説明

体液における検体を測定するための方法

【課題】体液サンプルにおける検体を測定(例えば、その検体の濃度を検知および/または測定)する方法であって、体液サンプルを得る工程と、体液サンプルを検体試験片に適用する工程と、適用された体液サンプルを、検体試験片のサンプル受容チャンバに移動させる工程と、体液サンプルにおける検体を測定する工程とを含む。
【解決手段】この方法に使用される検体試験片は、サンプル受容チャンバと流体連絡し、検体試験片のプラットフォーム部に近接する第1のポートを備える。さらに、プラットフォーム部は、少なくとも5μlの第1の(比較的多い)体液サンプルを受容して、第1の体液サンプルの少なくとも一部を、第1のポートを介してサンプル受容チャンバに移動させるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液サンプルにおける検体を測定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体液サンプル(例えば、全血サンプル)における検体測定、例えば、検体検出および/または濃度測定は、今日の社会において重要性を増している。検体測定のためのアッセイにより、臨床検査室および家庭を含む、種々の環境における使用が見出されている。かかるアッセイの結果(「試験」ともいわれる)は、種々の医学的状態の診断および管理において大きな役割を果たす。医学的興味のある検体として、例えば、グルコースおよびコレステロールが挙げられる。検体測定の重要性に応えて、臨床的および家庭での使用の両方についての種々の検体検出プロトコルおよびデバイスが商業的に利用可能になっている。
【0003】
検体検出デバイスの1つの種類は、体液サンプル(例えば、全血サンプル)におけるグルコースなどの検体の濃度を検出および/または測定するために電気化学ベースの方法を使用する検体試験片である。かかる電気化学ベースの方法の間、体液サンプルは、2つの電極、例えば、カウンター電極および作用電極を含む分析的試験片のサンプル受容チャンバに置かれる。検体は、サンプル受容チャンバ内で酸化還元剤との反応を許容されて、検体の濃度に対応する量で酸化性(または還元性)物質を形成する。次いで、存在する酸化性(または還元性)物質の量は、電気化学的に測定されて、最初の体液サンプルに存在する検体の量と関連付けられる。かかる従来の検体試験片は、例えば、特許文献1;特許文献2;特許文献3;および特許文献4(これらの各々は全体において本明細書に援用される)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,708,247号明細書
【特許文献2】米国特許第5,951,836号明細書
【特許文献3】米国特許第6,241,862号明細書
【特許文献4】米国特許第6,284,125号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、広範囲の体液サンプルにおいて種々の検体を測定する際の使用に適切である検体試験片を用いて検体を測定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
種々の体液サンプル量を受容して、本発明の実施形態に従う検体を測定するための検体試験片は、種々の利点を有する。例えば、検体試験片は、体液サンプル量が多い(例えば、5μlより多く、典型的には25μlより多い)組織的環境(例えば、病院または臨床)、および体液サンプル量が少ない(例えば、5μlより少なく、多くの場合、1μl未満である)家庭環境の両方で使用され得る。さらに、本発明の実施形態はまた、多くの体液サンプルの適用および/または過剰な体液サンプルを含む構成についての視覚的誘導を提供する。過剰な体液サンプルのかかる封じ込めは、関連する機器(例えば、計量器)および職員の体液の汚染を回避する点において有益である。
【0007】
本発明の実施形態は、広範囲の体液サンプルにおいて種々の検体を測定する際の使用に適切であり、全血、血漿、血清、間質液、またはそれらの誘導体における検体を測定する際の使用に特に適切であり、ここで、特定の目的の検体はグルコースである。
【0008】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本明細書の詳細と共に、本発明の現在好ましい実施形態を例示し、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に従う、検体試験片の簡略化して、拡大した斜視図であり、破線は種々の構成要素の配置を示す。
【図2】図1の検体試験片の簡略化した斜視図である。
【図3】図1の検体試験片の一部の簡略化した断面図である。
【図4】図1の検体試験片の簡略化した底面図であり、破線は、図4を透視した観点から隠れていた特徴を選択的に示す。
【図5】図1の検体試験片の簡略化した上面図であり、破線は、図5を透視した観点から隠れていた特徴を選択的に示す。
【図6】本発明の別の実施形態に従う、検体試験片の簡略化した上面図である。
【図7】図7Aは、本発明のさらに別の実施形態に従う、検体試験片の簡略化して、拡大した斜視図であり、図7Aの破線は、種々の構成成分の配置を示す。図7Bは、本発明のさらに別の実施形態に従う、検体試験片の簡略した斜視図である。
【図8】図7の検体試験片の簡略した上面図であり、破線は、図8の上面図の観点から隠れていた特徴を選択的に示す。
【図9】本発明の実施形態に従う、検体試験片を製造するための方法の段階を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に従う、体液サンプルにおける検体を測定するための方法の段階を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、同様の数字が同様の要素を示す図面を参照して読まれるべきである。必ずしも縮尺通りであるわけではない図面は、例示のみの目的のために選択された例示的な実施形態を示し、本発明の範囲を限定するものではない。詳細な説明は、例のみを示し、本発明の原理を限定するものではない。この記載により、当業者は、明確に本発明を実施し、使用できる。この記載は、現在、本発明を実施する最適な方法であると考えられているものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適応、バリエーション、代替物および使用を示す。
【0011】
本明細書で使用される場合、任意の数値または範囲についての用語「約」または「およそ」は、本明細書に記載される意図される目的について機能するための構成成分または方法の一部もしくは集合を許容する適切な許容差を示す。さらに、本明細書に使用されるように、用語「患者」、「宿主」および「被験体」とは、任意のヒトまたは動物被験体を指し、ヒトの患者における本発明の使用が好ましい実施形態を示すが、ヒトの使用に対してシステムまたは方法を限定することを意図しない。
【0012】
図1〜図5を参照して、種々の体液サンプル量を受容して、それらの中の検体を測定するための検体試験片100は、第1の絶縁層102(その上に配置される第1の導電層103を備える)、第1の絶縁層102の上に配置される第2の絶縁層104(その上に配置される第2の導電層105を備える)、および第1の絶縁層102の下に少なくとも部分的に配置される第3の絶縁層106を備える。
【0013】
第3の絶縁層106は、第1の絶縁層102および第2の絶縁層104の下に延在するプラットフォーム部108を備える。プラットフォーム部108は、体積で少なくとも5μl、好ましくは、体積で25μlより多い体液サンプルを受容するように構成される上面110を有する。かかる比較的多い量は、典型的に、組織的環境において使用される。第3の絶縁層106はまた、第1の絶縁層102および第2の絶縁層104の下に延在して、プラットフォーム部108の近くに配置されるハンドル部112を有する。
【0014】
検体試験片100はまた、第1の絶縁層102と第2の絶縁層104との間に挟まれた型どられた(patterned)スペーサー層114を備える。型どられたスペーサー層114は、第1の絶縁層102と第2の絶縁層104との間のチャネル116を規定するのに役立つ。さらに、図1および図2に明確に示すように、検体試験片100のサンプル受容チャンバ118は、型どられたスペーサー層114の2つの内側縁、および第1の導電層103(その上に試薬層132を備える)と第2の導電層105との間の毛管スペースによって形成される。さらに、チャネル116は、プラットフォーム部108に近接する第1のポート120、および検体試験片100の第1の外側縁124において第2のポート122を有する。第1のポート120および第2のポート122が、サンプル受容チャンバ118と流体連絡することは、留意されるべきである。第1の外側縁124に加えて、検体試験片100はまた、遠位端126、近位端128、および第2の外側縁130を有する。
【0015】
一旦、本発明を開示すると、当業者は、図1〜図3の実施形態において、サンプル受容チャンバ118およびチャネル116は、本質的に同様の特徴であることを理解するだろう。しかしながら、当業者はまた、サンプル受容チャンバ118がまた、第1の導電層103および第2の導電層105それぞれの形状および配置に依存して、チャネル116の下位部分(sub−portion)になることも理解するだろう。
【0016】
プラットフォーム部108の上面110は、少なくとも5μl(図示せず)の第1の体液サンプルを受容して、その第1の体液サンプルの少なくとも一部を、第1のポート120を介してサンプル受容チャンバ118に移動させるように構成される。さらに、第2のポート122は、第1の体液サンプルより少ない量の第2の体液サンプル(これも図示せず)を受容して、第2の体液サンプルの少なくとも一部を、サンプル受容チャンバ118に移動させるように構成される。検体試験片100はまた、図1に示すように、試薬層132を備える。
【0017】
一旦、本発明を開示すると、当業者は、検体試験片100の構成が、比較的多い量(すなわち、5μlより多く、好ましくは、25μlより多い)の第1の体液サンプル、または少ない量(例えば、5μl未満、または好ましくは、1μl未満)の第2の体液サンプルのいずれかにおいて検体測定を有益に提供することを理解するだろう。ここで、本発明の実施形態に従う検体試験片は、異種の体液サンプル量と有益に適合し得、多い体液サンプル量について組織的環境、および比較的少ない体液サンプル量について家庭での両方において使用され得る。
【0018】
図1〜図5の実施形態において、第1の導電層103は、第1の絶縁層102の内面134にコーティングされる。第2の導電層105は、第2の絶縁層104の内面136にコーティングされる。第1の導電層(103)および第2の導電層(105)は、それぞれ、第1の電極138および第2の電極140を形成するのに役立ち(図3を参照のこと)、サンプル受容チャンバ118を縁どる。第1の導電層103はまた、第1の接続トラック142および第1の導体パッド144を形成するが、一方、第2の導電層105は、第2の接続トラック145および第2の導電パッド146を形成する。
【0019】
第1の絶縁層102および第2の絶縁層104は、例えば、プラスチック(例えば、PET、PETG、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン)、シリコン、セラミックまたはガラス材料から形成されてもよい。例えば、第1の絶縁層および第2の絶縁層は、7ミル(約177.8μm)のポリエステル基材から形成されてもよい。
【0020】
図1〜図5の実施形態において、第2の電極140とともに第1の電極138は、当業者に公知の任意の適切な電気化学ベースの技術を用いて体液サンプル(例えば、全血サンプルにおけるグルコースなど)における検体濃度を電気化学的に測定するように構成される。第1の接続トラック142は、第1の電極138を第1の導体パッド144に電気的に接続する第1の導電層103の一部である。第1の導体パッド144は、関連する計量器に動作可能に接続するように構成される。第2の導体パッドは146もまた、関連する計量器に動作可能に接続するように構成される。
【0021】
図1は、第1の導電層(103)および第2の導電層(105)の各々において形成される1つの電極のみを示すが、当業者は、1つの電極より多くが、例えば、エッチングまたはパターン化された堆積技術を用いてかかる導電層から形成され得ることを理解する。代替の実施形態において、第1の電極および第2の電極は、同一平面上の配置において構成されてもよい。
【0022】
所望の場合、第1の導電層103および/または第2の導電層105は、2−メルカプトエタンスルホン酸(MESA)を含む溶液でコーティングされて、次いで、乾燥されてもよい。かかるMESAコーティングの1つの目的は、第1の導電層(103)および/または第2の導電層(105)の親水性を作り出し、また、第1の導電層(103)および/または第2の導電層(105)が、周囲空気における不用意な有機化合物により汚染することを保護することである。かかる親水性表面はまた、体液サンプルをサンプル受容チャンバに満たすのに有益であり得る。
【0023】
第1の導電層103および第2の導電層105は、それぞれ、例えば、金、パラジウム、炭素、銀、白金、酸化スズ、イリジウム、インジウム、またはそれらの組み合わせ(例えば、インジウムでドープされた酸化スズ)などの任意の適切な導電材料から形成され得る。さらに、任意の適切な技術が使用されて、例えば、スパッタリング、エバポレーション、化学めっき、スクリーン印刷、密着焼付け、またはグラビア印刷を含む、第1の導電層および第2の導電層を形成する。例えば、第1の導電層103は、スパッタパラジウム層であってもよく、第2の導電層105は、スパッタ金層であってもよい。第1の導電層および第2の導電層の厚さは、例えば、約10ナノメートル以上、好ましくは約10ナノメートル〜約80ナノメートルの範囲であってもよい。
【0024】
図1〜図5に示すように、型どられたスペーサー層114は、第1の絶縁層102(その上に第1の導電層103を備える)および第2の絶縁層104(その上に第2の導電層105を備える)を一緒に結合するのに役立つ。型どられたスペーサー層114は、例えば、両面粘着層、加熱によって活性化される接着層、または熱硬化性接着プラスチック層であってもよい。実施形態において、型どられたスペーサー層114は、ポリエステルシートの反対側にコーティングされる両面シアノアクリル粘着剤である。別の実施形態において、型どられたスペーサー層114は、例えば、比較的高分子量を有する直線的に飽和されたコポリエステル樹脂であるVitelなどの熱可塑性シートである。熱可塑性は70℃で積層されて、2つの層を一緒に結合してもよい。
【0025】
型どられたスペーサー層114は、例えば、約1ミクロン〜約500ミクロン、好ましくは約10ミクロン〜約400ミクロン、より好ましくは約40ミクロン〜約200ミクロンの範囲の厚さを有してもよい。型どられたスペーサー層114の厚さが、第1の電極138と第2の電極140との間の毛管寸法距離を規定することは留意するべきである(特に図3を参照のこと)。
【0026】
チャネル116は、例えば、約0.01cm2〜約0.2cm2、好ましくは約0.02cm2〜約0.15cm2、より好ましくは約0.03cm2〜約0.08cm2の範囲の領域を有してもよい。例示的な実施形態において、図4に示すように、チャネル116は、約1.2ミリメートルの幅Wおよび約3.5ミリメートルの長さLを有してもよい。
【0027】
試薬層132は、例えば、体液サンプルにおけるグルコースなどの検体と選択的に反応して、次いで、本発明の実施形態に従う検体試験片の電極で定量的に測定され得る電気活性種を形成する試薬の任意の適切な混合物であってもよい。従って、試薬層132は、少なくとも1つのメディエーターおよび酵素を含んでもよい。適切なメディエーターの例としては、フェリシアン化物、フェロセン、フェロセン誘導体、オスミウムビピリジル複合体、およびキノン誘導体が挙げられる。適切な酵素の例としては、グルコースオキシダーゼ、ピロロキノリンキノン(PQQ)補因子を用いるグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)補因子を用いるGDH、およびフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)補因子を用いるGDHが挙げられる。
【0028】
試薬層132は、例えば、検体試験片100の第1の電極および/または第2の電極上に適切な試薬処方物を調剤することによって製造され得る。試薬処方物を調剤後、乾燥プロセスは、試薬処方物から水を除去するように使用され得、それによって、試薬層132を形成する。試薬処方物の例示的な実施形態は、33mMシトラコ酸カリウム(potassium citraconate)、pH6.8、0.033%プルロニック(Pluronic)P103、0.017%プルロニックF87、0.85mM CaCl2、30mMスクロース、286μM PQQ、15mg/mL GDH、および0.6M フェリシアン化物を含んでもよい。プルロニックは、消泡剤および/または湿潤剤として機能し得るエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドに基づいたブロックコポリマーである。試薬処方物をプリントするための例示的な実施形態は、導体層の上に約150μmを平衡状態にする13ゲージニードルの端部から調剤するプロセスである。
【0029】
一実施形態において、試薬層132は、第1の電極138の領域よい大きい領域を有してもよい。結果として、型どられたスペーサー層114の一部は、試薬層132と重なって、接触してもよい。従って、試薬層132の一部は、型どられたスペーサー層114と第1の電極138との間にあるが、型どられたスペーサー層114は、第1の電極138に液体不透性シールを形成するように構成されてもよい。例えば、型どられたスペーサー層114は、試薬層132の一部と混ざり合ってもよいか、または部分的に溶解してもよく、それによって、操作可能な電極領域を規定するのに十分な第1の電極138に対する液体不透性結合を形成する。
【0030】
上記のチャネル116の領域および型どられたスペーサー層114の厚さに基づいて、サンプル受容チャンバ118の体積は、約0.1μl〜5μl、好ましくは約0.2μl〜約3μl、より好ましくは約0.3μl〜約1μlの範囲であってもよい。
【0031】
プラットフォーム部108およびハンドル部112は、操作性の有益な増加を提供する。操作性とは、一般的に、容器から試験片を除去すること、試験片を関連する計量器に挿入すること、およびユーザーが体液で汚されずに使用された試験片を試験計量器から除去することを含む、検体試験片を操作するユーザーの能力をいう。
【0032】
プラットフォーム部108は、例えば、約4mm2以上、好ましくは約56mm2以上である領域を有してもよい。プラットフォーム部108は、約2mm以上、好ましくは約7mm以上の距離のために第1のポート120から外側に延在してもよい。
【0033】
本発明に従う検体試験片の一実施形態において、プラットフォーム部の上面は、検体試験片のサンプル受容チャンバより低い親水性であるように構成され、その結果、毛管力は、チャネルを介してサンプル受容チャンバの充填を引き起こす。一旦、サンプル受容チャンバが、第1の体液サンプルの一部で満たされると、過剰な量の第1の体液サンプルは、プラットフォーム部に保持されてもよい。
【0034】
体液サンプルが、病院、臨床的または他の組織環境で回収(例えば、吸引)される場合、比較的多い量の体液が、一般に、利用可能である。例えば、血液は、静脈穿刺によってシリンジを用いて吸引されてもよいか、または静脈もしくは動脈カテーテルを介して得られてもよい。この状況において、血液は、皮下注射針、シリンジまたはピペットの端部で比較的大きな滴の血液をしぼり出すことによって、分析的試験片に堆積されてもよい。シリンジまたはピペットを使用する場合、比較的小さな滴の血液をしぼり出すことは難しいことが留意されるべきである。ここで、少量は、例えば、約20μl未満、好ましくは約5μl未満であってもよい。病院環境における典型的なシリンジまたはピペットは、かかる少量を分配するように設計されていない。さらに、典型的なシリンジまたはピペットは、分析的試験片の端部上のポートに誘導され得る懸滴を容易に作らない。従って、比較的大きな体液の滴のみを生成し得るシリンジ、ピペットチップまたは他のデバイスを用いる場合、上からプラットフォーム部(例えば、検体試験片100)に投与され得る検体試験片により、投与プロセスが容易になり、台(counter−top)、床またはユーザー上で分裂する体液の可能性を減少させる。さらに、一部の状況において、ユーザーは、対照溶液を分的試験片に適用することを所望してもよい。従来の対照溶液は、対照溶液の比較的大きな滴を生じる分注チップを用いて容器に保存される。かかる対照溶液の比較的大きな滴は、分析的試験片の端部上のポートに適用するのは困難であり得るが、本発明の実施形態に従う分析的試験片のプラットフォーム部に容易に適用できる。
【0035】
病院環境とは対照的に、比較的少ない量の体液サンプルは、家庭環境において一般に利用可能である。例えば、血液は、ユーザーの指先または代替の標的部位(例えば、前腕、掌または大腿部)を刺すランセットデバイス(lancing device)を用いて吸引され得る。次いで、比較的小さい血液の滴は、ユーザーの皮膚層からしぼり出されてもよい。指先を用いる場合、ユーザーは、懸滴を作り出し、指先を動かして、第2の(少ない)体液サンプルとして懸滴を検体試験片に適用することができる。前腕などの代替の部位を用いる場合、ユーザーは、典型的に、関連する計量器に挿入されるか、または結合される試験片を、しぼり出される血液サンプルに動かす。本発明者らは、少しの量の体液が、分析的試験片の端部(例えば、図4および図5に示す第2のポート)に配置されるポートに容易に適用されることを発見した。かかる実施形態において、指からしぼり出される血液は、第2のポートに隣接して置かれて、サンプル受容チャンバを満たすことができる。かかる使用において、第2のポートは、液体が侵入するための入口ポートとして作用して、第1のポートは、空気が排出するための出口/排出ポートとして作用することができる。
【0036】
ユーザーは試験すること、または試験されることを必要とする場合があるため、組織的環境(例えば、病院)または家庭環境のいずれかにおいて、本発明の実施形態に従う分析的試験片は、異種(異なる)体液サンプル量の使用を提供する構成に起因して多用性がある。
【0037】
図6を参照して、種々の体液サンプル量を受容して、その中に検体を測定するための検体試験片200が示される。検体試験片200は、以下に示す2つのさらなる特徴(すなわち、切り込みおよび2つの体液吸収パッド)の追加を除いて、図1〜図5の検体試験片100と同一である。従って、検体試験片200の多くの要素は、図1〜5から同様の番号を用いて番号付けられ、簡略化するために、さらにここで記載しない。
【0038】
検体試験片200は、プラットフォームの中に形成される切り込み202を有するプラットフォーム部108、およびそのプラットフォーム上に配置される2つの体液吸収パッド204を備える(図6を参照のこと)。体液吸収パッド204は、プラットフォーム部108に受け取られるが、検体試験片200のサンプル受容チャンバに移動されない過剰な量の第1の(多くの)体液(図示せず)を吸収して、保持するように構成される。体液吸収パッド204の有益な機能は、検体試験片200の使用の間、体液をユーザーまたは他の不用意な位置に移動するあらゆる可能性を減少させることである。切り込み202の目的は、ユーザーが、検体試験片200上の比較的多い量の体液サンプルを投与することに関して、ユーザーに対する概略的な視覚的誘導を提供することである。
【0039】
図7A、図7B、および図8を参照して、本発明の別の実施形態に従う、種々の体液サンプル量を受容して、その中の検体を測定するための検体試験片300を示す。検体試験片300は、(i)ハンドル部112がないこと、および(ii)検体試験片300は、第2のポート122が検体試験片300(さらに後述する)の近位端外側縁にあるように構成されることを除いて、図1〜図5の検体試験片100と本質的に同様である。従って、検体試験片300の要素は、図1〜5から同様の数字を用いて番号付けされ、簡略化のために、かかる要素はさらに記載されない。
【0040】
上記のように、検体試験片300の第2のポート122は、検体試験片300の近位端外側縁399に配置される。検体試験片の近位端外側縁において第2のポート122を配置することは、使用者の指先などの標的部位からしぼり出される体液サンプルを含む検体試験片を適用する使用者のために、容易に位置を確認できるポートを提供することに関して有益である。すなわち、理論に束縛されずに、一部のユーザーは、分析的試験片の外側端に配置される第2のポートを見つけることより容易に、分析的試験片の近位端外側縁に配置される第2のポートの位置を確認できると推定される。
【0041】
図1〜図8は、電気化学ベースの検体測定のために構成される検体試験片を示しているが、一旦、本発明が開示されると、当業者は、本発明の実施形態に従う検体試験片がまた、比色分析技術または任意の他の適切な検体測定技術を介して検体測定のために構成されることを理解するだろう。
【0042】
図9は、本発明の実施形態に従う検体試験片を製造するための方法400の段階を示すフローチャートである。方法400は、例えば、図1〜図5、図6、図7A、図7Bおよび図8に関する上記の検体試験片を製造するために使用され得る。
【0043】
方法400は、工程410において、第1の絶縁層と第2の絶縁層との間に型どられたスペーサー層を配置することを含む。工程410は、第2の絶縁が、第1の絶縁層の上に配置され、型どられたスペーサー層が、第1の絶縁層と第2の絶縁層との間にチャネルを規定するように成される。さらに、チャネルは、その中にサンプル受容チャンバ、第1のポートおよび第2のポートを有する。
【0044】
方法400はまた、工程420に示すように、第3の絶縁層を第1の絶縁層に連結して、第3の絶縁層が、第1の絶縁層の下に少なくとも部分的に配置されることを含む。
【0045】
方法400において、第3の絶縁層は、第1の絶縁層および第2の絶縁層を越えて延在し、第1のポートに近接する上面を有するプラットフォーム部を備える。さらに、(i)第1のポートおよび第2のポートは、サンプル受容チャンバと流体連絡し、(ii)プラットフォーム部の上面は、少なくとも5μlの第1の体液サンプルを受容して、第1の体液サンプルの一部でサンプル受容チャンバを満たすように構成され、(iii)第2のポートは、第1の体液サンプルより少ない量の第2の体液サンプルを受容して、第2の体液サンプルの一部でサンプル受容チャンバを満たすように構成される。
【0046】
一旦、本発明を開示すると、当業者は、方法400を、本発明の検体試験片に関して、本明細書に記載される任意の有益な特徴および特性を有する検体試験片の製造を生じる工程を含むように容易に改変し得ること理解するだろう。
【0047】
図10は、本発明の実施形態に従う、体液サンプル(例えば、全血サンプル)における検体(例えば、グルコース)を測定するための方法500の段階を示すフローチャートである。方法500に関して、用語「測定する」とは、検出および/または濃度測定をいう。
【0048】
方法500は、工程510に示すように、例えば、全血などの体液サンプルを得る工程を含む。体液サンプルは、特に、組織的環境および家庭環境に関して、本明細書に記載されるものを含む、当業者に公知の任意の適切な技術を用いて得られ得る。
【0049】
続いて、体液サンプルは、検体試験片に適用される(工程520を参照のこと)。一旦、本発明が開示されると、当業者は、体液サンプルが、図1〜図5、図6、図7Aおよび図8に関して、例えば、上記のものを含む本発明の実施形態に従う検体試験片に適用され得ることを理解するだろう。適用する工程は、体液サンプルの量に依存して、検体試験片の第2のポートおよびプラットフォーム部のうちの1つに体液サンプルを適用する工程を含む。
【0050】
工程530において、適用される体液サンプルは、検体試験片のサンプル受容チャンバに移動される。次いで、工程540において、体液サンプルにおける検体は、例えば、電気化学ベースの技術を用いて測定される。
【0051】
概して、方法500において使用される検体試験片は、サンプル受容チャンバと流体連絡し、検体試験片のプラットフォーム部に近接する第1のポートを備える。さらに、プラットフォーム部は、少なくとも5μlの第1の体液サンプルを受容して、第1の体液サンプルの少なくとも一部を第1のポートを介してサンプル受容チャンバに移動させるように構成される。検体試験片はまた、サンプル受容チャンバと流体連絡する上述の第2のポートおよび検体試験片の外側端を備え、その第2のポートは、第1の体液サンプルより少ない量の第2の体液サンプルを受容して、第2の体液サンプルの少なくとも一部をサンプル受容チャンバに移動させるように構成される。
【0052】
一旦、本発明を開示すると、当業者は、第1の体液サンプルが、比較的「多い」サンプルであり、第2の体液サンプルが、比較的「少ない」サンプルであるとみなされ得ることを理解するだろう。さらに、当業者はまた、ユーザーが、第1の(多い)体液サンプルまたは第2の(少ない)体液サンプルのいずれかを適用するが、第1の体液サンプルおよび第2の体液サンプルの両方を同じ分析的試験片に適用しないことを理解するだろう。
【0053】
方法500は、当業者によって容易に改変されて、本発明の実施形態および本明細書の記載に従う検体試験片の技術、利点および特徴のいずれかを組み込んでもよい。
【0054】
本発明の好ましい実施形態を示し、本明細書に記載しているが、かかる実施形態が例示のみで提供されていることは当業者には明らかであろう。当業者は、多くの改変、変更および置換を、本発明から逸脱せずに想到するだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替は、本発明を実施する際に使用され得る。添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、従って、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物は、本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液サンプルにおける検体を測定するための方法であって、当該方法は、
体液サンプルを得る工程と、
前記体液サンプルを検体試験片に適用する工程と、
前記適用された体液サンプルを、前記検体試験片のサンプル受容チャンバに移動させる工程と、
前記体液サンプルにおける検体を測定する工程と、を含み、
前記検体試験片は、
前記サンプル受容チャンバと流体連絡し、前記検体試験片のプラットフォーム部に近接する第1のポートであって、前記プラットフォーム部は、少なくとも5μlの第1の体液サンプルを受容して、前記第1の体液サンプルの少なくとも一部を、前記第1のポートを介して前記サンプル受容チャンバに移動させるように構成される、第1のポートと、
前記サンプル受容チャンバおよび前記検体試験片の外側縁と流体連絡する第2のポートであって、前記第2のポートは、前記第1の体液サンプルより少ない量の第2の体液サンプルを受容して、前記第2の体液サンプルの少なくとも一部を前記サンプル受容チャンバに移動させるように構成される、第2のポートと、を備え、
前記適用する工程は、前記体液サンプルの量に依存して、前記検体試験片の前記第2のポートおよび前記プラットフォーム部のうちの1つに前記体液サンプルを適用する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記体液サンプルは全血サンプルであり、前記検体はグルコースである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラットフォーム部は、少なくとも25μlの体液サンプルを受容するように構成され、前記第2のポートは5μl未満の体液サンプルを受容するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記得る工程は、シリンジ、ピペット、および皮下注射針のうちの1つを用いて体液サンプルを得る工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記得る工程は、前記体液サンプルをユーザーの指からしぼり出すことによって、前記体液サンプルを得る工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記適用する工程は、前記プラットフォーム部における切り込みの視覚的誘導によって補助される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のポートは、前記検体試験片の外側縁にある、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のポートは、前記検体試験片の近位端縁にある、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ユーザーが、前記適用する工程および前記測定する工程の間に、前記検体試験片を扱うことによって前記検体試験片を操作する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記測定する工程は、前記検体試験片の第1の電極および第2の電極を使用して、前記検体の電気化学ベースの測定を実施する、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−8413(P2010−8413A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−146470(P2009−146470)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America