説明

住宅監視システム

【課題】居住者が就寝しているような状況であっても居住者が活動しているような状況であっても、居住者に負担をかけることなく、適切に居住者に異常が生じたことを判断することができるようにする。
【解決手段】居室内で人が生活活動をしているか否かを検知する生活センサ5が人の生活活動を検知していない状態となってからの時間をタイマー6によって計測し、その時間が所定時間以上となった場合に居住者に異常が生じたことを報知部11により報知するものであり、居室内の照度が閾値以上の明るさか否かを照度センサ4が検知したときに比べて、閾値以上の明るさを検知しなかったときの所定時間を相対的に長くするようにしているので、居住者が就寝しているかどうかが判断され、居住者が就寝しているような状況であっても居住者が活動しているような状況であっても、居住者に負担をかけることなく、適切に居住者に異常が生じたことを判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者などが居住する住宅を監視する住宅監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、核家族化などの進行により、高齢者のみが居住する住宅が増えている。また、このような高齢者が居住する住宅を集めて、管理人室などにより管理する集合住宅が知られている。
【0003】
このような住宅において、人体センサなどにより居室内の居住者の動きを検知し、人体センサによる検知ができない時間が所定時間(例えば、12または24時間など)以上になった場合に、居住者に異常が生じたと判断して所定の通信端末に通報を行う安否確認装置が知られている(例えば、特許文献1など)。
【特許文献1】特開2006−48303号公報
【0004】
ところが、この特許文献1に記載の技術では、所定時間が12時間や24時間などと長く設定されているので、居住者に異常が生じたことが判断されるまでに時間を要することになってしまい、精度が落ちてしまう。これに対して、所定時間を2〜5時間などと短く設定する技術が知られている(例えば、特許文献2など)。
【特許文献2】特開2005−327227号公報
【0005】
ところで、この特許文献2に記載の技術では、所定時間が短く設定されているので、居住者に異常が生じたことが判断されるまでの時間は短くなるものの、例えば就寝している場合などの居住者の動きが少なくても異常が生じている可能性が低い状態であっても居住者に異常が生じたと判断されてしまう。そのため、居住者が昼寝や就寝等をしようとする場合に押下されるスリープボタンを設け、スリープボタンが押下された場合には、居住者に異常が生じたと判断する人異常判定部の動作を待機状態とする技術が知られている(例えば、特許文献3など)。
【特許文献3】特開2002−232598号公報
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載の技術を含む従来の技術では、毎日決まった時間に就寝等をしている場合には、人異常の判断を不感知とする時間の設定は最初の一度で済むものの、就寝時間が日々異なるような場合には、いちいちスリープボタンを押下しなければならず、居住者に負担をかけてしまうという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、居住者が就寝しているような状況であっても居住者が活動しているような状況であっても、居住者に負担をかけることなく、適切に居住者に異常が生じたことを判断することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明では、居室内で人が生活活動をしているか否かを検知する生活センサが人の生活活動を検知していない状態となってからの時間をタイマーによって計測し、その時間が所定時間以上となった場合に居住者に異常が生じたことを報知するものであり、居室内の照度が閾値以上の明るさか否かを照度センサが検知したときに比べて、閾値以上の明るさを検知しなかったときの所定時間を相対的に長くするようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、居室内が暗くなっていることを照度センサにより検知することで居住者が就寝していることが判断され、そのような場合に生活センサが人の生活活動を検知していない状態となってからの計測時間が相対的に長く設定されるので、居住者が就寝しているような状況であっても居住者が活動しているような状況であっても、居住者に負担をかけることなく、適切に居住者に異常が生じたことを判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による住宅監視システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態による住宅監視システムは、住宅に設けられる居室装置1、管理人室などに設けられる管理室装置10とを備えて構成されている。ここで、複数の住宅が存在する集合住宅では、本実施形態による住宅監視システムは、居室装置1を各住宅にそれぞれ設けるようにしている。
【0011】
また、居室装置1は、制御部2、在不在検出部3、照度センサ4、生活センサ5、タイマー6を備えて構成されている。また、制御部2は、在不在判定部2a、照度判定部2b、所定時間変更部2c、異常判定部2dを備えて構成されている。また、管理室装置10は、報知部11を備えて構成されている。
【0012】
制御部2は、居室装置1の各構成要素を後述するように制御する。在不在検出部3は、居室内に居住者が居るか居ないかを検出する。ここで、在不在検出部3は、居住者が外出する際に部屋の外部からの玄関ドアの施錠を検出して不在信号を出力したり、居住者が外出する際に玄関ドアを施錠した鍵を置いておくためのキーホルダー内に鍵が存在することを検出して不在信号を出力したり、居住者が外出する際に操作する不在スイッチの操作により不在信号を出力したりする。ここで、部屋の外部からの施錠は、部屋の内部からの施錠とは区別される。
【0013】
制御部2の在不在判定部2aは、居室内に居住者が不在であるか否かを判定する。具体的には、在不在判定部2aは、在不在検出部3から不在信号を入力した場合に、居室内に居住者が不在であると判断する。ここで、在不在検出部3が在室状態に在室信号を出力するような場合には、在不在判定部2aは、在室信号の入力によって居室内に居住者が在室していると判断する。また、在不在検出部3が不在状態に不在信号を出力し続け、在室状態に不在信号の出力を停止するような場合には、在不在判定部2aは、不在信号の入力の有無によって在不在を判断する。
【0014】
照度センサ4は、居室内の照度が閾値以上の明るさか否かを検知するものであり、フォトトランジスタや、フォトダイオード、フォトダイオードにアンプ回路を追加したものが使用される。ここで、照度センサ4は、各部屋の各所に設置されても良いし、居住者が主に生活活動を行う部屋に設置されても良い。
【0015】
制御部2の就寝判定部2bは、在不在判定部2aが居室内に居住者が在室していると判断した場合に、居室内の居住者が就寝しているか否かを判定する。具体的には、照度センサ4が閾値以上の明るさを検知しなかった場合には、居住者が就寝していると判断する。ここで、照度センサ4が複数使用されている場合には、就寝判定部2bは、全ての照度センサ4が閾値以上の明るさを検知しなかったときに居住者が就寝していると判断する。
【0016】
生活センサ4は、居室内の居住者が生活活動をしていることを検知するものであり、例えば、居室内の人体の動きを検出するパッシブセンサなどにより構成される。
【0017】
タイマー6は、生活センサ4が居室内の居住者の生活活動を検知していない状態となってからの時間を計測する。換言すると、タイマー6は、居室装置1が稼動した時点(または、居住者が在室であると在不在判定部2aにて判断された時点)で時間の計測を開始する。ここで、タイマー6は、生活センサ4が居室内の居住者の生活活動を検知した場合などに制御部2からリセット信号を入力して計測した値をリセットして時間の計測を再度開始する。
【0018】
所定時間変更部2cは、異常判定部2dが居住者に異常が生じたことを判定する際に使用される所定時間を設定する。ここで、所定時間は、例えば3時間と設定する。また、所定時間変更部2cは、居住者が就寝していると就寝判定部2bにて判断された場合と居住者が就寝していないと就寝判定部2bにて判断された場合とで所定時間を変更する。居住者が就寝していると就寝判定部2bにて判断された場合には、所定時間変更部2cは、所定時間を長く(例えば7時間など)設定する。なお、通常の所定時間を7時間などの長い時間に設定しておき、居住者が就寝していないと就寝判定部2bにて判断された場合に所定時間変更部2cにて所定時間を短く(例えば3時間など)と設定するようにしても良い。
【0019】
異常判定部2dは、生活センサ5が生活活動を検知していない状態となってからタイマー6にて計測した時間が所定時間変更部2cにて設定された時間以上となっているか否かを判定する。そして、タイマー6にて計測した時間が所定時間以上になったと判断した場合に、異常判定部2dは、居室内の居住者に異常が生じたことを通知するための通知信号を生成して出力する。
【0020】
このように構成された居室装置1では、在不在検出部3による検出結果によって在不在判定部2aにて居室内に居住者が居ると判断された状態で、以下の動作を行う。照度センサ4が閾値以上の明るさを検知した場合には、就寝判定部2bは、居住者が就寝していないと判断し、所定時間変更部2cは、相対的に短い所定時間を設定する。そして、生活センサ5が居室内の居住者の生活活動を検知していない状態になると、タイマー6は時間の計測を開始する。異常判定部2dは、タイマー6によって計測された時間が所定時間変更部2cによって設定された時間以上になったか否かを判定する。そして、タイマー6にて計測した時間が所定時間以上になったと判断した場合に、異常判定部2dは、居室内の居住者に異常が生じたことを通知するための通知信号を生成して出力する。
【0021】
管理室装置10の報知部11は、居室装置1から通知信号を入力すると、該当する居室内の居住者に異常が生じたことを報知する。ここで、報知部11は、表示ディスプレイや警告灯などの視覚に訴える表示装置や、警報などの聴覚に訴えるスピーカなどにより構成される。
【0022】
次に、本実施形態による住宅監視システムの動作及び住宅監視方法を説明する。図2は、本実施形態による住宅監視システムの動作及び住宅監視方法を示すフローチャートである。まず、居室装置1では、居室内の居住者が不在か否かを在不在判定部2aにより調べる(ステップS1)。居住者が不在であると在不在判定部2aにより判断した場合には(ステップS1にてYES)、ステップS1の処理に戻る。
【0023】
一方、居住者が在室であると在不在判定部2aにより判断した場合には(ステップS1にてNO)、制御部2は照度センサ4を動作させ、就寝判定部2bは、照度センサ4が閾値以上の明るさを検知したか否かを調べる(ステップS2)。照度センサ4が閾値以上の明るさを検知したと就寝判定部2bにて判断した場合には(ステップS2にてYES)、所定時間変更部2cは、所定時間を短く設定する(ステップS3)。一方、照度センサ4が閾値以上の明るさを検知したと就寝判定部2bにて判断した場合には(ステップS2にてNO)、所定時間変更部2cは、所定時間を長く設定する(ステップS4)。ここで、所定時間の長さは、相対的に設定されるものであり、一方の所定時間を固定して他方の所定時間を設定するようにしても良いし、両方の所定時間を設定するようにしても良い。
【0024】
そして、制御部2は、タイマー6を動作させ、タイマー6は時間の計測を開始する(ステップS5)。この状態で、制御部2は、生活センサ5が居住者の生活活動を検知したか否かを調べる(ステップS6)。生活センサ5が居住者の生活活動を検知したと制御部2にて判断した場合には(ステップS6にてYES)、制御部2はタイマー6をリセットし(ステップS7)、ステップS1の処理に戻る。
【0025】
一方、生活センサ5が居住者の生活活動を検知していないと制御部2にて判断した場合には(ステップS6にてNO)、異常判定部2dは、タイマー6によって計測された時間が所定時間変更部2cによって設定された所定時間以上になったか否かを調べる(ステップS8)。タイマー6によって計測された時間が所定時間以上になっていないと異常判定部2dにて判断した場合には(ステップS8にてNO)、ステップS6の処理に戻る。
【0026】
一方、タイマー6によって計測された時間が所定時間以上になったと異常判定部2dにて判断した場合には(ステップS8にてYES)、異常判定部2dは、通知信号を生成して出力する(ステップS9)。
【0027】
また、管理室装置10は、通知信号を入力したか否かを報知部11により調べる(ステップS10)。通知信号を入力していないと報知部11にて判断した場合には(ステップS10にてNO)、ステップS10の処理を繰り返す。一方、通知信号を入力したと報知部11にて判断した場合には(ステップS10にてYES)、報知部11は、居住者に異常が生じたことを報知する(ステップS11)。
【0028】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、居室内で人が生活活動をしているか否かを検知する生活センサ5が人の生活活動を検知していない状態となってからの時間をタイマー6によって計測し、その時間が所定時間以上となった場合に居住者に異常が生じたことを報知部11により報知するものであり、居室内の照度が閾値以上の明るさか否かを照度センサ4が検知したときに比べて、閾値以上の明るさを検知しなかったときの所定時間を相対的に長くするようにしている。
【0029】
これにより、居室内が暗くなっていることを照度センサ4によって検知することで居住者が就寝していることが判断され、そのような場合に生活センサ5が居住者の生活活動を検知していない状態となってからの計測時間が相対的に長く設定されるので、居住者が就寝しているような状況であっても居住者が活動しているような状況であっても、居住者に負担をかけることなく、適切に居住者に異常が生じたことを判断することができる。
【0030】
なお、前述した実施形態では、所定時間変更部2cによって所定時間を変更するようにしているが、これに限定されない。例えば、タイマー6の進み方を速くしたり遅くしたりすることで、所定時間を変更するようにしても良い。例えば、タイマー6が1秒を計測するのに0.5秒かかるようにすることでタイマー6の進み方を速くすると、所定時間が見かけ上6時間である場合には、実際の所定時間は3時間となる。一方、タイマー6が1秒を計測するのに2秒かかるようにすることでタイマー6の進み方を遅くすると、所定時間が見かけ上6時間である場合には、実際の所定時間は12時間となる。
【0031】
また、前述した実施形態では、制御部2、タイマー6が居室装置1に含まれているが、これに限定されない。例えば、制御部2、タイマー6を管理室装置10に設けても良い。同様に、前述した実施形態では、報知部11を管理室装置10に設けているが、これに限定されない。例えば、報知部11を居室装置1に設けても良い。
【0032】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態による住宅監視システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による住宅監視システム及び住宅監視方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
1 居室装置
2 制御部
2a 在不在判定部
2b 就寝判定部
2c 所定時間変更部
2d 異常判定部
3 在不在検出部
4 照度センサ
5 生活センサ
6 タイマー
10 管理室装置
11 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室内の照度が閾値以上の明るさか否かを検知する照度センサと、
前記居室内の居住者が生活活動していることを検知する生活センサと、
前記生活センサが前記居住者の生活活動を検知していない状態となってからの時間を計測するタイマーと、
前記タイマーによって計測された時間が所定時間以上となったか否かを判定し、所定時間以上となった場合に通知信号を出力するとともに、前記照度センサが前記閾値以上の明るさを検知したときに比べて、前記閾値以上の明るさを検知しなかったときの前記所定時間を相対的に長くするようにした制御部とを備えた居室装置と、
前記居室装置から前記通知信号を入力すると前記居住者に異常が発生したことを報知する報知部を備えた管理室装置と、
を備えた住宅監視システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−157758(P2009−157758A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336867(P2007−336867)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】