説明

体脂肪測定装置

【課題】接触抵抗が低く、接触面積の広い親指の手のひら側を電極に当てて人体インピーダンスを測定する方式の携帯用の体脂肪測定装置を提供する。
【解決手段】人体インピーダンス測定回路2を内蔵し、正面にLCDの表示部Dを設け、その下方に電源/選択キーK1、数字のダウンキーK2とアップキーK3、確定キーK4および開始/終了キーK5を配置する。そして、左右側縁に凹面状の電極取付面aを設け、これらの電極取付面aにそれぞれ互いに電気的に絶縁する4端子電極を構成する一方の給電側電極E1、E1と、他方の検出側電極E2、E2を上下に配列して取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体インピーダンス測定用電極を備える携帯用の体脂肪測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体脂肪測定装置は、一対の給電側電極と検出側電極からなる4端子電極を人体に導電接触し、給電側電極に交流電圧を印加して検出側電極に生じる交流の電位差を検出して人体インピーダンスを測定する。
そして、この人体インピーダンスの測定結果と性別、年齢、身長、体重の個人データに基づいて体脂肪率を算出する。
携帯用の体脂肪測定装置は、一般に手のひらサイズの筐体に取り付けた電極に左右の手の指を導電接触させて両手間の人体インピーダンスを測定する。
【0003】
ところが、このとき電極に接触する指とその接触位置を常に同じにしないと、測定する度に人体インピーダンスの測定経路が変化し、また、交流電圧を印加・検出する2点間の距離も変化するので、測定値にばらつきが生じるという問題があった。
また、正確な測定結果を得るためには、電極に接触する皮膚の接触抵抗を十分低くする必要があった。
【0004】
一方、親指の手のひら側は、毛と皮脂腺がなく、柔らかな指腹が丘状に盛り上っているので、この指腹を接触させて測定すると、表皮が包み込むように電極に密着して接触抵抗を十分低くすることができる。
また、接触位置が指腹に固定されるので、人体インピーダンスの測定経路をいつも同じにすることができる。
しかも、接触面積が広いので、第一節と第二節の指腹、あるいは第一節の指腹とつけねにある母指球がちょうど当るように配置すると、給電側電極と検出側電極の2つを同時に接触させることができる。
これにより、交流電圧を印加・検出する2点間の距離をいつも同じにすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、接触抵抗が低く、接触面積の広い親指の手のひら側を電極に当てて人体インピーダンスを測定する方式の携帯用の体脂肪測定装置を提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明は以下のように構成した。
【0007】
すなわち、請求項1の発明は、携帯可能な筐体の正面の左右側縁に、
それぞれ凹面状の電極取付面を設け、
これらの電極取付面にそれぞれ人体インピーダンス測定用の給電側電極と検出側電極を上下に配列して取り付けてなる体脂肪測定装置である。
【0008】
請求項2の発明は、携帯可能な筐体の正面の左右側縁に、
それぞれ凸面状の電極取付面を設け、
これらの電極取付面にそれぞれ人体インピーダンス測定用の給電側電極と検出側電極を上下に配列して取り付けてなる体脂肪測定装置である。
【0009】
請求項3の発明は、前記給電側電極と検出側電極を電極取付面より突出させてなる請求項1または2記載の体脂肪測定装置である。
【0010】
請求項4の発明は、携帯可能な筐体の正面の左右側縁に、
それぞれ人体インピーダンス測定用の給電側電極と検出側電極を上下に配列して取り付けると共に、
これらの電極の表面に凹部を形成してなる体脂肪測定装置である。
【0011】
請求項5の発明は、携帯可能な筐体の正面の左右側縁に、
それぞれ人体インピーダンス測定用の給電側電極と検出側電極を上下に配列して取り付けると共に、
これらの電極の表面に凸部を形成してなる体脂肪測定装置である。
【0012】
請求項6の発明は、前記電極取付面の筐体背面にそれぞれ段差部を設けてなる請求項1または2記載の体脂肪測定装置である。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の体脂肪測定装置は、筐体の正面の左右側縁に設けた凹面状または凸面状の電極取付面にそれぞれ人体インピーダンス測定用の給電側電極と検出側電極を上下に配列して取り付ける。
あるいは、左右側縁にそれぞれ人体インピーダンス測定用の給電側電極と検出側電極を上下に配列して取り付け、これらの電極の表面に凹部または凸部を形成する。
従って、本発明によれば、両腕をまっすぐ伸ばして両手で筐体を把持すると、自然に左右の親指の手のひら側が電極に当たるので、柔らかく盛り上った指腹が電極表面に密着し、電極に接触する皮膚の接触抵抗を十分低くする。
また、親指の指腹を介して測定するので、人体インピーダンスの測定経路がいつも同じになる。
また、給電側電極と検出側電極の両方が同時に接触するので、交流電圧を印加・検出する2点間の距離がいつも同じになる。
また、凹面状または凸面状の電極取付面、あるいは電極の表面に形成した凹部または凸部が親指を電極に案内するので、必然的に手を置く位置が明瞭になり、電極に接触すべき親指の指腹の位置付けを容易にする。
【0014】
また、本発明の体脂肪測定装置は、給電側電極と検出側電極を電極取付面より突出させる。
従って、本発明によれば、給電側電極と検出側電極が親指の指腹に食い込むように密着して接触抵抗をさらに低減する。
また、本発明の体脂肪測定装置は、電極取付面の筐体背面にそれぞれ段差部を設ける。
従って、本発明によれば、段差部により背面に置くその他の指先が固定されて指に力が入りやすくなるので、背面の押圧力が強まり、電極に接触する指腹の密着度がさらに増大する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を実施した体脂肪測定装置の正面図である。
【図2】図1の横断面図である。
【図3】図1の変形例である。
【図4】図1の背面図である。
【図5】人体インピーダンス測定回路のブロック図である。
【図6】体脂肪測定装置の測定方法の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1と図2に、本発明を実施した体脂肪測定装置の正面図と横断面図を示す。
体脂肪測定装置1は、人体インピーダンス測定回路2を内蔵し、正面にLCDの表示部Dを設け、その下方に電源/選択キーK1、数字のダウンキーK2とアップキーK3、確定キーK4および開始/終了キーK5を配置する。
そして、左右側縁にそれぞれ凹面状の電極取付面aを設け、これらの電極取付面aにそれぞれ互いに電気的に絶縁する4端子電極を構成する一方の給電側電極E1、E1と、他方の検出側電極E2、E2を上下に配列して取り付ける。
あるいは、左右側縁にそれぞれ凸面状の電極取付面aを設けてそれぞれ給電側電極E1、E1と検出側電極E2、E2を上下に配列して取り付けてもよい。
また、給電側電極E1、E1と検出側電極E2、E2を電極取付面aより突出させて取り付ける。
これにより、皮膚に接触する電極の密着度を良好にする。
【0017】
あるいは、図3に示すように、左右側縁にそれぞれ給電側電極E1、E1と、検出側電極E2、E2を上下に配列して取り付け、これらの電極の表面に凹状または凸状いずれかの凹凸部bを形成してもよい。
【0018】
また、図4に示すように、電極取付面aの筐体背面に左右の段差部cを設け、段差部cを境にして背面の左右両端に凹陥部dを設ける。
これにより、背面を支持するその他の指先を係止して背面を裏側から押圧しやすくする。
【0019】
電源/選択キーK1は、約2秒のロングオンによる電源のオン・オフと、入力データや表示データの切換え操作を行う。
ダウンキーK2は、キーを押す毎に数字を1ずつ下降させて数字を入力する。
アップキーK3は、キーを押す毎に数字を1ずつ上昇させて数字を入力する。
性別、年齢、身長、体重の個人データを入力するときは、それぞれのデフォルト値が表示され、データ入力はそれらの数値をダウンキーK2とアップキーK3で修正しながら行う。
確定キーK4は、入力データの確定を行い、確定キー4が押されると次の入力に移行する。
開始/終了キーK5は、体脂肪の測定をスタートさせる。
【0020】
図5に、人体インピーダンス測定回路のブロック図を示す。
人体インピーダンス測定回路2は、発振器21が生成する50kHzの正弦波交流電圧を駆動回路22、切換スイッチ23Aを介して給電側電極E1、E1に供給する。
【0021】
人体インピーダンスを測定するときは、図6に示すように、体脂肪測定装置1の両端を手のひらで把持する。
このとき、凹面状あるいは凸面状の電極取付面aに案内されて給電側電極E1、E1と検出側電極E2、E2に左右の親指の指腹が密着する。
あるいは、表面に形成した凹状または凸状いずれかの凹凸部bに案内されて給電側電極E1、E1と検出側電極E2、E2に左右の親指の指腹が密着する。
そして、その他の指先が背面の段差部cに係止し、裏側から親指の指腹を押圧して密着度をさらに高める。
これにより、左右の検出側電極E2、E2の間に交流電圧が発生し、両手間の人体インピーダンスを測定する。
【0022】
検出側電極E2、E2に発生した交流電圧を切換スイッチ23A、帯域フィルタ24、整流回路25、増幅器26を介して直流電圧に変換し、波形整形、レベル調整、オフセット調整した後、A/D変換器27、I/Oインタフェース16を介してCPU14に入力する。
【0023】
人体インピーダンス測定回路2を構成する要素の経時変化や温度特性による測定誤差を修正するため、人体インピーダンスを測定する前に、検出側回路の出力特性をあらかじめ校正する。
すなわち、2つの変量である人体インピーダンスZと検出側回路が検出する交流電圧Vの関係を回帰直線Z=k・V+C0にあてはめる。
そして、抵抗値が既知の2つの抵抗R1とR2の両端に、人体インピーダンスZを測定するときと同じ所定の交流電圧を印加し、抵抗R1とR2の両端に発生する交流電圧Vを検出して回帰直線の比例定数kと固定定数C0を求める。
【0024】
このため、CPU14から制御信号を出力してI/Oインタフェース16、切換ユニット28、切換制御回路29Aを介して切換スイッチ23Aを切換え、駆動回路22と帯域フィルタ24との間に2つの抵抗R1とR2を接続する。
次に、CPU14から制御信号を出力してI/Oインタフェース16、切換ユニット28、切換制御回路29Bを介して切換スイッチ23Bを切換え、測定対象を抵抗R1あるいは抵抗R2に切換える。
【0025】
本発明を実施した体脂肪測定装置は以上のような構成で、体脂肪を測定するときは、まず、体脂肪測定装置1を手に持って電源/選択キーK1とダウンキーK2、アップキーK3および確定キー4を操作して性別、年齢、身長および体重の個人データを入力する。
次に、開始/終了キーK5を押した後、左右両側に取り付けた給電側電極E1、E1と検出側電極E2、E2に親指の指腹を押し当てて体脂肪の測定をスタートさせる。
測定を開始してしばらくすると、表示部Dに体脂肪率が表示され、次に電源/選択キーK1を押すと、基礎代謝量が表示される。
【符号の説明】
【0026】
1 体脂肪測定装置
2 人体インピーダンス測定回路
21 発振器
22 駆動回路
23 切換スイッチ
24 帯域フィルタ
25 整流回路
26 増幅器
27 A/D変換器
28 切換ユニット28
29 切換制御回路
D 表示部
E1 給電側電極
E2 検出側電極
K1 電源/選択キー
K2 ダウンキー
K3 アップキー
K4 確定キー
K5 開始/終了キー
R1、R2 ダミー抵抗
a 電極取付面
b 凹凸部
c 段差部
d 凹陥部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な筐体の正面の左右側縁に、
それぞれ凹面状の電極取付面を設け、
これらの電極取付面にそれぞれ人体インピーダンス測定用の給電側電極と検出側電極を上下に配列して取り付けてなる体脂肪測定装置。
【請求項2】
携帯可能な筐体の正面の左右側縁に、
それぞれ凸面状の電極取付面を設け、
これらの電極取付面にそれぞれ人体インピーダンス測定用の給電側電極と検出側電極を上下に配列して取り付けてなる体脂肪測定装置。
【請求項3】
前記給電側電極と検出側電極を電極取付面より突出させてなる請求項1または2記載の体脂肪測定装置。
【請求項4】
携帯可能な筐体の正面の左右側縁に、
それぞれ人体インピーダンス測定用の給電側電極と検出側電極を上下に配列して取り付けると共に、
これらの電極の表面に凹部を形成してなる体脂肪測定装置。
【請求項5】
携帯可能な筐体の正面の左右側縁に、
それぞれ人体インピーダンス測定用の給電側電極と検出側電極を上下に配列して取り付けると共に、
これらの電極の表面に凸部を形成してなる体脂肪測定装置。
【請求項6】
前記電極取付面の筐体背面にそれぞれ段差部を設けてなる請求項1または2記載の体脂肪測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−62546(P2011−62546A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264201(P2010−264201)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【分割の表示】特願2003−395143(P2003−395143)の分割
【原出願日】平成12年6月30日(2000.6.30)
【出願人】(000114628)ヤーマン株式会社 (31)
【Fターム(参考)】