説明

体細胞変異を利用した骨髄異形成症候群(myelodysplasticsyndromes;MDS)の検出

【課題】遺伝子多型による骨髄異形成症候群(MDS)検出のための検査方法、及び検出に用いるヌクレオチドの提供。
【解決手段】以下の20種の変異の核酸と検出方法:(1)SF3B1_E622D、(2)SF3B1_E622D、(3)SF3B1_H662D、(4)SF3B1_H662Q、(5)SF3B1_H662Q、(6)SF3B1_K666E、(7)SF3B1_K666N、(8)SF3B1_K666N、(9)SF3B1_K666T、(10)SF3B1_K666R、(11)SF3B1_K700E、(12)SF3B1_R625C、(13)SF3B1_R625L、(14)SRSF2_P95H、(15)SRSF2_P95L、(16)SRSF2_P95R、(17)U2AF35_Q157R、(18)U2AF35_Q157P、(19)U2AF35_S34F、(20)U2AF35_S34Y。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TaqMan法を使用したデジタルアレイ測定によるMDSに影響する体細胞変異の探索に関する。
【背景技術】
【0002】
骨髄異型性症候群(MDS:Myelodysplastic Syndrome)とは、造血不全を伴う腫瘍性疾患である(非特許文献1を参照)。現在の治療法は化学療法、造血幹細胞移植、輸血などの支持療法などがあるが5年生存率は亜型により30%〜10%と予後不良である。臨床所見としては徐々に血液細胞数の減少がみられるため、他の原因、例えば薬剤や慢性疾患に伴う貧血との鑑別が難しい。現時点でも特異的な客観的診断方法がなく、診断基準は末梢血や骨髄検体の顕微鏡による形態診断しかないため、典型的な形態異常が伴わない場合は診断が難しく確定診断に時間がかかる場合が多い(非特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Corey, S.J. et al. Nat Rev Cancer 7, 118-129 (2007)
【非特許文献2】Ma, X., Does et al. Cancer 109, 1536-1542 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、遺伝子多型を利用して骨髄異形成症候群(MDS)を検出するための検査方法、及び骨髄異形成症候群(MDS)を検出するためのヌクレオチドの提供を目的とする。具体的には、TaqMan法を使用したデジタルアレイ測定により、遺伝子多型を利用して骨髄異形成症候群(MDS)を検出するための検査方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するため、TaqMan法を使用したデジタルアレイ測定によるMDSに影響する体細胞変異の探索を行った。すなわち、TaqMan法の特異的プローブ及びプライマーとデジタルアレイを利用することによって、効率的に変異核酸を見出せると考え、実際に、TaqMan法の特異的プローブを用いてデジタルカウントを行ったところ、変異なし核酸と変異核酸を区別することに成功し、骨髄異形成症候群(MDS)に関連する20個の遺伝子多型を見出した。本発明者らは、該変異を特定し、骨髄異形成症候群(MDS)の検出するための検査方法、及び該検査方法に用いるプライマー及びプローブを作製し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 以下の(1)〜(20)の変異核酸を検出することを含む、骨髄異形成症候群(MDS)を検出する方法:
(1) SF3B1_E622Dにおける変異核酸(Chr2:198267491, G>T)、(2) SF3B1_E622Dにおける変異核酸(Chr2:198267491, G>C)、(3) SF3B1_H662Dにおける変異核酸(Chr2:198267373, C>G)、(4) SF3B1_H662Qにおける変異核酸(Chr2:198267371, C>A)、(5) SF3B1_H662Qにおける変異核酸(Chr2:198267371, C>G)、(6) SF3B1_K666Eにおける変異核酸(Chr2:198267361, A>G)、(7) SF3B1_K666Nにおける変異核酸(Chr2:198267359, G>T)、(8) SF3B1_K666Nにおける変異核酸(Chr2:198267359, G>C)、(9) SF3B1_K666Tにおける変異核酸(Chr2:198267360, A>C)、(10) SF3B1_K666Rにおける変異核酸(Chr2:198267360, A>G)、(11) SF3B1_K700Eにおける変異核酸(Chr2:198266834, A>G)、(12) SF3B1_R625Cにおける変異核酸(Chr2:198267484, C>T)、(13) SF3B1_R625Lにおける変異核酸(Chr2:198267483, G>T)、(14) SRSF2_P95Hにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>A)、(15) SRSF2_P95Lにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>T)、(16) SRSF2_P95Rにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>G)、(17) U2AF35_Q157Rにおける変異核酸(Chr21:44514777, A>G)、(18) U2AF35_Q157Pにおける変異核酸(Chr21:44514777, A>C)、(19) U2AF35_S34Fにおける変異核酸(Chr21:44524456, C>T)、(20) U2AF35_S34Yにおける変異核酸(Chr21:44524456, C>A)。
[2] TaqMan法による特異的プローブ又はプライマー並びにデジタルアレイを用いる、[1]の方法。
[3] 被験体における骨髄異形成症候群(MDS)に罹患するリスクの予測である、[1]又は[2]の方法。
[4] [1]〜[3]のいずれかの方法に使用するための、配列番号33〜112に示されるプライマー又はプローブ。
【発明の効果】
【0007】
本発明のプライマーを用いることにより、骨髄異形成症候群(MDS)を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】骨髄異形成症候群(MDS)の発症に関連した、U2AF35遺伝子、SRSF2遺伝子及びSF3B1遺伝子を含む遺伝子における変異部位を示す図である。
【図2】骨髄異形成症候群(MDS)及び類縁疾患におけるU2AF35、SRSF2、SF3B1、ZRSR2、SF3A1、PRPF40B、U2AF65及びSF1遺伝子の変異の有無の割合を示す図である。Nは症例数を示す。また、各記号の意味は以下のとおりである。MDS without RS:鉄芽球を伴なわない骨髄異型性症候群RARS/RCMD-RS:鉄芽球を伴う不応性貧血CMML:慢性骨髄単球性白血病AML/MDS:骨髄異型性症候群由来の急性骨髄性白血病de novo AML:原発性 急性骨髄性白血病MPN: 骨髄増殖性腫瘍
【図3】骨髄異形成症候群(MDS)及び類縁疾患における、U2AF35、SRSF2、SF3B1、ZRSR2、SF3A1、PRPF40B、U2AF65及びSF1の遺伝子別に見た変異の見られた症例数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、骨髄異形成症候群(MDS)に関連する遺伝子における体細胞変異である遺伝子変異を検出し骨髄異形成症候群(MDS)を検出する。骨髄異形成症候群(MDS)に関連する遺伝子における体細胞変異である遺伝子変異とは、骨髄異形成症候群(MDS)患者において特異的に認められる遺伝子変異(遺伝子多型)をいう。また、骨髄異形成症候群(MDS)の検出とは、ある被験体が骨髄異形成症候群(MDS)に罹患しているかどうかの検出をいう。本発明は骨髄異形成症候群(MDS)検出のための、遺伝子変異を検出する検査方法である。該検出の結果に基づいて、医師等が前記被験体が骨髄異形成症候群(MDS)に罹患しているかを診断することができる。すなわち、後述の体細胞変異である遺伝子変異を有している被験体は骨髄異形成症候群(MDS)に罹患していると評価することができる。また、臨床所見では、骨髄異形成症候群(MDS)と薬剤や慢性疾患に伴う貧血との鑑別が難しいが、本発明の方法により、骨髄異形成症候群(MDS)と薬剤や慢性疾患に伴う貧血との鑑別が可能になる。さらに、本発明の方法により、被験体が骨髄異形成症候群(MDS)に罹患するリスクがあるかどうかを評価又は予測することができる。すなわち、後述の体細胞変異である遺伝子変異を有している被験体は骨髄異形成症候群(MDS)に罹患するリスクが高いと評価することができる。該予測には、罹患するリスクの程度も含む。被験体における変異核酸が存在する位置、すなわち、遺伝子多型の位置の塩基の種類により、骨髄異形成症候群(MDS)患者を特定することができる。
【0010】
さらに、骨髄異形成症候群(MDS)には、類縁疾患が含まれる。図2に示すMDS without RS、RARS/RCMD-RSは骨髄異形成症候群(MDS)といわれるが、本願発明においては、CMML(慢性骨髄単球性白血病)も検出の対象に含まれる。すなわち、本発明は、骨髄異形成症候群(MDS)及びその類縁疾患の検出も目的とする。
【0011】
本発明においては、例えば、骨髄異形成症候群(MDS)に特異的な20個の体細胞変異に対して、遺伝子多型(一塩基多型)を検出し、あるいは分析することができる、TaqMan法による特異的プローブ又はプライマーを設計し、その変異核酸(遺伝子多型)をデジタルアレイで測定すればよい。本発明の方法により、体外診断薬として使用可能な感度、特異度を満たすことをできる。本発明を体外診断薬として用いる最良の形体は実施例に示すように、これらのTaqMan法による特異的プローブ又はプライマーを含むデジタルアレイで測定することである。
【0012】
この探索は、例えば、骨髄異形成症候群(MDS)に影響する変異核酸のオリゴヌクレオチドを合成し、その変異核酸以外の物質(例えば、変異なし核酸など)を対照として、TaqMan法による特異的プローブ又はプライマーを使用して、その変異核酸を選択できるようにデジタルアレイで測定すれば良い。以下、その変異核酸を選択するために必要な手法について説明する。
【0013】
TaqMan probeによる変異核酸の認識
TaqMan法による特異的プローブ又はプライマーを使用して変異核酸を検出する。具体的な変異核酸を検出するためのオリゴヌクレオチドの設計及び合成は当技術分野で公知の方法で行うことができる。変異部位に特異的なFAM及びVICのTaqManプローブをアレル毎に設計することにより変異核酸の検出が可能である。
【0014】
変異なし核酸
変異なし核酸、すなわち野性型核酸は、骨髄異形成症候群(MDS)でない細胞株から当技術分野で公知の方法(フェノール・クロロホルム法など)又は市販キットを用いて抽出して得ることができる。又は変異なし核酸のオリゴヌクレオチドを合成しても良い。
【0015】
デジタルアレイ測定
変異核酸のデジタルアレイ測定は以下のように行う。Digital Array(Fluidigm, San Diego, CA, USA)にサンプルをアプライした後、BioMark IFC controller MX(Fluidigm)を使用して、Digital Arrayの集積流体回路(IFC: Integrated Fluidic Circuit)チップ内にサンプルを自動充填させる。Fluidigm FC1 Cycler(Fluidigm)でPCR反応を行い、Fluidigm EP1 Leader(Fluidigm)で測定を行う。各サンプル中の変異核酸オリゴヌクレオチドのポジティブ(蛍光シグナル陽性)なチャンバー数をBioMark Digital PCR Analysis Software(Fluidigm)でデジタルカウントする。このデジタルアレイ測定の詳細について、http://www.fluidigm.com/ep1-system.htmlで公開されている製品情報を参照されたい。
【0016】
また、変異核酸オリゴヌクレオチドは、上述した以外にも、当業者に公知のあらゆる方法によって測定することができる。そのような方法としては、変異核酸オリゴヌクレオチドに特異的なprimerを用いる方法、制限断片長多型(RFLP)を利用する方法、直接配列決定法、変性勾配ゲル電気泳動法(DGGE)、ミスマッチ部位の化学的切断を利用した方法(CCM)、マイクロアレイ、並列型シーケンサーなどを用いることができる。種々の方法の中でも、本骨髄異形成症候群(MDS)に影響する体細胞変異の探索においては、簡便かつ迅速に微量の変異核酸を正確に測定可能なデジタルアレイを使用することが好ましい。本発明は、デジタルアレイによるカウント数から変異核酸の存在を明らかにする方法を含み、この方法は以下のように行う。(i)(イ)変異なし核酸のカウント数と、(ロ)変異核酸のカウント数を比較することで変異核酸の存在を明らかにする。 (ii)(イ)と(ロ)の比較は、デジタルアレイの解析ソフトを用いて行う。
【0017】
上記方法により明らかにした変異核酸、即ち、この変異核酸の存在によりMDSを発症する部位を、TaqMan法の特異的プローブ又はプライマーを充填したデジタルアレイで測定することで、体外診断薬として使用可能な感度、特異度を満たすことができる。
【0018】
本発明において、デジタルアレイで測定すべきMDSに存在する20個の変異核酸としては、以下のものが挙げられる。すなわち、以下のSF3B1遺伝子、SRSF2遺伝子及びU2AF35遺伝子中のアミノ酸変異をもたらす変異核酸である。以下において、例えば、SF3B1_E622Dは、SF3B1タンパク質の622番目のアミノ酸が野性型のE(グルタミン酸)に対してD(アスパラギン酸に変異していることを示し、Chr2:198267491, G>Tは対応する塩基配列がGからTに変異していることを示す。
(1) SF3B1_E622Dにおける変異核酸(Chr2:198267491, G>T)、(2) SF3B1_E622Dにおける変異核酸(Chr2:198267491, G>C)、(3) SF3B1_H662Dにおける変異核酸(Chr2:198267373, C>G)、(4) SF3B1_H662Qにおける変異核酸(Chr2:198267371, C>A)、(5) SF3B1_H662Qにおける変異核酸(Chr2:198267371, C>G)、(6) SF3B1_K666Eにおける変異核酸(Chr2:198267361, A>G)、(7) SF3B1_K666Nにおける変異核酸(Chr2:198267359, G>T)、(8) SF3B1_K666Nにおける変異核酸(Chr2:198267359, G>C)、(9) SF3B1_K666Tにおける変異核酸(Chr2:198267360, A>C)、(10) SF3B1_K666Rにおける変異核酸(Chr2:198267360, A>G)、(11) SF3B1_K700Eにおける変異核酸(Chr2:198266834, A>G)、(12) SF3B1_R625Cにおける変異核酸(Chr2:198267484, C>T)、(13) SF3B1_R625Lにおける変異核酸(Chr2:198267483, G>T)、(14) SRSF2_P95Hにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>A)、(15) SRSF2_P95Lにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>T)、(16) SRSF2_P95Rにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>G)、(17) U2AF35_Q157Rにおける変異核酸(Chr21:44514777, A>G)、(18) U2AF35_Q157Pにおける変異核酸(Chr21:44514777, A>C)、(19) U2AF35_S34Fにおける変異核酸(Chr21:44524456, C>T)、(20) U2AF35_S34Yにおける変異核酸(Chr21:44524456, C>A)。
また、図1にそれぞれ上記(1)〜(20)の変異核酸の遺伝子中の位置を示す。
【0019】
本発明は、(イ)変異なし核酸のカウント数と、(ロ)変異核酸オリゴヌクレオチドのカウント数を比較することで、変異核酸の存在を明らかにする方法も包含する。
【0020】
また、ZRSR2、SF3A1、PRPF40B、U2AF65及びSF1遺伝子も骨髄異形成症候群(MDS)を罹患している被験体において、変異が認められ、これらの変異も骨髄異形成症候群(MDS)の検出に用いることができる。これらの遺伝子の変異部位は、図1に示す。
【0021】
さらに、上記の遺伝子の変異と公知の骨髄異形成症候群(MDS)における変異を組合せて検出してもよい。この組合せにより、より高精度で骨髄異形成症候群(MDS)を検出することができる。そのような遺伝子として、TET2、P53、CBL、NPM1、EZH2、IDH1、IDH2、cMPL、NRAS、KRAS、BRAF、JAK2、ASXL1、ETV6、RUNX1、FLT3等が挙げられる、これの遺伝子については、Rafael Bejar et al., N Engl J Med 2011; 364:2496-2506June 30, 2011等に記載されている。
【0022】
上記の配列情報に基づいて、骨髄異形成症候群(MDS)を検出するためのプローブやプライマーを適宜設計することができる。
【0023】
上記遺伝子の一塩基多型部位を含む塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNA断片からなるオリゴヌクレオチドは遺伝子多型を検出するためのプローブとして利用できる。また、上記遺伝子多型部位の近傍あるいは離れた部位の塩基配列を、遺伝子多型部位を含む塩基配列を増幅するためのプライマーとして用いることができる。この際、多型部位の3'側および5'側に存在する2種類の配列をプライマー対として用いることができる。多型の検出に用いるオリゴヌクレオチドを構成する塩基の数は5〜50、好ましくは10〜30、さらに好ましくは15〜25であり、上記遺伝子の塩基配列の多型部位を含む連続した塩基配列からなる。また、上記遺伝子の塩基配列の多型部位を含む連続した塩基配列において、数個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1個又は2個、特に好ましくは1個のミスマッチを有するオリゴヌクレオチドも用いることができる。多型の検出はプローブを用いたハイブリダイゼーションアッセイにより行うことができる。本発明のオリゴヌクレオチドは化学合成により作製することもできるし、上記プライマーを用いてPCRにより遺伝子を増幅させた増幅産物として作製することもできる。本発明のプローブは、検出のために蛍光物質、酵素、放射性同位体、化学発光物質等で標識されていても良い。標識に用いる標識物質は、公知のものを用い、公知の方法で標識することができる。蛍光物質としては、例えば、Cy3、Cy5、ローダミン、フルオレセイン等が挙げられる。
【0024】
さらに、本発明は上記オリゴヌクレオチドを固定化した固定化基板を含む。オリゴヌクレオチドを固定化する基板としては、スライドガラス、ニトロセルロース膜、マイクロビーズ等種々のものを用いることができる。固定化基板上に複数のオリゴヌクレオチドを整列固定化した場合、該固定化基板は、DNAマイクロアレイ又はDNAチップとして用いることができる。また、オリゴヌクレオチドは基板上で合成しても良いし、また合成したオリゴヌクレオチドを基板上に固定化しても良い。基板上への固定化は、例えば市販のスポッターやアレイヤーを用いて行うことができ、オリゴヌクレオチドの固定化は吸着や共有結合を介した結合により行うことができ、共有結合を介した結合により固定化する場合は、基板表面及びオリゴヌクレオチドに共有結合用のアミノ基、SH基等の官能基を導入すれば良い。この基板には上記のデジタルアレイに用いるための基板も含む。これらの基板には、上記の20個の核酸変異を検出するためのプローブの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の核酸変異を検出するためのプローブが含まれている。プローブは、野性型の塩基を検出するためのものと変異塩基を検出するための両方が含まれていてもよい。また、本発明はプライマーセットを含む試薬キットも包含する。該試薬キットには上記の20個の核酸変異を検出するためのプライマーセットの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の核酸変異を検出するためのプライマーセットが含まれていてもよい。
【0025】
オリゴヌクレオチドを固定化した固定化基板を用いる多型の検出は公知の方法で行うことができる。
【0026】
本発明は、上記のプローブやプライマーをデジタルアレイに充填し、デジタルアレイを製造する方法を包含する。
【0027】
また、紙の上にスポットした安価なアレイを用いたプリンティングアレイの手法を用いて本発明の遺伝子の変異を検出し、骨髄異形成症候群(MDS)を検出することもできる。
【0028】
さらに、紙にU2AF35、SRSF2、SF3B1等の遺伝子の骨髄異形成症候群(MDS)に特徴的な変異周辺部配列(例えば、前後それぞれ300bp以内)をプリンティング又はスポットしたアレイ等のようなデバイスで、変異周辺部を増幅してハイブリダイゼーションによって変異の有無を見分けることもできる。
【実施例】
【0029】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0030】
TaqMan法を使用したデジタルアレイ測定による骨髄異形成症候群(MDS)に影響する体細胞変異の探索
本実施例においては、変異核酸の存在を明らかにするため、TaqMan法の特異的プローブ又はプライマーを使用してデジタルアレイ測定を行った。
【0031】
変異なし核酸及び変異核酸に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマーによるデジタルアレイ測定は、Fluidigm社のプロトコールに従って行った。具体的には、変異なし核酸及び変異核酸をTaqMan法の特異的プローブを用いてデジタルカウントした後、変異なし核酸のカウント数と、変異核酸オリゴヌクレオチドのカウント数を比較することで、変異核酸の存在を明らかにした。その比較は、デジタルアレイの解析ソフトにより行った。
【0032】
下記に示すように、12個の変異なし核酸とMDSに影響する20個の変異核酸をオリゴヌクレオチド合成し、PCRのテンプレートとして使用した。下記の配列において、括弧内の塩基は変異位置の塩基を示す。
【0033】
(1) SF3B1_E622Dにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr2:198267491, G>T, G>C)の配列情報
変異なし核酸CTACCATGAGACCTGATATAGATAACATGGATGA[G]TATGTCCGTAACACAACAGCTAGAGCTTTTGCTGTTGTAGCCTCTGC(配列番号1)

変異核酸CTACCATGAGACCTGATATAGATAACATGGATGA[T]TATGTCCGTAACACAACAGCTAGAGCTTTTGCTGTTGTAGCCTCTGC(配列番号2)

変異核酸CTACCATGAGACCTGATATAGATAACATGGATGA[C]TATGTCCGTAACACAACAGCTAGAGCTTTTGCTGTTGTAGCCTCTGC(配列番号3)
【0034】
(2) SF3B1_H662Dにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr2:198267373, C>G)の配列情報
変異なし核酸
AAAGCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGTCCTGGCAAGCGAGA[C]ACACTGGTATTAAGATTGTACAACAGATAGCTATTCTTATGGGCTGTGCCATC(配列番号4)

変異核酸
AAAGCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGTCCTGGCAAGCGAGA[G]ACACTGGTATTAAGATTGTACAACAGATAGCTATTCTTATGGGCTGTGCCATC(配列番号5)
【0035】
(3) SF3B1_H662Qにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr2:198267371, C>A, C>G)の配列情報
変異なし核酸
AAAGCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGTCCTGGCAAGCGAGACA[C]ACTGGTATTAAGATTGTACAACAGATAGCTATTCTTATGGGCTGTGCCATC(配列番号6)

変異核酸
AAAGCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGTCCTGGCAAGCGAGACA[A]ACTGGTATTAAGATTGTACAACAGATAGCTATTCTTATGGGCTGTGCCATC(配列番号7)

変異核酸
AAAGCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGTCCTGGCAAGCGAGACA[G]ACTGGTATTAAGATTGTACAACAGATAGCTATTCTTATGGGCTGTGCCATC(配列番号8)
【0036】
(4) SF3B1_K666Eにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr2:198267361, A>G)の配列情報
変異なし核酸
GATGGCACAGCCCATAAGAATAGCTATCTGTTGTACAATCT[T]AATACCAGTGTGTCTCGCTTGCCAGGACTTCTTGCTTTTGCACACAGCTTT(配列番号9)

変異核酸
GATGGCACAGCCCATAAGAATAGCTATCTGTTGTACAATCT[C]AATACCAGTGTGTCTCGCTTGCCAGGACTTCTTGCTTTTGCACACAGCTTT(配列番号10)
【0037】
(5) SF3B1_K666Nにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr2:198267359, G>T, G>C)の配列情報
変異なし核酸
GATGGCACAGCCCATAAGAATAGCTATCTGTTGTACAAT[C]TTAATACCAGTGTGTCTCGCTTGCCAGGACTTCTTGCTTTTGCACACAGCTTT(配列番号11)

変異核酸
GATGGCACAGCCCATAAGAATAGCTATCTGTTGTACAAT[A]TTAATACCAGTGTGTCTCGCTTGCCAGGACTTCTTGCTTTTGCACACAGCTTT(配列番号12)

変異核酸
GATGGCACAGCCCATAAGAATAGCTATCTGTTGTACAAT[G]TTAATACCAGTGTGTCTCGCTTGCCAGGACTTCTTGCTTTTGCACACAGCTTT(配列番号13)
【0038】
(6) SF3B1_K666T及びSF3B1_K666Rにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr2:198267360, A>C, A>G)の配列情報
変異なし核酸
GATGGCACAGCCCATAAGAATAGCTATCTGTTGTACAATC[T]TAATACCAGTGTGTCTCGCTTGCCAGGACTTCTTGCTTTTGCACACAGCTTT(配列番号14)

変異核酸
GATGGCACAGCCCATAAGAATAGCTATCTGTTGTACAATC[G]TAATACCAGTGTGTCTCGCTTGCCAGGACTTCTTGCTTTTGCACACAGCTTT(配列番号15)

変異核酸
GATGGCACAGCCCATAAGAATAGCTATCTGTTGTACAATC[C]TAATACCAGTGTGTCTCGCTTGCCAGGACTTCTTGCTTTTGCACACAGCTTT(配列番号16)
【0039】
(7) SF3B1_K700Eにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr2:198266834, A>G)の配列情報
変異なし核酸
GCAGCAATGGCCAAAGCACTGATGGTCCGAACTT[T]CTGCTGCTCATCCACAAGACCTACAAAACCAAACACAGGTTTTAACTATGCCCCAACATTACCTAAGTTACACAATATCATCCAGATTCTCTCAATAT(配列番号17)

変異核酸
GCAGCAATGGCCAAAGCACTGATGGTCCGAACTT[C]CTGCTGCTCATCCACAAGACCTACAAAACCAAACACAGGTTTTAACTATGCCCCAACATTACCTAAGTTACACAATATCATCCAGATTCTCTCAATAT(配列番号18)
【0040】
(8) SF3B1_R625Cにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr2:198267484, C>T)の配列情報
変異なし核酸
ATTTTAGGCTGCTGGTCTGGCTACTATGATCTCTACCATGAGACCTGATATAGATAACATGGATGAGTATGTC[C]GTAACACAACAGCTAGAGCTTTTGCTGTTGTAGCCTCTGC(配列番号19)

変異核酸
ATTTTAGGCTGCTGGTCTGGCTACTATGATCTCTACCATGAGACCTGATATAGATAACATGGATGAGTATGTC[T]GTAACACAACAGCTAGAGCTTTTGCTGTTGTAGCCTCTGC(配列番号20)
【0041】
(9) SF3B1_R625Lにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr2:198267483, G>T)の配列情報
変異なし核酸
TAGGCTGCTGGTCTGGCTACTATGATCTCTACCATGAGACCTGATATAGATAACATGGATGAGTATGTCC[G]TAACACAACAGCTAGAGCTTTTGCTGTTGTAGCCTCTGCCCTG(配列番号21)

変異核酸
TAGGCTGCTGGTCTGGCTACTATGATCTCTACCATGAGACCTGATATAGATAACATGGATGAGTATGTCC[T]TAACACAACAGCTAGAGCTTTTGCTGTTGTAGCCTCTGCCCTG(配列番号22)
【0042】
(10) SRSF2_P95H、SRSF2_P95L及びSRSF2_P95Rにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr17:74732959, C>A, C>T, C>G)の配列情報
変異なし核酸
CCCGGCGGCTGTGGTGTGAGTCCGGG[G]GGCGGCCGTAGCGCGCCATTTGCACCCGCAGCTCGCGGCCGTCCAGCACGGCCCCGTCCATGGCATCCATAGCGTCCTCAGCGTCGCGCTTGTCGTGAAAGCGA(配列番号23)

変異核酸
CCCGGCGGCTGTGGTGTGAGTCCGGG[T]GGCGGCCGTAGCGCGCCATTTGCACCCGCAGCTCGCGGCCGTCCAGCACGGCCCCGTCCATGGCATCCATAGCGTCCTCAGCGTCGCGCTTGTCGTGAAAGCGA(配列番号24)

変異核酸
CCCGGCGGCTGTGGTGTGAGTCCGGG[A]GGCGGCCGTAGCGCGCCATTTGCACCCGCAGCTCGCGGCCGTCCAGCACGGCCCCGTCCATGGCATCCATAGCGTCCTCAGCGTCGCGCTTGTCGTGAAAGCGA(配列番号25)

変異核酸
CCCGGCGGCTGTGGTGTGAGTCCGGG[C]GGCGGCCGTAGCGCGCCATTTGCACCCGCAGCTCGCGGCCGTCCAGCACGGCCCCGTCCATGGCATCCATAGCGTCCTCAGCGTCGCGCTTGTCGTGAAAGCGA(配列番号26)
【0043】
(11) U2AF35_Q157R及びU2AF35_Q157Pにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr21:44514777, A>G, A>C)の配列情報
変異なし核酸
GACTTGAATAACCGTTGGTTTAATGGACAGCCGATCCACGCCGAGCTGTCACCCGTGACGGACTTCAGAGAAGCCTGCTGCCGTC[A]GTATGAGATGGGGTGAGTGAGGAGTGGCCAGTGACGTGACTGAGCACAGTTCGGGGCCGTGTGCA(配列番号27)

変異核酸
GACTTGAATAACCGTTGGTTTAATGGACAGCCGATCCACGCCGAGCTGTCACCCGTGACGGACTTCAGAGAAGCCTGCTGCCGTC[C]GTATGAGATGGGGTGAGTGAGGAGTGGCCAGTGACGTGACTGAGCACAGTTCGGGGCCGTGTGCA(配列番号28)

変異核酸
GACTTGAATAACCGTTGGTTTAATGGACAGCCGATCCACGCCGAGCTGTCACCCGTGACGGACTTCAGAGAAGCCTGCTGCCGTC[G]GTATGAGATGGGGTGAGTGAGGAGTGGCCAGTGACGTGACTGAGCACAGTTCGGGGCCGTGTGCA(配列番号29)
【0044】
(12) U2AF35_S34F及びU2AF35_S34Yにおける変異なし核酸とMDSに影響する変異核酸(Chr21:44524456, C>T, C>A)の配列情報
変異なし核酸
TTTCAAAATTGGAGCATGTCGTCATGGAGACAGGTGCT[C]TCGGTTGCACAATAAACCGACGTTTAGCCAGGTTTGTTT(配列番号30)

変異核酸
TTTCAAAATTGGAGCATGTCGTCATGGAGACAGGTGCT[T]TCGGTTGCACAATAAACCGACGTTTAGCCAGGTTTGTTT(配列番号31)

変異核酸
TTTCAAAATTGGAGCATGTCGTCATGGAGACAGGTGCT[A]TCGGTTGCACAATAAACCGACGTTTAGCCAGGTTTGTTT(配列番号32)
【0045】
上記の変異核酸の情報に基づいて以下に示す、プライマーセット及びプローブを設計し、TaqMan法の特異的プローブ又はプライマーとして用いてデジタルアレイ測定を行い、各変異を特定することに成功した。すなわち、以下のプライマーセット又はプローブを用いて被験体のU2AF35遺伝子、SRSF2遺伝子及びU2AF65の多型を検出することができ、被験体が骨髄異形成症候群(MDS)であるかどうかを評価することができる。プローブは、野性型の核酸を検出するためのものと、変異核酸を検出するためのものの2種類が示されている。
(a) SF3B1_E622Dにおける変異核酸(Chr2:198267491, G>T)に対するTaqMan法の特異的プローブ及びプライマー
forward primer: GAGGCTACAACAGCAAAAGCTCTAG(配列番号33), reverse primer: CCATGAGACCTGATATAGATAACATGGA(配列番号34), probes: TGTGTTACGGACATA[C]TC-FAM(配列番号35), GTGTTACGGACATA[A]TC-VIC(配列番号36)
【0046】
(b) SF3B1_E622Dにおける変異核酸(Chr2:198267491, G>C)に対するTaqMan法の特異的probe及びPrimerの配列情報。
forward primer: GAGGCTACAACAGCAAAAGCTCTAG(配列番号37), reverse primer: CCATGAGACCTGATATAGATAACATGGA(配列番号38), probes: TGTGTTACGGACATA[C]TC-FAM(配列番号39), TTGTGTTACGGACATA[G]TC -VIC(配列番号40)
【0047】
(c) SF3B1_H662Dにおける変異核酸(Chr2:198267373, C>G)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GGCACAGCCCATAAGAATAGCTA(配列番号41), reverse primer: GCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGT(配列番号42), probes: TACAATCTTAATACCAGT[G]TGTCT-FAM(配列番号43), TACAATCTTAATACCAGT[C]TGTCT-VIC(配列番号44)
【0048】
(d) SF3B1_H662Qにおける変異核酸(Chr2:198267371, C>A)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GGCACAGCCCATAAGAATAGCTA(配列番号45), reverse primer: GCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGT(配列番号46), probes: TTGTACAATCTTAATACCAGT[G]TGT -FAM(配列番号47), TGTACAATCTTAATACCAGT[T]TGT -VIC(配列番号48)
【0049】
(e) SF3B1_H662Qにおける変異核酸(Chr2:198267371, C>G)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GGCACAGCCCATAAGAATAGCTA(配列番号49), reverse primer: GCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGT(配列番号50), probes: TTGTACAATCTTAATACCAGT[G]TGT -FAM(配列番号51), TGTACAATCTTAATACCAGT[C]TGT -VIC(配列番号52)
【0050】
(f) SF3B1_K666Eにおける変異核酸(Chr2:198267361, A>G)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGT(配列番号53), reverse primer: GGCACAGCCCATAAGAATAGCTA(配列番号54), probes: AGACACACTGGTATT[A]AGAT -FAM(配列番号55), AGACACACTGGTATT[G]AGAT -VIC(配列番号56)
【0051】
(g) SF3B1_K666Nにおける変異核酸(Chr2:198267359, G>T)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGT(配列番号57), reverse primer: GGCACAGCCCATAAGAATAGCTA(配列番号58), probes: ACACACTGGTATTAA[G]ATTGTA -FAM(配列番号59), AGACACACTGGTATTAA[T]ATTGTA -VIC(配列番号60)
【0052】
(h) SF3B1_K666Nにおける変異核酸(Chr2:198267359, G>C)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGT(配列番号61), reverse primer: GGCACAGCCCATAAGAATAGCTA(配列番号62), probes: ACACACTGGTATTAA[G]ATTGTA -FAM(配列番号63), ACACACTGGTATTAA[C]ATTGTA -VIC(配列番号64)
【0053】
(i) SF3B1_K666Tにおける変異核酸(Chr2:198267360, A>C)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGT(配列番号65), reverse primer: GGCACAGCCCATAAGAATAGCTA(配列番号66), probes: CACACTGGTATTA[A]GATTG -FAM(配列番号67), ACACACTGGTATTA[C]GATTG -VIC(配列番号68)
【0054】
(j) SF3B1_K666Rにおける変異核酸(Chr2:198267360, A>G)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GCTGTGTGCAAAAGCAAGAAGT(配列番号69), reverse primer: GGCACAGCCCATAAGAATAGCTA(配列番号70), probes: CACACTGGTATTA[A]GATTG -FAM(配列番号71), ACACACTGGTATTA[G]GATTG -VIC(配列番号72)
【0055】
(k) SF3B1_K700Eにおける変異核酸(Chr2:198266834, A>G)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GCAATGGCCAAAGCACTGAT(配列番号73), reverse primer: TTGAGAGAATCTGGATGATATTGTGTAA(配列番号74), probes: ATGAGCAGCAG[A]AAG -FAM(配列番号75), ATGAGCAGCAG[G]AAG -VIC(配列番号76)
【0056】
(l) SF3B1_R625Cにおける変異核酸(Chr2:198267484, C>T)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GAGGCTACAACAGCAAAAGCTCTA(配列番号77), reverse primer: TTAGGCTGCTGGTCTGGCTACTA(配列番号78), probes: CTGTTGTGTTAC[G]GACATA -FAM(配列番号79), CTGTTGTGTTAC[A]GACATA -VIC(配列番号80)
【0057】
(m) SF3B1_R625Lにおける変異核酸(Chr2:198267483, G>T)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GGCAGAGGCTACAACAGCAAA(配列番号81), reverse primer: GCTGCTGGTCTGGCTACTATGA(配列番号82), probes: TGTTGTGTTA[C]GGACATACT -FAM(配列番号83), CTGTTGTGTTA[A]GGACATAC -VIC(配列番号84)
【0058】
(n) SRSF2_P95Hにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>A)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GGCGGCTGTGGTGTGAGT(配列番号85), reverse primer: CTTTCACGACAAGCGCGAC(配列番号86), probes: TACGGCCGCC[C]CC-FAM(配列番号87), TACGGCCGCC[A]CCC-VIC(配列番号88)
【0059】
(o) SRSF2_P95Lにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>T)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GGCGGCTGTGGTGTGAGT(配列番号89), reverse primer: CTTTCACGACAAGCGCGAC(配列番号90), probes: TACGGCCGCC[C]CC -FAM(配列番号91), CTACGGCCGCC[T]CC -VIC #(配列番号92)
【0060】
(p) SRSF2_P95Rにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>G)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: GGCGGCTGTGGTGTGAGT(配列番号93), reverse primer: CTTTCACGACAAGCGCGAC(配列番号94), probes: TACGGCCGCC[C]CC -FAM(配列番号95), CTACGGCCGCC[G]CC -VIC(配列番号96)
【0061】
(q) U2AF35_Q157Rにおける変異核酸(Chr21:44514777, A>G)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: ACACGGCCCCGAACTGT(配列番号97), reverse primer: TTGAATAACCGTTGGTTTAATGGA(配列番号98), probes: CATCTCATAC[T]GACGGCAG -FAM(配列番号99), TCTCATAC[C]GACGGCAG -VIC(配列番号100)
【0062】
(r) U2AF35_Q157Pにおける変異核酸(Chr21:44514777, A>C)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: ACACGGCCCCGAACTGT(配列番号101), reverse primer: TTGAATAACCGTTGGTTTAATGGA(配列番号102), probes: CATCTCATAC[T]GACGGCAG -FAM(配列番号103), TCTCATAC[C]GACGGCAG -VIC(配列番号104)
【0063】
(s) U2AF35_S34Fにおける変異核酸(Chr21:44524456, C>T)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: CAAACCTGGCTAAACGTCGGT(配列番号105), reverse primer: CAAAATTGGAGCATGTCGTCA(配列番号106), probes: CAACCGA[G]AGCACC -FAM(配列番号107), CAACCGA[A]AGCACC -VIC(配列番号108)
【0064】
(t) U2AF35_S34Yにおける変異核酸(Chr21:44524456, C>A)に対するTaqMan法の特異的プローブ又はプライマー
forward primer: CAAACCTGGCTAAACGTCGGT(配列番号109), reverse primer: CAAAATTGGAGCATGTCGTCA(配列番号110), probes: TGTGCAACCGA[G]AGC -FAM(配列番号111), TTGTGCAACCGA[T]AGC -VIC(配列番号112)
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、骨髄異形成症候群(MDS)の検出に用いることができる。
【配列表フリーテキスト】
【0066】
配列番号1〜112 合成又はプライマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)〜(20)の変異核酸を検出することを含む、骨髄異形成症候群(MDS)を検出する方法:
(1) SF3B1_E622Dにおける変異核酸(Chr2:198267491, G>T)、(2) SF3B1_E622Dにおける変異核酸(Chr2:198267491, G>C)、(3) SF3B1_H662Dにおける変異核酸(Chr2:198267373, C>G)、(4) SF3B1_H662Qにおける変異核酸(Chr2:198267371, C>A)、(5) SF3B1_H662Qにおける変異核酸(Chr2:198267371, C>G)、(6) SF3B1_K666Eにおける変異核酸(Chr2:198267361, A>G)、(7) SF3B1_K666Nにおける変異核酸(Chr2:198267359, G>T)、(8) SF3B1_K666Nにおける変異核酸(Chr2:198267359, G>C)、(9) SF3B1_K666Tにおける変異核酸(Chr2:198267360, A>C)、(10) SF3B1_K666Rにおける変異核酸(Chr2:198267360, A>G)、(11) SF3B1_K700Eにおける変異核酸(Chr2:198266834, A>G)、(12) SF3B1_R625Cにおける変異核酸(Chr2:198267484, C>T)、(13) SF3B1_R625Lにおける変異核酸(Chr2:198267483, G>T)、(14) SRSF2_P95Hにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>A)、(15) SRSF2_P95Lにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>T)、(16) SRSF2_P95Rにおける変異核酸(Chr17:74732959, C>G)、(17) U2AF35_Q157Rにおける変異核酸(Chr21:44514777, A>G)、(18) U2AF35_Q157Pにおける変異核酸(Chr21:44514777, A>C)、(19) U2AF35_S34Fにおける変異核酸(Chr21:44524456, C>T)、(20) U2AF35_S34Yにおける変異核酸(Chr21:44524456, C>A)。
【請求項2】
TaqMan法による特異的プローブ又はプライマー並びにデジタルアレイを用いる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
被験体における骨髄異形成症候群(MDS)に罹患するリスクの予測である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法に使用するための、配列番号33〜112に示されるプライマー又はプローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−34394(P2013−34394A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170570(P2011−170570)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(504464966)株式会社 ハプロファーマ (6)
【Fターム(参考)】