説明

体毛疾患用の新規な組成物およびその調製方法

少なくとも、好ましくはVernonia属植物種などの天然源に由来する活性物質を、単独でかまたは他の活性物質および場合によっては1種以上の添加剤と併せて含む体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための新規な組成物を提供する。体毛成長促進物質を抽出し、かつそのような活性物質を含有する組成物を調製する方法も開示する。この新規な組成物は、好ましくは錠剤、カプセル剤、溶液剤もしくは懸濁剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤または噴霧液剤といった経口または局所製剤の形態とされ、体毛疾病/疾患および/または他の関連疾患に対して、なかでもテストステロン誘発型アンドロゲン性脱毛症の管理において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための新規な組成物に係わり、この組成物は活性物質として、好ましくは天然源に由来する少なくとも1種の物質を含み、かつ少なくとも1種のキャリヤーおよび場合によっては1種以上の他の添加剤も含む。活性物質は好ましくはベルノニア(Vernonia)属植物種から抽出される。本発明は、体毛成長促進物質を抽出する方法、およびそのような活性物質を含む組成物の調製方法も開示する。本発明はまた、前記組成物の使用方法も提供する。新規な組成物は、錠剤またはカプセル剤といった経口製剤か、溶液剤もしくは懸濁剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤または噴霧液剤といった局所製剤の形態とする。この組成物は体毛疾患および/または他の関連疾患に対して、なかでもテストステロン誘発型アンドロゲン性脱毛症の管理において特に有用である。本発明の組成物は、医薬、化粧品、またはアーユルヴェーダ用製品として有用である。
【背景技術】
【0002】
薬用植物製品の医療への利用は、世界のほぼあらゆる文化において重要な役割を果たしてきた。薬用植物療法はアフリカ、アジア、ヨーロッパ、および南北アメリカで古くから行なわれている。近年薬用植物製品の使用が増加しているが、このことは、薬用植物は逆症療法薬物に優る利点を有し得るという考えと関連付けられ、ユーザーに医薬の選択は或る程度自分で管理できると感じさせる。特にインドではアーユルヴェーダが、ヒトの様々な病気を予防および/または治療するための取り組みについて独得の見識を示す長い伝統の一例を成す。薬用植物製品は逆症療法薬物に比べ安全である。
【0003】
ベルノニア アンセルミンティカ(Vernonia anthelmintica)はスリランカで栽培されている植物で、その名の示すとおり治療薬として評判が高い。スリランカではこの植物の、苦く、かつ催吐性である黒色の種子が50〜60グレーンの用量で駆虫薬として重宝され、通常回虫(Ascaris lumbricoides)の駆除に用いられており、また殺寄生虫薬としても用いられている。種子粉末の成人に対する用量は1/2ドラムから1ドラムである。現地の医師はこの薬物を通常強壮薬として、浸剤の形態で処方する。Vernonia anthelminticaのスリランカ名およびタミル語名は、それぞれsanne nayanおよびkado−seragamである。このVernonia属植物はインド中にみられる小型草本であり、その種子粉末は特に蜂蜜と混合して回虫の駆除に、また咳や消化不良に対して用いられる。一般にアイアンウィード(iron weed)とも呼ばれるこの草は西洋諸国でもありふれた植物であり、森林や草原に、また河川沿いに生え、花期は7〜9月である。利用部分である根は苦味を有し、その諸特性を水やアルコールに付与する。アイアンウィードは、苦味の有る強壮薬、開通薬、および変質薬である。散剤または煎剤の形態において、根は無月経、月経困難、帯下および月経過多に効く。間欠熱、弛張熱および胆汁熱には煎剤または飽和チンキ剤が推奨されている。腺病および幾つかの皮膚病に効いたとも言われている。煎剤の用量は普通1〜2フルイドオンスであり、チンキ剤の用量は1〜2フルイドドラムである。葉または粉末状の根はパップ剤の形態で腫瘍に、優れた消散薬として適用される。紫色の花を付けるベルノニア ノベボラセンス ウィルデナウ(Vernonia noveboracense, Willdenow)とその変種V.プラエアルタ(praealta)、およびV.トメントサ(tomentosa)その他など幾つかのVernonia属植物種はVernonia anthelminticaと同様の医薬特性を有する。西アフリカのV.ニグリティアナ オリベル(nigritiana, Oliver)の根はセネガンビア地方で、バティアティオール(batiatior)の名で下熱薬として用いられている。この根はグルコシドすなわちベルノニン(vernonin)を含有する(非特許文献1)。
【0004】
Vernonia属はキク(Asteraceae)科に属する。そのセスキテルペンラクトンは抗腫瘍活性を示し、またVernonia属の髄に由来する化学物質ベルノニオシド(vernoniosides)は、この植物の分布域内にきわめて普通に生息する薬剤耐性のマラリア原虫に対して有効であると判明した。Vernonia属はタンザニアの民間療法では何百年も用いられている。トングェ族(WaTongwe)は伝統的にVernonia属を胃痛および幾つかの寄生虫感染症に対して用いる。V.ラティフォリア(latifolia)は血餅の形成を引き起こすことによって出血を止めることが報告されている。その葉を上記地元部族民は、体力を向上させる強壮薬として、茹でてからスープおよびシチューに入れる。彼らはまたVernonia属を彼ら自身および彼らの家畜の寄生虫症その他の病気の治療に広く用いており、このことは、他の国々でも農業に適用している可能性を示唆する。地方によってはVernonia属を殺虫剤として用いるという記録も有る。
【0005】
ベルノニア アミグダリナ(Vernonia amygdalina)(VA)から得られた新規な水溶性葉抽出物がヒト乳癌細胞DNA合成に及ぼす作用を評価する試験が行なわれた。この試験では、好適モデルと考えられるMCF−7細胞系が用いられた。細胞を生理学的に適当な濃度の水溶性VA抽出物で処理するとDNA合成が、血清不在下でも存在下でも濃度に応じて強力に阻害された。この試験は、VAの水溶性葉抽出物が未精製時も画分の時も抗癌活性を有することを明示している。以前の研究では、VAのクロロホルム抽出物の精製画分がヒト上咽頭癌において抗癌効果をもたらすことが示された。研究は、乾燥したVAの葉をクロロホルムで抽出して画分AおよびBを得ることで開始された。10%水性メタノールと石油エーテルとの間でのAの精製により、水性メタノール画分Dが得られた。画分Dをケイ酸クロマトグラフィーで分画することによって、2種の細胞毒画分FおよびHが得られた。画分Hをさらにクロマトグラフィーに掛けるとベルノダリン(vernodaline)と呼ばれる無色の油が生成し、一方細胞毒画分Fを再度クロマトグラフィーに掛けると、類似した2種の結晶質化合物ベルノリド(vernolide)およびベルノミグディン(vernomygdine)が得られた。これら3種の精製画分はヒト上咽頭癌細胞において細胞毒効果をもたらし、そのIC50値はそれぞれ1.8、2.0、および1.5μg/mlであった。研究者は、3種の化合物の活性はこれらの化合物がその構造中にα−メチル−γ−ラクトン基を有することに依存すると結論づけた。また、Jisaka等は、vernodalineおよびvernolideが白血病細胞P−388およびL−1210において抗腫瘍効果をもたらし、その際IC50値は、vernodalineではそれぞれ0.11および0.17μg/mlであり、vernolideではそれぞれ0.13および0.11μg/mlであったことを示した。
【0006】
マハレ(Mahale)において、チンパンジーによって利用されていることが知られている個々の植物から採取したV.アミグダリナ(amygdalina)試料の植物化学分析によって、二つの主要な生物活性化合物群の存在が明らかになった。数種の既知のセスキテルペンラクトン、および13種の新規なスチグマスタン型ステロイドグルコシドとその遊離アグリコンが単離された(Ohigashi等、1991; Jisaka等、1992a、1992b、1993a、1993b)。V. amygdalina中に存在するセスキテルペンラクトンはV.コロラタ(colorata)および他の幾つかのVernonia属種中にも見いだされる。それらのセスキテルペンラクトンは駆虫、抗アメーバ、抗腫瘍および抗生特性を有することで良く知られている(ToubianaおよびGaudemer、1967; Kupchan等、1969; Asaka等、1977; Gasquet等、1985; Jisaka等、1992a、1993b)。葉の未精製エタノール抽出物は免疫抑制活性を示し、かつ腫瘍細胞成長の第1ステージを開始させるプロセスを阻害する(Koshimizu等、1993)。細胞毒性セスキテルペンラクトンは葉および樹皮に最も多量に存在することが判明した。このようにVernonia属植物は、その葉が胃痛および寄生虫感染症の治療に用いられると共に、殺虫剤、強壮薬、および血液凝固促進薬としても有用である(McGraw Hill、2000)。さらに、インドの伝統医療は古来、熱帯植物のVernonia anthelminticaの種子が抗炎症性であると同時に細胞毒性でもあることを報告している。
【0007】
脱毛症とは、以前は体毛が生えた身体の領域において体毛が生えなくなるか、または生える速度が鈍ることである。この症状は体毛自体または毛包の物理的損傷によって引き起こされ得るが、最も多い原因は体毛の自然成長周期の変化である。幾つかのタイプの脱毛症では化学的平衡失調またはストレスといった一時的状況によって成長周期が乱される。しかし、男性(男性型脱毛症)においても女性(女性拡散性脱毛症)においても、体毛喪失症例の大部分(95%)は遺伝性である。皮膚表面下に、毛包に包囲された毛根が存在する。毛包の基部に真皮乳頭(もしくは乳頭突起)が有る。この真皮乳頭に血流が栄養を運び、新しい体毛が生じる。真皮乳頭は体毛の成長にとってきわめて重要な構造であり、なぜなら雄性ホルモンおよびアンドロゲンの受容体を有するからである。アンドロゲンは体毛の成長を調節し、頭髪においては、アンドロゲンは毛包を次第に縮小させて脱毛症発症の一因となりかねない(Hoffmann, 2001)。
【0008】
体毛喪失の原因は様々である。体毛喪失には六つの主要なタイプ、すなわち円形脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、アナゲン脱毛(癌治療による体毛喪失)、自己誘発性体毛喪失、テロゲン脱毛、および瘢痕性脱毛症が有る。その他のタイプの脱毛症に、梅毒性脱毛症(通例、第二期梅毒の発現)、強皮症(皮膚の繊維化、すなわち硬化および緊張を引き起こす疾病で、毛包の正常な機能および体毛の成長を妨げる)、および頭部白癬(体毛のケラチンの消化により体毛喪失を引き起こす)が含まれる。円形脱毛症は体毛の自己免疫疾患と考えられ、始め頭皮が直径約1インチの丸い斑点状に剥き出しになる。円形脱毛症には男性も女性も等しく侵され、しばしば児童期に初めて罹患する。アンドロゲン性脱毛症は体毛喪失全体の95%を占める。アンドロゲン性脱毛症には男性および女性の両方が侵され得るが、男性の方がはるかに甚だしい喪失を被る。アンドロゲン性脱毛症を発症すると、特定領域内の大きく、かつ活性な毛包が小型化および低活性化し始め、そのような毛包は成長周期が新しくなる度に僅かずつ萎縮してゆく。テストステロン5α−レダクターゼはテストステロンを5α−DHTに変換する。5α−DHTは毛幹を細らせ、そのため成長周期が新しくなる度により細い体毛が生えるようになり、終には体毛が透き、生えなくなる。このように雄性ホルモン5α−DHTは、遺伝的素因を有する人々のアンドロゲン性脱毛症の一因となる。テストステロン5α−レダクターゼ欠損個体はアンドロゲン性脱毛症を発症しないことが興味深く指摘される。これは、その身体でテストステロンが5α−DHTに変換され得ないからである(Hoffman等、2000; Hibberts等、1998)。アナゲン脱毛は、或る種の化学療法または放射線治療の際に起こる体毛喪失のような、化学物質または放射線に起因する突然の体毛喪失である。この体毛喪失は普通、化学物質または放射線への曝露から1〜3週間後に突然生起する。意識的にであれ無意識にであれ、時に患者自らが体毛を損傷する場合も有る。自己誘発性体毛喪失の二大タイプは、抜毛癖(体毛を絶え間なく引っ張り、もしくは毟る)および牽引性脱毛症(普通、様々なヘアスタイリングのために頭髪を継続的かつ過剰に引っ張ることに起因する)である。テロゲン脱毛は、突然の、または激しいストレスが体毛の生え替わりを増加させる時に起こる(Brajac等、2003)。瘢痕性脱毛症は、感染が原因で毛包に炎症が起きた時に発症する。重篤な瘢痕性脱毛症は診断が容易であり、なぜなら小血管および結合組織から成る粗い斑点が頭皮表面に認められるからである。瘢痕性脱毛症は主として、円板状エリテマトーデス、扁平苔癬、ブロク(Brocq)の萎縮性脱毛症、先天性皮膚欠損、または先天性無毛症によって引き起こされる。
【0009】
脱毛症の治療には、5α−DHT阻害剤(抗アンドロゲン薬)、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)模倣体、血管拡張薬、PGHS−1(プロスタグランジンHシンターゼ−1)活性化物質、およびカリウムチャネル開口薬(PCO)など、幾つかの薬物が有効である。
【0010】
体毛喪失の主原因は、5α−DHTのアンドロゲン受容体への結合である。「5α−DHT阻害剤」という語は、5α−DHT産生を担うテストステロン5α−レダクターゼなどの酵素を阻害する物質や、5α−DHTに結合することにより該物質を不活性にすること、および/または5α−DHT受容体に結合することによって5α−DHTの活性を遮断または隠蔽する物質に対して用いられる。脱毛症の治療に用いられる5α−DHT阻害剤は、ノコギリパルメット抽出物、イラクサ根抽出物、アゼライン酸、およびイチョウ(Ginkgo biloba)である(Hiipakka等、2002; Kaufman、2002)。スーパーオキシドジスムターゼは、重要な生物学的媒介物質であるスーパーオキシドラジカルを破壊する酵素である。多くの系において、スーパーオキシドは別の遍在メッセンジャー物質である酸化窒素の作用に対抗する。酸化窒素は天然の体毛成長刺激因子である。SOD模倣体にはプラゾチド銅(prazotide copper)および銅結合ペプチドが含まれる。TEMPOL(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシル、もしくは4−ヒドロキシTEMPO)もSOD模倣体である。血管拡張薬は、毛包へ供給される血液の量を増すことによって作用する。局所用ミノキシジルは元来高血圧に用いられる薬物であったが、血管拡張薬であるため、今では最も広く推奨されるアンドロゲン性脱毛症治療薬となっている。最近の研究で、局所用ミノキシジルは、ミノキシジルの作用機序と考えられていた皮膚血流の増加を惹起しないことが判明した。実施された研究は、ミノキシジルが体毛の成長を促進するPGHS−1を活性化することによって作用することを示唆している(Messenger等、2004)。細胞内カリウムチャネルの開口は、体毛成長誘導物質のミノキシジルを含めた一群の降圧薬に共通の作用機序である。最近の研究はPCOも体毛の成長に影響を及ぼすことを示唆している。
【0011】
円形脱毛症の治療法は、コルチコステロイド(局所適用)、ジスラノール、レチンA(トレチノイン)、局所用ミノキシジル(Regaine、RogaineまたはHeadwayとして市販)および亜鉛の使用(Alabdulkareen等、1998; Meidan等、2001)や、コルチゾンの全身投与、PUVA療法、または刺激薬の使用を含む。アンドロゲン性脱毛症、特に男性型脱毛症の治療薬にはミノキシジル(最も広く用いられる)、プロペシア(フィナステリド)、レチンA(トレチノイン)、亜鉛、およびスキノレン/アゼライン酸が含まれ(Kaufman等、1999)、女性型脱毛症の治療薬にはダイアン35(エチニルエストラジオールを伴った酢酸シプロテロン)、シメチジン、酢酸シプロテロン、スピロノラクトン、ニゾラール/ケトコナゾールが含まれる。抜毛癖の治療はしばしばカウンセリングや精神療法を含むが、抗鬱薬が処方される場合も有る。牽引性脱毛症を治療するには通常ヘアスタイルを、頭髪および毛包に掛かる牽引力が減少するように変更しさえすればよい。出産、妊娠中絶、避妊薬利用の開始または中止、薬物療法、甚だしい感情的ストレス等に起因する体毛喪失であるテロゲン脱毛は普通一時的なものであり、大体において体毛は、通常抜け落ちるとすぐにまた生えてくる。瘢痕性脱毛症の治療は、トリアムシノロンアセトニドなどの局所用コルチコステロイド軟膏、ヒドロキシクロロキンなどの抗マラリア薬、ステロイドローション剤等の使用を含む。梅毒性脱毛症ではしばしばペニシリンが状態の治療に用いられる。白癬菌感染が原因の体毛喪失である頭部白癬では、白癬に対して通常用いられる治療法が行なわれ、抗真菌剤、例えばニゾラールシャンプー(ケトコナゾール2%)などが用いられる。
【0012】
脱毛症の治療に用いられる天然物には、アロエ(Aloe barbadensis)、ゴボウ(Arctium minus)、トウガラシ(Capsicum annuum L)、ショウガ(Zingiber officinale)、イチョウ(Ginkgo biloba)、緑茶(Camellia sinesis)、バラの実(Rosa canina)、ラベンダー(Lavendula officinale)、セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)、タマネギ(Allium cepa)、ピジウム(Pygeum africanum)、ラタンジョット(Arnebia属種)、赤唐辛子(Capiscum annum)、ローズマリー(Rosamarinus officinalis)、サフラワー油(Carthamus tinctorious)、ノコギリパルメット(Serenoa repens)、ニセホウレンソウ(Urtica dioica)、およびティーツリーオイル(Melaleuca alternifolia)が含まれる。
【0013】
Aloe barbadensisはスーパーオキシドジスムターゼと呼ばれる酵素を含み、男性型脱毛症患者において頭髪の再成長を刺激する酸化窒素の産生を活性化する。その緩和特性はまた頭皮および頭髪を損傷から保護する。Arctium minus抽出物は脱毛症に起因する頭皮状態を元に戻すのに役立ち、頭皮の炎症箇所の回復を促進する。この物質はその天然フィトステロールおよび必須脂肪酸によって、体毛の強度、艶、および毛幹の改善にも資する。Capsicum annuum Lは体毛の成長を刺激して50%高め、頭皮へのの血流およびヒスタミン放出を増加させて細胞分裂を刺激する。この物質は新しい体毛の成長促進に優れている。ショウガは、毛包の成長周期を刺激する循環系作用薬を有する。加えて、ショウガは体毛喪失および毛幹の細りに対して推奨される脂肪酸に富む。イチョウ抽出物は5α−DHT阻害活性を有し、従って体毛成長刺激活性を具える。この物質はまた、毛根における微小循環を高め、それによって体毛の成長を刺激する。緑茶中に見いだされる、カテキンと呼ばれる天然化学物質は、テストステロンを5α−DHTに変換するI型テストステロン5α−レダクターゼ酵素を阻害し得ると考えられる。従って、緑茶は男性型脱毛症の予防および治療に有効であると考えられる。バラの実抽出物は、ビタミンC、B1、B2、ピロホスフェートP、KおよびE、タンニン、ペクチン、ならびにフルーツ酸が豊富である。ビタミンB1は皮膚の水分バランスに関与し、正常な皮膚機能に欠かせない。ビタミンB2は皮脂の分泌を減らし、体毛の喪失を防止する。このビタミンは循環を局所的に改善し、それによって体毛の成長を刺激し、かつ皮膚に栄養を与える。ラベンダーはきわめて強い抗炎症特性を有し、脱毛症の抑制に資する。この物質は艶、量感、および弾力を、体毛を縞状に変色させずにもたらす。Achillea millefolium抽出物は精油、タンニン、および有機酸を含有する。この抽出物は治癒、抗炎症および鎮静作用を有し、かつ体毛の成長を刺激する。イラクサは、5α−DHTを有効に遮断することから脱毛症の治療に用いられている。Allium cepa抽出物は、体毛を治癒させる無機質であると考えられる硫黄の含量が高い。Pygeum africanum抽出物はI型テストステロン5α−レダクターゼ酵素を阻害する。この物質は男性型脱毛症の治療に広く用いられている。Arnebia属植物種の根抽出物は、シコニンと名付けられたナフトキノンを与える。シコニンはテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤であり、抜け毛予防活性を有すると言われている。Capiscum annum抽出物は頭皮に血液および栄養をもたらす皮膚刺激薬として作用し、また、細胞分裂および体毛の再成長を刺激するヒスタミンの放出を促進する。ローズマリーは、循環を促進し、かつ頭皮上のふけおよび皮脂集積物の除去に有用であることが判明している。Carthamus tinctorious抽出物は、血管を拡張する血管拡張薬として作用する。この物質は、毛包に栄養を運ぶ血液の量を増加させる。Serenoa repens抽出物は5α−DHT生成の阻止にきわめて有効であり、毛包に存在するアンドロゲン受容体をブロックすると考えられる。この物質はテストステロン5α−レダクターゼの1型および2型を共に遮断する。Urtica dioica抽出物はテストステロンが5α−DHTに変換されるのを阻止すると考えられる。Melaleuca alternifoliaの精油抽出物は、ふけが生じる原因となる酵母ピティロスポラム オーバル(Pityrosporum ovale)を殺すことが判明している。前記酵母は頭皮に感染して炎症および痒みを生じ、このことは頭髪の喪失を招く。ティーツリーオイルが皮膚に染み込んで酵母を殺すことで頭髪はふけを免れ、従って頭髪の喪失は軽減される。マツの葉およびゴボウの根に由来する精油;タンニン(オークおよびヤナギの樹皮);バイオフラボノイド(ヤナギの樹皮、マツの葉、および籾殻);ならびにビタミンB1、B6およびB7(籾殻およびマツの葉)などの生物活性成分は体毛成長促進活性を有することが判明している。
【0014】
面皰、脂漏、女性多毛症、男性型脱毛症、および良性前立腺肥大症など、ある種の望ましくない生理学的発現が、代謝系におけるテストステロンまたは類似する雄性ホルモンの過剰な蓄積に起因する高アンドロゲン刺激の結果であることは良く知られている。体毛の成長は毛包の、異なる細胞集団同士の密接な相互作用に依存する。身体の特定領域ではアンドロゲンが、高度に調節されたそのような共同作用に干渉するが、どのように干渉するかはまださほど解明されていない。アンドロゲンに対する毛包の応答は、例えば鬚ではアンドロゲン依存性であり、例えば患者の前頭頭皮ではアンドロゲン感受性であり、また例えば後頭頭皮ではアンドロゲン非依存性であると分類することができる。標的細胞レベルでは、5α−レダクターゼと、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β−HSD)と、3α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3α−HSD)とのバランス次第で異なる潜在アンドロゲン性を有する代謝物が生成する。アンドロゲン過剰の望ましくない結果に対抗する化学療法薬を提供しようという初期の試みによって幾つかのステロイド性抗アンドロゲン薬が発見されたが、それらの薬物自体も望ましくないホルモン活性を有した。例えばエストロゲンは、アンドロゲンの作用を打ち消す一方で女性化作用を有する。非ステロイド性の抗アンドロゲン薬、例えば4’−ニトロ−3’−トリフルオロメチルイソブチルアニリドも開発された。しかし、そのような生成物は、ホルモン作用は有しないものの末梢で活性であり、受容体部位について天然アンドロゲンと競合し、従って該生成物を受容した男性や、女性受容者の男性胎児を女性化する傾向を有する。幾つかの標的臓器においてアンドロゲン活性の主要な媒介物質が5α−ジヒドロテストステロンであり、この物質はテストステロン5α−レダクターゼの作用により標的臓器において局所的に形成されることが、最近当該技術分野で公知となった。従って、テストステロン5α−レダクターゼの阻害剤は当然高アンドロゲン刺激の諸症状の予防または軽減に役立つと見なされ、またそのように証明もされた。
【0015】
フィナステリド(Propecia(R))は特異的なII型5α−レダクターゼ阻害剤である。すなわちこの薬物は、テストステロンのジヒドロテストステロン(DHT)への変換を調節する酵素を阻害する。頭皮のDHTレベルを下げることにより、該薬物はDHTの毛包への作用を低減して頭髪喪失プロセスを逆転させる。フィナステリドは、ジヒドロテストステロン(DHT)の産生を調節する酵素5α−レダクターゼの発現を阻害する。頭皮のDHTレベルを下げることにより、該薬物はDHTが毛包に及ぼす有害作用を低減する。フィナステリドは血清および頭皮のDHT濃度を、それぞれ70%および60%まで低下させる。
【0016】
近年、疾病状態の治療に自然療法を用いることへの関心が高まりつつある。幾つかの薬用植物抽出物が良性前立腺過形成の治療に有用であると証明された。そのような薬用植物抽出物の一つが、ノコギリパルメットの液果の抽出物である。ノコギリパルメットは、大型の葉および大型で濃暗赤色の液果を付ける小型のヤシの木である。ノコギリパルメット液果は様々な脂肪酸およびフィトステロールを含有する油を含む。ノコギリパルメット液果の脂溶性抽出物は、前立腺腫脹の原因と考えられるテストステロンの変換を阻止することが判明した。加えて、ノコギリパルメット抽出物はDHTが受容体に結合するのを阻止し、従ってDHTの作用を妨げ、この強力な化合物の分解を促進する。その抽出物が利用される別の薬用植物にアフリカピジウムが有る。ピジウムはアフリカ南部の高原台地に生える大型常緑樹である。樹皮を加工して、フィトステロール、五員環トリテルペノイド、および長鎖脂肪酸のフェルラ酸エステルを含有する脂溶性画分を製する。アフリカピジウム抽出物は二重盲検法での臨床試験において、広範な前立腺過形成の治療に有効であると判明した。ピジウム抽出物の摂取によって症状が有意に改善され、前立腺が縮小し、膀胱頸部尿道閉塞が解消した。世界中に生えている多年生植物の抽出物であるニセホウレンソウ抽出物は、このイラクサ根抽出物を大量投与されたマウスにおいて前立腺成長能を低下させることが証明された。ニセホウレンソウは、体毛の成長を刺激し、体毛および皮膚の状態を改善し、かつふけ症を治療する体毛および皮膚用強壮薬としても古くから知られている。副作用、および有毒である危険性が合成医薬化合物に比べて少ない、天然のアンドロゲン性脱毛症治療用養毛剤の必要性はなお存在する。5α−レダクターゼ(5AR)酵素を介してのテストステロン(T)のジヒドロテストステロン(DHT)への変換は体毛喪失を助長する。
【0017】
Vernonia属種抽出物を体毛喪失の治療に用いることに関する文献は見付からない。有害作用を及ぼすことなく体毛喪失の予防および/または体毛の再生に用いられ得、かつ好ましくは体毛の回復を促進する新規な天然産物の探索を続ける必要性はなお存在する。本発明は、上記の問題点の新規な解決を提示するのみでなく、体毛に関連する上述のような疾患の治療にきわめて有効である天然産物の抽出物を含む医薬組成物も開示する。
【非特許文献1】Heckel and Schlagdenhauffen, Amer. Jour. Pharm., 1889, p.40
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための新規な組成物であって、活性物質として天然源、合成源、または半合成源に由来する少なくとも1種の物質を単独で、または他の活性物質と併せて含み、場合によっては1種以上の添加剤も含む組成物を提供することを目的とする。
【0019】
本発明は、体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための新規な組成物であって、活性物質としてVernonia属植物種から得られた抽出物を単独で、または他の活性物質と併せて含み、場合によっては1種以上の添加剤も含む組成物を提供することを目的とする。
【0020】
本発明は、体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための新規な組成物であって、活性物質として植物のVernonia anthelminticaから得られた抽出物を単独で、または他の活性物質および場合によっては1種以上の添加剤と併せて含む組成物を提供することを目的とする。
【0021】
本発明はまた、体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質を天然源、合成源、または半合成源から調製または抽出する方法を提供することも目的とする。
【0022】
本発明は、体毛喪失予防および/または体毛成長促進活性物質を含む組成物を調製する方法の提供も目的とする。
【0023】
本発明はさらに、上記のような新規組成物の調製方法であって、
i) 体毛喪失予防および/または体毛成長促進活性物質を1種以上の添加剤と混合する工程、および
ii) 混合物を製剤化して好適な製剤とする工程
を含む方法を提供することも目的とする。
【0024】
上記新規な体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質、または該物質を含む医薬組成物の使用方法であって、有効量の該物質またはその組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法の提供も、本発明の目的である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の新規な組成物は、好ましくは経口または局所製剤の形態、さらに好ましくは液剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤または噴霧液剤といった局所製剤の形態とする。本発明の組成物は体毛喪失予防および/または体毛成長促進に有用であり、好ましくはテストステロン誘発型アンドロゲン性脱毛症の治療に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための新規な組成物であって、活性物質として天然源、合成源、または半合成源に由来する少なくとも1種の物質を単独で、または他の活性物質と併せて含み、場合によっては1種以上の添加剤も含む組成物を提供する。
【0027】
好ましくは、体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質は天然源に由来する。一実施形態において本発明の組成物は、医薬、化粧品、またはアーユルヴェーダ用製品として有用である。本発明の一実施形態において、体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための新規な組成物は、活性物質としてVernonia属植物種から得られた抽出物を単独で、または他の活性物質と併せて含み、場合によっては1種以上の添加剤も含む。本発明の好ましい実施形態では体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための新規な組成物は、活性物質として植物のVernonia anthelminticaから得られた抽出物を単独で、または他の活性物質と併せて含み、場合によっては1種以上の添加剤も含む。別の実施形態において、抽出物の製造に用いられる植物部分はいずれの部分または部分混合物でもよく、植物全体であってもよい。好ましくは、使用部分は葉、花芽、花、種子、果実および茎もしくは幹などの地上部分、またはこのような部分の組み合わせの中から選択される。
【0028】
本発明の別の実施形態は、体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質を天然源、合成源、半合成源、またはこれらの供給源の組み合わせから調製または抽出する方法を提供する。
【0029】
本発明の一実施形態において、体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質の抽出方法は、
i) 非極性溶媒またはその混合物を用いて乾燥粉末状の植物または植物部分からの抽出を行なう工程、
ii) 抽出物を蒸留して溶媒を除去する工程、
iii) 場合によってはさらに極性溶媒またはその混合物を用いて残留物からの抽出を行なう工程、
iv) 場合によっては抽出物を蒸留して溶媒を除去し、所望の抽出物を好ましくは粉末として得る工程
を含む。
【0030】
別の実施形態において、体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質をVernonia属種から抽出する方法は、
i) 極性溶媒またはその混合物を用いて乾燥粉末状の植物または植物部分からの抽出を行なう工程、
ii) 場合によっては抽出物を蒸留/濃縮して溶媒を除去する/減少させる工程、
iii) 場合によっては抽出物を乾燥して溶媒を除去し、所望の抽出物を好ましくは粉末として得る工程
を含む。
【0031】
別の実施形態において、体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質をVernonia属種から抽出する方法は、
i) 生の植物または植物部分の汁を搾り、場合によっては極性溶媒またはその混合物を添加する工程、
ii) 汁を濾過する工程、
iii) 場合によっては抽出物を蒸留/濃縮して溶媒を除去する/減少させる工程、
iv) 場合によっては抽出物を乾燥して溶媒を除去し、所望の抽出物を好ましくは粉末として得る工程
を含む。
【0032】
本発明において有用な極性溶媒は、単独でかまたは組み合わせて用いられるアセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのイソプロピルアルコール、ブタノール、水等の中から選択されるが、これらに限定はされない。本発明において有用な非極性溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、石油エーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、またはこれらの混合物の中から非限定的に選択される。本発明で採用する乾燥方法は、単独でかまたは組み合わせて用いられる棚段乾燥、真空棚段乾燥、攪拌真空棚段乾燥、噴霧乾燥、冷凍乾燥、凍結乾燥等を非限定的に含む、当該技術分野で公知の方法の中から選択される。
【0033】
本発明のさらに別の実施形態は、体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質を含む新規な組成物の調製方法であって、
i) 体毛喪失予防および/または体毛成長促進活性物質を1種以上の添加剤と混合する工程、および
ii) 混合物を製剤化して好適な製剤とする工程
を含む方法を提供する。
【0034】
一実施形態において、体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質は1種以上のフィトステロールを含む。フィトステロールは、Vernonia属種から得るなど、天然源から抽出されるか、または当該技術分野で公知の合成法を組み合わせて用いて合成される。あるいは他の場合には、フィトステロールを半合成的に取得してもよい。一実施形態において、体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための抽出物は、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、カロテノイド等、またはこれらの混合物といった成分も1種以上含む。一実施形態において、植物化学成分を単離するべくVernonia属抽出物をカラムクロマトグラフィーに掛けることも可能である。Vernonia anthelmintica抽出物を、固定相として中性アルミナ、移動相としてヘキサン中の15%クロロホルムを用いるカラムクロマトグラフィーに掛け得る。得られる画分は貯溜し、乾燥させる。貯溜画分を再度カラムクロマトグラフィーに掛けてもよく、その際固定相としてシリカゲル(100〜200)、移動相としてはヘキサンを用いる。移動相の極性を高め、ヘキサン中の7%クロロホルムを用いるようにしてもよい。この移動相中に得られる画分は真空下に貯溜し、乾燥させる。適当な溶媒を用いて貯溜画分を析出させ、それによって精製化合物を得ることも可能である。
【0035】
一実施形態において、体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための抽出物は、ベルノニア ノベボラセンス(Vernonia noveboracense)、ベルノニア プラエアルタ(Vernonia praealta)、ベルノニア トメントサ(Vernonia tomentosa)、ベルノニア アンセルミンティカ(Vernonia anthelmintica)、ベルノニア アミグダリナ(Vernonia amygdalina)、ベルノニア シネレア(Vernonia cinerea)等を非限定的に含む幾つかのVernonia属植物種から得られた抽出物を1種以上含む。
【0036】
一実施形態において、Vernonia属植物種から得られた本発明の新規な抽出物は、アロエ(Aloe barbadensis)、ゴボウ(Arctium minus)、トウガラシ(Capsicum annuum L)、ショウガ(Zingiber officinale)、イチョウ(Ginkgo biloba)、緑茶(Camellia sinesis)、バラの実(Rosa canina)、ラベンダー(Lavendula officinale)、セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)、イラクサ(Urtica dioica)、タマネギ(Allium cepa)、ピジウム(Pygeum africanum)、ラタンジョット(Arnebia属種)、赤唐辛子(Capiscum annum)、ローズマリー(Rosamarinus officinalis)、サフラワー油(Carthamus tinctorious)、ノコギリパルメット(Serenoa repens)およびティーツリーオイル(Melaleuca alternifolia)を含む群を非限定的に含む天然源から得られた少なくとも1種の他の抽出物と組み合わせられる。
【0037】
本発明の別の実施形態は、新規な体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質、または該物質を含む医薬組成物の使用方法であって、有効量の該物質またはその組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。本発明の組成物は体毛疾病/疾患の予防、改善または治療を含めた、体毛疾病/疾患の管理に有用である。
【0038】
別の実施形態において、体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質またはその組成物は、円形脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、アナゲン脱毛(癌治療による体毛喪失)、自己誘発性体毛喪失、テロゲン脱毛、瘢痕性脱毛症、梅毒性脱毛症、強皮症および頭部白癬を含む群を非限定的に含む幾つかの体毛疾患のうちの1種以上に有用である。一実施形態において、体毛喪失予防および/または体毛成長促進活性物質は好ましくは、テストステロンの5α−DHTへの変換を担うテストステロン5α−レダクターゼを遮断もしくは阻害することによって作用する。5α−DHTは毛幹を細らせ、そのため成長周期が新しくなる度により細い体毛が生えるようになり、終には体毛が透き、生えなくなる。このように雄性ホルモン5α−DHTは、主として遺伝的素因を有する人々のアンドロゲン性脱毛症の一因となる。
【0039】
別の実施形態において本発明の体毛喪失予防および/または体毛成長促進活性物質は、5α−DHT阻害剤(抗アンドロゲン薬)、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)模倣体、血管拡張薬、PGHS−1(プロスタグランジンHシンターゼ−1)活性化物質およびカリウムチャネル開口薬(PCO)など、異なる病的状態に起因する脱毛症の治療に有効な1種以上の逆症療法薬物と付加的に組み合わせられる。このような組み合わせによって好ましくは付加的な、増強された、または相乗的な効果が得られ、また用いる逆症療法薬物の用量を低下させ、それによって当該薬物に関連する用量依存性の有害作用を最小限に留めることも可能となり得る。別の実施形態では、本発明の体毛喪失予防および/または体毛成長促進活性物質は、コルチコステロイド、ジスラノール、レチンA(トレチノイン)、ミノキシジル、亜鉛、刺激薬、フィナステリド、スキノレン/アゼライン酸、エチニルエストラジオールを伴った酢酸シプロテロン、シメチジン、酢酸シプロテロン、スピロノラクトン、ケトコナゾール、抗鬱薬、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロキシクロロキンなどの抗マラリア薬、ペニシリン等、またはこれらの混合物を含む群から非限定的に選択された1種以上の逆症療法薬物と付加的に組み合わせられる。体毛疾患や、体毛喪失に起因する抑鬱または不安などといった関連する他の疾患の治療に有用な好適薬物であれば、当該技術分野で公知の他のいかなる薬物も本発明の体毛喪失予防および/または体毛成長促進活性物質と組み合わせることができる。
【0040】
さらに別の実施形態において、本発明の新規な組成物は当該技術分野で公知である形態の化粧品、薬用植物製品、アーユルヴェーダ用製品または医薬として製剤化することができ、好ましくは、体毛喪失予防および/または体毛成長促進に有用で、好ましくはテストステロン誘発型アンドロゲン性脱毛症の治療に有用である錠剤もしくはカプセル剤といった経口製剤または液剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤もしくは噴霧液剤といった局所製剤の形態に製剤化し得る。組成物をシャンプーもしくはコンディショナー、または所望部位に局所的に適用できるヘアオイルの形態とすることも可能である。別の実施形態において、本発明の体毛喪失予防および/または体毛成長促進活性物質の好ましい用量は組成物の約0.01% w/wから約15.0% w/wほど、好ましくは約0.1% w/wから約5.0% w/wほどである。
【0041】
薬理試験
ハムスターのテストステロン誘発型脱毛症に対するVernonia anthelmintica抽出物(後述する実施例1に従い調製)の効力を調べた。試験用に、体重90〜120gの雄のハムスター(n=6/グループ)をPanacea Biotec Ltd.の中央動物飼育施設(central animal house)から調達した。脱毛症の誘発に用いた薬剤はGerman Remedies Limitedのテストステロン筋肉内注射用デポー剤(Testoviron)B.No. K1007であり、この薬剤は1ml当たり250mgのエナント酸テストステロンUSPと、十分量のラッカセイ油IPとを含有する。クリーム剤組成物を局所投与し、試験期間は22日とした。ハムスターは二つのグループ、すなわちVernonia anthelmintica抽出物処理グループと、テストステロン対照グループとに分けた。試験第0日に、脇腹腺(flank organs)とその周囲の被毛を電気バリカンで刈った。行なった処理を表1にまとめる。
【0042】
表1: 処理スケジュールの概要
グループ番号 処理
I テストステロン(分割量33.3μl中に25mg、第0、7お
よび14日)+95% v/vアルコール(100μl/部位)
II Vernonia anthelmintica抽出物(100
μl/部位)
【0043】
テストステロンは分割量で筋肉内投与し、Vernonia anthelmintica抽出物は21日間毎日2回局所適用した。第7日に脇腹腺の周囲を再度刈毛した。第22日に脇腹腺周囲の領域の体毛成長量を目視で評価し、評点0〜3を付した(0=無毛、1=僅かに発毛、2=かなり発毛、3=最大限に発毛)。第0日および第22日に脇腹腺を写真撮影した。テストステロン処理ハムスターは正常グループとの比較において有意の体毛喪失を示した(体毛成長評点: 対照=2.0に対しテストステロン処理=0.58±0.15)。Vernonia anthelmintica抽出物での処理(局所的、100μl/部位)はハムスターのテストステロン誘発型体毛喪失を有意に逆転させた(図1)。異なる処理グループから得た代表的な写真を図2に示す。「対照」グループは第22日に正常な体毛成長を示し、そのような体毛成長はテストステロン処理によって妨げられた。また、Vernonia anthelmintica抽出物での22日間の処理はテストステロン誘発型体毛喪失を逆転させた。
【0044】
アンドロゲン誘発型脱毛症に対するVernonia anthelmintica抽出物(後述する実施例2に従い調製)の効力をフィナステリドの効力と比較するべく、別の試験を行なった。ハムスターを五つのグループ、すなわち正常対照グループと、三つの薬物処理グループと、テストステロン対照グループとに分けた。試験第0日に、脇腹腺とその周囲の被毛を電気バリカンで刈った。テストステロン対照グループおよび正常対照グループには21日間毎日2回95%アルコール(100μl/部位)を局所適用した。ノコギリパルメットクリーム剤を21日間毎日2回局所適用した(100mg/部位)。Vernonia anthelmintica抽出物の2%溶液100μl/部位を21日間毎日2回局所適用した。フィナステリド(0.6mg/kg)を21日間毎日2回経口投与した。薬物投与の1時間後、正常対照グループ以外のグループにテストステロンを投与した(25mg;第0、7および14日に33.3μlの分割量で筋肉内投与)。第7日に脇腹腺の周囲を再度刈毛した。1週間間隔で脇腹腺周囲の領域の体毛成長量を目視で評価し、評点0〜3を付した(0=無毛、1=僅かに発毛、2=かなり発毛、3=最大限に発毛)。結果を表2にまとめ、かつ図3にグラフとして示す。異なる処理を施されたハムスターにおける体毛成長を撮影した代表的な写真を図4に示す。対照グループは正常な体毛成長を示したが、そのような体毛成長はテストステロン処理によって妨げられた。また、第22日にフィナステリドやVernonia anthelmintica抽出物の組成物はテストステロン誘発型体毛喪失を対照グループとの比較において有意に逆転させたが、ノコギリパルメットはそのような逆転を起こさなかった。この試験は、Vernonia anthelminticaの抽出物がテストステロン誘発型アンドロゲン性脱毛症の治療においてフィナステリドよりはるかに有効であることを示唆した。
【0045】
表2: Vernonia anthelmintica抽出物対フィナステリドの体毛成長プロファイル比較
通し番号 処理 平均±SEM
1. 対照 2.75±0.171
2. テストステロン(33.3μl) 1.33±0.211
3. ノコギリパルメット(100mg) 1.58±0.201
4. Vernonia anthelmintica
抽出物 2% w/v(100μl) 2.83±0.167
5. フィナステリド(0.6mg/kg) 2.20±0.339
: 評点0〜3で評価した体毛成長(0=無毛、1=僅かに発毛、2=かなり発毛、3=最大限に発毛)。
【0046】
ハムスターのテストステロン誘発型脱毛症において体毛成長促進作用を示す、特にVernonia属クリーム剤の形態とした局所用のVernonia anthelmintica抽出物含有組成物の強度を決定するべく、さらに別の試験を行なった。Panacea Biotec Ltd.の中央動物飼育施設から調達した体重80〜90gの雄のハムスター(n=6/グループ)を用いた。脱毛症の誘発に用いた薬剤はGerman Remedies Limitedのテストステロン筋肉内注射用デポー剤(Testoviron)B.No. K1007であり、この薬剤は1ml当たり250mgのエナント酸テストステロンUSPと、十分量のラッカセイ油IPとを含有する。この試験は、後述する実施例3および実施例4に従って調製した、強度の異なる4種のVernonia属クリーム剤のバッチ、すなわちB.No. 0629/010A(2% w/w)、B.No. 0629/010C(0.2% w/w)、B.No. 0629/014A(2% w/w)、およびB.No. 0629/014C(0.2% w/w)を用いて行なった。クリーム剤組成物を局所投与し、試験期間は22日とした。ハムスターの脇腹腺とその周囲の被毛を電気バリカンで刈った。ハムスターを四つのグループに分け、それぞれに異なる処理を施した。異なる処理の概要を表3に示す。
【0047】
表3: 処理スケジュールの概要
グループ番号 処理
I 対照
II テストステロン(分割量33.3μl中に25mg、第0、7お
よび14日)
III B.No. 0629/010A、2% w/w; 100mg、
bid
IV B.No. 0629/010C、0.2% w/w; 100
mg、bid
V B.No. 0629/014A、2% w/w; 100mg、
bid
VI B.No. 0629/014C、0.2% w/w; 100
mg、bid
【0048】
テストステロンは分割量で筋肉内投与し、Vernonia属クリーム剤(100mg)は1日2回局所適用した。いずれの処理も21日間施した。第7日に脇腹腺の周囲を再度刈毛した。第22日に脇腹腺周囲の領域の体毛成長量を目視で評価し、評点0〜3を付した(0=無毛、1=僅かに発毛、2=かなり発毛、3=最大限に発毛)。各処理毎に、脇腹腺の写真を処理前および第22日に撮影して体毛成長の変化を調べた。写真を図5に示す。平均値で表した体毛成長を、一方向ANOVAとそれに続くStudent−Newman−Keuls多重範囲検定とにより解析した。p<0.05を有意差のレベルとした。第22日に、テストステロン処理ハムスターは正常グループとの比較において有意の体毛喪失を示した(図5(a)および5(b))(体毛成長評点: テストステロン処理0.13対正常対照=3)。21日間のVernonia属クリーム剤 2% w/w(B.No. 0629/010A)局所適用により、ハムスターのテストステロン誘発型体毛喪失はテストステロングループ(体毛成長評点0.13)と比較して有意に予防された(体毛成長評点2.08)(図5(c)および5(b)をそれぞれ参照)。他のVernonia属クリーム剤(B.No. 0629/010C、B.No. 0629/014AおよびB.No. 0629/014C)で処理したハムスターにおいて観察された体毛成長は比較的少なかった。テストステロングループの体毛成長評点が0.13であったのに対し、B.No. 0629/010Cの場合の体毛成長評点は0.67であり、B.No. 0629/014Aでは0.33、B.No. 0629/014Cでは0.17であった(図5(b)、5(d)、5(e)および5(f)をそれぞれ参照)。B.No. 0629/014AおよびB.No. 0629/014C、ならびにこれらのプラシーボで処理したハムスターは適用領域全体に鱗屑を生じた(図5(e)、5(f)および5(g)をそれぞれ参照)。Vernonia属クリーム剤B.No. 0629/010AおよびB.No. 0629/010Cや、これらのプラシーボで処理したハムスターでは、適用領域全体にわたる鱗屑形成は観察されなかった(図5(c)、5(d)および5(h))。対照グループは正常な体毛成長を示し、そのような体毛成長はテストステロン処理によって妨げられた。さらに、Vernonia属クリーム剤(2% w/w: B.No. 0629/10A)はテストステロン誘発型体毛喪失をテストステロングループと比較して有意に予防したが、他のヴェルノニアクリーム製剤はテストステロン誘発型体毛喪失を前記クリーム剤ほど予防しなかった。この試験結果は、B.No. 0629/010AのVernonia属クリーム剤すなわち2%強度組成物がテストステロンで攻撃されたハムスターの体毛成長を、他の試験組成物と比較してより有効に促進することを示唆した。
【0049】
Vernonia属抽出物ゲル剤の用量−反応特性を調べ、かつこのゲル剤をその体毛成長促進効果についてVernonia属冷凍乾燥汁ゲル剤と比較するべく、さらに別の試験を行なった。Vernonia属抽出物ゲル剤は、Vernonia属の有機溶媒抽出物を作製し、これを製剤化してゲル剤組成物とすることによって調製した。Vernonia属冷凍乾燥汁ゲル剤は、Vernonia属の生の葉および花芽から汁を搾り、この汁を冷凍乾燥し、かつ製剤化してゲル剤組成物とすることによって調製した。Panacea Biotec Ltd.の中央動物飼育施設から調達した体重80〜90gの雄のハムスター(n=6〜8/グループ)を用いた。脱毛症の誘発に用いた薬剤はGerman Remedies Limitedのテストステロン筋肉内注射用デポー剤(Testoviron)B.No. K1007であり、この薬剤は1ml当たり250mgのエナント酸テストステロンUSPと、十分量のラッカセイ油IPとを含有する。この試験は、Vernonia属抽出物ゲル剤B.No. 0629/030A(0.5% w/w)、B.No. 0629/030B(1% w/w)およびB.No. 0629/030C(2% w/w)、ならびにVernonia属冷凍乾燥汁ゲル剤B.No. 0629/026A(1.25% w/w)およびB.No. 0629/026B(2.5% w/w)(後述する実施例5および実施例6に従い調製)を用いて行なった。組成物を局所投与し、試験期間は22日とした。ハムスターの脇腹腺とその周囲の被毛を電気バリカンで刈った。ハムスターを四つのグループに分け、それぞれに異なる処理を施した。異なる処理の概要を表4に示す。
【0050】
表4: 処理スケジュールの概要
グループ番号 処理
I 対照
II テストステロン(分割量33.3μl中に25mg、第0、7お
よび14日)
III B.No. 0629/030A、0.5% w/w; 100
mg、bid
IV B.No. 0629/030B、1% w/w; 100mg、
bid
V B.No. 0629/030C、2% w/w; 100mg、
bid
VI B.No. 0629/026A、1.25% w/w;
100mg、bid
VII B.No. 0629/026B、2.5% w/w; 100
mg、bid
【0051】
テストステロンは分割量で筋肉内投与し、Vernonia属クリーム剤(100mg)は1日2回局所適用した。いずれの処理も21日間施した。第7日に脇腹腺の周囲を再度刈毛した。第22日に脇腹腺周囲の領域の体毛成長量を目視で評価し、評点0〜3を付した(0=無毛、1=僅かに発毛、2=かなり発毛、3=最大限に発毛)。各処理毎に、脇腹腺の写真を処理前および第22日に撮影して体毛成長の変化を調べた。平均値で表した体毛成長を、一方向ANOVAとそれに続くStudent−Newman−Keuls多重範囲検定とにより解析した。p<0.05を有意差のレベルとした。ハムスターの体毛成長の評点および代表的な写真を図6および図7にそれぞれ示す。第22日に、テストステロン処理ハムスターは正常グループとの比較において完全な体毛喪失を示した(体毛成長評点: テストステロン処理0対正常対照=1.31±0.18)(図7(b)および7(d))。対照グループの動物は正常な体毛成長を示した(図6(b))。21日間のVernonia属抽出物ゲル剤(0.5、1および2% w/w)の局所適用(100mg、bid)により、ハムスターのテストステロン誘発型体毛喪失はテストステロングループと比較して有意に予防された(図6ならびに図7(e)、7(f)および7(g))。この効果は用量依存性であると判明した。さらに、Vernonia属抽出物ゲル剤(1および2% w/w)によって誘導される体毛成長(体毛成長評点)は対照グループの正常な体毛成長を上回ることが判明した(図6)。同様に、Vernonia属冷凍乾燥汁ゲル剤(1.25および2.5% w/w)もテストステロンで攻撃されたハムスターの体毛成長を有意に促進した(図6ならびに図7(h)および7(i))。体毛成長は、用量依存性ではあるが、いずれの抽出物ゲル剤を用いた場合よりも、また正常対照と比べても有意に僅かであることが判明した(図6)。この試験の結果は、Vernonia属抽出物ゲル剤(0.5〜2% w/w)で処理したハムスターにおいて用量依存性の体毛成長促進効果が認められ、この効果は用量レベル1%および2% w/wの時正常な体毛成長を上回る体毛成長を実現することを証明した。また、Vernonia属冷凍乾燥汁抽出物(1.25%および2.5% w/w)もハムスターの体毛成長に対して用量依存性の効果を及ぼすが、その結果としての体毛成長は抽出物ゲル剤の場合や正常な体毛成長と比べて少ないことも証明された。
【0052】
一実施形態において、本発明に有用なキャリヤーは単糖、二糖、多糖、糖アルコール、ポリ乳酸、シクロデキストリン、ラクトース、グルコース、ラフィノース、メレチトース、キシリトール、アラビノース、デキストラン、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトールおよびデンプンなど、またはこれらの混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされない。
【0053】
別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、稀釈剤、崩壊剤、結合剤、付着防止剤、流動化剤、酸化防止剤、緩衝剤、着色剤、香味付与剤、被覆剤、溶媒、粘稠化剤、蝋、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、安定剤、緩衝剤、ビヒクル、防腐剤、界面活性剤、脱臭剤、着色剤等を含む群から非限定的に選択された1種以上の製薬学的に許容される添加剤をも含む。
【0054】
本発明の医薬組成物は、当該技術分野で公知である適当な基剤/キャリヤーにVernonia属種の抽出物を溶解または分散させることにより調製することができる。医薬組成物は、当該技術分野で公知である通常の添加剤および技術を用いて異なる製剤へと製剤化し得る。本発明の医薬製剤は、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、泡剤、溶液剤、懸濁剤、貼付剤、散剤、エアゾール剤、噴霧液剤、フィルム剤、およびフレーク剤とし得る。本発明の組成物は、即放性製剤、調節放出性製剤(持続放出型、徐放出型、遅延放出型、延長放出型、時限放出型、周期放出型等)、またはこれらの組み合わせとして製剤化し得る。本発明の医薬組成物は、Vernonia属植物種の抽出物を該組成物の約0.01重量%から約99重量%の量で含むと共に1種以上のキャリヤーを該組成物の約1重量%から約99.99重量%の量で含み、場合によっては1種以上の添加剤も含む。
【0055】
Vernonia属植物種の抽出物を含むクリーム剤組成物は、約0.1〜10% w/w、好ましくは約0.2〜5% w/wの抽出物を含有する水性相を好適な油性相と共に乳化することにより調製する。あるいはまた、約0.1〜10% w/wの抽出物を吸水性基剤、もしくはポリエチレングリコール軟膏USNFなどの水溶性基剤、もしくは親水ワセリンUSP、ラノリンUSPといった吸水性基剤と配合するか、または白色ワセリンUSPなどの炭化水素基剤中に配合して親水性軟膏剤USPを調製することも可能である。上記以外の有用な疎水性または親水性基剤として、カカオ脂、グリセロゼラチン、硬化植物油、様々な分子量を有するポリエチレングリコール同士の混合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリエチレンステアレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、化工デンプン、またはこれらの物質の組み合わせなどが挙げられる。別の実施形態において、炭化水素基剤はパラフィン、蝋、ワセリン、ラノリン等、またはこれらの混合物を含む。泡剤および/または噴霧液剤用の基剤は、1種以上の水性および非水性溶媒、プロペラント、界面活性剤、懸濁化剤、および安定剤を含む。貼付剤は、水、グリセリン、プロピレングリコール、アルコール、およびハマメリス水などのうちの1種以上を含む。
【0056】
別の実施形態において、本発明の組成物は、多価アルコール、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム(NaPCA)、アミノ酸および誘導体、グアニジン;グリコール酸およびグリコール酸塩(例えばアンモニウムおよび第四級アルキルアンモニウム);乳酸および乳酸塩(例えばアンモニウムおよび第四級アルキルアンモニウム);リンゴ酸、様々な形態のアロエベラ(例えばアロエベラゲル)などといった他のα−ヒドロキシ酸;ヒアルロン酸とその前駆体および誘導体(例えばグルコサミン、およびヒアルロン酸ナトリウムなどの塩誘導体);ラクタミドモノエタノールアミン;アセトアミドモノエタノールアミン;尿素;ならびにこれらの混合物などの吸湿性加湿剤(保水剤)を付加的に含む。本発明用として好ましい吸蔵性加湿剤は、ワセリン、イソヘキサデカン、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸メチル、イソステアリン酸イソプロピル、およびこれらの混合物である。一実施形態によれば、適当な機械的特性、生理的特性および放出特性を有する、本発明に有用なゲル化剤もしくはゲル形成剤は好ましくは、アルギネート、ペクチン、カラギーナンまたはキサンタン、デンプンおよびデンプン誘導体、トラガントまたはキサンタンガムのようなガム、コラーゲン、ゼラチン、ガラクトマンナンおよびガラクトマンナン誘導体、キトサンおよびキトサン誘導体、糖タンパク質、プロテオグリカン、グルコサミノグリカン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、高分子量ポリエチレングリコールおよび/または高分子量ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート、ポリラクチド、ポリグリコリドおよびポリアミノ酸、ならびにセルロース誘導体のような多糖である。特に好ましいゲル形成剤は、セルロース誘導体、特にメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸セルロースおよびコハク酸エチルセルロースのようなセルロースエーテル化合物の中から選択される。キャリヤーは、糖、糖アルコール、界面活性剤、アミノ酸、酸化防止剤、ポリエチレングリコールなどといった付加的な添加剤を1種以上含有してもよい。
【0057】
一実施形態において、キャリヤーは植物油もしくは鉱油、または両者の組み合わせとし得る。一実施形態において、本発明に有用な植物油はヒマワリ油、ダイズ油、アマニ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ヤシ油、ゴマ油、サフラワー油等、またはこれらの混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされない。ヨヒンビン(局所的血管拡張に有用な選択的かつ競合的アドレナリンα2受容体アンタゴニスト)、チョウジ油(弱興奮薬、また局所麻酔薬)、アルギニン(毛細管血液循環促進薬)等、またはこれらの混合物といった付加的な物質を調製物に添加することも可能である。
【0058】
本発明の組成物の製剤化に有用であり、許容される他の好ましいキャリヤーに、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、EDTA、天然植物油、プロピレングリコール、グリセリン、低融点トリグリセリド、鉱油、高分子量ポリエチレンオキシドの水溶液、またはこれらの混合物といった滑沢剤が有る。水溶性セルロース誘導体(例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム)や、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールまたはエチレンオキシドポリマーといった他の水溶性ポリマーなどのポリマーも本発明に使用可能である。本発明に用い得る他の任意物質に、パラベン、クロルヘキシジン、ベンジルアルコール等の抗感染薬が含まれる。
【0059】
さらに、通常の添加剤であって本発明の組成物に有用であり、許容されるものが、単独でかまたは組み合わせて用いられる賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤;安定剤;防腐剤;キレート剤;ビヒクル;増量剤;親水性ポリマー;グリセリン、様々な等級のポリエチレンオキシド、トランスクトールおよびグリコフロールなどの溶解促進剤;張度調節剤;局所麻酔剤;pH調節剤;酸化防止剤;等張化剤;キレート剤;粘稠化剤;湿潤剤;乳化剤;酸;糖アルコール;還元糖;非還元糖など、当業者に公知である一群の添加剤の中から非限定的に選択され、例えばラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、微晶質セルロース、キシリトール、フルクトース、スクロース、デキストロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウムといった稀釈剤;増量剤、および有機酸の中から選択される。本発明で用いられる滑沢剤には、単独でかまたは組み合わせて用いられるタルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、硬化植物油等が非限定的に含まれる。本発明での使用に好適なビヒクルは、N−メチルピロリドンのジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシド、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、オレイン酸エチル、ポリオキシエチレングリコール化ヒマシ油(Cremophor(R) EL)、ポリエチレングリコールでMW 200〜6000のもの、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、ならびにヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール660(Solutrol(R) HS15として市販)などのグリコール誘導体を含む群から非限定的に選択できる。本発明の別の実施形態において、組成物はベンジルアルコールなどの抗菌防腐剤を好ましくは該組成物の約2.0% v/vの濃度で付加的に含有してもよい。本発明の一実施形態において、組成物はパルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、およびα−トコフェロールなど、公知の酸化防止剤を付加的に含有してもよい。別の実施形態では、イオン性およびノニオン性界面活性剤、トリオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタンなどのソルビタンエステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポロクサマー、フッ素化および非フッ素化界面活性剤、カルボン酸、ポリエトキシレート、天然レシチン、オレイルポリオキシエチレンエーテル、ステアリルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロックコポリマー、合成レシチン、ジオレイン酸ジエチレングリコール、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、オレイン酸エチル、モノオレイン酸グリセリル、ポリエチレングリコール400、モノラウリン酸グリセリル等、またはこれらの混合物を含めた界面活性剤が組成物に付加的に用いられる。本明細書に記載した必須成分と物理的、化学的に適合し、かつ本発明の局所用組成物に結び付けられる安定性、効力その他の利点を甚だしく損なわない成分であれば、本発明の組成物には他にもきわめて様々な任意成分を含有させることができる。
【0060】
本発明の組成物、および体毛疾患または他の関連疾患をVernonia属種の抽出物を用いて治療する方法は、長期の有効性、高い体毛再生率、および/または低い体毛喪失率をもたらす。治療法は、好ましくは所望の作用部位に局所適用される、Vernonia属種の抽出物およびキャリヤーを含む組成物を有効量で投与することを含む。
【0061】
本発明の一実施形態において、局所噴射用エアゾール剤は、好ましくは微粉状である活性物質のVernonia属抽出物を適当なビヒクルまたはプロペラント系と共に含んで調製され、かつ好ましくは、計量弁を具えたアルミニウム製密閉容器に加圧充填技術によって注入される。霧化可能な噴霧用分散系製剤もしくは溶液剤は、エタノールと精製水との混合物などの水アルコール溶媒系に活性物質を均一に分散させることにより調製される。局所適用懸濁剤は、活性物質を界面活性剤などの湿潤剤で湿らせ、その後場合によっては他の添加剤を加え、得られた塊状物を滅菌した容器、例えば熱可塑性樹脂で好適に成形されるような1回量容器に充填することによって調製される。
本発明の実施形態を、以下の実施例によって具体的に説明する。しかし、下記実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0062】
実施例−1:
体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための抽出物の、Vernonia属植物種からの調製は次の工程を含む。
1. 乾燥粉末状の植物2kgをフラスコ内の5Lのクロロホルムに加える。
2. 混合物を還流冷却器の使用下に1時間沸騰させる。
3. 混合物を冷却し、濾過する。濾液は取り置く。
4. 残渣に対して工程1〜3をさらに3回繰り返す。
5. 貯溜した濾液を蒸留してヘキサンを除去する。
【0063】
実施例−2:
体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための抽出物の、Vernonia属植物種からの調製は次の工程を含む。
1. 乾燥粉末状の葉1kgをフラスコ内の6Lのヘキサンに加える。
2. 混合物を還流冷却器の使用下に1時間沸騰させる。
3. 混合物を冷却し、濾過する。濾液は取り置く。
4. 残渣に対して工程1〜3をさらに3回繰り返す。
5. 貯溜した濾液を蒸留してヘキサンを除去する。
6. ヘキサン抽出物を500mlの95%エタノールと共に30分間攪拌する。
7. エタノール混合物を濾過する。濾液は取り置く。
8. 残渣に対して工程6および7を繰り返す。
9. 貯溜したエタノール抽出物を蒸留してエタノールを除去する。
【0064】
実施例−3:
体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための抽出物の、Vernonia属植物種からの調製は次の工程を含む。
1. 乾燥粉末状の植物2kgを5Lの水に加える。
2. 混合物を還流冷却器の使用下に1時間沸騰させる。
3. 混合物を冷却し、濾過する。濾液は取り置く。
4. 残渣に対して工程1〜3をさらに1回繰り返す。
5. 貯溜した濾液を濃縮し、噴霧乾燥する。
【0065】
実施例−4:
体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための抽出物の、Vernonia属植物種からの調製は次の工程を含む。
1. 乾燥粉末状の植物2kgを10Lのエタノールに加える。
2. 混合物を還流冷却器の使用下に1時間沸騰させる。
3. 混合物を冷却し、濾過する。濾液は取り置く。
4. 残渣に対して工程1〜3をさらに3回繰り返す。
5. 貯溜した濾液を濃縮し、攪拌式真空乾燥機で乾燥する。
【0066】
実施例−5:
体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための抽出物の、Vernonia属植物種からの調製は次の工程を含む。
1. 生の植物5kgを、1Lの水を加えて混合機/粉砕機で潰す。
2. 混合物から汁を搾り取り、濾過する。
3. 濾液を冷凍乾燥する。
【0067】
体毛喪失予防および/または体毛成長促進を実現する本発明の新規な抽出物を含む組成物を開示する以下の実施例において、記載された量は所望の予防、改善または治療効果、および組成物の種類に基づき変更されてもよい。
【0068】
実施例−6: Vernonia属クリーム剤
【表1】

【0069】
手順:
i) Carbomer940を精製水中に分散させ、完全に溶解するまで攪拌する。
ii) メントールをエタノールとTranscutol(R)との混合物に溶解させる。これにプロピレングリコールおよびVernonia anthelmintica抽出物を添加し、混合する。
iii) 工程(ii)で得られた混合物を工程(i)の混合物に添加し、混合する。
iv) 工程(iii)で得られた混合物にトリエタノールアミンを滴下してpHを5.5〜7.0とし、半固形ゲルを得る。
【0070】
実施例−7: Vernonia属クリーム剤
【表2】

【0071】
手順:
i) Carbomer940を精製水中に分散させ、完全に溶解するまで攪拌する。
ii) メントールをエタノールとTranscutol(R)との混合物に溶解させる。
iii) 工程(ii)で得られた混合物を工程(i)の混合物に添加し、混合する。
iv) 別のビーカーにオレイン酸、Brij(R)72、セチルアルコール、ビタミンE酢酸エステル、およびVernonia anthelmintica抽出物を入れ、混合する。
v) 工程(iii)および(iv)で得られた混合物を別個に温度60〜70℃で加熱する。
vi) 工程(iv)の油性相を工程(iii)の水性相に、絶えず攪拌しつつ添加する。
vii) 工程(vi)で得られた混合物にトリエタノールアミンを滴下してpHを6.0〜7.0とし、半固形クリームを得る。
viii) 半固形クリームに香料を添加して混合し、所望生成物を得る。
【0072】
実施例−8: Vernonia属冷凍乾燥汁ゲル剤
【表3】

【0073】
手順:
i) Carbomer940を精製水中に分散させ、完全に溶解するまで攪拌する。
ii) Vernonia anthelmintica抽出物粉末を精製水の一部に溶解させ、これを工程(i)の混合物に添加する。
iii) メントールをエタノールとTranscutol(R)との混合物に溶解させる。これにプロピレングリコールを添加し、混合する。
iv) 工程(iii)の混合物を工程(ii)の混合物に添加し、混合する。
v) 工程(iv)で得られた混合物にトリエタノールアミンを滴下してpHを5.5〜7.0とし、半固形ゲルを得る。
vi) 半固形ゲルに香料を添加し、混合する。
【0074】
実施例−9: Vernonia属抽出物ゲル剤
【表4】

【0075】
手順:
i) Carbomer940を精製水中に分散させ、完全に溶解するまで攪拌する。
ii) メントールをエタノールとTranscutol(R)との混合物に溶解させる。これにプロピレングリコールおよびVernonia anthelmintica抽出物を添加し、混合する。
iii) 工程(ii)で得られた混合物を工程(i)の混合物に添加し、混合する。
iv) 工程(iii)で得られた混合物にトリエタノールアミンを滴下してpHを5.5〜7.0とし、半固形ゲルを得る。
v) 半固形ゲルに香料を添加し、混合する。
【0076】
実施例−10: Vernonia属クリーム剤
【表5】

【0077】
手順:
i) Vernonia cinerea抽出物、流動パラフィン・軽質、サラシミツロウ、白色ワセリン、モノステアリン酸グリセリル、およびステアリン酸を混合し、60〜70℃まで加熱する。
ii) Tween 80、グリセリン、プロピレングリコール、および精製水を混合し、60〜70℃に加熱する。
iii) 工程(i)の混合物を工程(ii)の混合物に、絶えず攪拌しつつ添加し、冷却させる。
iv) 香料を添加し、混合する。
【0078】
実施例−11: Vernonia属クリーム剤
【表6】

【0079】
手順:
i) Vernonia tomentosa抽出物、流動パラフィン・軽質、サラシミツロウ、および白色ワセリンを混合し、60〜70℃まで加熱する。
ii) Tween(R) 80、グリセリン、プロピレングリコール、およびCMCナトリウム溶液を混合し、60〜70℃に加熱する。
iii) 工程(i)の混合物を工程(ii)の混合物に、絶えず攪拌しつつ添加し、冷却させて所望生成物を得る。
【0080】
実施例−12: クリーム剤
【表7】

【0081】
手順:
i) Vernonia latifolia抽出物、Aloe barbadensis抽出物、メチルパラベン、およびプロピルパラベンをプロピレングリコール中に分散させ、得られた混合物を55〜60℃に加熱し、これに二酸化チタンを添加して十分に攪拌する。
ii) ステアリン酸、セチルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ソルビタン、およびトウモロコシ油を70〜75℃に加熱する。
iii) 別の容器にソルビトール溶液およびTween(R) 80を取る。
iv) ビーガムHVを別途精製水中で水和する。
v) カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCナトリウム)を別途グリセリン中で水和する。
vi) 工程(iv)および(v)の材料を工程(iii)の材料に添加し、70〜75℃に加熱する。
vii) 工程(ii)および(vi)の材料を混合し、冷却する。
viii) 工程(vii)の材料が温度50〜55℃となったら、該材料に工程(i)の材料を添加する。
ix) 工程(vii)の混合物を室温まで冷却させてクリームを得る。
【0082】
実施例−13: クリーム剤
【表8】

【0083】
手順:
i) Vernonia anthelmintica抽出物、Serenoa repens抽出物、メチルパラベン、およびプロピルパラベンをプロピレングリコール中に分散させ、これに二酸化チタンを添加して十分に攪拌する。
ii) モノステアリン酸グリセリル、水素化ラノリン、トウモロコシ油、シメチコン、およびSpan(R) 60を容器に取る。
iii) 冷却した精製水にヒドロキシエチルセルロースを溶解させ、これにソルビトールおよびTween(R) 80を添加し、混合物を70〜75℃に加熱する。
iv) カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCナトリウム)を別途グリセリン中に分散させ、これを工程(iii)の材料に添加する。
v) 工程(ii)の材料を工程(iv)の材料に添加し、攪拌下に冷却させる。
vi) 温度が50〜55℃に達したら工程(i)の材料を添加し、攪拌し、かつ室温まで冷却させてクリームを得る。
【0084】
実施例−14: クリーム剤
【表9】

【0085】
手順:
i) 軟質パラフィン、流動パラフィンおよびモノオレイン酸ソルビタンを約45℃において連続攪拌により混合し、均質な分散系を得る。
ii) 工程(i)の分散系にVernonia anthelmintica抽出物を攪拌下に添加する。
iii) クエン酸およびクエン酸ナトリウムを精製水の一部に溶解させて溶液を作製する。
iv) 工程(iii)の材料を工程(ii)の材料に、約45℃での連続攪拌下に添加し、その後精製水の残部を添加して攪拌する。
v) 工程(iv)の材料を室温に冷却して所望生成物を得る。
【0086】
実施例−15: ゲル剤
【表10】

【0087】
手順:
i) 容器内でジメチルアセトアミドをエチルアルコールおよびアセトンと攪拌下に混合した。
ii) 得られた混合物にVernonia属種抽出物を添加し、攪拌した。
iii) プロピレングリコールおよびCremophor(R) RH40を水中に分散させ、ホモジナイザーで混合した。得られた混合物にカーボポール934を添加し、均質化した。
iv) 工程(ii)で得られた混合物を工程(iii)で得られた混合物に攪拌下に添加した。
v) 得られた混合物を、低速攪拌下にジエチルアミンをゆっくり添加することにより中和し、ゲルを生成させた。
【0088】
実施例−16: 噴霧用分散系製剤
Vernonia属種抽出物0.06mg、コルチコステロイド0.012mg、およびプロピレングリコール5.0gを10.0gの精製水中に均一に分散させる。得られた分散液をネブライザーなどの好適な噴霧容器に充填する。
【0089】
実施例−17: 噴霧用溶液剤
Vernonia属種抽出物0.05mgおよびミノキシジル0.05mgをエタノール−精製水混合物(それぞれ2.0gおよび6.0g)中に均一に分散させ、得られた分散液を好適容器に充填する。
【0090】
実施例−18: 軟膏剤
【表11】

【0091】
手順:
i) ユーカリ油およびペパーミント油を流動パラフィンの一部に添加し、攪拌混合する。
ii) 工程(i)の材料とラノリンとを45℃において連続攪拌により混合し、均質な分散系を得る。
iii) 工程(ii)の分散系にVernonia anthelmintica抽出物およびGinkgo biloba抽出物を連続攪拌下に添加する。
iv) 工程(iii)の材料を室温に冷却して所望生成物を得る。
【0092】
実施例−19: ヘアオイル
【表12】

【0093】
手順:
i) Vernonia属種抽出物およびAloe barbadensis抽出物を調製し、植物油基剤と混合する。
ii) 工程(i)の材料を好適容器に充填する。
【0094】
実施例−20: シャンプー
【表13】

【0095】
手順:
i) Vernonia属種抽出物とケトコナゾールとを混合する。
ii) 工程(i)の材料をシャンプー基剤に混ぜ込む。
【0096】
実施例−21: 錠剤
【表14】

【0097】
手順:
i) Vernonia属種抽出物、微晶質セルロース、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、およびラクトースを篩掛けし、互いに混合する。
ii) 工程(i)の材料を圧縮する。
iii) 工程(ii)の圧縮物を篩に通し、混合する。
iv) タルク、コロイド状二酸化ケイ素、およびクロスカルメロースナトリウムを目の細かい篩に通し、互いに混合する。
v) 工程(iii)の材料を工程(iv)の材料と混合する。
vi) 工程(v)の材料を圧縮して、平均重量400mg±2%の錠剤とする。
vii) 錠剤を気密包装材で包装する。
【0098】
実施例−22: カプセル剤
【表15】

【0099】
手順:
i) Vernonia属種抽出物、微晶質セルロース、ラクトース、およびマンニトールを篩掛けし、互いに混合する。
ii) タルク、デンプングリコール酸ナトリウム、およびコロイド状二酸化ケイ素を個別に目の細かい篩に通し、その後互いに混合する。
iii) 工程(i)および(ii)の材料を混合する。
iv) 工程(iii)の材料を空の硬ゼラチンカプセルに充填する。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1はVernonia anthelmintica抽出物(局所、100μl/部位)がハムスターのテストステロン誘発型体毛喪失に及ぼす作用を示すグラフである。データを平均±S.E.M.として示す。は、テストステロン処理グループと比較してp<0.05であることを意味する。
【図2】図2はハムスターの体毛成長の代表的な写真を示す説明図であり、(a)は対照グループ(第0日)、(b)は第22日の対照グループ、(c)はテストステロン処理動物(第22日)、(d)はVernonia anthelmintica抽出物処理動物である。
【図3】図3はVernonia anthelmintica抽出物対フィナステリドの体毛成長プロファイル比較を示すグラフである。
【図4】図4はハムスターの体毛成長の代表的な写真を示す説明図であり、(a)は第0日の対照グループ、(b)は第22日の対照グループ、(c)は第22日のテストステロン処理動物、(d)は第22日のノコギリパルメット処理動物、(e)は第22日のArnebia euchroma処理動物、(f)は第22日のVernonia anthelmintica処理動物、(g)は第22日のフィナステリド処理動物である。
【図5】図5は第22日のハムスターにおける体毛成長の代表的な写真を示す説明図であり、(a)は対照グループ、(b)はテストステロン処理動物、(c)はVernonia属クリーム剤 2% w/w、B.No. 0629/10Aで処理した動物、(d)はVernonia属クリーム剤 0.2% w/w、B.No. 0629/10Cで処理した動物、(e)はVernonia属クリーム剤 0.2% w/w、B.No. 0629/14Aで処理した動物、(f)はVernonia属クリーム剤 0.2% w/w、B.No. 0629/14Cで処理した動物である。
【図6】図6はVernonia属抽出物ゲル剤(0.5〜2% w/w)またはVernonia属冷凍乾燥汁ゲル剤(1.25および2.5% w/w)で処理したハムスター(n=6〜8)の体毛成長評点の相対的プロファイルを示すグラフである。
【図7】図7はハムスターの体毛成長パターンの代表的な写真を示す説明図であり、(a)は対照グループ(第0日)、(b)は対照グループ(第22日)、(c)はテストステロン処理動物(第0日)、(c)はテストステロン処理動物(第22日)、(e)は2% w/w、B.No. 0629/30Cで処理した動物、(f)は1% w/w、B.No. 0629/30Bで処理した動物、(g)は0.5% w/w、B.No. 0629/30Aで処理した動物、(h)は2.5% w/w、B.No. 0629/26Bで処理した動物、(i)は1.25% w/w、B.No. 0629/26Aで処理した動物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための新規な組成物であって、活性物質として天然源、合成源、または半合成源に由来する少なくとも1種の物質を単独で、または他の活性物質と併せて含み、場合によっては1種以上の添加剤も含む組成物。
【請求項2】
活性物質としてベルノニア(ショウジョウハグマ、Vernonia)属植物種から得られた抽出物を単独で、または他の活性物質および場合によっては1種以上の添加剤と併せて含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための活性物質が植物のベルノニア ノベボラセンス(Vernonia noveboracense)、ベルノニア プラエアルタ(Vernonia praealta)、ベルノニア トメントサ(Vernonia tomentosa)、ベルノニア アンセルミンティカ(Vernonia anthelmintica)、ベルノニア アミグダリナ(Vernonia amygdalina)、ベルノニア シネレア(Vernonia cinerea)、またはこれらの混合物から得られる抽出物である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
植物のベルノニア アンセルミンティカ(Vernonia anthelmintica)から得られた抽出物を含む請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
体毛喪失予防および/または体毛成長促進のための抽出物が、フィトステロール、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、カロチノイド、またはこれらの混合物を含む群から選択された1種以上の成分を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
活性物質がベルノニア(ショウジョウハグマ、Vernonia)属植物種から得られた抽出物を、アロエ(Aloe barbadensis)、ゴボウ(Arctium minus)、トウガラシ(Capsicum annuum L)、ショウガ(Zingiber officinale)、イチョウ(Ginkgo biloba)、緑茶(Camellia sinesis)、バラの実(Rosa canina)、ラベンダー(Lavendula officinale)、セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)、イラクサ(Urtica dioica)、タマネギ(Allium cepa)、ピジウム(Pygeum africanum)、ラタンジョット(Arnebia属種)、赤唐辛子(Capiscum annum)、ローズマリー(Rosamarinus officinalis)、サフラワー油(Carthamus tinctorious)、ノコギリパルメット(Serenoa repens)およびティーツリーオイル(Melaleuca alternifolia)、またはこれらの混合物を含む群から選択される天然源から得られた少なくとも1種の他の抽出物と併せて含む請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
活性物質がベルノニア(Vernonia)属植物種から得られた抽出物を、5α−DHT阻害剤、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、血管拡張薬、プロスタグランジンHシンターゼ−1活性化物質、およびカリウムチャネル開口薬の中から選択された少なくとも1種の他の逆症療法薬物と併せて含む請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
活性物質がベルノニア(Vernonia)属植物種から得られた抽出物を、コルチコステロイド、ジスラノール、トレチノイン、ミノキシジル、亜鉛、刺激薬、フィナステリド、スキノレン/アゼライン酸、エチニルエストラジオールを伴った酢酸シプロテロン、シメチジン、酢酸シプロテロン、スピロノラクトン、ケトコナゾール、抗鬱薬、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロキシクロロキン、ペニシリン、またはこれらの混合物を含む群から選択された少なくとも1種の他の逆症療法薬物と併せて含む請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
添加剤が稀釈剤、崩壊剤、結合剤、付着防止剤、流動化剤、滑沢剤、酸化防止剤、緩衝剤、着色剤、香味剤、被覆剤、溶媒、浸透剤、粘稠化剤、蝋、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、安定剤、緩衝剤、キレート剤、ビヒクル、防腐剤、界面活性剤、脱臭剤、着色剤、増量剤、親水性ポリマー、張度調節剤、局所麻酔剤、pH調節剤、酸、糖アルコール、還元糖および非還元糖、またはこれらの混合物を含む群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
液剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、または噴霧液剤を含む群から選択された局所製剤の形態である請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が医薬、化粧品、またはアーユルヴェーダ用製品として有用である請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
テストステロン誘発型アンドロゲン性脱毛症の管理に有用である請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
請求項1または2に記載の活性物質として用いるべく体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質を天然源から調製または抽出する方法であって、
i) 非極性溶媒またはその混合物を用いて乾燥粉末状の植物または植物部分からの抽出を行なう工程、
ii) 抽出物を蒸留して溶媒を除去する工程、
iii) 場合によってはさらに極性溶媒またはその混合物を用いて残留物からの抽出を行なう工程、
iv) 場合によっては抽出物を蒸留して溶媒を除去し、所望の抽出物を好ましくは粉末として得る工程
を含む方法。
【請求項14】
請求項1または2に記載の活性物質として用いるべく体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質を天然源から調製または抽出する方法であって、
i) 極性溶媒またはその混合物を用いて乾燥粉末状の植物または植物部分からの抽出を行なう工程、
ii) 場合によっては抽出物を蒸留/濃縮して溶媒を除去する/減少させる工程、
iii) 場合によっては抽出物を乾燥して溶媒を除去し、所望の抽出物を好ましくは粉末として得る工程
を含む方法。
【請求項15】
請求項1または2に記載の活性物質として用いるべく体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質を天然源から調製または抽出する方法であって、
i) 生の植物または植物部分の汁を搾り、場合によっては極性溶媒またはその混合物を添加する工程、
ii) 汁を濾過する工程、
iii) 場合によっては抽出物を蒸留/濃縮して溶媒を除去する/減少させる工程、
iv) 場合によっては抽出物を乾燥して溶媒を除去し、所望の抽出物を好ましくは粉末として得る工程
を含む方法。
【請求項16】
請求項1または2に記載の組成物の調製方法であって、
i) 体毛喪失予防および/または体毛成長促進物質である活性物質を1種以上の添加剤と混合する工程、および
ii) 混合物を製剤化して好適な製剤とする工程
を含む方法。
【請求項17】
請求項1または2に記載の組成物の使用方法であって、有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項18】
請求項1または2に記載の組成物を、円形脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、アナゲン脱毛(癌治療による体毛喪失)、自己誘発性体毛喪失、テロゲン脱毛、瘢痕性脱毛症、梅毒性脱毛症、強皮症、および頭部白癬を含む群から選択される1種以上の体毛疾患の管理に用いることを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
円形脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、アナゲン脱毛(癌治療による体毛喪失)、自己誘発性体毛喪失、テロゲン脱毛、瘢痕性脱毛症、梅毒性脱毛症、強皮症、および頭部白癬を含む群から選択される1種以上の体毛疾患の管理への、請求項1または2に記載の組成物の使用。
【請求項20】
実質的に本明細書に記載され、かつ実施例によって具体的に示された医薬組成物および該医薬組成物を調製する方法。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図2(d)】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−532342(P2009−532342A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502334(P2009−502334)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【国際出願番号】PCT/IN2007/000111
【国際公開番号】WO2007/113851
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(500445631)パナセア バイオテック リミテッド (29)
【Fターム(参考)】