体形補整機能に優れた経編補整パンツ
【課題】ヒップアップ機能に基づく優れた美尻効果をはじめ、美腿効果、美腹効果を発現する補整パンツであって、薄くて軽く、履き易く、締め付け感が少なく、着用感の良い補整パンツを提供する。
【解決手段】 前身頃と後身頃が連続した、弾性糸を含む筒状経編地からなり、ヒップの膨らみの上方領域に対応する左右1対の略半円形のヒップ上部被覆部分25、25が、その下部領域に設定された下方に凸の三日月形状の中緊締力編地による中継部25b、25cと、その上方に設定された高伸縮性かつ弱緊締力編地による膨出許容部25aとで構成され、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部24が低伸縮性かつ強緊締力編地で構成される。
【解決手段】 前身頃と後身頃が連続した、弾性糸を含む筒状経編地からなり、ヒップの膨らみの上方領域に対応する左右1対の略半円形のヒップ上部被覆部分25、25が、その下部領域に設定された下方に凸の三日月形状の中緊締力編地による中継部25b、25cと、その上方に設定された高伸縮性かつ弱緊締力編地による膨出許容部25aとで構成され、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部24が低伸縮性かつ強緊締力編地で構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、実質的に無縫製の経編補整パンツ、更に具体的には、ヒップアップ機能を有して、ヒップラインを美しく整える効果を有するほか、下腹部の膨らみの過度のせり出しを防ぎ、更には、左右の大腿部上部の外観上好ましくない張り出しを押さえて、内股部の外観を美しく見せることができる補整パンツに関する。
【0002】
ここに、本発明に係る補整パンツは、脚筒部を有しないショーツ型のパンツのほか、脚筒部を有するものであってもその長短を問わず、股部を有する衣料全般に適用されるものであり、更に具体的には、ショーツ、ガードル、ボディスーツ等を広く適用対象とするものである。
【背景技術】
【0003】
胴部から臀部を経て大腿部の上部に亘る部分の体形を美しく整えるための体形補整機能を有するパンツは、従来から種々のものが提案され実用化されている。
【0004】
従来のこのような体形補整機能を有するパンツの多くは、主として緯編、あるいは経編のニット製であり、パンツ主体部が全体的に適度の伸縮性を有するものとなされている。そしてその上で、良好な体形補整機能を付与するために、大きく分けて次の2つの手法が選択的に採用されているのが普通である。
【0005】
その1つは、伸縮性のパンツ本体の前後身頃中の伸縮を抑制したい部分、たとえば下腹部とか臀部の膨らみの下方部分に、伸びがないかまたは伸びが少ない別の布帛を当て布として、あるいは裏打ち布としてパンツ本体に当てがって縫着するという手段である。例えば、ヒップアップ機能を付与するためには、パンツ本体のヒップの膨らみの対応部分に、非伸縮または低伸縮性の当て布または裏打ち布を縫着して取付け、これによって当該部位の伸びを押さえて、ヒップの膨らみが垂れ下がるのを防止するという所謂当て布手法によるものである。このような手法の例は、下記の特許文献1,2に見ることができる。
【0006】
また、2つ目は、パンツ本体の編成の段階で、生地の伸縮性、緊締力等の性質を異にした編地部分を混成編成し、それら各部を必要箇所に適切に配分するようにした所謂混編手法である。この混編手法によるものとしては、特許文献3〜6のような例を見ることができる。
【特許文献1】特開平9−241902号公報
【特許文献2】特開平10−212606号公報
【特許文献3】特開2005−15925号公報
【特許文献4】特開2002−327303号公報
【特許文献5】特開2002−275702号公報
【特許文献6】特開2003−138402号公報
【0007】
しかしながら、前者の当て布手法によるときは、当て布等の縫着部位において生地が2重あるいは3重になって部分的に厚さが変化することに加えて、当て布の周縁とパンツ本体を構成している布地との間の境界線部分で急激に伸縮性の差異を生じることで、必ずしも良好な体形補整機能を実現し難いのみならず、スキニータイプのジーンズのような身体に密着状にフィットするアウターウェアを着用したような場合に、身頃の縫着ラインや当て布の縫着ラインが外部に反映され易いというような難点があった。更には、当て布等の適正な形状と配置の設計が難かしい上に、縫製に多くの手間と時間を要し、結果的にコスト高につくこと、更にはまた、非伸縮または低伸縮部分が身体に拘束感をえて、必ずしも着用感に優れたものとは言えないというような難点もあった。
【0008】
一方、伸縮性や緊締力の異なる複数の異種の編地部分を適正配置に混成編成したものとする前記後者の手法による製品は、量産性に優れて、履き心地も比較的良好なものとなしうる等、当て布型のものに較べると多くの利点を有するところであるが、しかしながら、従来提案に係る当該製品は、伸縮性の大小と緊締力の強弱、あるいは通気性の大小等の性質を異にする各編地部分の相対的な配置設計の点で、必ずしも適正なものではなく理想的な体形補正効果を実現しうるものではなかった。加えてまた、着用しにくいとか、強すぎる緊締力やその不適正な配置によって、着用時に締め付けによる窮屈感が強く、長時間の着用に不向きであるというような難点を有するものであることが多かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来技術背景下において、経編地を用いた体形補整パンツであって、ヒップアップ機能を含めて優れた体形補整機能を有し、しかも生産性に優れて比較的廉価に製作提供しうるのはもとより、比較的薄くて、軽く、脱着が容易で、身体にフィットし易く、着用時に過度の締め付けによる拘束感、窮屈感を与えることがなく、長時間の着用に適し、着用者の運動を阻害しないなどの多くの利点を享受しうる特有構成の経編補整パンツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題に対し、下記の手段を提供する。
【0011】
[1]周方向に前身頃と後身頃とが連続した筒状編地に編成された、弾性糸を含む伸縮性経編地からなり、
後身頃のうち、ヒップの膨らみの頂部より上方の領域部分を覆う略半円形のヒップ上部被覆部分を除いて、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い強緊締力編地部分で構成される一方、
前記ヒップ上部被覆部分が、その下部領域に設定された下方に凸の三日月形状の中継部と、その上方領域に設定された半月形の膨出許容部とに区画され、
前記半月形の膨出許容部が、高伸縮性で、かつ緊締力の弱い弱緊締力編地部分で構成され、
前記中継部が、前記後身頃主体部の編地部分と膨出許容部の編地部分との中間程度の伸縮性と緊締力をもった中緊締力編地部分で構成されてなることを特徴とする、
体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0012】
[2] 前記中継部が、更に上部の第1中継部と下部の第2中継部とに区画され、
下部の第2中継部の方が上部の第1中継部より相対的に低伸縮性で、かつ緊締力の強い編地部分で構成されている前項[1]に記載の体形機能性に優れた経編補整パンツ。
【0013】
[3]前身頃のうち、下腹部前面領域を覆う下腹部中央被覆部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い、強緊締力編地部分で構成され、
残りの下腹部側面領域を覆う体側被覆部が、伸縮性及び緊締力のいずれも中程度である中緊締力編地部分で構成されていることを特徴とする、前項[1]または[2]に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0014】
[4]左右の両脚筒部を有し、
該両脚筒部の腿部内側領域をカバーする内腿被覆部と、該内腿被覆部の上端部から後身頃側を斜め上方に帯状に延びて腿部後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部とが、やや低伸縮性で、かつ緊締力のやや強い中強緊締力編地部分で構成され、
更に、上記内腿被覆部及び後腿上部被覆部とを除く、残りの腿部外側領域をカバーする外腿被覆部が、高伸縮性で、かつ緊締力の弱い弱緊締力編地部分で構成されていることを特徴とする、前項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0015】
[5]前記外腿被覆部が、メッシュ編地からなる前項[4]に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0016】
[6]前記弾性糸が、ポリウレタン繊維を含むカバード糸またはコアスパン糸からなる前項[1]〜[5]のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0017】
[7]ダブルラッセル編機により、周方向に前身頃と後身頃とが連続した筒状編地に編成された、ポリウレタン弾性糸を含むツーウェイストレッチ性伸縮性経編地からなり、
該編地は、伸縮性において下記の式1に示す相対関係を有し、かつ緊締力において下記の式2に示す相対関係を有する、相互に性質の異ったA,B,C,D,Eの5種類の編地部分が混編されたものであり、
式1:伸縮性・・・E > A > D > C > B
(高)(やや高)(中)(やや低)(低)
式2:緊締力・・・B > C > D > A > E
(強) (中強)(中) (中弱)(弱)
後身頃のうち、ヒップの膨らみの頂部より上方の領域部分を覆う略半円形のヒップ上部被覆部分を除いて、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部が、前記B編地部分で構成される一方、
前記ヒップ上部被覆部分が、その下部領域に設定された下方に凸の三日月形状の中継部と、その上方領域に設定された半月形の膨出許容部とに区画され、
前記半月形の膨出許容部が、前記E編地部分で構成され、
前記中継部が、前記後身頃主体部の編地部分と膨出許容部の編地部分との中間程度の伸縮性と緊締力をもった前記A、C、およびDのいずれか1種以上の編地部分で構成されてなることを特徴とする、体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0018】
[8]前記A,B,C,D,Eの5種類の編地部分は、通気性において下記式3に示す相対関係を有する、前項[7]に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
式3:通気性・・・E > D > A > C > B
(大)(やや大)(中)(やや小)(小)
【0019】
[9]前記中継部が、更に上部の第1中継部と下部の第2中継部とに区画され、
下部の第2中継部が前記C編地部分により、上部の第1中継部が前記A編地部分で構成されている前項[7]または[8]に記載の体形機能性に優れた経編補整パンツ。
【0020】
[10]前身頃のうち、下腹部前面領域を覆う下腹部中央被覆部が、前記B編地部分で構成され、
残りの下腹部側面領域を覆う体側部被覆部が、前記D編地部分で構成されていることを特徴とする、前項[7]〜[9]のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0021】
[11]左右の両脚筒部を有し、
該両脚筒部の腿部内側領域をカバーする内腿被覆部と、該内腿被覆部の上端部から後身頃側を斜め上方に帯状に延びて腿部後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部とが、前記C編地部分で構成され、
更に、上記内腿被覆部及び後腿上部被覆部とを除く、残りの腿部外側領域をカバーする外腿被覆部が、前記E編地部分で構成されていることを特徴とする、前項[7]〜[10]のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【発明の効果】
【0022】
前記[1]項の構成に係る経編補整パンツは、周方向に前身頃と後身頃とが連続した筒状編地に編成された伸縮性経編地からなるものであることにより、少なくとも身頃部分の仕立てを無縫製で完成させることができ、最終的な仕上げ処理のためにウエスト部、両脚筒部の裾部及び股間部等を必要に応じて縫製仕上げするだけで製品とすることができるので、生産性に優れ、安価に製作提供できる。また、伸縮規制のための当て布や裏打ち布を縫着しないので、比較的薄くて軽いものとなすことができ、ひいては身体にフィットし易く、着脱も比較的容易に行いうるものとなしうる。
【0023】
上記に加え、この発明に係る補整パンツの特に特徴的な作用効果は次のとおりである。
【0024】
即ち、後身頃のうち、ヒップの膨らみの、頂部より上方の領域部分を覆う半円形のヒップ上部被覆部分を除いて、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い強緊締力編地部分で構成されたものとなされている。即ち、パンツ胴部の後身頃におけるヒップの膨らみの頂部より下方の部分を含めて、その両側部分の対応領域が、低伸縮・強緊締力編地部分で構成されている。このため、この強緊締力編地部分が、着用者のヒップを下方ならびに脇側から上向き押し上げる。
【0025】
一方、ヒップの頂部より上方の略半円形のヒップ上部被覆部分は、これが更に、その下部領域の、下方に凸の三日月形状の中継部と、その上方領域の、半月形の膨出許容部とに区画され、この後者の膨出許容部が、高伸縮性でかつ緊締力の弱い弱緊締力編地部分で構成されたものとなされている。そして、前記のヒップ下部の強緊締力編地部分と上記膨出許容部との間に位置する移行部分としての中継部が、ヒップの膨らみの曲線に沿った三日月形状で、しかも中間程度の伸縮性と緊締力をもった中緊締力編地部分で構成されている。
【0026】
このため、前記の強緊締力編地部分によって下方ならびに脇側から押し上げられたヒップの移動肉部分は、その中継部の領域で僅かに外方に徐々に膨出をはじめつつ、膨出許容部に至ってはじめて大きく外方に膨出する。即ち中継部が存在しなければ、強緊締力編地部分と弱緊締力編地部分との間で、ヒップの外面が段差をなすおそれがあるのに対し、中継部の存在によってヒップの上部の張り出しがなめらかなカーブを描くことになり、恰も膨出許容部近傍にヒップトップが存在するかのような若々しいヒップ体形に補整される。従って、着用者のヒップ部は、側面から見たときにきれいなカーブを描く態様に補整されることとなり、極めて優れたヒップアップ効果を達成しうる。
【0027】
更にはまた、ヒップ上部被覆部が略半円形のものとなされていることにより、左右のヒップの膨らみの間に、臀裂部(谷部)を明確に表すことができ、上記ヒップアップ効果と相俟って、美しいヒップラインを表現しうる。
【0028】
また、前記[2]項に特定されるように前記中継部が更に上下に2つの第1中継部と第2中継部とに区画され、それらの伸縮性、及び緊締力が順次段階的に変化されたものとなされるときは、ヒップの膨らみの頂部がその上方の膨出許容部に至る間での、ヒップラインのカーブを一層なめらかなものとすることができる。
【0029】
また前記[3]項に記載のように、前記の補整パンツにおいて、その前身頃のうち、下腹部前面領域を覆う下腹部中央被覆部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い、強緊締力編地部分で構成され、残りの下腹部側面領域を覆う体側部被覆部が、伸縮性及び緊締力のいずれも中程度である中緊締力編地部分で構成されたものとなされるときは、前記のヒップアップ機能に加えて、下腹部の膨出を押さえてすっきり見せる効果をも併せ有するものとなしうる。
【0030】
また、前記[4]項に記載のように、左右の両脚筒部を有し、該両脚筒部の腿部内側領域をカバーする内腿被覆部と、該内腿被覆部の上端部から後身頃側を斜め上方に帯状に延びて腿部後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部とが、やや低伸縮性で、かつ緊締力のやや強い中強緊締力編地部分で構成され、更に、上記内腿被覆部及び後腿上部被覆部を除く、残りの腿部外側領域をカバーする外腿被覆部が、高伸縮性で、かつ緊縮力の弱い弱緊締力編地部分で構成されたものとするときは、内腿被覆部が大腿部内側の膨らみを押さえるのと同時に、後腿上部被覆部が、ヒップの膨らみの下方に隣接する大腿部の後面上部の膨らみを押さえる。このため、内股部分に直線的な隙間ができ、スッキリとした外観を与えることができる。加えて、後腿上部被覆部により、大腿部の後面上部の張り出しが防止されるので、ヒップの膨らみと、その下方の大腿部との境界部に明確なめりはりを与えて、ヒップの膨らみが大腿部後面と区別なく連続してしまうのを防止しうる。従って、ヒップの膨らみが、大腿部との間で明確な境界を示して強調されることになり、愈々美しいヒップラインを表現しうると共に、内股部分の外観をすっきりした体形に補整することができる。
【0031】
また、胴部とこれに連続する両脚筒部を有する本発明に係る補整パンツにあっては、その身頃の上下方向のいずれの高さ位置の部分にあっても、緊締力の比較的強い編地部分と共存して、周方向のいずれかの部分に、比較的伸縮性に富んだ高伸縮部分が存在する。
【0032】
このため、着用しやすく、しかも体形補正効果に優れるわりには着用中において窮屈感、拘束感が少なく長時間の着用にも好適し、かつ着用者の運動を阻害することもなく、むしろサポータ効果を発揮して、着用時の身体の動きを軽快なものとする効果を奏する。
【0033】
また、前記[5]項に記載のように、外腿被覆部がメッシュ編地で構成されたものとなされることにより、大腿部の外側領域で通気性が良好なものとなり、他の部分で通気性が確保されるより一段と着用感に優れたものとなしうる。
【0034】
また、前記[6]項に記載のように、弾性糸にポリウレタン繊維(一般的呼称:「スパンデックス」)を含むカバード糸あるいはコアスパン糸を用いることにより、入手の容易性に加えて、弾力性、耐久性、風合等に優れたものとなしうる。
【0035】
更にまた、前記[7]〜[11]項に記載の発明にあっては、パンツ主体を構成する身頃の経編地が、伸縮性及び緊締力、あるいは更に通気性を式1〜2,あるいは更に式3に示すように相互に異にしたA,B,C,D,Eの5種類の編地部分を含んで混編されたものとなされ、それぞれの編地部分が特定部位に適正配置されたものとなされていることにより、前記[1]〜[4]項の各発明と同様の効果を、一層確実かつ良好に達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に、この発明の好ましい実施形態について説明する。
【0037】
図1及び図2は、本発明に係る補整パンツを、実際に着用したときの外観状態において示す前面側斜視図と後面側斜視図であり、図3〜5は、同じく着用時における展伸状態を想定して、身頃を構成している編地中の種類の異なる各編地部分の配置態様を分かり易く示した側面図、正面図及び背面図である。
【0038】
これらの図において、補整パンツ(1)は、縦横にかなり引き伸ばされた状態で示されているが、着用していない状態では、全体が緊縮状態にあって、胴部(2)の直径において概ね10〜20cm、脚筒部(3)を含む全長において概ね30〜40cm程度の大きさを有するものである。
【0039】
補整パンツ(1)は、ダブルラッセル編機により、図4に示す前身頃部分と図5に示す後身頃部分とが周方向に連続した、周方向に無縫製の筒状経編地で仕立てられたものである。
【0040】
また、この経編地は、全体として、ポリウレタン繊維を含む弾性糸を編込んでウェール方向(縦方向)及びコース方向(横方向)のいずれも伸縮性を有する2ウェイストレッチ性経編地に編成されたものであるが、伸縮性及び緊締力において相互に異なった次の5種類の編地部分A,B,C,D,およびEを有し、これらの各編地部分が所定配置に分布されたものとなされている。
【0041】
A: 図8に示す編成組織を有する薄地である。タテ及びヨコのいずれにもかなり良く 伸びる(伸縮性;やや高)が、緊締力は弱く(緊締力;弱)、通気性は中間程度で ある。
【0042】
B: 図9に示す編成組織を有する厚地である。タテ及びヨコのいずれにもあまり伸び ない(伸縮性;低)が、緊縮力が最も強く(緊締力;大)、通気性は悪い(通気性 ;小)。
【0043】
C: 図10に示す編成組織を有する上記厚地(A)と薄地(B)の複合メッシュ地で ある。タテ及びヨコのいずれにも多少伸びる(伸縮性;やや小)が、緊縮力は前記 Bの編地部分について強く(緊縮力:中強)、通気性はかなり悪い(通気性:やや 小)。
【0044】
D: 図11に示す編成組織を有する前記厚地(A)と薄地(B)の複合組織のタテ縞 地である。タテには通常に伸びるがヨコにはやや伸びにくい(全体としての伸縮性 :中)。また緊締力においても中程度(緊締力;中)であり、通気性はかなり良い (通気性;やや大)。
【0045】
E:図12に示す編成組織を有する前記厚地(A)と穴地組織の複合による粗いメッシ ュ地である。タテ及びヨコのいずれにも良く伸びる(伸縮性;高)が、緊締力は最 も弱い(緊締力;弱)、粗いメッシュ地であることから、通気性に極めて良好(通 気性;大)である。
【0046】
図8〜12の編地組織図において、(11)は経編地の鎖編列(W)を含む地編みを形成する非弾性糸であり、(12)(13)は各編地部分に所要の伸縮性と緊締力を付与するために、地編み組織の隣接する1ないし複数ウェール(W)間にまたがる振り糸として編み込まれた弾性糸である。
【0047】
上記地編み用の非弾性糸(11)としては、一般に33〜310dtex程度の天然または化学繊維糸が用いられ、特にナイロン糸が好適に用いられる。また、弾性糸(12)(13)には、一般的に40〜340dtex程度の通称スパンデックス糸と称されるポリウレタン繊維のカバード糸またはコアスパン糸が用いられる。
【0048】
なお、図8〜12に示した各編地部分A〜Eの組織は、本発明において何ら限定されるものではなく、あくまでも好ましい1つの例として示されたものである。
【0049】
また、本発明において、各編地部分A〜Eの伸縮性の大小、緊締力の強弱、通気性の大小等の物性は、いずれも個々の絶対値として限定される性質のものではなく、相互間の相対的な関係として意味を有し、この相対的な関係こそが本発明において技術的に重要な意味をなすものである。何故なら、補整パンツを着用する使用者の年齢、固有の体型、筋力等の要因によって、好適な伸縮性、緊締力等が変化するからである。
【0050】
尚、上記伸縮性は、編地の伸びの良さ、即ちストレッチ性の指標であり、周方向の少なくとも一部にストレッチ性の良い編地が存在することで、履き易さを向上し、着用時における締め付け感、窮屈感を軽減する。
【0051】
また、緊締力は、「緊迫力」、「緊縛力」あるいは「生地のもどり強さ」と表現されることもある、生地の弾性復元力の強さであり、所定荷重時の伸長率の大小で確認することができる指標である。即ち、緊締力の強い生地は伸長率が小さく、弱い生地は伸長率が大きい。
【0052】
本発明の補整パンツ(1)の身頃(2)(3)の経編地中に混編される前記A〜Eの各編地部分の、相対的な伸縮性の大小、緊締力の強弱、及び通気性の大小は、下記の式1〜3に示す関係にある。
式1:伸縮性・・・E > A > D > C > B
(高)(やや高)(中)(やや低)(低)
式2:緊締力・・・B > C > D > A > E
(強) (中強)(中) (中弱)(弱)
式3:通気性・・・E > D > A > C > B
(大)(やや大)(中)(やや小)(小)
【0053】
ところで、本発明に係る補整パンツ(1)は、前述のように、前身頃と後身頃とが周方向において連続編成された筒状経編地からなるものであり、前後の各身頃内における前記A〜Eの、相互に物性を異にした編地の配置態様を、図3〜7に分かり易く展開した状態で示している。
【0054】
先ず、胴部(2)の前身頃は、図3、図4及び図6に示すように着用者の下腹部の前面領域を覆う下腹部被覆部(21)と、その左右の下腹部側面領域を覆う体側部被覆部(22)(22)とを有し、前者の下腹部被覆部(21)が、最も低伸縮性でかつ緊締力の強い前記B編地部分で構成される一方、後者の体側部被覆部(22)(22)が伸縮性及び緊締力ともに中程度である前記D編地部分で構成されている。また、上記下腹部被覆部(21)の上端に続く横長帯状の前部ウエスト部(23)は、伸縮性がやや高く、緊締力が中強である前記C編地部分で構成されている。
【0055】
前身頃の各部における前記編地部分の配置により、着用した場合、下腹部被覆部(21)によるB編地部分の強い緊締力によって下腹部分が押さえられ、前方への膨出が阻止される。一方、この下腹部の押さえ込みによって生じ易い締め付け感は、その両側部に存在する体側被覆部(22)(22)に中程度の伸縮性と緊締力を示すD編地部分が採用されていることにより、不快感のない程度に緩和される。
【0056】
一方、胴部(2)の後身頃は、図3,図5及び図7に示すように、ヒップの膨らみの頂部より上方の領域部分を覆う左右2つの略半円形ないし下辺が拡開U字形の上部被覆部分(25)(25)と、該ヒップ上部被覆部分(25)を除く、臀部後面の略全領域をカバーする後身頃主体部(24)とに区画されている。そしてまた、上記ヒップ上部被覆部分(25)は、その上方領域部分をカバーする半月形の膨出許容部(25a)と、その下方領域を占めるいずれも三日月形の上部の第1中継部(25b)と下部の第2中継部(25c)とに区画されている。
【0057】
そして、上記後身頃主体部(24)には、最も低伸縮性でかつ緊締力の強い前記B編地部分が適用され、膨出許容部(25a)には、最も高伸縮性でかつ緊締力の弱いメッシュ地による前記E編地部分が適用されている。そして更に、上記両部間の緊締力の差を段階的に移行させるべく、下部の第2中継部(25c)の方が上部の第1中継部(25b)より相対的に低伸縮性でかつ緊締力の強い編地部分で構成されている。更に具体的には、第1中継部(25b)は、前記A編地部分で構成され、第2中継部(25c)は、前記C編地部分で構成されている。
【0058】
胴部(2)の後身頃における上記各編地部分の配置によって、下記のような特に優れたヒップアップ効果を実現する。
【0059】
即ち、後身頃主体部(24)に適用されたB編地部分の強い緊締力によって、着用者のヒップが下方ならびに両脇側から上方に押し上げられる。そして、この押し上げられた、ヒップ肉部分は、ヒップ上部被覆部分(25)の、下から順次段階的に緊締力の弱いC及びAの編地部分が適用された第2中継部(25c)及び第1中継部(25b)を経て、徐々に外方(後方)への膨らみを増しながら、上部の最も伸縮性が良く緊締力の弱いE編地部分からなる膨出許容部(25a)で外方に大きく膨出し、結果的にヒップトップを着用者の本来の体形より上方に移動して、腰からヒップにかけての側面視のヒップラインを美しいカーブに表出する。
【0060】
加えて、左右のヒップ上部被覆部(25)(25)が略半円形のものとなされ、それらの間の臀裂部相当の位置に、緊締力の強いB編地部分が存在する。このため、ヒップの左右の膨らみの間に、低伸縮性編地部分が上下方向に帯状に存在してこの部分の伸びが抑制され、結果的に谷筋状の臀裂部を明確にあらわし、左右のヒップの膨らみを強調して、後面視に平らなのっぺりしたヒップ外観が露呈する欠点を解消する。
【0061】
尚、図中(26)は、後身頃上端の後身頃ウエスト部であり、やや低伸縮性でかつ中強程度の緊締力を有するC編地部分が適用されている。
【0062】
次に、胴部(2)の下方に連続する左右両脚筒部(3)(3)は、図4〜図7に示すように、前身頃と後身頃との両者にまたがって、腿部の内側領域をカバーする内腿被覆部(31)(31)と、図5及び図7に示すように該内腿被覆部(31)(31)の上端後面側から後身頃内を斜め上方に向って帯状に延びて腿部の後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部(32)(32)と、図3〜図7に示すように、上記内腿被覆部(31)及び後腿上部被覆部(32)を除く残りの腿部外面領域の全域をカバーする外腿被覆部(33)(33)とに区画されている。
【0063】
そして、上記内腿被覆部(31)(31)とこれに連続する腿部後面上部被覆部(32)(32)は、やや低伸縮性で中強程度の緊締力を有する前記C編地部分が適用され、残りの外腿被覆部(33)は最も高伸縮性で、かつ緊締力も最も弱いメッシュ編地による前記E編地部分が適用されている。
【0064】
脚筒部(3)(3)における上記のような各編地部分の配置構成により、着用者の内腿部分の外観を美しく見せる効果を実現する。
【0065】
即ち、緊締力のやや強いC編地部分による内腿被覆部(31)(31)及びこれの上端から斜め後方に連続する後腿上部被覆部(32)(32)とが、内腿上部を内側から外側に向かって押さえつけて、内股部分にぜい肉のたるみが表われるのを防止し、正背面視における内股部分を直線的にすっきりと表現するのに加えて、ヒップの下方の大腿部後面を上記後腿上部被覆部(32)(32)が、左右側方の方向に吊り上げ気味に押さえ付けるため、ヒップの膨らみの下方に後腿部が膨出して表われるのを防止する。このため、ヒップの膨らみが、その下端においてシャープに表われ、大腿部との境界を明確に表現して側面視におけるヒップラインを愈々美しいものとする効果を奏する。
【0066】
そして又、外腿被覆部(33)(33)が、メッシュ編地による、高伸縮性かつ弱緊締力のE編地部分で構成されている結果、上記のように内腿部分に締め付け力が作用するものでありながら、外腿被覆部分の高伸縮性、弱緊締力によって大腿部に外側への膨出気味の張りが与えられ、ひいては大腿部に女性体形を強調した美しい外観が与えられる。
【0067】
尚、図中(34)は、脚筒部(3)(3)の下端の裾口部であり、やや高伸縮性かつ中弱程度の緊縮力のA編地部分が適用されている。
【0068】
本発明に係る補整パンツは、ダブルラッセル編機によって、多数個の身頃部分が筒状経編地として連続状に編成されたのち、1個ごとの単位で切断され、要すれば、ウエスト部及び裾口部を折返し状に縫着して、破綻防止する一方、内股部分を前後両身頃間で強化縫合して、製品に仕上げられるものである。
【0069】
この発明に係る補整パンツは、上述のように、ヒップ部を美しいシルエットに補整する効果に優れる一方、腹部と脇、腿部まわりにもきれいな立体的シルエットを表現し得る効果に優れるものである。加えて、身頃の上下方向のいずれの部分にあっても周方向の一部に必ず比較的高伸縮性で弱緊締力の編地部分が存在するため、着用し易く、着用した場合の窮屈感、締め付け感が少なく、長時間の着用に適する。更には、比較的薄くて、軽く、生産性にも優れていて安価に製作提供できるなどの多くの利点を有するものである。
【0070】
以上によって図示説明したこの発明に係る補整パンツは、図示実施形態のものに限定されるものではなく、特許請求の範囲に特定した事項を充足するかぎりにおいて他の種々の設計的な変更が許容されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明に係る補整パンツの着用状態における外観を示す前面側斜視図である。
【図2】同じく後面側の斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る補整パンツを、着用状態を想定した展開状態で示した側面図である。
【図4】同じく正面図である。
【図5】同じく後面図である。
【図6】前身頃の展開正面図である。
【図7】後身頃の展開正面図である。
【図8】中弱緊締力のA編地部分の組織図である。
【図9】強緊締力のB編地部分の組織図である。
【図10】中強緊締力のC編地部分の組織図である。
【図11】中緊締力のD編地部分の組織図である。
【図12】弱緊締力のE編地部分の組織図である。
【符号の説明】
【0072】
1・・・補整パンツ
2・・・胴部
3・・・脚筒部
21・・下腹部被覆部
22・・体側部被覆部
24・・後身頃主体部
25・・ヒップ上部被覆部
25a・膨出許容部
25b・第1中継部
25c・第2中継部
31・・内腿被覆部
32・・腿部後面上部被覆部
33・・外腿被覆部
【技術分野】
【0001】
この発明は、実質的に無縫製の経編補整パンツ、更に具体的には、ヒップアップ機能を有して、ヒップラインを美しく整える効果を有するほか、下腹部の膨らみの過度のせり出しを防ぎ、更には、左右の大腿部上部の外観上好ましくない張り出しを押さえて、内股部の外観を美しく見せることができる補整パンツに関する。
【0002】
ここに、本発明に係る補整パンツは、脚筒部を有しないショーツ型のパンツのほか、脚筒部を有するものであってもその長短を問わず、股部を有する衣料全般に適用されるものであり、更に具体的には、ショーツ、ガードル、ボディスーツ等を広く適用対象とするものである。
【背景技術】
【0003】
胴部から臀部を経て大腿部の上部に亘る部分の体形を美しく整えるための体形補整機能を有するパンツは、従来から種々のものが提案され実用化されている。
【0004】
従来のこのような体形補整機能を有するパンツの多くは、主として緯編、あるいは経編のニット製であり、パンツ主体部が全体的に適度の伸縮性を有するものとなされている。そしてその上で、良好な体形補整機能を付与するために、大きく分けて次の2つの手法が選択的に採用されているのが普通である。
【0005】
その1つは、伸縮性のパンツ本体の前後身頃中の伸縮を抑制したい部分、たとえば下腹部とか臀部の膨らみの下方部分に、伸びがないかまたは伸びが少ない別の布帛を当て布として、あるいは裏打ち布としてパンツ本体に当てがって縫着するという手段である。例えば、ヒップアップ機能を付与するためには、パンツ本体のヒップの膨らみの対応部分に、非伸縮または低伸縮性の当て布または裏打ち布を縫着して取付け、これによって当該部位の伸びを押さえて、ヒップの膨らみが垂れ下がるのを防止するという所謂当て布手法によるものである。このような手法の例は、下記の特許文献1,2に見ることができる。
【0006】
また、2つ目は、パンツ本体の編成の段階で、生地の伸縮性、緊締力等の性質を異にした編地部分を混成編成し、それら各部を必要箇所に適切に配分するようにした所謂混編手法である。この混編手法によるものとしては、特許文献3〜6のような例を見ることができる。
【特許文献1】特開平9−241902号公報
【特許文献2】特開平10−212606号公報
【特許文献3】特開2005−15925号公報
【特許文献4】特開2002−327303号公報
【特許文献5】特開2002−275702号公報
【特許文献6】特開2003−138402号公報
【0007】
しかしながら、前者の当て布手法によるときは、当て布等の縫着部位において生地が2重あるいは3重になって部分的に厚さが変化することに加えて、当て布の周縁とパンツ本体を構成している布地との間の境界線部分で急激に伸縮性の差異を生じることで、必ずしも良好な体形補整機能を実現し難いのみならず、スキニータイプのジーンズのような身体に密着状にフィットするアウターウェアを着用したような場合に、身頃の縫着ラインや当て布の縫着ラインが外部に反映され易いというような難点があった。更には、当て布等の適正な形状と配置の設計が難かしい上に、縫製に多くの手間と時間を要し、結果的にコスト高につくこと、更にはまた、非伸縮または低伸縮部分が身体に拘束感をえて、必ずしも着用感に優れたものとは言えないというような難点もあった。
【0008】
一方、伸縮性や緊締力の異なる複数の異種の編地部分を適正配置に混成編成したものとする前記後者の手法による製品は、量産性に優れて、履き心地も比較的良好なものとなしうる等、当て布型のものに較べると多くの利点を有するところであるが、しかしながら、従来提案に係る当該製品は、伸縮性の大小と緊締力の強弱、あるいは通気性の大小等の性質を異にする各編地部分の相対的な配置設計の点で、必ずしも適正なものではなく理想的な体形補正効果を実現しうるものではなかった。加えてまた、着用しにくいとか、強すぎる緊締力やその不適正な配置によって、着用時に締め付けによる窮屈感が強く、長時間の着用に不向きであるというような難点を有するものであることが多かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来技術背景下において、経編地を用いた体形補整パンツであって、ヒップアップ機能を含めて優れた体形補整機能を有し、しかも生産性に優れて比較的廉価に製作提供しうるのはもとより、比較的薄くて、軽く、脱着が容易で、身体にフィットし易く、着用時に過度の締め付けによる拘束感、窮屈感を与えることがなく、長時間の着用に適し、着用者の運動を阻害しないなどの多くの利点を享受しうる特有構成の経編補整パンツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題に対し、下記の手段を提供する。
【0011】
[1]周方向に前身頃と後身頃とが連続した筒状編地に編成された、弾性糸を含む伸縮性経編地からなり、
後身頃のうち、ヒップの膨らみの頂部より上方の領域部分を覆う略半円形のヒップ上部被覆部分を除いて、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い強緊締力編地部分で構成される一方、
前記ヒップ上部被覆部分が、その下部領域に設定された下方に凸の三日月形状の中継部と、その上方領域に設定された半月形の膨出許容部とに区画され、
前記半月形の膨出許容部が、高伸縮性で、かつ緊締力の弱い弱緊締力編地部分で構成され、
前記中継部が、前記後身頃主体部の編地部分と膨出許容部の編地部分との中間程度の伸縮性と緊締力をもった中緊締力編地部分で構成されてなることを特徴とする、
体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0012】
[2] 前記中継部が、更に上部の第1中継部と下部の第2中継部とに区画され、
下部の第2中継部の方が上部の第1中継部より相対的に低伸縮性で、かつ緊締力の強い編地部分で構成されている前項[1]に記載の体形機能性に優れた経編補整パンツ。
【0013】
[3]前身頃のうち、下腹部前面領域を覆う下腹部中央被覆部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い、強緊締力編地部分で構成され、
残りの下腹部側面領域を覆う体側被覆部が、伸縮性及び緊締力のいずれも中程度である中緊締力編地部分で構成されていることを特徴とする、前項[1]または[2]に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0014】
[4]左右の両脚筒部を有し、
該両脚筒部の腿部内側領域をカバーする内腿被覆部と、該内腿被覆部の上端部から後身頃側を斜め上方に帯状に延びて腿部後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部とが、やや低伸縮性で、かつ緊締力のやや強い中強緊締力編地部分で構成され、
更に、上記内腿被覆部及び後腿上部被覆部とを除く、残りの腿部外側領域をカバーする外腿被覆部が、高伸縮性で、かつ緊締力の弱い弱緊締力編地部分で構成されていることを特徴とする、前項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0015】
[5]前記外腿被覆部が、メッシュ編地からなる前項[4]に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0016】
[6]前記弾性糸が、ポリウレタン繊維を含むカバード糸またはコアスパン糸からなる前項[1]〜[5]のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0017】
[7]ダブルラッセル編機により、周方向に前身頃と後身頃とが連続した筒状編地に編成された、ポリウレタン弾性糸を含むツーウェイストレッチ性伸縮性経編地からなり、
該編地は、伸縮性において下記の式1に示す相対関係を有し、かつ緊締力において下記の式2に示す相対関係を有する、相互に性質の異ったA,B,C,D,Eの5種類の編地部分が混編されたものであり、
式1:伸縮性・・・E > A > D > C > B
(高)(やや高)(中)(やや低)(低)
式2:緊締力・・・B > C > D > A > E
(強) (中強)(中) (中弱)(弱)
後身頃のうち、ヒップの膨らみの頂部より上方の領域部分を覆う略半円形のヒップ上部被覆部分を除いて、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部が、前記B編地部分で構成される一方、
前記ヒップ上部被覆部分が、その下部領域に設定された下方に凸の三日月形状の中継部と、その上方領域に設定された半月形の膨出許容部とに区画され、
前記半月形の膨出許容部が、前記E編地部分で構成され、
前記中継部が、前記後身頃主体部の編地部分と膨出許容部の編地部分との中間程度の伸縮性と緊締力をもった前記A、C、およびDのいずれか1種以上の編地部分で構成されてなることを特徴とする、体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0018】
[8]前記A,B,C,D,Eの5種類の編地部分は、通気性において下記式3に示す相対関係を有する、前項[7]に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
式3:通気性・・・E > D > A > C > B
(大)(やや大)(中)(やや小)(小)
【0019】
[9]前記中継部が、更に上部の第1中継部と下部の第2中継部とに区画され、
下部の第2中継部が前記C編地部分により、上部の第1中継部が前記A編地部分で構成されている前項[7]または[8]に記載の体形機能性に優れた経編補整パンツ。
【0020】
[10]前身頃のうち、下腹部前面領域を覆う下腹部中央被覆部が、前記B編地部分で構成され、
残りの下腹部側面領域を覆う体側部被覆部が、前記D編地部分で構成されていることを特徴とする、前項[7]〜[9]のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【0021】
[11]左右の両脚筒部を有し、
該両脚筒部の腿部内側領域をカバーする内腿被覆部と、該内腿被覆部の上端部から後身頃側を斜め上方に帯状に延びて腿部後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部とが、前記C編地部分で構成され、
更に、上記内腿被覆部及び後腿上部被覆部とを除く、残りの腿部外側領域をカバーする外腿被覆部が、前記E編地部分で構成されていることを特徴とする、前項[7]〜[10]のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【発明の効果】
【0022】
前記[1]項の構成に係る経編補整パンツは、周方向に前身頃と後身頃とが連続した筒状編地に編成された伸縮性経編地からなるものであることにより、少なくとも身頃部分の仕立てを無縫製で完成させることができ、最終的な仕上げ処理のためにウエスト部、両脚筒部の裾部及び股間部等を必要に応じて縫製仕上げするだけで製品とすることができるので、生産性に優れ、安価に製作提供できる。また、伸縮規制のための当て布や裏打ち布を縫着しないので、比較的薄くて軽いものとなすことができ、ひいては身体にフィットし易く、着脱も比較的容易に行いうるものとなしうる。
【0023】
上記に加え、この発明に係る補整パンツの特に特徴的な作用効果は次のとおりである。
【0024】
即ち、後身頃のうち、ヒップの膨らみの、頂部より上方の領域部分を覆う半円形のヒップ上部被覆部分を除いて、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い強緊締力編地部分で構成されたものとなされている。即ち、パンツ胴部の後身頃におけるヒップの膨らみの頂部より下方の部分を含めて、その両側部分の対応領域が、低伸縮・強緊締力編地部分で構成されている。このため、この強緊締力編地部分が、着用者のヒップを下方ならびに脇側から上向き押し上げる。
【0025】
一方、ヒップの頂部より上方の略半円形のヒップ上部被覆部分は、これが更に、その下部領域の、下方に凸の三日月形状の中継部と、その上方領域の、半月形の膨出許容部とに区画され、この後者の膨出許容部が、高伸縮性でかつ緊締力の弱い弱緊締力編地部分で構成されたものとなされている。そして、前記のヒップ下部の強緊締力編地部分と上記膨出許容部との間に位置する移行部分としての中継部が、ヒップの膨らみの曲線に沿った三日月形状で、しかも中間程度の伸縮性と緊締力をもった中緊締力編地部分で構成されている。
【0026】
このため、前記の強緊締力編地部分によって下方ならびに脇側から押し上げられたヒップの移動肉部分は、その中継部の領域で僅かに外方に徐々に膨出をはじめつつ、膨出許容部に至ってはじめて大きく外方に膨出する。即ち中継部が存在しなければ、強緊締力編地部分と弱緊締力編地部分との間で、ヒップの外面が段差をなすおそれがあるのに対し、中継部の存在によってヒップの上部の張り出しがなめらかなカーブを描くことになり、恰も膨出許容部近傍にヒップトップが存在するかのような若々しいヒップ体形に補整される。従って、着用者のヒップ部は、側面から見たときにきれいなカーブを描く態様に補整されることとなり、極めて優れたヒップアップ効果を達成しうる。
【0027】
更にはまた、ヒップ上部被覆部が略半円形のものとなされていることにより、左右のヒップの膨らみの間に、臀裂部(谷部)を明確に表すことができ、上記ヒップアップ効果と相俟って、美しいヒップラインを表現しうる。
【0028】
また、前記[2]項に特定されるように前記中継部が更に上下に2つの第1中継部と第2中継部とに区画され、それらの伸縮性、及び緊締力が順次段階的に変化されたものとなされるときは、ヒップの膨らみの頂部がその上方の膨出許容部に至る間での、ヒップラインのカーブを一層なめらかなものとすることができる。
【0029】
また前記[3]項に記載のように、前記の補整パンツにおいて、その前身頃のうち、下腹部前面領域を覆う下腹部中央被覆部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い、強緊締力編地部分で構成され、残りの下腹部側面領域を覆う体側部被覆部が、伸縮性及び緊締力のいずれも中程度である中緊締力編地部分で構成されたものとなされるときは、前記のヒップアップ機能に加えて、下腹部の膨出を押さえてすっきり見せる効果をも併せ有するものとなしうる。
【0030】
また、前記[4]項に記載のように、左右の両脚筒部を有し、該両脚筒部の腿部内側領域をカバーする内腿被覆部と、該内腿被覆部の上端部から後身頃側を斜め上方に帯状に延びて腿部後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部とが、やや低伸縮性で、かつ緊締力のやや強い中強緊締力編地部分で構成され、更に、上記内腿被覆部及び後腿上部被覆部を除く、残りの腿部外側領域をカバーする外腿被覆部が、高伸縮性で、かつ緊縮力の弱い弱緊締力編地部分で構成されたものとするときは、内腿被覆部が大腿部内側の膨らみを押さえるのと同時に、後腿上部被覆部が、ヒップの膨らみの下方に隣接する大腿部の後面上部の膨らみを押さえる。このため、内股部分に直線的な隙間ができ、スッキリとした外観を与えることができる。加えて、後腿上部被覆部により、大腿部の後面上部の張り出しが防止されるので、ヒップの膨らみと、その下方の大腿部との境界部に明確なめりはりを与えて、ヒップの膨らみが大腿部後面と区別なく連続してしまうのを防止しうる。従って、ヒップの膨らみが、大腿部との間で明確な境界を示して強調されることになり、愈々美しいヒップラインを表現しうると共に、内股部分の外観をすっきりした体形に補整することができる。
【0031】
また、胴部とこれに連続する両脚筒部を有する本発明に係る補整パンツにあっては、その身頃の上下方向のいずれの高さ位置の部分にあっても、緊締力の比較的強い編地部分と共存して、周方向のいずれかの部分に、比較的伸縮性に富んだ高伸縮部分が存在する。
【0032】
このため、着用しやすく、しかも体形補正効果に優れるわりには着用中において窮屈感、拘束感が少なく長時間の着用にも好適し、かつ着用者の運動を阻害することもなく、むしろサポータ効果を発揮して、着用時の身体の動きを軽快なものとする効果を奏する。
【0033】
また、前記[5]項に記載のように、外腿被覆部がメッシュ編地で構成されたものとなされることにより、大腿部の外側領域で通気性が良好なものとなり、他の部分で通気性が確保されるより一段と着用感に優れたものとなしうる。
【0034】
また、前記[6]項に記載のように、弾性糸にポリウレタン繊維(一般的呼称:「スパンデックス」)を含むカバード糸あるいはコアスパン糸を用いることにより、入手の容易性に加えて、弾力性、耐久性、風合等に優れたものとなしうる。
【0035】
更にまた、前記[7]〜[11]項に記載の発明にあっては、パンツ主体を構成する身頃の経編地が、伸縮性及び緊締力、あるいは更に通気性を式1〜2,あるいは更に式3に示すように相互に異にしたA,B,C,D,Eの5種類の編地部分を含んで混編されたものとなされ、それぞれの編地部分が特定部位に適正配置されたものとなされていることにより、前記[1]〜[4]項の各発明と同様の効果を、一層確実かつ良好に達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に、この発明の好ましい実施形態について説明する。
【0037】
図1及び図2は、本発明に係る補整パンツを、実際に着用したときの外観状態において示す前面側斜視図と後面側斜視図であり、図3〜5は、同じく着用時における展伸状態を想定して、身頃を構成している編地中の種類の異なる各編地部分の配置態様を分かり易く示した側面図、正面図及び背面図である。
【0038】
これらの図において、補整パンツ(1)は、縦横にかなり引き伸ばされた状態で示されているが、着用していない状態では、全体が緊縮状態にあって、胴部(2)の直径において概ね10〜20cm、脚筒部(3)を含む全長において概ね30〜40cm程度の大きさを有するものである。
【0039】
補整パンツ(1)は、ダブルラッセル編機により、図4に示す前身頃部分と図5に示す後身頃部分とが周方向に連続した、周方向に無縫製の筒状経編地で仕立てられたものである。
【0040】
また、この経編地は、全体として、ポリウレタン繊維を含む弾性糸を編込んでウェール方向(縦方向)及びコース方向(横方向)のいずれも伸縮性を有する2ウェイストレッチ性経編地に編成されたものであるが、伸縮性及び緊締力において相互に異なった次の5種類の編地部分A,B,C,D,およびEを有し、これらの各編地部分が所定配置に分布されたものとなされている。
【0041】
A: 図8に示す編成組織を有する薄地である。タテ及びヨコのいずれにもかなり良く 伸びる(伸縮性;やや高)が、緊締力は弱く(緊締力;弱)、通気性は中間程度で ある。
【0042】
B: 図9に示す編成組織を有する厚地である。タテ及びヨコのいずれにもあまり伸び ない(伸縮性;低)が、緊縮力が最も強く(緊締力;大)、通気性は悪い(通気性 ;小)。
【0043】
C: 図10に示す編成組織を有する上記厚地(A)と薄地(B)の複合メッシュ地で ある。タテ及びヨコのいずれにも多少伸びる(伸縮性;やや小)が、緊縮力は前記 Bの編地部分について強く(緊縮力:中強)、通気性はかなり悪い(通気性:やや 小)。
【0044】
D: 図11に示す編成組織を有する前記厚地(A)と薄地(B)の複合組織のタテ縞 地である。タテには通常に伸びるがヨコにはやや伸びにくい(全体としての伸縮性 :中)。また緊締力においても中程度(緊締力;中)であり、通気性はかなり良い (通気性;やや大)。
【0045】
E:図12に示す編成組織を有する前記厚地(A)と穴地組織の複合による粗いメッシ ュ地である。タテ及びヨコのいずれにも良く伸びる(伸縮性;高)が、緊締力は最 も弱い(緊締力;弱)、粗いメッシュ地であることから、通気性に極めて良好(通 気性;大)である。
【0046】
図8〜12の編地組織図において、(11)は経編地の鎖編列(W)を含む地編みを形成する非弾性糸であり、(12)(13)は各編地部分に所要の伸縮性と緊締力を付与するために、地編み組織の隣接する1ないし複数ウェール(W)間にまたがる振り糸として編み込まれた弾性糸である。
【0047】
上記地編み用の非弾性糸(11)としては、一般に33〜310dtex程度の天然または化学繊維糸が用いられ、特にナイロン糸が好適に用いられる。また、弾性糸(12)(13)には、一般的に40〜340dtex程度の通称スパンデックス糸と称されるポリウレタン繊維のカバード糸またはコアスパン糸が用いられる。
【0048】
なお、図8〜12に示した各編地部分A〜Eの組織は、本発明において何ら限定されるものではなく、あくまでも好ましい1つの例として示されたものである。
【0049】
また、本発明において、各編地部分A〜Eの伸縮性の大小、緊締力の強弱、通気性の大小等の物性は、いずれも個々の絶対値として限定される性質のものではなく、相互間の相対的な関係として意味を有し、この相対的な関係こそが本発明において技術的に重要な意味をなすものである。何故なら、補整パンツを着用する使用者の年齢、固有の体型、筋力等の要因によって、好適な伸縮性、緊締力等が変化するからである。
【0050】
尚、上記伸縮性は、編地の伸びの良さ、即ちストレッチ性の指標であり、周方向の少なくとも一部にストレッチ性の良い編地が存在することで、履き易さを向上し、着用時における締め付け感、窮屈感を軽減する。
【0051】
また、緊締力は、「緊迫力」、「緊縛力」あるいは「生地のもどり強さ」と表現されることもある、生地の弾性復元力の強さであり、所定荷重時の伸長率の大小で確認することができる指標である。即ち、緊締力の強い生地は伸長率が小さく、弱い生地は伸長率が大きい。
【0052】
本発明の補整パンツ(1)の身頃(2)(3)の経編地中に混編される前記A〜Eの各編地部分の、相対的な伸縮性の大小、緊締力の強弱、及び通気性の大小は、下記の式1〜3に示す関係にある。
式1:伸縮性・・・E > A > D > C > B
(高)(やや高)(中)(やや低)(低)
式2:緊締力・・・B > C > D > A > E
(強) (中強)(中) (中弱)(弱)
式3:通気性・・・E > D > A > C > B
(大)(やや大)(中)(やや小)(小)
【0053】
ところで、本発明に係る補整パンツ(1)は、前述のように、前身頃と後身頃とが周方向において連続編成された筒状経編地からなるものであり、前後の各身頃内における前記A〜Eの、相互に物性を異にした編地の配置態様を、図3〜7に分かり易く展開した状態で示している。
【0054】
先ず、胴部(2)の前身頃は、図3、図4及び図6に示すように着用者の下腹部の前面領域を覆う下腹部被覆部(21)と、その左右の下腹部側面領域を覆う体側部被覆部(22)(22)とを有し、前者の下腹部被覆部(21)が、最も低伸縮性でかつ緊締力の強い前記B編地部分で構成される一方、後者の体側部被覆部(22)(22)が伸縮性及び緊締力ともに中程度である前記D編地部分で構成されている。また、上記下腹部被覆部(21)の上端に続く横長帯状の前部ウエスト部(23)は、伸縮性がやや高く、緊締力が中強である前記C編地部分で構成されている。
【0055】
前身頃の各部における前記編地部分の配置により、着用した場合、下腹部被覆部(21)によるB編地部分の強い緊締力によって下腹部分が押さえられ、前方への膨出が阻止される。一方、この下腹部の押さえ込みによって生じ易い締め付け感は、その両側部に存在する体側被覆部(22)(22)に中程度の伸縮性と緊締力を示すD編地部分が採用されていることにより、不快感のない程度に緩和される。
【0056】
一方、胴部(2)の後身頃は、図3,図5及び図7に示すように、ヒップの膨らみの頂部より上方の領域部分を覆う左右2つの略半円形ないし下辺が拡開U字形の上部被覆部分(25)(25)と、該ヒップ上部被覆部分(25)を除く、臀部後面の略全領域をカバーする後身頃主体部(24)とに区画されている。そしてまた、上記ヒップ上部被覆部分(25)は、その上方領域部分をカバーする半月形の膨出許容部(25a)と、その下方領域を占めるいずれも三日月形の上部の第1中継部(25b)と下部の第2中継部(25c)とに区画されている。
【0057】
そして、上記後身頃主体部(24)には、最も低伸縮性でかつ緊締力の強い前記B編地部分が適用され、膨出許容部(25a)には、最も高伸縮性でかつ緊締力の弱いメッシュ地による前記E編地部分が適用されている。そして更に、上記両部間の緊締力の差を段階的に移行させるべく、下部の第2中継部(25c)の方が上部の第1中継部(25b)より相対的に低伸縮性でかつ緊締力の強い編地部分で構成されている。更に具体的には、第1中継部(25b)は、前記A編地部分で構成され、第2中継部(25c)は、前記C編地部分で構成されている。
【0058】
胴部(2)の後身頃における上記各編地部分の配置によって、下記のような特に優れたヒップアップ効果を実現する。
【0059】
即ち、後身頃主体部(24)に適用されたB編地部分の強い緊締力によって、着用者のヒップが下方ならびに両脇側から上方に押し上げられる。そして、この押し上げられた、ヒップ肉部分は、ヒップ上部被覆部分(25)の、下から順次段階的に緊締力の弱いC及びAの編地部分が適用された第2中継部(25c)及び第1中継部(25b)を経て、徐々に外方(後方)への膨らみを増しながら、上部の最も伸縮性が良く緊締力の弱いE編地部分からなる膨出許容部(25a)で外方に大きく膨出し、結果的にヒップトップを着用者の本来の体形より上方に移動して、腰からヒップにかけての側面視のヒップラインを美しいカーブに表出する。
【0060】
加えて、左右のヒップ上部被覆部(25)(25)が略半円形のものとなされ、それらの間の臀裂部相当の位置に、緊締力の強いB編地部分が存在する。このため、ヒップの左右の膨らみの間に、低伸縮性編地部分が上下方向に帯状に存在してこの部分の伸びが抑制され、結果的に谷筋状の臀裂部を明確にあらわし、左右のヒップの膨らみを強調して、後面視に平らなのっぺりしたヒップ外観が露呈する欠点を解消する。
【0061】
尚、図中(26)は、後身頃上端の後身頃ウエスト部であり、やや低伸縮性でかつ中強程度の緊締力を有するC編地部分が適用されている。
【0062】
次に、胴部(2)の下方に連続する左右両脚筒部(3)(3)は、図4〜図7に示すように、前身頃と後身頃との両者にまたがって、腿部の内側領域をカバーする内腿被覆部(31)(31)と、図5及び図7に示すように該内腿被覆部(31)(31)の上端後面側から後身頃内を斜め上方に向って帯状に延びて腿部の後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部(32)(32)と、図3〜図7に示すように、上記内腿被覆部(31)及び後腿上部被覆部(32)を除く残りの腿部外面領域の全域をカバーする外腿被覆部(33)(33)とに区画されている。
【0063】
そして、上記内腿被覆部(31)(31)とこれに連続する腿部後面上部被覆部(32)(32)は、やや低伸縮性で中強程度の緊締力を有する前記C編地部分が適用され、残りの外腿被覆部(33)は最も高伸縮性で、かつ緊締力も最も弱いメッシュ編地による前記E編地部分が適用されている。
【0064】
脚筒部(3)(3)における上記のような各編地部分の配置構成により、着用者の内腿部分の外観を美しく見せる効果を実現する。
【0065】
即ち、緊締力のやや強いC編地部分による内腿被覆部(31)(31)及びこれの上端から斜め後方に連続する後腿上部被覆部(32)(32)とが、内腿上部を内側から外側に向かって押さえつけて、内股部分にぜい肉のたるみが表われるのを防止し、正背面視における内股部分を直線的にすっきりと表現するのに加えて、ヒップの下方の大腿部後面を上記後腿上部被覆部(32)(32)が、左右側方の方向に吊り上げ気味に押さえ付けるため、ヒップの膨らみの下方に後腿部が膨出して表われるのを防止する。このため、ヒップの膨らみが、その下端においてシャープに表われ、大腿部との境界を明確に表現して側面視におけるヒップラインを愈々美しいものとする効果を奏する。
【0066】
そして又、外腿被覆部(33)(33)が、メッシュ編地による、高伸縮性かつ弱緊締力のE編地部分で構成されている結果、上記のように内腿部分に締め付け力が作用するものでありながら、外腿被覆部分の高伸縮性、弱緊締力によって大腿部に外側への膨出気味の張りが与えられ、ひいては大腿部に女性体形を強調した美しい外観が与えられる。
【0067】
尚、図中(34)は、脚筒部(3)(3)の下端の裾口部であり、やや高伸縮性かつ中弱程度の緊縮力のA編地部分が適用されている。
【0068】
本発明に係る補整パンツは、ダブルラッセル編機によって、多数個の身頃部分が筒状経編地として連続状に編成されたのち、1個ごとの単位で切断され、要すれば、ウエスト部及び裾口部を折返し状に縫着して、破綻防止する一方、内股部分を前後両身頃間で強化縫合して、製品に仕上げられるものである。
【0069】
この発明に係る補整パンツは、上述のように、ヒップ部を美しいシルエットに補整する効果に優れる一方、腹部と脇、腿部まわりにもきれいな立体的シルエットを表現し得る効果に優れるものである。加えて、身頃の上下方向のいずれの部分にあっても周方向の一部に必ず比較的高伸縮性で弱緊締力の編地部分が存在するため、着用し易く、着用した場合の窮屈感、締め付け感が少なく、長時間の着用に適する。更には、比較的薄くて、軽く、生産性にも優れていて安価に製作提供できるなどの多くの利点を有するものである。
【0070】
以上によって図示説明したこの発明に係る補整パンツは、図示実施形態のものに限定されるものではなく、特許請求の範囲に特定した事項を充足するかぎりにおいて他の種々の設計的な変更が許容されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明に係る補整パンツの着用状態における外観を示す前面側斜視図である。
【図2】同じく後面側の斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る補整パンツを、着用状態を想定した展開状態で示した側面図である。
【図4】同じく正面図である。
【図5】同じく後面図である。
【図6】前身頃の展開正面図である。
【図7】後身頃の展開正面図である。
【図8】中弱緊締力のA編地部分の組織図である。
【図9】強緊締力のB編地部分の組織図である。
【図10】中強緊締力のC編地部分の組織図である。
【図11】中緊締力のD編地部分の組織図である。
【図12】弱緊締力のE編地部分の組織図である。
【符号の説明】
【0072】
1・・・補整パンツ
2・・・胴部
3・・・脚筒部
21・・下腹部被覆部
22・・体側部被覆部
24・・後身頃主体部
25・・ヒップ上部被覆部
25a・膨出許容部
25b・第1中継部
25c・第2中継部
31・・内腿被覆部
32・・腿部後面上部被覆部
33・・外腿被覆部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に前身頃と後身頃とが連続した筒状編地に編成された、弾性糸を含む伸縮性経編地からなり、
後身頃のうち、ヒップの膨らみの頂部より上方の領域部分を覆う略半円形のヒップ上部被覆部分を除いて、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い強緊締力編地部分で構成される一方、
前記ヒップ上部被覆部分が、その下部領域に設定された下方に凸の三日月形状の中継部と、その上方領域に設定された半月形の膨出許容部とに区画され、
前記半月形の膨出許容部が、高伸縮性で、かつ緊締力の弱い弱緊締力編地部分で構成され、
前記中継部が、前記後身頃主体部の編地部分と膨出許容部の編地部分との中間程度の伸縮性と緊締力をもった中緊締力編地部分で構成されてなることを特徴とする、
体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項2】
前記中継部が、更に上部の第1中継部と下部の第2中継部とに区画され、
下部の第2中継部の方が上部の第1中継部より相対的に低伸縮性で、かつ緊締力の強い編地部分で構成されている請求項1に記載の体形機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項3】
前身頃のうち、下腹部前面領域を覆う下腹部中央被覆部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い、強緊締力編地部分で構成され、
残りの下腹部側面領域を覆う体側被覆部が、伸縮性及び緊締力のいずれも中程度である中緊締力編地部分で構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項4】
左右の両脚筒部を有し、
該両脚筒部の腿部内側領域をカバーする内腿被覆部と、該内腿被覆部の上端部から後身頃側を斜め上方に帯状に延びて腿部後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部とが、やや低伸縮性で、かつ緊締力のやや強い中強緊締力編地部分で構成され、
更に、上記内腿被覆部及び後腿上部被覆部とを除く、残りの腿部外側領域をカバーする外腿被覆部が、高伸縮性で、かつ緊締力の弱い弱緊締力編地部分で構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項5】
前記外腿被覆部が、メッシュ編地からなる請求項4に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項6】
前記弾性糸が、ポリウレタン繊維を含むカバード糸またはコアスパン糸からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項7】
ダブルラッセル編機により、周方向に前身頃と後身頃とが連続した筒状編地に編成された、ポリウレタン弾性糸を含むツーウェイストレッチ性伸縮性経編地からなり、
該編地は、伸縮性において下記の式1に示す相対関係を有し、かつ緊締力において下記の式2に示す相対関係を有する、相互に性質の異ったA,B,C,D,Eの5種類の編地部分が混編されたものであり、
式1:伸縮性・・・E > A > D > C > B
(高)(やや高)(中)(やや低)(低)
式2:緊締力・・・B > C > D > A > E
(強) (中強)(中) (中弱)(弱)
後身頃のうち、ヒップの膨らみの頂部より上方の領域部分を覆う略半円形のヒップ上部被覆部分を除いて、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部が、前記B編地部分で構成される一方、
前記ヒップ上部被覆部分が、その下部領域に設定された下方に凸の三日月形状の中継部と、その上方領域に設定された半月形の膨出許容部とに区画され、
前記半月形の膨出許容部が、前記E編地部分で構成され、
前記中継部が、前記後身頃主体部の編地部分と膨出許容部の編地部分との中間程度の伸縮性と緊締力をもった前記A、C、およびDのいずれか1種以上の編地部分で構成されてなることを特徴とする、体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項8】
前記A,B,C,D,Eの5種類の編地部分は、通気性において下記式3に示す相対関係を有する、請求項7に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
式3:通気性・・・E > D > A > C > B
(大)(やや大)(中)(やや小)(小)
【請求項9】
前記中継部が、更に上部の第1中継部と下部の第2中継部とに区画され、
下部の第2中継部が前記C編地部分により、上部の第1中継部が前記A編地部分で構成されている請求項7または8に記載の体形機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項10】
前身頃のうち、下腹部前面領域を覆う下腹部中央被覆部が、前記B編地部分で構成され、
残りの下腹部側面領域を覆う体側部被覆部が、前記D編地部分で構成されていることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項11】
左右の両脚筒部を有し、
該両脚筒部の腿部内側領域をカバーする内腿被覆部と、該内腿被覆部の上端部から後身頃側を斜め上方に帯状に延びて腿部後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部とが、前記C編地部分で構成され、
更に、上記内腿被覆部及び後腿上部被覆部とを除く、残りの腿部外側領域をカバーする外腿被覆部が、前記E編地部分で構成されていることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項1】
周方向に前身頃と後身頃とが連続した筒状編地に編成された、弾性糸を含む伸縮性経編地からなり、
後身頃のうち、ヒップの膨らみの頂部より上方の領域部分を覆う略半円形のヒップ上部被覆部分を除いて、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い強緊締力編地部分で構成される一方、
前記ヒップ上部被覆部分が、その下部領域に設定された下方に凸の三日月形状の中継部と、その上方領域に設定された半月形の膨出許容部とに区画され、
前記半月形の膨出許容部が、高伸縮性で、かつ緊締力の弱い弱緊締力編地部分で構成され、
前記中継部が、前記後身頃主体部の編地部分と膨出許容部の編地部分との中間程度の伸縮性と緊締力をもった中緊締力編地部分で構成されてなることを特徴とする、
体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項2】
前記中継部が、更に上部の第1中継部と下部の第2中継部とに区画され、
下部の第2中継部の方が上部の第1中継部より相対的に低伸縮性で、かつ緊締力の強い編地部分で構成されている請求項1に記載の体形機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項3】
前身頃のうち、下腹部前面領域を覆う下腹部中央被覆部が、低伸縮性で、かつ緊締力の強い、強緊締力編地部分で構成され、
残りの下腹部側面領域を覆う体側被覆部が、伸縮性及び緊締力のいずれも中程度である中緊締力編地部分で構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項4】
左右の両脚筒部を有し、
該両脚筒部の腿部内側領域をカバーする内腿被覆部と、該内腿被覆部の上端部から後身頃側を斜め上方に帯状に延びて腿部後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部とが、やや低伸縮性で、かつ緊締力のやや強い中強緊締力編地部分で構成され、
更に、上記内腿被覆部及び後腿上部被覆部とを除く、残りの腿部外側領域をカバーする外腿被覆部が、高伸縮性で、かつ緊締力の弱い弱緊締力編地部分で構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項5】
前記外腿被覆部が、メッシュ編地からなる請求項4に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項6】
前記弾性糸が、ポリウレタン繊維を含むカバード糸またはコアスパン糸からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項7】
ダブルラッセル編機により、周方向に前身頃と後身頃とが連続した筒状編地に編成された、ポリウレタン弾性糸を含むツーウェイストレッチ性伸縮性経編地からなり、
該編地は、伸縮性において下記の式1に示す相対関係を有し、かつ緊締力において下記の式2に示す相対関係を有する、相互に性質の異ったA,B,C,D,Eの5種類の編地部分が混編されたものであり、
式1:伸縮性・・・E > A > D > C > B
(高)(やや高)(中)(やや低)(低)
式2:緊締力・・・B > C > D > A > E
(強) (中強)(中) (中弱)(弱)
後身頃のうち、ヒップの膨らみの頂部より上方の領域部分を覆う略半円形のヒップ上部被覆部分を除いて、その他の臀部後面領域をカバーする後身頃主体部が、前記B編地部分で構成される一方、
前記ヒップ上部被覆部分が、その下部領域に設定された下方に凸の三日月形状の中継部と、その上方領域に設定された半月形の膨出許容部とに区画され、
前記半月形の膨出許容部が、前記E編地部分で構成され、
前記中継部が、前記後身頃主体部の編地部分と膨出許容部の編地部分との中間程度の伸縮性と緊締力をもった前記A、C、およびDのいずれか1種以上の編地部分で構成されてなることを特徴とする、体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項8】
前記A,B,C,D,Eの5種類の編地部分は、通気性において下記式3に示す相対関係を有する、請求項7に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
式3:通気性・・・E > D > A > C > B
(大)(やや大)(中)(やや小)(小)
【請求項9】
前記中継部が、更に上部の第1中継部と下部の第2中継部とに区画され、
下部の第2中継部が前記C編地部分により、上部の第1中継部が前記A編地部分で構成されている請求項7または8に記載の体形機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項10】
前身頃のうち、下腹部前面領域を覆う下腹部中央被覆部が、前記B編地部分で構成され、
残りの下腹部側面領域を覆う体側部被覆部が、前記D編地部分で構成されていることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【請求項11】
左右の両脚筒部を有し、
該両脚筒部の腿部内側領域をカバーする内腿被覆部と、該内腿被覆部の上端部から後身頃側を斜め上方に帯状に延びて腿部後面上部領域をカバーする後腿上部被覆部とが、前記C編地部分で構成され、
更に、上記内腿被覆部及び後腿上部被覆部とを除く、残りの腿部外側領域をカバーする外腿被覆部が、前記E編地部分で構成されていることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の体形補整機能性に優れた経編補整パンツ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−106382(P2008−106382A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288354(P2006−288354)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(591204953)ニッケン株式会社 (1)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【出願人】(506357309)フクイテキスタイル株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(591204953)ニッケン株式会社 (1)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【出願人】(506357309)フクイテキスタイル株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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