説明

体液採取キット

【課題】衛生的に唾液等の体液を採取する。
【解決手段】唾液採取キットは、唾液採取シート1と、唾液採取シート1を収納するケース11と、ケース11に装着して唾液採取シート1上を押圧スライドする押圧部材16とからなる。ケース11は、唾液採取シート1を保持するケース本体12と、唾液採取シート1の上面を覆う蓋体13とを可撓性のヒンジ15を介して連結する。蓋体13は、押圧部材16の頭部16aを挿入するスライド溝部13bを唾液採取シート1の延在方向に形成する。押圧部材16の頭部16aを押圧し、スライド溝部13bに沿って押圧部材16を回収孔5方向にスライドさせ、吸収体2に蓄えられている唾液を押し出して回収孔5から回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唾液などの体液を採取するための体液採取キットに関する。
【背景技術】
【0002】
唾液は、消化作用、抗菌作用、再石灰化作用など様々な機能を有している。この唾液に含まれる虫歯菌(ミュータンス菌・ラクトバチラス菌)の量や唾液の分泌量などを検査することにより、虫歯に対する抵抗力や歯周病の有無・進行度などを測定することができる。また、近年では、耳下腺唾液を検査することにより、サプリメントとして知られるコエンザイムQ10を吸収しやすい体質かどうか知ることができる。
【0003】
唾液検査のための唾液採取器具としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。この唾液採取器具は、内周面に雌ねじ部が形成された円筒部材と、当該円筒部材の一方の端部にフィルターを介して装着される採取容器と、外周面に雄ねじ部が形成されていて円筒部材の他方の端部から螺挿されるピストンと、スポンジのような塊状の吸収体とから構成されている。
唾液を採取する場合は、吸収体を口の中に入れて吸収体に唾液を吸収させた後、一方の端部に採取容器が装着された円筒部材の他方の端部から、唾液で飽和した吸収体を円筒部材内に挿入する。そして、円筒部材の他方の端部からピストンを螺挿して吸収体を圧縮し、採取容器に唾液を採取する。
しかしながら、上記唾液採取器具は、部品数が多く、ねじ部を形成せねばならないなど加工に手間が掛かるため、コストが掛かるという問題がある。また、吸収体が塊状であるため取扱いが不便であるうえ、インジケータがないため、採取される唾液量が被験者によってまちまちになるという問題もある。
【0004】
そこで、特許文献2では、帯状の柔軟な不織布からなる親水性吸収体の表裏両面を透明なフィルムで被覆するとともに、口腔内分泌液の吸収部、保液部、保液量の確認表示部、および回収孔を直線状に連ねて配置した口腔内分泌液の採取兼回収器具が考案されている。
この採取兼回収器具により唾液を採取するには、採取兼回収器具の吸収部を被験者の口に含んだ状態で保液量の確認表示部を目視し、保液量の確認表示部の色が変化した時点で採取兼回収器具を口から取り出す。そして、検査者が採取兼回収器具を受け取って、ピンセット状の加圧器具を用いて採取兼回収器具を挟んで回収孔に向けて加圧スライドさせ、回収孔から唾液を回収する。
この口腔内分泌液の採取兼回収器具は、保液量の確認表示部を備えているため、適量の唾液を採取できるうえ、安価な部材で極めて容易に製造することができる。
【特許文献1】米国特許第4418702号明細書
【特許文献2】国際公開第02/086453号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した採取兼回収器具の場合、ピンセット状の加圧器具で採取兼回収器具を挟み回収孔に向けて加圧スライドさせて唾液を回収するため、検査者が加圧器具を加圧スライドさせる際に透明フィルムに付着している唾液や加圧器具で押し出された唾液に触れることがあり、衛生的ではないことに加えて、様々な菌が唾液に含まれているために院内感染のおそれもある。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、衛生的に体液を採取することができる体液採取キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る体液採取キットは、シート状の吸収体がフィルムで被覆されていて体液を付着する吸着部と付着された体液を回収する回収部とが設けられた体液採取シートと、該体液採取シートを収納するケースと、該ケースにスライド可能に設けられていて体液採取シートに付着した体液を回収部から取り出す押圧部材とを備えることを特徴とする。
本発明は、体液を吸着部に付着させて蓄えられた体液採取シートをケースに収納して、当該体液採取シート上に押圧部材をセットし、押圧部材を回収部に向けて押圧しながらスライドさせることで吸収体に蓄えられている体液を押し出して移動させ回収部から回収する。そのため、検査者が体液採取シートに接触することなく体液を回収できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、体液が蓄えられた体液採取シートをケースに収納した状態で押圧部材をスライドさせることにより体液を回収部から取り出すことができるので、取り扱いが容易である上に、体液を体液採取シートから回収させる際に体液に触れずに済み衛生的である。また、構造がシンプルであるため、製造コストを低く抑えて大量生産することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る体液採取キットは、ケースが、体液採取シートを収容するケース本体及び蓋体とからなり、ケース本体には体液採取シートが収納される凹陥部が形成されるとともに、当該凹陥部の一端は外部に開放する開口とされ、蓋体には押圧部材の頭部が摺動可能に挿入されるスライド溝部が体液採取シートの延在方向に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、体液採取シートをケース本体と蓋体とで収容して保持した状態で、蓋体に形成されたスライド溝部に沿って押圧部材を摺動させることによって体液採取シートに含まれる体液が押し出されて回収部からケースの開口を通して取り出されるため、検査者は体液の回収に際して体液採取シートや体液に接触するおそれがなく衛生的である。
また本発明に係る体液採取キットは、ケースが、体液採取シートを収容するケース本体からなり、ケース本体には体液採取シートが収納される凹陥部が形成されるとともに、当該凹陥部の一端は外部に開放する開口とされ、ケース本体に摺動可能に装着されていて体液採取キットを押圧スライドする押圧部材が設けられていてもよい。
本発明によれば蓋がないため、一層低廉に製造できる。
【0010】
また、本発明では、押圧部材の先端部に平面視略円弧状の凹部が形成されていてもよい。
押圧部材を体液採取シートに沿って押圧スライドさせた際に、吸収体から搾り出される体液が拡散することなく体液採取シートの中央部に集まるよう移動するため、吸収体に蓄えられた体液を無駄なく回収することができる。
また、本発明では、押圧部材を押圧スライドさせる際に体液採取シートが移動しないように、ケースにずれ防止部を備えていることが好ましい。
また、本発明では、ケース本体と蓋体とがヒンジを介して連結されていてもよい。これにより、ケースの取扱いが一層簡便になり、体液採取シートをケースに容易に収納することができる。
【0011】
また、本発明では、回収した体液を溜める採取容器をケースに着脱可能としてもよい。これにより、体液をケースの開口から回収する際に体液が飛散したりせず衛生的かつ効率的に体液を採取容器に回収することができる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明による体液採取キットの各実施例について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、押圧部材から見て、押圧部材が体液を体液採取キットから押し出すためにスライドする方向を「先」、その反対方向を「後」と便宜上、呼ぶことにする。
本発明の第一実施例による体液採取キットとして唾液採取キットを図1及び図2により説明する。図1は唾液採取キットの斜視図、図2は唾液採取キットの分解斜視図を示す。
第一実施例による唾液採取キット10は、唾液採取シート1と、唾液採取シート1を収納するケース11と、ケース11に装着されていて唾液採取シート1上を押圧スライドする押圧部材16とから構成されている。
【0013】
唾液採取シート1は、例えば柔軟な不織布からなるシート状、例えば略帯状の吸収体2の表裏両面をポリエチレンやポリプロピレンなどの透明なフィルム3で被覆(ラミネート)したものである。唾液採取シート1の一方の端部は唾液を吸収する吸着部4とされ、吸着部4にはフィルム3の開口部3aが形成され、そこから吸収体2の一方の端部が露出している。吸着部4は唾液採取シート1の表裏両面に設けられていることが好ましいが、片面でもよい。
また、唾液採取シート1の他方の端部は唾液を回収する回収部としての回収孔5とされ、回収孔5に設けられたフィルム3の開口部から吸収体2の他方の端部が露出している。吸着部4から吸収体2内に吸収された唾液は毛管現象により吸収体2内を他端側である回収孔5方向へ移動可能である。
なお、吸収体2の先端側である回収孔5の近傍には、唾液を検出する試薬が塗布されていて着色された検知部6とされている。一定量の唾液が検知部6を通過すると検知部6が変色するので、適量の唾液が吸収体2に吸着されたことを確認できる。
【0014】
ケース11は、唾液採取シート1を保持するケース本体12と、唾液採取シート1の上面を覆う蓋体13とから構成されており、例えば樹脂製とされ、その厚さは1〜3mm程度である。ケース本体12および蓋体13は例えば略短冊形状の板材からなり、ケース本体12と蓋体13の対向する一辺は、可撓性の薄板からなるヒンジ15を介して連結されている。
蓋体13と対向するケース本体12の一方の面には、唾液採取シート1と略同形状の凹陥部14が形成されている。ケース本体12の先端部19は平面視略テーパー状とされ、凹陥部14につながる開口14aが先端に形成されている。一方、蓋体13には、押圧部材16の頭部16aが挿入されるスライド溝部13bが唾液採取シート1の長手方向に穿孔されて形成されている。
また、蓋体13の裏面には凸ピン13a…が形成されるとともに、対向するケース本体12の上面には嵌合凹部12a…が形成され、各凸ピン13aが対向する嵌合凹部12aに嵌入することにより、蓋体13がケース本体12に固定される。
なお、収納した唾液採取シート1がケース11の外から見えるように、ケースを透明にしてもよい。
【0015】
押圧部材16は、スライド溝部13bと略同じ幅の頭部16aと、その側方両側に突出形成された側板部16b、16bと、吸収体2と略同じ幅の板状の先端部17とから構成されている。先端部17のスライド方向先端面には、平面視略円弧状の凹部17aが形成されている。図3(a)に示すように、先端部17の端面は平面視略直線状の平滑面でもよいが、押圧部材16を押圧スライドさせると吸収体2から搾り出された唾液Sの一部が側方に逃げてしまう。そのため、図3(b)に示すように、先端部17の端面に平面視略円弧状の凹部17aを設けることがより好ましく、これにより吸収体2から搾り出された唾液Sが唾液採取シート1の中央部に集まり、無駄なく唾液Sを回収することができる。
また、押圧部材16は樹脂または金属製とされ、押圧部材16と唾液採取シート1との間の摩擦抵抗を小さくするため、摩擦係数の低いアルミのフィルムシートなどを押圧部材16の裏面に貼着してもよい。
【0016】
本実施例による唾液採取キット10は上述の構成を備えており、次に唾液採取キット10を用いて唾液を採取する方法について説明する。
先ず、被験者は唾液採取シート1の吸着部4を口に含み、検知部6の色が変化した時点で唾液採取シート1を口から取り出す。図2に示すように、唾液が蓄えられた唾液採取シート1をケース本体12の凹陥部14に載置する。そして、唾液採取シート1の後方に押圧部材16をセットし、ケース本体12と蓋体13とを密着させて固定する。
このとき、押圧部材16は唾液採取シート1の吸着部4の上部に位置するため、吸着部4の部分に吸着されている一部の唾液を押し出せないが、少なくとも押圧部材16より前方の吸収体2に吸着された唾液を吸着でき、これを採取することで十分な検査を行える。
この唾液採取キット10を被験者等から受け取った検査者は、ケース11後部の把持部18を掴み、押圧部材16の頭部16aを指で押圧し、スライド溝部13bに沿って押圧部材16を回収孔5方向にスライドさせる。これにより、吸収体2に蓄えられている唾液が絞り出されて移動し回収孔5に集められ、回収孔5から唾液を押し出してケース11の開口部14aを通して回収することができる。
【0017】
上述のように本実施例による唾液採取キット10では、唾液が蓄えられた唾液採取シート1をケース11に収納し、スライド溝部13bに沿って押圧部材16を押圧スライドさせて唾液を絞り出して回収孔5から回収できる。このため唾液採取キット10の取り扱いが容易で、唾液を回収する際に検査者が唾液採取シート1や唾液に接触することがなく衛生的である。また、機構がシンプルであるため、製造コストを低く抑えて大量生産することが可能である。
【0018】
次に、本発明に係る唾液採取キットの他の実施例について説明するが、上述の第一実施例と同一、同様の部材、部品には同一の符号を用いて説明を省略する。
図4に、第二実施例における唾液採取キットの分解斜視図を示す。なお、押圧部材は、第一実施例と同じものを使用するため、図示は省略している。
第二実施例は、先の第一実施例と概観は略同じ構成であるが、ケース21を構成するケース本体22と蓋体23が別体とされており、蓋体23の裏面に形成された凸ピン23a…を、ケース本体22の上面に形成された嵌合凹部22a…に嵌入して、蓋体23をケース本体22に固定する。
また、ケース本体22の凹陥部24の側壁22cには、内側に突出する突設部22bが形成されており、唾液採取シート1の側縁部に形成された切欠部1aと係合し、ずれ防止部として押圧スライド時に唾液採取シート1がずれたり撓んだりするのを防止している。
【0019】
第三実施例による唾液採取キットを図5、図6,図7により説明する。図5(a)は唾液採取キットの平面図、(b)は側断面図、図6(a)、(b)はケースの平面図と側面図、図7(a)、(b)、(c)は押圧部材の平面図、裏面図、裏面図のA−A線断面図である。
本実施例における唾液採取キット30は、図5及び図6に示すようにケース31がケース本体32のみからなり、蓋体がない点が先の二つの実施例と異なっている。
押圧部材36の頭部36aは図7に示すように略C字形断面をしており、頭部36aがケース本体32に摺動可能に外嵌されている。押圧部材36は、ケース本体32の側面部に沿ってスライドするようになっており、ケース本体32の上面部後方に係止部32dを設けているため、押圧部材36がケース本体32から抜け出ることはない。
また、第二実施例と同じく、唾液採取シート1がずれないように、ケース本体32の凹陥部34の側壁32cには、内側に突出する突設部32b…が形成されている。唾液採取シート1はケース本体32の凹陥部34の座面と両側壁32cの突設部32b…との間に挟まれて保持され、押圧部材36の押圧スライド時にずれたり撓んだりすることを防止できる。
なお、ケース本体32の後端部は、押圧スライド時に持ちやすいように把持部38とされ、円筒状の先端部39には、後述する第四実施例と同様に、採取容器Vを装着できるようになっている。
また、押圧部材36が係止部32dに当接した押圧スライド開始位置で、その先端部17aはケース本体32に収容された唾液採取シート1の吸着部4に形成したフィルム3の開口部3aより先方側に位置する。これによって、押圧スライド時に先端部17aが開口部3aに引っかかることを防止できる。この構成については他の実施例においても同様にすることが好ましい。
【0020】
図8は第四実施例による唾液採取キットの分解斜視図である。
本実施例も第三実施例と同様、ケース41がケース本体42のみからなり、ケース本体42の後端部は、押圧スライド時に持ちやすいように把持部48とされ、例えば円筒状の先端部49には、採取容器Vを装着することができる。
ケース本体42の凹陥部44の側壁42cには、内側に突出する板状の突設部42bが設置されており、突設部42bと凹陥部44の座面との間に唾液採取シート1を挿入配置する。押圧部材46は、スリット45,45を側壁42c、42cに嵌合させて唾液採取シート1上を押圧スライドさせる頭部46aと、吸収体2と略同じ幅で凹部47aを先端に有し且つ両側の突設部42b、42b間を摺動して唾液を絞り出す板状の先端部47と、その側方両側に突出形成され突設部42bの下側を摺動する側板部47b、47bとを有している。
本実施例では唾液採取キットの蓋13がないので製造コストがより低廉になる。
【0021】
次に、各実施例による唾液採取キット10、30の変形例について説明する。
図9および図10は、唾液採取シート1のずれを防止する他の手段を示したものである。
図9では、ケース本体52の凹陥部54の座面に凸ピン52bを形成し、唾液採取シート1の周縁部に設けた孔1bに凸ピン52bを挿入して唾液採取シート1のずれを防止する。凸ピン52bと孔1bがずれ防止部を構成する。
【0022】
また、図10では、ケース本体62の凹陥部64の座面に格子状の溝64dを形成して摩擦抵抗を大きくし、唾液採取シート1のずれを防止する。溝64dに代えて凸条を形成してもよい。
なお、図示していないが、摩擦抵抗を大きくするために、座面にエラストマーやシリコンゴムなどを貼着してもよいし、ケース本体を塩化ビニール樹脂やアクリル樹脂などすべりにくい材料で形成してもよい。あるいは、唾液採取シート1の周縁部を蓋体とケース本体で挟み付けるようにしてもよい。
【0023】
図11および図12は、押圧部材の変形例を示したものである。
図11では、押圧部材56の先端部57の下面に、平面視略円弧状の凹部57aに沿って略半円状の断面を有する突条部57bを形成するものである。これにより、唾液採取シート1と接触する押圧部材56の面積が減少し、摩擦抵抗が小さくなる。また接触圧が大きくなるため、唾液を吸収体2から確実に絞り出すことができる。
また、図12では、押圧部材66の先端部67を切り欠いて、その部分にローラ67bを取り付け、ローラ67bの回転を利用して吸収体から唾液を搾り出すものである。
【0024】
図13及び図14は唾液採取キット10の変形例を示すものである。
図13は第一実施例による唾液採取キット10の変形例であり、図中、蓋体13の裏面にはその両側の長辺に沿って例えば板状の一対の押さえ部材13c、13cが設けられている。蓋体13をケース本体12に装着した状態で一対の押さえ部材13c、13cによって唾液採取シート1の両端部を凹陥部14の座面に押さえつける。これによって押圧部材16をスライドさせた際に唾液採取シート1がケース11内でずれたり撓むのを確実に防ぐことができる。
図14は第二実施例による唾液採取キット10の変形例であり、蓋体23の裏面両側にそれぞれ押さえ部材23c、23cが設けられている。押さえ部材23c、23cによってケース21内の唾液採取シート1を押さえつけることができるのは図13と同様である。
なお、押さえ部材13c、23cは必ずしも蓋体13、23の長手方向に延びる板状である必要はなく、唾液採取シート1の一部のみを押さえる棒状等の構成であってもよく、その場合、唾液採取シート1の吸着部4側に設けることがずれ等を防ぐために好ましい。
【0025】
図15は唾液採取キット10,30の先端部39,49等の変形例を示すものである。図15(a)は断面略円弧状をなす半円筒状の先端部39Aを示す。これにより押圧部材36、46等で回収孔5から押し出された唾液がケースまたはケース本体の先端部39Aから排出され易い。図15(b)は断面略円弧状をなす半ロート状の先端部39Bを示す。
これらの場合によれば、唾液が表面張力で先端部に付着することを防いでスムーズに排出・回収できる。
以上、本発明に係る体液採取キットの実施例について唾液採取キット10,30を説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、上記実施例では体液として唾液を例に採り説明しているが、汗や鼻汁など他の体液にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一実施例による唾液採取キットを示す斜視図である。
【図2】図1に示す唾液採取キットの分解斜視図である。
【図3】押圧部材先端部の部分斜視図であり、(a)は先端が平滑な場合、(b)は先端に凹部が形成されている場合を示している。
【図4】本発明の第二実施例による唾液採取キットの分解斜視図である。
【図5】本発明の第三実施例による唾液採取キットを示し、(a)はその平面図、(b)は側断面図である。
【図6】図5に示す唾液採取キットのケースを示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図7】第三実施例における押圧部材を示すもので、(a)は表側平面図、(b)は裏側平面図、(c)はA−A線断面図である。
【図8】本発明の第四実施例による唾液採取キットを示す分解斜視図である。
【図9】唾液採取シートのずれを防止する他の手段を示す図である
【図10】唾液採取シートのずれを防止する他の手段を示す図である。
【図11】押圧部材の第一変形例を示す図である。
【図12】押圧部材の第二変形例を示す図である。
【図13】第一実施例によるケースの変形例を示す縦断面図である。
【図14】第二実施例によるケースの変形例を示す縦断面図である。
【図15】(a)、(b)ケースの先端部の第一変形例、第二変形例を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 唾液採取シート(体液採取シート)
1a 切欠部
1b 孔
2 吸収体
3 フィルム
4 吸着部
5 回収孔
6 検知部
10、30 唾液採取キット(体液採取キット)
11、21、31、41 ケース
12、22、32、42、52、62 ケース本体
13、23 蓋体
13b、23b スライド溝部
14、24、34、44、54、64 凹陥部
16、36、46、56、66 押圧部材
16a、36a、46a 頭部
17、37、47、57、67 先端部
17a、37a、47a、57a 凹部
22b、32b、42b 突設部
52b 凸ピン
V 採取容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の吸収体がフィルムで被覆されていて体液を付着する吸着部と付着された体液を回収する回収部とが設けられた体液採取シートと、該体液採取シートを収納するケースと、該ケースにスライド可能に設けられていて前記体液採取シートに付着した体液を前記回収部から取り出す押圧部材とを備えることを特徴とする体液採取キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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