説明

体液移送具及び体液移送具を用いた体液検査システム

【課題】微量血液の生体からの有効で簡単な採取と、血液検査装置への容易装着化、量産などで生じる不可避なむらにより生じる測定誤差を解消し、安定した血液成分の濃度測定を可能とする。
【解決手段】皮膚表面に表出した体液に接触させ含浸させる含浸部と前記含浸部を支持する支持部を具え、前記含浸部は、体液検査部へ、収容可能な形状を有してなる血液移送具、
円盤を回転させながら光学的に計測する血液生体計測器において 計測円周上に、標準物質を収容した標準槽を設けてなるものであって、その光路長のばらつきを、あらかじめ挿入しておいた標準物質の吸光度の計測によって計測し、寸法誤差等の光学情報の補正を行う。計測円周上に、標準物質を収容した標準槽を設けてなるものであって、その光路長のばらつきを、あらかじめ挿入しておいた標準物質の吸光度の計測によって計測し、寸法誤差等の光学情報の補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液移送具及び体液移送具を用いた体液検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
血液に代表される体液成分の濃度計測は、古くから行われ、精度も分析装置の高機能化等により向上してきた。
この様な血液検査装置は、いわゆる業務用であって、医師、看護士等の有資格者が、採血管を用いて必要十分な血液数十mml程度採取する方式が一般的である。
一方、糖尿病のように、血糖値の変化が、経時的に気になる患者は、在宅で自らが使用できる採血機器により、血液を皮膚表面に表出させ、これに試験片をあてがい含浸させるといった手法が用いられてきた。
血液の採取量は、在宅での使用、患者への負担の軽減をするために、より少量であることが望ましい。
【0003】
特開平11−318871は、表出した血液留を定量しながら保持する構成を示す。
特開平11−318871は、定量部を持たない計測装置については、好適であるが、毛管力による保持する構成であるため、少量しか利用できない点や、毛管力で維持するため、誤った接触があった場合、毛管力が崩れ、分散してしまう恐れがある。
ところで、ドライケミストリーのような、試験紙タイプのものは、多孔質材よりなる供給部へ、血液表出部をあてがうことで、多孔質材へ含浸させることも可能のように感じるが、定量性がないため、分注用ピペットなどを用いた血液の定量供給が必要となってくる。
他方、多項目の血液成分濃度測定を、体液を流路上を毛管力、遠心力を利用して定量、移動、操作させて行う、小型で、携帯可能な装置が提案されている。これは、円盤状で、中央に血液を注入した後、遠心力で、血球分離、分配、試薬反応槽への定量血液の供給を行い、発色反応を光学的測定し、成分濃度を表示する装置があるが、検体からの血液の移送は、ピペットを利用しなければならない。
【0004】
【特許文献1】特開平11−174048号公報
【特許文献2】特開平11−318871号公報
【特許文献3】特開2004−101381号公報
【特許文献4】特開平5−72210号公報
【特許文献5】特表平9−504732号公報
【特許文献6】特表平3−510484号公報
【特許文献7】特開平5−508709号公報
【特許文献8】特公昭50−23624号公報
【特許文献9】特表2003−520582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
少量でありながら計測に必要十分な体液を保持しながら、血液検査装置へ、移送する器具は、存在せず、ましてや数十〜数百マイクロの体液を血液検査装置で検査可能に移送するには、適当な構成は、未だ存在しない。
【0006】
血液検査装置における光学的体液成分測定は、通常、吸光度計測手法を用いるもので、液状乃至固体状の試薬を内部に有する主に柱状の反応槽に対し、血清などの体液成分を供給し、試薬と所定時間反応させた後、その側面又は上下方向からレーザ光等の光ビームを照射し、反射光又は透過光から、光量の減衰量を計測して、別途既知の吸光度を示す材料の計測から得られた検量線との比較によって校正計測するものである。
従って、血液量をより少量化すると共に全体をより薄く小さくしようとする場合や試薬や試料の性質によっては、より濃い反応色に対応する必要が生じ、少なくとも反応槽の光路長を短くして反応試料から得られる光をより多く検出して、検量線による高濃度値検出に対する精度を向上させようとするために、反応槽を含む基材をより薄く小さくする必要が生じる。
この様な場合、反応槽を薄く小さくすると今まで、問題にならなかった基材製造時の目に見えないバリや、材質の変成等の誤差が計測光に影響を与えるようになるのである。
例えば光路長2mmとすると、光路長を形成する部材に生じる100ミクロンの誤差は、それだけで精度を5%マイナスとする。
更に、光路長を仮に1mmとすると 上記の構造誤差だけで10%となってしまい、正確な成分分析が困難になる。
【0007】
上述の様に生体に損傷を加えて血液を採取し分析する観血的な装置に関しては、なるべく人体に負担を与えないように使用血液量を最小にすることが好ましいことから、遠心力と毛管力を利用した血液分析ロータにおいても、より小さい空間を利用して血液の分析を行うこと好ましい。
ロータを小さくするということは、体液と試薬とを混合して発色反応を行わせる試薬反応槽の体積を小さくすることでもあり、その際、計測光を入射し、外部へ照射する部分の面積を小さくすることが、その他の縮小よりも好ましい調整となる場合がある。
試薬反応槽の上下の面積を小さくすることは、反面レーザ等の計測光の照射範囲を狭くしてしまうために、レーザ光をレンズで絞って照射面積を狭くしても、ロータの回転むら等からくる反応槽と光路のずれが、測定誤差として大きく反映されることになってしまう場合がある。
【0008】
ところで、血液成分の多項目成分検査項目の中には、他の試薬反応工程とは異なってDHLC等、少なくとも2種類の試薬と反応させた結果を分光光度的に測定しなければならない項目もある。
この様な微小流体を移動させて、複数回の試薬反応を行わせる構成であって、より少量の血液成分計測を可能とする為の構成については、未だ開示されるに至っていない。
【0009】

基板上に流路、反応槽、分離槽等を形成する検査ユニットを量産する場合は、精密に調整加工した金型を作成することで、安定した反応動作を保証するユニットの提供が可能となるが、状況に応じては、ユニットが取り扱う血液量を最小にしたいというニーズが頻繁に生じる。
この状況は、より患者に苦痛を与えない為に最小限の採血で留めたいというニーズとも一致する。
例えば、必要血液量が45μlで15種類の検査反応をさせるために提供される血液分析ユニットに対し、検査状況により必要検査項目が5項目で足りる場合もあるが、その場合でも血液量は45μl必要となってしまう。
血液の必要量が変わらない原因の一つとして、例えば図11のような血球分離の際の遠心分離構成における、血球分離槽(例えば図11の302)と遠心分離後の血清の移動流路(305)の接続位置をヘマトクリット値のマージンを含めて固定しなければならないことがあげられる。
しかしながら、精密な金型を利用した量産後の血球分離部と流路の固定された接続関係を変化させることは不可能である。
以上の事項は、より限られた血液を採取して、血液の多項目成分の計測を行うための構成であって、在宅医療にも適用可能なものについては、より大きな課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】

上記に鑑み、本発明は、血液移送構成において、皮膚表面に表出した体液に接触させ含浸させる含浸部と前記含浸部を支持する支持部を具え、前記含浸部は、体液検査部へ、収容可能な形状を有してなる血液移送具により患者から採取される微量血液の移送を容易に実現する。
本発明における含浸部は、例えば、不織布、スポンジ、多孔質セラミックス等、液体を含浸保持させながら、遠心分離の際、容易に少なくとも血清が分離抽出される多孔質性のものであれば良い。又、含浸部は、検査器内に装着され得る形状を有して折れば良く、検査機内の形状に成形されていることが好ましい。
支持部は、含浸部と接着、機械的結合等した緻密プラスチック等で形成され、その形状は、支持しやすさ、含浸部が、検査器に挿入される際の仕様に応じた形状であればよく、少なくとも、含浸部に含浸された血液を移送する際、移送する人、装置に付着しない状態になるようなものであれば、特に限定されるものではない。
本発明は、血液などの体液を、定量し、試薬等と、混合して発色させる構成のような、液体を流路等を介して加工する検査機器であって、微量血液で十分な機器に、微量な血液を、生体から、有効に移送することを実現する。
【0011】

更に本発明は、光学計測において、試薬の変わりに光学的基準物質を入れた基準反応槽を、測定軌道に1乃至複数据えることで、計測時、基準物質の吸光度計測から、濃度を得て、検量線のずれから光路長のぶれを検出して、濃度の補償を行うことで、製品の量産時に生じる規格のばらつきをなくすことを実現した。
本発明は、濃度の濃い血液反応項目を計測するのに吸光度OD値を下げる為や全体血液量を少なく酸素反応をしやすくするなどの理由で、光路を短くする必要が生じた場合等、基準反応槽を計測することで、検量線の補正が可能となるのである。
本発明における基準反応槽は、一つの光学計測軌道上に1乃至複数あれば、良いが、例えば90度間隔、試薬反応槽に隣接する軌道上が例示される。
光学的基準物質は、例えば、色素、色素の液体又は固体の複合材であって、濃度が既知が既知であることが好ましく、検量線を作成する際に使用する物質が好適に利用される。
検量線の補正は、一点法である場合は、ロータの1箇所に、既知の濃度成分をもつ光学的基準物質を光路軌道上に配置すれば良いが、多点の場合は、ロータの数カ所に既知であって、濃度値の異なる成分の光学的基準物質(例えば 図10(d)のc1〜c4で示す濃度値)を配置し、個々に得られる吸光度値の誤差を得るなどしてこのロータ検量線の傾き補正等をすることが例示されるが、多点であっても、誤差が小さい場合等は、予測的で直線関数的に、補正値を決定してもよい。
この基準反応槽の計測は 個別のユニットで、計測前に行う場合、計測時逐次行う場合や最終計測時に行っても良いし、生産時に行いロット管理データ化してしまうものでも良い場合もある。
【0012】
更に本発明は、多数項目の試薬反応による血液成分を計測するユニットであって、同心円状に計測反応室が多数配置されている回転体構造を有し同ユニットを回転させながら、透過型で光学的に順次計測する光学計測手段を具えた血液検査システムにおいて、計測反応室と同一の円周上及び回転体の円周方向に垂直な位置で隣接するダミー窓を形成し、当該ダミー窓を透過する透過光量から、発光体の発光光路のずれを検出し、正確な思料分析を実現する。
【0013】

更に本発明は、微量血液から複数試薬反応を必要とする成分計測について、内部に試薬を収容し、試料を入力する入力口と、前記試薬との混合試料液を外部へ出力する出力口を具えた第1試薬反応槽と、内部に試薬を収容し、前記第1試薬反応槽から供給された混合試料溶液を入力する入力口と、外部より計測可能な構成を有する第2試薬反応槽の組み合わせ構成により、遠心力と毛管力の調整のみで、複数の試薬との混合を可能とするに至った。
当該構成によれば、他の一回の試薬反応構成との併用も可能となるのである。
【0014】

更に本発明は、利用する体液の量を調整可能とする構成について、回転体上で、血球分離部で血球分離を行い、血清と試薬とを反応させて、その発色反応値を計測する体液検査システムにおいて、前記血球分離部内の容積を調整するために補綴する補綴体を具えることで、容積を調整し、定量値の調整、流体操作タイミングの調整等を実現する。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、含浸部と支持部の組み合わせによる血液移送具の利用により、少量の血液でしかも液体を定量分配混合等の操作処理をして多項目の成分測定を可能とする検査機器に移送する際、簡単でしかも外部へ血液が飛散する恐れが少なく、しかも安価な移送具及び血液検査システムを可能とする。
【0016】
本発明は、少量血液を用いて多項目成分分析を行う場合、より検査ユニットを薄く小さくする為に光学的計測 量産時に生じる不可避な、構成のぶれ、光路長の変更にも十分対応でき、計測範囲が格段に広がる。
【0017】
本発明は、少量の検体であっても分析に十分な光学的情報を得ることを可能とし、成分濃度の正確な値を数100μの直径の試薬反応領域でも計測可能となる。
【0018】
本発明は、複数種類の試薬を反応させる検査項目を、遠心力と毛管力の調整により容易に行われ、しかも一つの試薬と反応させる検査項目との併用が容易であり、流体の移動によるより多くの種類の多項目検査を可能とする。
【0019】

本発明は、ユニット上に固定された容積を持つ、血球分離室、混合希釈室、血液貯留室などに対し、機能性を維持しながら当該容積を調整できる部位に補綴を行うことで、同一の形状、大きさを有しながら、異なる、成分測定等、利用分野を広げることを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】

血液移送構成

本発明における実施の最良の形態の一例として、含浸部と、この含浸部を支持する支持部との組み合わせが示され、含浸部の形状は、少なくとも検査装置内に収容可能な形状である。
本発明の含浸部は、回転力により、血球分離、定量、混合、移動をさせるユニットの血液を外部より注入する部分に収容される形状及び構造を有し、ロータの回転により、外部へ血液が抽出できる程度の空隙率、形状を有することが好ましい。含浸部の含浸は、空隙に生じる毛管力による液体の保持構造であっても良く、ブラシ状など多孔質材に限るものではない。
【0021】
光学計測

本発明に於いては、光学的計測軌道上に1乃至複数の基準反応槽があれば良く、好ましくは、試薬反応槽に隣接する部分に1対1の割合でおかれてもよい。
その場合、隣接する試薬槽が持つ、厚みのぶれを基準反応槽が持つ可能性が十分に高いからである。
例えば、基準反応槽の、吸光度を測定して吸光度ODSを得、初期設定時に引かれた検量線に基づいて濃度C1を得る。
基準反応槽の基準物質の濃度値Csは予め設定されていることから、CsとC1の差Cdefが、蓋の厚みや、反応槽下の厚みのぶれに相当する。
従って、基準反応槽周辺の試薬反応槽で得られた濃度値を濃度のぶれCdefによって補正すれば、正確な濃度が得られる。
この様に、基準反応槽が、数多くあれば、それだけ、正確な濃度が得られるが、逆に広い面積が必要になったり、計算量が格段に増える為、一つおき、或いは複数おきに基準反応槽を、設定しても良く、実際の測定の前後で、ぶれ補正のためのパラメータを1乃至繰り返し得ても良い。
本発明に於いては、分析ユニットが、光学計測軌道を描いて自動的に動くほか、手動で動くような形状又は、光学素子が、自動的に動いて、計測するものであっても良く、又、計測プローブを複数有して、試薬部と基準部を同時に計測するものであっても良い。
【0022】
本発明は、主に回転体上の共通する円周軌道上に複数の試薬反応槽が配列し、この円周軌道上に基準となるダミー窓を配置し、その両側であって、円周に対し垂直方向、即ち直径方向にそれぞれダミー窓を形成し、計測装置側の受光素子もこれらダミー窓の位置に併せた位置にそれぞれ配置すると共に、これら受光素子列と、発光素子の組み合わせからなる光学計測体が半径方向に摺動可能に形成されていればよく、この光学計測体が受光する光の強度のバランスで、光学発光体を摺動させて、常に、発光素子の発光が、試薬反応部の中心を照射するように調整できればよい。又、ロータ駆動部及びロータを移動させて、照射領域を調整しても良い。
ダミー窓は、何れも、同一の色彩、光減衰率を持つものであれば良いが、光学的計測に於いて、その発光体の光学的強度がダミーとして認識できるものであればよい。
【0023】

微量血液から複数試薬反応を必要とする成分計測について

本発明は、いわゆるロータ形式の体液成分検査装置に好適に利用され、ロータ形式、即ち円盤上に凹状の流路を形成して遠心力と、毛管力により流れが制御されることが好ましい。ロータ上には、同じく凹状に形成される血液を供給する供給槽と、当該血液から、血球を分離除去する血球分離部と、血球分離部で分離抽出された血清の定量化をはかり、定量血清と第1試薬を混合し、中間反応を行う第1試薬反応槽と、この第1試薬反応槽で反応した溶液を、更に試薬と反応させて発色させ、外部からの計測光により成分計測する第2試薬反応槽とで構成されることが好ましい。
第1試薬反応槽へ供給される試料は、定量化されることが好ましい場合もあるが、例えば、図12に記載された遠心分離時に定量化を図る構成であっても良い。
第1試薬反応槽と、第2試薬反応槽との間の液体の移動は、例えば、回転による遠心力と、毛管力を利用したものであって、他の一つの試薬反応構成と併存させた構成が好ましい。
例えば、一つの試薬反応構成の場合は、希釈液との混合工程を組み込み、この混合工程の際、第1の試薬との反応を行わせるような構成が例示される。
この場合、複数の試薬反応構成の場合は、希釈工程が省略されてしまうが、第1の試薬との反応時、当該反応槽内に併せて希釈液を供給する構成を加えても良い。
尚、試薬は、固形化したものが予め封入されたものでも良く、反応時外部より供給するものであってもよい。
【0024】

利用する体液の量を調整可能とする構成

本発明は、少なくとも、ロータ等、基材を動かす動力を利用したユニット、又は基材を動かさず毛管現象、空気圧などを利用するユニットにおいて、血液を入力し、一時的に貯留する部分、血球を分離する部分、希釈液など他の物質と混合する部分等の容積を変える為の補綴物を用いて、取り扱う試料の量、試料の移動のタイミングなどを調整すればよく、補綴の部位等は、適宜選択される。
例えば、血球分離部において、血球の分離の程度で、血清の取り出すタイミングが決定されている血球分離部の場合は、血球収容部を補綴し、分離蓄積される血球の量を調整する場合等がある。
補綴の態様は、基材と同一材質で、目的の調整を行うための大きさ形状を有する固形ブロックによる補綴、硬化形樹脂の封入等が例示されるが、適宜選択される。

【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の一実施例を示す図である。
01は、含浸部材であり、不織布、スポンジ、海綿、多孔質セラミックス、多孔質プラスチック、紙、木材などにより形成され、その空隙率は、50%以上が好ましいが、装着される検査装置内で、含浸部材より、体液を取り出す力によって、適宜調整される。
含浸部材01は、一つの多孔質材であるほか、複数の部分にわかれた多孔質材の集合体であっても良い。その場合は、遠心力により、含浸された血液が、外部へ流出する程度の保持がなされればよく、その範囲で、様々な形状が取り得る。
02は、支持部材であり、撥水性を有するプラスチック、ガラス、その他の部材で形成されている。
含浸部材01と、支持部材02は、機械的結合の他、接着剤により接続している。
03は、把持部であり、指でつまんで移相する場合など、移相しやすくするために、支持部材02と一体的又は、別体的に形成されるものであり、移送のしやすさ、支持部材のに応じなくても良い場合もある。
【0026】
本実施例の取り扱い動作について図2、図3を参照して以下に説明する。
図2において、穿刺具を具えた皮膚損傷器を用いて、皮膚を傷つける。穿刺具を具えた皮膚損傷器としては、特開平5−63506号公報に記載されたものが例示されるが、その他、ランセットが瞬間的に突出する構成が例示される。
皮膚H上に、損傷Sが形成されると、内部より血液Bが滲出する。滲出した血液B上に、含浸部材01を把持部03をもってあてがう。
含浸部材01が、この血液Bが、吸収された後GH、図3で示すように血液分析ロータROの血液収容部06に収容する。
血液分析ロータROに含浸部材01が収容されると、支持部材02は、ロータROの蓋部と事実上一体的に扱われる。
血液収容部06に収容された含浸部材01に含浸された血液は、ロータROの回転により、外部へ流れ出る。
外部へ流れ出た血液は、流路07を進行し、血球分離部08に到達する。
血球分離部08では、遠心力により、比重の重い血球が外周方向へ移動することで血清と血球が分離し、分離が十分に行われた後、回転数を下げることで、血清はサイホン管09を介して分配流路10へ移動する。分配流路へ移動した血清は、個々の試薬反応槽へ移動し、個々の試薬反応槽11の定量流路に充填する。
充填後、回転を強くして定量血清を、試薬反応槽11へ供給する。
12は、ロータROを回転駆動させるための装置との結合用口の一例である。
以上のように、構成が簡単でありながら、表出した血液の処置を確実に行い、微量血液から多数項目の血液成分の測定を実現することができる。
【実施例2】
【0027】
更に本発明の他の実施例を図4を参照して詳細に説明する。
図4で示す実施例では、一つの支持体22に含浸部材01と希釈液貯留部21を併設した構成を示す。希釈液貯留部21は、薄いビニール袋に生理食塩水などを充填した構成であって、外部より鋭利な針、刃物によって穿刺されると破れるようになっている。
希釈液貯留部21を構成するビニール袋は、鋭利な突起物が衝突した場合破れるものであればよく、アルミパウチなど、希釈液の品質を一定に保つような素材であっても良い。
図4では、図1で示した把持部がないが、支持体22が図1よりも比較的大きいため、把持可能であり、必要により付加すればよい。
図5は、実際、ロータタイプの血液検査ユニット上に本実施例を据え置いた状態を説明する為の図である。
より少量の血液を使う場合、これを希釈して、利用するが、その希釈液貯留部21を支持体22上併設した状態で、皮膚を穿刺した部位であって、血液が滲出した部位に含浸部材01部分を置いて、血液を含浸させた後、図5で示すようにロータROに当該含浸具をセットする。その際、希釈液貯留部21も併せて希釈液収容部23に圧入収容される。
圧入時、希釈液収容部の底面から突出した穿刺具24が、希釈液貯留部21を穿刺して破り、内部の希釈液を希釈液貯留部21の外部へ流出させる構成を有する。
この様な構成により、希釈液の取り扱いを簡易にできると共に、希釈液の保管を容易にし、希釈液貯留部21から希釈液を放出する際の作業を楽にすることができる。
【実施例3】
【0028】
本発明の実施例として図6を示し説明する。
図6は、含浸部材に、上下に摺動する穿刺手段を内蔵させた構成を示す。
61は、含浸部材であり、多孔質であって、血液を遠心分離時に離脱可能に保持するもので形成されている。
62は、上方及び血液検査装置装着時抽出方向が開口し、前記含浸部材61を収容する支持部材であり、中央下部には、穿刺部材63が、一定の範囲を上下に摺動可能な状態とするために、内周に突起部を形成した穿刺部材収容部621が他の支持部材と一体的又は着脱自在に形成されている。
支持部材62内には、複数の刺激ピン623が植立されており、先端は、多少鋭角であることが好ましい。
63は、穿刺部材であり、外周側面には、穿刺部材収容部621の内周面の突起部に、係止するような突起部を具えた、刃物状、針状を有する。
穿刺部材63は、上下に摺動し、この摺動を補助する駆動手段を有する。
駆動手段は、穿刺部材を勢いよく上方へ、押し上げる他、下方向への移動も行う構成を有する。
駆動手段は、図示していないが、例えばバネ、等の弾性部材の変形力を伝達部材に伝えるようなものであって、穿刺手段と、伝達部材が接触した組み合わせが例示される。
64は、振動手段であり、振動モータの回転によって発生する振動を外部へ伝達する為のものである。
65は、栽置部であり、穿刺部位を載せるための部分であって、支持部材62の開放縁部は、多少突出した状態で突出部622を形成するように支持部材62を収容している。
【0029】
次に動作を説明する。
図6(a)で示すように、指を栽置部65の輪郭を形成する突出部622を覆うように載せる。含浸部材61の内部には、穿刺部材63が隠れている。
振動手段64を振動させて、支持部材62に振動を伝達し、当該支持部材62の上方突出部622及び複数の刺激ピン623に生じる振動が指に刺激となって伝達する。
駆動手段によって、穿刺部材63を上方に勢いよく押し上げ(6S)、 穿刺部材63は、含浸部材を突き破り、指先YHに衝突し、損傷Sを与える(図6)(a))。
その後、駆動手段を駆動させて、穿刺部材63を押し下げる(6F)(図6(b))。
損傷Sから、表出した血液は、含浸部材61に含浸保持される(GB)(図6(c))。
十分に血液が含浸保持された後、支持部材62を、栽置部65から取り外し(図6(d))、血液検査装置に装着する。
【0030】
本実施例では、含浸部材と可動可能な穿刺手段を組み合わせた構成を示したが、穿刺手段を上下に摺動させず、固定させて、吸引力を用いて、皮膚を盛り上がらせて、穿刺させるような構成であってもよい。
又、穿刺手段と含浸部材を組み合わせたものを、さらに血液検査用ロータユニットに組み合わせても良く。その一例を図7に示した。
【実施例4】
【0031】
図7(a)は、穿刺部を具えた回転型血液検査ユニットの断面図であり、図7(b)は、その斜視図である。
71は、ロータ本体であり、PP、ポリアクリル材等よりなり、全体的に透光性を有する部材で形成されている。
72は、蓋部であり、PET、ポリアクリル、PP等よりなり接着剤、両面テープなどでロータ本体71と接合されている。
73は、接続開放面であり、指先を含浸部材74に接触させるための部分である。
74は、含浸部材であり、不織布、スポンジなど上述した多孔質材で形成されている。75は、穿刺手段であり、針状、刃状で形成され、上下に摺動可能な構成を有している。
穿刺手段の周辺は、図6で示す構成を具備し、外部の駆動手段の上下駆動と連通して、穿刺手段を上下に摺動させる構成を有している。
76は、流路であり、含浸部材74に含浸されていた血液がロータ本体71の回転により流れ出し、外方向に移動した血液を血球分離部77へ、移動させるための通路である。
77は、血球分離部であり、分離された血球を円周方向に収容する収容部771が形成され、分離後の血球が、再び血清部773戻らないように連続突起772が形成されている。
78は、分配流路であり、複数の試薬反応槽を連結するためのものである。
79は、定量流路であり、当該流路の長さ、口径により、試薬反応槽80へ供給する試
薬量が決定する。
【0032】
80は、試薬反応槽であり、内部に凍結乾燥された試薬が収容されている。試薬は、異なる成分によって、発色する。
81及び82は、導光路であり、外部からの測定光が通過する為に透光性を有する部材によって形成されている。ロータ本体、ロータ蓋部全体が透明な場合、透光性を有する場合は、不要な場合もある。
83は、軸部であり、外部駆動部との接続部分を形成する。
84は、軸受け凹部であり、計測蔵置側の構成であって、軸部83が挿入されると、内挿入面で、係止状態が形成される様な構成を有する。
85は、収容ケースであり、ロータ70を収容し、中央部に摺動開閉式のシャッター86を有する。シャッター86が開くと、ロータの接続開放面73が表れ、含浸部材74が表出する。シャッター86は、弾力性部材などによって、常時閉じた状態とし、要時、シャッター86を開いて固定し、採血後閉じるような器具が別途設けられることで、含浸部材を不用意にさわらないようにするためには好ましい構成となる。
ロータ本体71上に設けられた試薬反応槽の円周に相当する1部には、外部との光学的連結を行うための孔部87、88が形成されている。
【0033】
本実施例の動作を以下に説明する。
予め、血液検査装置上にロータ70を収容した収容ケース85を載せる、その時点で、穿刺手段75は、装置側の駆動手段の駆動力が伝達されるような状態が形成されている。
収容ケース85のシャッター86は、開いており、その部分には、含浸部材74が見えてる状態で、停止している。
図7(b)で示すように指YHを含浸部材74上に載せる。装置側の駆動部が、駆動し、穿刺手段75を上方に押し上げる。これらの状態は、図6で示す動作説明と同様である。
血液が十分に含浸部材74に含浸された後、指先を離し、シャッター86を閉める。
シャッター86の開閉動作は、収容ケースが駆動する時点で、自動的に閉まる場合もある。
尚、皮膚損傷部から表出した血液が十分含浸したかどうか不明となる場合があるが、その場合、十分な血液が含浸したか、その重量、含有面積等を測定して電気的に判断しても良い。
その後、ロータ70を回転させ、含浸部材74中の血液を円周方向へ押しだし、流路76を介して移動させ、血球分離部77で、血清を分離抽出し、分配流路78を介して、個々の試薬反応槽に接続した定量流路79に充填する。
充填後、より回転数を大きくして、定量流路内の血清を試薬反応槽80へ、押し出す形で、流入させる。流入した血清と、試薬が反応して。発色した状態で、収容ケースの孔87を介して外部よりレーザ光を透過し(HH)、測色を行い、成分濃度を得る。
ロータ70の動作は、一例であり、様々な構成が例示される。
この様な血液分析ユニットと穿刺手段の組み合わせにより、採血の担当がいなくても、簡
単に血液分析が行えるようになる。
【実施例5】
【0034】
図8(a)は、回転しながら、中央の血液を、分離定量し、各試薬槽に定量血清を分配して発色値を計測して多項目成分濃度値を測定する為の実施例である。
図8(b)は、図8(a)のX2-X2'で切断した場合の略断面図である。
80は、ロータであり、ポリアクリル、PP、PET等よりなる透明、又は半透明なロータ本体81と、蓋部82を接合して形成される。
図8(a)は、蓋部82が、装着されていないロータ本体81を示している。
ロータ本体81には、血液貯留槽R1、血球分離槽R2、分配流路R3、及び定量流路R4が凹部として形成され、試薬反応槽84、86、基準反応槽85,87、88,89,90も凹部として形成され、上部から蓋部82が両面テープ、接着剤等で接着結合されている。83は、光学測定部であり、ロータ80の一部を非接触的に上下挟持している。
光学測定部83は、レーザ等の発光体92と、受光部93を有し、計測光軌道91上に光を照射し、反応槽を通過した光を受光部93で受光している。
94は、反応槽であり、内部は、試薬と試料又は、基準物質が封入され、満タン状態になっている。反応槽94内の基準物質は、空隙がないほどに必ずしも充填される必要がなく、少なくとも、光学的計測の基準になればよい。
98は、透光部Aであって、ロータ本体81の一部であり、透光性を有している。
99は、透光部Bであって、蓋部82と一体的に形成されており、透光性を有している。
95は、光路長を示し、96は透光部Bの厚みを示し、97は透光部Aの厚みをそれぞれ示す。
【0035】
本実施例の動作について説明する。
本実施例においてロータ80は、中心点Oを中心として回転し、中央の血液貯留部R1に供給された血液(含浸血液の場合もある)は、遠心力により、流路R6を介して血球分離槽R2へ移動する、回転力を調整して血球分離を行い、血清を抽出する。サイホン流路R5は、ロータ80の回転数の低下と増加の変化により、血清を分配流路R3へ供給し、分配流路R3に供給された血清は、個々の定量流路R4に毛管力により充填される。
次にロータ80の回転を強くし、遠心力を増加させ、試薬反応槽84、86に血清を押し出させる。
血清は、試薬反応槽内の試薬と発色反応し、光学測定部83において、計測動作が始まる。
その際、事前に、又は事後に基準反応槽85の吸光度を光学測定部83により測定する。
ロータ80が所定の速度で回転している状態、又は停止している状態で、発光体92の発光は、透光部A98,反応槽94、透光部B99を介して受光部93に到達し、その際の吸光度を測定する。
この時点で既に、図8(c)(d)で示す検量線が形成されている。図8(c)は、一点検量線法が適用可能な試薬の検量線であり、図8(d)は、多点検量線法が適用可能な試薬の検量線である。
【0036】
図8(c)において、基準物質の濃度は既知8cであるため、検量線8aからその際の吸光度ODaも既知であり、これを基準値とする。
しかしながら実際のロータ上の個々の基準物質の測定において、吸光度値ODadが基準値ODaとずれている場合がある。
このずれ8bは、反応槽の透光部の厚み96,97の量産むらに起因していることから、その周辺の試薬反応槽84も同様の濃度のずれ値による補正をすることで、正確な濃度値が得られる。
【0037】
図8(d)も同様であり、多点検量線も、検量線8eに対し、基準反応槽における各ユニット毎の吸光度の差ODbd−ODbに基づく濃度値の差(8f)を補正値として、各ユニット毎の試薬反応槽の光学的計測が行われる。

以上のように、補正が困難な量産むらによる計測値の補正を可能とし、更には、他の要因、濃すぎる反応時の光路長の変更などに対しても、その差をとることで、変更前の光路長の検量線データを生かしながら正確な濃度値を得ることも可能となるのである。
【実施例6】
【0038】
図9は、本発明の一実施例を示す図である。
図9(a)は、本実施例の斜視図であり、図9(b)は、x3−x3’の断面図である。
900は、ロータであり、蓋部901とロータ本体902よりなる。ロータ本体902は、ポリプロピレン、ポリアクリル、PETなどからなり、表面に凹部が形成され、血液貯留部R1、血球分離部R2、分配流路R3,試薬反応槽R4、サイフォン流路R5等が形成されている。図9(a)は、蓋部901を装着しない状態を示すが、(b)は、蓋部901を装着した状態での、略断面図を示す。
903は、光学測定部であり、図9(b)にその断面図を示した。
904は中央ダミー部であり、基準的な配色物質であり、光を透過して予め定められた吸光度を受光した光に与えることができるものである。
905は、外側ダミー部であり、中央ダミー部904と同一形状で同じ物質が封入され、外周方向に設けられている。
906は、内側ダミーであり、中央ダミー904と同一形状で同じ物質が封入され、内周方向に設けられている。それぞれのダミーは、隣接しているが、ダミー間隔は、光学計測時の、ロータのぶれに応じた範囲で適宜調整される。
これらのダミー部は、何れも同一の円筒形状であるが、直方形状等他の形状であっても、その位置が、計測軌道上であって、試薬反応槽の中心を通るものであれば良い。
ダミー窓の配列は、円周方向に必ずしも垂直な配列9Aで無くても良く、9B、9Cの様に、ずらした状態の配置であってもよい。
9Bの配列は、中央のダミー窓904’に対し両側のダミー窓905’と906’は、所定の角度でずれた状態となっている。これに対し、9Cの配列は、中央のダミー窓904’’に対し両側のダミー窓905’’と906’’は、9Bとは、逆の方向に所定の角度でずれている。
この様なずれた配置は、9Aの配置に比べて、ダミー窓間の間隙(dead area)(例えば図109Aと9Bとの間)が形成されにくく、より正確な送光部916の光照射位置が認識できる。
尚、本実施例では、9A〜9Cで示す3通りのダミー窓の配列パターンを示したが、いろいろなパターンを例示しているにすぎず、この中の一つだけの配列パターンを所定間隔毎に配置したものであっても良い場合もある。
907は、内側受光部であり、内側ダミー部906を透過した光を受光し、光電変換して、処理部917へ送る。
908は、中央受光部であり、中央ダミー部904及び試薬反応槽R7を透過した光を受光し、光電変換して、処理部917へ送る。
909は、外側受光部であり、外側ダミー部905を透過した光を受光し、光電変換して、処理部へ送る。
【0039】
910は蓋内側透光部であり、ロータ900の中心方向に配置されており、透光性部材で形成されている。911は蓋中央透光部であり、透光性部材で形成され、912は、蓋外側透光部であり、透光性部材で形成されている。
これらは何れも、透過する測定光に対し、なるべく減衰しない材質が用いられることがこのましく、又蓋部901が透光性部材で形成されているのであれば、その材質で足りる。
913は、本体内側透光部であり、通過する測定光に減衰をあたえないような材質よりなる。914は、本体中央透光部、915は、本体外側透光部であり、本体内側透光部913と同様の材質形状を有する。何れの本体透光部もロータ本体902が透光性を有するものであれば、特に設ける必要がないものである。
916は送光部であり、レーザ光源と、集光レンズ群よりなる。送光部916は、複数のレーザ光源を含む場合もある。
917は、処理部であり、中央処理装置、メモリーを有し、入力される、透過光に対し、吸光度、OD値等を求め、3つの値の分布を比較し、判別して、駆動部918へ、駆動制御信号を出力する。
918は、駆動部であり、モータ、動力伝達部、アクチュエータ等を具備し、光学測定部903を摺動させる為のサーボ機構を有するものである。
919は、電気リード線であり、送光部916のレーザ光を発光させるための電気出力を伝達するためののである。
920は、電気リード線であり、受光部からの電気信号を、処理部へ伝達するためのものである。
921は、電気リード線であり処理部917と駆動部918を電気的に接続するためのものである。
【0040】
次に、本実施例の動作説明を図10を参照して詳細に説明する。
本実施例の駆動は、実際の検体の測定のタイミング時に行われ、図10(a)で示すような、中央の受光光量ODが一番強い状態であるように制御される。
即ち、安定した状態の場合、ロータ900が回転し、軌跡922上の試薬反応槽を光学的に計測する際、送光部916から出力されたレーザ光は、多少の散乱と減衰を生じさせながら本体中央透光部914を介して中央ダミー904にレーザ光が照射される。
中央ダミー904を通過した光は、蓋中央透光部911を介して中央受光部908に受光される。受光された光は光電変換され、電気信号として電気リード線920を介して処理部917へ送信される。
【0041】
送光部916は、中央ダミー904の直下に位置するが、光の散乱などによって、その一部が、本体内側透光部913,本体外側透光部915を介して、それぞれ、内側ダミー部906、外側ダミー部905を通過し、蓋内側透光部910を介して内側受光部907、蓋内側透光部910を介して、外側受光部909のそれぞれにレーザ光が受光される。
その結果、図10(a)の様に、横軸を受光部の位置、縦軸を、受光した光の強さOD値とした場合、中央ダミー904のピーク9bが一番強い状態となって現れる。
図10(a)で示す状態が、基準の状態であって、9aが、内側ダミー部906を通過してきた光の強度を示し、9bが中央ダミー部904、9cが外側ダミー部905をそれぞれ通過してきたレーザ光の光強度である。
【0042】
しかし、ロータ900の回転むらが生じたりして、中心がぶれた場合、送光部916の出力レーザが、外側ダミー部905へ、傾いたような状態で出力された場合、外側ダミー部905への出力光量が大きくなり図10(b)の様に、外側受光部909の受光量9fが、中央受光部908での受光量9c、内側受光部907での受光量より大きくなる。
この時、処理部917は、駆動部918に光学測定部903の外側への所定量の摺動を命令し、駆動部918は、光学測定部903を所定量摺動させ、次のダミー領域の計測で、図10(a)で示すような中央のピークが一番高くなる様に駆動させる。
【0043】
そして、ロータ900の回転むらにより、図10(c)で示すように、内側受光部907の受光強度9gが中央受光部908の受光量9h及び外側受光量9iより格段に大きくなった場合、処理部917は、駆動部918に、光学測定部903を中心方向に修道させるような命令を出し、常に、図10(a)でしめすような状態となるように、光学測定部903の位置を制御する。
この様な調整により、試薬反応槽の中心部の光計測を可能とし。安定した発色反応の計測をおこなうことができる。
ダミー窓の配列9B又は9Cとした場合の受光量の一例を図10(a)の破線9J、9Kで示した。受光部間の間隙(dead area)がなくなることから受光部907〜909が受光できない領域が減り、より精度の高い光の照射範囲を得ることができる。
【実施例7】
【0044】
次に本発明の実施例について図11を参照して詳細に説明する。
図11で示す実施例は、円盤状のユニット(ロータ)RO上に凹部として形成されており、凹部表面に被せるようなシート状の蓋をして中心点Oを中心として、回転する。当該回転のための駆動装置は、ロータの回転方向を変えたり、回転速度を変えたりすることができることが好ましい。
201は、入力流路であり、前段の血液貯留部、又は、血球と血清を分離する遠心分離部より形成される。
202は、第1試薬反応槽であって、内部に試薬S1が封入されている。試薬S1は、凍結乾燥された固形状のものが好ましいが、使用時、注入される液体状の試薬であっても良い。
203は、第2流路であって、途中に中心方向に屈曲した屈曲部を形成すると共に、毛管力を発揮し得る口径を有する。
204は、第2試薬反応槽であり、その他の一回の試薬による発色反応をする試薬反応槽OTと光学的計測軌道を同じくするものであって、内部に第2の試薬S2が封入固定されている。当該第2の試薬S2は、S1と同様固体又は液体状が例示される。
第1試薬反応槽202と、第2試薬反応槽204の容積は、本実施例では、同一の体積を有するように設定されているが、異なっていても良く、その際、第1試薬反応槽202の容積が、第2試薬反応槽204の容積よりも大きいときは、第2試薬反応槽204と第2流路203との接続境界部に、溢れた分を収容する溢流室を設けても良い。溢流室としては、例えば図13で示す306のようなものである。
【0045】
図11で示した実施例の動作を図12を用いて詳細に説明する。
図11の入力流路201から、血清、好ましくは定量血清が第1試薬反応槽202に供給される。第1試薬反応槽202内部には、試薬S1が存在することから、定量血清が、試薬と混合する。その際、回転数を変化させたり、回転方向を変えたりして、十分な混合を行い、混合血清SMを形成する(図12(a))。
次に回転を停止させるか弱めることにより、第2流路203の毛管力が、回転によって生じる遠心力よりも強くなるため、混合血清SMが、第2流路203内に充填されようとして移動する(図12(b))。
混合血清SMが屈曲部を越えた時点で、再び、回転数をあげると、サイホン現象により、混合血清SMが、第2試薬反応槽204に流入し、充填される。
混合血清SMが第2試薬反応槽204内に充填された後、ロータの回転数に強弱を与えたり、回転方向を変えたりして、混合を促進させ、最終混合血清SMMを形成する。
この最終混合血清SMMの発色値を外部からの光学的計測により読み取る。
以上のように、毛管力、遠心力のバランスを調整して、2つの試薬反応槽内の液体の流れを調整することで、容易に複数回の試薬と検体との混合が行われることから、これを更に繋げることで、3回以上の試薬反応、蛍光物質、磁性物質結合、等の操作が可能となる。
【実施例8】
【0046】

以下本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
図13は、円盤状のポリプロピレン、PET、PP等の基材に凹部を形成して、これらを、血液注入口、流路、血球分離部等としたものである。
図13は、全体の構成を省略したが、例えば、図7、図12で示す全体が参照される。
凹部を形成した基材表面を同材よりなるシートで覆いユニットが形成される。
図13(a)において、301は、入力流路であり、中心部O近傍に形成された血液注入部と接続するものである。
302は、分離血清部であり、溢流室306と、出力流路305の接続口間の容積が、次の処理部へ移動する血清量を決定している。
303は、血球収容部であり、分離血清部よりも深い凹部で形成されている。
尚、分離壁304の高さによっては、高い場合は深く無くても良い場合もある。
304は、分離壁であり、分離された血球が分離血清部に戻らないような高さに設定されている。
本実施例では、比重の大きい血球が、ロータを回転させる際、外周方向へ移動する性質を利用しておこなわれるものであるため、分離壁が無くても、血球分離は行われることから、その際、血球収容部303をより深くするか、ジグザクの形状にして、血球が、戻らないようにするなどした構成であっても良い。
305は、出力流路であり、毛管現象を利用するていどの流径であって中心点O方向に屈曲部を形成することで、回転力によって生じる遠心力と、流路の毛管力により、流体の移動を調整する。
306は、溢流室であって、分離血清部から余分な血液が溢れた場合の収容部である。
溢流室306は、分離血清部302の中心点O方向に接続している。
307は、分配流路であり、一方を出力流路305と接続していると共に、分配流路307の側面であって、外周方向には、所定の間隔で、定量流路308a〜308dが接続する。定量流路308a〜308dは、試薬反応槽309a〜309dのそれぞれと接続し、試薬反応槽の個数に応じて、定量流路が分配流路307と、試薬反応槽間を接続する為に追加される。
310は、補綴部であり、基材と同材で形成され、中空で強固な枠組みだけであっても良く、要時、装着できるような形状であればよい。接続は接着剤の使用が例示されるが、形状によっては、単に嵌合しただけのものであってもよい。本実施例におけるロータは、一度使用が一般であることから、離脱を要しないが、場合によっては、嵌合構成を調節して離脱可能な構成を具えても良い。

311は、栓部であり、流路を遮断するための水不溶性の物質となる。
当該栓部311は、吐出部位の位置決めが精度良く行われるインクジェット方式の吐出具を利用して、水不溶性で硬化性を有する溶液をインクジェット方式で、目的となる流路面に吐出して、硬化後流路を遮断する方式が好適に利用される。
インクジェット方式は、市販のインクジェットプリンタのインクを硬化材に変更すれば足りる手法であり、本発明の実施例を形成する場合は、好適な手法である。
【0047】
次に本実施例の動作を説明する。
最初、ロータは、中心点Oを中心に回転し、入力流路301を介して採取された血液が、分離血清部302,血球収容部303に供給される。
入力流路301から供給された血液が多く、溢流室306の開口面まで血液が一杯になり、さらに増え続けようとすると、増えようとする分だけ溢流室306へ流れ込む。
回転数を増減し、血球が、分離壁304を越えて、血球収容部303に収容されるよう調整する。血球がおおよそ全部、血球収容部303に収容された後、回転数を下げる、出力流路305の毛管力により、血清が、屈曲部を越えた後、回転数を上げることで、分離血清部302の血清を、分配流路307方向へ出力する。
分離血清部302の血清は、出力流路305の開口部まできて、血清が切れると、流体の移動が停止する。
分配流路307に到達した血清は、毛管力により直前の定量流路308aから順次充填されていく。
定量流路308a〜308d及びその他の定量流路すべてに血清が充填された後、回転数を上げて、遠心力により試薬反応槽309a〜309d及びその他の定量流路に接続する試薬反応槽に定量体液を押し込む。
【0048】
ところで、試薬の項目を減らすことによって血液の必要量が少なくてすむ場合は、補綴物310を挿入して分離血清部302の容積を小さくする。(図13(b))
更に、インクジェット方式等を利用して硬化材を分配流路307の所定の位置に吐出し、硬化させて栓部311を形成することで、不要な試薬反応槽を切り離す。
栓部311の形成はインクジェット方式が、市販のプリンタなどの様に、自在な場所へ
任意の大きさの栓部を形成することを可能とすることから、好ましい手法である。
図13(b)の様な状態を形成することで、検査項目数の増減を可能とし、量産されて、固定的に形成された血液検査ユニットであっても、必要な項目の検査だけ行うことを可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0049】
微量血液の移送の簡易化を図ることができる為に、微量血液でも多項目の血液成分測定が可能な、検査装置の十分な利用が図れるようになり、特にロータタイプの分析ユニットにおいては、取り扱いの簡素化を図ることができる。
【0050】
本発明は、血液成分測定を何ら、特別な訓練をせずに、実現でき、個々の患者により使い捨てに取り扱われるユニットの量産上問題となる点を克服し、安定した計測を可能とし、血液計測分野を広げる。
少量でも、無駄が無く正確な血液計測が行うことができ、血液検査の簡素化、健常人の健康のチェックを容易にする。
本発明は、調節が困難な流路構成を有する超小型血液分析ユニットの利用範囲を広げ、分析ユニット製作の低コスト化を図り、より簡易な血液検査ユニットの提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例を示す図。
【図2】本発明の一実施例の動作を説明する為の図。
【図3】本発明の一実施例の動作を説明する為の図。
【図4】本発明の他の実施例を示す図。
【図5】本発明の他の実施例の動作を説明する図。
【図6】本発明の他の実施例を示す図。
【図7】本発明の他の実施例を示す図。
【図8】本発明の他の実施例を示す図。
【図9】本発明の他の実施例を示す図。
【図10】本発明の他の実施例の動作を説明する図。
【図11】本発明の他の実施例を示す図。
【図12】本発明の他の実施例の動作を説明する図。
【図13】本発明の他の実施例を示す図。
【符号の説明】
【0052】
01 含浸部材
02 支持部材
03 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面に表出した体液に接触させ含浸させる含浸部と前記含浸部を支持する支持部を具え、前記含浸部は、体液検査部へ、収容可能な形状を有してなる血液移送具。
【請求項2】
皮膚表面を穿刺して皮膚表面に血液を表出させる為の穿刺具、前記穿刺具により皮膚表面に表出した血液を、含浸させ、血液検査部の栽置部へ置くための血液移送具よりなる血液検査システム。
【請求項3】
前記含浸部が血液凝固防止剤を含有してなる請求項1,2に記載の血液移送具。
【請求項4】
血液移送具を置く栽置部、前記栽置部におかれた血液移送具の含浸部から、検査要素を抽出する抽出手段、前記抽出された検査要素を定量する定量部、前記定量部で定量された検査要素と試薬成分を反応させ、特定成分情報を得る検出部よりなる血液検査装置を具備する請求項2に記載の血液検査システム。
【請求項5】
血球分離後の血清を多数項目の試薬と発色反応させる試薬反応系を持つ血液試薬反応計測ユニットにおいて 必要検査項目に応じて必要血液量を供給コントロールできる供給手段を有する血液試薬反応計測ユニット。
【請求項6】
採血部位を物理的刺激を加える刺激手段、前記刺激手段により刺激された部位を穿刺する穿刺手段、前記穿刺手段により穿刺された部位に当接され、血液を含浸吸収する吸収部材、前記吸収部材から、血液を抽出し、分離処理して生体情報を計測する計測手段よりなる血液検査システム。
【請求項7】
前記物理的刺激が、振動手段、吸引手段により形成される請求項6に記載胃の血液検査システム。
【請求項8】
前記吸収部材中に穿刺部材が配置されている請求項6に記載の血液検査システム。
【請求項9】
ロータを回転させながら流体を操作して光学的に計測する血液生体計測器において 計測円周上に、標準物質を収容した標準槽を設けてなるものであって、その光路長のばらつきを、あらかじめ挿入しておいた標準物質の吸光度の計測によって計測し、寸法誤差等の光学情報の補正を行う補正手段を有する体液検査システム。
【請求項10】
前記光学情報の補正が、検量線の補正である請求項9に記載の体液検査システム。
【請求項11】
前記標準槽が、円周上の等角度間隔に複数配置されている請求項9に記載の体液検査システム。
【請求項12】
前記標準物質は、濃度値が既知である請求項9に記載の体液検査システム。
【請求項13】
血液成分による試薬反応を光学的に計測するユニットであって、同心円状に計測反応室が多数配置されている回転体構造を有し同ユニットを回転させながら、透過型で光学的に順次計測する光学計測手段を具えた血液検査システムにおいて、計測のための光路軌道上に複数の隣接するダミー窓を具え、その通過光量に基づいて光源のビーム照射位置を制御し、試薬反応槽に常に計測光を照射する血液検査システム。
【請求項14】
前記ダミー窓は、計測反応室と同一の円周上及び回転体の円周方向に垂直な位置で配置されている請求項13に記載の血液検査システム。
【請求項15】
前記複数の隣接するダミー窓の個々のダミー窓は、円周方向にずれている請求項13に記載の血液検査システム。
【請求項16】
前記ダミー窓が3以上である請求項13乃至15に記載の血液検査システム。
【請求項17】
前記ダミー窓に対応する受光部を形成した請求項13に記載の血液検査システム。
【請求項18】
前記ダミー窓に基づいて得られる光学的情報に基づいて、計測反応室と、光学計測手段の位置を調整する調整手段を更に有する請求項13に記載の血液検査システム。
【請求項19】
前記ダミー窓が、一回転体の1乃至複数配置されている請求項13に記載の血液検査システム。
【請求項20】
毛管力と遠心力により、ロータ上の体液を分離し、試薬との定量混合をおこなった後、体液成分と試薬との発色反応から、成分濃度等の情報を得る体液検査システムにおいて、
内部に第1の試薬を収容し、試料を入力する入力口と、前記第1の試薬との混合試料液を外部へ出力する出力口を具えた第1試薬反応槽と、内部に第2の試薬を収容し、前記第1試薬反応槽から供給された混合試料溶液を入力する入力口と、外部より計測可能な構成を有する第2試薬反応槽よりなる体液検査システム。
【請求項21】
前記計測が、光学的計測である請求項20に記載の体液検査システム。
【請求項22】
前記第1試薬反応槽と前記第2試薬反応槽とを接続する流路が、回転力により内部流体の移動が調整される流路である請求項20に記載の体液検査システム。
【請求項23】
前記流路、第1試薬反応槽及び第2試薬反応槽が一つのロータ上に形成されている請求項20に記載の体液検査システム。
【請求項24】
回転体上で、操作部で血球分離等を行い、血清と試薬とを反応させて、その発色反応値を計測する体液検査システムにおいて、
前記血液操作部内の容積を調整するために補綴する補綴体を具えた血液検査システム。
【請求項25】
前記補綴体は、血球分離領域で、得られる血清量を調整するためのものである請求項24に記載の血液検査システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−68384(P2006−68384A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257369(P2004−257369)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000126757)株式会社アドバンス (60)
【Fターム(参考)】