体液中の検体の測定に使用する透過分光システム
流体試料中の検体濃度を測定するのに使用される全透過分光システムは、試料細胞受け領域と、光源と、コリメーティングレンズと、第1のレンズと、第2のレンズと、検出器とを備えている。試料細胞受け領域は、分析される試料を受けるようになっている。試料細胞受け領域は、実質上光学的に透明な材料で構成されている。コリメーティングレンズは、光源からの光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームで試料細胞受け領域を照らすようになっている。第1のレンズは、第1の広がり角で試料を通して透過される通常または散乱光を受けるようになっている。第1のレンズは、第1の受光角を有する光を受ける。第1のレンズは、第2の広がり角を有する光を出力する。第2の広がり角は第1の広がり角より小さい。第2のレンズは、第1のレンズから光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている。検出器は、第2のレンズによって出力される光を測定するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して分光法に関し、より詳細には、体液中の検体の濃度を測定する全透過分光法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
透過分光法は、試料細胞に含まれる試料を通る光ビームの透過に基づいて試料の定量分析を行うのに使用される。光ビームの異なる周波数成分は、試料の成分によって吸収され、それによって試料を透過する光の周波数分析が試料自体の分析を可能にする。乾燥化学試薬は試料によって溶解され、当該検体と反応して、約450ナノメートル(nm)から約950nmまでの範囲の特定の光波長で色彩反応を生じる。
【0003】
透過分光法は、体液(例えば、血液、血漿または血清、唾液、尿、および間質液)中の検体(例えば、グルコース、乳酸塩、フルクトサミン、ヘモグロビンAlc、およびコレステロール)の濃度を測定する1つの方法である。指標試薬システム、および体液の試料中の検体は反応されて、色彩反応を生じる、すなわち試薬と検体の間の反応は試料の色を変える。色変化の程度は、体液中の検体濃度を示している。試料の色変化は、例えば透過光の吸収レベルを測定するように分光法を使用して評価される。正透過分光法は、米国特許第5,866,349号に詳細に記載されている。拡散反射および蛍光分光法は、米国特許第5,518,689号(「散乱光反射読み取りヘッド」)第5,611,999号(「散乱光反射読み取りヘッド」)および第5,194,393号(「光学バイオセンサおよび使用方法」)に詳細に記載されている。
【0004】
基本的なレベルでは、透過分光分析は、試料を照らす光ビームを生じる光源、および試料を透過した光を検出する検出器を含んでいる。検出した透過光はその後、基準試料(例えば、試料なしで検出器によって直接検出された光源からの光)と比較される。正透過分光法は、試料を透過した散乱光ではなく、通常の光軸に対して小さい角度(例えば、約0°から約15°)で試料から出る光の集光および分析のことを言う。通常の光軸は、試料細胞光学入口および出口窓に垂直な軸である。全透過分光法は、通常の光軸に対して大きな角度(例えば、約0°から約90°)で試料から出る光(散乱光を含む)の実質上全ての集光のことを言う。既存の全透過分光分析用システムは、試料を通過する光全てを集めるための積分球、および積分球の内側表面の小さな部分から反射光を読み取るための所要の光電子増倍管を実装する。
【0005】
生物医学光学機関紙の2001年4月号(第6巻、第2号)に掲載された「従来の全透過分光法を使用したヘモグロビン濃度の無試薬測定のためのデータ予備処理および部分最小二乗法分析」というタイトルの記事で報告されているように、約6.6から17.2g/dLの範囲のヘモグロビン濃度を有する全血の正透過レベル(拡散を除く)は、100μmだけの経路長さの可視および近赤外範囲全体を通して15.8から0.1%Tであるが、同じ範囲内のヘモグロビン濃度を有する全血の全透過レベル(拡散を含む)は、79%Tから2%Tである。約600nmから約800nmの範囲の波長を有する光の全透過は、実質上100%Tであり、異なるヘモグロビンレベルの間の分離がほとんどない。したがって、ヘモグロビン濃度レベルは、約600nmから約800nmの範囲の波長を有する透過光にほとんど影響がない。
【0006】
積分球を使用する既存の全透過分光システムに関連する欠点は、積分球の内側表面の小さな部分から反射光を読み取るための光電子増倍管を使用する必要がある低い信号レベルである。従来の全透過分光システムに関連する別の欠点は、積分球および光電子増倍管の費用である。これらの装置の費用により、自己検査、例えば血液グルコース濃度レベルの検査が必要である患者が使用するための既存の全透過分光システムを製造するのに費用が高くなる。その結果、体液中の検体濃度を測定するのに使用する分光システムは、正透過測定に重点を置いていた。
【0007】
正透過分光法を使用する既存のシステムはまた、いくつかの欠点を有する。上に論じたように、小さな角度で試料から出る光だけが、既存の正透過分光測定を使用して集められ、その結果、大きな角度で試料から出る光が失われる。赤血球によって拡散される光のかなりの部分は、正透過測定を使用する既存のシステムで集められず、光のかなりの損失につながり、全血を通る透過レベルが極めて低くなる可能性がある。
【0008】
既存の正透過システムを使用して透過損失を少なくするため、試薬または洗浄剤は普通、赤血球を溶解するために血液試料に加えられる。血球の溶解による細胞壁の破裂により、拡散透過が少なくなり、試料を通る光の正透過が多くなる。溶解試薬の追加、および赤血球のその後の溶解は全測定過程に対して時間がかかる。この問題は既存の正透過分光法には存在しない。というのは、拡散した透過光および正透過光は光学素子によって集められるからである。全透過レベルは普通、赤血球の溶解が必要ないほど十分に高く、それによって化学検定の全体の時間がかなり短くなる。
【0009】
正透過分光法を使用した既存のシステムに関連する別の欠点は、色彩反応が起きた光の波長での透過偏向(バイアス)である。指標試薬は、追加の色反応を引き起こす赤血球の溶解により解放される細胞内成分(すなわち、ヘモグロビン、乳酸脱水素酵素など)と反応することができる。試薬とヘモグロビンなどの特定の細胞内成分とのこのような反応によって生じる透過バイアスは、血液グルコースレベルを示していない。このような透過バイアスにより、検体(例えば、グルコース)濃度を測定する際の不正確性が生じる。バイアス量は、血球内の特定の細胞成分の濃度に関連している。
【0010】
血液溶解は既存の全透過分光法に必要ないので、グルコース測定に干渉することがある細胞内成分量はかなり少なくなる。しかし、バイアスは約600nm未満の可視波長で吸収するヘモグロビンなどの物質に対して残っている。例えば、酸素ヘモグロビンの全透過スペクトルは約542nmおよび約577nmの波長で吸収ピークを有することが、生物医学光学の機関紙の前述の記事から分かる。約542nmまたは約577nmの波長の吸収レベルは、全血試料のヘモグロビン濃度を測定するのに使用することができることが分かる。ヘモグロビンによって生じるグルコース濃度の残りの干渉誤差は、542nmまたは577nmで全透過を測定し、知られているヘモグロビン濃度に吸収を関連させることによって補正することができる。
【0011】
全血のヘマトクリットレベルはまた、異なるヘマトクリットレベルでの散乱光の量の相違による全透過バイアスを引き起こす可能性がある。ヘマトクリットのレベルを変えることによって生じる透過損失は、血液グルコースレベルを示していない。正透過または全透過分光法を使用する既存のシステムは、光の特定の波長での低い透過レベルとヘマトクリットレベルの間の低い分離により、ヘマトクリットレベルの相違を検出することが可能ではない。
【0012】
正透過分光法を使用する既存のシステムの別の欠点は、試料経路長さにより生じる正確性誤差である。試料細胞領域の経路長さの10%の変化は、正透過法および全透過法の両方に対する濃度測定の10%誤差につながる。経路長さ変化を生じさせる機械的許容範囲は、経路長さに関わらず実質的に同じである。しかし、正透過法を使用する既存のシステムは、赤血球拡散による透過損失を補うためにより短い経路長さが必要である。したがって、より短い経路長さでの機械的許容範囲はより高い濃度誤差につながる。赤血球から散乱光を集める全透過分光システムによって可能になるより長い経路長さにより、経路長さ誤差が小さくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、体液中の検体濃度を測定する際に、正または全透過分光法を使用する既存のシステムによって生じる上記問題を少なくするまたはなくすことが望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態によると、流体試料中の検体の濃度を測定するのに使用する全透過分光システムは、試料細胞受け領域と、光源と、コリメーティングレンズと、第1のレンズと、第2のレンズと、検出器とを備えている。試料細胞受け領域は、分析される試料を受けるようになっている。試料細胞受け領域は、実質上光学的に透明な材料で構成されている。コリメーティングレンズは、光源からの光を受けるようになっており、実質的にコリメートされる光ビームで試料細胞受け領域を照らすようになっている。第1のレンズは、第1の広がり角で試料を通して透過される通常または散乱光を受けるようになっている。第1のレンズは、第1の受光角を有する光を受ける。第1のレンズは、第2の広がり角を有する光を出力する。第2の広がり角は第1の広がり角より小さい。第2のレンズは、第1のレンズから光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている。検出器は、第2のレンズによって出力される光を測定するようになっている。
【0015】
1つの方法によると、流体試料中の検体濃度は全透過分光システムで測定される。分析される試料は、全透過分光システムの試料細胞受け領域内に受けられる。光ビームは光源を介して出力される。光ビーム出力は実質的に、光源からコリメートされる。試料は、光源から出力される実質的にコリメートされた光ビームで照らされる。試料を通して透過される通常光および散乱光は、第1のレンズで集められる。透過光の広がり角は、第1のレンズで小さくなる。小さな広がり角を有する光は第2のレンズで受けられる。受けられた光は実質的に、第2のレンズでコリメートされる。第2のレンズからの実質的にコリメートされた光は検出器で測定される。
【0016】
1つの方法によると、流体試料を通して透過される光は全透過分光システムで測定される。試料は、実質的にコリメートされた光ビームで照らされる。試料を通して透過された通常光および散乱光は第1のレンズで集められる。透過光の広がり角は、第1のレンズで小さくなる。透過光は実質的に、広がり角を小さくした後に第2のレンズでコリメートされる。実質的にコリメートされた透過光は検出器で測定される。
【0017】
別の方法によると、流体試料中の検体の濃度は全透過分光システムを使用して測定される。システムは、コリメートされた光源と、試料受け領域と、試料を通して透過される通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、検出器とを備えている。試料は、システムの試料細胞受け領域中で色彩反応を生じさせるようになっている試薬と反応する。試料は、システムの光源によって出力される実質的にコリメートされた近赤外線ビームで照らされる。試料を通して透過される近赤外線は、システムの検出器で測定される。試料は、システムの光源によって出力される実質的にコリメートされた可視光ビームで照らされる。試料を通して透過された可視光は検出器で測定される。試料を通して透過された測定した近赤外線と測定した可視光との比が決定される。
【0018】
さらに別の方法によると、血液試料中のグルコース濃度は、全透過分光システムを使用して測定される。システムは、試料を通して透過される通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズとを備えている。この方法は、試料細胞受け領域中で色彩反応を生じるように、血液試料を乾燥試薬と反応させる動作を含んでいる。試料は、システムの光源によって出力される実質的にコリメートされた可視光ビームで照らされる。試料を通して透過された可視光は、システムの検出器で測定される。試料は、光源によって出力される実質的にコリメートされた近赤外光ビームで照らされる。試料を通して透過された近赤外線は、検出器で測定される。血液試料のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスに対する補正が行われる。血液試料中のグルコース濃度が測定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は様々な変更形態および代替形態が可能であるが、特定の実施形態が例として図面に示されており、本明細書でより詳細に説明する。しかし、本発明は開示した特定の形態に限ることを意図したものではないことを理解すべきである。むしろ、本発明は本発明の精神および範囲内にある全ての変更形態、相当物、および代替形態を含むものとする。
【0020】
次に図面、最初に図1aを参照すると、体液などの生体試料中の検体濃度の測定に使用する全透過分光法を実施する透過分光システム10が示されている。測定することができる検体の非限定的な例としては、グルコース、乳酸塩、フルクトサミン、コレステロールヘモグロビンAlc、およびコレステロールが挙げられる。このような検体は、血液(血漿および血清を含む)、唾液、尿および間質液などの体液中にあってもよい。
【0021】
システム10は光源12を備えている。一実施形態によると、光源は約300nmから約3200nmの範囲の波長を有する白色光ビームを出力するハロゲンランプである。別の実施形態によると、光源12は約400nmから約1000nmまでの波長範囲内にある中心波長を有する発光ダイオード(LED)を使用して、2つ以上の単色光ビームを出力する。光源12によって出力される光は、実質的にコリメートされた光ビーム14を出力するコリメーティングレンズ22によって受けられる。コリメートされた光ビーム14は、読み取りヘッド20の試料細胞受け領域18内に配置された試料16を照らす。
【0022】
一実施形態によると、試料は指標を含む乾式試薬システムと反応したグルコースを有する血液を含む。一実施形態によると、使用することができるグルコース指標試薬は、グルコース脱水素酵素、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、ジアフォラーゼ、テトラゾリウム指標(WST−4)(2−ベンゾチアゾル−3−(4−カルボキシ−2−メトキシフェニル)−5−[4−(2−スルフォエチルカルバモイル)フェニル]−2H−テトラゾリウム)、およびポリマーを含む。当業者は、異なる酵素(PQQ−グルコース脱水素酵素、グルコースオキシダーゼ、または乳酸脱水素酵素など)、指標およびメディエータ、および検体(グルコース、乳酸塩など)を使用することができることが考えられる。試薬形成使用量は、赤血球を分離するために溶血剤を必要としない。赤血球を分離しないことによって、全時間検査はより早くなる。
【0023】
実質的にコリメートされた光ビーム14は試料16を照らし、光の一部は試料16を通して透過される。普通におよび広く拡散された光を含む、試料を通って透過された光は、第1のレンズ30および第2のレンズ40によって集められる。図示した実施形態では、第1および第2のレンズは半球レンズである。球面レンズまたは非球面レンズを含む他のタイプのレンズを使用して透過光を集めることができると考えられる。
【0024】
代替実施形態によると、第1のレンズ30は、約72°の受光角または約0.951の開口数(NA)で光を集めるが、受光角は透過光の拡散部分を集めるように0°から90°の範囲である。第1のレンズ30から出る光32は、約15°から約40°の範囲の角度、より詳細には約20°の角度で発散する。第2のレンズ40は、第1のレンズ30の発散光出力32を0度から約10度の範囲の発散光42の角度まで少なくし、より詳細には、0度から約5度までコリメートされる。試料から出る正および拡散透過光は、第1および第2のレンズ30、40によってそらされたり拡散されたりしない。したがって、1対のレンズ30、40は試料16を通して透過される光の実質上全てを集める。1対のレンズ30、40は集めた光を実質的にコリメートし、実質上垂直の入射で検出器50を照らす。発散する光42は、約5°未満の広がり角を有する。
【0025】
分光システム10の一実施形態によると、1つの帯域通過フィルタ52または複数の帯域通過フィルタは検出器50の前に配置することができる。(1つまたは複数の)帯域通過フィルタ52は普通、約400から約1000nmまでの(1つまたは複数の)中心波長、および約5から約50nmまでの狭い帯域幅を有する。(1つまたは複数の)帯域通過フィルタ52は普通、ハロゲンランプなどの白色光が光源12として使用された場合に使用される。別の方法では、帯域通過フィルタを使用して、LED源12のスペクトル帯域幅を変更する、または試料透過に貢献しない漂遊周辺光を濾波することができる。(1つまたは複数の)帯域通過フィルタ52上の発散光42は実質的にコリメートされる。というのは、フィルタの所定の入射角の外側にあるフィルタを通過する光はフィルタの所定の帯域幅内にないからである。
【0026】
第1および第2のレンズ30、40は組み合わせて、検出器50に案内される光の信号レベルを良くする。というのは、レンズ30、40は、試料16を通して検出器50まで透過される高い割合の光を集め、案内するからである。さらに、検出器の表面に実質上垂直であるコリメートされた光ビームで検出器50を照らすことによって信号レベルが改善される。普通、コリメートされた光ビームの広がり角は約5度未満である。検出器50の表面に対する垂直入射角は、検出器50の表面からのフレネル反射によって生じる信号損失を小さくする。かなりの光損失が、約20度を超える入射角でフレネル反射により生じる。
【0027】
検出器50によって集められた光42はその後、試料の透過パーセント、およびその後の試料中の検体濃度を測定するように、光路中の試料(空気)なしで取られた読み取りを含む基準測定と比較される。
【0028】
分光システム10の図示した実施形態によると、検出器50および(1つまたは複数の)帯域通過フィルタ52は、第2のレンズ40と実質上直線に位置合わせされている。本発明の一実施形態によると、検出器50はシリコン検出器である。しかし、例えば硫化鉛などの他のタイプの光検出器を含む他の光検出器、または電荷結合素子(CCD)を使用して透過光を検出することができる。他の代替実施形態では、検出器50および(1つまたは複数の)帯域通過フィルタ52は第2のレンズ40と直線に位置合わせされておらず、むしろ第2のレンズ40と実質上直線に位置合わせされた入口を有する光ガイドまたは(1つまたは複数の)光ファイバ(図示せず)は、光を他のところに位置決めされた検出器/フィルタ、または分光器に運ぶ。分光システム10は、既存の全透過分光システムの上で得られる信号レベルをかなり改善する。というのは、光は第1および第2のレンズ30、40で検出器に直接結合されるからである。
【0029】
本発明の一実施形態によると、試料16を通る経路長さは約40μmから約200μmであり、試料は約1mmの直径を有する。一実施形態によると、第1のレンズ30は約4mmの直径を有するプラスチックのマイクロ半球レンズである。第2の集光レンズ40は、約8mmの直径を有するプラスチックのマイクロ半球レンズである。第1のレンズおよび第2のレンズの直径の比は普通、約1:2からである。第1および第2の半球レンズ30、40は一実施形態によるとアクリルで構成されている。
【0030】
検出器50は、受けた光の量を示す信号を出力する。本発明の一実施形態によると、試料が読み取りヘッド20の試料細胞受け領域18内に入りこれを充填した時を判断するように、読み取りヘッド20を備えた透過分光システム10の制御システム(図示せず)によって出力は監視される。本発明のいくつかの実施形態では、試料細胞受け領域18は毛細経路の一部であってもよく、または試料細胞受け領域18を充填するように毛細経路に結合されている。試料細胞受け領域18は、一実施形態によると実質上光学的に透明な材料でできている。
【0031】
次に図1bを参照すると、別の実施形態による流体試料中の検体濃度を測定するのに使用される透過システム60が示されている。透過システム60は、図1aに関連して上で説明した同じ構成要素の多くを有する。加えて、透過システム60は発散光42を集める結合レンズ62を備えている。結合レンズ62はさらに、光ケーブル66に到達する前に、発散光42を発散光64まで小さくする。図1bに示すように、光ケーブル66は発散光を分光器68まで運ぶ。別の実施形態では、分光器は図1aに示す検出器(例えば、検出器50)に代えることができる。このような実施形態では、フィルタは図1aに関連して上に説明したようなもの(例えば、(1つまたは複数の)フィルタ)などのフィルタを加えることができる。
【0032】
(a)試料細胞受け領域18の充填不足、または(b)タイミングに関連する誤差を防ぐまたは抑制するため、試料細胞受け領域18が体液(例えば、血液)で充填されるときに変化する検出器の出力を、制御システムが監視する。その実施形態が図2aに関して記載されているタイミングシーケンスは、試料中の試薬と検体の反応が起こるのに十分な時間を可能にする。これにより、検査の全体の性能が良くなる。というのは、実質上正確なタイミングがより早くより信頼性のある検体の測定につながる可能性があるからである。
【0033】
例えば、試料細胞受け領域18内に配置された所定量の試薬と反応するように集められる試料が少なすぎる場合に、充填不足が起こる。充填された試料細胞受け領域18を示す透過光が検出されると、制御システムは、検出器50のその後の出力を体液試料(例えば、血液試料)中の検体濃度を測定するのに使用することができることが分かる。
【0034】
加えて、本発明の1つの過程によると、検出器50が試料、または特定の試料量を検出すると、システム10はタイミングシーケンスを開始し、その結果検出器50は分析のために試料を通して透過される光を検出し始める。この過程によると、図2aに関連して記載した透過分光システム10は、検出器50による透過光の集光を開始するための正確な時間を測定するように、試料領域の監視を開始する。ステップ122では、空の試料細胞受け領域18(図1a)は光源12からの光で照らされる。試料が試料受け領域内にない場合、システム10を通る透過レベルは極めて高い(例えば、実質上100%)。ステップ124では、試料は試料細胞受け領域18に入力される。本発明の一実施形態によると、試料と混合される試薬は既に試料細胞受け領域18内で乾燥されている。別の方法では、試薬は試料で、または試料が試料細胞受け領域18内に受けられた後に堆積させることができる。
【0035】
システム10は、ステップ126で試料を通して透過された光を測定することによって、試料細胞受け領域18を監視する。システム10は、ステップ128でシステム10のメモリ内に記憶された閾値と検出器50によって測定された透過光量を比較する。測定光量が閾値を超えた場合、システムは試料の必要量がステップ128で試料細胞受け領域に入力されず、試料細胞受け領域18を透過した光の量がステップ126で再び測定されたと判断する。システム10は、次の測定を行う前に、ステップ130で所定の時間量(例えば、5または10秒)待機することができる。測定した光量がメモリ内に記憶された閾値より小さい場合、システムはステップ150(図2b)またはステップ102(図2c)で分析を開始することができる。
【0036】
ステップ126での透過光の測定が試料受け領域への試料の入力後に起こるように図示されているが、このステップは連続した方法で行うこともできる。例えば、検出器はシステム10が開始した瞬間からステップ128で明確な測定が起こるまで、図2cに説明された分析をいつ始めるかを判断する目的で、試料細胞受け領域18を通して透過される光を連続的に検出することができる。加えて、代替実施形態によると、ステップ124で試料細胞受け領域に試料を入力した後に正確な判断が行われなかった場合(システム10が開始した後に試料入力が少なすぎる場合)、システム10は誤差信号を発生することができる。加えて、検定の反応時間を正確に測定するために、反応が起こり始める時を正確に知ることが望ましい。反応の開始のための正確な時間は、図2aの監視方法を使用することによって測定することができる。
【0037】
全透過分光システムは、試料中の検体濃度を測定するように、正透過システム上で可視範囲(例えば、約400から約700nm)および近赤外線範囲(例えば、約700から約1100nm)の実質的に改良された透過光量を集めるようになっている。高い割合の集めた透過光が検出器を照らすので、透過分光システム10は、既存の全透過システムを超える性能的利点を提供する。このように改良された集光能力により、システム10が、異なるヘマトクリットレベル(図2b)、または全血試料などの体液中のヘモグロビン(図2c)およびヘマトクリット(図2c)両方の存在による拡散によって生じるバイアスまたは干渉を補正するのに使用される、これら2つの領域内で光を集めることが可能になる。
【0038】
次に図2bを参照すると、体液(例えば、全血試料)中の検体濃度を測定し、異なるヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを補正するのに透過分光システム10を使用する1つの方法が示されている。バイアスの度合いは、全血試料中のヘマトクリットレベルの関数である。指標試薬は、本発明の一実施形態によると、約750nm未満の可視光波長で血試料の検体濃度レベルを示す色彩反応を生じるようになっている。
【0039】
図1aの全透過システム10での実験の際、全透過光は約400から約1100nmまでの可視および近赤外線波長で測定する場合にヘマトクリットレベルで変化すると考えられている。発明者の発見の前、ヘマトクリットレベル間の分離は、約600から約1000nmまでの範囲の波長を有する全透過光で検出することができないと普通に考えられていた。例えば、背景技術の部分で論じた生物医学光学機関紙の記事は、約600から約800nmまでの波長でヘマトクリットレベル間には分離がないことを示している。
【0040】
しかし、全血のヘマトクリットレベルは、可視および近赤外線(IR)光領域(例えば、400から1100nm)全体を通してスペクトル反応に影響を与える。光透過は、赤血球の数による散乱光の相違のため、異なるヘマトクリットレベルで変化し、これに比例する。近赤外線波長でのヘマトクリット透過バイアスは、血液のヘマトクリットレベルに比例する。図3aと図3bの間の比較はまた、20%ヘマトクリット血液の透過率は、約500から約940nmまでの検査範囲全体を通して60%ヘマトクリット血液試料より30%T高いことを示す。しかし、近赤外線波長で測定した透過率は、グルコース濃度の変化に影響されない。というのは、指標は可視波長(例えば、約680nm)で、反応し色彩反応を生じるようになっている。
【0041】
操作中、図2bに示す一過程によると、試薬と反応させた全血試料は、全血試料中のヘマトクリットレベルによる測定光の拡散部分を測定するために、ステップ150で第1の波長の光(例えば、約750から約1100nm)で照らされる。通常光および散乱光は、図1aに関連して上で説明したように、ステップ152で検出器50で測定される。次に、試料はステップ154で第2の波長の光(例えば、約600から約750nm)で照らされ、透過した通常光および散乱光は、ヘマトクリットレベルによる散乱光、および検体濃度による色彩反応の両方を測定するように、ステップ156で検出器50で測定される。ヘマトクリット依存散乱光のバイアスは、ステップ156および152で得られる透過測定の比を計算することによってステップ158で補正される。全血試料の検体濃度レベルは、ステップ158から補正された透過を使用してステップ160で計算される。
【0042】
本発明の代替実施形態では、例えば、直線回帰または多項式フィット補正アルゴリズムなどの追加の補正アルゴリズムを使用して、検体反応が起こる場合の波長でヘマトクリットによって生じる、ヘマトクリットレベルとバイアスまたは干渉の間の関係を測定することができる。
【0043】
次に図2cを参照すると、例えば、全血試料中の検体濃度を測定し、ヘモグロビンの存在によって生じる透過バイアスを補正するために透過分光システム10を使用する方法が示されている。バイアスの度合いは、全血試料中のヘモグロビンレベル、および赤血球の存在による拡散の関数である。操作中、全血試料および試薬の反応は、ステップ102で約400nmから約600nmまでの第1の波長の光で照らされる。例えば、第1の波長は約545nmまたは約577nmであってもよい。通常光および散乱光は、図1aに関連して上で説明したように、ステップ104で検出器50で吸収率単位が測定される。
【0044】
背景技術の部分で論じたように、酸素ヘモグロビンのスペクトルは約545nmから約577nmで吸収ピークを示し、これらの波長での反応には影響を受けない。というのは、反応は例えば、約750nmの第2の波長で測定されるように設計されているからである。第1の波長で測定された吸収率は、血液のヘマトクリットレベルによるヘモグロビンおよび拡散の両方への貢献を含む。一実施形態によると、指標試薬は約600nmより大きく約1000nm未満の第2の波長(可視―近赤外線)での血液試料の検体濃度レベルを示す色彩反応を生じる。全血試料および試薬は、ステップ106で第2の波長の光で照らされる。
【0045】
全血試料中のヘモグロビンの存在によるバイアスは、ステップ104で得られる測定を使用してステップ108で得られる測定に影響を与えるバイアスを補正することによって、ステップ110で補正される。バイアスを補正する方法は、ヘモグロビン濃度とヘモグロビンによって生じる測定バイアス108の間の相関関係に左右される。相関関係は、反応で使用される化学形成によって直線または非直線であってもよい。試料の検体濃度は、ステップ110からの補正された透過測定を使用してステップ112で測定される。
【0046】
図2bに関連して上で論じたものと同様に、適当な試料の存在、および図2aに示した反応開始時間を測定する方法はまた、別の過程で図2cの方法に適用させることができる。
【0047】
上で論じたように、本発明の透過分光システム10は、試料中の検体濃度を測定するために、正透過システム上で可視範囲および近赤外線範囲の実質的に改良した透過光量を集めるようになっている。図1aの全透過システム10での実験の際、試薬指標が色彩反応を有する場合に、ヘマトクリットレベルまたはヘモグロビンは読み取り波長で透過バイアスを生じさせることができることが考えられる。第1の読み取り波長(例えば、750nmより大きい)で生じるヘマトクリットレベルに比例する透過バイアスは、ヘマトクリットレベルによるバイアスおよび化学指標の色彩反応の両方を含む、第2の読み取り波長(例えば、約600から750nm)を補正するのに使用することができる。別の方法では、第1の読み取り波長(例えば、600nm未満)で生じるヘモグロビンに比例する透過バイアスは、化学指標が色彩反応を生じる場合に第2の読み取り波長(例えば、600nmより大きい)を補正するのに使用することができる。
実施例
次に図3aを参照すると、本発明の一実施形態(透過分光システム10)は、試薬と反応させた20%のヘマトクリットレベルを有する全血試料の全透過レベルを測定し、それぞれ異なる血液のグルコース濃度レベル、54、104、210、および422ミリグラム毎デシリットルのグルコース(「mg/dLグルコース」)を有していた。透過分光システム10は、実施形態では「本システム」と呼ばれる。光源12(図1a)からの白色光は、試料を通して透過された。500nmから940nmまで測定された全透過レベルは、各グルコース濃度レベルに対して図3aに示された。透過は、ヘモグロビンの吸収率により500から600nmまで、より低かった。赤血球(ヘマトクリット)によって拡散される光によって生じる透過損失は、500nmから940nmまでの透過に影響を与える。グルコース反応中の指標は、500から750nmの間を吸収し、したがって約750nmまでのグルコース濃度レベル間の分離があった。図3aに示すように、約750nm以上の波長では、全透過レベルの低下は赤血球による拡散による光損失のみによるものであり、それによって異なるグルコース濃度レベルを有する試料間の分離はほとんどなかった。
【0048】
図3bは、血液のヘマトクリットレベルが、図3aに示すものと同様のグルコース濃度(59、117、239および475mg/dLグルコース)を有する血液試料に対して60%まで増加される場合、全透過レベルが500nmから940nmまでの測定波長範囲全体を通して低下することを示している。図3bはまた、500から約750nmまでのグルコース濃度レベルの間の分離を示している。図3aに示すように、約750nmの透過レベルは、約20%のヘマトクリットレベルを有する血液に対して70から80%の間であった。図3bに示すように、750nm以上の透過レベルは約60%のヘマトクリットレベルを有する血液に対して40から50%の間であった。20%と60%ヘマトクリットでのスペクトル間の相違は、ヘモグロビンによる吸収による干渉がある場合の波長以上の約600nmから940nmまでの波長に比例していた。
【0049】
しかし、図3aまたは3bのヘマトクリットレベルの何れかに対して、750nm以上の波長でグルコース濃度レベル間の分離はほとんどなかった。したがって、750から940nmスペクトルを使用して、これらのレベルでの赤血球の数の違いによって生じるヘマトクリットレベルを測定することができる。ヘマトクリットレベルは、これらの波長でのグルコース濃度またはヘモグロビンに左右されない。(近赤外線波長を使用して測定された)散乱光による光透過は、グルコース濃度レベルを測定する前に、ヘマトクリットレベルによる干渉を補正するのに使用される。
【0050】
図4a、4bは、940nmでの透過に全ての透過読み取りを割り当てることによって拡散を補正した、それぞれの図3a、3bの全透過スペクトルのプロットを示している。補正後は、同様のグルコース濃度に対する同様の透過は、グルコース検定用の指標反応が測定された波長範囲(約660nmから680nm)内で20%および60%ヘマトクリット血液試料の両方に対して得られる。したがって、近赤外線波長を使用して、全血試料のヘマトクリットによる違いを補正することができる。この干渉誤差を補正する能力は、グルコース濃度測定の精度を良くする。
【0051】
次に図5を参照すると、ヘマトクリットレベルを使用してグルコース濃度測定を補正する方法は、一実施形態により論じられる。図5で20%、40%および60%のヘマトクリットレベル(「Hct」)で全血に対する全透過反応が示されており、約680nmの波長を有する可視光に対する透過(吸収率単位で)が、グルコース濃度レベルに対して示されている。同様の使用量反応が各ヘマトクリットレベルで観察されるが、図5に示された3つのヘマトクリットレベル間の分離によって示されるようにそれぞれのヘマトクリットレベルによって生じるバイアスまたは干渉がある。
【0052】
図6は、異なるヘマトクリットレベルによるバイアスが血液試料を通して透過される約750nmから約950nmまでの近赤外線によって分割された約680nmで可視光の比によって補正される場合の同じデータを示している。補正は、上で論じたように、試料に対する940nmの近赤外線の透過レベルによって680nmの可視光(図5)の透過レベルを分割することによって達成される。簡単に言うと、拡散の違いによるヘマトクリットバイアスが「取り除かれ」、図6はヘマトクリットレベルの変化によって影響されない使用量反応を示している。
【0053】
次に図7を参照すると、本システムを使用して、全血のいくつかの試料のグルコース濃度を測定した。乾燥試薬は、0、100、および400mg/dLのグルコース濃度を有する血液試料で再構成された。加えて、0mg/dL血液試料は試薬で再構成されず、乾燥試薬は水試料で再構成された。化学反応のない血液試料は血液のスペクトル貢献を示し、試薬を有する水試料は試薬のスペクトル貢献を示す。反応の全吸収レベルは、60秒間の全検査時間に対して5秒毎に分光器に記録した。反応は15から30秒で終了した。これは正透過分光法よりかなり早く、赤血球溶解を終了するのに必要な約60から90秒の延長反応時間に左右される。図7に示すように、グルコース濃度レベルを測定するのに使用される、可視波長(例えば、約660から約680nm)で0、100および400mg/dLの様々なグルコース濃度レベル間の光透過レベルの分離があった。
【0054】
次に図8を参照すると、本システムを使用して、知られているグルコース濃度を有するいくつかの全血試料を通して透過された680nm光を測定した。図8では、(吸収単位で示した)全透過光は、全血の知られているグルコース濃度レベルに対して示された。直線回帰分析は、図8に示したデータに適用された。図示するように、透過光の量とグルコース濃度の間には実質上直線の関係がある。0.985(実質上1.000)の直線相関係数は、本発明のシステムおよび方法を使用して、吸収レベルとグルコース濃度の間の優れた相関関係があったことを示す。
【0055】
図9を参照すると、それぞれ20%、40%および60%のヘマトクリットレベルを有する全血試料に対する全透過レベルは、本システムを使用して得られた。約500から約940nmまでの波長を有する光は、全血試料を通して透過された。試料受け細胞の経路長さは、42マイクロメートルであった。図9では、得られる3つの試料に対する透過レベルが、透過光の波長に対して示された。
【0056】
正透過システム(「正システム」)を使用する既存の分光システム上の本システムの一実施形態の利点を示すため、20%、40%および60%のヘマトクリット濃度レベルを有する3つの全血試料に対する透過レベルが、図9の両方の方法に対して示される。正透過システムは、図9では「%Hct、正%T」と示され、全透過システムは図9では「%Hct、全%T」と示される。この実施例で使用される透過システムは両方とも、約500から約940nmまでの波長を有する実質的にコリメートされた光で3つの試料を照らした。試料を通して透過された、散乱光ではなく実質的にコリメートされた光は、正透過システムで集められたが、通常の光および散乱光は両方とも本システムによって集められる。両方の透過システムでは、試料経路長さは約42μmであった。
【0057】
図9の2セットのデータを比較すると、3つの試料に対する光の正透過レベルは500nmより大きい波長で2%未満である。本システムで得られた3つの試料に対して集められた光の透過レベルは、500nmより大きい波長で10%Tより大きかった。本システムで得られた3つの試料に対する透過レベル間の優れた分離は、500nmより大きい波長を有する光に生じた。図9はまた、本システムで得られるデータに対して、約542から約577nmの透過レベルで低下(ディップ)が生じたことを示す。これらの2つの光波長は、酸素ヘモグロビンの知られている吸収ピークに相当する。したがって図9に示すように、本システムの記載した実施形態は、これらの波長でのヘモグロビン、またはヘマトクリットによって拡散される光の吸収にも関わらず、正透過システムを使用した既存の分光システム上で500から940nmまでのより大きな透過光量を達成した。
【0058】
別の実施形態では、試料細胞中の不完全性による拡散、または試料中の少量のデブリによって生じるバイアスは、図2bと合わせて論じるように、異なるヘマトクリットレベルと同様の方法で補正することができる。2つの読み取り波長比は、窓内の指紋、または試料細胞金型欠陥、または引っかき傷などの試料細胞上の汚染を補正する。この補正により、1つの波長を使用する場合と比較して、検定精度をかなり良くする。
【0059】
別の実施形態では、吸収率対グルコース濃度の変化が、ヘモグロビンが光を吸収する波長範囲(例えば、約600nmより大きい波長)外で起こる場合の波長範囲が示されている。約600nmより大きい波長で展開する指標試薬を使用することができ、それによってヘモグロビン吸収ピークおよび指標試薬は互いに干渉しない。図9はまた、本システムで得られるデータに対して、約530nmから約570nmの透過レベルでディップが生じたことを示す。これらの2つの光波長は、酸素ヘモグロビンの知られている吸収ピークに相当する。約542nmまたは577nmでの吸収率読み取りを使用して、近赤外線(約750nmから1100nm)で測定されるように赤血球からの拡散による貢献をなくした後に、ヘモグロビンの濃度を測定することができる。この場合、約542nmの波長を有する可視光の吸収率は変化しない、またはグルコース濃度に左右される。
【0060】
背景技術の部分で論じたように、経路長さを短くすることにより、正透過方法の透過レベルを大きくすることができる。経路長さに影響を与える機械的許容範囲は、グルコース濃度中の比例誤差を生じるように、当業者に知られている。したがって、本発明の全透過分光システムによって与えられるより長い経路長さは、少ないグルコース濃度誤差につながる。
代替実施形態A
流体試料中の検体の濃度を測定するのに使用される全透過分光システムであって、
実質上光学的に透明な材料で構成された、分析される試料を受けるための試料細胞受け領域と、
光源と、
光源から光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームで試料細胞受け領域を照らすようになっているコリメーティングレンズと、
第1の広がり角で試料を通して透過された通常のおよび散乱光を受けるようになっており、第1の受光角を有し、第1の広がり角より小さい第2の広がり角を有する光を出力する第1のレンズと、
第1のレンズから光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、
第2のレンズによって出力された光を測定するようになっている検出器と
を備えたシステム。
代替実施形態B
流体試料は血液であり、試料細胞受け領域は、血液で再構成された場合に色彩反応を生じるようになっている溶血剤のない状態の乾燥試薬を含む、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態C
第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態D
第1のレンズは、0から約90度の第1の受光角を有する、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態E
第1のレンズは、70度より大きい第1の受光角角を有する、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態F
第1のレンズの第2の広がり角は約15から約40度である、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態G
第2のレンズに対する第1のレンズの直径の比は約1:2からである、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態H
光源は、約500から約940nmの波長を有する光を出力する、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態I
光源は発光ダイオードを備えている、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態J
光源は単色光を出力する、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態K
光源は白色光を出力する、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態L
検出器はシリコン検出器を備えている、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態M
流体は血液である、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態N
検体はグルコースである、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態O
第1のレンズは、試料を通して透過された通常光および散乱光の実質上全てを受ける、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態P
光源から特定の波長を選択するようになっているフィルタをさらに備えた、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態Q
結合レンズと、光を第2のレンズから検出器まで運ぶ光ファイバケーブルとをさらに備えた、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態R
第2のレンズによって出力された実質的にコリメートされた光ビームは、約5度未満の広がり角を有する、代替実施形態Aのシステム。
代替過程S
全透過分光システムで流体試料中の検体濃度を測定するのに使用する方法であって、
全透過分光システムの試料細胞受け領域中に分析される試料を受けるステップと、
光源を介して光ビームを出力するステップと、
光源から出力される光ビームを実質的にコリメートするステップと、
光源から出力され、実質的にコリメートされた光ビームで試料を照らすステップと、
第1のレンズで試料を通して透過される通常光および散乱光を集めるステップと、
第1のレンズで透過光の広がり角を小さくするステップと、
第2のレンズで小さい広がり角を有する光を受けるステップと、
第2のレンズで、受けた光を実質的にコリメートするステップと、
検出器で第2のレンズからの実質的にコリメートされた光を測定するステップと
を含む方法。
代替過程T
第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、代替過程Sの方法。
代替過程U
第1のレンズで小さくした広がり角は、約15から約40度である、代替過程Sの方法。
代替過程V
第2のレンズで受けた光は、第2のレンズから拡散する光の広がり角を約5度未満まで小さくする、代替過程Sの方法。
代替過程W
光源は約500から約940nmまでの波長を有する、代替過程Sの方法。
代替過程X
光源は単色光ビームを出力する、代替過程Sの方法。
代替過程Y
光源は白色光である、代替過程Sの方法。
代替過程Z
試料細胞受け領域が分析される所定量の試料を受けた時を決定するために検出器を監視するステップをさらに含む、代替過程Sの方法。
代替過程AA
試料細胞受け領域が、分析される所定量の試料を受けたことを決定した後に、流体試料中の検体濃度を測定するステップをさらに含む、代替過程Zの方法。
代替過程BB
全透過分光システムで流体試料を通して透過された光を測定する方法であって、
試料を実質的にコリメートされた光ビームで照らすステップと、
第1のレンズで試料を通して透過された通常光および散乱光を集めるステップと、
第1のレンズで透過光の広がり角を小さくするステップと、
広がり角を小さくした後に、第2のレンズで透過光を実質的にコリメートするステップと、
検出器で実質的にコリメートされた透過光を測定するステップと
を含む方法。
代替過程CC
第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、代替過程BBの方法。
代替過程DD
第1のレンズで小さくした広がり角は、約15から約40度である、代替過程BBの方法。
代替過程EE
第2のレンズで、受けた光を実質的にコリメートするステップは、第2のレンズで受けた光の広がり角を約5度未満まで小さくするステップを含む、代替過程BBの方法。
代替過程FF
さらに約500から約940nmの波長を有する光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、代替過程BBの方法。
代替過程GG
単色光ビームを備えた光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、代替過程BBの方法。
代替過程HH
白色光の光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、代替過程BBの方法。
代替過程II
通常光および散乱光を集めるステップは、試料を通して透過される通常光および散乱光の実質上全てを集めるステップを含む、代替過程BBの方法。
代替過程JJ
試料細胞受け領域が分析される所定量の試料を受けた時を決定する検出器を監視するステップをさらに含む、代替過程BBの方法。
代替過程KK
試料細胞受け領域が分析される所定量の試料を受けたことを決定した後に、流体試料中の検体濃度を測定するステップをさらに含む、代替過程JJの方法。
代替過程LL
試料を通して透過された通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、光源と、試料細胞受け領域とを備えた全透過分光システムを使用して、流体試料中の検体濃度を測定する方法であって、
システムの試料細胞受け領域中で、色彩反応を生じるように試薬と試料を反応させるステップと、
システムの光源によって出力された実質的にコリメートされた近赤外線光ビームで試料を照らすステップと、
システムの検出器で試料を通して透過された近赤外線を測定するステップと、
システムの光源によって出力される実質的にコリメートされた可視光ビームで試料を照らすステップと、
検出器で試料を通して透過された可視光を測定するステップと、
試料を通して透過された測定した近赤外線に対する測定した可視光の比を測定するステップと
を含む方法。
代替過程MM
流体試料は血液である、代替過程LLの方法。
代替過程NN
検体はグルコースである、代替過程LLの方法。
代替過程OO
比を測定するステップは、血液試料中のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを分解するステップを含む、代替過程LLの方法。
代替過程PP
酵素は、テトラゾリウム指標で色を生じるメディエータと結合されたグルコース脱水素酵素である、代替過程LLの方法。
代替過程QQ
試料を通して透過された通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、を備えた全透過分光システムを使用して、血液試料中のグルコース濃度を測定する方法であって、
試料細胞受け領域中で色彩反応を生じるように乾燥試薬と血液試料を反応させるステップと、
システムの光源によって出力された実質的にコリメートされた可視光ビームで試料を照らすステップと、
システムの検出器で試料を通して透過された可視光を測定するステップと、
光源によって出力される実質的にコリメートされた近赤外線光ビームで試料を照らすステップと、
検出器で試料を通して透過された近赤外線を測定するステップと、
血液試料のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを補正するステップと、
血液試料中のグルコース濃度を測定するステップと
を含む方法。
代替過程RR
補正するステップは、試料を通して透過される測定した可視光および測定した近赤外線の比を測定するステップを含む、代替過程QQの方法。
代替過程SS
補正するステップは、試料を通して透過される測定した可視光と測定した近赤外線の相関関係を測定し、可視光透過測定に相関補正を適用するステップを含む、代替方法QQの方法。
【0061】
本発明は様々な変更形態および代替形態が可能であるが、特定の実施形態が例として図に示され、詳細に説明されている。しかし、本発明を開示した特定の形態に限ることを意図したものではなく、反対に、頭記の特許請求の範囲によって規定されたような発明の精神および範囲内に含まれる全ての変更形態、相当物および代替形態を含むことを意図していることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1a】本発明の一実施形態による、体液中の検体濃度を測定するのに使用する全透過分光システムの側面図である。
【図1b】本発明の別の実施形態による、体液中の検体濃度を測定するのに使用する全透過分光システムの側面図である。
【図2a】適当な試料寸法があるかどうか測定するための欠肉検出を含む、本発明の一実施形態による図1aのシステムのステップを示すフローチャートである。
【図2b】血液試料中のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを補正することが可能である、本発明のさらなる実施形態による図1aのシステムのステップを示すフローチャートである。
【図2c】血液試料中のヘモグロビンによって生じる透過バイアスを補正することが可能である、本発明の別の実施形態による図1aのシステムのステップを示すフローチャートである。
【図3】図3aは、500nmから940nmまでの可視および近赤外スペクトルを通して、54、105、210および422mg/dLグルコースレベルで20%ヘマトクリット全血での反応グルコース検定の全透過スペクトルのプロットである。図3bは、500nmから940nmまでの可視から近赤外スペクトルを通して、59、117、239および475mg/dLグルコースレベルで60%ヘマトクリット全血での反応グルコース検定の全透過スペクトルである。
【図4】図4aは、940nmでの透過に対して全ての透過読み取りを割り当てることによって拡散を補正した、図3aの全透過スペクトルのプロットである。図4bは、940nmでの透過に対して全ての透過読み取りを割り当てることによって拡散を補正した、図3bの全透過スペクトルである。
【図5】図1aの読み取りヘッドを使用して得られる、680nmでの全透過(吸収単位)で測定したヘマトクリットの20%、40%および60%レベルでの全血のグルコース濃度使用量反応のプロットである。
【図6】血液試料中の異なるヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアス(吸収単位で)を補正した、図5の使用量反応のプロットである。
【図7】0、100および400mg/dLグルコースレベルでの全血での試薬、および500nmから940nmの可視および近赤外線スペクトル全体を通した試薬での水の全透過(吸収単位でのスペクトル)のプロットである。
【図8】0、50、100、200および450mg/dLのグルコース濃度で全血と反応した試薬の680nmでの(吸収単位で)全透過の直線反応を示す図である。
【図9】ヘマトクリットの20%、40%および60%レベルでの全血に対する500nmから940nmまでの正および全透過スペクトルを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して分光法に関し、より詳細には、体液中の検体の濃度を測定する全透過分光法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
透過分光法は、試料細胞に含まれる試料を通る光ビームの透過に基づいて試料の定量分析を行うのに使用される。光ビームの異なる周波数成分は、試料の成分によって吸収され、それによって試料を透過する光の周波数分析が試料自体の分析を可能にする。乾燥化学試薬は試料によって溶解され、当該検体と反応して、約450ナノメートル(nm)から約950nmまでの範囲の特定の光波長で色彩反応を生じる。
【0003】
透過分光法は、体液(例えば、血液、血漿または血清、唾液、尿、および間質液)中の検体(例えば、グルコース、乳酸塩、フルクトサミン、ヘモグロビンAlc、およびコレステロール)の濃度を測定する1つの方法である。指標試薬システム、および体液の試料中の検体は反応されて、色彩反応を生じる、すなわち試薬と検体の間の反応は試料の色を変える。色変化の程度は、体液中の検体濃度を示している。試料の色変化は、例えば透過光の吸収レベルを測定するように分光法を使用して評価される。正透過分光法は、米国特許第5,866,349号に詳細に記載されている。拡散反射および蛍光分光法は、米国特許第5,518,689号(「散乱光反射読み取りヘッド」)第5,611,999号(「散乱光反射読み取りヘッド」)および第5,194,393号(「光学バイオセンサおよび使用方法」)に詳細に記載されている。
【0004】
基本的なレベルでは、透過分光分析は、試料を照らす光ビームを生じる光源、および試料を透過した光を検出する検出器を含んでいる。検出した透過光はその後、基準試料(例えば、試料なしで検出器によって直接検出された光源からの光)と比較される。正透過分光法は、試料を透過した散乱光ではなく、通常の光軸に対して小さい角度(例えば、約0°から約15°)で試料から出る光の集光および分析のことを言う。通常の光軸は、試料細胞光学入口および出口窓に垂直な軸である。全透過分光法は、通常の光軸に対して大きな角度(例えば、約0°から約90°)で試料から出る光(散乱光を含む)の実質上全ての集光のことを言う。既存の全透過分光分析用システムは、試料を通過する光全てを集めるための積分球、および積分球の内側表面の小さな部分から反射光を読み取るための所要の光電子増倍管を実装する。
【0005】
生物医学光学機関紙の2001年4月号(第6巻、第2号)に掲載された「従来の全透過分光法を使用したヘモグロビン濃度の無試薬測定のためのデータ予備処理および部分最小二乗法分析」というタイトルの記事で報告されているように、約6.6から17.2g/dLの範囲のヘモグロビン濃度を有する全血の正透過レベル(拡散を除く)は、100μmだけの経路長さの可視および近赤外範囲全体を通して15.8から0.1%Tであるが、同じ範囲内のヘモグロビン濃度を有する全血の全透過レベル(拡散を含む)は、79%Tから2%Tである。約600nmから約800nmの範囲の波長を有する光の全透過は、実質上100%Tであり、異なるヘモグロビンレベルの間の分離がほとんどない。したがって、ヘモグロビン濃度レベルは、約600nmから約800nmの範囲の波長を有する透過光にほとんど影響がない。
【0006】
積分球を使用する既存の全透過分光システムに関連する欠点は、積分球の内側表面の小さな部分から反射光を読み取るための光電子増倍管を使用する必要がある低い信号レベルである。従来の全透過分光システムに関連する別の欠点は、積分球および光電子増倍管の費用である。これらの装置の費用により、自己検査、例えば血液グルコース濃度レベルの検査が必要である患者が使用するための既存の全透過分光システムを製造するのに費用が高くなる。その結果、体液中の検体濃度を測定するのに使用する分光システムは、正透過測定に重点を置いていた。
【0007】
正透過分光法を使用する既存のシステムはまた、いくつかの欠点を有する。上に論じたように、小さな角度で試料から出る光だけが、既存の正透過分光測定を使用して集められ、その結果、大きな角度で試料から出る光が失われる。赤血球によって拡散される光のかなりの部分は、正透過測定を使用する既存のシステムで集められず、光のかなりの損失につながり、全血を通る透過レベルが極めて低くなる可能性がある。
【0008】
既存の正透過システムを使用して透過損失を少なくするため、試薬または洗浄剤は普通、赤血球を溶解するために血液試料に加えられる。血球の溶解による細胞壁の破裂により、拡散透過が少なくなり、試料を通る光の正透過が多くなる。溶解試薬の追加、および赤血球のその後の溶解は全測定過程に対して時間がかかる。この問題は既存の正透過分光法には存在しない。というのは、拡散した透過光および正透過光は光学素子によって集められるからである。全透過レベルは普通、赤血球の溶解が必要ないほど十分に高く、それによって化学検定の全体の時間がかなり短くなる。
【0009】
正透過分光法を使用した既存のシステムに関連する別の欠点は、色彩反応が起きた光の波長での透過偏向(バイアス)である。指標試薬は、追加の色反応を引き起こす赤血球の溶解により解放される細胞内成分(すなわち、ヘモグロビン、乳酸脱水素酵素など)と反応することができる。試薬とヘモグロビンなどの特定の細胞内成分とのこのような反応によって生じる透過バイアスは、血液グルコースレベルを示していない。このような透過バイアスにより、検体(例えば、グルコース)濃度を測定する際の不正確性が生じる。バイアス量は、血球内の特定の細胞成分の濃度に関連している。
【0010】
血液溶解は既存の全透過分光法に必要ないので、グルコース測定に干渉することがある細胞内成分量はかなり少なくなる。しかし、バイアスは約600nm未満の可視波長で吸収するヘモグロビンなどの物質に対して残っている。例えば、酸素ヘモグロビンの全透過スペクトルは約542nmおよび約577nmの波長で吸収ピークを有することが、生物医学光学の機関紙の前述の記事から分かる。約542nmまたは約577nmの波長の吸収レベルは、全血試料のヘモグロビン濃度を測定するのに使用することができることが分かる。ヘモグロビンによって生じるグルコース濃度の残りの干渉誤差は、542nmまたは577nmで全透過を測定し、知られているヘモグロビン濃度に吸収を関連させることによって補正することができる。
【0011】
全血のヘマトクリットレベルはまた、異なるヘマトクリットレベルでの散乱光の量の相違による全透過バイアスを引き起こす可能性がある。ヘマトクリットのレベルを変えることによって生じる透過損失は、血液グルコースレベルを示していない。正透過または全透過分光法を使用する既存のシステムは、光の特定の波長での低い透過レベルとヘマトクリットレベルの間の低い分離により、ヘマトクリットレベルの相違を検出することが可能ではない。
【0012】
正透過分光法を使用する既存のシステムの別の欠点は、試料経路長さにより生じる正確性誤差である。試料細胞領域の経路長さの10%の変化は、正透過法および全透過法の両方に対する濃度測定の10%誤差につながる。経路長さ変化を生じさせる機械的許容範囲は、経路長さに関わらず実質的に同じである。しかし、正透過法を使用する既存のシステムは、赤血球拡散による透過損失を補うためにより短い経路長さが必要である。したがって、より短い経路長さでの機械的許容範囲はより高い濃度誤差につながる。赤血球から散乱光を集める全透過分光システムによって可能になるより長い経路長さにより、経路長さ誤差が小さくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、体液中の検体濃度を測定する際に、正または全透過分光法を使用する既存のシステムによって生じる上記問題を少なくするまたはなくすことが望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態によると、流体試料中の検体の濃度を測定するのに使用する全透過分光システムは、試料細胞受け領域と、光源と、コリメーティングレンズと、第1のレンズと、第2のレンズと、検出器とを備えている。試料細胞受け領域は、分析される試料を受けるようになっている。試料細胞受け領域は、実質上光学的に透明な材料で構成されている。コリメーティングレンズは、光源からの光を受けるようになっており、実質的にコリメートされる光ビームで試料細胞受け領域を照らすようになっている。第1のレンズは、第1の広がり角で試料を通して透過される通常または散乱光を受けるようになっている。第1のレンズは、第1の受光角を有する光を受ける。第1のレンズは、第2の広がり角を有する光を出力する。第2の広がり角は第1の広がり角より小さい。第2のレンズは、第1のレンズから光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている。検出器は、第2のレンズによって出力される光を測定するようになっている。
【0015】
1つの方法によると、流体試料中の検体濃度は全透過分光システムで測定される。分析される試料は、全透過分光システムの試料細胞受け領域内に受けられる。光ビームは光源を介して出力される。光ビーム出力は実質的に、光源からコリメートされる。試料は、光源から出力される実質的にコリメートされた光ビームで照らされる。試料を通して透過される通常光および散乱光は、第1のレンズで集められる。透過光の広がり角は、第1のレンズで小さくなる。小さな広がり角を有する光は第2のレンズで受けられる。受けられた光は実質的に、第2のレンズでコリメートされる。第2のレンズからの実質的にコリメートされた光は検出器で測定される。
【0016】
1つの方法によると、流体試料を通して透過される光は全透過分光システムで測定される。試料は、実質的にコリメートされた光ビームで照らされる。試料を通して透過された通常光および散乱光は第1のレンズで集められる。透過光の広がり角は、第1のレンズで小さくなる。透過光は実質的に、広がり角を小さくした後に第2のレンズでコリメートされる。実質的にコリメートされた透過光は検出器で測定される。
【0017】
別の方法によると、流体試料中の検体の濃度は全透過分光システムを使用して測定される。システムは、コリメートされた光源と、試料受け領域と、試料を通して透過される通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、検出器とを備えている。試料は、システムの試料細胞受け領域中で色彩反応を生じさせるようになっている試薬と反応する。試料は、システムの光源によって出力される実質的にコリメートされた近赤外線ビームで照らされる。試料を通して透過される近赤外線は、システムの検出器で測定される。試料は、システムの光源によって出力される実質的にコリメートされた可視光ビームで照らされる。試料を通して透過された可視光は検出器で測定される。試料を通して透過された測定した近赤外線と測定した可視光との比が決定される。
【0018】
さらに別の方法によると、血液試料中のグルコース濃度は、全透過分光システムを使用して測定される。システムは、試料を通して透過される通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズとを備えている。この方法は、試料細胞受け領域中で色彩反応を生じるように、血液試料を乾燥試薬と反応させる動作を含んでいる。試料は、システムの光源によって出力される実質的にコリメートされた可視光ビームで照らされる。試料を通して透過された可視光は、システムの検出器で測定される。試料は、光源によって出力される実質的にコリメートされた近赤外光ビームで照らされる。試料を通して透過された近赤外線は、検出器で測定される。血液試料のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスに対する補正が行われる。血液試料中のグルコース濃度が測定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は様々な変更形態および代替形態が可能であるが、特定の実施形態が例として図面に示されており、本明細書でより詳細に説明する。しかし、本発明は開示した特定の形態に限ることを意図したものではないことを理解すべきである。むしろ、本発明は本発明の精神および範囲内にある全ての変更形態、相当物、および代替形態を含むものとする。
【0020】
次に図面、最初に図1aを参照すると、体液などの生体試料中の検体濃度の測定に使用する全透過分光法を実施する透過分光システム10が示されている。測定することができる検体の非限定的な例としては、グルコース、乳酸塩、フルクトサミン、コレステロールヘモグロビンAlc、およびコレステロールが挙げられる。このような検体は、血液(血漿および血清を含む)、唾液、尿および間質液などの体液中にあってもよい。
【0021】
システム10は光源12を備えている。一実施形態によると、光源は約300nmから約3200nmの範囲の波長を有する白色光ビームを出力するハロゲンランプである。別の実施形態によると、光源12は約400nmから約1000nmまでの波長範囲内にある中心波長を有する発光ダイオード(LED)を使用して、2つ以上の単色光ビームを出力する。光源12によって出力される光は、実質的にコリメートされた光ビーム14を出力するコリメーティングレンズ22によって受けられる。コリメートされた光ビーム14は、読み取りヘッド20の試料細胞受け領域18内に配置された試料16を照らす。
【0022】
一実施形態によると、試料は指標を含む乾式試薬システムと反応したグルコースを有する血液を含む。一実施形態によると、使用することができるグルコース指標試薬は、グルコース脱水素酵素、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、ジアフォラーゼ、テトラゾリウム指標(WST−4)(2−ベンゾチアゾル−3−(4−カルボキシ−2−メトキシフェニル)−5−[4−(2−スルフォエチルカルバモイル)フェニル]−2H−テトラゾリウム)、およびポリマーを含む。当業者は、異なる酵素(PQQ−グルコース脱水素酵素、グルコースオキシダーゼ、または乳酸脱水素酵素など)、指標およびメディエータ、および検体(グルコース、乳酸塩など)を使用することができることが考えられる。試薬形成使用量は、赤血球を分離するために溶血剤を必要としない。赤血球を分離しないことによって、全時間検査はより早くなる。
【0023】
実質的にコリメートされた光ビーム14は試料16を照らし、光の一部は試料16を通して透過される。普通におよび広く拡散された光を含む、試料を通って透過された光は、第1のレンズ30および第2のレンズ40によって集められる。図示した実施形態では、第1および第2のレンズは半球レンズである。球面レンズまたは非球面レンズを含む他のタイプのレンズを使用して透過光を集めることができると考えられる。
【0024】
代替実施形態によると、第1のレンズ30は、約72°の受光角または約0.951の開口数(NA)で光を集めるが、受光角は透過光の拡散部分を集めるように0°から90°の範囲である。第1のレンズ30から出る光32は、約15°から約40°の範囲の角度、より詳細には約20°の角度で発散する。第2のレンズ40は、第1のレンズ30の発散光出力32を0度から約10度の範囲の発散光42の角度まで少なくし、より詳細には、0度から約5度までコリメートされる。試料から出る正および拡散透過光は、第1および第2のレンズ30、40によってそらされたり拡散されたりしない。したがって、1対のレンズ30、40は試料16を通して透過される光の実質上全てを集める。1対のレンズ30、40は集めた光を実質的にコリメートし、実質上垂直の入射で検出器50を照らす。発散する光42は、約5°未満の広がり角を有する。
【0025】
分光システム10の一実施形態によると、1つの帯域通過フィルタ52または複数の帯域通過フィルタは検出器50の前に配置することができる。(1つまたは複数の)帯域通過フィルタ52は普通、約400から約1000nmまでの(1つまたは複数の)中心波長、および約5から約50nmまでの狭い帯域幅を有する。(1つまたは複数の)帯域通過フィルタ52は普通、ハロゲンランプなどの白色光が光源12として使用された場合に使用される。別の方法では、帯域通過フィルタを使用して、LED源12のスペクトル帯域幅を変更する、または試料透過に貢献しない漂遊周辺光を濾波することができる。(1つまたは複数の)帯域通過フィルタ52上の発散光42は実質的にコリメートされる。というのは、フィルタの所定の入射角の外側にあるフィルタを通過する光はフィルタの所定の帯域幅内にないからである。
【0026】
第1および第2のレンズ30、40は組み合わせて、検出器50に案内される光の信号レベルを良くする。というのは、レンズ30、40は、試料16を通して検出器50まで透過される高い割合の光を集め、案内するからである。さらに、検出器の表面に実質上垂直であるコリメートされた光ビームで検出器50を照らすことによって信号レベルが改善される。普通、コリメートされた光ビームの広がり角は約5度未満である。検出器50の表面に対する垂直入射角は、検出器50の表面からのフレネル反射によって生じる信号損失を小さくする。かなりの光損失が、約20度を超える入射角でフレネル反射により生じる。
【0027】
検出器50によって集められた光42はその後、試料の透過パーセント、およびその後の試料中の検体濃度を測定するように、光路中の試料(空気)なしで取られた読み取りを含む基準測定と比較される。
【0028】
分光システム10の図示した実施形態によると、検出器50および(1つまたは複数の)帯域通過フィルタ52は、第2のレンズ40と実質上直線に位置合わせされている。本発明の一実施形態によると、検出器50はシリコン検出器である。しかし、例えば硫化鉛などの他のタイプの光検出器を含む他の光検出器、または電荷結合素子(CCD)を使用して透過光を検出することができる。他の代替実施形態では、検出器50および(1つまたは複数の)帯域通過フィルタ52は第2のレンズ40と直線に位置合わせされておらず、むしろ第2のレンズ40と実質上直線に位置合わせされた入口を有する光ガイドまたは(1つまたは複数の)光ファイバ(図示せず)は、光を他のところに位置決めされた検出器/フィルタ、または分光器に運ぶ。分光システム10は、既存の全透過分光システムの上で得られる信号レベルをかなり改善する。というのは、光は第1および第2のレンズ30、40で検出器に直接結合されるからである。
【0029】
本発明の一実施形態によると、試料16を通る経路長さは約40μmから約200μmであり、試料は約1mmの直径を有する。一実施形態によると、第1のレンズ30は約4mmの直径を有するプラスチックのマイクロ半球レンズである。第2の集光レンズ40は、約8mmの直径を有するプラスチックのマイクロ半球レンズである。第1のレンズおよび第2のレンズの直径の比は普通、約1:2からである。第1および第2の半球レンズ30、40は一実施形態によるとアクリルで構成されている。
【0030】
検出器50は、受けた光の量を示す信号を出力する。本発明の一実施形態によると、試料が読み取りヘッド20の試料細胞受け領域18内に入りこれを充填した時を判断するように、読み取りヘッド20を備えた透過分光システム10の制御システム(図示せず)によって出力は監視される。本発明のいくつかの実施形態では、試料細胞受け領域18は毛細経路の一部であってもよく、または試料細胞受け領域18を充填するように毛細経路に結合されている。試料細胞受け領域18は、一実施形態によると実質上光学的に透明な材料でできている。
【0031】
次に図1bを参照すると、別の実施形態による流体試料中の検体濃度を測定するのに使用される透過システム60が示されている。透過システム60は、図1aに関連して上で説明した同じ構成要素の多くを有する。加えて、透過システム60は発散光42を集める結合レンズ62を備えている。結合レンズ62はさらに、光ケーブル66に到達する前に、発散光42を発散光64まで小さくする。図1bに示すように、光ケーブル66は発散光を分光器68まで運ぶ。別の実施形態では、分光器は図1aに示す検出器(例えば、検出器50)に代えることができる。このような実施形態では、フィルタは図1aに関連して上に説明したようなもの(例えば、(1つまたは複数の)フィルタ)などのフィルタを加えることができる。
【0032】
(a)試料細胞受け領域18の充填不足、または(b)タイミングに関連する誤差を防ぐまたは抑制するため、試料細胞受け領域18が体液(例えば、血液)で充填されるときに変化する検出器の出力を、制御システムが監視する。その実施形態が図2aに関して記載されているタイミングシーケンスは、試料中の試薬と検体の反応が起こるのに十分な時間を可能にする。これにより、検査の全体の性能が良くなる。というのは、実質上正確なタイミングがより早くより信頼性のある検体の測定につながる可能性があるからである。
【0033】
例えば、試料細胞受け領域18内に配置された所定量の試薬と反応するように集められる試料が少なすぎる場合に、充填不足が起こる。充填された試料細胞受け領域18を示す透過光が検出されると、制御システムは、検出器50のその後の出力を体液試料(例えば、血液試料)中の検体濃度を測定するのに使用することができることが分かる。
【0034】
加えて、本発明の1つの過程によると、検出器50が試料、または特定の試料量を検出すると、システム10はタイミングシーケンスを開始し、その結果検出器50は分析のために試料を通して透過される光を検出し始める。この過程によると、図2aに関連して記載した透過分光システム10は、検出器50による透過光の集光を開始するための正確な時間を測定するように、試料領域の監視を開始する。ステップ122では、空の試料細胞受け領域18(図1a)は光源12からの光で照らされる。試料が試料受け領域内にない場合、システム10を通る透過レベルは極めて高い(例えば、実質上100%)。ステップ124では、試料は試料細胞受け領域18に入力される。本発明の一実施形態によると、試料と混合される試薬は既に試料細胞受け領域18内で乾燥されている。別の方法では、試薬は試料で、または試料が試料細胞受け領域18内に受けられた後に堆積させることができる。
【0035】
システム10は、ステップ126で試料を通して透過された光を測定することによって、試料細胞受け領域18を監視する。システム10は、ステップ128でシステム10のメモリ内に記憶された閾値と検出器50によって測定された透過光量を比較する。測定光量が閾値を超えた場合、システムは試料の必要量がステップ128で試料細胞受け領域に入力されず、試料細胞受け領域18を透過した光の量がステップ126で再び測定されたと判断する。システム10は、次の測定を行う前に、ステップ130で所定の時間量(例えば、5または10秒)待機することができる。測定した光量がメモリ内に記憶された閾値より小さい場合、システムはステップ150(図2b)またはステップ102(図2c)で分析を開始することができる。
【0036】
ステップ126での透過光の測定が試料受け領域への試料の入力後に起こるように図示されているが、このステップは連続した方法で行うこともできる。例えば、検出器はシステム10が開始した瞬間からステップ128で明確な測定が起こるまで、図2cに説明された分析をいつ始めるかを判断する目的で、試料細胞受け領域18を通して透過される光を連続的に検出することができる。加えて、代替実施形態によると、ステップ124で試料細胞受け領域に試料を入力した後に正確な判断が行われなかった場合(システム10が開始した後に試料入力が少なすぎる場合)、システム10は誤差信号を発生することができる。加えて、検定の反応時間を正確に測定するために、反応が起こり始める時を正確に知ることが望ましい。反応の開始のための正確な時間は、図2aの監視方法を使用することによって測定することができる。
【0037】
全透過分光システムは、試料中の検体濃度を測定するように、正透過システム上で可視範囲(例えば、約400から約700nm)および近赤外線範囲(例えば、約700から約1100nm)の実質的に改良された透過光量を集めるようになっている。高い割合の集めた透過光が検出器を照らすので、透過分光システム10は、既存の全透過システムを超える性能的利点を提供する。このように改良された集光能力により、システム10が、異なるヘマトクリットレベル(図2b)、または全血試料などの体液中のヘモグロビン(図2c)およびヘマトクリット(図2c)両方の存在による拡散によって生じるバイアスまたは干渉を補正するのに使用される、これら2つの領域内で光を集めることが可能になる。
【0038】
次に図2bを参照すると、体液(例えば、全血試料)中の検体濃度を測定し、異なるヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを補正するのに透過分光システム10を使用する1つの方法が示されている。バイアスの度合いは、全血試料中のヘマトクリットレベルの関数である。指標試薬は、本発明の一実施形態によると、約750nm未満の可視光波長で血試料の検体濃度レベルを示す色彩反応を生じるようになっている。
【0039】
図1aの全透過システム10での実験の際、全透過光は約400から約1100nmまでの可視および近赤外線波長で測定する場合にヘマトクリットレベルで変化すると考えられている。発明者の発見の前、ヘマトクリットレベル間の分離は、約600から約1000nmまでの範囲の波長を有する全透過光で検出することができないと普通に考えられていた。例えば、背景技術の部分で論じた生物医学光学機関紙の記事は、約600から約800nmまでの波長でヘマトクリットレベル間には分離がないことを示している。
【0040】
しかし、全血のヘマトクリットレベルは、可視および近赤外線(IR)光領域(例えば、400から1100nm)全体を通してスペクトル反応に影響を与える。光透過は、赤血球の数による散乱光の相違のため、異なるヘマトクリットレベルで変化し、これに比例する。近赤外線波長でのヘマトクリット透過バイアスは、血液のヘマトクリットレベルに比例する。図3aと図3bの間の比較はまた、20%ヘマトクリット血液の透過率は、約500から約940nmまでの検査範囲全体を通して60%ヘマトクリット血液試料より30%T高いことを示す。しかし、近赤外線波長で測定した透過率は、グルコース濃度の変化に影響されない。というのは、指標は可視波長(例えば、約680nm)で、反応し色彩反応を生じるようになっている。
【0041】
操作中、図2bに示す一過程によると、試薬と反応させた全血試料は、全血試料中のヘマトクリットレベルによる測定光の拡散部分を測定するために、ステップ150で第1の波長の光(例えば、約750から約1100nm)で照らされる。通常光および散乱光は、図1aに関連して上で説明したように、ステップ152で検出器50で測定される。次に、試料はステップ154で第2の波長の光(例えば、約600から約750nm)で照らされ、透過した通常光および散乱光は、ヘマトクリットレベルによる散乱光、および検体濃度による色彩反応の両方を測定するように、ステップ156で検出器50で測定される。ヘマトクリット依存散乱光のバイアスは、ステップ156および152で得られる透過測定の比を計算することによってステップ158で補正される。全血試料の検体濃度レベルは、ステップ158から補正された透過を使用してステップ160で計算される。
【0042】
本発明の代替実施形態では、例えば、直線回帰または多項式フィット補正アルゴリズムなどの追加の補正アルゴリズムを使用して、検体反応が起こる場合の波長でヘマトクリットによって生じる、ヘマトクリットレベルとバイアスまたは干渉の間の関係を測定することができる。
【0043】
次に図2cを参照すると、例えば、全血試料中の検体濃度を測定し、ヘモグロビンの存在によって生じる透過バイアスを補正するために透過分光システム10を使用する方法が示されている。バイアスの度合いは、全血試料中のヘモグロビンレベル、および赤血球の存在による拡散の関数である。操作中、全血試料および試薬の反応は、ステップ102で約400nmから約600nmまでの第1の波長の光で照らされる。例えば、第1の波長は約545nmまたは約577nmであってもよい。通常光および散乱光は、図1aに関連して上で説明したように、ステップ104で検出器50で吸収率単位が測定される。
【0044】
背景技術の部分で論じたように、酸素ヘモグロビンのスペクトルは約545nmから約577nmで吸収ピークを示し、これらの波長での反応には影響を受けない。というのは、反応は例えば、約750nmの第2の波長で測定されるように設計されているからである。第1の波長で測定された吸収率は、血液のヘマトクリットレベルによるヘモグロビンおよび拡散の両方への貢献を含む。一実施形態によると、指標試薬は約600nmより大きく約1000nm未満の第2の波長(可視―近赤外線)での血液試料の検体濃度レベルを示す色彩反応を生じる。全血試料および試薬は、ステップ106で第2の波長の光で照らされる。
【0045】
全血試料中のヘモグロビンの存在によるバイアスは、ステップ104で得られる測定を使用してステップ108で得られる測定に影響を与えるバイアスを補正することによって、ステップ110で補正される。バイアスを補正する方法は、ヘモグロビン濃度とヘモグロビンによって生じる測定バイアス108の間の相関関係に左右される。相関関係は、反応で使用される化学形成によって直線または非直線であってもよい。試料の検体濃度は、ステップ110からの補正された透過測定を使用してステップ112で測定される。
【0046】
図2bに関連して上で論じたものと同様に、適当な試料の存在、および図2aに示した反応開始時間を測定する方法はまた、別の過程で図2cの方法に適用させることができる。
【0047】
上で論じたように、本発明の透過分光システム10は、試料中の検体濃度を測定するために、正透過システム上で可視範囲および近赤外線範囲の実質的に改良した透過光量を集めるようになっている。図1aの全透過システム10での実験の際、試薬指標が色彩反応を有する場合に、ヘマトクリットレベルまたはヘモグロビンは読み取り波長で透過バイアスを生じさせることができることが考えられる。第1の読み取り波長(例えば、750nmより大きい)で生じるヘマトクリットレベルに比例する透過バイアスは、ヘマトクリットレベルによるバイアスおよび化学指標の色彩反応の両方を含む、第2の読み取り波長(例えば、約600から750nm)を補正するのに使用することができる。別の方法では、第1の読み取り波長(例えば、600nm未満)で生じるヘモグロビンに比例する透過バイアスは、化学指標が色彩反応を生じる場合に第2の読み取り波長(例えば、600nmより大きい)を補正するのに使用することができる。
実施例
次に図3aを参照すると、本発明の一実施形態(透過分光システム10)は、試薬と反応させた20%のヘマトクリットレベルを有する全血試料の全透過レベルを測定し、それぞれ異なる血液のグルコース濃度レベル、54、104、210、および422ミリグラム毎デシリットルのグルコース(「mg/dLグルコース」)を有していた。透過分光システム10は、実施形態では「本システム」と呼ばれる。光源12(図1a)からの白色光は、試料を通して透過された。500nmから940nmまで測定された全透過レベルは、各グルコース濃度レベルに対して図3aに示された。透過は、ヘモグロビンの吸収率により500から600nmまで、より低かった。赤血球(ヘマトクリット)によって拡散される光によって生じる透過損失は、500nmから940nmまでの透過に影響を与える。グルコース反応中の指標は、500から750nmの間を吸収し、したがって約750nmまでのグルコース濃度レベル間の分離があった。図3aに示すように、約750nm以上の波長では、全透過レベルの低下は赤血球による拡散による光損失のみによるものであり、それによって異なるグルコース濃度レベルを有する試料間の分離はほとんどなかった。
【0048】
図3bは、血液のヘマトクリットレベルが、図3aに示すものと同様のグルコース濃度(59、117、239および475mg/dLグルコース)を有する血液試料に対して60%まで増加される場合、全透過レベルが500nmから940nmまでの測定波長範囲全体を通して低下することを示している。図3bはまた、500から約750nmまでのグルコース濃度レベルの間の分離を示している。図3aに示すように、約750nmの透過レベルは、約20%のヘマトクリットレベルを有する血液に対して70から80%の間であった。図3bに示すように、750nm以上の透過レベルは約60%のヘマトクリットレベルを有する血液に対して40から50%の間であった。20%と60%ヘマトクリットでのスペクトル間の相違は、ヘモグロビンによる吸収による干渉がある場合の波長以上の約600nmから940nmまでの波長に比例していた。
【0049】
しかし、図3aまたは3bのヘマトクリットレベルの何れかに対して、750nm以上の波長でグルコース濃度レベル間の分離はほとんどなかった。したがって、750から940nmスペクトルを使用して、これらのレベルでの赤血球の数の違いによって生じるヘマトクリットレベルを測定することができる。ヘマトクリットレベルは、これらの波長でのグルコース濃度またはヘモグロビンに左右されない。(近赤外線波長を使用して測定された)散乱光による光透過は、グルコース濃度レベルを測定する前に、ヘマトクリットレベルによる干渉を補正するのに使用される。
【0050】
図4a、4bは、940nmでの透過に全ての透過読み取りを割り当てることによって拡散を補正した、それぞれの図3a、3bの全透過スペクトルのプロットを示している。補正後は、同様のグルコース濃度に対する同様の透過は、グルコース検定用の指標反応が測定された波長範囲(約660nmから680nm)内で20%および60%ヘマトクリット血液試料の両方に対して得られる。したがって、近赤外線波長を使用して、全血試料のヘマトクリットによる違いを補正することができる。この干渉誤差を補正する能力は、グルコース濃度測定の精度を良くする。
【0051】
次に図5を参照すると、ヘマトクリットレベルを使用してグルコース濃度測定を補正する方法は、一実施形態により論じられる。図5で20%、40%および60%のヘマトクリットレベル(「Hct」)で全血に対する全透過反応が示されており、約680nmの波長を有する可視光に対する透過(吸収率単位で)が、グルコース濃度レベルに対して示されている。同様の使用量反応が各ヘマトクリットレベルで観察されるが、図5に示された3つのヘマトクリットレベル間の分離によって示されるようにそれぞれのヘマトクリットレベルによって生じるバイアスまたは干渉がある。
【0052】
図6は、異なるヘマトクリットレベルによるバイアスが血液試料を通して透過される約750nmから約950nmまでの近赤外線によって分割された約680nmで可視光の比によって補正される場合の同じデータを示している。補正は、上で論じたように、試料に対する940nmの近赤外線の透過レベルによって680nmの可視光(図5)の透過レベルを分割することによって達成される。簡単に言うと、拡散の違いによるヘマトクリットバイアスが「取り除かれ」、図6はヘマトクリットレベルの変化によって影響されない使用量反応を示している。
【0053】
次に図7を参照すると、本システムを使用して、全血のいくつかの試料のグルコース濃度を測定した。乾燥試薬は、0、100、および400mg/dLのグルコース濃度を有する血液試料で再構成された。加えて、0mg/dL血液試料は試薬で再構成されず、乾燥試薬は水試料で再構成された。化学反応のない血液試料は血液のスペクトル貢献を示し、試薬を有する水試料は試薬のスペクトル貢献を示す。反応の全吸収レベルは、60秒間の全検査時間に対して5秒毎に分光器に記録した。反応は15から30秒で終了した。これは正透過分光法よりかなり早く、赤血球溶解を終了するのに必要な約60から90秒の延長反応時間に左右される。図7に示すように、グルコース濃度レベルを測定するのに使用される、可視波長(例えば、約660から約680nm)で0、100および400mg/dLの様々なグルコース濃度レベル間の光透過レベルの分離があった。
【0054】
次に図8を参照すると、本システムを使用して、知られているグルコース濃度を有するいくつかの全血試料を通して透過された680nm光を測定した。図8では、(吸収単位で示した)全透過光は、全血の知られているグルコース濃度レベルに対して示された。直線回帰分析は、図8に示したデータに適用された。図示するように、透過光の量とグルコース濃度の間には実質上直線の関係がある。0.985(実質上1.000)の直線相関係数は、本発明のシステムおよび方法を使用して、吸収レベルとグルコース濃度の間の優れた相関関係があったことを示す。
【0055】
図9を参照すると、それぞれ20%、40%および60%のヘマトクリットレベルを有する全血試料に対する全透過レベルは、本システムを使用して得られた。約500から約940nmまでの波長を有する光は、全血試料を通して透過された。試料受け細胞の経路長さは、42マイクロメートルであった。図9では、得られる3つの試料に対する透過レベルが、透過光の波長に対して示された。
【0056】
正透過システム(「正システム」)を使用する既存の分光システム上の本システムの一実施形態の利点を示すため、20%、40%および60%のヘマトクリット濃度レベルを有する3つの全血試料に対する透過レベルが、図9の両方の方法に対して示される。正透過システムは、図9では「%Hct、正%T」と示され、全透過システムは図9では「%Hct、全%T」と示される。この実施例で使用される透過システムは両方とも、約500から約940nmまでの波長を有する実質的にコリメートされた光で3つの試料を照らした。試料を通して透過された、散乱光ではなく実質的にコリメートされた光は、正透過システムで集められたが、通常の光および散乱光は両方とも本システムによって集められる。両方の透過システムでは、試料経路長さは約42μmであった。
【0057】
図9の2セットのデータを比較すると、3つの試料に対する光の正透過レベルは500nmより大きい波長で2%未満である。本システムで得られた3つの試料に対して集められた光の透過レベルは、500nmより大きい波長で10%Tより大きかった。本システムで得られた3つの試料に対する透過レベル間の優れた分離は、500nmより大きい波長を有する光に生じた。図9はまた、本システムで得られるデータに対して、約542から約577nmの透過レベルで低下(ディップ)が生じたことを示す。これらの2つの光波長は、酸素ヘモグロビンの知られている吸収ピークに相当する。したがって図9に示すように、本システムの記載した実施形態は、これらの波長でのヘモグロビン、またはヘマトクリットによって拡散される光の吸収にも関わらず、正透過システムを使用した既存の分光システム上で500から940nmまでのより大きな透過光量を達成した。
【0058】
別の実施形態では、試料細胞中の不完全性による拡散、または試料中の少量のデブリによって生じるバイアスは、図2bと合わせて論じるように、異なるヘマトクリットレベルと同様の方法で補正することができる。2つの読み取り波長比は、窓内の指紋、または試料細胞金型欠陥、または引っかき傷などの試料細胞上の汚染を補正する。この補正により、1つの波長を使用する場合と比較して、検定精度をかなり良くする。
【0059】
別の実施形態では、吸収率対グルコース濃度の変化が、ヘモグロビンが光を吸収する波長範囲(例えば、約600nmより大きい波長)外で起こる場合の波長範囲が示されている。約600nmより大きい波長で展開する指標試薬を使用することができ、それによってヘモグロビン吸収ピークおよび指標試薬は互いに干渉しない。図9はまた、本システムで得られるデータに対して、約530nmから約570nmの透過レベルでディップが生じたことを示す。これらの2つの光波長は、酸素ヘモグロビンの知られている吸収ピークに相当する。約542nmまたは577nmでの吸収率読み取りを使用して、近赤外線(約750nmから1100nm)で測定されるように赤血球からの拡散による貢献をなくした後に、ヘモグロビンの濃度を測定することができる。この場合、約542nmの波長を有する可視光の吸収率は変化しない、またはグルコース濃度に左右される。
【0060】
背景技術の部分で論じたように、経路長さを短くすることにより、正透過方法の透過レベルを大きくすることができる。経路長さに影響を与える機械的許容範囲は、グルコース濃度中の比例誤差を生じるように、当業者に知られている。したがって、本発明の全透過分光システムによって与えられるより長い経路長さは、少ないグルコース濃度誤差につながる。
代替実施形態A
流体試料中の検体の濃度を測定するのに使用される全透過分光システムであって、
実質上光学的に透明な材料で構成された、分析される試料を受けるための試料細胞受け領域と、
光源と、
光源から光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームで試料細胞受け領域を照らすようになっているコリメーティングレンズと、
第1の広がり角で試料を通して透過された通常のおよび散乱光を受けるようになっており、第1の受光角を有し、第1の広がり角より小さい第2の広がり角を有する光を出力する第1のレンズと、
第1のレンズから光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、
第2のレンズによって出力された光を測定するようになっている検出器と
を備えたシステム。
代替実施形態B
流体試料は血液であり、試料細胞受け領域は、血液で再構成された場合に色彩反応を生じるようになっている溶血剤のない状態の乾燥試薬を含む、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態C
第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態D
第1のレンズは、0から約90度の第1の受光角を有する、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態E
第1のレンズは、70度より大きい第1の受光角角を有する、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態F
第1のレンズの第2の広がり角は約15から約40度である、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態G
第2のレンズに対する第1のレンズの直径の比は約1:2からである、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態H
光源は、約500から約940nmの波長を有する光を出力する、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態I
光源は発光ダイオードを備えている、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態J
光源は単色光を出力する、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態K
光源は白色光を出力する、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態L
検出器はシリコン検出器を備えている、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態M
流体は血液である、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態N
検体はグルコースである、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態O
第1のレンズは、試料を通して透過された通常光および散乱光の実質上全てを受ける、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態P
光源から特定の波長を選択するようになっているフィルタをさらに備えた、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態Q
結合レンズと、光を第2のレンズから検出器まで運ぶ光ファイバケーブルとをさらに備えた、代替実施形態Aのシステム。
代替実施形態R
第2のレンズによって出力された実質的にコリメートされた光ビームは、約5度未満の広がり角を有する、代替実施形態Aのシステム。
代替過程S
全透過分光システムで流体試料中の検体濃度を測定するのに使用する方法であって、
全透過分光システムの試料細胞受け領域中に分析される試料を受けるステップと、
光源を介して光ビームを出力するステップと、
光源から出力される光ビームを実質的にコリメートするステップと、
光源から出力され、実質的にコリメートされた光ビームで試料を照らすステップと、
第1のレンズで試料を通して透過される通常光および散乱光を集めるステップと、
第1のレンズで透過光の広がり角を小さくするステップと、
第2のレンズで小さい広がり角を有する光を受けるステップと、
第2のレンズで、受けた光を実質的にコリメートするステップと、
検出器で第2のレンズからの実質的にコリメートされた光を測定するステップと
を含む方法。
代替過程T
第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、代替過程Sの方法。
代替過程U
第1のレンズで小さくした広がり角は、約15から約40度である、代替過程Sの方法。
代替過程V
第2のレンズで受けた光は、第2のレンズから拡散する光の広がり角を約5度未満まで小さくする、代替過程Sの方法。
代替過程W
光源は約500から約940nmまでの波長を有する、代替過程Sの方法。
代替過程X
光源は単色光ビームを出力する、代替過程Sの方法。
代替過程Y
光源は白色光である、代替過程Sの方法。
代替過程Z
試料細胞受け領域が分析される所定量の試料を受けた時を決定するために検出器を監視するステップをさらに含む、代替過程Sの方法。
代替過程AA
試料細胞受け領域が、分析される所定量の試料を受けたことを決定した後に、流体試料中の検体濃度を測定するステップをさらに含む、代替過程Zの方法。
代替過程BB
全透過分光システムで流体試料を通して透過された光を測定する方法であって、
試料を実質的にコリメートされた光ビームで照らすステップと、
第1のレンズで試料を通して透過された通常光および散乱光を集めるステップと、
第1のレンズで透過光の広がり角を小さくするステップと、
広がり角を小さくした後に、第2のレンズで透過光を実質的にコリメートするステップと、
検出器で実質的にコリメートされた透過光を測定するステップと
を含む方法。
代替過程CC
第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、代替過程BBの方法。
代替過程DD
第1のレンズで小さくした広がり角は、約15から約40度である、代替過程BBの方法。
代替過程EE
第2のレンズで、受けた光を実質的にコリメートするステップは、第2のレンズで受けた光の広がり角を約5度未満まで小さくするステップを含む、代替過程BBの方法。
代替過程FF
さらに約500から約940nmの波長を有する光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、代替過程BBの方法。
代替過程GG
単色光ビームを備えた光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、代替過程BBの方法。
代替過程HH
白色光の光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、代替過程BBの方法。
代替過程II
通常光および散乱光を集めるステップは、試料を通して透過される通常光および散乱光の実質上全てを集めるステップを含む、代替過程BBの方法。
代替過程JJ
試料細胞受け領域が分析される所定量の試料を受けた時を決定する検出器を監視するステップをさらに含む、代替過程BBの方法。
代替過程KK
試料細胞受け領域が分析される所定量の試料を受けたことを決定した後に、流体試料中の検体濃度を測定するステップをさらに含む、代替過程JJの方法。
代替過程LL
試料を通して透過された通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、光源と、試料細胞受け領域とを備えた全透過分光システムを使用して、流体試料中の検体濃度を測定する方法であって、
システムの試料細胞受け領域中で、色彩反応を生じるように試薬と試料を反応させるステップと、
システムの光源によって出力された実質的にコリメートされた近赤外線光ビームで試料を照らすステップと、
システムの検出器で試料を通して透過された近赤外線を測定するステップと、
システムの光源によって出力される実質的にコリメートされた可視光ビームで試料を照らすステップと、
検出器で試料を通して透過された可視光を測定するステップと、
試料を通して透過された測定した近赤外線に対する測定した可視光の比を測定するステップと
を含む方法。
代替過程MM
流体試料は血液である、代替過程LLの方法。
代替過程NN
検体はグルコースである、代替過程LLの方法。
代替過程OO
比を測定するステップは、血液試料中のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを分解するステップを含む、代替過程LLの方法。
代替過程PP
酵素は、テトラゾリウム指標で色を生じるメディエータと結合されたグルコース脱水素酵素である、代替過程LLの方法。
代替過程QQ
試料を通して透過された通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、を備えた全透過分光システムを使用して、血液試料中のグルコース濃度を測定する方法であって、
試料細胞受け領域中で色彩反応を生じるように乾燥試薬と血液試料を反応させるステップと、
システムの光源によって出力された実質的にコリメートされた可視光ビームで試料を照らすステップと、
システムの検出器で試料を通して透過された可視光を測定するステップと、
光源によって出力される実質的にコリメートされた近赤外線光ビームで試料を照らすステップと、
検出器で試料を通して透過された近赤外線を測定するステップと、
血液試料のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを補正するステップと、
血液試料中のグルコース濃度を測定するステップと
を含む方法。
代替過程RR
補正するステップは、試料を通して透過される測定した可視光および測定した近赤外線の比を測定するステップを含む、代替過程QQの方法。
代替過程SS
補正するステップは、試料を通して透過される測定した可視光と測定した近赤外線の相関関係を測定し、可視光透過測定に相関補正を適用するステップを含む、代替方法QQの方法。
【0061】
本発明は様々な変更形態および代替形態が可能であるが、特定の実施形態が例として図に示され、詳細に説明されている。しかし、本発明を開示した特定の形態に限ることを意図したものではなく、反対に、頭記の特許請求の範囲によって規定されたような発明の精神および範囲内に含まれる全ての変更形態、相当物および代替形態を含むことを意図していることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1a】本発明の一実施形態による、体液中の検体濃度を測定するのに使用する全透過分光システムの側面図である。
【図1b】本発明の別の実施形態による、体液中の検体濃度を測定するのに使用する全透過分光システムの側面図である。
【図2a】適当な試料寸法があるかどうか測定するための欠肉検出を含む、本発明の一実施形態による図1aのシステムのステップを示すフローチャートである。
【図2b】血液試料中のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを補正することが可能である、本発明のさらなる実施形態による図1aのシステムのステップを示すフローチャートである。
【図2c】血液試料中のヘモグロビンによって生じる透過バイアスを補正することが可能である、本発明の別の実施形態による図1aのシステムのステップを示すフローチャートである。
【図3】図3aは、500nmから940nmまでの可視および近赤外スペクトルを通して、54、105、210および422mg/dLグルコースレベルで20%ヘマトクリット全血での反応グルコース検定の全透過スペクトルのプロットである。図3bは、500nmから940nmまでの可視から近赤外スペクトルを通して、59、117、239および475mg/dLグルコースレベルで60%ヘマトクリット全血での反応グルコース検定の全透過スペクトルである。
【図4】図4aは、940nmでの透過に対して全ての透過読み取りを割り当てることによって拡散を補正した、図3aの全透過スペクトルのプロットである。図4bは、940nmでの透過に対して全ての透過読み取りを割り当てることによって拡散を補正した、図3bの全透過スペクトルである。
【図5】図1aの読み取りヘッドを使用して得られる、680nmでの全透過(吸収単位)で測定したヘマトクリットの20%、40%および60%レベルでの全血のグルコース濃度使用量反応のプロットである。
【図6】血液試料中の異なるヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアス(吸収単位で)を補正した、図5の使用量反応のプロットである。
【図7】0、100および400mg/dLグルコースレベルでの全血での試薬、および500nmから940nmの可視および近赤外線スペクトル全体を通した試薬での水の全透過(吸収単位でのスペクトル)のプロットである。
【図8】0、50、100、200および450mg/dLのグルコース濃度で全血と反応した試薬の680nmでの(吸収単位で)全透過の直線反応を示す図である。
【図9】ヘマトクリットの20%、40%および60%レベルでの全血に対する500nmから940nmまでの正および全透過スペクトルを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体試料中の検体の濃度を測定するのに使用される全透過分光システムであって、
実質上光学的に透明な材料で構成された、分析される試料を受けるための試料細胞受け領域と、
光源と、
前記光源から光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームで前記試料細胞受け領域を照らすようになっているコリメーティングレンズと、
第1の広がり角で前記試料を通して透過された通常光および散乱光を受けるようになっており、第1の受光角を有する光を受け、前記第1の広がり角より小さい第2の広がり角を有する光を出力する第1のレンズと、
前記第1のレンズから光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、
前記第2のレンズによって出力された光を測定するようになっている検出器と
を備えたシステム。
【請求項2】
前記流体試料は血液であり、前記試料細胞受け領域は、血液で再構成された場合に色彩反応を生じるようになっている溶血剤のない状態の乾燥試薬を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のレンズは、0から約90度の第1の受光角を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のレンズは、70度より大きい第1の受光角を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のレンズの第2の広がり角は約15から約40度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のレンズに対する前記第1のレンズの直径の比は約1:2である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記光源は、約500から約940nmの波長を有する光を出力する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記光源は発光ダイオードを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記光源は単色光を出力する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記光源は白色光を出力する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記検出器はシリコン検出器を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記流体は血液である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記検体はグルコースである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のレンズは、前記試料を通して透過された通常光および散乱光の実質上全てを受ける、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記光源から特定の波長を選択するようになっているフィルタをさらに備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
結合レンズと、光を前記第2のレンズから前記検出器まで運ぶ光ファイバケーブルとをさらに備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2のレンズによって出力された実質的にコリメートされた光ビームは、約5度未満の広がり角を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
全透過分光システムで流体試料中の検体濃度を測定するのに使用する方法であって、
前記全透過分光システムの試料細胞受け領域中に分析される試料を受けるステップと、
光源を介して光ビームを出力するステップと、
前記光源から出力される前記光ビームを実質的にコリメートするステップと、
前記光源から出力され、実質的にコリメートされた光ビームで前記試料を照らすステップと、
第1のレンズで前記試料を通して透過される通常光および散乱光を集めるステップと、
前記第1のレンズで前記透過光の広がり角を小さくするステップと、
第2のレンズで小さい広がり角を有する光を受けるステップと、
前記第2のレンズで、受けた光を実質的にコリメートするステップと、
検出器で前記第2のレンズからの実質的にコリメートされた光を測定するステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のレンズで小さくした広がり角は、約15から約40度である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第2のレンズで受けた光は、前記第2のレンズから拡散する光の広がり角を約5度未満まで小さくする、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記光源は約500から約940nmまでの波長を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記光源は単色光ビームを出力する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記光源は白色光である、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記試料細胞受け領域が、分析される所定量の試料を受けた時を決定するために検出器を監視するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記試料細胞受け領域が、分析される所定量の試料を受けたことを決定した後に、前記流体試料中の前記検体濃度を測定するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
全透過分光システムで流体試料を通して透過された光を測定する方法であって、
前記試料を実質的にコリメートされた光ビームで照らすステップと、
第1のレンズで前記試料を通して透過された通常光および散乱光を集めるステップと、
前記第1のレンズで透過光の広がり角を小さくするステップと、
前記広がり角を小さくした後に、第2のレンズで前記透過光を実質的にコリメートするステップと、
検出器で前記実質的にコリメートされた透過光を測定するステップと
を含む方法。
【請求項29】
前記第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のレンズで小さくした広がり角は、約15から約40度である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第2のレンズで、受けた光を実質的にコリメートするステップは、前記第2のレンズで受けた光の前記広がり角を約5度未満まで小さくするステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
さらに約500から約940nmの波長を有する光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
単色光ビームを備えた光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
白色光の光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
通常光および散乱光を集めるステップは、前記試料を通して透過される通常光および散乱光の実質上全てを集めるステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記試料細胞受け領域が分析される所定量の試料を受けた時を決定するようになっている検出器を監視するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記試料細胞受け領域が分析される所定量の試料を受けたことを決定した後に、前記流体試料中の前記検体濃度を測定するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
試料を通して透過された通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、前記第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、光源と、試料細胞受け領域とを備えた全透過分光システムを使用して、流体試料中の検体濃度を測定する方法であって、
前記システムの試料細胞受け領域中で、色彩反応を生じるように試薬と前記試料を反応させるステップと、
前記システムの前記光源によって出力された実質的にコリメートされた近赤外線光ビームで前記試料を照らすステップと、
前記システムの検出器で前記試料を通して透過された前記近赤外線を測定するステップと、
前記システムの前記光源によって出力される実質的にコリメートされた可視光ビームで前記試料を照らすステップと、
前記検出器で前記試料を通して透過された前記可視光を測定するステップと、
前記試料を通して透過された前記測定した近赤外線に対する前記測定した可視光の比を測定するステップと
を含む方法。
【請求項39】
前記流体試料は血液である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記検体はグルコースである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記比を測定するステップは、前記血液試料中のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを分解するステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
酵素は、テトラゾリウム指標で色を生じるメディエータと結合されたグルコース脱水素酵素である、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
試料を通して透過された通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、前記第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、を備えた全透過分光システムを使用して、血液試料中のグルコース濃度を測定する方法であって、
試料細胞受け領域中で色彩反応を生じるように乾燥試薬と前記血液試料を反応させるステップと、
前記システムの光源によって出力された実質的にコリメートされた可視光ビームで前記試料を照らすステップと、
前記システムの検出器で前記試料を通して透過された前記可視光を測定するステップと、
前記光源によって出力される実質的にコリメートされた近赤外線光ビームで前記試料を照らすステップと、
前記検出器で前記試料を通して透過された前記近赤外線を測定するステップと、
前記血液試料のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを補正するステップと、
前記血液試料中の前記グルコース濃度を決定するステップと
を含む方法。
【請求項44】
補正するステップは、前記試料を通して透過される前記測定した可視光および前記測定した近赤外線の比を測定するステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
補正するステップは、前記試料を通して透過される前記測定した可視光と前記測定した近赤外線の相関関係を測定し、前記可視光透過測定に前記相関補正を適用するステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項1】
流体試料中の検体の濃度を測定するのに使用される全透過分光システムであって、
実質上光学的に透明な材料で構成された、分析される試料を受けるための試料細胞受け領域と、
光源と、
前記光源から光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームで前記試料細胞受け領域を照らすようになっているコリメーティングレンズと、
第1の広がり角で前記試料を通して透過された通常光および散乱光を受けるようになっており、第1の受光角を有する光を受け、前記第1の広がり角より小さい第2の広がり角を有する光を出力する第1のレンズと、
前記第1のレンズから光を受けるようになっており、実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、
前記第2のレンズによって出力された光を測定するようになっている検出器と
を備えたシステム。
【請求項2】
前記流体試料は血液であり、前記試料細胞受け領域は、血液で再構成された場合に色彩反応を生じるようになっている溶血剤のない状態の乾燥試薬を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のレンズは、0から約90度の第1の受光角を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のレンズは、70度より大きい第1の受光角を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のレンズの第2の広がり角は約15から約40度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のレンズに対する前記第1のレンズの直径の比は約1:2である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記光源は、約500から約940nmの波長を有する光を出力する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記光源は発光ダイオードを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記光源は単色光を出力する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記光源は白色光を出力する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記検出器はシリコン検出器を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記流体は血液である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記検体はグルコースである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のレンズは、前記試料を通して透過された通常光および散乱光の実質上全てを受ける、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記光源から特定の波長を選択するようになっているフィルタをさらに備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
結合レンズと、光を前記第2のレンズから前記検出器まで運ぶ光ファイバケーブルとをさらに備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2のレンズによって出力された実質的にコリメートされた光ビームは、約5度未満の広がり角を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
全透過分光システムで流体試料中の検体濃度を測定するのに使用する方法であって、
前記全透過分光システムの試料細胞受け領域中に分析される試料を受けるステップと、
光源を介して光ビームを出力するステップと、
前記光源から出力される前記光ビームを実質的にコリメートするステップと、
前記光源から出力され、実質的にコリメートされた光ビームで前記試料を照らすステップと、
第1のレンズで前記試料を通して透過される通常光および散乱光を集めるステップと、
前記第1のレンズで前記透過光の広がり角を小さくするステップと、
第2のレンズで小さい広がり角を有する光を受けるステップと、
前記第2のレンズで、受けた光を実質的にコリメートするステップと、
検出器で前記第2のレンズからの実質的にコリメートされた光を測定するステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のレンズで小さくした広がり角は、約15から約40度である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第2のレンズで受けた光は、前記第2のレンズから拡散する光の広がり角を約5度未満まで小さくする、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記光源は約500から約940nmまでの波長を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記光源は単色光ビームを出力する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記光源は白色光である、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記試料細胞受け領域が、分析される所定量の試料を受けた時を決定するために検出器を監視するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記試料細胞受け領域が、分析される所定量の試料を受けたことを決定した後に、前記流体試料中の前記検体濃度を測定するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
全透過分光システムで流体試料を通して透過された光を測定する方法であって、
前記試料を実質的にコリメートされた光ビームで照らすステップと、
第1のレンズで前記試料を通して透過された通常光および散乱光を集めるステップと、
前記第1のレンズで透過光の広がり角を小さくするステップと、
前記広がり角を小さくした後に、第2のレンズで前記透過光を実質的にコリメートするステップと、
検出器で前記実質的にコリメートされた透過光を測定するステップと
を含む方法。
【請求項29】
前記第1および第2のレンズはそれぞれ半球レンズである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のレンズで小さくした広がり角は、約15から約40度である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第2のレンズで、受けた光を実質的にコリメートするステップは、前記第2のレンズで受けた光の前記広がり角を約5度未満まで小さくするステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
さらに約500から約940nmの波長を有する光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
単色光ビームを備えた光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
白色光の光ビームを出力するようになっている光源を提供するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
通常光および散乱光を集めるステップは、前記試料を通して透過される通常光および散乱光の実質上全てを集めるステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記試料細胞受け領域が分析される所定量の試料を受けた時を決定するようになっている検出器を監視するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記試料細胞受け領域が分析される所定量の試料を受けたことを決定した後に、前記流体試料中の前記検体濃度を測定するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
試料を通して透過された通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、前記第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、光源と、試料細胞受け領域とを備えた全透過分光システムを使用して、流体試料中の検体濃度を測定する方法であって、
前記システムの試料細胞受け領域中で、色彩反応を生じるように試薬と前記試料を反応させるステップと、
前記システムの前記光源によって出力された実質的にコリメートされた近赤外線光ビームで前記試料を照らすステップと、
前記システムの検出器で前記試料を通して透過された前記近赤外線を測定するステップと、
前記システムの前記光源によって出力される実質的にコリメートされた可視光ビームで前記試料を照らすステップと、
前記検出器で前記試料を通して透過された前記可視光を測定するステップと、
前記試料を通して透過された前記測定した近赤外線に対する前記測定した可視光の比を測定するステップと
を含む方法。
【請求項39】
前記流体試料は血液である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記検体はグルコースである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記比を測定するステップは、前記血液試料中のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを分解するステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
酵素は、テトラゾリウム指標で色を生じるメディエータと結合されたグルコース脱水素酵素である、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
試料を通して透過された通常光および散乱光を受けるようになっている第1のレンズと、前記第1のレンズから光を受けるようになっており実質的にコリメートされた光ビームを出力するようになっている第2のレンズと、を備えた全透過分光システムを使用して、血液試料中のグルコース濃度を測定する方法であって、
試料細胞受け領域中で色彩反応を生じるように乾燥試薬と前記血液試料を反応させるステップと、
前記システムの光源によって出力された実質的にコリメートされた可視光ビームで前記試料を照らすステップと、
前記システムの検出器で前記試料を通して透過された前記可視光を測定するステップと、
前記光源によって出力される実質的にコリメートされた近赤外線光ビームで前記試料を照らすステップと、
前記検出器で前記試料を通して透過された前記近赤外線を測定するステップと、
前記血液試料のヘマトクリットレベルによって生じる透過バイアスを補正するステップと、
前記血液試料中の前記グルコース濃度を決定するステップと
を含む方法。
【請求項44】
補正するステップは、前記試料を通して透過される前記測定した可視光および前記測定した近赤外線の比を測定するステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
補正するステップは、前記試料を通して透過される前記測定した可視光と前記測定した近赤外線の相関関係を測定し、前記可視光透過測定に前記相関補正を適用するステップを含む、請求項43に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2008−523413(P2008−523413A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546855(P2007−546855)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/045233
【国際公開番号】WO2006/065898
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/045233
【国際公開番号】WO2006/065898
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】
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