説明

体動・離床複合センサ

【課題】体動センサによって検出された異常の真偽を判断することができるとともに、ベッド上に寝ている者が違和感を覚えることがない体動・離床複合センサを提供すること。
【解決手段】絶縁フィルム4上に体動センサ2と離床センサ3及びこれら両センサ2,3がそれぞれ電気的に接続されたプリント基板5を貼着し、その上に第1の軟質樹脂シート6を被着し、これらの上下を第2の軟質樹脂シート10で挟み込んで一体化することによって体動・離床複合センサ1を構成する。また、前記絶縁フィルム4上に、互いに並列接続された複数の体動センサ2と複数の離床センサ3を配置する。さらに、上下の前記第2の軟質樹脂シート10の内側にシールド用の金属箔9をそれぞれ配置するとともに、両金属箔9同士を電気的に導通させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体動センサと離床センサを一体化して成る体動・離床複合センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベッドに伏している病院の入院患者や介護施設の被介護者等の呼吸状態等は体動センサによって検出され、入院患者や被介護者等がベッドから離床しているか否かは離床センサによって検出され、それぞれの検出信号はナースセンターや監視室等に設置されたコンピュータに送信される。
【0003】
ところで、体動センサや離床センサに関しては今まで種々の提案がなされている(例えば、特許文献1,2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−279211号公報
【特許文献2】特開2010−264009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来は体動センサと離床センサは各々独立に構成され、それらは別々に設置されていたため、体動センサによって入院患者等の異常(例えば、呼吸がない、心拍がない等)が検出されても、これが入院患者等の離床によるものか、真の異常によるものかの判断ができなかった。このため、病院や介護施設等では、一定時間ごと(例えば1時間ごと)に巡回してそのことを確認する必要があり、その作業が大変であった。
【0006】
また、従来の体動センサや離床センサはその厚さが比較的厚いため、その上に入院患者等が寝ると違和感を覚えるという問題もあった。
【0007】
本発明は上記問題にかんがみてなされたもので、その目的とするところは、体動センサによって検出された異常の真偽を判断することができるとともに、ベッド上に寝ている者が違和感を覚えることがない体動・離床複合センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、絶縁フィルム上に体動センサと離床センサ及びこれら両センサがそれぞれ電気的に接続されたプリント基板を貼着し、その上に第1の軟質樹脂シートを被着し、これらの上下を第2の軟質樹脂シートで挟み込んで一体化することによって体動・離床複合センサを構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記絶縁フィルム上に、互いに並列接続された複数の体動センサと複数の離床センサを配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、上下の前記第2の軟質樹脂シートの内側にシールド用の金属箔をそれぞれ配置するとともに、両金属箔同士を電気的に導通させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、体動センサと離床センサを同じ絶縁フィルム上に貼着して両者を一体化したため、入院患者等の呼吸状態の異常が体動センサによって検出された場合には、その異常が離床によるものか、真の異常によるものかの判断を離床センサによって行うことができるため、従来必要であった一定時間ごとの巡回が不要となる。また、体動センサと離床センサを薄い絶縁フィルム上に貼着して両者を一体化することによって体動・離床複合センサを薄く構成することができるため、その上に入院患者等が寝ても違和感を覚えることがない。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、絶縁フィルム上に複数の体動センサと離床センサを配置したため、入院患者等がベッド上で寝返りを打ったり、多少移動しても体動センサと離床センサによる検出を正確かつ確実に行うことができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、体動センサと離床センサが金属箔によって電磁気的にシールドされるため、これらの体動センサと離床センサが外部からのノイズの影響を受けにくく、正確な検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る体動・離床複合センサの斜視図である。
【図2】本発明に係る体動・離床複合センサの内部構造を示すために一部を分解して示す斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明に係る体動・離床複合センサの電気回路構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係る体動・離床複合センサの斜視図、図2は同体動・離床複合センサの内部構造を示すために一部を分解して示す斜視図、図3は図2のA−A線断面図、図4は同体動・離床複合センサの電気回路構成を示す平面図である。
【0017】
本発明に係る体動・離床複合センサ1は、体動センサ2と離床センサ3を一体化して構成されるものであって、この体動・離床複合センサ1においては、図2及び図3に示すように、厚さ0.188mmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムから成る絶縁フィルム4上に各3つずつの体動センサ2と離床センサ3が幅方向(図3の左右方向)に所定の間隔を設けて平行に配設されて貼着されている。
【0018】
ここで、各体動センサ2は、薄いリボン状のピエゾフィルム(圧電フィルム)で構成され、各離床センサ3は、同じく薄いリボン状の感圧センサによって構成されている。そして、互いに平行に近接配置された体動センサ2と離床センサ3の組が計3つ幅方向に所定の間隔を設けて配置されている。
【0019】
上記各3つずつの体動センサ2と離床センサ3は、図4に示すように、電気的に互いに並列に接続されており、これらは前記絶縁フィルム4の長手方向端部に貼着されたフレキシブルなプリント基板5にハンダ付けによって電気的に接続されている。そして、絶縁フィルム4上に貼着された3組の体動センサ2と離床センサ3及びプリント基板5に上には、厚さ0.2mmの軟質ポリ塩化ビニル(PVC)シートから成る第1の軟質樹脂シート6が被着されている。なお、プリント基板5からはケーブル7が導出しており、該ケーブル7はその端部に接続されたカプラー8を介してナースセンターや監視室等に設置された不図示の監視装置に接続されている。
【0020】
上記絶縁フィルム4上に貼着された各3つの体動センサ2と離床センサ3、プリント基板5及びこれらの上面に被着された第1の軟質樹脂シート6の上下には、導電性テープによって互いに電気的に導通する厚さ70μmのアルミ箔等の金属箔9が配置されており、これらの上下は厚さ0.4mmの軟質ポリ塩化ビニル(PVC)シートから成る第2の軟質樹脂シート10によって覆われている。ここで、図3に示すように上下の第2の軟質樹脂シート10は、その周縁が互いに接着されており、本発明に係る体動・離床複合センサ1は、図1に示すように多層の矩形シート状に構成されている。
【0021】
しかして、以上のように構成された体動・離床複合センサ1は、病院や介護施設等に設置された不図示のベッドのマットとシーツの間に設置されて使用されるが、その上に寝た患者や被介護者等の呼吸状態等が体動センサ2によって検出され、患者等がベッドから離れたか否かが離床センサ3によって検出され、それらの検出信号はケーブル7を介してナースセンターや監視室等に設置された不図示の監視装置に入力される。
【0022】
以上において、本発明に係る体動・離床複合センサ1においては、体動センサ2と離床センサ3を同じ絶縁フィルム4上に貼着して両者を一体化したため、入院患者等の呼吸状態の異常が体動センサ2によって検出された場合には、その異常が離床によるものか、真の異常によるものかの判断を離床センサ3によって行うことができる。このため、従来必要であった一定時間ごとの巡回が不要となり、その作業に要していた労力が省略される。
【0023】
また、体動センサ2と離床センサ3を薄い絶縁フィルム4上に貼着して両者を一体化することによって体動・離床複合センサ1を薄く構成することができるため、その上に入院患者等が寝ても違和感を覚えることがない。なお、本実施の形態では、体動・離床複合センサ1の厚さt(図3参照)を約1.9mmと薄くすることができた。
【0024】
さらに、本発明に係る体動・離床複合センサ1によれば、絶縁フィルム4上に各3つずつの体動センサ2と離床センサ3を幅方向に所定の間隔を設けて配置したため、入院患者等がベッド上で寝返りを打ったり、多少移動しても体動センサ2と離床センサ3による検出を正確かつ確実に行うことができる。
【0025】
また、本発明に係る体動・離床複合センサ1によれば、体動センサ2と離床センサ3がアルミ箔等の金属箔9によって電磁気的にシールドされるため、これらの体動センサ2と離床センサ3が外部からのノイズの影響を受けにくく、正確な検出が可能となるという効果も得られる。
【符号の説明】
【0026】
1 体動・離床複合センサ
2 体動センサ
3 離床センサ
4 絶縁フィルム
5 プリント基板
6 第1の軟質樹脂シート
7 ケーブル
8 カプラー
9 金属箔
10 第2の軟質樹脂シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フィルム上に体動センサと離床センサ及びこれら両センサがそれぞれ電気的に接続されたプリント基板を貼着し、その上に第1の軟質樹脂シートを被着し、これらの上下を第2の軟質樹脂シートで挟み込んで一体化して成ることを特徴とする体動・離床複合センサ。
【請求項2】
前記絶縁フィルム上に、互いに並列接続された複数の体動センサと複数の離床センサを配置したことを特徴とする請求項1記載の体動・離床複合センサ。
【請求項3】
上下の前記第2の軟質樹脂シートの内側にシールド用の金属箔をそれぞれ配置するとともに、両金属箔同士を電気的に導通させたことを特徴とする請求項1又は2記載の体動・離床複合センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−90806(P2013−90806A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234756(P2011−234756)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(390023319)セリック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】