説明

体力増強剤

【課題】 この出願発明は、シムノールおよび/またはシムノールエステル、コール酸、タラ肝油、コール酸またはシムノールおよび/またはシムノールエステルとタラ肝油のいずれかを含む体力増強剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 この出願発明は、シムノールおよび/またはシムノールエステル、コール酸、タラ肝油、コール酸またはシムノールおよび/またはシムノールエステルとタラ肝油のいずれかを含む体力増強剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願発明はシムノールおよび/またはシムノールエステル、コール酸、タラ肝油、コール酸またはシムノールおよび/またはシムノールエステルとタラ肝油のいずれかを含む体力増強剤に関する。
【背景技術】
【0002】
平常時、血中のグルコースがエネルギー産生に使用される際には、好気的代謝経路によってピルビン酸となり、ATPが生成される。しかし、激しい運動時には十分な酸素が供給されないため、嫌気的代謝経路によりATPと乳酸が生じる。嫌気的代謝経路で産生されるATPの量は、好気的代謝経路よりも少なく、またそこで生成された乳酸は筋肉の運動機能を低下するため疲労につながることが知られている。このことから、運動を行なう場合では好気的代謝経路のほうが効率がよいといえる。
一般に、心拍数の上昇が著しい運動では、使用するエネルギーは糖質が中心となるが、長時間の持続的な運動の場合、糖質だけではエネルギー代謝が追いつかず、脂質が利用される。糖代謝に比べ脂質代謝のほうが、エネルギー産生効率が良いため、これにより持久力の増加、すなわち、体力を増強へとつながることが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この出願発明者等は、このような問題を解決し、脂質代謝によりエネルギー産生効率を良くし、これにより持久力の増加、すなわち、体力を増強するためにいろいろ検討した結果、シムノールおよび/またはシムノールエステル、コール酸、タラ肝油、コール酸またはシムノールおよび/またはシムノールエステルとタラ肝油を利用することにより体力増強作用があることを見い出し、新たな体力増強剤として開発した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この出願発明は、シムノールおよび/またはシムノールエステル、コール酸、タラ肝油、コール酸またはシムノールおよび/またはシムノールエステルとタラ肝油のいずれかを含む体力増強剤に関する。
【発明の効果】
【0005】
この出願発明は、シムノールおよび/またはシムノールエステル、コール酸、タラ肝油、コール酸またはシムノールおよび/またはシムノールエステルとタラ肝油のいずれかを含む体力増強剤に関するものであり脂質代謝による体力増強を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この出願発明は、扶正作用のある生薬、ニンジン、トウジン、タイシジン、オウギ、サンヤク、タイソウ、カンゾウ、コウイ、オウセイ、ジュクジオウ、カシュウ、トウキ、ビャクシャク、クコシ、リュウガンニク、ソウジンが含まれていることが好ましく、ジュクジオウ、トウキ、ビャクシャク、クコシ、リュウガンニクがより好ましく、ニンジン、トウジン、オウギ、サンヤク、タイソウ、カンゾウがとくに好ましい。
これらの生薬によって生理機能を賦活化し、新陳代謝を盛んにする。
【0007】
この出願発明は、利水作用のある生薬、ビャクジュツ、ブクリョウ、チョレイ、タクシャ、インチンコウ、モクボウイ、ボウイ、カッセキ、トウカニン、モクツウ、シャゼンシ、セキショウズ、ハンペンレン、ケイシ(ケイヒ)が含まれていることが好ましく、インチンコウ、ボウイ、カッセキ、セキショウズがより好ましく、ビャクジュツ、ブクリョウ、チョレイ、タクシャ、モクツウ、シャゼンシがとくに好ましい。
ビャクジュツの利水作用により、体内の余分な水を排出することができる。
【0008】
この出願発明は、オウレン、オウバク、マオウ、レンギョウ、ケイガイ、緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、キダチアロエ、テングサ、カンテン、トウガラシ、ショウガ、コショウの1種以上が含まれていることが好ましく、レンギョウ、ケイガイ、テングサがより好ましく、オウレン、オウバク、マオウ、緑茶、ウーロン茶、紅茶、キダチアロエがとくに好ましい。
【0009】
この出願発明は、イソフラボンおよびイソフラボン配糖体が含まれていることが好ましく、イソフラボンおよびイソフラボン配糖体は、大豆に含まれる大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体がとくに好ましい。
【0010】
大豆に含まれるこの目的のための有効成分はダイズイン(Daidzin)、グリシチン(Glycitin)、ゲニスチン(Genistin)などの数種のイソフラボン配糖体であり、また、そのアグリコンであるダイゼイン(Daidzein)、グリシテイン(Glycitein)、ゲニステイン(Genistein)などの数種のイソフラボンである。
大豆は大豆油の製造原料であるが、大豆油の需要量は大きく、その副産物である大豆粕は同時に大量に生産される。大豆粕の一部は食品原料となる大豆蛋白などの製造原料となるが主として肥料、飼料として使われその価格は極めて低い。産業廃棄物に近い大豆粕を原料として大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体を高い純度で廉価に製造することができる。
【0011】
この出願発明の生薬は、そのまま使用してもよいし、抽出したものを使用してもよい。
また、この出願発明の体力増強剤の薬剤の剤形としては、とくに限定されないが、錠剤、カプセル剤、粉末剤、固形剤、液剤その他として投与する。
また、投与する場合には、とくに限定されないが、一日2回投与することが好ましい。また、化粧品として使用することもできる。
【0012】
コール酸の一日の投与量は、1〜1000mgが好ましく、2〜300mgがより好ましく、10〜100mgがとくに好ましい。
シムノールおよび/またはシムノールエステルの一日の投与量は、0.1〜100mgが好ましく、0.1〜50mgがより好ましく、0.3〜10mgがとくに好ましい。
【0013】
タラ肝油の一日の投与量は、0.1〜5000mgが好ましく、1〜3000mgがより好ましく、2〜1500mgがとくに好ましい。
【0014】
イソフラボンおよびイソフラボン配糖体の一日の量は、1〜500mgが好ましく、5〜300mgがより好ましく、10〜200mgがとくに好ましい。
【0015】
ニンジン、ビャクジュツ、オウレンなど生薬の1日量は、それぞれ1〜20gが好ましく、1.5〜5gがとくに好ましい。
生薬を煎じたエキス量は、100〜600mgが好ましく、200〜400mgがとくに好ましい。
以下、実施例により具体的に説明する。
【実施例1】
【0016】
散剤
タラ肝油 100mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 300mg
白朮エキス 300mg
黄蓮エキス 300mg
乳糖 2460mg
トウモロコシデンプン 400mg
軽質無水ケイ酸 5mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 4000mg
(1包1g、1回2包、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して散剤を製造した。
【実施例2】
【0017】
顆粒剤
タラ肝油 100mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 300mg
白朮エキス 300mg
黄蓮エキス 300mg
乳糖 1800mg
トウモロコシデンプン 800mg
結晶セルロース 260mg
軽質無水ケイ酸 5mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 4000mg
(1包1g、1回2包、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して顆粒剤を製造した。
【実施例3】
【0018】
球形顆粒
タラ肝油 100mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 300mg
白朮エキス 300mg
黄蓮エキス 300mg
乳糖 500mg
トウモロコシデンプン 1500mg
寒梅粉 475mg
結晶セルロース 400mg
合計 4000mg
(1包1g、1回2包、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して球形顆粒剤を製造した。
【実施例4】
【0019】
錠剤
タラ肝油 200mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 300mg
白朮エキス 300mg
黄蓮エキス 300mg
乳糖 3100mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 320mg
ヒドロキシプロピルセルロース 75mg
結晶セルロース 840mg
カープレックス 30mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 5600mg
(1錠560mg、1回5錠、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して錠剤を製造した。
【実施例5】
【0020】
ハードカプセル剤
タラ肝油 65mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 200mg
白朮エキス 200mg
黄蓮エキス 200mg
トウモロコシデンプン 1000mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 1800mg
(1カプセル300mg、1回3カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してハードカプセル剤を製造した。
【実施例6】
【0021】
ソフトカプセル剤
タラ肝油 1000mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 200mg
白朮エキス 200mg
黄蓮エキス 200mg
ミツロウ 75mg
合計 1800mg
(1カプセル300mg、1回3錠、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりにアセチル大豆イソフラボン、大豆イソフラボンを使用してソフトカプセル剤を製造した。
【実施例7】
【0022】
ドリンク剤
タラ肝油 100mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 300mg
白朮エキス 300mg
黄蓮エキス 300mg
ローヤルゼリー 150mg
リン酸リボフラビンナトリウム 10mg
エタノール 1.2ml
パラオキシ安香酸 4mg
精製水 適量
合計 50ml
(1本50ml、1回1本、1日1回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してドリンク剤を製造した。
【実施例8】
【0023】
注射剤
タラ肝油 20mg
日局亜硫酸ナトリウム 4mg
日局アンモニア水 適量
日局生理食塩液 適量
合計 5ml
(1バイアル5ml、1回1バイアル、1日1回)
【実施例9】
【0024】
ローション剤
タラ肝油 3g
大豆イソフラボン配糖体 1.25g
朝鮮人参エキス 3g
白朮エキス 3g
黄蓮エキス 3g
99.5%エタノール 300ml
精製水 適量
合計 1000ml
(1回10ml、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してローション剤を製造した。
【実施例10】
【0025】
軟膏剤
タラ肝油 1.5g
大豆イソフラボン配糖体 1.25g
朝鮮人参エキス 3g
白朮エキス 3g
黄蓮エキス 3g
99.5%エタノール 20ml
親水軟膏 適量
合計 500g
(1回10g、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して軟膏剤を製造した。
【実施例11】
【0026】
坐剤
タラ肝油 100mg
大豆イソフラボン配糖体 625mg
朝鮮人参エキス 1000mg
白朮エキス 1000mg
黄蓮エキス 1000mg
カカオ脂または適当な基剤 適量
以上坐剤10個とする。
(1回1剤、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して坐剤を製造した。
【実施例12】
【0027】
散剤
シムノール硫酸エステルNa 1mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
乳糖 800mg
トウモロコシデンプン 1064mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 2000mg
(1包1g、1回1包、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して散剤を製造した。
【実施例13】
【0028】
顆粒剤
コール酸 60mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
乳糖 2700mg
トウモロコシデンプン 800mg
結晶セルロース 300mg
軽質無水ケイ酸 5mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 4000mg
(1包1g、1回2包、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して顆粒剤を製造した。
【実施例14】
【0029】
錠剤
シムノール硫酸エステルNa 1mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
乳糖 140mg
結晶セルロース 845mg
ステアリン酸マグネシウム 6mg
タルク 3mg
合計 1120mg
(1錠280mg、1回2錠、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して錠剤を製造した。
【実施例15】
【0030】
ソフトカプセル剤
シムノール硫酸エステルNa 1mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
タラ肝油 815mg
酢酸トコフェロール 5mg
人参エキス 200mg
ミツロウ 54mg
合計 1200mg
(1カプセル300mg、1回2カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してソフトカプセル剤を製造した。
【実施例16】
【0031】
ハードカプセル剤
コール酸 60mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
トウモロコシデンプン 1005mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 1200mg
(1カプセル300mg、1回2カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してハードカプセル剤を製造した。
【実施例17】
【0032】
ソフトカプセル剤
コール酸 60mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
ミツロウ 55mg
食用油 960mg
合計 1200mg
(1カプセル300mg、1回2カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してソフトカプセル剤を製造した。
【実施例18】
【0033】
ソフトカプセル剤
コール酸 60mg
大豆イソフラボン 75mg
タラ肝油 805mg
酢酸床フェロール 5mg
人参エキス 200mg
ミツロウ 55mg
合計 1200mg
(1カプセル300mg、1回2カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボンの代わりに大豆イソフラボン配糖体を使用してソフトカプセル剤を製造した。
【実施例19】
【0034】
ソフトカプセル剤
シムノール硫酸エステルNa 1mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
タラ肝油 814mg
酢酸床フェロール 5mg
人参エキス 200mg
ミツロウ 55mg
合計 1200mg
(1カプセル300mg、1回2カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してソフトカプセル剤を製造した。
【実施例20】
【0035】
注射剤
純品コール酸 20mg
純品大豆イソフラボン配糖体 20mg
ブドウ糖 1000mg
PH調整剤炭酸ナトリウム 適量
注射用蒸留水を加えて全量5mlとする。
(1バイアル5ml、1回1バイアル、1日1回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して注射剤を製造した。
【実施例21】
【0036】
ドリンク剤
シムノール硫酸エステルNa 1mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 10mg
ジオウエキス 10mg
ローヤルゼリー 100mg
硝酸チアミン 10mg
リン酸リボフラビンナトリウム 5mg
塩酸ピリドキシン 10mg
無水カフェイン 50mg
エタノール 1.2ml
パラオキシ安香酸 4mg
精製水 適量
合計 50ml
(1本50ml、1回1本、1日1回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してドリンク剤を製造した。
【0037】
参考例
6週齢ddY系雄性マウスを購入し、1週間予備飼育した。予備飼育中に、遊泳に慣れさせる目的でプレ遊泳(10分間遊泳)を実験開始6日前および3日前に2回行ない、著しく遊泳能力の劣るマウスは実験より排除した。予備飼育終了後に体重を測定し体重により、1群10匹として群分けを行ない、被検試料の投与を開始した。
被検試料の投与1週間後、2週間後、3週間後および4週間後に限界遊泳を行ない、遊泳時間を測定した。4週目の限界遊泳時間の測定が終了した直後に断頭し採血を行なった。この間、遊泳日前日に体重および摂餌量の測定を行なった。また、水は自由摂取、餌は遊泳日前日1晩のみ絶食とし、それ以外は自由摂取とした。
断頭時に得た血液は7,600×g、4℃で15分間遠心分離し、得られた血清から血糖値および乳酸値をそれぞれキットを用いて測定した。
実験群は、1群にはControl群として普通食を与え、そのほかの群は被検試料を餌に混ぜて与えた。
実施例15は、100mg/kg(ヒト5倍量)、200mg/kg(ヒト10倍量)および400mg/kg(ヒト20倍量)で実験を行なった。
各成分の高用量は、ヒト20倍量に相当するものである。すなわち、実施例15は10mg/kg、シムノール0.5mg/kg、大豆イソフラボン40mg/kgおよびタラ肝油400mg/kgは、ヒト20倍量に相当する。
オリーブ油は、タラ肝油の比較として用いた。
強制遊泳には京大松元式運動量測定流水層(図1)を用いた。流水ポンプ(HANDY PUMP C−P60J、日立製作所)により水槽底部から水をくみ上げ、流量計(FMK3831−1、東京フローメーター研究所)を接続し、水槽底部から37cmに水をはり循環させた。水の噴出口は塩化ビニールパイプに等間隔に穴が開いたものを使用し、水流量を8L/minとした。また、サーモスタットを噴出口下部に取り付け水温を25±2℃に保った。
限界遊泳時間の測定
マウスを入水し遊泳を続けると、疲労により水槽後部に押し流される。水槽後部には斜めの板があり、これにより水槽下部へと水流が生じており、マウスは水流により水中に引き込まれる。水流に抵抗することができなくなり、完全に水没し7秒間水面に上昇してこなかった時点を遊泳の終点とした。遊泳終了後マウスはタオルで水を吸い取りケージに戻した。
この実験では10分間のプレ遊泳の後、10分間休憩を経て再び遊泳を行い、そこでの遊泳の終点までの時間を限界遊泳時間とした。
血糖値の測定
グルコースCII−テストワコー(和光純薬工業株式会社)を用いて、血清中のグルコース濃度を測定した。
血清乳酸値の測定
F−キットL−乳酸(J.K.インターナショナル)を用いて、で血清中の乳酸濃度を測定した。
各群における遊泳時間は、Control群の遊泳時間を100%として算出した。
実験値は平均値±標準偏差として表示した。統計学的有意差検定にはStudentのt検定を用いた。
結果はつぎのとおりである。
限界遊泳時間
被検試料投与1週目
図2に被検試料投与1週目の平均遊泳時間を示す。
実施例15では、Control群に比べ、遊泳時間に有意な差は認められなかった。
また、コール酸、シムノールおよびタラ肝油投与群において、Control群と有意な差は認められなかったものの、遊泳時間の延長傾向が認められた。
なお、この出願発明では、単回投与の効果は調べなかったが、1週目の結果より、単回投与の結果が推察できるものと思われる。
被検試料投与2週目
図3に被検試料投与2週目の平均遊泳時間を示す。
実施例15投与群では、Control群に比べ有意な差は認められなかったものの、遊泳時間の延長傾向が認められた。
実施例15の10mg/kg投与群、コール酸、シムノール投与群およびタラ肝油投与群において、Control群との有意な差は認められなかったものの、遊泳時間の延長傾向が認められた。
被検試料投与4週目
図4に被検試料投与4週目の平均遊泳時間を示す。
実施例15投与群ではどの投与量においてもControl郡に比べ2〜3倍、遊泳時間の延長が認められた。
コール酸、シムノール0.1mg/kgおよび0.5mg/kg投与群、タラ肝油400mg/kg投与群において、Control群に比べ、遊泳時間が有意に延長した。特にシムノール投与群では、両投与量において、Control群と比較して2倍以上遊泳時間が延長した。
なお、3週目においても、4週目とほぼ同じ傾向が認められた。
遊泳時間の経時変化
図5に投与4週目において、もっとも遊泳時間が延長した実施例15の200mg/kg投与群の1週目から4週目までの遊泳時間を示す。
実施例15の200mg/kg投与群の遊泳時間は、投与3週目にはほぼプラトーに達し、投与4週目ではControl群に比べ約3倍延長した。
図6に各群のマウスの4週目の血糖値を示す。
Control群の血糖値は32±18mg/dLであった。
実施例15の100mg/kgおよび400mg/kg投与群において、Control群に比べ血糖値が有意に増加した。
実施例15の0.5mg/kg投与群および10mg/kg投与群、シムノール0.1mg/kg投与群、タラ肝油400mg/kg投与群において、Control群に比べ血糖値が有意に増加した。
また、対照として用いたオリーブ油の血糖値も有意に高かった。
血清乳酸値
図7に各群のマウスの血清乳酸値を示す。
Control群の乳酸値は3.5±0.9mmol/Lであった。
実施例15投与群では、Control群に比べ乳酸値が低い傾向にあり、特に実施例15の200mg/kg投与群では、乳酸値が有意に低かった。
実施例15の構成成分では、タラ肝油400mg/kg投与群において、Control群に比べ乳酸値が有意に低い値を示した。これに対して、シムノール、大豆イソフラボン投与群では、乳酸値はControl群に比べ、いくぶん高値を示した。
実施例15の成分としてシムノール、大豆イソフラボン、タラ肝油、その他の成分を同濃度含むが、強制遊泳による遊泳時間の測定により検討を行なった。また、この構成成分であるシムノール、大豆イソフラボン、タラ肝油のそれぞれ単独での遊泳時間についても合わせ検討した。
遊泳時間について
実施例15を4週間投与した結果、遊泳時間が著明に延長した。この延長はシムノールに起因するものと推定される。
血糖値について
実施例15を4週間投与した結果、遊泳後の血糖値はControl群に比べ高値を示していた。このように、遊泳しても血糖値が下がらなかった現象は、シムノールおよびタラ肝油に起因するものと推察される。
乳酸値について
実施例15を4週間投与した結果、遊泳したにもかかわらず、乳酸値は上昇しなかった。この現象は、タラ肝油に起因するものと推察される。
実施例15を4週間投与したところ、著明な遊泳時間の延長が見られた。一般に、遊泳などの激しい運動を行なうと血糖値が低下し、乳酸値が上昇するが、実施例15はこの血糖値の低下と乳酸値の上昇を抑制した。これらの結果は、実施例15を与えたマウスにおけるエネルギー消費が、グルコースを利用した好気的代謝と脂質を利用した代謝が中心であることを示唆している。
このエネルギー消費をもたらした成分としては、シムノールおよび/またはシムノールエステルとタラ肝油が重要であると思われる。
今回、タラ肝油の役割を検討したが、タラ肝油の作用は、オリーブ油の作用とは異なっていた。実施例15の作用において、タラ肝油は一定の役割を担っているが、この役割はただ単にエネルギー源を提供するというものではなく、タラ肝油特有の作用が発現しているものと考える。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この出願発明は、シムノールおよび/またはシムノールエステル、コール酸、タラ肝油、コール酸またはシムノールおよび/またはシムノールエステルとタラ肝油のいずれかを含む体力増強剤を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】京大松元式運動量測定流水層
【図2】第1週目のマウスの平均遊泳時間(mean±S.D.、n=1
【図3】第2週目のマウスの平均遊泳時間(mean±S.D.、n=1
【図4】第4週目のマウスの平均遊泳時間(mean±S.D.、n=10、*p<0.05 vs Control、**:p<0.01 vs Control)
【図5】実施例15の200mg/kg投与群の1週目から4週目までの遊泳時間
【図6】血糖値(mean±S.D.、n=10、*:p<0.05 vs Control、**:p<0.01 vs Control、***:p<0.001 vs Control)
【図7】血清乳酸値(mean±S.D.、n=10、*:p<0.05 vs Control、**:p<0.01 vs Control、***:p<0.001 vs Control)
【図8】エネルギーの産生経路
【図9】グルコース利用および脂質利用の違いによる血糖値および乳酸値の変動の違い
【符号の説明】
【0040】
1 京大松元式運動量測定流水層
2 流量計
3 バルブ
4 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シムノールおよび/またはシムノールエステル、コール酸、タラ肝油、コール酸またはシムノールおよび/またはシムノールエステルとタラ肝油のいずれかを含むことを特徴とする体力増強剤。
【請求項2】
扶正作用を有する生薬を含むことを特徴とする請求項1に記載の体力増強剤。
【請求項3】
利水作用を有する生薬を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の体力増強剤。
【請求項4】
オウレン、オウバク、マオウ、レンギョウ、ケイガイ、緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、キダチアロエ、テングサ、カンテン、トウガラシ、ショウガ、コショウの1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の体力増強剤。
【請求項5】
イソフラボンまたはイソフラボン配糖体を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の体力増強剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−314439(P2007−314439A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143628(P2006−143628)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(501072197)有限会社大長企画 (28)
【Fターム(参考)】