説明

体液サンプルを検査するシステム

【課題】ユーザがバンド・カートリッジの交換の必要性に驚かないように、担体バンドの消耗品要素の供給部分において残存する未使用の消耗品要素の個数に関する情報を獲得する更にコスト効率的な方法を見出す。
【解決手段】複数の消耗品要素4を担持する担体バンド3であって、該担体バンド3の一端は、使用済みの消耗品要素4と共に該担体バンド3をバンド前送りのためにリール6上へと巻回する巻き上げデバイス5に対して取付けられる担体バンド3を具備し、且つ、担体バンド3の未使用の消耗品要素4の供給部分に関する情報を表示するディスプレイを具備する体液のサンプルを検査するシステムに関する。本発明に依れば、担体バンド3の未使用の消耗品要素4の供給部分に関する情報は、回転角度から、且つ、該回転角度に亙るリール6の回転により担体バンド3が移動されるバンド前送り長さから、獲得されることが実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の消耗品要素を担持する担体バンドであって、該担体バンドの一端は、使用済みの消耗品要素と共に該担体バンドをバンド前送りのためにリール上へと巻回する巻き上げデバイスに対して取付けられる担体バンドを具備し、且つ、担体バンドの未使用の消耗品要素の供給部分に関する情報を表示するディスプレイを具備する体液のサンプルを検査するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
この形式のシステムはユーザの高度の快適さを提供する、と言うのも、1本の担体バンド上に、例えばグルコース濃度を決定する検査領域などの多数の消耗品要素が配設され得るからである。結果として、多くのユーザが面倒と感じ得る測定デバイスにおけるバンド・カートリッジの交換は、低い頻度でのみ必要とされる。
【0003】
斯かるバンド・カートリッジに対しては、残存する未使用の消耗品要素の個数が記憶される例えばRFIDなどの再書込み可能なデータ記憶媒体が取付けられ得る。この個数はその後、上記カートリッジが挿入される測定デバイスにより、1個の消耗品要素が使用される毎に更新され得る。この様にして、カートリッジにおいて依然として利用可能な消耗品要素の個数は、確実に監視され得ると共に、該個数は、供給部分(supply)が残り少ないときにユーザに対して表示され得る。この場合の不都合は、上記データ記憶媒体に伴うコストである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
故に、本発明により対処される課題は、ユーザがバンド・カートリッジの交換の必要性に驚かないように、担体バンドの消耗品要素の供給部分において残存する未使用の消耗品要素の個数に関する情報を獲得する更にコスト効率的な方法を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、特許請求の範囲において特定された特徴を有するシステムにより、且つ、請求項15に係る方法により解決される。本発明の好適な改善例は、各従属請求項の主題である。
【0006】
本発明に係るシステムにおいて、上記担体バンドの未使用の消耗品要素の上記供給部分のサイズに関する情報は、回転角度と、該回転角度に亙る上記リールの回転により上記担体バンドが移動されるバンド前送り長さとから獲得される。この様にして、上記担体バンドを所定の前送り長さに沿い前進させるために、上記リールがどれほど回転され、すなわち如何なる角度に亙り回転される必要があるかが決定され得る。上記所定の前送り長さは、例えば、2個の消耗品要素間の距離に対応し、又は、上記担体バンドに対して適用された各マークであってバンド前送りの間においてセンサを通過して案内される各マーク間の距離に対応する。
【0007】
更に詳細には、上記リールが太いほど、上記リールの1回の完全回転により行われる上記担体バンドの前送り移動は大きい。また、上記リールの直径が大きいほど、所定角度に亙る回転により、上記担体バンドは更に大きなバンド前送り長さだけ前進される。上記リールの太さが大きいほど、該リール上に既に巻回されたバンド長さは大きいことから、バンド前送り長さに伴う回転角度を解析することにより、既に巻き上げられたバンド長さに関するが故に、既に使用された消耗品要素の個数に関する情報が獲得され得る。更に詳細には、上記巻き上げデバイスにより既に巻き上げられたバンド長さは、既に使用された消耗品要素の個数の尺度である。従って、残存するバンド長さは、使用のために依然として利用可能である消耗品要素の個数に比例する。
【0008】
故に、上記リールの太さ、特にその直径が決定的閾値を超えたとき、このことは、残存する未使用の消耗品要素の供給部分が間もなく使い果たされることを意味する。上記リールの太さを直接的に測定し、或いは、上記リールデバイスが起動される毎に巻き上げられたバンド区画を連続的に合計するのではなく、本発明によれば、上記リールの太さに関する結論は、回転角度に伴う上記バンドの前進量から導かれることで、上記担体バンドの未使用の消耗品要素の供給部分に関する情報が獲得される。更に詳細には、特定の回転角度から帰着する上記バンドの前進量は、担体バンド上に配備された消耗品要素の供給部分の内で、既に使用された供給部分の割合の尺度である。
【0009】
上記回転角度と、該回転角度に亙る上記リールの回転により上記担体バンドが移動されるバンド前送り長さとから、既に使用された消耗品要素の正確な個数が決定され得る。もし、通常はそうである様に、担体バンドにより担持される消耗品要素の個数が既知であれば、残存する未使用の消耗品要素の個数も算出され得る。但し、消耗品要素の供給部分が間もなく枯渇することをユーザに対して適時に知らせる上で、残存する未使用の消耗品要素の正確な個数を決定することが絶対的に必要ではない。代わりに、例えば、3個の消耗品要素まで、又は、新たな担体バンドにおける消耗品要素の総数に対して10%までの不正確さを以て近似的な表示を提供すれば概略的に十分である。
【0010】
例えば、上記担体バンドの未使用の消耗品の供給部分において残存する担体バンドの未使用の消耗品要素の個数などの、該供給部分のサイズに関する情報はまた、例えば、上記リールの太さが決定的閾値を超えると直ちに、例えば光信号などの警告信号を生成することによりユーザに対して表示され得る。特に、上記担体バンドの未使用の消耗品要素の供給部分のサイズを、残存する未使用の消耗品要素の個数と長さが相関する棒状体、換言すると、上記棒状体が短いほど残存する未使用の消耗品要素は少ない、棒状体として表示することも可能である。
【0011】
本発明の好適な改善例に依れば、上記担体バンドは規則的な間隔で配設されたマークを有し、且つ、該マークは、上記バンド前送り長さ、換言すると、上記バンドの前進量を測定する目的で、センサにより検出されることが実現される。この目的に対しては、例えばフォトダイオード、光トランジスタなどの光学的センサ、又は、他の感光性センサが特に適している。
【0012】
各マークを検出するために、上記担体バンド上の測定スポットが光源により照明され得ると共に、この測定スポットはセンサにより監視され得る。上記測定スポットを通りマークが移動するとき、上記センサにより検出される明るさが変化することから、該マークが検出され得る。
【0013】
最も単純な場合、上記マークは上記担体バンドにおける孔又は凹所として具現され得ると共に、光源及びセンサは、上記担体バンドの異なる側に夫々配設される。その場合、マークの検出は、光電バリヤの原理に従い機能する。但し、上記マークは反射により検出されることが好適である。この目的のために、上記マークは、上記担体バンドの残存領域から可及的に反射率に関して異なること、換言すると、最も明瞭な可能的コントラストを形成することが好適である。明るい表面又は金属被覆は高度に反射的であることから、暗色、特に黒色の領域に対して高度に対照的である。この場合における反射という語句は、その包括的な意味において使用されていることから、反射率、すなわち非方向性の又は拡散的な反射、及び、他の波長における光の減衰も包含する。例えば、位置マークに対し、蛍光顔料、又は、蛍光染料も使用され得る。
【0014】
特に好適には、上記担体バンド上には停止マークが配備され得ると共に、該マークが上記センサにより検出されると、例えば、検査領域がサンプルを採取する位置に載置され得るなど、消耗品要素が使用位置に位置決めされる如く、上記巻き上げデバイスは停止される。また、バンド進行速度の、又は、2個の停止マーク間におけるバンド前送り長さの単純な測定も可能とするために、上記担体バンド上には付加的なマークも配備され得る。
【0015】
本発明の更なる改善例に依れば、上記巻き上げデバイスは、上記担体バンドの未使用の消耗品要素の上記供給部分のサイズに関して獲得された上記情報に基づいて制御されることが実現される。例えば、残存する未使用の消耗品の個数などの、未使用の消耗品要素の供給部分に関する情報を制御デバイスに対して供給することにより、バンド前送りの目的で上記巻き上げデバイスの回転速度は、上記リールの太さに対して調節され得る。この様にして、別の1個の消耗品要素を提供するために必要とされる時間は、リール太さに殆ど依存しない様にされ得る。故に、未使用の消耗品要素の供給部分に関して獲得された上記情報を使用すると、上記巻き上げデバイスは、別の1個の消耗品要素を提供するために必要とされる時間に対する目標値が事前定義されるように制御され得る。
【0016】
例えば、1個の消耗品要素が提供されつつあるときに、バンド進行速度は、上記リールの太さに依存しない目標値に対して調整され得る。1個の消耗品要素の提供の間における上記バンド進行速度とは、平均のバンド進行速度として理解される、と言うのも、上記担体バンドは、前送り移動の開始時には最初に加速されてから、減速されるからである。1個の消耗品要素の提供の間における上記バンド進行速度は、2個の消耗品要素間の距離を、対応する経路長に亙り上記バンドを前送りするために必要とされる時間で除算した商である。
【0017】
一定のユーザは、1個の消耗品要素を提供するために必要とされる時間が、リールの太さに依存して深刻な変動に委ねられることに困惑を覚えることもある。このことは、バンド進行速度を、上記リールの太さに依存しない目標値へと調整する目的で、上記システムに対して制御デバイスを加えることにより克服され得る。斯かる調整のために、上記担体バンドの未使用の消耗品要素の供給のサイズに関する情報が、決定されて表示されることは、絶対的に必須ではない。例えば、任意の所定時点におけるバンド進行速度が、上記担体バンドに対して適用されたマークを使用して定常的に監視されると共に、必要であれば、所望の目標時間以内に、1個の消耗品要素が提供され、換言すると、該要素が、例えばサンプル採取又は濃度測定のための該要素の使用位置に到達する如く、上記リールの回転速度を増大又は減少すれば十分である。故に、独立した重要性も有し得る本発明の1つの態様は、体液のサンプルを検査するシステムであって、該システムは、複数の消耗品要素を担持する担体バンドであって、該担体バンドの一端は、使用済みの消耗品要素と共に該担体バンドをバンド前送りの目的でリール上へと巻回する巻き上げデバイスに対して取付けられる担体バンドを備えて成り、且つ、上記バンド進行速度を、上記リールの太さに依存しない目標値へと調整する制御デバイスを備えて成る、システムに関する。
【0018】
上記担体バンドの未使用の消耗品要素の上記供給部分に関して獲得された上記情報は、記憶装置に記憶され得る。もし上記巻き上げデバイスが、別の1個の消耗品要素を提供するために必要とされる時間が一定のままである如く制御されるべきであれば、該巻き上げデバイスは、起動されたときに、対応する情報を考慮して、即時に起動され得る。1個の消耗品要素が使用されたとき、記憶されたカウンタ状態は更新され得、換言すると、それは1だけ調節され得、例えば、上記カウンタ状態は残存する使用可能な消耗品要素の個数を表示し得ると共に、この個数は、使用毎に1だけ減少され得る。
【0019】
本発明の更なる改善例に依れば、上記バンド前送り長さは、上記リールの回転角度位置に基づいて検出され、このことから該リールの不均衡(imbalance)に対する値が決定され、且つ、この値に基づき、未使用の消耗品要素のみを担持する新たな担体バンドが、既に部分的に巻き上げられた担体バンドであって少なくとも一個の使用済みの消耗品要素を担持する担体バンドから区別されることが実現される。上記担体バンドの長手方向に延在し且つ上記担体バンドより可撓性が低い検査領域及び他の消耗品要素によれば、上記リールが巻き上げられつつあるときに、該リールの相当の不均衡が引き起こされ得る。
【0020】
この不均衡の結果として、上記バンド前送り長さは、上記リールの回転角度だけでなく、その回転角度位置にも依存する。新たな担体バンドによれば、通常は上記巻き上げデバイス上へと消耗品要素は未だ巻回されていないので、不均衡は無い。故に、新たな担体バンドは、不均衡が存在しないことに基づいて検出され得る。これに基づき、本発明に係るシステムは、新たな担体バンドを収容する新たなバンド・カートリッジが測定デバイスに挿入された時点を自動的に検出し得る。上記リールの不均衡に対して決定された値は、記憶装置内に記憶され得る。もし、後時において、不均衡に対して変化した値が検出されたなら、このことは、担体バンドの交換として識別され得る。使用された又は部分的に使用された担体バンドが、既に部分的に巻き上げられた担体バンド、換言すると、同様に使用済み消耗品要素を担持する担体バンドにより置き換えられるという場合を検出することさえ可能である。
【0021】
上記消耗品要素は好適には、体液のサンプル中の分析対象物濃度を測定する検査要素である。この形式の検査要素は概略的に、体液のサンプルと接触されたときに検査反応を引き起こす検査試薬を含有する。特に、例えば、グルコース濃度又は乳酸塩濃度などの分析対象物濃度の測光的又は電気化学的な検定のための検査反応が、一般的に使用される。上記消耗品要素は、例えば穿刺要素を含むこともあり得る。この点に関しては、複数の穿刺要素と各穿刺要素間に配設された検査要素とを担持する担体バンド、及び、一体化された検査要素を備えた穿刺要素を担持する担体バンド、及び、専ら穿刺要素を担持する担体バンドが、全て可能である。
【0022】
本発明の付加的な詳細及び利点は、添付された一群の図面に関する実施形態に関して特定される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】体液のサンプルを検査するシステムの概略図である。
【図2】複数の消耗品要素を担持する担体バンドを有するバンド・カートリッジの実施形態の分解図である。
【図3】消耗品要素とマークとを備える担体バンドの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、例えば、血液及び/又は間質液のグルコース濃度を測定するなど、体液のサンプルの分析対象物濃度を測定するシステムを示している。この形式のシステムは、例えば、毎日数回に亙り自身の血糖濃度を測定せねばならない糖尿病患者により必要とされる。此処で示されたシステム1は、第1のシステム構成要素として図2に示されたバンド・カートリッジ1、及び、更なるシステム構成要素として携帯デバイス2を備えて成る。図1において、携帯デバイス2はバンド・カートリッジが挿入されて示される。
【0025】
図2に示されたバンド・カートリッジ1は、検査要素の形態の複数の消耗品要素4を担持する担体バンド3を収容する。上記検査要素は、例えば、検査試薬を備えた検査領域であって、該試薬が体液のサンプルと接触したときに分析対象物濃度に関して測光的に分析され得る例えば変色などの検査反応を引き起こす検査領域とされ得る。図2においては、明瞭化のために、単一の消耗品要素4のみが示される。但し実際には、担体バンド3は更に多数の検査要素を担持することから、例えば、上記担体バンドによれば50回又はそれ以上の濃度決定が実施され得る。
【0026】
バンド・カートリッジ1に収容された担体バンド3の一端は、詳細には巻回リール又はピンである巻き上げデバイス5に対して取付けられる。バンドの前送りのために、担体バンド3は、使用済みの消耗品要素4と共に、巻き上げデバイス5上のリール6上へと巻回され得る。未使用の消耗品要素を含む担体バンド3の区画は、バンド・カートリッジ1のハウジング8a、8bの内側に囲繞されると共に、供給部分用リールとしての円筒体7上に巻回される。
【0027】
図1に示された携帯デバイス2は、測定結果を表示する電気的ディスプレイ9を有している。ディスプレイ9はまた、携帯デバイス2に挿入されたカートリッジ1における担体バンド3の未使用の消耗品要素4の供給部分に関する情報も表示し得る。例えば、未使用の消耗品要素4の個数が表示され得るか、又は、上記供給部分が決定的閾値より少なく減少したときに警告信号が表示され得る。
【0028】
図示されたシステムにおいて、未使用の消耗品要素4の供給部分に関する情報は、回転角度から、且つ、該回転角度に亙るリール6の回転を以て担体バンド3が前進されたバンド前送り長さから、決定される。更に詳細には、リール6が大きいほど、所定角度に亙る該リール6の回転により、担体バンド3は更に前送りされる。更に多くの消耗品要素4が既に使用されるほどリール6の太さは大きくなることから、上記リールの太さに関する情報、及び、それにより担体バンド3の未使用の消耗品要素4の供給部分に関する情報もまた、上記回転角度から、且つ、上記バンドの前進量、すなわち、それと共に実施されるバンド前送り長さから獲得され得る。
【0029】
携帯デバイス2は此処では示されない分析ユニットを含み、該ユニットは、担体バンド3の未使用の消耗品要素4の供給部分に関する情報を、回転角度から、且つ、該回転角度に亙るリール6の回転により担体バンド3が移動されるバンド前送り長さから、決定すべく構成される。上記分析ユニットは、例えば、巻き上げデバイス5を駆動すべく配備される電気モータから上記回転角度を受信する。また、巻き上げデバイス5の、又は、該巻き上げデバイスを駆動するシャフトの回転角度を検出する付加的な回転角度センサも配備され得る。
【0030】
図3に特に示された如く、担体バンド3は、バンド前送り長さを測定する目的で、此処では示されない携帯デバイス2のセンサにより検出され得る種々のマーク10a、10b、10cを担持している。マーク10a、10b、10cは、例えばバーコードと同様に黒色の縞として、担体バンド3に対して適用され得る。
【0031】
図3に示された実施形態において、マーク10aは停止マークを形成し、此処では示されない携帯デバイス2のセンサにより該マークを検出すると、巻き上げデバイス5は停止される。付加的なマーク10b、10cも配備される。好適には、一定の間隔毎に、2つの検査領域4間には更に多数のマーク10cが配設される。これらのマーク10cを用いると、例えば、バンド進行速度が測定され得る。図3の概略図においては、マーク10cの内の幾つかのみが示される。実際には、担体バンド3は、2つの消耗品要素間に相当に多数のマークを有している。
【0032】
図示された実施形態にはマーク10bも配備され、該マークは、一連のマーク10cに先行すると共に、例えば、間もなく実施される測定のために、不図示の携帯デバイス2の測定デバイスの起動を引き起こし得る。
【0033】
巻き上げデバイス5は好適には、電気モータにより駆動される。バンド前送りのための巻き上げデバイス5の回転速度は、担体バンド3の残存する未使用の消耗品要素4の個数が減少するにつれて低下される。このことは、巻き上げデバイス5が、担体バンド3の供給部分中に残存する該バンドの未使用の消耗品要素4の個数に関して獲得された情報に基づいて制御されることを意味する。この様にして、リール6の太さに関わらず、1個の消耗品要素4を提供するために必要とされる時間を一定に維持することが可能である。
【0034】
担体バンド3の未使用の消耗品要素4の供給部分に関する情報であって、上記回転角度から、且つ、該回転角度に亙るリール6の回転により担体バンド3が移動される関連バンド前送り長さから獲得される情報は、カウンタに記憶され得る。1個の消耗品要素4が使用されたとき、カウンタ状態はそのときに1だけ調節される。巻き上げデバイス5の起動により、不図示の制御ユニットはそのときに、この情報がおそらくは正しいと想定し得ると共に、必要であれば、それを、バンド進行速度の測定に基づいて修正し得る。
【0035】
図2に示された如く、検査要素4は通常は、担体バンド3よりも可撓性が低い。故に、使用済みの1個の消耗品要素4は、リール6における不均衡に繋がり得る。リール6における斯かる不均衡の故に、バンド前送り長さは、回転角度の規模だけでなく、リール6の回転角度位置にも依存する。故に、バンド前送り長さはリール6の回転角度位置に基づいて検出されることから、リール6における上記不均衡に対する値が決定され得る。この値に基づき、複数の未使用の消耗品要素4を担持する新たな担体バンド3は、既に部分的に巻き上げられた担体バンド3であって、少なくとも一個の使用済みの消耗品要素4を担持する担体バンド3から区別され得る。好適には、この様にして、バンド・カートリッジ1の交換は、携帯デバイス2により検出され得ると共に、巻き上げデバイス5の起動において考慮され得る。
【符号の説明】
【0036】
1 バンド・カートリッジ
2 携帯デバイス
3 担体バンド
4 消耗品要素
5 巻き上げデバイス
6 リール
7 円筒体
8a ハウジング
8b ハウジング
9 電気的ディスプレイ
10a マーク
10b マーク
10c マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の消耗品要素(4)を担持する担体バンド(3)であって、該担体バンド(3)の一端が、使用済みの消耗品要素(4)と共に当該担体バンド(3)をバンド前送りのためにリール(6)上へと巻回する巻き上げデバイス(5)に対して取付けられる担体バンド(3)を具備し、且つ、
前記担体バンド(3)の未使用の消耗品要素(4)の供給部分に関する情報を表示するディスプレイを具備する体液のサンプルを検査するシステムにおいて、
前記担体バンド(3)の未使用の消耗品要素(4)の前記供給部分に関する前記情報が、回転角度から、及び、該回転角度に亙る前記リール(6)の回転により前記担体バンド(3)が移動されるバンド前送り長さから、獲得されることを特徴とする体液のサンプルを検査するシステム。
【請求項2】
前記担体バンド(3)が規則的な間隔で配設されたマーク(10a、10b、10c)を有し、且つ、該マーク(10a、10b、10c)が、前記バンド前送り長さを測定する目的で、センサ、好適には光学的センサにより検出されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記担体バンド(3)は、他のマーク(10b、10c)と共に停止マーク(10a)を担持し、該停止マークが前記センサにより検出されると前記巻き上げデバイス(5)は停止されることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記担体バンド(3)上の測定スポットであって、前記センサにより検出される測定スポットを照射する光源により特徴付けられる請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記巻き上げデバイス(5)を駆動する電気モータにより特徴付けられる請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記巻き上げデバイス(5)が、前記担体バンド(3)の未使用の消耗品要素(4)の前記供給部分に関して獲得された前記情報に基づいて制御されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記消耗品要素(4)が検査要素及び/又はランセットであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ディスプレイが電気的ディスプレイであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記未使用の消耗品要素(4)の前記供給部分に関する前記情報が、前記担体バンド(3)の前記未使用の消耗品要素(4)の個数として決定されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
バンド前送りのための前記巻き上げデバイス(5)の回転速度が、前記担体バンド(3)の未使用の消耗品要素(4)の前記個数が減少するにつれて低下されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
1個の消耗品要素(4)が提供される間におけるバンド進行速度を、前記リール(6)の太さに依存しない目標値へと制御する制御デバイスにより特徴付けられる請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記バンド前送り長さが、前記リール(6)の回転角度位置に基づいて検出され、このことから該リール(6)の不均衡に対する値が決定され、且つ、
この値に基づき、未使用の消耗品要素(4)のみを担持する新たな担体バンド(3)が、既に部分的に巻き上げられた担体バンド(3)であって少なくとも一個の使用済みの消耗品要素(4)を担持する担体バンド(3)から区別されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
1個の消耗品要素(4)が使用されるとき、カウンタ状態は1だけ調節されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記担体バンド(3)がバンド・カートリッジ(1)内に収容されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
担体バンド(3)により担持された未使用の消耗品要素(4)であって、使用されたときには、既に使用された消耗品要素(4)と共にリール(6)上へと巻回される未使用の消耗品要素(4)の供給部分を監視する方法において、
前記担体バンド(3)の未使用の消耗品要素(4)の前記供給部分に関する情報が、回転角度から、及び、該回転角度に亙る前記リール(6)の回転により前記担体バンド(3)が移動されるバンド前送り長さから、獲得されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−122992(P2012−122992A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−246247(P2011−246247)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】