説明

体温管理システム

【課題】体温管理が容易にできる体温管理システムを提供する。
【解決手段】体温管理装置2の前を往来すると、体温管理装置2内の無接触型温度センサー12によって利用者の体温が測定される。無接触型温度センサー12にて測定された利用者の体温が、利用者の平常時のヒストグラムD上の体温と相違する場合に、体温管理装置2のスピーカ14から緊急情報が音声出力されて報知される。無接触型温度センサー12にて体温が測定可能な距離まで利用者が体温管理装置2に近づくだけで、利用者の体温を測定でき、利用者の体温を測定するたびに、測定体温が平常時の体温と相違するかどうか利用者自身が確認する必要がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば日頃の体温が気になる老人等のための体温管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の体温を管理する体温管理システムとしては、例えば、下記特許文献1に記載のように、重さを検知する感圧センサーと、温度を検知する温度センサーとのそれぞれを寝具に取り付け、感圧センサーにて重さを検知している状態で温度センサーが温度を検知するようにして利用者の就寝時の体温測定をし、利用者の体温が異常な状態であるかどうかを判断するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−157760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1にかかる従来技術によれば、感圧センサーおよび温度センサーが取り付けられた寝具にて就寝したときのみ、利用者の体温を測定することができるに過ぎないため、就寝時以外の日中等における、利用者の体温管理が容易ではない。
【0005】
そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、体温管理が容易にできる体温管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するため、請求項1にかかる本発明は、所定の距離を介して利用者の体温が測定可能な無接触型温度センサーと、この無接触型温度センサーにて測定された温度情報を受信して、利用者の体温を管理する制御部と、を備えた体温管理システムであって、前記制御部は、利用者の平常時の体温情報が予め記憶され、前記無接触型温度センサーにて測定された温度情報が前記体温情報と相違する場合に報知する、ことを特徴とする体温管理システムである。
【0007】
請求項2は、請求項1の体温管理システムにおいて、体温情報は、横軸を時間とし縦軸を利用者の時間に応じた平均体温としたヒストグラムである、ことを特徴とする。
【0008】
請求項3は、請求項1または2の体温管理システムにおいて、人感センサーを備え、制御部は、前記人感センサーにて利用者を感知した場合に、無接触型温度センサーによる体温の測定を行う、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4は、請求項3の体温管理システムにおいて、無接触型温度センサーは、周囲の温度が測定可能で、制御部は、人感センサーにて利用者を感知しない場合に、前記無接触型温度センサーにて周囲の温度を測定し、この測定した温度が異常な温度の場合に報知する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項5は、請求項1ないし4いずれかの体温管理システムにおいて、制御部は、サーバであって、このサーバは、無接触型温度センサーにて測定された温度情報が体温情報と相違する場合に、予め登録された所定の電子メールアドレスに電子メールを送信する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項6は、請求項1ないし5いずれかの体温管理システムにおいて、無接触型温度センサーは、利用者の住居に設置される、ことを特徴とする。
【0012】
請求項7は、請求項1ないし5いずれかの体温管理システムにおいて、無接触型温度センサーは、携帯電話機に設けられている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項8は、請求項1ないし7いずれかに記載の体温管理システムにおいて、無接触型温度センサーとして、赤外線温度感知カメラを用いる、ことを特徴とする。
【0014】
請求項9は、請求項1ないし8いずれかに記載の体温管理システムにおいて、無接触型温度センサーとして、携帯電話機に設けられ赤外線温度感知性能を有するカメラを用い、このカメラにて感知する赤外線温度感知性能に基づく画像を信号処理して制御部へ受信させる、ことを特徴とする。
【0015】
請求項10は、請求項1ないし9いずれかに記載の体温管理システムにおいて、制御部は、利用者に応じて設定された体温の測定方法、測定した温度情報の処理方法、報知形式および報知先に関する処理情報が記憶されている、ことを特徴とする。
【0016】
請求項11は、請求項10記載の体温管理システムにおいて、制御部の処理情報は、インターネットを介して外部からダウンロードされて記憶されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、無接触型温度センサーによって所定の距離を介して利用者の体温が測定され、この無接触型温度センサーにて測定された温度情報が、予め記憶された利用者の平常時の体温情報と相違する場合に報知されるため、無接触型温度センサーにて測定可能な所定の距離まで利用者が近づくだけで、利用者の体温を測定できるとともに、測定された体温が平常時の体温と相違するかどうか測定するたびに確認する必要がなくなるので、利用者の体温管理が容易にできる。
【0018】
また、無接触型温度センサーにて測定された体温を比較する利用者の平常時の体温情報として、横軸を時間とし縦軸を利用者の時間に応じた平均体温としたヒストグラムを用いることにより、利用者の体温管理がより正確にできる。
【0019】
さらに、人感センサーにて利用者を感知した場合に、無接触型温度センサーによる体温の測定が行われるため、無接触型温度センサーをより正確に動作させることができ、使い勝手を向上できる。
【0020】
ここで、人感センサーにて利用者を感知しない場合に、無接触型温度センサーにて周囲の温度が測定され、この測定した温度が異常な温度の場合に報知されるため、人感センサーの感知に基づく無接触型温度センサーによる利用者の体温測定がされない場合に、周囲の温度の異常を管理できるから、例えば夏場の冷房のつけ忘れに伴う脱水症状や、冬場の暖房のつけ忘れ等に基づく急激な温度低下による脳梗塞等の発生を防止できる。
【0021】
また、サーバにより、無接触型温度センサーにて測定された温度情報が体温情報と相違する場合に、予め登録された所定の電子メールアドレスに電子メールを送信することによって、例えば電子メールを受け取ることができる利用者の情報端末や、利用者以外の情報端末によって、利用者の体温が平常時と相違することを認識できるようになるため、使い勝手をより向上できる。
【0022】
さらに、無接触型温度センサーを利用者の住居に設置することにより、この無接触型温度センサーにて体温が測定可能な場所へ行くことによって、この無接触型温度センサーにて体温が測定され、利用者の体温が管理されるため、住居にて生活しながら利用者の体温が管理され、使い勝手を向上できる。
【0023】
また、無接触型温度センサーを携帯電話機に設けることにより、この携帯電話機を用いて利用者の体温が測定され管理されるため、より使い勝手を向上できる。
【0024】
そして、無接触型温度センサーとして、赤外線温度感知カメラを用いることにより、利用者の体温をより正確に測定できるため、利用者の体温管理の精度をより向上できる。
【0025】
また、無接触型温度センサーとして、携帯電話機に設けられ赤外線温度感知性能を有するカメラを用い、このカメラにて感知する赤外線温度感知性能に基づく画像を信号処理して制御部へ受信させることにより、一般に携帯電話機に設けられているカメラの代わりとして、赤外線温度感知性能を有するカメラを取り付けるとともに、このカメラにて感知する赤外線温度感知性能に基づく画像を信号処理する制御部へ変更することによって、携帯電話機による利用者の体温測定および体温管理が可能となるから、携帯電話機を用いた利用者の体温測定および体温管理がより容易にできる。
【0026】
さらに、利用者に応じて設定された体温の測定方法、測定した温度情報の処理方法、報知形式および報知先に関する処理情報を制御部に記憶させることにより、体温管理システムを利用する利用者に応じた体温測定、体温管理および報知が可能となるから、例えば特に体温変化に注意が必要な持病等を有する利用者においても、その利用者に対応させて制御部による制御を調整できるから、より使い勝手を向上できる。
【0027】
また、制御部の処理情報を、インターネットを介して外部からダウンロードして記憶させるものであるため、制御部の処理情報を利用者に応じて変更することが容易にでき、この処理情報を変更又は更新等することにより、利用者に応じた体温管理および報知が可能となるから、より使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態による体温管理システムを示す概略図である。
【図2】上記体温管理システムに用いられる体温管理装置を示す概略図である。
【図3】上記体温管理システムに用いられるモニタを示す概略図である。
【図4】上記体温管理システムの動作の概略を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態による体温管理システムに用いられる携帯電話機を示す概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の第1の実施の形態による体温管理システムについて図1ないし図4を参照して説明する。
【0030】
この体温管理システム1は、例えば持病等を有し日頃(日常)の体温の変動に特に注意が必要な老人等の利用者(被験者)のための緊急通報システムであって、図1に示すように、利用者の自宅等の住居である家屋A内に設置される体温管理装置2と、この体温管理装置2に接続されテレビジョンが受信可能な画像表示装であるモニタ3と、体温管理装置2に電話回線B等を介して接続された情報処理装置であるサーバ4とで構成されている。
【0031】
そして、体温管理装置2は、図2に示すように、家屋Aの壁面等に設置される筐体11と、この筐体11に取り付けられた無接触型温度センサー12、人感センサー13およびスピーカ14と、これら無接触型温度センサー12、人感センサー13およびスピーカ14に接続された制御部15とを備えている。具体的に、筐体11は、略長方形状の装置本体であって、例えば、この筐体11の裏面を家屋A内の壁面等に接地させて取り付けられ、家屋A内に設置された電話機Cに接続されている。また、この筐体11の表面側には、内部に無接触型温度センサー12が設置される正面視円形型のレンズ状の温度センサー部21と、この温度センサー部21の上側に位置し内部に人感センサー13が設置される円形状の開口である人感センサー部22とが設けられている。さらに、この筐体11の表面の正面視右側の下方の角部には、内部にスピーカ14が設置される2列のスリット状に形成されたスリット部23が設けられている。
【0032】
次いで、無接触型温度センサー12は、筐体11の温度センサー部21のレンズ効果によって、所定の距離、例えば1m程度の距離を介して利用者の体温が測定可能な非接触型、すなわち無接触型のバイオセンサー(熱センサー)であって、例えば0.1℃単位の温度測定が可能に構成されている。また、この無接触型温度センサー12は、体温管理装置2の筐体11の温度センサー部21の内側に内蔵されており、この体温管理装置2の筐体11の温度センサー部21の前に利用者が所定の距離に近づくことによって、この利用者の体温が非接触の状態で測定されるように構成されている。
【0033】
また、人感センサー13は、赤外線を用いた体感センサーであって、無接触型温度センサー12による体温測定が可能な距離より長い距離、例えば3mほどの感知距離を有するように構成されており、体温管理装置2の筐体11の人感センサー部22の内側に内蔵されている。さらに、この人感センサー13は、この人感センサー13の前の感知可能な領域を利用者が行き来等することによってオンするように構成されている。
【0034】
そして、スピーカ14は、体温管理装置2を利用する利用者に向けて、様々な情報を音声にて伝達および通報して報知するための音声出力手段であって、この体温管理装置2の筐体11のスリット部23の内側に内蔵されている。
【0035】
さらに、制御部15は、無接触型温度センサー12による利用者の体温検知、人感センサー13による利用者検知、およびスピーカ14からの音声出力等を制御して利用者の体温を管理するものであり、体温管理装置2の筐体11内に内蔵されて取り付けられている。具体的に、この制御部15は、利用者の平常時の体温情報が予め記憶されており、無接触型温度センサー12にて測定された温度情報(利用者の測定体温情報)を受信して、この温度情報が、予め記憶された利用者の平常時の体温情報と相違する場合に、測定した体温が平常時と異なること等の緊急情報をスピーカ14から音声出力して利用者に通報して報知するものである。
【0036】
ここで、この制御部15に予め記憶させる利用者の平常時の体温情報としては、横軸を時間(例えば1時間単位)とし、縦軸を利用者の時間に応じた平均体温(例えば1時間単位の平均体温)とした、図3のモニタ3中に示すヒストグラムDである。すなわち、この制御部15は、無接触型温度センサー12にて測定した体温が、予め記憶された利用者の平常時のヒストグラムD上の体温と比較して、所定の温度、例えば0.5℃ほど高い場合あるいは低い場合(0.5℃以上の差異がある場合)に、緊急情報をスピーカ14から音声出力する。ここで、このスピーカ14から出力される緊急情報としては、無接触型温度センサー12にて測定された体温が、平常時の体温と相違すること、例えば「体温異常を確認しましたので、体温を測り直して下さい。」の他、必要に応じて「病院に行って下さい。」等の所定の緊急音声を含めさせることができる。
【0037】
これに対し、この制御部15は、無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温(温度情報)が、予め記憶された利用者の平常時のヒストグラムD上の体温と比較して、所定の温度、例えば0.5℃ほどの温度差(差異)より小さい場合には、体温が正確に測定できたこと、例えば「測定OK。」の他、必要に応じて、異常ではないことを示す音声、例えば「異常ありません。」等の所定の音声をスピーカ14から音声出力させて利用者に報知する。
【0038】
さらに、この制御部15は、計時手段であるタイマー(図示せず)が内蔵されており、無接触型温度センサー12による利用者の体温検知が、所定時間、例えば24時間(1日)ほど測定できない場合に、その後、人感センサー13にて利用者の往来等を感知した場合において、無接触型温度センサー12による体温測定を行うよう促す音声、例えば「体温測定して下さい。」等の音声をスピーカ14から出力させて利用者に通報する。
【0039】
なお、この制御部15は、電話機Cを介して電話回線Bに接続されており、予め緊急連絡先として所定の電話番号を登録して記憶させることができ、無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、平常時のヒストグラムD上の温度より大幅、例えば1℃ほど高いあるいは低い場合(1℃以上の差異がある場合)に、予め登録した所定の電話番号に電話機Cから電話回線Bを介して電話が掛けられるように構成することもできる。このとき、この制御部15は、所定の各電話番号に電話が掛けられ、この電話番号に対応する固定電話機や携帯電話機等の電話機Fにて電話が受けられた場合には、この制御部15に予め登録して記憶させた利用者に関する情報(利用者情報)を音声信号にて電話機Fへ送信してから、この電話機Fと電話機Cとの通話を可能にして通話状態にさせる。ここで、この制御部15から音声発信される利用者情報としては、体温管理装置2の無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温に関する情報の他、例えば利用者の氏名・年齢・性別、体温管理装置2の設置場所の住所・電話番号、利用者本人が吹き込んで記憶させたオリジナルメッセージ等の利用者に関する様々な情報を含ませることができる。
【0040】
また、この制御部15は、図3に示すように、体温管理装置2に接続されたモニタ3上に、利用者の平常時のヒストグラムD情報を表示させるとともに、このヒストグラムD情報に重ねて、無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温に関する情報(温度情報)を表示できるように構成されている。このとき、この温度情報としては、図3に示すように、各測定体温を測定時間に対応させてヒストグラムD上に重ねて点表示させ、これら点表示された各測定体温を時系列順に直線で結んで折れ線グラフ状に表示させることができ、利用者の時間に応じた体温変化をより分かりやすくできる。また、この温度情報を、モニタ3の一部のみに表示させテレビジョン視聴を楽しみながら体温情報を確認できるようにすることもできる。さらに、この制御部15は、体温管理装置2の無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、ヒストグラムD上の平常時の体温に比べ、所定の温度、例えば1℃ほど高い場合あるいは低いと判断した場合(1℃以上の差異があると判断した場合)に、この体温管理装置2から電話機Cを介して電話回線Bにて緊急信号が発信されるように構成されている。
【0041】
次いで、サーバ4は、例えばコンピュータ等の制御部であって、少なくとも電子メールが送信できるようにインターネット回線Eに接続されているとともに、体温管理装置2が接続された電話機Cに電話回線Bを介して接続されている。すなわち、このサーバ4は、体温管理装置2の無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、平常時の体温に比べ所定の温度、例えば1℃ほど高い場合あるいは低いと制御部15にて判断された場合に、この体温管理装置2から発信される緊急信号が電話機Cから電話回線Bを介して送信されるように構成されている。また、このサーバ4には、各体温管理装置2に対応させて、複数、例えば5件の所定の電子メールアドレスが各体温管理装置2毎に登録されて記憶されている。
【0042】
そして、このサーバ4は、ある体温管理装置2からの緊急信号の受信に応じて、この体温管理装置2に対応させて登録されている所定の各電子メールアドレスに、その体温管理装置2の利用者の体温が、異常であることを示す内容の電子メールをインターネット回線Eや電話回線Bを介して送信し、予め登録された電子メールアドレスに対応するパーソナルコンピュータや携帯電話機等の情報端末Gに受信させる。
【0043】
ここで、これら登録されている各電子メールアドレスに送信される電子メールに記載される内容としては、その体温管理装置2の無接触型温度センサー12にて測定された利用者の体温情報の他、必要に応じ、各体温管理装置2に対応させて予め記憶させた、例えば利用者の氏名・年齢・性別、体温管理装置2の設置場所の住所・電話番号、オリジナルメッセージ等の利用者に関する様々な情報が含まれている。
【0044】
次に、上記体温管理システムの動作(体温管理方法)について、主として図4を参照して説明する。
【0045】
<事前設定>
まず、本体温管理システム1の利用者の自宅等の家屋A内の壁面等に体温管理装置2を設置する前の段階で、この体温管理装置2をパーソナルコンピュータ等の入力手段(図示せず)に接続し、この体温管理装置2の制御部15に、利用者の平常時の体温のヒストグラムD情報を入力して記憶させるとともに、必要に応じ、無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が異常な場合に電話が掛けられる緊急連絡先として所定の電話番号を登録して記憶させる。さらに、この体温管理装置2の制御部15には、無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が異常状態の場合に掛けられる電話が受けられた場合に送信される利用者情報(音声メッセージ)を、入力して記憶させる。
【0046】
一方、サーバ4には、必要に応じ、無接触型温度センサー12にて測定された利用者の体温が異常状態の場合に発信される緊急信号を受信した場合に、このサーバ4から電子メールが送信される複数、例えば5件の電子メールアドレスを各体温管理装置2毎に対応させて登録して記憶させるとともに、このサーバ4が緊急信号を受信した場合に所定の電子メールアドレスに送信される電子メールの内容を各体温管理装置2毎に設定して記憶させる。
【0047】
その後、この体温管理装置2を、利用者の自宅等の家屋A内の壁面等に設置し、この体温管理装置2の電源を入れる。また、必要に応じ、この体温管理装置2をモニタ3に接続し、この体温管理装置2の制御部15に記憶させた平常時のヒストグラムDや、無接触型温度センサー12にて測定される利用者の体温情報のそれぞれが表示されるようにセットする(ステップ1)。
【0048】
<測定動作>
この状態で、体温管理装置2の前を利用者が往来等すると、まず人感センサー13によって利用者の往来が感知される(ステップ2)。次いで、この人感センサー13による利用者の感知情報が制御部15に受信され(ステップ3)、この制御部15によって無接触型温度センサー12による利用者の体温測定が行われる(ステップ4)。
【0049】
このとき、体温管理装置2に接続されたモニタ3上には、図3に示すように、予め記憶させた利用者の平常時のヒストグラムD情報が表示されるとともに、このヒストグラムD情報の表示に重ねて、無接触型温度センサー12にて測定された体温が測定時間に対応して点表示され、これら点表示された各体温が時系列順に直線で結ばれて折れ線グラフ状に表示される。
【0050】
ここで、無接触型温度センサー12にて体温を測定できる距離まで利用者が近づいておらず、この無接触型温度センサー12による利用者の体温測定が正常にできない場合には、上記ステップ1へ戻る。
【0051】
これに対し、無接触型温度センサー12にて体温を測定できる距離まで利用者が近づいており、この無接触型温度センサー12による利用者の体温測定が正常にできた場合には、この無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、予め記憶された利用者の平常時のヒストグラムD上の体温と比較して、所定の温度、例えば0.5℃以上の差異があるか判断され(ステップ5)、この差異が、例えば0.5℃より小さい場合には、例えば「測定OK。」や、「異常ありません。」等の正常である旨の情報がスピーカ14から音声出力させて利用者に報知されてから(ステップ6)、上記ステップ1へ戻る。
【0052】
さらに、上記ステップ5において、無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、予め記憶された利用者の平常時のヒストグラムD上の体温と比較して、例えば0.5℃以上の差異がある場合には、この差異が、予め記憶した利用者の平常時のヒストグラムD上の温度より大幅、例えば1℃以上であるか判断され(ステップ7)、この差異が、例えば1℃より小さい場合には、例えば「体温異常を確認しましたので、体温を測り直して下さい。」や、「病院に行って下さい。」等の緊急情報がスピーカ14から音声出力されて利用者に報知されてから(ステップ8)、上記ステップ1へ戻る。
【0053】
なお、体温管理装置2の無接触型温度センサー12による利用者の体温測定が、所定時間、例えば24時間(1日)ほど測定できない場合には、その後、人感センサー13にて利用者の往来等を感知した場合に、例えば「体温測定して下さい。」等の無接触型温度センサー12による体温測定を行うよう促す音声がスピーカ14から出力されて利用者に通報される。
【0054】
<緊急動作>
さらに、上記ステップ7において、無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、ヒストグラムD上の体温と比較して、例えば1℃以上の大幅な差異がある場合には、体温管理装置2の制御部15に予め登録した所定の電話番号に電話機Cを介して電話が掛けられるとともに、この電話機Cから電話回線Bを介してサーバ4へ緊急信号が送信される(ステップ9)。このとき、上記ステップ8での緊急情報をスピーカ14から音声出力させて利用者に報知するようにしても良い。
【0055】
この後、サーバ4によって、緊急信号の受信を受けた体温管理装置2に対応させて登録されている所定の各電子メールアドレスに、その体温管理装置2の利用者の体温が、異常であることを示す内容の電子メールが送信され、予め登録された電子メールアドレスに対応する情報端末Gに受信される。
【0056】
<通話動作>
さらに、上記ステップ9にて予め登録された所定の各電話番号に電話が掛けられた状態で、この電話番号に対応する電話機Fにて電話を受けた場合には(ステップ10)、体温管理装置2の制御部15に予め記憶させた利用者情報が音声メッセージとして電話機Fへ送信されてから(ステップ11)、この電話機Fと、体温管理装置2に接続された電話機Cとの通話を可能にし(ステップ12)、この体温管理装置2の動作が完了する(ステップ13)。
【0057】
また、上記ステップ9にて予め登録された所定の各電話番号に電話が掛けられた状態で、これら電話番号に対応するいずれの電話機Fにおいても電話が受けられない場合には(ステップ10)、例えば5分等の所定時間が経過したかどうかが判断され(ステップ14)、その所定時間が経過した後に上記ステップ9へと戻り、予め登録された各電話番号に再度電話が掛けられる。
【0058】
<対応>
そして、上記ステップ5にて電話機Cと電話機Fとの通話が可能な状態で、体温管理装置2にて体温を管理している利用者と通話し、この利用者が病気等で救急車の出動が必要と判断した場合には、この電話機Cとの通話を切ってから、消防署Hへ電話し、体温管理装置2が設置された家屋Aへの救急車の出動を要請する。
【0059】
またこの場合に、体温管理装置2にて体温を管理している利用者と通話して、この体温管理装置2が設置された家屋Aへの訪問が必要と判断した場合には、電話機Cとの通話を切ってから、体温管理装置2が設置された利用者の家屋Aへ訪問し、必要に応じて利用者等を病院Iに連れていく等の対応をする。
【0060】
さらに、体温管理装置2の無接触型温度センサー12にて測定された体温が異常状態である際の電話があった場合や電子メールを受け取った場合において、利用者との電話による通話ができない場合等においては、体温管理装置2が設置された家屋Aへ直接訪問して、利用者の安否を確認する。
【0061】
前述のように、体温管理装置2の前を往来等することによって、この体温管理装置2に取り付けられた非接触型の無接触型温度センサー12にて利用者の体温が測定される構成とし、この無接触型温度センサー12にて測定された利用者の体温が、予め記憶された利用者の平常時のヒストグラムD上の体温と相違する場合に、この体温管理装置2のスピーカ14から、例えば「体温異常を確認しましたので、体温を測り直して下さい。」や、「病院に行って下さい。」等の緊急情報を音声出力させて利用者に報知する構成とした。この結果、無接触型温度センサー12にて体温が測定可能な距離まで利用者が体温管理装置2に近づくだけで、利用者の体温を測定できるとともに、この利用者の体温を測定するたびに、この測定された体温が平常時の体温と相違するかどうか利用者自身が確認する必要がなくなるため、利用者の体温管理が容易かつ正確にできる。
【0062】
このとき、利用者の自宅等の家屋A内の壁面等に体温管理装置2を設置する構成としたことにより、この体温管理装置2が設置された場所であって、この体温管理装置2に取り付けた無接触型温度センサー12にて体温測定か可能な距離まで近づいて行くという動作だけで、この無接触型温度センサー12にて体温が測定され、利用者の体温が体温管理装置2およびサーバ4によって管理される。したがって、この体温管理装置2を設置した家屋A等において、通常の生活を行いながら利用者の体温が管理されるため、何ら特別な行動等することなく利用者の温度管理ができ、利用者の使い勝手を向上できる。
【0063】
また、無接触型温度センサー12にて測定された体温を比較する利用者の平常時の体温情報として、横軸を時間とし縦軸を利用者の時間に応じた平均体温としたヒストグラムDを用いたことにより、利用者の時間に応じた平常時の体温に対応できるため、利用者の体温管理をより正確かつ確実にできる。また同時に、図3に示すように、無接触型温度センサー12にて測定した体温を測定時間に対応させてヒストグラムD上に重ねてモニタ3上に点表示させ、これら点表示された各測定体温を時系列順に直線で結んで折れ線グラフ状に表示させることにより、利用者の時間に応じた体温変化を画像として視覚的により分かりやすくでき、利用者が病気であること等の体調変化を早期に発見できる可能性があり、特にインフルエンザ等の急激な発熱を伴う病気については、確実に早期発見できる可能性がある。
【0064】
さらに、体温管理装置2に人感センサー12を取り付け、この体温管理装置2の前を利用者が往来等した場合に、まず人感センサー13によって利用者の往来が感知され、この人感センサー13による利用者の感知が制御部15に受信された場合に、この制御部15にて無接触型温度センサー12による利用者の体温測定が行われるように構成した。この結果、体温管理装置2に利用者が近づいた場合における無接触型温度センサー12の誤作動を防止でき、この無接触型温度センサー12をより正確かつ適切に動作させることができるため、体温管理装置2および体温管理システム1の利用者による使い勝手を向上できる。
【0065】
また、無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、ヒストグラムD上の体温と比較して、例えば1℃以上の大幅な差異がある場合に、体温管理装置2の制御部15に予め登録した所定の電話番号に電話機Cを介して電話が掛けられ、この電話機Cから電話回線Bを介してサーバ4へ緊急信号が送信され、この緊急信号の受信を受けた体温管理装置2に対応させて登録されている所定の各電子メールアドレスに、その体温管理装置2の利用者の体温が、異常であることを示す内容の電子メールが送信される構成とした。この結果、電子メールを受け取ることができる利用者の情報端末Gや、利用者以外の情報端末Gによって、利用者の体温が平常時と相違する異常状態であることを改めて確実に認識できるため、体温管理装置2および体温管理システム1の利用者および関係者の使い勝手をより向上できる。
【0066】
さらに、体温管理装置2の無接触型温度センサー12による利用者の体温測定が、所定時間、例えば24時間(1日)ほど測定できない場合において、その後、人感センサー13にて利用者の往来等を感知した場合に、無接触型温度センサー12による体温測定を行うよう促す音声がスピーカ14から出力されて利用者に通報される構成とした。この結果、体温管理装置2による体温測定を怠っている場合においても、スピーカ14からの音声による通報によって、体温管理装置2による体温測定のし忘れを毎日知ることができるので、利用者の体温測定のし忘れを防止できるとともに、利用者の使い勝手を向上できる。
【0067】
また、無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、利用者の平常時のヒストグラムD上の体温と比較して、例えば0.5℃以上の差異がある場合には、緊急情報をスピーカ14から音声出力させることとし、この差異が、利用者の平常時のヒストグラムD上の温度より大幅、例えば1℃以上の場合には、予め登録した所定の電話番号に電話機Cを介して電話が掛けられ、この電話機Cからサーバ4へ緊急信号が送信される二段構成とした。この結果、平常時のヒストグラムD上の体温と比較し利用者の測定体温が、例えば0.5℃以上1℃より小さな差異、すなわち多少の体温変動の場合においては、利用者自身で対応することとなり、利用者の測定体温が、例えば1℃以上の差異、すなわち大きな体温変動の場合においては、利用者自身のみならず、予め電話番号または電子メールアドレスを登録した者、例えば親族等による対応が可能になるから、体温管理装置2および体温管理システム1による利用者の緊急時の対応をより確実にできる。
【0068】
なお、上記第1の実施の形態では、電話機Cを介して電話回線Bにて体温管理装置2とサーバ4とを接続し、この体温管理装置2の無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、利用者の平常時のヒストグラムD上に比べ、大幅、例えば1℃以上相違する場合に、体温管理装置2の制御部15から電話機Cを介してサーバ4へ緊急信号が送信され、この緊急信号の受信に応じ、予め登録した電子メールアドレスへサーバ4から電子メールが送信される構成としたが、利用者の体温異常時のサーバ4からの電子メールの送信が不要な場合には、このサーバ4を省略してもよい。
【0069】
この場合、体温管理装置2の制御部15から、予め登録した電話番号へ電話機Cを介して電話が掛けられる構成ではなく、これら電話番号をサーバ4に記憶させ、体温管理装置2の制御部15からの緊急信号の受信に応じて、このサーバ4から電話回線Bを介して、予め登録した電話番号へ電話が掛けられる構成とすることもできる。さらに、体温管理装置2に予め記憶させる利用者の平常時のヒストグラムDをサーバ4に記憶させ、このサーバ4での制御により、電話連絡、緊急通報等の体温管理装置2の制御部15にて行う制御を行わせることもできる。
【0070】
また、利用者の自宅等の家屋A内の壁面等に体温管理装置2を設置したが、この体温管理装置2については、例えば病院等の病室等の、利用者が行き来する場所等であれば、どのような場所に設置してもよい。
【0071】
さらに、体温管理装置2の前を利用者が往来等した場合に、まず人感センサー13にて利用者の往来を感知し、この人感センサー13による利用者の感知に応じ、無接触型温度センサー12による利用者の体温測定が行われる構成としたが、無接触型温度センサー12にて測定される温度が変化した場合にのみ、この無接触型温度センサー12によって測定された温度情報が、利用者の体温情報として制御部15にて認識されるように制御等することによって、この人感センサー13を省略することもできる。
【0072】
また、体温管理装置2の人感センサー13にて利用者の往来を感知した場合に無接触型温度センサー12にて利用者の体温が正確に測定できない場合においては、体温管理装置2のスピーカ14から、例えば「ピーーッ」等のエラー音や「10秒間動かないでください。」等の音声を出力させて、利用者を無接触型温度センサー12の前の所定位置に停止するよう促し、この無接触型温度センサー12にて利用者の体温が正確に測定された後、例えば「チェックしました。」や「測定できました。」等の音声を出力させて、利用者の体温測定が正確に測定されるようにすることもできる。
【0073】
さらに、体温管理装置2の無接触型温度センサー12にて利用者の体温を正確に測定でき、この測定した体温に異常がない場合においては、体温管理装置2のスピーカ14から、例えば「ピッ」等の確認音や、「異常ありません。」等の音声を出力させたり、測定した温度を、例えば「36℃平熱です。」等の音声を出力させたりして、利用者に体温の異常がないことを知らせることもできる。
【0074】
また、体温管理装置2が接続される電話機Cや、サーバ4に予め登録する電話番号に対応した電話機Fのそれぞれとしてインターネットのプロトコルを利用したIP電話機を用いることにより、音声をデジタル化しインターネット回線Eを介してIPのパケット通信による音声通話が電話機Cと電話機Fとの間で可能となるから、インターネット回線Eのみを利用して体温管理システム1を構築することもできる。
【0075】
さらに、体温管理装置2の無接触型温度センサー12にて測定された利用者の体温が、この利用者の平常時のヒストグラムD上の体温と比較して、明らかに異常である判断できる場合等において、この体温管理装置2から掛けられる電話や、この体温管理装置2から発信される緊急信号の受信に応じてサーバ4から発信される電子メール等を安否確認用とすることによって、本体温管理システム1を利用者の安否確認用として用いることができる。
【0076】
さらに、体温管理装置2にて測定された利用者の体温情報、異常時に体温管理装置2から掛けられる電話、この体温管理装置2から発信される緊急信号の受信に応じてサーバ4から発信される電子メール等を、医師等の医療機関や在宅介護を行う者等へ送信することによって、本体温管理システム1を往診用や在宅介護用として用いることもできる。
【0077】
また、体温管理装置2の筐体11内に無接触型温度センサー12を内蔵させたが、この無接触型温度センサー12と体温管理装置2の制御部15とを、例えばブルートゥース(Bluetooth)等を用いた無線接続とし、この体温管理装置2の筐体11とは別個に無接触型温度センサー12を配置しても良い。この場合、無接触型温度センサー12にブルートゥースの送信機(図示せず)を取り付け、体温管理装置2の制御部11にブルートゥースの受信機(図示せず)を取り付けることによって、無接触型温度センサー12にて測定した体温情報データを制御部15にて容易かつ簡単な構成で無線受信できるととともに、無接触型温度センサー12を様々な場所に設置できるから、体温管理装置2の使い勝手をより向上できる。
【0078】
次に、本発明の第2の実施の形態による体温管理システムについて、図5を参照して説明する。
【0079】
この第2の実施の形態の体温管理システム1は、図1ないし図4に示す第1の実施の形態の体温管理システム1と略同様の構成を有しており、同一または対応する構成要素ないし部分には同一の符号を付してそれらについての説明を割愛する。
【0080】
具体的に、この第2の実施の形態の体温管理システム1が第1の実施の形態の体温管理システム1と異なるのは、主として、図5に示すように、無接触型温度センサー12および制御部15が携帯電話機31に設けられている点である。すなわち、この第2の実施の形態の体温管理システム1においては、この携帯電話機31が体温管理装置2であって、この携帯電話機31の正面視上側に設けられているモニタ32の下側に温度センサー部22が設けられ、この温度センサー部22の内側に無接触型温度センサー12が内蔵されている。さらに、制御部15は、携帯電話機31に内蔵された制御部(図示せず)に組み込まれている。
【0081】
すなわち、この携帯電話機31の制御部は、制御部15と同様の情報が記憶されており、この制御部15と同様に動作するように構成されている。すなわち、この携帯電話機31の制御部は、この携帯電話機31を開く動作等して通話可能な状態にした場合に、無接触型温度センサー12による利用者の体温が測定されるように構成されている。さらに、この携帯電話機31のモニタ32は、所定の操作により、この携帯電話機31の制御部に予め記憶させた利用者の平常時のヒストグラムD情報に重ねて、無接触型温度センサー12にて測定された体温が測定時間に対応して点表示され、これら点表示された各体温が時系列順に直線で結ばれて折れ線グラフ状に画像表示されるように構成されている。
【0082】
<測定動作>
携帯電話機31を開く動作等して通話可能な状態にすると、この携帯電話機31の制御部によって無接触型温度センサー12による利用者の体温測定が行われる。
【0083】
このとき、携帯電話機31のモニタ32上には、所定の操作によって、予め記憶させた利用者の平常時のヒストグラムD情報に重ねて、無接触型温度センサー12にて測定された体温が測定時間に対応して点表示され、これら点表示された各体温が時系列順に直線で結ばれて折れ線グラフ状に表示される。
【0084】
ここで、無接触型温度センサー12にて体温を正常に測定できなかった場合には、その内容を示す画像が携帯電話機31のモニタ32上に表示されて利用者に報知され、再度、携帯電話機31を通話可能な状態に操作して、無接触型温度センサー12による体温測定を行う。
【0085】
これに対し、無接触型温度センサー12による体温測定が正常にできた場合であって、この無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、予め記憶された利用者の平常時のヒストグラムD上の体温と比較して、所定の温度、例えば0.5℃より小さい場合には、正常である旨の内容の画像が携帯電話機31のモニタ32上に表示されて利用者に報知される。
【0086】
さらに、無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、予め記憶された利用者の平常時のヒストグラムD上の体温と比較して、例えば0.5℃以上の差異がある場合であって、この差異が、例えば1℃より小さい場合には、緊急情報を示す画像が携帯電話機31のモニタ32上に表示されて利用者に報知される。
【0087】
<緊急動作>
また、無接触型温度センサー12にて測定した利用者の体温が、ヒストグラムD上の体温と比較して、例えば1℃以上の大幅な差異がある場合には、携帯電話機31の制御部に予め登録した所定の電話番号に電話が掛けられて報知されるとともに、この携帯電話機31から電話回線Bを介してサーバ4へ緊急信号が送信される。この場合、この携帯電話機31のモニタ32上に、無接触型温度センサー12にて測定された体温が異常状態である旨の異常情報を示す画像を表示させて利用者に報知することもできる。
【0088】
この後、サーバ4によって、緊急信号の受信を受けた携帯電話機31に対応させて登録されている所定の各電子メールアドレスに、その携帯電話機31の利用者の体温が、異常であることを示す内容の電子メールが送信されて報知される。
【0089】
<通話動作>
さらに、予め登録された所定の各電話番号に携帯電話機31から電話が掛けられた状態で、この電話を電話機Fにて受けた場合には、携帯電話機31の制御部に予め記憶させた利用者情報が音声メッセージとして電話機Fへ送信されてから、この電話機Fと携帯電話機31との通話を可能にする。
【0090】
前述のように、携帯電話機31に無接触型温度センサー12を設け、この携帯電話機31にて電話をするたびに、利用者の体温が測定されて管理され、所定の操作をすることによって、この携帯電話機31のモニタ32上に、予め記憶させた利用者の平常時のヒストグラムD情報に重ねて、無接触型温度センサー12にて測定された体温が測定時間に対応して点表示され、これら点表示された各体温が時系列順に直線で結ばれて折れ線グラフ状に画像表示される構成とした。この結果、携帯電話機31にて電話を行うたびに、利用者の体温管理ができ、無接触型温度センサー12にて測定された体温を携帯電話機31のモニタ32にて確認することができる。よって、無接触型温度センサー12および制御部15が設けられた体温管理装置2を別個設置等することなく、利用者の体温管理ができるため、体温管理システム1の使い勝手および利用し易さをより向上できる。
【0091】
なお、上記第2の実施の形態では、人感センサー13が取り付けられていない携帯電話機31について説明したが、この携帯電話機31に人感センサー13を取り付け、この人感センサー13にて感知できる距離まで利用者が近づいた場合等に、無接触型温度センサー12にて利用者の体温を測定するように構成することもできる。また、携帯電話機31を開く動作等して通話可能な状態にした場合に、無接触型温度センサー12にて利用者の体温が測定される構成としたが、その他、携帯電話機31について所定の動作をした場合や所定の操作をした場合等に、無接触型温度センサー12による利用者の体温が測定される構成とすることもできる。
【0092】
また、無接触型温度センサー12にて体温を測定できなかった場合、正常に測定できた場合、緊急状態または異常状態である場合などの、この無接触型温度センサー12による体温測定の結果情報について、携帯電話機31のモニタ32上に画像として表示させて利用者に報知する構成としたが、これら無接触型温度センサー12による体温測定の結果情報を、携帯電話機31のスピーカ(図示せず)から音声出力させて利用者に報知させる構成とすることもできる。
【0093】
さらに、体温を測定するための無接触型温度センサー12を携帯電話機31に設けたが、この無接触型温度センサー12として、一般に携帯電話機31に予め設けられているカメラ(図示せず)を用い、このカメラを、例えばCCDイメージセンサやC−MOSイメージセンサを用いたカメラ等の赤外線温度感知性能を有する赤外線温度感知カメラとし、この赤外線温度管理カメラに可視光を遮断するフィルタを取り付け、この赤外線温度感知カメラにて感知する赤外線温度感知性能に基づく画像を信号処理して制御部へ受信させる構成とすることもできる。この場合、携帯電話機31に予め設けられているカメラを、赤外線温度感知カメラに変えて無接触型温度センサー12として用いることにより、携帯電話機31による利用者の体温管理が可能となるから、携帯電話機31の構造等を特に変更等せず、この携帯電話機31の制御部による制御を調整するだけで対応できるため、携帯電話機31を用いた利用者の体温測定および体温管理をより簡単な構成で容易に実施できる。
【0094】
また、携帯電話機31の制御部に、この携帯電話機31にて体温管理する利用者に応じた通常時の体温データと、この利用者に最適化された体温測定方法、測定された体温データの処理方法(プログラム)、通報方式および通報先等の処理情報を、インターネット回線E等の通信回線を介して外部からダウンロードして記憶させることもできる。この場合、特に、利用者の病気を診察して管理する医師等によって、その利用者の持病や病状等を考慮した処理情報に作成することによって、その利用者に最適な処理情報として利用でき、より的確かつ正確な体温管理が可能となるとともに、例えば、特に体温変化に注意が必要な持病等を有する利用者においても、その利用者に対応した処理情報を作成して対応できるから、より使い勝手を向上できる。また、処理情報を携帯電話機31の制御部にダウンロードするサービスを有料とすることによって、携帯電話機31にて利用者の体温管理する体温管理システムの利用を無料にすることができる。また、インターネット回線Eを介して処理情報をダウンロードして携帯電話機31の制御部に記憶させるため、この処理情報を定期的に更新等し、この定期的に更新された処理情報を定期的にダウンロードして携帯電話機31の制御部に記憶させることができるから、この処理情報を利用者に対応させて容易に変更でき、例えば利用者の病気等の回復に対応させた体温管理および報知が可能となり、より使い勝手を向上できる。
【0095】
なお、携帯電話機31にブルートゥースの受信機(図示せず)を取り付け、この携帯電話機31とは別個に無接触型温度センサー12を設け、この無接触型温度センサー12にブルートゥースの送信機(図示せず)を取り付けて、例えば家屋A内の壁面等に設置し、この無接触型温度センサー12にて測定される利用者の体温情報をブルートゥースによる無線回線にて携帯電話機31の制御部にて受信し、この携帯電話機31のモニタ32等にて利用者の体温を管理できる構成とすることもできる。この場合、無接触型温度センサー12を設置した家屋Aにて生活しながら携帯電話機31を用いて体温管理でき、特に別個の体温管理装置2等を設けて家屋A内に設置等する必要が無く、また携帯電話機31に無接触型温度センサー12を内蔵させる必要も無いため、体温管理システム1の利用をより容易にできる。
【0096】
次に、本発明の第3の実施の形態による体温管理システムについて説明する。
【0097】
この第3の実施の形態の体温管理システム1は、図1ないし図4に示す第1の実施の形態の体温管理システム1と略同様の構成を有しており、同一または対応する構成要素ないし部分には同一の符号を付してそれらについての説明を割愛する。
【0098】
具体的に、この第3の実施の形態の体温管理システム1が第1の実施の形態の体温管理システム1と異なるのは、主として、人感センサー13にて利用者が感知されない場合に、無接触型温度センサー12によって、体温管理装置2が設置されている周囲の温度、例えば室温等の生活環境温度を測定する点である。すなわち、この第3の実施の形態の体温管理システム1においては、無接触型温度センサー12が、例えば室温等の周囲の温度の測定が可能な室温センサーとして兼用できるように構成されている。そして、この無接触型温度センサー12は、人感センサー13にて利用者を感知した場合を除くすべての時間において、体温管理装置2が設置されている部屋の気温を測定するように構成されている。
【0099】
具体的に、この体温管理装置2の制御部は、制御部15と同様の情報が記憶されており、この制御部15と同様に動作するように構成されているとともに、この体温管理装置2が設置される地域の季節に応じた一日の時間的な変化に対応した平均的な気温情報が予め記憶されており、この予め記憶された気温情報と、測定した室温情報とを比較し、この測定した室温が、所定温度以上の開きがある異常な温度となる場合に、体温管理装置2の制御部に予め登録した所定の電話番号に電話機Cを介して電話が掛けられるとともに、この電話機Cから電話回線Bを介してサーバ4へ緊急信号が送信されて報知されるように構成されている。
【0100】
ここで、この体温管理装置2の制御部による制御としては、比較的気温が高くなる夏場(例えば5月〜10月)においては、例えば30℃等の気温情報が記憶されており、無接触型温度センサー12にて測定された室温が30℃を上回る場合に異常温度と判断し、所定の電話番号に電話を掛けるとともにサーバ4へ緊急信号を送信する。また、この制御部による制御としては、比較的気温が低くなる冬場(例えば11月〜4月)においては、例えば5℃等の気温情報が記憶されており、無接触型温度センサー12にて測定された室温が5℃を下回る場合に異常温度と判断し、所定の電話番号に電話を掛けるとともにサーバ4へ緊急信号を送信する。
【0101】
特に、この無接触型温度センサー12にて測定される室温情報については、異常温度と判断されてサーバ4へ送信された後、1時間当たりの平均気温が時間軸として記録されていき、この室温情報の時間的な変化に基づいて利用者の生活状況を把握したり、異常温度のまま生活していないかどうか等を確認する。特に、人感センサー13にて利用者を感知した前後の時間において、無接触型温度センサー12にて測定した室温が異常温度の場合においては、利用者が異常温度下で生活していると判断して緊急通報される。
【0102】
<測定動作>
体温管理装置2を設置する地域の季節に応じた一日の時間的な変化に対応した平均的な気温情報を、この体温管理装置2の制御部に記憶させた後、この体温管理装置2の電源をオンし、この体温管理装置2の人感センサー13にて利用者の往来が感知されない場合においては、制御部による制御によって無接触型温度センサー12にて周囲の温度、すなわち室温の測定が一定の時間間隔で測定されていく。
【0103】
この状態で、体温管理装置2の前を利用者が往来等することによって、人感センサー13にて利用者の往来が感知され、制御部の制御によって無接触型温度センサー12にて利用者の体温測定が行われる。
【0104】
このとき、この無接触型温度センサー12による利用者の体温測定については、この無接触型温度センサー12にて測定された温度が、例えば5℃等の一定温度以上の温度上昇変化が生じた場合に、利用者の体温として認識されて測定される。これに対し、この無接触型温度センサー12による室温測定については、この無接触型温度センサー12にて測定された温度が、例えば5℃等の一定温度以上の温度下降変化が生じた場合に、無接触型温度センサー12にて体温を測定できる位置から利用者が離れたとし、室温として認識されて測定される。
【0105】
前述のように、体温管理装置2の人感センサー13にて利用者の感知がない場合に、この体温管理装置2の無接触型温度センサー12にて室温等の周囲の温度を測定し、この測定した周囲の温度が異常温度の場合に、所定の報知動作がされるように構成したことにより、この人感センサー13の感知に基づく無接触型温度センサー12による利用者の体温測定がされない場合において、室温等の周囲の温度の異常を管理できる。
【0106】
このため、利用者の体温を管理できることに加え、利用者が高齢者の場合において、気温の変化を感じる力が鈍くなるといった問題に対し、体温管理装置2の無接触型温度センサー12にて室温等の周囲の温度の変化を管理することによって、例えば夏場のクーラー等の冷房装置のつけ忘れに伴う脱水症状や、冬場の暖房装置のつけ忘れ等に基づく急激な温度低下による脳梗塞等の発生を的確に防止できるため、生命が危険な状態での高齢者の生活を的確に把握して対応できる。
【0107】
この場合に、この無接触型温度センサー12にて測定される周囲の温度を時間軸で記録して管理することによって、この周囲の温度の時間に伴う変化から、例えば外出や就寝等の利用者の生活状況を把握することが可能になるとともに、利用者が異常温度下で生活していなかどうか等の確認が可能となり、この無接触型温度センサー12にて測定される周囲の温度が異常温度となった場合においては、所定の通報動作がされるように制御することによって、この異常温度信号を安否信号として使用できる。
【0108】
また、人感センサー13にて利用者の往来を感知した場合に、この利用者の体温を測定する無接触型温度センサー12を用いて室温等の周囲の温度を測定する構成としたことにより、この周囲の温度を測定するための別個の温度センサー等を新たに体温管理装置2に接続等する必要がないため、構成を複雑にすることなく、利用者の室温管理を行うことができる。
【0109】
なお、体温管理装置2の無接触型温度センサー12にて測定される周囲の温度の出力方法としては、一時間当たりの平均温度を算出し、この平均温度を時間軸で出力させたヒストグラムや、例えば2011年2月3日15時の平均気温が18度の場合に「201102031518」等のシリアルデータを出力させてサーバ4に記憶させて制御等することによって、利用者の生活環境を把握し管理することもできる。
【0110】
また、無接触型温度センサー12にて測定した周囲の温度が異常温度の場合に、体温管理装置2の制御部からサーバ4に緊急信号が送信された際にのみ、この無接触型温度センサー12にて測定された周囲の温度情報が送信されて取り出すことができる構成とすることもできる。また、無接触型温度センサー12とは別に、周囲の温度を測定するための温度センサーを設けることもできる。
【0111】
さらに、例えば10秒等の所定時間毎に無接触型温度センサー12にて周囲の温度を測定し、この無接触型温度センサー12にて測定された温度が、例えば5℃程度急激に上昇した場合に、利用者が無接触型温度センサー12の前を往来したと判断し、この急激に上昇した際の温度を利用者の体温として制御することによって、この無接触型温度センサー12にて利用者の往来を検知して利用者の体温を測定できるため、人感センサー13を省略することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 体温管理システム
2 体温管理装置
3 モニタ
4 サーバ
11 筐体
12 無接触型温度センサー
13 人感センサー
14 スピーカ
15 制御部
21 温度センサー部
22 人感センサー部
23 スリット部
31 携帯電話機(体温管理装置)
32 モニタ
A 家屋
B 電話回線
C 電話機
D ヒストグラム
E インターネット回線
F 電話機
G 情報端末
H 消防署
I 病院

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の距離を介して利用者の体温が測定可能な無接触型温度センサーと、
この無接触型温度センサーにて測定された温度情報を受信して、利用者の体温を管理する制御部と、を備えた体温管理システムであって、
前記制御部は、利用者の平常時の体温情報が予め記憶され、前記無接触型温度センサーにて測定された温度情報が前記体温情報と相違する場合に報知する、ことを特徴とする体温管理システム。
【請求項2】
体温情報は、横軸を時間とし縦軸を利用者の時間に応じた平均体温としたヒストグラムである、ことを特徴とする請求項1記載の体温管理システム。
【請求項3】
人感センサーを備え、
制御部は、前記人感センサーにて利用者を感知した場合に、無接触型温度センサーによる体温の測定を行う、ことを特徴とする請求項1または2記載の体温管理システム。
【請求項4】
無接触型温度センサーは、周囲の温度が測定可能で、
制御部は、人感センサーにて利用者を感知しない場合に、前記無接触型温度センサーにて周囲の温度を測定し、この測定した温度が異常な温度の場合に報知する、ことを特徴とする請求項3記載の体温管理システム。
【請求項5】
制御部は、サーバであって、
このサーバは、無接触型温度センサーにて測定された温度情報が体温情報と相違する場合に、予め登録された所定の電子メールアドレスに電子メールを送信する、ことを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の体温管理システム。
【請求項6】
無接触型温度センサーは、利用者の住居に設置される、ことを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の体温管理システム。
【請求項7】
無接触型温度センサーは、携帯電話機に設けられている、ことを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の体温管理システム。
【請求項8】
無接触型温度センサーとして、赤外線温度感知カメラを用いる、ことを特徴とする請求項1ないし7いずれかに記載の体温管理システム。
【請求項9】
無接触型温度センサーとして、携帯電話機に設けられ赤外線温度感知性能を有するカメラを用い、このカメラにて感知する赤外線温度感知性能に基づく画像を信号処理して制御部へ受信させる、ことを特徴とする請求項1ないし8いずれかに記載の体温管理システム。
【請求項10】
制御部は、利用者に応じて設定された体温の測定方法、測定した温度情報の処理方法、報知形式および報知先に関する処理情報が記憶されている、ことを特徴とする請求項1ないし9いずれかに記載の体温管理システム。
【請求項11】
制御部の処理情報は、インターネットを介して外部からダウンロードされて記憶されている、ことを特徴とする請求項10記載の体温管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−177500(P2011−177500A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23502(P2011−23502)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(509152415)株式会社キャスコム (4)
【Fターム(参考)】