住戸の間取り構造
【課題】 リビングダイニング及び各居室を広くする間取り構造を提供する。
【解決手段】 集合住宅の住戸１０は、エントランス１１と、リビングダイニング１２と、第１及び第２の部屋１３，１４と、キッチン１５と、洗面所１６を有する。住戸から共用通路へ出入りするためのエントランス１１は、リビングダイニング１２及び第１の部屋１３に、直接に接続されている。リビングダイニング１２は、キッチン１５，洗面所１６，収納室２０を介して、第１及び第２の部屋１３，１４に接続されている。これらキッチン１５，洗面所１６及び収納室２０は、リビングダイニング１２と第１及び第２の部屋１３，１４を結ぶ通路としても利用される。
【解決手段】 集合住宅の住戸１０は、エントランス１１と、リビングダイニング１２と、第１及び第２の部屋１３，１４と、キッチン１５と、洗面所１６を有する。住戸から共用通路へ出入りするためのエントランス１１は、リビングダイニング１２及び第１の部屋１３に、直接に接続されている。リビングダイニング１２は、キッチン１５，洗面所１６，収納室２０を介して、第１及び第２の部屋１３，１４に接続されている。これらキッチン１５，洗面所１６及び収納室２０は、リビングダイニング１２と第１及び第２の部屋１３，１４を結ぶ通路としても利用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、分譲マンションや賃貸マンション等の集合住宅を構成する各住戸の間取り構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
分譲マンションや賃貸マンション等の集合住宅では、各フロアに複数の住戸が隣接して配置されている。このようなマンションでは、単身用というよりは家族で居住するために設計される場合が多く、例えば２ＬＤＫや３ＬＤＫのように、複数の居室が設けられた間取り構造となっている。
【０００３】
また、上記のマンションでは、各フロアの面積が限られていることから、各住戸は、一方が共用廊下に面し、他方がベランダに面する略長方形の形状を有している。そして、マンションの販売業者は、リビングダイニング及び居室の面積、通風性、採光性、内装設備といった諸要素を考慮した上で、各住戸の間取りを決定している。
【０００４】
例えば、下記特許文献１では、通風及び採光を確保するという観点から、Ｌ字型の第１の部屋と、この第１の部屋と隣接する第２の部屋を設け、これら第１及び第２の部屋を共用通路に面するように配置する間取り構造が提案されており、これにより、限られた住戸面積の中で、できる限り多くの部屋に通風及び採光が確保されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特許第４６４３９６３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
一般に、分譲マンションや賃貸マンション等の集合住宅では、玄関（エントランス）から廊下を経て、リビング及び各居室に到達するように構成されている。これは、居住者が複数人であることを前提とするマンションにおいて、各居室を直接に接続してしまうとプライバシーの観点から好ましくないためである。このため、従来のマンションでは、廊下を設けるための一定のスペースが必要となり、リビングダイニングや各居室を広くする上で大きな制約となっていた。
【０００７】
本発明は、上記背景に鑑みなされたものであり、各居室におけるプライバシーを確保しつつ、リビングダイニングや各居室を広くすることができる間取り構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の間取り構造は、共用通路に出入りするためのエントランスと、前記エントランスに直接に接続されたリビングダイニングと、前記リビングダイニングに接続された第１及び第２の部屋を備え、前記エントランスと、前記リビングダイニング、前記第１の部屋または前記第２の部屋を接続する廊下を備えないことを特徴とする。かかる構成により、従来、廊下に割り当てていたスペースをリビングダイニングや居室に振り分けることができ、住戸全体の面積を維持しつつ、リビングダイニングや居室の面積を大きくすることができる。
【０００９】
本発明の間取り構造において、前記リビングダイニングと前記第１及び／又は前記第２の部屋との間に、キッチン及び／または洗面所が配置された構成を有する。かかる構成により、キッチンや洗面所に、リビングダイニングと居室を接続する通路としての機能を持たせることができ、従来必要であった廊下を省略することができる。また、前記リビングダイニングと前記第１の部屋及び／又は前記第２の部屋との間に、通り抜け可能な収納室を配置しても良い。
【００１０】
本発明の間取り構造において、前記リビングダイニングと前記第１及び前記第２の部屋を、直接に接続しても良い。かかる構成によっても、住戸全体の面積を維持しつつ、リビングダイニングや居室の面積を大きくするという、上記と同様の作用効果を有することができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、各居室におけるプライバシーを確保しつつ、リビングダイニングや各居室を広くすることができる。これにより、従来の間取りと比して、居住者はより広い居室を享受することができ、また、販売業者は広い居室を顧客にアピールすることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の第１実施形態に係る集合住宅の間取り構造を示す説明図である。
【図２】本発明の第２実施形態に係る集合住宅の間取り構造を示す説明図である。
【図３】本発明の第３実施形態に係る集合住宅の間取り構造を示す説明図である。
【図４】本発明の第４実施形態に係る集合住宅の間取り構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
図１は、本発明の一実施形態に係る集合住宅の住戸の間取り構造を示した説明図である。なお、本発明において、集合住宅とは、例えば分譲用や賃貸用のマンションであり、社員寮も含まれる。そして、各階において複数の住戸が隣接して配置され、各住戸のエントランス（玄関）側は共用通路に面しており、その反対側にはバルコニーが設けられている。なお、隣接する住戸の個々の間取りは同一であっても、あるいは互いに異なっていても良いが、個々の住居は、２ＬＤＫや３ＬＤＫのように複数の居室が設けられた間取り構造とされている。
【００１４】
図１において、住戸１０は、エントランス１１と、リビングダイニング１２と、第１及び第２の部屋１３，１４と、キッチン１５と、洗面所１６と、バスルーム１７と、トイレ１８と、バルコニー１９と、収納室２０，２１とを備えている。本実施形態における住戸１０は、リビングダイニング１２と、第１及び第２の部屋１３，１４との間に、キッチン１５や洗面所１６等の水回りと、収納室２０が配置された構成を有する。
【００１５】
エントランス１１は、住戸から共用通路へ出入りするためのドアを有する一区画であり、本実施形態では略正方形状とされているが、その形状は問わない。また、エントランス１１は、リビングダイニング１２及び第１の部屋１３に、直接に接続されている。ここで、エントランス１１とリビングダイニング１２（及び第１の部屋１３）とが「直接に接続されている」とは、これらエントランス１１とリビングダイニング１２との間に一定の面積を有する区画（例えば廊下や別の部屋）が設けられていないことを意味する。なお、エントランス１１とリビングダイニング１２及び第１の部屋１３との間には、スライド式あるいは開閉式のドアが設けられていても良い。
【００１６】
リビングダイニング１２は、スライド式あるいは開閉式のドアを介して、キッチン１５，洗面所１６，収納室２０に接続され、また、トイレ１８及び収納室２１に接続されている。また、リビングダイニング１２は、開閉自在の窓１２ａが設けられ、この窓１２ａを介して図示しないベランダに接続される。これにより、リビングダイニング１２への採光及び通風を確保することができる。
【００１７】
第１の部屋１３は、居住者の個室として設けられ、エントランス１１及びキッチン１５を挟んでリビングダイニング１２と反対の側に配置されている。また、第１の部屋１３は、スライド式あるいは開閉式のドアを介して、エントランス１１とキッチン１５に接続されている。
【００１８】
第２の部屋１４は、居住者の個室あるいは寝室として設けられ、第１の部屋１３と隣接して配置されている。また、第２の部屋１４は、スライド式あるいは開閉式のドアを介して、キッチン１５，洗面所１６及び収納室２１に接続されている。さらに、第２の部屋１４は、図面下側に設置された開閉自在の窓１４ａを介してバルコニー１９に接続されており、これにより、第２の部屋への採光及び通風を確保することができる。
【００１９】
キッチン１５は、リビングダイニング１２と、第１の部屋１３（及び第２の部屋１４）との間に配置され、リビングダイニング１２と対面するカウンターが備えられており、いわゆる対面キッチンとなっている。また、リビングダイニング１２と第２の部屋１４との間には、洗面所１６及びバスルーム１７等の水回りが設けられている。
【００２０】
収納室２０は、キッチン１５と洗面所１６の間に配置され、収納用のスペースとして利用されるとともに、リビングダイニング１２と第２の部屋１４とを接続する通路としての機能も有している。同様に、キッチン１５及び洗面所１６も、リビングダイニング１２と第１及び第２の部屋１３，１４を接続する通路としての機能を兼有している。
【００２１】
かかる間取り構造により、居住者のプライバシーを確保しつつ、リビングダイニング１２と各居室を接続するための廊下を省略することができ、従来、廊下に割り当てていたスペースを、リビングダイニングや居室に振り分けることができる。したがって、住居全体の面積を大きくすることなく、リビングダイニングや居室を広くすることが可能となる。また、水回りのエリアを住戸の中央部に集中して設けることで、給水管及び配水管の長さが短くなり、省スペース化及びコスト低減を図ることができる。
【００２２】
これらの点は、居住者から見れば、マンションの購入費用または賃料を低く抑えつつも、広い部屋を享受することができるというメリットがある。一方、マンション販売業者ないし賃貸人からみれば、販売費用または賃料を抑えつつ、広い部屋を提供することができる点で大きなアピールポイントとなる。
【００２３】
本発明の間取り構造は上記実施形態に限定されることはなく、適宜、レイアウトを変更することができる。図２は、本発明の第２実施形態に係る住戸の間取り構造を示したものである。なお、図２において、図１と同じ構成部材については、同一の符番を付して詳細な説明を省略している。
【００２４】
この実施形態にかかる住戸３０では、図１の例と比較して、リビングダイニング１２と第２の部屋１４とを接続する収納室２０を省略し、キッチン３１，洗面所３２及びバスルーム３３の面積を大きくしている。
【００２５】
この第２の実施形態においても、エントランス１１にリビングダイニング１２及び第１の部屋１３を直結するとともに、キッチン３１及び洗面所３２に、リビングダイニング１２と第１の部屋１３（及び第２の部屋１４）とを接続する通路しての機能を持たせたから、上記第１の実施形態と同様に、専用の廊下を省略することができる。
【００２６】
図３は、本発明の第３実施形態に係る住戸の間取り構造を示したものである。この実施形態にかかる住戸４０において、エントランス４１は、靴等を収納するための収納室４１ａを備え、リビングダイニング４２及び第１の部屋４３に、直接接続されている。なお、エントランス４１とリビングダイニング４２及び第１の部屋４３との間には、スライド式あるいは開閉式のドアが設けられていても良い。
【００２７】
リビングダイニング４２は、スライド式あるいは開閉式のドアを介して、キッチン４５，洗面所４６に接続されている。また、リビングダイニング４２は、開閉自在の窓を介してバルコニーに接続され、リビングダイニング４２への採光及び通風が確保されている。
【００２８】
第１の部屋４３は、居住者の個室として設けられ、エントランス４１及びキッチン４５を挟んでリビングダイニング４２と反対の側に配置されている。また、第２の部屋４４は、居住者の個室あるいは寝室として設けられ、スライド式あるいは開閉式のドアを介して、第１の部屋４３及び洗面所４６に接続されている。
【００２９】
キッチン４５は、リビングダイニング４２と第１の部屋４３との間に配置されており、これらを接続する通路しての機能も有している。また、洗面所４６及びバスルーム４７は、リビングダイニング４２と第２の部屋４４との間に配置され、これらを接続する通路としての機能も有している。
【００３０】
このように、エントランス４１にリビングダイニング４２及び第１の部屋４３を直結するとともに、キッチン４５及び洗面所４６に通路しての機能を持たせたから、上記第１の実施形態と同様に、専用の廊下を省略することができる。
【００３１】
図４は、本発明の第４実施形態に係る住戸の間取り構造を示したものである。この実施形態にかかる住戸５０では、エントランス５１がリビングダイニング５２のみに接続され、このリビングダイニング５２を介して、第１〜第３の部屋５３〜５５が接続されている。なお、各部屋５３〜５５とリビングダイニング５２との間は、スライド式あるいは開閉式のドアが設けられており、各部屋におけるプライバシーが確保されている。また、リビングダイニング５２は、開閉自在の窓５２ａを介してベランダ５９に接続され、リビングダイニング５２への通風及び採光が確保されている。
【００３２】
リビングダイニング５２の一方の側にはキッチン５６が接続され、このキッチン５６は、リビングダイニング５２と対面するカウンターが備えられており、いわゆる対面キッチンとなっている。また、リビングダイニング５２の他方の側には、洗面所５７，バスルーム５８及びトイレ５９が隣接して配置されている。
【００３３】
かかる間取り構造によっても、エントランス５１に直接に接続されたリビングダイニング５２を介して、各居室５３〜５５が接続されているので、居住者のプライバシーを確保しつつ、リビングダイニングと各居室を接続する専用の通路を省略することができる。したがって、従来、廊下に割り当てていたエリアを、リビングダイニングや居室に振り分けることができ、上記第１実施形態と同様に、住居全体の面積を大きくすることなく、リビングダイニングや各居室を広く設けることが可能となる。
【００３４】
上記実施形態では、２ＬＤＫや３ＬＤＫの間取りを例にして説明しているが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば４ＬＤＫ以上の間取りに対しても、同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【００３５】
本発明は、各居室を接続するための廊下を省略することにより、リビングダイニングや居室を広くすることが可能な集合住宅の住戸として有用である。
【符号の説明】
【００３６】
１０、３０，４０，５０ 住戸
１１，４１，５１ エントランス
１２，４２，５２ リビングダイニング
１３，４３，５３ 第１の部屋
１４，４４，５４ 第２の部屋
１５，３１，４５，５６ キッチン
１６，３２，４６，５７ 洗面所
２０ 収納室
５５ 第３の部屋
【技術分野】
【０００１】
本発明は、分譲マンションや賃貸マンション等の集合住宅を構成する各住戸の間取り構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
分譲マンションや賃貸マンション等の集合住宅では、各フロアに複数の住戸が隣接して配置されている。このようなマンションでは、単身用というよりは家族で居住するために設計される場合が多く、例えば２ＬＤＫや３ＬＤＫのように、複数の居室が設けられた間取り構造となっている。
【０００３】
また、上記のマンションでは、各フロアの面積が限られていることから、各住戸は、一方が共用廊下に面し、他方がベランダに面する略長方形の形状を有している。そして、マンションの販売業者は、リビングダイニング及び居室の面積、通風性、採光性、内装設備といった諸要素を考慮した上で、各住戸の間取りを決定している。
【０００４】
例えば、下記特許文献１では、通風及び採光を確保するという観点から、Ｌ字型の第１の部屋と、この第１の部屋と隣接する第２の部屋を設け、これら第１及び第２の部屋を共用通路に面するように配置する間取り構造が提案されており、これにより、限られた住戸面積の中で、できる限り多くの部屋に通風及び採光が確保されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特許第４６４３９６３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
一般に、分譲マンションや賃貸マンション等の集合住宅では、玄関（エントランス）から廊下を経て、リビング及び各居室に到達するように構成されている。これは、居住者が複数人であることを前提とするマンションにおいて、各居室を直接に接続してしまうとプライバシーの観点から好ましくないためである。このため、従来のマンションでは、廊下を設けるための一定のスペースが必要となり、リビングダイニングや各居室を広くする上で大きな制約となっていた。
【０００７】
本発明は、上記背景に鑑みなされたものであり、各居室におけるプライバシーを確保しつつ、リビングダイニングや各居室を広くすることができる間取り構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の間取り構造は、共用通路に出入りするためのエントランスと、前記エントランスに直接に接続されたリビングダイニングと、前記リビングダイニングに接続された第１及び第２の部屋を備え、前記エントランスと、前記リビングダイニング、前記第１の部屋または前記第２の部屋を接続する廊下を備えないことを特徴とする。かかる構成により、従来、廊下に割り当てていたスペースをリビングダイニングや居室に振り分けることができ、住戸全体の面積を維持しつつ、リビングダイニングや居室の面積を大きくすることができる。
【０００９】
本発明の間取り構造において、前記リビングダイニングと前記第１及び／又は前記第２の部屋との間に、キッチン及び／または洗面所が配置された構成を有する。かかる構成により、キッチンや洗面所に、リビングダイニングと居室を接続する通路としての機能を持たせることができ、従来必要であった廊下を省略することができる。また、前記リビングダイニングと前記第１の部屋及び／又は前記第２の部屋との間に、通り抜け可能な収納室を配置しても良い。
【００１０】
本発明の間取り構造において、前記リビングダイニングと前記第１及び前記第２の部屋を、直接に接続しても良い。かかる構成によっても、住戸全体の面積を維持しつつ、リビングダイニングや居室の面積を大きくするという、上記と同様の作用効果を有することができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、各居室におけるプライバシーを確保しつつ、リビングダイニングや各居室を広くすることができる。これにより、従来の間取りと比して、居住者はより広い居室を享受することができ、また、販売業者は広い居室を顧客にアピールすることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の第１実施形態に係る集合住宅の間取り構造を示す説明図である。
【図２】本発明の第２実施形態に係る集合住宅の間取り構造を示す説明図である。
【図３】本発明の第３実施形態に係る集合住宅の間取り構造を示す説明図である。
【図４】本発明の第４実施形態に係る集合住宅の間取り構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
図１は、本発明の一実施形態に係る集合住宅の住戸の間取り構造を示した説明図である。なお、本発明において、集合住宅とは、例えば分譲用や賃貸用のマンションであり、社員寮も含まれる。そして、各階において複数の住戸が隣接して配置され、各住戸のエントランス（玄関）側は共用通路に面しており、その反対側にはバルコニーが設けられている。なお、隣接する住戸の個々の間取りは同一であっても、あるいは互いに異なっていても良いが、個々の住居は、２ＬＤＫや３ＬＤＫのように複数の居室が設けられた間取り構造とされている。
【００１４】
図１において、住戸１０は、エントランス１１と、リビングダイニング１２と、第１及び第２の部屋１３，１４と、キッチン１５と、洗面所１６と、バスルーム１７と、トイレ１８と、バルコニー１９と、収納室２０，２１とを備えている。本実施形態における住戸１０は、リビングダイニング１２と、第１及び第２の部屋１３，１４との間に、キッチン１５や洗面所１６等の水回りと、収納室２０が配置された構成を有する。
【００１５】
エントランス１１は、住戸から共用通路へ出入りするためのドアを有する一区画であり、本実施形態では略正方形状とされているが、その形状は問わない。また、エントランス１１は、リビングダイニング１２及び第１の部屋１３に、直接に接続されている。ここで、エントランス１１とリビングダイニング１２（及び第１の部屋１３）とが「直接に接続されている」とは、これらエントランス１１とリビングダイニング１２との間に一定の面積を有する区画（例えば廊下や別の部屋）が設けられていないことを意味する。なお、エントランス１１とリビングダイニング１２及び第１の部屋１３との間には、スライド式あるいは開閉式のドアが設けられていても良い。
【００１６】
リビングダイニング１２は、スライド式あるいは開閉式のドアを介して、キッチン１５，洗面所１６，収納室２０に接続され、また、トイレ１８及び収納室２１に接続されている。また、リビングダイニング１２は、開閉自在の窓１２ａが設けられ、この窓１２ａを介して図示しないベランダに接続される。これにより、リビングダイニング１２への採光及び通風を確保することができる。
【００１７】
第１の部屋１３は、居住者の個室として設けられ、エントランス１１及びキッチン１５を挟んでリビングダイニング１２と反対の側に配置されている。また、第１の部屋１３は、スライド式あるいは開閉式のドアを介して、エントランス１１とキッチン１５に接続されている。
【００１８】
第２の部屋１４は、居住者の個室あるいは寝室として設けられ、第１の部屋１３と隣接して配置されている。また、第２の部屋１４は、スライド式あるいは開閉式のドアを介して、キッチン１５，洗面所１６及び収納室２１に接続されている。さらに、第２の部屋１４は、図面下側に設置された開閉自在の窓１４ａを介してバルコニー１９に接続されており、これにより、第２の部屋への採光及び通風を確保することができる。
【００１９】
キッチン１５は、リビングダイニング１２と、第１の部屋１３（及び第２の部屋１４）との間に配置され、リビングダイニング１２と対面するカウンターが備えられており、いわゆる対面キッチンとなっている。また、リビングダイニング１２と第２の部屋１４との間には、洗面所１６及びバスルーム１７等の水回りが設けられている。
【００２０】
収納室２０は、キッチン１５と洗面所１６の間に配置され、収納用のスペースとして利用されるとともに、リビングダイニング１２と第２の部屋１４とを接続する通路としての機能も有している。同様に、キッチン１５及び洗面所１６も、リビングダイニング１２と第１及び第２の部屋１３，１４を接続する通路としての機能を兼有している。
【００２１】
かかる間取り構造により、居住者のプライバシーを確保しつつ、リビングダイニング１２と各居室を接続するための廊下を省略することができ、従来、廊下に割り当てていたスペースを、リビングダイニングや居室に振り分けることができる。したがって、住居全体の面積を大きくすることなく、リビングダイニングや居室を広くすることが可能となる。また、水回りのエリアを住戸の中央部に集中して設けることで、給水管及び配水管の長さが短くなり、省スペース化及びコスト低減を図ることができる。
【００２２】
これらの点は、居住者から見れば、マンションの購入費用または賃料を低く抑えつつも、広い部屋を享受することができるというメリットがある。一方、マンション販売業者ないし賃貸人からみれば、販売費用または賃料を抑えつつ、広い部屋を提供することができる点で大きなアピールポイントとなる。
【００２３】
本発明の間取り構造は上記実施形態に限定されることはなく、適宜、レイアウトを変更することができる。図２は、本発明の第２実施形態に係る住戸の間取り構造を示したものである。なお、図２において、図１と同じ構成部材については、同一の符番を付して詳細な説明を省略している。
【００２４】
この実施形態にかかる住戸３０では、図１の例と比較して、リビングダイニング１２と第２の部屋１４とを接続する収納室２０を省略し、キッチン３１，洗面所３２及びバスルーム３３の面積を大きくしている。
【００２５】
この第２の実施形態においても、エントランス１１にリビングダイニング１２及び第１の部屋１３を直結するとともに、キッチン３１及び洗面所３２に、リビングダイニング１２と第１の部屋１３（及び第２の部屋１４）とを接続する通路しての機能を持たせたから、上記第１の実施形態と同様に、専用の廊下を省略することができる。
【００２６】
図３は、本発明の第３実施形態に係る住戸の間取り構造を示したものである。この実施形態にかかる住戸４０において、エントランス４１は、靴等を収納するための収納室４１ａを備え、リビングダイニング４２及び第１の部屋４３に、直接接続されている。なお、エントランス４１とリビングダイニング４２及び第１の部屋４３との間には、スライド式あるいは開閉式のドアが設けられていても良い。
【００２７】
リビングダイニング４２は、スライド式あるいは開閉式のドアを介して、キッチン４５，洗面所４６に接続されている。また、リビングダイニング４２は、開閉自在の窓を介してバルコニーに接続され、リビングダイニング４２への採光及び通風が確保されている。
【００２８】
第１の部屋４３は、居住者の個室として設けられ、エントランス４１及びキッチン４５を挟んでリビングダイニング４２と反対の側に配置されている。また、第２の部屋４４は、居住者の個室あるいは寝室として設けられ、スライド式あるいは開閉式のドアを介して、第１の部屋４３及び洗面所４６に接続されている。
【００２９】
キッチン４５は、リビングダイニング４２と第１の部屋４３との間に配置されており、これらを接続する通路しての機能も有している。また、洗面所４６及びバスルーム４７は、リビングダイニング４２と第２の部屋４４との間に配置され、これらを接続する通路としての機能も有している。
【００３０】
このように、エントランス４１にリビングダイニング４２及び第１の部屋４３を直結するとともに、キッチン４５及び洗面所４６に通路しての機能を持たせたから、上記第１の実施形態と同様に、専用の廊下を省略することができる。
【００３１】
図４は、本発明の第４実施形態に係る住戸の間取り構造を示したものである。この実施形態にかかる住戸５０では、エントランス５１がリビングダイニング５２のみに接続され、このリビングダイニング５２を介して、第１〜第３の部屋５３〜５５が接続されている。なお、各部屋５３〜５５とリビングダイニング５２との間は、スライド式あるいは開閉式のドアが設けられており、各部屋におけるプライバシーが確保されている。また、リビングダイニング５２は、開閉自在の窓５２ａを介してベランダ５９に接続され、リビングダイニング５２への通風及び採光が確保されている。
【００３２】
リビングダイニング５２の一方の側にはキッチン５６が接続され、このキッチン５６は、リビングダイニング５２と対面するカウンターが備えられており、いわゆる対面キッチンとなっている。また、リビングダイニング５２の他方の側には、洗面所５７，バスルーム５８及びトイレ５９が隣接して配置されている。
【００３３】
かかる間取り構造によっても、エントランス５１に直接に接続されたリビングダイニング５２を介して、各居室５３〜５５が接続されているので、居住者のプライバシーを確保しつつ、リビングダイニングと各居室を接続する専用の通路を省略することができる。したがって、従来、廊下に割り当てていたエリアを、リビングダイニングや居室に振り分けることができ、上記第１実施形態と同様に、住居全体の面積を大きくすることなく、リビングダイニングや各居室を広く設けることが可能となる。
【００３４】
上記実施形態では、２ＬＤＫや３ＬＤＫの間取りを例にして説明しているが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば４ＬＤＫ以上の間取りに対しても、同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【００３５】
本発明は、各居室を接続するための廊下を省略することにより、リビングダイニングや居室を広くすることが可能な集合住宅の住戸として有用である。
【符号の説明】
【００３６】
１０、３０，４０，５０ 住戸
１１，４１，５１ エントランス
１２，４２，５２ リビングダイニング
１３，４３，５３ 第１の部屋
１４，４４，５４ 第２の部屋
１５，３１，４５，５６ キッチン
１６，３２，４６，５７ 洗面所
２０ 収納室
５５ 第３の部屋
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数の住戸が共用通路に面して配置された集合住宅の住戸の間取り構造において、
前記共用通路に出入りするためのエントランスと、
前記エントランスに直接に接続されたリビングダイニングと、
前記リビングダイニングに接続された第１及び第２の部屋を備え、
前記エントランスと、前記リビングダイニング、前記第１の部屋または前記第２の部屋を接続する廊下を備えないことを特徴とする住戸の間取り構造。
【請求項２】
前記リビングダイニングと前記第１及び／又は前記第２の部屋との間に、キッチン及び／または洗面所が配置されていることを特徴とする、請求項１記載の住戸の間取り構造。
【請求項３】
前記リビングダイニングと前記第１の部屋及び／又は前記第２の部屋との間に、通り抜け可能な収納室が配置されていることを特徴とする、請求項１または２記載の住戸の間取り構造。
【請求項４】
前記リビングダイニングと前記第１及び前記第２の部屋が、直接に接続されていることを特徴とする、請求項１記載の住戸の間取り構造。
【請求項１】
複数の住戸が共用通路に面して配置された集合住宅の住戸の間取り構造において、
前記共用通路に出入りするためのエントランスと、
前記エントランスに直接に接続されたリビングダイニングと、
前記リビングダイニングに接続された第１及び第２の部屋を備え、
前記エントランスと、前記リビングダイニング、前記第１の部屋または前記第２の部屋を接続する廊下を備えないことを特徴とする住戸の間取り構造。
【請求項２】
前記リビングダイニングと前記第１及び／又は前記第２の部屋との間に、キッチン及び／または洗面所が配置されていることを特徴とする、請求項１記載の住戸の間取り構造。
【請求項３】
前記リビングダイニングと前記第１の部屋及び／又は前記第２の部屋との間に、通り抜け可能な収納室が配置されていることを特徴とする、請求項１または２記載の住戸の間取り構造。
【請求項４】
前記リビングダイニングと前記第１及び前記第２の部屋が、直接に接続されていることを特徴とする、請求項１記載の住戸の間取り構造。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１３−２８９６９（Ｐ２０１３−２８９６９Ａ）
【公開日】平成２５年２月７日（２０１３．２．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１６６１６５（Ｐ２０１１−１６６１６５）
【出願日】平成２３年７月２９日（２０１１．７．２９）
【出願人】（５９２０４０８２６）住友不動産株式会社 (94)
【出願人】（５１１１８５０７０）
【出願人】（５１１１８５０８１）
【出願人】（５１１１８５１４０）
【公開日】平成２５年２月７日（２０１３．２．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年７月２９日（２０１１．７．２９）
【出願人】（５９２０４０８２６）住友不動産株式会社 (94)
【出願人】（５１１１８５０７０）
【出願人】（５１１１８５０８１）
【出願人】（５１１１８５１４０）
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