説明

住宅提案システム及びプログラム

【課題】二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットなどの環境影響値について目標値を定め、それを満たすことができる住宅を提案することができる住宅提案システムを提供する。
【解決手段】目標とする住宅の環境影響値を設定する目標値設定部203と、住宅の設計仕様を設定する住宅設計仕様設定部204と、住宅の施工情報を有する住宅施工ファイル221と、設定された住宅の環境影響値と、設定された住宅の設計仕様と、該データベースの情報とに基づき、住宅の施工例を抽出する検索部205とを備える住宅提案システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の提案システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識が高まっており、企業においては二酸化炭素の排出を抑制するために、工場や製品の生産ラインを見直すことが行われている。そして、住宅においても、建設する際に二酸化炭素が発生しており、環境に配慮した対応が必要である。
【0003】
二酸化炭素の排出抑制という観点においては、木は光合成によって二酸化炭素を吸収して固定していると言うことができる。そして、木は、伐採されて木材となり、住宅を建設する際に、柱、梁、土台、外壁材、内壁材、屋根材等の建材の原料として使用される。この場合、木材に吸収された二酸化炭素は建材の中に固定されており、二酸化炭素を固定する手段として有効である。
【0004】
また、木材には間伐材を使用して製造される建材がある。例えば、特許文献1には、間伐材を用いて外壁材を製造する方法が開示されており、このような建材を用いて住宅を建設すると、間伐材を有効利用できるとともに、間伐材に吸収された二酸化炭素を建材の中に固定することになり、さらに、間伐された森林では木の生長が促進され、二酸化炭素の吸収量が増える。
【0005】
一方、木材を全く使用しない建材がある。例えば、特許文献2には、軽量気泡コンクリート板が開示されているが、該軽量気泡コンクリート板は、珪酸質原料と石灰質原料とを主原料とする原料スラリーを成型用型枠に打設した後に、オートクレーブ養生することにより製造されており、木材を含有していないので、二酸化炭素吸収量はゼロであり、二酸化炭素固定量はゼロである。
このように、木材を含むか否かにより、建材の二酸化炭素吸収量及び二酸化炭素固定量は大きく異なる。
【0006】
しかし、従来は住宅を設計するにあたり、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットなどが考慮されることは行われておらず、設計図面を作成し、間取り、屋根の形状、窓などの開口部の位置を決定した後、様々な形状、寸法、模様、柄、色調を有する建材を複数配列して内壁、外壁のデザインを構築するに停まる。なお、「二酸化炭素固定量」は、その建材が木材を含むことによって二酸化炭素を吸収して固定していると考えられる量である。「二酸化炭素吸収量」は、建材が間伐された木材を含むことによって、該木材の産地である森林が生長過程で吸収すると考えられる二酸化炭素量であり、該建材に含まれる木材が生長過程で吸収した二酸化炭素量、及び、該森林が今後生長過程で吸収する二酸化炭素量を含む。「カーボン・クレジット」は取引可能な温室効果ガスの排出削減量証明のことである。このようにこれらの「二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット」は、定義は異なるが、いずれも温室効果ガスの排出削減量を示す指標である。
【0007】
例えば、特許文献3には、住宅の外観デザインを作成するシミュレーションをネットワークで接続されたサーバ−クライアント間で実現するシステムが開示されている。このシステムによれば、クライアント装置を用いて、サーバ装置からシミュレーションに必要な建材画像等のデータを取得し、クライアント装置に予め保持している家屋画像データなどに貼り付けることにより、住宅の外観デザインを作成するシミュレーションを行うことができるが、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットなどを算出、考慮することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−325052号公報
【特許文献2】特開2009−96665号公報
【特許文献3】特開2002−41879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、従来より、外観を考慮して建材を決定することが行われてはいるものの、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットを考慮して住宅を決定することは行われていない。
【0010】
本発明は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなどの環境影響値について目標値を定め、それを満たすことができる住宅を提案することができる住宅提案システム及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくともデータベースと、目標値設定部と、住宅設計仕様設定部と、検索部とを備えた住宅提案システムを提供するものである。目標値設定部は、目標とする住宅の環境影響値を設定する。住宅設計仕様設定部は、住宅の設計仕様を設定する。データベースは、住宅の施工情報を有する住宅施工ファイルを記憶している。住宅施工ファイルは、住宅の施工データ毎に、住宅の設計仕様と環境影響値のデータを有している。そして、検索部は、データベースの中から、住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様に適合し、目標とされた住宅の環境影響値を満たす住宅の施工情報を抽出する。本発明の住宅提案システムでは、環境影響値により、住宅を検索し、提案することができる。これにより、顧客は、環境への貢献度を考慮して住宅を決定することができる。なお、目標とされた住宅の環境影響値を満たすとは、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットにおいては、目標とされた住宅の環境影響値以上の値を有するということである。
【0012】
また、本発明の住宅提案システムにおいて、顧客の自己活動を設定する自己活動設定部と、顧客の自己活動による二酸化炭素排出量を算出する演算部と、生活状況による二酸化炭素排出データを有する二酸化炭素排出ファイルとを備えていることが好ましい。二酸化炭素排出ファイルはデータベースに記憶されており、演算部は、自己活動設定部により設定された顧客の自己活動に関するデータと、二酸化炭素排出ファイルとに基づき、顧客の自己活動による二酸化炭素排出量を算出することができる。これにより、顧客は、自己活動による二酸化炭素排出量を把握し、明確な目標値を設定することができるので、好ましい。更に、二酸化炭素排出量をオフセットするのに必要な環境影響値のデータを有する換算ファイルを備え、演算部は、該換算ファイルとに基づき、算出された二酸化炭素排出量をオフセットするのに必要な環境影響値を算出し、目標値設定部は、該演算部により算出された必要な環境影響値を目標として設定することができると、より好ましい。
【0013】
更に、本発明の住宅提案システムにおいて、住宅施工ファイルは、住宅の施工データ毎に、建材、施工業者、住宅画像、施工費用の少なくともいずれかのデータを有することもできる。これにより、顧客は、より詳しく情報を把握した上で選択を行うことができる。
【0014】
更に、本発明の住宅提案システムにおいて、建材を設定する建材設定部を備えることができる。この場合、検索部は、データベースの中から、住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様と、建材設定部により設定された建材とに適合し、目標とされた住宅の環境影響値よりも大きい値を有する住宅の施工情報を抽出する。これにより、より具体的に住宅を絞り込むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなどの環境影響値の目標値を定め、それを満たすことができる住宅を提案することができる住宅提案システム及びプログラムを提供することができる。このシステムにより、環境影響値が多い、環境への貢献の大きい住宅、建材の販売が促進されるとともに、顧客は環境への貢献を把握することができる。また、二酸化炭素の抑制、改善に繋がる。更に、建設する際に排出された二酸化炭素をオフセットすることが可能な住宅を提案することが可能となるので、環境への貢献も大きい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の住宅提案システムの実施形態1について、全体システム構成例を概略的に示す図である。
【図2】実施形態1におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図3】実施形態1におけるデータベース内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。
【図4】クライアント装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図5】実施形態1における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図6】目標とする住宅の環境影響値の設定を行う画面の例を示す図である。
【図7】住宅の設計仕様の設定を行う画面の例(その1)を示す図である。
【図8】住宅の設計仕様の設定を行う画面の例(その2)を示す図である。
【図9】住宅の設計仕様の設定を行う画面の例(その3)を示す図である。
【図10】実施形態1における検索結果の表示画面を示す図である。
【図11】実施形態2におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図12】実施形態2における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図13】建材の設定を行う画面の例(その1)を示す図である。
【図14】建材の設定を行う画面の例(その2)を示す図である。
【図15】実施形態2における検索結果の表示画面を示す図である。
【図16】実施形態3におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図17】実施形態3における自己活動を設定する画面の例を示す図である。
【図18】実施形態3における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図19】実施形態4におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図20】実施形態4における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図21】実施形態5におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図22】実施形態5におけるデータベース内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の住宅提案システムを実施するための形態を説明する。図1〜図22は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0018】
図1は、本発明の住宅提案システムの実施形態1について、全体システム構成例を概略的に示す図である。実施形態1のシステムは、住宅メーカー又は建材メーカーなどに設置されるサーバ装置100と、顧客あるいは工務店や設計事業者等又はこれら事業者のショールームなどに設置されるクライアント装置120と、該サーバ装置100と該クライアント装置120を接続するネットワーク110とから構成されている。サーバ装置100は、サーバ210及びデータベース220から構成されており、本発明の対象である住宅提案システムである。
【0019】
サーバ装置100と各クライアント装置120とは、ネットワーク110を通じて通信可能なサーバ−クライアントシステムを構成している。サーバ装置100及び各クライアント装置120間それぞれの機能については、データベース層、ファンクション層(アプリケーションサーバ)、プレゼンテーション層(ユーザインターフェイス)からなる3層構造とするのが好ましい。この場合、サーバ装置100においてデータベース220及びアプリケーションサーバ210を備えるとともに、クライアント装置120ではユーザインターフェイス(WEBブラウザ等)のみを備えるように構成することができる。
【0020】
図2は、実施形態1におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。サーバ210は、主制御部200、記憶部201、ネッワークインターフェイス部202、目標値設定部203、住宅設計仕様設定部204、及び検索部205とから構成されている。データベース220は、住宅施工ファイル221、検索結果ファイル222、及びRDBMS230とから構成されている。
【0021】
サーバ210の主制御部200は、CPU、MPU等の処理装置から構成されており、予め記憶されているプログラム等に従って、所定の演算を行い、本サーバ210内の各構成部分の動作を制御し、各構成部分間のデータ通信を制御する。
【0022】
記憶部201は、揮発性又は不揮発性の半導体記憶素子などから構成されており、主制御部200の動作用プログラムを記憶したROMや、主制御部200の作業領域として利用されるRAMなどを含んでいる。また、各種データやアプリケーションプログラムなどを記憶しておくための磁気ディスク装置(ハードディスク)やリムーバブルディスクメディア(CD−R、MO等)などの補助記憶装置をさらに含んでいてもよい。
【0023】
ネットワークインターフェイス部202は、ネットワークを通じてクライアント装置120との通信を可能にするためのインターフェイスであり、NIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタ及びこれを駆動するためのソフトウェアから構成されるものである。例えば、ネットワークがインターネットである場合には、TCP/IP等のプロトコルを利用して通信を行うことができる。
【0024】
目標値設定部203は、目標とする住宅の環境影響値を設定する。環境影響値は、代表的には二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットであるが、これらに限られない。目標値設定部203は、サーバ210上で動作するプログラムとして実装されているものである。
【0025】
住宅設計仕様設定部204は、顧客の住宅の設計仕様又は顧客の要望にあった住宅の設計仕様を設定する。尚、住宅設計仕様設定部204は、サーバ210上で動作するプログラムとして実装されているものである。
【0026】
検索部205は、住宅施工ファイル221に含まれる住宅の施工例の中から、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様に適合し、目標値設定部203により設定された目標値を満たす住宅の施工例に関する情報を抽出する。尚、検索部205は、サーバ210上で動作するプログラムとして実装されているものである。
【0027】
RDBMS230は、データベース220を操作するための基本的なデータベース管理システム(Relational Database Management System)であり、主制御部200はRDBMS230に命令することにより、各ファイル221、222に対して、データの検索、追加、更新、削除等の所定の操作を行うことができるようになっている。
【0028】
図3は、実施形態1におけるデータベース内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。データベース220の住宅施工ファイル221は、住宅の施工例について、住宅施工コード、設計仕様データ、設計基礎データ、施工箇所データ、建材データ、施工業者データ、施工画像データ、施工費用データ、二酸化炭素排出量データ、二酸化炭素吸収量データ、二酸化炭素固定量データ、カーボン・クレジットデータ、カーボン・フットプリントデータ、間伐材の産地データ、地域データ、防耐火性能データ、耐震性能データなどを保持している。実際に施工された例だけでなく、注文に応じて施工されるメニューにある施工例を含めても良い。
【0029】
検索結果ファイル222は、目標値設定部203により設定された目標値、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅仕様、検索部205により検索された住宅の施工例に関する情報等を保持している。また、検索で抽出された住宅施工コードを含んでおり、住宅施工ファイル221とリレーションしている。
【0030】
図4は、クライアント装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。クライアント装置120は、主制御部400、記憶部401、表示部402、入力部403、ネットワークインターフェイス部404、及びユーザインターフェイス部405とから構成されている。
【0031】
クライアント装置120の主制御部400は、CPU、MPU等の処理装置から構成されており、予め記憶されているプログラム等に従って、所定の演算を行い、本クライアント装置120内の各構成部分の動作を制御し、各構成部分間のデータ通信を制御する。
【0032】
記憶部401は、揮発性又は不揮発性の半導体記憶素子などから構成されており、主制御部400の動作用プログラムを記憶したROMや、主制御部400の作業領域として利用されるRAMなどを含んでいる。また、各種データやアプリケーションプログラムなどを記憶しておくための磁気ディスク装置(ハードディスク)やリムーバブルディスクメディア(CD−R、MO等)などの補助記憶装置をさらに含んでいてもよい。
【0033】
表示部402は、モニタ装置やスピーカ等から構成されるものであり、映像及び音声による情報をクライアント装置120の操作者に表示する。入力部403は、本クライアント装置120に対する操作者からの入力操作を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びマウスを含んでいる。
【0034】
ネットワークインターフェイス部404は、ネットワークを通じてクライアント装置120との通信を可能にするためのインターフェイスであり、NIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタ及びこれを駆動するためのソフトウェアから構成されるものである。例えば、ネットワークがインターネットである場合には、TCP/IP等のプロトコルを利用して通信を行うことができる。
【0035】
ユーザインターフェイス部405は、サーバ装置100において実現される各種サービスをユーザに提供する機能(クライアント−サーバシステムにおけるプレゼンテーション層の機能)を備えている。具体的には、ネットワークを通じてサーバ装置100から受信した各種データや情報を所定の形式で、表示部402等を介してユーザに表示し、あるいは記憶部401に記憶させ、また、ユーザが入力部403から入力した各種データや情報をサーバ装置100に送信する機能を有するプログラム等として実装することができる。一般的には、WEBブラウザ等のプログラムが用いられることが多いが、実施形態1のシステムでは、住宅提案を行うために図形処理等のプラグインソフトなどを必要に応じてWEBブラウザ等に追加したものを用いるのが好ましい。
【0036】
図5は、実施形態1における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。次に、上記のように構成された実施形態1の住宅提案システムの利用形態とクライアント装置120及びサーバ装置100の動作について詳細に説明する。
【0037】
実施形態1では、まず、目標を設定する(ステップS11)。図6は、この実施形態1における住宅の環境影響値の設定を行う画面の例であり、目標値設定部203により表示されるので、顧客は、目標とする住宅の環境影響値(例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなど)を入力する。なお、図6では、入力にあたり、参考となるデータを参照するために、参照ボタンが設けられている。そして決定ボタン301をクリックすることにより、顧客により入力された値は、目標値設定部203により、本提案における目標値として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。戻るボタン302をクリックすることにより、前画面に戻り、ヘルプボタン303をクリックすることにより、操作説明画面を表示する。
【0038】
次に、住宅の設計仕様を設定する(ステップS12)。図7は、この実施形態1における住宅の設計仕様の設定を行う画面(その1)の例であり、住宅設計仕様設定部204により、顧客は、住宅の地域を選定する。図7の画面では、すべての都道府県を配した表が表示されているので、顧客は、要望する地域の箇所をクリックすることにより、任意の都道府県又は全国を選定することができる。図7では、愛知県が選定されており、黒印で示されている。そして、決定ボタン301をクリックすることにより、地域が決定されて、次の設定画面に移る。
【0039】
図8は、実施形態1における住宅の設計仕様の設定を行う画面(その2)の例である。ここでは、顧客は、住宅の対象箇所を選定する。図8の画面では、住宅の各部を配した表が表示されているので、顧客は、要望する対象の箇所をクリックすることにより、任意の対象又は家全体を選定することができる。図8では、家全体が選定されており、黒印で示されている。そして、決定ボタン301をクリックすることにより、対象が決定されて、次の設定画面に移る。
【0040】
図9は、実施形態1における住宅の設計仕様の設定を行う画面(その3)の例である。ここでは、顧客は、住宅のその他の選定をする。図9の画面では、費用、地域(防火など)、防耐火性能、耐震性能、構造(木造など)を縦軸に、その具体例を横軸に配した表が表示されているので、顧客は、要望する項目の箇所をクリックすることにより、任意の設計仕様を選定することができる。図9では、費用が2000〜2499万円が選定されており、黒印で示されている。そして、決定ボタン301をクリックすることにより、顧客により選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部204により、本提案における住宅の設計仕様として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0041】
ステップS12の処理を終えると、検索部205により住宅施工ファイル221に含まれる住宅の施工例の中から、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様に適合し、目標値設定部203により設定された目標値を満たす住宅の施工例に関する情報が抽出される(ステップS13)。具体的には、記憶部201には、目標値設定部203により設定された、目標とする住宅の環境影響値と、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様が保持されているので、検索部205では、これらのデータを用いて、目標とする住宅の環境影響値を満たす住宅施工例に関する情報が抽出される。より詳しくは、住宅の建設に伴う二酸化炭素排出量をも考慮して、目標とする住宅の二酸化炭素固定量などの環境影響値を満たす施工例が抽出される。この抽出は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、及びカーボン・クレジットのいずれに対しても行うことができる。検索された結果は、住宅施工コードをつけて検索結果ファイル222に保存される。顧客は、このようにして検索した結果を自身のクライアント装置120に保存したり、印刷したりすることができる。
図10は、実施形態1における検索結果の表示画面を示す図である。図10の画面では、検索条件を画面の上部に表示し、検索結果である施工例のリストをその下に表示している。表示されている各施工例の詳細については、詳細ボタン308をクリックすることにより、別画面(図示せず)で見ることができる。これらの画面については、印刷ボタン306をクリックすることにより、随時、印刷することができる。終了ボタン307をクリックすることにより、一連の処理を終える。
【0042】
図11は、実施形態2におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図であり、図12は、その処理の流れを概略的に示すフローチャートである。本発明の住宅提案システムの実施形態2として、顧客が選んだ建材に合った施工例を提示するようにすることもできる。このため、本実施形態2のサーバ210は、建材設定部206を備える。
【0043】
実施形態2でも、まず、目標を設定する(ステップS21)。目標を設定する画面としては、図6を用いることができる。目標を設定する画面は、目標値設定部203により表示されるので、顧客は、目標とする住宅の環境影響値(例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなど)を入力する。そして、顧客により入力された値は、目標値設定部203により、本提案における目標値として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0044】
次に、住宅の設計仕様を設定する(ステップS22)。住宅の設計仕様の設定を行う画面としては、図7〜図9を用いることができる。住宅の設計仕様を設定する画面は、住宅設計仕様設定部204により表示されるので、顧客は住宅の設計仕様を選定する。選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部204により、本提案における住宅の設計仕様として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0045】
次に、建材設定部206により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能な建材が選定される(ステップS23)。図13は、この実施形態2における建材の設定を行う画面(その1)の例であり、建材設定部206により、顧客は、まず、建材の施工箇所を選定する。図13の画面では、住宅の施工箇所を配した表が表示されているので、顧客は、要望する施工箇所をクリックすることにより、任意の施工箇所を選定することができる。図13では、外壁が選定されており、黒印で示されている。そして、決定ボタン301をクリックすることにより、施工箇所が決定されて、次の設定画面に移る。
図14は、建材の設定を行う画面(その2)の例であり、建材設定部206により、顧客は、先の画面で選定した施工箇所における建材を選定する。図14の画面では、外壁の建材について、その具体例を一覧に配した表が表示されているので、顧客は、要望する建材の箇所をクリックすることにより、任意の建材を選定することができる。図14では、外壁として窯業系サイディングが選定されており、黒印で示されている。そして、決定ボタン301をクリックすることにより、顧客により選定された建材は、建材設定部206により、本提案における建材として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0046】
ステップS23の処理を終えると、検索部205により住宅施工ファイル221に含まれる住宅の施工例の中から、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様に適合し、建材設計部206により設定された建材に合い、目標値設定部203により設定された目標値を満たす住宅の施工例に関する情報が抽出される(ステップS24)。具体的には、記憶部201には、目標値設定部203により設定された、目標とする住宅の環境影響値と、建材設計部206により設定された建材と、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様が保持されているので、検索部205では、これらのデータを用いて、目標とする住宅の環境影響値を満たす住宅施工例に関する情報が抽出される。検索された結果は、住宅施工コードをつけて検索結果ファイル222に保存される。顧客は、このようにして検索した結果を自身のクライアント装置120に保存したり、印刷したりすることができる。
図15は、実施形態2における検索結果の表示画面を示す図である。図15の画面では、検索条件を画面の上部に表示し、検索結果である施工例のリストをその下に表示している。
【0047】
図16は、実施形態3におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図であり、図17は、実施形態3における自己活動を設定する画面の例を示す図であり、図18は、その処理の流れを概略的に示すフローチャートである。本発明の住宅提案システムの実施態様3として、顧客の自己活動による二酸化炭素排出量を算出する機能を備えることもできる。
【0048】
本実施形態3では、図16に示すように、サーバ211に演算部207、自己活動設定部208を備え、データベース320に二酸化炭素排出ファイル223を備える。自己活動設定部208は、顧客の自己活動を設定するものであり、サーバ211上で動作するプログラムとして実装されている。二酸化炭素排出ファイル223は、生活状況である、人、自動車、電気、ガスによる二酸化炭素排出データを含んでいる。
【0049】
本実施形態3では、まず、顧客は自己活動を設定する(ステップS31)。図17は、この実施形態3における自己活動を設定する画面の例であり、顧客が家族構成、自動車データ、電気使用量、ガス使用量を入力する。なお、図17では、入力にあたり、参考となるデータを参照するために、参照ボタンが設けられている。また、図17では、家族構成、自動車データ、電気使用量、ガス使用量が入力されると、入力データと二酸化炭素排出ファイル223のデータに基づき、演算部207が二酸化炭素排出量を算出するように設けてある(ステップS32)。算出された二酸化炭素排出量は、自己活動設定部208により、本提案における顧客の自己活動による二酸化炭素排出量として設定され、サーバ211の記憶部201に記憶される。
【0050】
ステップS32の処理を終えると、次に、目標を設定する(ステップS33)。目標を設定する画面としては、図6を用いることができる。目標を設定する画面は、目標値設定部203により表示されるので、顧客は、ステップS32で算出された顧客の自己活動による二酸化炭素排出量を参照しながら、目標とする住宅の環境影響値(例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなど)を入力する。そして、顧客により入力された値は、目標値設定部203により、本提案における目標値として設定され、サーバ210の記憶部201に記憶される。
【0051】
ステップS33の処理を終えると、次に、住宅の設計仕様を設定する(ステップS34)。住宅の設計仕様を設定する画面は、住宅設計仕様設定部204により表示されるので、顧客は住宅の設計仕様を選定する。選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部204により、本提案における住宅の設計仕様として設定され、サーバ211の記憶部201に記憶される。なお、住宅の設計仕様を設定する画面としては、図7〜図9に示す画面を用いることができる。
【0052】
ステップS34の処理を終えると、検索部205により住宅施工ファイル221に含まれる住宅の施工例の中から、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様に適合し、目標値設定部203により設定された目標値を満たす住宅の施工例に関する情報が抽出される(ステップS35)。具体的には、記憶部201には、演算部207により算出された自己活動による二酸化炭素排出量と、目標値設定部203により設定された、目標とする住宅の環境影響値と、住宅設計仕様設定部204により設定された住宅の設計仕様が保持されているので、検索部205では、これらのデータを用いて、自己活動による二酸化炭素排出量をも考慮して、目標とする住宅の環境影響値を満たす住宅施工例に関する情報が抽出される。検索された結果は、住宅施工コードをつけて検索結果ファイル222に保存される。顧客は、このようにして検索した結果を自身のクライアント装置120に保存したり、印刷したりすることができる。
【0053】
図19は、実施形態4におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図であり、図20は、その処理の流れを概略的に示すフローチャートである。本発明の住宅提案システムの実施態様4として、顧客の自己活動に対して環境影響値を換算する機能を備えることもできる。
【0054】
本実施形態4では、図19に示すように、実施形態3に対してデータベース321に換算ファイル224を備える。換算ファイル224は、生活状況である、人、自動車、電気、ガスによる二酸化炭素排出量に対して、これをオフセットする環境影響値に換算するデータを含む。
このため、実施形態3に対して、必要な環境影響値を算出するステップS43が追加されて、換算ファイル224により顧客の自己活動に対して望まれる必要な環境影響値を算出し、顧客が直接に目標を設定するのではなく、設定された自己活動に基づいて目標を設定する(ステップS44)。実施形態4のこれ以外は実施形態3と同じである。
【0055】
図21は、実施形態5におけるサーバ装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図であり、図22は、そのデータベース内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。本発明の住宅提案システムの実施態様5として、データベースに、建材ファイル225及び会社ファイル226を備えることもできる。
【0056】
本実施形態5では、図21に示すように、実施形態4に対してデータベース322に建材ファイル225及び会社ファイル226を備える。図22に示すように、建材ファイル225は、建材コードに対してその建材の詳細データである、商品名、寸法・形状、価格、防耐火性能、耐震性能、イメージデータ、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリント、間伐材含有量、間伐材の産地、用途データ、及び性能データなどを含む。会社ファイル226は、会社コードに対してその会社の詳細データである、会社名、住所、電話番号、メールアドレス、代表者、及び住宅施工データを含む。
このため、実施形態4と比べると、顧客に建材の詳細データ及び会社の詳細データを提示することができる。実施形態5のこれ以外は実施形態4と同じである。
【0057】
以上、本発明の住宅提案システムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態又は他の実施形態にかかる発明の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。また、住宅の外壁面、内壁面、躯体等の一部にのみ適用することも可能である。本発明の住宅提案システムは、コンピュータを本住宅提案システムとして機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されていてもよい。
このプログラムを記録した記録媒体は、図1に示される住宅提案システムのROMそのものであってもよいし、また、外部記憶装置としてCD−ROMドライブ等のプログラム読取装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なCD−ROM等であってもよい。
また、上記記録媒体は、磁気テープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、ハードディスク、MO/MD/DVD等、又は半導体メモリであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、例えば、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、又はカーボン・クレジットなどの環境影響値の目標値を定め、それを満たすことができる住宅を提案することができる住宅提案システム及びプログラムを提供することができる。このシステムにより、環境影響値が多い、環境への貢献の大きい建材の販売が促進されるとともに、顧客は環境への貢献を把握することができる。また、二酸化炭素の抑制、改善に繋がる。更に、建設する際に排出された二酸化炭素をオフセットすることが可能な住宅を提案することが可能となるので、環境への貢献も大きい。
【符号の説明】
【0059】
200 主制御部
201 記憶部
202 ネットワークインターフェイス部
203 目標値設定部
204 住宅設計仕様設定部
205 検索部
206 建材設定部
207 演算部
208 自己活動設定部
320 データベース
221 住宅施工ファイル
222 検索結果ファイル
223 二酸化炭素排出ファイル
224 換算ファイル
225 建材ファイル
226 会社ファイル
400 主制御部
401 記憶部
402 表示部
403 入力部
404 ネットワークインターフェイス部
405 ユーザインターフェイス部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の施工データ毎に、住宅の設計仕様と環境影響値のデータを有する住宅施工ファイルを記憶するデータベースと、
住宅の環境影響値の目標値を設定する目標値設定部と、
住宅の設計仕様を設定する住宅設計仕様設定部と、
前記データベースの中から、前記住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様に適合し、前記目標値設定部により設定された前記目標値を満たす住宅の施工情報を抽出する検索部と
を備えことを特徴とする住宅提案システム。
【請求項2】
請求項1に記載の住宅提案システムであって、
更に、顧客の自己活動を設定する自己活動設定部と、
生活状況に基づく二酸化炭素排出データを有する二酸化炭素排出ファイルと、
前記自己活動設定部により設定された顧客の自己活動に関するデータと、前記二酸化炭素排出ファイルとに基づき、顧客の自己活動による二酸化炭素排出量を算出する演算部とを備え、
前記二酸化炭素排出ファイルは前記データベースに記憶されていることを特徴とする住宅提案システム。
【請求項3】
請求項2に記載の住宅提案システムであって、
前記演算部は、算出された二酸化炭素排出量をオフセットするのに必要な環境影響値を算出し、
前記目標値設定部は、前記演算部により算出された必要な環境影響値を目標として設定する
ことを特徴とする住宅提案システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の住宅提案システムであって、
前記住宅施工ファイルは、住宅の施工データ毎に、建材、施工業者、住宅画像、又は工費用の少なくともいずれかのデータを有することを特徴とする住宅提案システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の住宅提案システムであって、
更に、建材を設定する建材設定部を備え、
前記検索部は、前記データベースの中から、前記住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様と、前記建材設定部により設定された建材とに適合し、目標とされた住宅の環境影響値よりも大きい値を有する住宅の施工情報を抽出することを特徴とする住宅提案システム。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1〜5のいずれかに記載の住宅提案システム、として機能させるためのプログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2012−215958(P2012−215958A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79200(P2011−79200)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【特許番号】特許第4911803号(P4911803)
【特許公報発行日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(000110860)ニチハ株式会社 (182)