置7に、受信機37と、給水管13,15の水の混合比率を変更可能な湯水混合弁と、受信機37と湯水混合弁とに接続して湯水混合弁の動作を制御する制御装置などを設けるのが望ましい。この場合、例えば、温度計34が例えば摂氏40度を示す温度情報を検出して、送信機36がこの温度情報を送信し、キッチン3の受信機37が受信する。すると、制御装置が、前述した摂氏40度を示す温度情報を受信している間のみ、水栓装置7から吐水できる水の上限温度が摂氏35から摂氏30度となるように、湯水混合弁を制御するのが望ましい。こうすることで、前述した効果に加えて、住宅全体としてのエネルギー消費量を削減することができる。
【0047】
なお、上述した本発明の実施形態1及び実施形態2に係る通信システム1は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 住宅情報通信システム
2 給湯器(住宅設備機器)
3 キッチン(住宅設備機器)
4 洗面化粧台(住宅設備機器)
5 浴槽(住宅設備機器)
6 トイレ(住宅設備機器)
10 水栓装置(住宅設備機器)
13,15,21 給水管
18 鏡(住宅設備部品)
19 吐水管(住宅設備部品)
20 水栓(住宅設備部品)
23 金属鍍金層(金属膜層)
29,31,33 流量計(状態検出手段)
30,32,34 温度計(状態検出手段)
35 アンテナ
36 送信機(送信手段)
38 サーバー(受信機器)
45 金属膜部(金属膜層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の給水管内の水の状態を検出する状態検出手段と、
前記住宅に設置された住宅設備機器を構成するとともに、表面の少なくとも一部に金属膜層が形成された住宅設備部品と、
前記金属膜層に形成されたアンテナと、
前記状態検出手段が検出した前記水の状態を示す状態情報を前記アンテナから送信する送信手段と、
前記状態情報を受信する受信機器と、を備えることを特徴とする、
住宅情報通信システム。
【請求項2】
前記住宅設備部品が、吐水管であり、かつ、
前記受信機器が、前記状態情報を記憶しかつ前記住宅設備機器のエネルギー消費量を算出するサーバーである、
請求項1に記載の住宅情報通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−42230(P2013−42230A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176196(P2011−176196)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】