説明

体液用センサーアッセンブリ

本発明は、センサーアッセンブリ(1)に関し、同センサーアッセンブリは、第1面及び第2面と、同第1面上に形成されている少なくとも1つの検体センサーと、を有している第1電子配線基板(2)であって、少なくとも1つの検体センサーは、1つ又はそれ以上の電気接点(5c)と接続されている、第1電子配線基板(2)と、第1面及び第2面と、同第1面部分の上に形成されている少なくとも1つの検体センサー(6)と、を有している第2電子配線基板(3)であって、少なくとも1つの検体センサー(6)は、1つ又はそれ以上の電気接点(5c)と接続されている、第2電子配線基板(3)と、第1開口部及び第2開口部を備えた切り抜き溝(7)を有しているスペーサ(4)と、を備えており、第1基板(2)、第2基板(3)、及びスペーサ(4)は、層状構造に配置されていて、第1基板(2)の第1面は、スペーサ(4)の第1開口部を閉じ、第2基板(3)の第1面は、スペーサ(4)の第2開口部を閉じ、これにより、それぞれの基板(2、3)からの少なくとも1つのセンサーが相対する測定用セルが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーアッセンブリに、厳密には、電気化学的センサー要素を備えているセンサーアッセンブリに関する。本発明のセンサーアッセンブリは、複数の異なるパラメータ、例えば、血液パラメータを同時に測定するのに特に適している。
【背景技術】
【0002】
様々な事例では、例えば、全血試料中の血液ガスの分圧、血液試料中の電解質と代謝産物の濃度、他にも、血液試料のヘマトクリット値、を測定することが望ましい。例えば、pCO、pO、pH、Na、K、Ca2+、Cl、ブドウ糖、乳酸塩、及びヘモグロビンの値を測定することは、医療患者の状態を見極める際の主要な臨床評価指標となる。多種多様な分析器が、この様な測定を行うために現在使われている。その様な分析器は、最も意味のある診断情報を提供するために、正確な測定を行う能力がある。更に、行われる分析毎に使用される患者の血液を可能な限り少なくしようとすれば、血液試料を分析するのに採用される測定用セルは比較的小さいほうが望ましい。血液分析を、少ない血液試料を使用して行うことは、比較的多数の試料を比較的短時間に採取しなければならない時、又は新生児の様に血液の量が限られている場合には重要である。例えば、集中治療中の患者は、血液ガス及び臨床化学測定で1日当たり15回から20回の試料採取頻度が必要で、患者評価中に大量失血を起こす可能性がある。また、行わねばならない検査の回数を制限するには、各検査の完了時に、可能な限り多くの情報を収集するのが望ましい。しかしながら、血液の化学的性質を測定するのに使用されるセンサーには寸法的制約がある。この様な寸法的制約は、主に、センサーの物理的形状及びセンサーへの接続に起因する。
【0003】
この問題を解決するための1つの試みは、米国特許第5,916,425号に見い出され、同特許は、超小型貫通穴を覆って形成されるセンサーのための電子配線基板を開示している。貫通穴の直径が小さいおかげで、基板面上の比較的小さい流体フローセル内に比較的多数のセンサーを形成することができる。而して、より多くの情報が、より少ない血液を使用して取得できるようになる。また、米国特許第5,916,425号に開示されているセンサーは、小さい面積に製作することができるので、小さいフローセルに比較的多数のセンサーを配置することができる。
【0004】
米国特許第6,123,820号には、数個のセンサーを含んでいるセンサーカートリッジが開示されている。開示されているセンサーカートリッジは、2つのセンサーボードを備えている。センサーボードは、プレート状であって2つの主面を有しており、一方の主面に数個のセンサーが担持されている。2つのセンサーボードは、ジグザグになったフローチャネルを有する中間部分に面しており、中間部分の両側に、2つのセンサーボード上の各センサーがセンサーポートと向かい合って測定用セルを形成するようなやり方で、一連のセンサーポートを提供している。複数の個別の測定用セル同士は、中間部分に形成されているフローチャネルセグメントによって接続されている。センサーカートリッジでは、試料の必要寸法が小さくなる傾向にはあるが、フローチャネルセグメントを通して接続されている個別の測定用セルは、実際には或る試料寸法を必要とする。更に、汚染物質が、1つの測定用セルから次のセルに流れ、フローチャネルを通って流れる試料に蓄積されるかもしれない。センサーカートリッジは、一部には中間部分のフローチャネルのジグザグ状構造のせいで、製造するのが比較的複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,916,425号
【特許文献2】米国特許第6,123,820号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上で述べたセンサーは、少ない試料を使用した測定の要件を部分的には満たしているが、一層小さい試料サイズで正確且つ迅速な測定を行うことのできるセンサーアッセンブリがなお求められている。
【0007】
本発明の目的は、正確な測定のために最小量の試料流体しか必要としない非常に小型化されたセンサーアッセンブリを備えているシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、先行技術のセンサーに代わるものとして、本発明は、非常に小さい体積にまとめられた数個の検体センサーを試料に接触させて配置することのできるセンサーアッセンブリを提供している。同センサーアッセンブリは、少ない試料量で数個のパラメータを測定することができる。
【0009】
更に、本発明は、先行技術による類似のセンサーアッセンブリに比べ、センサーアッセンブリ内のセンサーの数を減らすこと無く、より少ない試料量を使用することができるセンサーアッセンブリを提供している。更に、意外にも、測定用セルの互いに反対側の壁に、フル機能センサー要素を設置することが可能であることも明らかになった。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、上の目的及び他の目的は、センサーアッセンブリにおいて、
−第1面及び第2面と、その第1面上に形成されている少なくとも1つの検体センサーと、を有している第1電子配線基板であって、前記少なくとも1つの検体センサーは、1つ又はそれ以上の電気接点と接続されている、第1電子配線基板と、
−第1面及び第2面と、その第1面部分の上に形成されている少なくとも1つの検体センサーと、を有している第2電子配線基板であって、前記少なくとも1つの検体センサーは、1つ又はそれ以上の電気接点と接続されている、第2電子配線基板と、
−第1開口部及び第2開口部を備えた切り抜き溝を有しているスペーサと、を備えており、
第1基板、第2基板、及びスペーサは、層状構造に配置されていて、第1基板の第1面は、スペーサの第1開口部を閉じ、第2基板の第1面は、スペーサの第2開口部を閉じ、これにより、それぞれの基板からの少なくとも1つのセンサーが相対する測定用セルが形成されている、センサーアッセンブリ、を提供することによって達成される。
【0011】
一般に、測定用セルは、試料の測定中、試料を保持するセルである。測定用セルは、試料を検体センサーに接触させるための少なくとも1つの開口部を有している。
【0012】
検体センサー同士を隔てておく壁、チャネル、又は類似のものが全く存在しないにもかかわらず、互いに反対側の検体センサーの間の顕著な干渉無しに、同じ測定用セルで2つ又はそれ以上のパラメータを測定するのが可能であることが、予期せずして判明した。殆どの場合、測定用セルの互いに反対側の面上の検体センサーは、所望により、互いに向かい合わせに配置してもよいし、又は互いにずらして配置してもよい。
【0013】
センサーアッセンブリの或る好適な実施形態では、測定用セルには、一方の基板からの少なくとも2つのセンサーが相対している。センサーアッセンブリの別の好適な実施形態では、測定用セルには、それぞれの基板からの少なくとも2つのセンサーが相対している。より望ましくは、それぞれの基板からの少なくとも3つ又はそれ以上のセンサーが、測定用セルと相対している。これらの実施形態では、非常に少ない試料で多数のパラメータ値を実現することのできる測定用セルを得ることが可能になる。
【0014】
基板は、検体センサーを電気接点に接続するために必要な配線を担持することのできるプレート状又は矩形薄板状の基板であるのが望ましい。第1面及び反対側の第2面は、無論、プレート又は薄板の2つの主面であり、平行になっているのが望ましい。基板の第1面と第2面の間隔は、基板の厚さを画定する。この様な基板は、望ましくは非導電性材料であり、配線は銅、銀、金、白金、又は導電性ポリマーの様な導電性材料である。検体センサーを備えているこの様な基板の例は、例えば、米国特許第5,916,425号に見い出される。
【0015】
第1基板と第2基板の間隔は、スペーサの厚さによって画定される。スペーサの切り抜き溝と両基板の各第1面とによって画定される測定用セルは、閉鎖型セルであってもよいが、測定用セルには、流体試料を測定用セルの中へ導き入れる入口及び流体試料を測定用セルから出て行かせる出口の設けられているのが望ましい。1つの実施形態では、それぞれ少なくとも2つの互いに反対側の検体センサーを備えている2つ又はそれ以上の測定用セルは、チャネルのような適切な接続装置を介して直列に接続されていてもよい。受け入れられる流体試料は、望ましくは液体試料であるが、代わりに、気体試料、例えば、呼気であってもよい。液体試料は、好都合には、分析されることになる血液試料、尿試料、唾液などの様な、体液の試料である。
【0016】
或る好適な実施形態では、検体センサーは血液パラメータセンサーである。検体センサーは、望ましくは、以下のパラメータ、即ち、pCO、pO、pH、Na、K、Ca2+、Cl、ブドウ糖、乳酸塩、尿素、及びクレアチニン、の内の1つ又はそれ以上を測定するように構成されていてもよい。例えば、FOHb、FCOHb、FMetHb、FHHb、及びFHbFなど、ビリルビン値及びヘモグロビン値の様な別のパラメータを追加のモジュールで測定してもよい。代わりに、検体センサーの1つ又それ以上は、尿、唾液、及び呼気の様な他の考えられる体液のパラメータを測定するようになっていてもよい。
【0017】
センサーアッセンブリが、血液分析器と接続されて機能するようになっている場合、第1基板側の検体センサーは、流れ方向に、先ずpOを測定するための光学的なセンサー、次いで、カリウム、ナトリウム、pH及びpOを測定するための厚膜型のセンサー、そして随意的なクレアチニンセンサーの部分が配置されているのが望ましい。基準電極も、第1基板側に設置されるのが望ましい。第2基板側の検体センサーは、流れ方向に、塩化物、マグネシウム、カルシウム、随意的に尿素、ブドウ糖、乳酸塩を測定するための厚膜型のセンサー、そして随意的にクレアチニンセンサーの部分が配置されているのが望ましい。
【0018】
第1基板及び第2基板は、スペーサ部分を挟んで互いに反対側に、溝を第1基板の検体センサーの位置と第2基板の検体センサーの位置に対応する位置に配置して、検体センサーそれぞれが測定用セルと相対するように、配置されている。検体センサーは、而して、測定用セルの中に配置されている流体試料のパラメータ値を測定することができる。検体センサーは、流体試料と直接流体接触していてもよい。しかしながら、例えば、薄膜、薄板、又は箔の形態をした隔膜を、流体試料と1つ又はそれ以上の検体センサーの間に配置して、その様な(単数又は複数の)検体センサーを流体試料と間接的に接触させることも考えられる。
【0019】
検体センサーは、第1基板の第1面側並びに第2基板の第1面側に、測定用セルに直接的又は間接的に接触して配置されているので、セル内に流体試料が配置されていると、非常に多数の検体センサーが少なくとも実質的に同時に流体試料のパラメータ値を測定することができる。而して、可能な検体センサーの数は、個々の検体センサーのサイズを縮小すること無く、大幅に増やすことができる。更に、追加的に個々の検体センサーのサイズを縮小すれば、非常に少ない試料量を維持しながらもなお一層多くの検体センサーに流体試料のパラメータを測定させることができるようになる。或いは、同じ数の検体センサーに流体試料のパラメータを測定させながら、試料量を減らすこともできる。この様にして、本発明は、幾つかの利点を提供している。
【0020】
同一基板上の個々の検体センサー同士の間の間隔と、第1基板側の検体センサーと第2基板側の検体センサーの間の間隔は、異なるセンサー間の干渉を回避するのに十分な広がりを持たせるのが好適である。
【0021】
測定用セルは、測定用セルを通って流れる流体が、少なくとも実質的に直線的な運動を行えるようにする形状を有していてもよい。この実施形態によれば、測定用セルには、曲がり部と折り返し箇所が全くないか又はその数が限定されているべきである。測定用セルに曲がり部と折り返し箇所が無いようにすることで、測定用セルの濯ぎと洗浄は著しくやり易くなり、気泡形成の危険性は小さくなる。或る好適な実施形態では、分析器と測定用セルの間の流体接続は、測定用セル内の流れの主方向に実質的に垂直、即ち、基板の第1面に垂直になっていてもよい。これは、測定用セルを備えているセンサーアッセンブリを分析器と接続しようとする場合、或る種の利点を提供する。このため、好適な実施形態では、測定用セルは、入口ポートと出口ポートを有しており、両ポートは第1基板に形成されているか、又は両ポートは第2基板に形成されている。或る特定の好適な実施形態では、入口ポートと出口ポートは、第2基板に形成されている。これは、センサーアッセンブリを分析器側の接続チューブに押し付け、これにより入口ポートと出口ポートを接続チューブと接続するだけで、センサーアッセンブリを分析器に簡単に流体接続できるという利点を提供する。
【0022】
或る代わりの実施形態では、分析器と測定用セルの間の随意的な流体接続は、測定用セルを通る流れ方向に実質的に平行であってもよい。
【0023】
各分析器センサーは、各検体センサーと分析器の間に電気的接触を確立するために、それぞれのセンサー要素と同じ基板上に配置されている関係付けられた電気接点に接続されている。これにより、特定の測定に関係のある情報は、関連した検体センサーから、関係付けられた電気接点を経由して、分析器へ伝達される。なお、中には検体センサーが2つ又はそれ以上の電気接点に接続される場合もあるものと理解頂きたい。これは、例えば、検体センサーが、2つ又はそれ以上の電極を備えている電気化学的センサーである場合である。この場合、センサーの電極それぞれを電気接点に接続してもよい。
【0024】
或る好適な実施形態では、第1基板の電気接点は、第1基板の第2面側に配置され、第2基板の電気接点は、第2基板の第1面側に配置されている。第2基板の広がりは、第1基板の広がりより幾分大きめであるのが望ましい。第2基板は、横方向又は縦方向の広がりが第1基板より大きくてもよい。或いは、第2基板は、横方向と縦方向共に、広がりが第1基板より大きくてもよい。縦方向及び横方向は、測定用セルの流れ方向に関して定義される。これにより、センサーアッセンブリを組み立て、センサー要素が測定用セルに相対するように基板を配置した時、第2基板の第1面の一部は、第1基板の境界を超えて張り出している。第2基板の電気接点は、第1面のこの張り出した部分に配置されており、第1基板の電気接点と第2基板の電気接点は、而して、この実施形態によれば、同じ方向を向いている。その結果、同じ方向に向いた十分な数の対応する電気接点を備えている単一の接触ユニットを使用して、第1基板と第2基板の電気接点のそれぞれに対する接触を得ることが可能になる。これにより、分析器への接続の設計を著しく単純化することができ、従って、これは非常に好都合な解決策であると考えられる。
【0025】
検体センサーと電気接点が第1面側に配置されている場合には、検体センサーと、関係付けられている電気接点との間の接続は、導電性経路、例えば、基板に印刷されている白金経路によって好都合に提供される。或いは、白金経路は、基板の第1穴又はボアを通って第2面へと導かれ、そして、第2穴又はボアを通って第1面に戻り、同面上の要求されている位置まで繋がっている。検体センサーが第1面側に配置され、接点が第2面側に配置されている場合は、検体センサーと、関係付けられている電気接点との間の接続は、代替的又は追加的に、基板を貫通している穴又はボアを備えている。穴又はボアには、銅、銀、金、白金、又は導電性ポリマーの様な、導電性材料が充填されている。
【0026】
基板は、ガラス又はプラスチック材料の様な適切な材料で作ることができるが、少なくとも一方の基板は、酸化アルミニウムの様なセラミック材料、又はシリコン又はホウ素を基材とするセラミック材料で作られているのが望ましい。
【0027】
スペーサは、プラスチック、ゴム、セラミックで作ることができ、スペーサは、アクリル又は同等のプラスチック材料で作られているのが望ましい。スペーサと基板は、測定用セルからの試料の漏出を最小限にするためシールされた様式で組み立てられる。このシーリングは、シール材で作られたスペーサを選定することによって得てもよいが、別体のシール手段をスペーサと基板の間に設置することによっても得ることができる。
【0028】
スペーサの溝と第1及び第2基板の両第1面によって設けられている測定用セルは、望ましくは約25μlから45μlの容積、より望ましくは約30μlから40μlの容積を提供している。この様な容積であれば、測定用セル内の検体センサーによる測定には、非常に少量の試料で済む。スペーサの寸法は、長さが20mmから60mm、幅が5mmから20mm、そして厚さが0.2mmから0.6mmの範囲内にあるのが望ましい。スペーサ内の溝は、長さが10mmから50mm、幅が1mmから5mm、そして深さが0.2mmから0.6mmの範囲内の寸法を有していてもよい。
【0029】
第1及び第2基板とスペーサの寸法、而して、センサーアッセンブリの寸法は、意図される用途次第で改造してもよい。しかしながら、或る好適な実施形態では、第1基板は、長さが約20mmから60mm、幅が約5mmから20mm、そして厚さが約0.3mmから0.8mmの範囲内の寸法を有している。
【0030】
第2基板の幅及び/又は長さは、第1基板の幅及び/又は長さより幾分大きくてもよい。これは、幾つかの好適な実施形態では、第2基板の第1面は、センサーアッセンブリのスペーサと第1基板の縁部よりも突き出ているのが好適であるという事実に因る。第2基板は、長さが約20mmから60mm、幅が約5mmから40mm、そして厚さが約0.3mmから0.8mmの範囲内にある寸法を有しているのが望ましい。第2基板の長さと幅は、約4mmから20mmの範囲で、第1基板とスペーサの縁部を超える張り出し部を提供していてもよい。
【0031】
センサーアッセンブリは、更に、少なくとも実質的に固定された基準電位をセンサーアッセンブリに提供するように作られた基準電極を備えていてもよい。この様な基準電極は、1つ又はそれ以上の検体センサーが、ただ1つの電極しか備えていない電気化学的センサーである場合に非常に有用であり、その様な場合、この電極の電位は、流体試料中の特定の物質の濃度に伴って変化し、検体センサーは、この濃度を測定することを目的とする。この場合、センサーによって測定される電位と基準電極によって提供される基準電位の間の差が測定値として使用されることになる。これにより、測定された電位のあらゆる考えられるオフセット値が測定値から取り除かれることになるので、測定値は、確実に、試料中の物質の実際の濃度を反映するものとなる。
【0032】
センサーアッセンブリは、更に、基準電解質を保持するように作られた液体室を備えており、前記液体室は、保管中、基準電解質を基準電極から分離された状態に維持する。液体室は、基準電解質を基準電極に接触させるように操作される。基準電極は、例えば、センサーアッセンブリの検体センサーの劣化を防止又は低減することを目的に、保管中は乾燥状態に保たれるが、これは、検体センサーが電解質と接触してしまうと、センサーのゆっくりした劣化が始まるからである。基準電極を使用することが求められた時、液体室の基準電解質が放出され、これにより基準電解質は基準電極と接触させられる。基準電解質のおかげで、基準電極は、少なくとも実質的に固定された基準電位をセンサーアッセンブリに提供することができるようになる。基準電解質を放出するには、液体室を、例えば、センサーアッセンブリの一部を押すことによって手動で操作してもよい。この液体室は、更に、分析器によって、例えば、機械的作用を用いて操作できるようになっていてもよい。基準電解質は、弁装置の作用によって、又はプラグと接続されている揺動機構の作用によって、液体室から放出されるのが望ましい。弁装置を使用する場合、装置は2つの弁の間に基準電解質が収納されている二重弁システムであるのが望ましく、二重弁システムを押し下げると、基準電解質が放出される。揺動機構が採用されている場合、揺動機構は、作動させると、プラグを通路から抜いて、基準電解質が放出されて基準電極と接触できるようにする。
【0033】
センサーアッセンブリは、少なくとも実質的にハウジングに封入されていてもよい。この場合、センサーアッセンブリは、ハウジングの外側境界によって画定されるユニットを形成するので、例えば、出荷、保管、及び使用時に、取り扱うのが非常に容易になる。なお、現在の文脈では、「ハウジング」という用語は、センサーアッセンブリのその他の部品のそれぞれが封入された少なくとも実質的に閉じられた部品と解釈されるべきである。ハウジングには、少なくとも実質的に剛性を有する及び/又は液気密の壁を設けてもよい。しかしながら、ハウジングは、センサーアッセンブリの各部品を封入することができる限り、代替的又は追加的に、1つ又はそれ以上の柔らかい壁及び/又は1つ又はそれ以上の格子状の壁を備えていてもよい。或る好適な実施形態では、センサーアッセンブリは、例えば、センサーアッセンブリを分析器に出し入れする時に、センサーアッセンブリを容易に扱えるようにすることを目的に、指保持式装置を備えた設計になっている。
【0034】
従って、すぐに使用できるセンサーアッセンブリを分析器に提供するためのシステムが提供されており、このシステムは、センサーアッセンブリと調整ユニットを備えており、調整ユニットは、センサーアッセンブリ用の保管区画を備えている。保管区画は、調整ユニットを作動させるとセンサーアッセンブリの中へ送り込まれる調整液が入っている液体区画と接続されている。
【0035】
同システムによれば、センサーアッセンブリを乾燥状態で調整ユニットに保管することができる。センサーアッセンブリを使用することが求められた時、流体接続が確立され、調整液は保管区画内のセンサーアッセンブリに入ってゆくことができるようになる。これにより、センサーアッセンブリには、分析器内に配置される前に調整を施すことができ、分析器内に配置されたらすぐに使用できる状態になっている。而して、分析器の動作不能時間を短縮することができる。分析器は、好適には、血液試料を分析するための分析器である。
【0036】
液体区画に入っている液体は、センサーアッセンブリのセンサーを調整するための組成を備えている、望ましくは、センサーアッセンブリ内に存在する特定のセンサーを調整するための組成を備えている、液体であるのが望ましい。
【0037】
保管区画は、本発明によるセンサーアッセンブリを収容するように作られているのが望ましく、即ち、このようなセンサーアッセンブリを中に嵌め込めるようなサイズと形状を有しているのが望ましい。
【0038】
流体接続を確立するための手段は、例えば、保管区画の一部又は液体区画の一部を捻る、回す、押す、又は引くことによって、又はスイッチ又は押しボタンを作動させることによって、手動操作できるようになっていてもよい。或いは、流体接続を確立するための手段は、適切であればどの様なやり方で作動させてもよく、例えば、圧力又はばね駆動式装置を用いて作動させてもよい。
【0039】
これより添付図面を参照しながら、本発明を更に詳細に説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の或る実施形態によるセンサーアッセンブリの分解組み立て図である。
【図2】図1のセンサーアッセンブリの斜視図である。
【図3】ハウジングに封入された図1のセンサーアッセンブリの分解組み立て図である。
【図4】図1のセンサーアッセンブリの基準電極用の液体室の分解組み立て図である。
【図5】図4の液体室の断面図である。
【図6】本発明の或る実施形態による調整ユニットの分解組み立て図である。
【図7】分析器と接続するように作られているハウジングを備えたセンサーアッセンブリの斜視図である。
【図8】分析器のホルダー内に置かれているハウジングと、接触要素と、を備えているセンサーアッセンブリの斜視図である。
【図9】電気接点を接触要素に接触させた状態のセンサーアッセンブリの断面図である。ハウジングを備えているセンサーアッセンブリは、分析器のホルダーに入れられている。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明によるセンサーアッセンブリ、及び調整ユニットは、生体機械工学、例えば、生物学的試料の分析に適合させた器械で使用することができる。センサーアッセンブリと調整ユニットは、試料を分析する分野内の多くの用途で有用であるが、1つの好適な使用法は、血液試料についての様々なパラメータを測定及び分析するように設計された器械に関連している。従って、この説明文中、本発明の一例として、血液試料の測定に適合させた本発明によるセンサーアッセンブリを使用することにする。
【0042】
この説明文中、検体センサーという用語は、化学物質の濃度の様な物理的なパラメータを測定することのできるあらゆるセンサーを表す。検体センサーは、1つ又はそれ以上の電極と1つ又はそれ以上の膜を備えていてもよい。
【0043】
分析器は、検体センサーから、例えば、電気信号を受信して、その様なデータを処理し、処理の結果を提示することのできる装置として理解して頂きたい。分析器は、更に、センサーアッセンブリと、検体センサーを分析器に接続するための手段と、を含んでいる。
【0044】
電子配線基板は、検体センサーを分析器と接続するための配線を担持する、セラミック材料で作られた基板である。検体センサーは、厚膜技法を使用して基板に貼り付けられるのが望ましい。
【0045】
図1は、第1基板2、第2基板3、及びスペーサ4を備えているセンサーアッセンブリ1の分解組立図である。
【0046】
第1基板2には、第1基板の第1面側に配置され、図の下方向を向いている複数の検体センサー(図では確認できない)が設けられている。第1基板には、更に、図の上方向を向いている、第2面側に配置された複数の電気接点5cが設けられている。電気接点5cは、配線5bとセンサーボードの小さいボア5aを介して検体センサーに接続されている。ボア5aには、導電性材料、例えば、白金が充填されおり、この材料が、第1面側の検体センサーと第2面側の配線5bに接続されている。
【0047】
第2基板3にも、複数の検体センサー6と複数の電気接点5cが設けられている。検体センサー6並びに電気接点5cは、第2基板3の第1面側に配置され、図の上方向を向いている。第2基板の検体センサー6と電子接点5cの間の配線は、第1面側の検体センサーから基板3の第2面側に導かれ、基板の穴を通って第1面側の接点5cに戻っている。
【0048】
図1に示しているセンサーアッセンブリの実施形態は、複数の検体センサーが設けられた基板2及び3を開示しているが、センサーアッセンブリの或る代わりの実施形態は、第1基板と第2基板を備えていて、第1基板に1つの検体センサーが設けられ、第2基板に1つの検体センサーが設けられている。
【0049】
スペーサ4には、スペーサ4の大部分を貫通して伸張している細長いボアの形態をした溝7が設けられている。
【0050】
センサーアッセンブリ1を図2に示すように組み立てると、第1基板2の第1面と第2基板3の第1面は、互いに相対し、スペーサ部品4は、第1基板2と第2基板3の間に配置され、溝7は基板2と基板3の両第1面と共同で測定用セル7aを形成する。測定用セル7aは、第1基板2の検体センサー並びに第2基板3の検体センサー6が測定用セル7aと流体接触するようなやり方で配置されることになる。その結果、基板2、3と組み合わされた溝7によって、流体試料を収容することになる測定用セル7aが画定される。流体試料が測定用セル7aに入れられると、検体センサー6のそれぞれが試料と接触することになり、その結果、検体センサー6のそれぞれは、当該試料の関連パラメータを測定することができるようになる。
【0051】
測定用セル7aは、多種多様な形状、例えば、S字形又は膨隆部を有していてもよいが、測定用セル7aは、洗浄し易く、不純物の沈降する場所ができないように、可能な限り直線的で平坦であるのが望ましい。更に、測定用セル7aが、直線的で平坦であれば、測定用セル7aに必要な容積はより小さくて済む。
【0052】
測定用セルは、約25μlから45μlの容積を提供している。スペーサの寸法は、長さが約20mmから60mm、幅が約5mmから20mm、そして厚さが約0.2mmから0.6mmの範囲内にある。
【0053】
検体センサー6のそれぞれは、関係付けられた電気接点5cに接続されている。電気接点5cは、適した配線を介して分析器に接続されていてもよい。これにより、検体センサー6によって行われた測定に関する情報が、関係付けられた電子接点5cを介して分析器に伝達されると、分析器は、次いで、測定値の必要な分析を行うことができる。第1基板2の電気接点5cと第2基板3の電気接点5cは、同じ方向を向いているので、同じ側から電気接点5cのそれぞれにアクセスすることができ、これにより分析器への接続、而して、測定情報の伝達がやり易くなる。
【0054】
図2は、図1の組み立てられたセンサーアッセンブリ1の斜視図である。図2から明らかな様に、両基板の電気接点5cのそれぞれに同時にアクセスすることは非常に容易になっている。
【0055】
図1と図2に示しているように、センサーアッセンブリ1は、基本的に、第1基板2と、スペーサ4と、第2基板3と、から成る三層で構成されている。第1基板2は、第1面側に検体センサー(図1では確認できない)を具備し、第2面側に分析器との電気接続を確立するための電気接点5cを具備している。この図示の好適な実施形態では、第1基板2は、更に、酸素センサー50及び基準電極51用の穴を具備している。第2基板3は、流体試料用の入口ポート52と出口ポート53を具備している。
【0056】
第1基板2と第2基板3の上の説明は、特定の実施形態に関するものであり、入口ポート52と出口ポート53は、第1基板2に配置されていてもよいし、入口ポート52は第1基板2に、そして出口ポート53は第2基板3に、又はその逆に、配置されていてもよいと理解頂きたい。更に、酸素センサー50と基準電極51用の穴は、センサーアッセンブリの意図される特定の使用法に応じ、除外してもよいし、一方だけを設けてもよい。更に、基板2、3は、必要に応じて、他の目的に供される開口部を具備していてもよい。
【0057】
第1基板、第2基板、及びスペーサの寸法、而して、センサーアッセンブリの寸法は、意図される使用法に応じて適合させてもよい。しかしながら、開示されている実施形態では、第1基板は、長さが約20mmから60mm、幅が約5mmから20mm、そして厚さが約0.3mmから0.8mmの範囲内の寸法を有している。
【0058】
第2基板は、長さが約20mmから60mm、幅が約5mmから40mm、そして厚さが約0.3mmから0.8mmの範囲内の寸法を有している。第2基板3の幅は、第1基板2の幅より幾分大きくなっている。これは、幾つかの好適な実施形態では、第2基板3の第1面が、センサーアッセンブリ1のスペーサ4と第1基板2の縁部よりも突き出ているのが好適であるという事実に因る。この様にすれば、電気接点5cを第2基板の第1面上に、外部接続手段、例えば、接触要素側のピンが電気接点5cにアクセスできるようなやり方で、配置することが可能になる。そこで、接点5cは、第2基板の第1面の、スペーサ4と第1基板2の縁部よりも突き出ている部分に設置されている。こうすれば、第1面と第2面の接点5cが、一方の側から利用できるようになり、これにより、接点と分析器ユニットに接続されている接触要素のとの間に電気接点を確立することがなお一層簡単になる。
【0059】
検体センサー6は、pCO、pO、pH、Na、K、Ca2+、Cl、Mg++、Ca++を測定するための検体センサーを備えており、追加の検体センサー、例えば、乳酸塩、クレアチニン、及び尿素を測定する検体センサーを、必要に応じ又は所望に応じて設けてもよい。FOHb、FCOHb,FMetHb、FHHb、及びFHbFなどのビリルビン及びヘモグロビン値の様なパラメータを、追加のモジュールで測定してもよい。
【0060】
図3は、第1ハウジング部分8aと第2ハウジング部分8bで形成された実質的に閉じられたハウジング8に封入されている図1のセンサーアッセンブリ1の分解組立図である。これにより、図3のセンサーアッセンブリ1を備えたハウジングは、更に取り扱いやすい特性を備えたユニットを形成している。
【0061】
更に、ハウジング8には、基準電極9と液体室10が封入されている。保管中、液体は、弁要素11のおかげで液体室10に閉じ込められているので、基準電極9は乾燥状態に保たれる。センサーアッセンブリ1を使用しようとする時に、弁要素11を操作して、液体が液体室10から基準電極9へ通れるようにする。このことを、下で図4と図5を参照しながら更に詳細に説明してゆく。
【0062】
図4は、図3に示している液体室10の分解組立図である。弁要素11と液体室10とハウジング8の相互の位置関係が、図4に示されている。
【0063】
図5は、内部に弁要素11が配置されている図4の液体室10の断面図である。初期及び保管中は、弁要素11は、弁要素11の下側部分11aが液体室10の下方開口部12に当接し、これにより下方向に向けて液体室10をシールし、弁要素11の上側部分11bが液体室10の上方開口部13に当接し、これにより上方向に向けて液体室10をシールするというやり方で、液体室10に対して配置されている。その結果、液体は、液体室10の中に閉じ込められることになる。
【0064】
センサーアッセンブリを使用しようとするときは、弁要素11を下向きに、即ち、図5に示されている位置に向けて押し下げる。これにより、液体を液体室10から基準電極(図示せず)に向けて流すことができるようになる。
【0065】
液体室10に入れられている液体は、基準電極を正しく作動できるようにするために必要な基準電解質であるのが望ましい。しかしながら、保管中は、基準液体が測定用セルの中へ漏れて検体センサーに接触してしまうと、センサーアッセンブリの検体センサーの劣化が起こるので、これを防止又は少なくとも抑制するために、基準電極を乾燥状態で保管するのが望ましい。従って、センサーアッセンブリを使用しようとする時まで、弁要素11を操作して基準電解質が基準電極に接触できるようにはしないのが好都合である。
【0066】
図6は、センサーアッセンブリ1を備えているセンサーハウジング8を保管及び調整するための調整ユニット14の分解組立図である。図6に示しているセンサーハウジング8は、図3のセンサーハウジング1と同一である。
【0067】
調整ユニット14は、センサーアッセンブリ1を備えているセンサーハウジング8を収容するための第1区画15と、液体室19aを有する弁装置19が入れられる第2区画16と、を備えている。第1区画15は、センサーアッセンブリ1を固定位置に保つ働きをするシール用キャップ17と湿密気密箔18を用いてシールされている。更に、第1区画15は、随意的な好ましくない湿気を吸収するために乾燥剤を備えていてもよい。第1区画15は、センサーアッセンブリ1を乾燥又は半乾燥状態で数年間は作動可能状態に保管することができる。
【0068】
保管中、第1区画15と第2区画16は、相互に対しシールされた状態であるので、液体室19aの液体を第2区画16から隔離し、第1区画15、従ってセンサーハウジング8の内部のセンサーアッセンブリを、乾燥状態に保つことができる。
【0069】
分析器に新しいセンサーアッセンブリを使用しようとする約2時間から24時間前に、弁装置19を起動させることによって、調整液をセンサーアッセンブリの中へ強制的に送り込む。これは、第2区画16を第1区画15に対して捻ることによって行う。捻られた結果、調整液は、弁装置19の液体室19aから絞り出され、第1区画のセンサーアッセンブリ1の中へ入ってゆく。弁装置19の室19aに対する圧搾力を得るための装置は、例えば、第2区画に設置されたばね又は偏心装置であるか、又は、押し出し機構による単純なものである。弁装置19を起動させる別の方法は、第1区画15と第2区画16を互いに向けて押すことであってもよい。第1区画15に保管されているセンサーハウジング8のセンサーアッセンブリと液体室19aの間には、この時点で流体接続が確立される。その結果、液体は、液体室19aから第1区画15の中へ流れることができるようになり、これにより、センサーハウジング8のセンサーアッセンブリの中へ流れ込む。これによって、センサーアッセンブリには調整が施され、即ち、適した時間間隔が経過すれば使用できる状態になる。液体は、使用前にセンサーを調整するよう調合された調整液であり、当業者であれば容易に製造することができるであろう。
【0070】
従って、調整ユニット14を使用すれば、センサーアッセンブリを乾燥状態で第1区画15の中に保管することができ、且つ、要求された時に確実にセンサーアッセンブリに調整を施すことができるので、指定された時間に使用できる状態に整えられたアッセンブリを提供することができる。これにより、交換しようとするセンサーアッセンブリが分析器内で依然作動している間に、新しいセンサーアッセンブリを調整することができるので、分析器内の使用済みセンサーアッセンブリの交換に関係する休止時間は最小限になる。
【0071】
上の説明及び以下の説明から自ずと明らかになってゆくであろうが、センサーアッセンブリと調整ユニットは、フル機能を備えたセンサーアッセンブリを分析器に送り出すためのシステムにおいて、使い易く且つ非生産的な時間が最小限になるようにした、完全に一体化されたシステムを形成している。而して、すぐに使用できる状態で分析器に送り出せるセンサーアッセンブリが提供される。
【0072】
センサーアッセンブリを保管及び調整するための調整ユニット14は、センサーアッセンブリを保管するのみならず、使用前にセンサーアッセンブリを調整することもできる。このやり方では、センサーアッセンブリは、調整ユニットから、センサーアッセンブリが作動するように設計された分析器に移されると、直ちに使用できる状態に整えられる。分析器の中でセンサーアッセンブリを調整する必要はもはや無いので、この特徴は、分析器を操作する際の重要な利点を提供する。従って、これまで分析器の中でセンサーアッセンブリを調整するのに費やされた時間はもはや必要ないので、分析器は、より効率的に使用できるようになる。検体センサーの調整は、検体センサー機能を満足のいくものにするために必要である。調整時は、センサー要素を調整液で濡らして検体センサーを活性化させる。しかしながら、検体センサーは、濡れた又は調整された瞬間から、分解し始め、検体センサーの残存寿命は、それ以後、有限となる。
【0073】
このため、調整ユニット内のセンサーアッセンブリを分析器で使用しようとするその時に、センサーアッセンブリの検体センサーの調整工程を起動させる(上述の実施形態では、調整処理は、第2区画を第1区画に対して捻ることによって起動させたが、他の起動機構も可能である)。調整工程を起動させたら、調整ユニットを約2時間から24時間触れずに置いてから、箔及びシール用キャップを取り外し、センサーアッセンブリを分析器に入れ、そこで検体センサーと基準電極を、電気接点を介して分析器と接続する。調整ユニット内で調整を施すことができるおかげで、センサーアッセンブリは、分析器に入れられた時には、実質的に作動可能状態になっている。
【0074】
図7は、ハウジング8を備えているセンサーアッセンブリ1を示している。ハウジングは、分析器(図示せず)のホルダー20に嵌め込むように設計されている。ホルダー20は、ハウジング8を受け入れるための中空部21と、分析器とセンサーアッセンブリ1の間で試料を移送するための接続穴22を備えている。
【0075】
ハウジング8と受け入れ側の中空部21の両方は、ハウジング8が、確実に、ホルダー20に正確に挿入されるようにする固有の形状を有している。ホルダー20内では、センサーアッセンブリ1の入口穴52と出口穴53は、流体試料が入口穴52を介してセンサーアッセンブリ1に送り込まれ出口穴53を介してセンサーアッセンブリから出て行くようなやり方で、ホルダー内の対応する接続穴22と連絡している。
【0076】
図8は、センサーアッセンブリ1を備えているハウジング8と、センサーアッセンブリ1側の電気接点と分析器の間に電気的接触を提供するためのピン24を備えている接触要素23と、を示している。
【0077】
図9は、ハウジング8に取り付けられている接触要素23の断面図を示している。センサーアッセンブリ1側の電気接点5cと電気的接触要素23のピン24の間には、電気的接触が確立されている。ハウジング8は、分析器のホルダー20に固定されている。
【0078】
図8と図9から分かるように、接触要素23はハウジング8に挿入され、センサーアッセンブリ1側の接点5cに接続されている。接触要素23は、電気接点5から情報を伝達し、そうしている間も検体センサー6から分析器、例えば、血液分析器の処理工程に情報を伝達する。
【符号の説明】
【0079】
1 センサーアッセンブリ
2 第1基板
3 第2基板
4 スペーサ
5a ボア
5b 配線
5c 電気接点
6 検体センサー
7 溝
7a 測定用セル
8 ハウジング
8a 第1ハウジング部分
8b 第2ハウジング部分
9 基準電極
10 液体室
11 弁要素
11a 下側部分
11b 上側部分
12 下方開口部
13 上方開口部
14 調整ユニット
15 第1区画
16 第2区画
17 シール用キャップ
18 箔
19 弁装置
19a 液体室
20 ホルダー
21 中空部
22 接続穴
23 接触要素
24 ピン
50 酸素センサー
51 基準電極
52 入口ポート、入口穴
53 出口ポート、出口穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーアッセンブリにおいて、
−第1面及び第2面と、前記第1面上に形成されている少なくとも1つの検体センサーと、を有している第1電子配線基板であって、前記少なくとも1つの検体センサーは、1つ又はそれ以上の電気接点と接続されている、第1電子配線基板と、
−第1面及び第2面と、前記第1面部分の上に形成されている少なくとも1つの検体センサーと、を有している第2電子配線基板であって、前記少なくとも1つの検体センサーは、1つ又はそれ以上の電気接点と接続されている、第2電子配線基板と、
−第1開口部及び第2開口部を備えた切り抜き溝を有しているスペーサと、を備えており、
前記第1基板、前記第2基板、及び前記スペーサは、層状構造に配置されていて、前記第1基板の前記第1面は、前記スペーサの前記第1開口部を閉じ、前記第2基板の前記第1面は、前記スペーサの前記第2開口部を閉じ、これにより、前記それぞれの基板からの少なくとも1つのセンサーが相対する測定用セルが形成されている、センサーアッセンブリ。
【請求項2】
前記測定用セルには、前記基板の内の一方からの少なくとも2つのセンサーが相対している、請求項1に記載のセンサーアッセンブリ。
【請求項3】
前記測定用セルには、前記それぞれの基板からの少なくとも2つのセンサーが相対している、請求項1又は2に記載のセンサーアッセンブリ。
【請求項4】
前記測定用セルは、前記測定用セルを通って流れる流体が少なくとも実質的に直線的な運動を行えるようにする形状を有している、上記請求項の何れかに記載のセンサーアッセンブリ。
【請求項5】
前記第1基板の前記電気接点は、前記第1基板の前記第2面に配置されており、前記第2基板の前記電気接点は、前記第2基板の前記第1面に配置されている、上記請求項の何れかに記載のセンサーアッセンブリ。
【請求項6】
前記第2基板の前記検体センサーと前記接点は、前記センサーから前記基板を通って前記第2面へと伸び、そして前記第2面から前記基板を通って前記接点まで伸びている配線を介して接続されている、請求項5に記載のセンサーアッセンブリ。
【請求項7】
前記第2基板の一部は、前記第1基板を超えて張り出している、請求項5又は6の何れかに記載のセンサーアッセンブリ。
【請求項8】
前記第2基板の前記電気接点は、前記張り出し部分に配置されている、請求項7に記載のセンサーアッセンブリ。
【請求項9】
前記基板の内の少なくとも一方は、セラミック材料で作られている、上記請求項の何れかに記載のセンサーアッセンブリ。
【請求項10】
前記測定用セルは、入口ポートと出口ポートを有しており、前記両ポートは、前記第1基板に形成されている、上記請求項の何れかに記載のセンサーアッセンブリ。
【請求項11】
前記測定用セルは、入口ポートと出口ポートを有しており、前記両ポートは、前記第2基板に形成されている、請求項1から9の何れかに記載のセンサーアッセンブリ。
【請求項12】
前記センサーアッセンブリは、少なくとも実質的にハウジング内に封入されている、上記請求項の何れかに記載のセンサーアッセンブリ。
【請求項13】
前記検体センサーは、血液パラメータセンサーである、上記請求項の何れかに記載のセンサーアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−525338(P2010−525338A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504451(P2010−504451)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/DK2008/000154
【国際公開番号】WO2008/131767
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(500554782)ラジオメーター・メディカル・アー・ペー・エス (20)
【Fターム(参考)】