説明

体液、特に血液を収容するための試験管

体液、特に血液を収容するための試験管(1)であって、閉鎖キャップ(3)が設けられており、該閉鎖キャップが、1本のカニューレ又はダブルカニューレを支持するガイドスリーブを被せ嵌めるためのドーム(4)を有しており、該ドームが、ドーム先端部(6)に配置された穿刺可能な膜又は栓等を備えており、更に、当該試験管が緊急用マーキング手段を装備可能である形式のものにおいて、緊急用マーキング手段が、ドーム先端部(6)に対する上方からの自由なアクセス性を備えてドーム外周面を被覆する、緊急シグナルカラーリング(7)として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液、特に血液を収容するための試験管であって、閉鎖キャップが設けられており、該閉鎖キャップが、1本のカニューレ又はダブルカニューレを支持するガイドスリーブを被せ嵌めるためのドームを有しており、該ドームが、ドーム先端部に配置された穿刺可能な膜を備えており、更に、当該試験管が着色された緊急用マーキング手段を装備可能である形式のものに関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許第3049503号明細書から公知の採血装置では、採血管の前方端部を閉鎖するキャップが、軸方向で突出した円筒形のドームを有している。このドームの前方端部は、穿刺可能な閉鎖栓/膜によって閉じられており、この閉鎖栓/膜は、中心孔の設けられたドーム端板に載着され且つ前記の前方端部から縁を折り返されたカラーによって保持される。閉鎖キャップは、有利には試験管にねじ締結され、択一的には被せ嵌められる。管状のガイドスリーブが、その前方端部において所定のホルダ内で、両側にカッティングエッジの設けられたダブルエンド型の1本のカニューレを支持しており、このカニューレの、ガイドスリーブから突出した端部は静脈に挿入するために使用される一方で、当該カニューレの後端部はガイドスリーブに突入しており、これにより、ガイドスリーブを試験管に取り付ける際に、前記後端部が膜/閉鎖栓を穿刺する。ガイドスリーブは、摺動可能且つ回転可能にドームに配置されている。ガイドスリーブに突入しているカニューレの後端部は、袋状のチューブ(弁ゴム)によって、このチューブを被せた状態でカニューレ後端部のカッティングエッジが当該チューブの底部に未だ接触しない程度の長さを被覆される。ダブルカニューレをドームと結合するためには、公知の採血装置ではドームに側方に突出する保持突起が設けられており、この保持突起には、ガイドスリーブに設けられた複数の軸方向スリットが対応配置されている。全周にわたって配分された軸方向スリットの内の1つに保持突起が導入されることにより、ドームに緩く嵌め込まれたダブルカニューレのガイドスリーブの、バヨネットクロージャ形式の回動係止が達成される。
【0003】
試験管の開いた端部に被せ嵌めるか、又はねじ締結するための閉鎖キャップの別の公知の構成(ヨーロッパ特許第0818296号明細書参照)では、ガイドスリーブを係止するために、互いに90°だけずらされて配置された3つの保持突起が設けられている。
【0004】
採取した血液を極めて迅速に所定の分析器に供給せねばならない緊急時には、実地において、適当な試験管に緊急用マーキング手段を付与することが公知であり、これにより、作業者がすぐに且つ直接に緊急事態及び多大な急ぎの必要性を認識することが可能である。このためには何年も前から、前記のような試験管にはカラーシールを付与するか、又は閉鎖キャップのドームにカラーの膜キャップを被せ嵌めることが慣例である。これらのいずれの手段にも、特に緊急としてマーキングされていない多数の試験管と一緒に1つの共通のスタンドに立てられた試験管の場合には、この試験管のカラー緊急コードが、緊急を要するとはっきりとは認識されないという欠点がある。それというのも、シールを備えた試験管は、ドームの保持突起までしか被せ嵌められず、その結果、小さな面積のシグナル作用しか供与しない膜キャップと同様、スタンド収容部内で紛れ込んでしまうからである。これに加えて更に、カラー膜キャップでマーキングされた試験管は、分析のためにダイレクトアダプションにアクセス可能であるが、試験管に侵入する試料採取針は、一方ではキャップの膜を貫通し且つ他方では閉鎖キャップのドームの膜を貫通せねばならない。このために必要とされる力を加えることは、大きな抵抗を克服せねばならないことに基づいて、膜キャップの破壊を招く恐れがある。
【0005】
従って本発明の課題は、冒頭で述べた形式の試験管を改良して、前記欠点の無い試験管を提供することであり、特に、確実に認識される緊急用マーキングを付与し、更に、採取された試料用体液の分析に際するより大きな操作確実性をもたらすことである。
【0006】
この課題は本発明に基づいて、緊急用マーキング手段が、ドーム先端部に対する上方からの自由なアクセス性を備えてドーム外周面を被覆する、緊急シグナルカラーリングとして形成されていることによって解決される。これにより、複数の利点が同時に得られる。つまり、大体においてドーム全体を取り囲むシグナルカラーリングに基づき、既存のドームの周面全体にほぼ等しい、最大限のシグナル面が存在することになる。このためには、シグナルカラーリングは直径の拡大されたスリーブ端部区分を有しており、これにより、このスリーブ端部区分はドームの保持突起を覆うまで被せられる一方で、シグナルカラーリングのヘッド区分はドームの外周面に密着する。
【0007】
殊に発光塗料材料から成るシグナルカラーリングは、一般に円錐形のドーム先端部の有利には直前で終わっている。ドーム先端部の露出した円錐端部は、採取した試料の分析に必要とされる試験管のセンタリング性を保持し続けるために寄与する。最後に、本発明によるシグナルカラーリングでマーキングされた試験管は、2つの閉鎖栓又は膜を穿刺する必要無しで、ダイレクトアダプションが可能である。
【0008】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0009】
図1及び図2には、採血装置の内の円筒形の試験管1が拡大された縮尺で示されており、この試験管1内には、ピストンを備えたピストンロッド2が気密に摺動可能に配置されている。試験管1の前方端部は、本実施例ではねじ締結可能な閉鎖キャップ3により閉鎖されている。この閉鎖キャップ3からは軸方向でドーム4が突出しており、このドーム4は、1本のカニューレ又はダブルカニューレを支持するガイドスリーブ(図示せず)と相俟って係止するために、複数の保持突起5(図2参照)を備えて形成されている。円錐形のドーム先端部6には、膜又は栓(図示せず)が設けられている。
【0010】
試験管1を緊急としてマーキングするためには、ドーム4にマーキング手段として、例えば発光色のシグナルカラーリング7が被せ嵌められている。このシグナルカラーリング7もやはり射出成形によりプラスチックから一体に製作されており且つドームに関してより大きな直径のスリーブ端部区分8及び上方に向かってテーパするヘッド区分9を有している。シグナルカラーリング7をドーム4に被せ嵌める際には、スリーブ端部区分8が保持突起5を覆うように滑動して、閉鎖キャップ3のねじ締結部分にまで到達する一方で、ヘッド区分9は円錐端部まで延びており且つドーム4の外周面に密着する。これにより、シグナルカラーリング7はドーム周面全体を被覆しており、延いてはこのような試験管1が、緊急用にマーキングされていない複数の試験管と一緒に1つのスタンドに立てられる場合でも、容易に識別され得る最大のシグナル面積を提供する。
【0011】
ドーム先端部6の被覆されていない円錐端部は、前記のように緊急としてマーキングされた試験管1の良好なセンタリング性を保証する。更に、ドーム先端部6内に配置された膜は、大面積のシグナルマーキングにも関わらず上方から自由にアクセス可能なので、緊急用にマーキングされた試験管1は、直ちに分析装置内の安全なダイレクトアダプション(Direkt−Adaption)にアクセス可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】採血装置の部分として、閉鎖キャップのドームに被せ嵌められた緊急シグナルカラーリングを備えた試験管の全体を示した図である。
【図2】図1に示した試験管に設けられたシグナルカラーリングを縦断して示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液、特に血液を収容するための試験管(1)であって、閉鎖キャップ(3)が設けられており、該閉鎖キャップが、1本のカニューレ又はダブルカニューレを支持するガイドスリーブを被せ嵌めるためのドーム(4)を有しており、該ドームが、ドーム先端部(6)に配置された穿刺可能な膜又は栓等を備えており、更に、当該試験管が緊急用マーキング手段を装備可能である形式のものにおいて、
緊急用マーキング手段が、ドーム先端部(6)に対する上方からの自由なアクセス性を備えてドーム外周面を被覆する、緊急シグナルカラーリング(7)として形成されていることを特徴とする、体液、特に血液を収容するための試験管。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−520979(P2008−520979A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541658(P2007−541658)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001887
【国際公開番号】WO2006/056150
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(597154612)ザルシュテット アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (5)
【氏名又は名称原語表記】Sarstedt AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Rommelsdorfer Strasse, D−51588 Nuembrecht, Germany
【Fターム(参考)】