説明

体組成測定装置

【課題】体幹の体組成が相対的に大きく反映された測定結果を使用者に対して提供する。
【解決手段】体組成測定装置1は、右手HRおよび左脇腹ALを流れる電流の電圧値である右体第1電圧値と、右手HRおよび右脇腹ARを流れる電流の電圧値である右体第2電圧値との差を右体電圧値として算出する。また、左手HLおよび右脇腹ARを流れる電流の電圧値である左体第1電圧値と、左手HLおよび左脇腹ALを流れる電流の電圧値である左体第2電圧値との差を左体電圧値として算出する。そして、右体電圧値と左体電圧値との平均値に基づいて体幹の体脂肪を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体肢および体幹を流れる電流の電圧値に基づいて体組成を算出する体組成測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記体組成測定装置として特許文献1に記載のものが知られている。この体組成測定装置は、体肢としての腕および体幹の体組成が反映された体組成を測定結果として使用者に提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−159227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記体組成測定装置は、腕および体幹を流れる電流の電圧値として、電圧電極により1つの電圧値を測定し、この電圧値に基づいて体組成を算出している。このため、体肢の体組成および体幹の体組成のうちの体幹の体組成が相対的に大きく反映された測定結果を使用者に対して提供することはできない。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、体幹の体組成が相対的に大きく反映された測定結果を使用者に対して提供することのできる体組成測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための手段を以下に示す。
・本発明の体組成測定装置は、体肢および体幹を流れる電流の電圧値に基づいて体組成を算出する体組成測定装置において、前記体肢のうちの所定の部分を体肢部分とし、前記体幹のうちの所定の部分を第1体幹部分とし、前記体幹のうちの前記第1体幹部分とは別の部分を第2体幹部分とし、前記体肢部分および前記第1体幹部分を流れる電流の電圧値を第1電圧値とし、前記体肢部分および前記第2体幹部分を流れる電流の電圧値を第2電圧値として、前記第1電圧値と前記第2電圧値との差である体電圧値に基づいて体組成を算出することを特徴としている。
【0007】
・この体組成測定装置においては、前記体肢としての右半身の体肢を右体肢とし、前記体肢としての左半身の体肢を左体肢とし、前記体幹のうちの右半身に対応する前記体電圧値を右体電圧値とし、前記体幹のうちの左半身に対応する前記体電圧値を左体電圧値として、前記右体肢を流れる電流に基づいて測定される前記第1電圧値および前記第2電圧値の差として前記右体電圧値を算出すること、前記左体肢を流れる電流に基づいて測定される前記第1電圧値および前記第2電圧値の差として前記左体電圧値を算出すること、ならびに、前記右体電圧値および前記左体電圧値に基づいて前記体組成を算出することが好ましい。
【0008】
・この体組成測定装置においては、前記右体電圧値および前記左体電圧値の平均値に基づいて前記体組成を算出することが好ましい。
・この体組成測定装置においては、電流電極A、電流電極B、および電流電極Cを備えること、電圧電極A、電圧電極B、および電圧電極Cを備えること、前記電流電極A、前記電流電極B、前記電圧電極A、および前記電圧電極Bの互いの位置関係が固定されていること、前記電流電極A、前記電流電極B、前記電圧電極A、および前記電圧電極Bと前記電流電極Cおよび前記電圧電極Cとの位置関係を変更することができること、前記電圧電極Aおよび前記電圧電極Bは、前記第1電圧値および前記第2電圧値の一方を測定することならびに、前記電圧電極Aおよび前記電圧電極Bの一方および前記電圧電極Cは、前記第1電圧値および前記第2電圧値の他方を測定することが好ましい。
【0009】
・この体組成測定装置においては、電流電極Dを備えること、電圧電極Dを備えること、前記電流電極C、前記電流電極D、前記電圧電極C、および前記電圧電極Dの互いの位置関係が固定されていること、前記電流電極A、前記電流電極B、前記電圧電極A、および前記電圧電極Bと前記電流電極C、前記電流電極D、前記電圧電極C、および前記電圧電極Dとの位置関係を変更することができること、前記電圧電極Aおよび前記電圧電極Bは、前記右体肢を流れる電流に基づいて前記第1電圧値および前記第2電圧値の一方を測定すること、前記電圧電極Aおよび前記電圧電極Bの一方および前記電圧電極Cおよび前記電圧電極Dの一方は、前記右体肢を流れる電流に基づいて前記第1電圧値および前記第2電圧値の他方を測定すること、前記電圧電極Cおよび前記電圧電極Dは、前記左体肢を流れる電流に基づいて前記第1電圧値および前記第2電圧値の一方を測定すること、ならびに、前記電圧電極Cおよび前記電圧電極Dの一方および前記電圧電極Aおよび前記電圧電極Bの一方は、前記左体肢を流れる電流に基づいて前記第1電圧値および前記第2電圧値の他方を測定することが好ましい。
【0010】
・この体組成測定装置においては、個別に構成された第1測定ユニットおよび第2測定ユニットを備えること、前記第1測定ユニットは、前記電流電極A、前記電流電極B、前記電圧電極A、および前記電圧電極Bを備えること、ならびに、前記第2測定ユニットは、前記電流電極Cおよび前記電圧電極Cを備えることが好ましい。
【0011】
・この体組成測定装置においては、前記第2測定ユニットは、前記電流電極C、前記電流電極D、前記電圧電極C、および前記電圧電極Dを備えることが好ましい。
・この体組成測定装置においては、前記第1測定ユニットは、第1把持部および第1本体部を備えること、前記第1把持部は、前記電流電極Aおよび前記電圧電極Aを備えること、前記第1本体部は、前記電流電極Bおよび前記電圧電極Bを備えること、前記第2測定ユニットは、第2把持部および第2本体部を備えること、ならびに、前記第2把持部および前記第2本体部の一方は、前記電流電極Cおよび前記電圧電極Cを備えることが好ましい。
【0012】
・この体組成測定装置においては、前記第2把持部および前記第2本体部の他方は、前記電流電極Dおよび前記電圧電極Dの他方を備えることが好ましい。
・この体組成測定装置においては、前記第1測定ユニットおよび前記第2測定ユニットの少なくとも一方は、使用者が把持して使用する手持ち型ユニットであり、使用者が把持した状態で操作することが可能な操作部を備えることが好ましい。
【0013】
・この体組成測定装置においては、前記体電圧値を測定するときの前記第1測定ユニットの高さおよび前記第2測定ユニットの高さを揃えるための目印機構を備えることが好ましい。
【0014】
・この体組成測定装置においては、前記第1測定ユニットおよび前記第2測定ユニットを互いに接続する支持部材を備えること、ならびに、前記支持部材が前記目印機構として機能することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、体幹の体組成が相対的に大きく反映された測定結果を使用者に対して提供することのできる体組成測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態としての体組成測定装置について、その構成を模式的に示すブロック図。
【図2】同実施形態の体組成測定装置について、その正面構造を示す正面図。
【図3】同実施形態の体組成測定装置について、同装置を用いた体組成の測定方法を示す動作図。
【図4】同実施形態の体組成測定装置について、同装置を用いた体組成の測定方法を示す動作図。
【図5】本発明のその他の実施形態としての体組成測定装置について、同装置を用いた体組成の測定方法を示す動作図。
【図6】本発明のその他の実施形態としての体組成測定装置について、同装置を用いた体組成の測定方法を示す動作図。
【図7】本発明のその他の実施形態としての体組成測定装置について、同装置を用いた体組成の測定方法を示す動作図。
【図8】本発明のその他の実施形態としての体組成測定装置について、その正面構造を示す正面図。
【図9】同実施形態の体組成測定装置について、同装置を用いた体組成の測定方法を示す動作図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して、体組成測定装置1の構成について説明する。
体組成測定装置1は、個別に把持できるように構成された第1測定ユニット10および第2測定ユニット20と、第1測定ユニット10および第2測定ユニット20を互いに接続するケーブルCとを備えている。また、体組成としての体脂肪の体積を測定する測定部30と、体脂肪の測定に必要な情報の入力に用いられる操作部60と、各種情報を使用者に提示する表示部70と、測定部30の測定結果を用いて演算を行う制御部80とを備える。
【0018】
測定部30は、被測定体に電流を流す第1電流電極41、第2電流電極42、第3電流電極43、および第4電流電極44と、被測定体を流れる電流の電圧値を測定する第1電圧電極51、第2電圧電極52、第3電圧電極53、および第4電圧電極54とを備える。
【0019】
なお、第1電流電極41は「電流電極A」に相当し、第2電流電極42は「電流電極B」に相当し、第4電流電極44は「電流電極C」に相当し、第3電流電極43は「電流電極D」に相当する。また、第1電圧電極51は「電圧電極A」に相当し、第2電圧電極52は「電圧電極B」に相当し、第4電圧電極54は「電圧電極C」に相当し、第3電圧電極53は「電圧電極D」に相当する。
【0020】
第1測定ユニット10は、第1電流電極41、第2電流電極42、第1電圧電極51、および第2電圧電極52と、操作部60とを備える。なお、各電極41,42,51,52は、第1測定部31を構成している。
【0021】
第2測定ユニット20は、第3電流電極43、第4電流電極44、第3電圧電極53、および第4電圧電極54と、表示部70とを備える。なお、各電極43,44,53,54は、第2測定部32を構成している。
【0022】
制御部80は、第1測定ユニット10に設けられる第1制御部81と、第2測定ユニット20に設けられる第2制御部82とを備えている。第1制御部81および第2制御部82は、ケーブルCを介して信号を送信および受信する。第1制御部81には、第1測定部31を構成する電極41,42,51,52、および操作部60が接続されている。第2制御部82には、第2測定部32を構成する電極43,44,53,54および表示部70が接続されている。
【0023】
制御部80は、使用者による操作部60の操作により体脂肪の測定を開始するための信号を受信したとき、4つの電流電極41〜44のうちの2つの電極を選択し、選択した電極間での電流の供給を開始する。そして、4つの電圧電極51〜54のうちの2つの電圧電極により測定された電圧値、および操作部60を介して入力された各種の情報に基づいて体脂肪の体積を算出し、算出した結果を表示部70において数値として表示する。なお、操作部60により入力される各種の情報としては、使用者の身長、体重、年齢、および性別等が挙げられる。
【0024】
図2を参照して、体組成測定装置1の構造について説明する。
第1測定ユニット10は、右手で把持するための第1把持部11と、操作部60が設けられるブロック状の第1本体部12と、内蔵型の電源(図示略)とを備えている。第1把持部11には、第1電流電極41および第1電圧電極51が設けられている。第1本体部12において、第1把持部11が取り付けられている面とは反対側に位置する第1電極面13には、第2電流電極42および第2電圧電極52が設けられている。なお、電極材としては、SUSおよび樹脂材表面を金属めっき処理したものが用いられている。
【0025】
第2測定ユニット20は、左手で把持するための第2把持部21と、表示部70が設けられるブロック状の第2本体部22と、内蔵型の電源(図示略)とを備えている。第2把持部21には、第3電流電極43および第3電圧電極53が設けられている。第2本体部22において、第2把持部21が取り付けられている面とは反対側に位置する第2電極面23には、第4電流電極44および第4電圧電極54が設けられている。
【0026】
図3および図4を参照して、体組成測定装置1を用いた体脂肪の測定手順について説明する。図3および図4のハッチング入りの円は、電流電極41〜44および電圧電極51〜54を示している。なお、右腕は「右体肢」に相当し、左腕は「左体肢」に相当する。また、右手HRおよび左手HLは「体肢部分」に相当する。また、右脇腹ARは「第1体幹部分」に相当し、左脇腹ALは「第2体幹部分」に相当する。
【0027】
図3を参照して、使用者により行われる測定のための準備について説明する。
(準備手順1)使用者は、第1測定ユニット10の第1把持部11を右手HRで把持した状態において、各電流電極41,42が各電圧電極51,52の下方に位置するように第1測定ユニット10を右脇腹ARに接触させる。このとき、第1測定ユニット10の第1電流電極41および第1電圧電極51が右手HRと接触した状態、および第1測定ユニット10の第2電流電極42および第2電圧電極52が右脇腹ARと接触した状態が得られる。
【0028】
(準備手順2)使用者は、第2測定ユニット20の第2把持部21を左手HLで把持した状態において、各電流電極43,44が各電圧電極53,54の下方に位置するように第2測定ユニット20を右脇腹ARに接触させる。このとき、第2測定ユニット20の第3電流電極43および第3電圧電極53が左手HLと接触した状態、および第2測定ユニット20の第4電流電極44および第4電圧電極54が左脇腹ALと接触した状態が得られる。
【0029】
(準備手順3)使用者は、体幹に対する第1測定ユニット10の高さ方向の位置と、体幹に対する第2測定ユニット20の高さ方向の位置とが互いに同じ位置となるように、目視により各測定ユニット10,20の位置を調整する。
【0030】
(準備手順4)使用者は、第1測定ユニット10の把持部11を把持した状態において、右手HRの指で測定部30の測定ボタンを押す。これにより、体組成の測定を開始するための開始信号、すなわち電流の供給および電圧値の測定を開始するための開始信号が制御部80に送信される。
【0031】
図3を参照して、体組成の測定の流れについて説明する。
制御部80は、測定部30の測定ボタンの操作にともない送信された開始信号を受信したとき、電流の供給および電圧値の測定を開始するための指令信号を測定部30に送信する。これにより、測定部30による体組成の測定が開始される。
【0032】
体組成の測定が開始されたとき、図中において太線で示されるように、電流が被測定体の右腕または左腕および体幹を流れる。この電流の電圧は、被被測定体の体組成、すなわち皮下脂肪、内臓脂肪、および筋肉のそれぞれのインピーダンスに応じて異なる大きさを示す。
【0033】
体組成は、具体的には以下の手順により算出される。
(測定手順1)図3(a)に示されるように、右手HRに接触する第1電流電極41、および左脇腹ALに接触する第4電流電極44を介して電流が流れる。このとき、右手HRに接触する第1電圧電極51と、左脇腹ALに接触する第4電圧電極54とにより、これら電圧電極51,54の間を流れる電流の電圧値(以下、「右体第1電圧値」)が測定される。
【0034】
(測定手順2)図3(b)に示されるように、右手HRに接触する第1電流電極41、および右脇腹ARに接触する第2電流電極42を介して電流が流れる。このとき、右手HRに接触する第1電圧電極51と、右脇腹ARに接触する第2電圧電極52とにより、これら電圧電極51,52の間を流れる電流の電圧値(以下、「右体第2電圧値」)が測定される。
【0035】
(測定手順3)図4(a)に示されるように、左手HLに接触する第3電流電極43、および右脇腹ARに接触する第2電流電極42を介して電流が流れる。このとき、左手HLに接触する第3電圧電極53と、右脇腹ARに接触する第2電圧電極52とにより、これら電圧電極53,52の間を流れる電流の電圧値(以下、「左体第1電圧値」)が測定される。
【0036】
(測定手順4)図4(b)に示されるように、左手HLに接触する第3電流電極43、および左脇腹ALに接触する第4電流電極44を介して電流が流れる。このとき、左手HLに接触する第3電圧電極53と、左脇腹ALに接触する第4電圧電極54とにより、これら電圧電極53,54の間を流れる電流の電圧値(以下、「左体第2電圧値」)が測定される。
【0037】
(測定手順5)右体第1電圧値から右体第2電圧値を減じた値を右体電圧値として算出する。また、左体第1電圧値から左体第2電圧値を減じた値を左体電圧値として算出する。そして、右体電圧値と左体電圧値との平均値、操作部60を介して入力された各種の情報、および予め設定されている体脂肪演算用のアルゴリズムに基づいて、体脂肪の体積を演算する。また、演算結果としての体脂肪の体積を数値として表示部70に表示する。
【0038】
なお、右体第1電圧値は「右体肢を流れる電流に基づいて測定される第1電圧値」に相当する。また、右体第2電圧値は「右体肢を流れる電流に基づいて測定される第2電圧値」に相当する。また、左体第1電圧値は「左体肢を流れる電流に基づいて測定される第1電圧値」に相当する。また、左体第2電圧値は「左体肢を流れる電流に基づいて測定される第2電圧値」に相当する。
【0039】
(実施形態の効果)
本実施形態の体組成測定装置1によれば以下の効果が得られる。
(1)右体第1電圧値および左体第1電圧値は、腕および体幹を斜めに横断する電流の電圧値に相当する。また、右体第2電圧値および左体第2電圧値は、腕および体幹を縦に横断する電流の電圧値に相当する。このため、右体第1電圧値と右体第2電圧値との差である右体電圧値、および左体第1電圧値と左体第2電圧値との差である左体電圧値のそれぞれには、体幹の中心部分の体組成が反映されている。
【0040】
体組成測定装置1は、この点に着目して右体電圧値および左体電圧値に基づいて体組成としての体脂肪量を算出する。この構成によれば、体幹の体組成が相対的に大きく反映された測定結果を使用者に対して提供することができる。また、体脂肪量に対する体肢の皮下脂肪の影響が低減されるため、体脂肪量に含まれる内臓脂肪量を精度良く算出することができる。
【0041】
(2)体組成測定装置1は、右体電圧値および左体電圧値の平均値に基づいて体組成を算出する。この構成によれば、右体電圧値および左体電圧値の一方に基づいて体組成を算出する構成と比較して、体組成の算出精度が高くなる。
【0042】
(3)体組成測定装置1は、個別に構成された第1測定ユニット10および第2測定ユニット20を備えている。また第1測定ユニット10は、第1電流電極41、第2電流電極42、第1電圧電極51、および第2電圧電極52を備えている。また第2測定ユニット20は、第3電流電極43、第4電流電極44、第3電圧電極53、および第4電圧電極54を備えている。この構成によれば、第1測定ユニット10を右手HRおよび右脇腹ARに接触させた状態、かつ第2測定ユニット20を左手HLおよび左脇腹ALに接触させた状態において体組成の測定を行うことができる。このため、体組成を測定するにあたり、体幹に対する各測定ユニット10,20の位置を変更しなくとも体組成の測定結果を得ることができる。
【0043】
(4)第1測定ユニット10は、第1把持部11および第1本体部12を備えている。また第1把持部11は、第1電流電極41および第1電圧電極51を備えている。また第1本体部12は、第2電流電極42および第2電圧電極52を備えている。また第2測定ユニット20は、第2把持部21および第2本体部22を備えている。また第2把持部21は、第3電流電極43および第3電圧電極53を備えている。また第2本体部22は、第4電流電極44および第4電圧電極54を備えている。この構成によれば、使用者は各把持部11,21を右手HRおよび左手HLのそれぞれにより把持した状態で各電極面13,23を脇腹に接触させることができる。すなわち、体組成の測定にあたり、電極を身体に貼り付ける等の作業を行う必要がない。このため、使用者は1人で体組成の測定を行うことができる。
【0044】
(5)第1測定ユニット10は、使用者が把持した状態で操作することが可能な操作部60を備えている。この構成によれば、使用者が体組成を測定するとき、測定ボタンを容易に操作することができる。
【0045】
(6)体組成測定装置1は、各電流電極41〜44が各電圧電極51〜54よりも下方に位置する状態で電圧値を測定する。この構成によれば、電流を流れる経路上に各電圧電極51〜54が位置するため、右体第1電圧値、右体第2電圧値、左体第1電圧値、および左体第2電圧値を精度よく算出することができる。
【0046】
(その他の実施形態)
本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0047】
・上記実施形態(図3)において、体組成を測定するときの第1測定ユニット10および第2測定ユニット20の配置を以下の(A)〜(D)のいずれかの配置に変更することもできる。なお、図5〜図7は、被測定体の腹部の臍を通過し、かつ水平方向と平行な体幹の断面を示している。
【0048】
(A)図5に示されるように、第1測定ユニット10を右半身において右脇腹ARよりも腹部中心側に配置する。また、第2測定ユニット20を左半身において左脇腹ALよりも背部中心側に配置する。
【0049】
(B)図6に示されるように、第1測定ユニット10を右半身において右脇腹ARよりも腹部中心側に配置する。また、第2測定ユニット20を左半身において左脇腹ALよりも腹部中心側に配置する。
【0050】
(C)図7に示されるように、第1測定ユニット10の中心を腹部において右半身および左半身の境界に配置する。また、第2測定ユニット20の中心を背部において右半身および左半身の境界に配置する。
【0051】
(D)第1測定ユニット10の第2電流電極42および第2電圧電極52、ならびに第2測定ユニット20の第4電流電極44および第2電圧電極52の両方を右半身または左半身に配置する。
【0052】
・上記実施形態(図3)では、第1測定ユニット10の第2電流電極42および第2電圧電極52を右脇腹ARに接触させているが、体幹において右脇腹ARよりも上方の部分または下方の部分に各電極42,52を接触させることもできる。
【0053】
・上記実施形態(図3)において、第1測定ユニット10の第2電流電極42および第2電圧電極52を右脚に接触させることもできる。この場合においても、右体第1電圧値から右体第2電圧値を減じることにより体幹の体組成に対する腕および脚の体組成の影響を小さくすることができる。このため、上記実施形態と同様、体幹の体組成が相対的に大きく反映された測定結果を使用者に対して提供することができる。
【0054】
・上記実施形態(図3)では、第2測定ユニット20の第4電流電極44および第4電圧電極54を左脇腹ALに接触させているが、体幹において左脇腹ALよりも上方の部分または下方の部分に各電極44,54を接触させることもできる。
【0055】
・上記実施形態(図3)において、第2測定ユニット20の第4電流電極44および第4電圧電極54を左脚に接触させることもできる。この場合においても、左体第1電圧値から左体第2電圧値を減じることにより体幹の体組成に対する腕および脚の体組成の影響を小さくすることができる。このため、上記実施形態と同様、体幹の体組成が相対的に大きく反映された測定結果を使用者に対して提供することができる。
【0056】
・上記実施形態(図3)では、体肢部分としての右手HRおよび左手HLに各電極41,42,52,54を接触させているが、腕の一部分を体肢部分として各電極41,42,52,54を接触させることもできる。また、脚の一部分を体肢部分として各電極41,42,52,54を脚に接触させることもできる。
【0057】
・上記実施形態(図3)では、各電流電極41〜44が各電圧電極51〜54の下方に位置した状態で体組成を測定する手順を採用しているが、各電流電極41〜44および各電圧電極51〜54が水平方向に位置した状態で体組成を測定することもできる。
【0058】
・上記実施形態(図2)では、ケーブルCにより第1測定ユニット10および第2測定ユニット20が互いに接続される装置として体組成測定装置1を構成しているが、図8の体組成測定装置90のようにユニット同士の接続の仕方を変更することもできる。
【0059】
図8に示される体組成測定装置90には、第1測定ユニット10および第2測定ユニット20を互いに接続する支持部材91が設けられている。支持部材91には、操作部60および表示部70により構成される本体部92が設けられている。本体部92には、臍と対応させるためのマーカー93が設けられている。なお、支持部材91は「目印機構」に相当する。
【0060】
図9を参照して、体組成測定装置90を用いて体組成を測定する場合の測定の準備について説明する。
使用者は、第1測定ユニット10の把持部11を右手HRで把持した状態、かつ第2測定ユニット20の把持部21を左手HLで把持した状態において、マーカー93を臍位置に合わせる。次に、第1測定ユニット10の第2電流電極42および第2電圧電極52を右脇腹ARに接触させる。また、第2測定ユニット20の第4電流電極44および第4電圧電極54を左脇腹ALに接触させる。そして、体幹に対する支持部材91の傾き度合を目視により確認し、体幹に対する第1測定ユニット10の高さ方向の位置および第2測定ユニット20の高さ方向の位置を揃える。
【0061】
・上記変形例において、支持部材91または本体部92に水平指示器を設け、この水平指示器を利用して各測定ユニット10,20の高さを揃えることもできる。
・上記実施形態(図3)では、第1測定ユニット10および第2測定ユニット20の高さを目視により揃える測定手順を採用しているが、第1測定ユニット10および第2測定ユニット20に高さセンサを設け、このセンサを利用して各測定ユニット10,20の高さを揃えることもできる。
【0062】
・上記実施形態(図3)において、体幹に対する第1測定ユニット10および第2測定ユニット20の位置を検出するセンサを設け、このセンサを利用して体幹に対する各測定ユニット10,20の位置を調整することもできる。なお、位置を検出するセンサは、例えば、距離センサ、角度センサ、および接触センサ等を組み合わせることにより構成することができる。
【0063】
・上記実施形態(図1)において、第2測定ユニット20を省略することもできる。この場合、表示部70および第2制御部82が第1測定ユニット10に設けられる。また、体組成の測定は次の手順により行うことができる。
【0064】
すなわち、右手HRで第1測定ユニット10の把持部を把持し、かつ第1測定ユニット10の第2電流電極42および第2電圧電極52を左脇腹ALに接触させた状態において、右体第1電圧値を測定する。また、右手HRで第1測定ユニット10の把持部を把持し、かつ第1測定ユニット10の第2電流電極42および第2電圧電極52を右脇腹ARに接触させた状態において、右体第2電圧値を測定する。また、左手HLで第1測定ユニット10の把持部を把持し、かつ第1測定ユニット10の第2電流電極42および第2電圧電極52を右脇腹ARに接触させた状態において、左体第1電圧値を測定する。また、左手HLで第1測定ユニット10の把持部を把持し、かつ第1測定ユニット10の第2電流電極42および第2電圧電極52を左脇腹ALに接触させた状態において、左体第2電圧値を測定する。
【0065】
・上記実施形態(図2)において、第1電極面13および第2電極面23の中央部分を凹ませることにより、これらの面の形状を湾曲形状とすることもできる。この場合、体表面に沿うように各電極面13,23を湾曲させることが好ましい。
【0066】
・上記実施形態(図2)において、各電極42,52,44,54と各電極面13,23との間にばねを設けることもできる。この構成によれば、各電極42,52,44,54を脇腹に接触させたとき、各電極42,52,44,54が脇腹から離間しにくい。
【0067】
・上記実施形態(図2)では、第2測定ユニット20に表示部70を設けているが、第1測定ユニット10に表示部70を設けることもできる。また、表示部70に代えてまたは加えて、第1測定ユニット10および第2測定ユニット20とは別体の表示装置を設けることもできる。なお、別体の表示装置としては、体組成測定装置1と通信することのできる体重計およびパーソナルコンピュータのモニタが挙げられる。
【0068】
・上記実施形態(図2)では、第1測定ユニット10に操作部60を設けているが、第2測定ユニット20に操作部60を設けることもできる。また、操作部60に代えてまたは加えて、第1測定ユニット10および第2測定ユニット20とは別体の操作装置を設けることもできる。なお、別体の操作装置としては、体組成測定装置1と通信することのできる体重計およびパーソナルコンピュータの入力機器が挙げられる。
【0069】
・上記実施形態(図2)では、第1測定ユニット10および第2測定ユニット20に各電流電極41〜44および各電圧電極51〜54を設けているが、第1測定ユニット10および第2測定ユニットを省略することもできる。この場合、各電流電極41〜44および各電圧電極51〜54と制御部80とケーブルにより互いに接続する。そして、体組成の測定時においては、各電流電極41〜44および各電圧電極51〜54を右手HR、右脇腹AR、左手HL、および左脇腹ALの対応する部位に貼り付ける。
【0070】
・上記実施形態(図1)では、電圧値を測定する体組成測定装置1に本発明を適用した場合の一例を示しているが、他の装置により測定された電圧値を読み込み、この電圧値に基づいて体組成を算出する体組成測定装置に対して本発明を適用することもできる。要するに、体肢および体幹を流れる電流の電圧値に基づいて体組成を算出する体組成測定装置する装置であれば、いずれの装置に対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1…体組成測定装置、10…第1測定ユニット、11…第1把持部、12…第1本体部、20…第2測定ユニット、21…第2把持部、22…第2本体部、41…第1電流電極(電流電極A)、42…第2電流電極(電流電極B)、43…第3電流電極(電流電極D)、44…第4電流電極(電流電極C)、51…第1電圧電極(電圧電極A)、52…第2電圧電極(電圧電極B)、53…第3電圧電極(電圧電極D)、54…第4電圧電極(電圧電極C)、91…支持部材(目印機構)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体肢および体幹を流れる電流の電圧値に基づいて体組成を算出する体組成測定装置において、
前記体肢のうちの所定の部分を体肢部分とし、前記体幹のうちの所定の部分を第1体幹部分とし、前記体幹のうちの前記第1体幹部分とは別の部分を第2体幹部分とし、前記体肢部分および前記第1体幹部分を流れる電流の電圧値を第1電圧値とし、前記体肢部分および前記第2体幹部分を流れる電流の電圧値を第2電圧値として、前記第1電圧値と前記第2電圧値との差である体電圧値に基づいて体組成を算出すること
を特徴とする体組成測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の体組成測定装置において、
前記体肢としての右半身の体肢を右体肢とし、前記体肢としての左半身の体肢を左体肢とし、前記体幹のうちの右半身に対応する前記体電圧値を右体電圧値とし、前記体幹のうちの左半身に対応する前記体電圧値を左体電圧値として、
前記右体肢を流れる電流に基づいて測定される前記第1電圧値および前記第2電圧値の差として前記右体電圧値を算出すること、
前記左体肢を流れる電流に基づいて測定される前記第1電圧値および前記第2電圧値の差として前記左体電圧値を算出すること、
ならびに、前記右体電圧値および前記左体電圧値に基づいて前記体組成を算出すること
を特徴とする体組成測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の体組成測定装置において、
前記右体電圧値および前記左体電圧値の平均値に基づいて前記体組成を算出すること
を特徴とする体組成測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の体組成測定装置において、
電流電極A、電流電極B、および電流電極Cを備えること、
電圧電極A、電圧電極B、および電圧電極Cを備えること、
前記電流電極A、前記電流電極B、前記電圧電極A、および前記電圧電極Bの互いの位置関係が固定されていること、
前記電流電極A、前記電流電極B、前記電圧電極A、および前記電圧電極Bと前記電流電極Cおよび前記電圧電極Cとの位置関係を変更することができること、
前記電圧電極Aおよび前記電圧電極Bは、前記第1電圧値および前記第2電圧値の一方を測定すること、
ならびに、前記電圧電極Aおよび前記電圧電極Bの一方および前記電圧電極Cは、前記第1電圧値および前記第2電圧値の他方を測定すること
を特徴とする体組成測定装置。
【請求項5】
請求項2または3を引用する請求項4に記載の体組成測定装置において、
電流電極Dを備えること、
電圧電極Dを備えること、
前記電流電極C、前記電流電極D、前記電圧電極C、および前記電圧電極Dの互いの位置関係が固定されていること、
前記電流電極A、前記電流電極B、前記電圧電極A、および前記電圧電極Bと前記電流電極C、前記電流電極D、前記電圧電極C、および前記電圧電極Dとの位置関係を変更することができること、
前記電圧電極Aおよび前記電圧電極Bは、前記右体肢を流れる電流に基づいて前記第1電圧値および前記第2電圧値の一方を測定すること、
前記電圧電極Aおよび前記電圧電極Bの一方および前記電圧電極Cおよび前記電圧電極Dの一方は、前記右体肢を流れる電流に基づいて前記第1電圧値および前記第2電圧値の他方を測定すること、
前記電圧電極Cおよび前記電圧電極Dは、前記左体肢を流れる電流に基づいて前記第1電圧値および前記第2電圧値の一方を測定すること、
ならびに、前記電圧電極Cおよび前記電圧電極Dの一方および前記電圧電極Aおよび前記電圧電極Bの一方は、前記左体肢を流れる電流に基づいて前記第1電圧値および前記第2電圧値の他方を測定すること
を特徴とする体組成測定装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の体組成測定装置において、
個別に構成された第1測定ユニットおよび第2測定ユニットを備えること、
前記第1測定ユニットは、前記電流電極A、前記電流電極B、前記電圧電極A、および前記電圧電極Bを備えること、
ならびに、前記第2測定ユニットは、前記電流電極Cおよび前記電圧電極Cを備えること
を特徴とする体組成測定装置。
【請求項7】
請求項5を引用する請求項6に記載の体組成測定装置において、
前記第2測定ユニットは、前記電流電極C、前記電流電極D、前記電圧電極C、および前記電圧電極Dを備えること
を特徴とする体組成測定装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の体組成測定装置において、
前記第1測定ユニットは、第1把持部および第1本体部を備えること、
前記第1把持部は、前記電流電極Aおよび前記電圧電極Aを備えること、
前記第1本体部は、前記電流電極Bおよび前記電圧電極Bを備えること、
前記第2測定ユニットは、第2把持部および第2本体部を備えること、
ならびに、前記第2把持部および前記第2本体部の一方は、前記電流電極Cおよび前記電圧電極Cを備えること
を特徴とする体組成測定装置。
【請求項9】
請求項7を引用する請求項8に記載の体組成測定装置において、
前記第2把持部および前記第2本体部の他方は、前記電流電極Dおよび前記電圧電極Dの他方を備えること
を特徴とする体組成測定装置。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか一項に記載の体組成測定装置において、
前記第1測定ユニットおよび前記第2測定ユニットの少なくとも一方は、使用者が把持して使用する手持ち型ユニットであり、使用者が把持した状態で操作することが可能な操作部を備えること
を特徴とする体組成測定装置。
【請求項11】
請求項6〜9のいずれか一項に記載の体組成測定装置において、
前記体電圧値を測定するときの前記第1測定ユニットの高さおよび前記第2測定ユニットの高さを揃えるための目印機構を備えること
を特徴とする体組成測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の体組成測定装置において、
前記第1測定ユニットおよび前記第2測定ユニットを互いに接続する支持部材を備えること、
ならびに、前記支持部材が前記目印機構として機能すること
を特徴とする体組成測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−46711(P2013−46711A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186557(P2011−186557)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】