説明

体重管理システム

【課題】就寝者の睡眠時間の減少に起因する体重の増加を未然に防ぐ。
【解決手段】就寝者の生体情報に基づいて体重を管理する体重管理システムを対象としている。就寝者の日ごとの睡眠時間を検出する感圧ユニット(20)及び本体ユニット(30)と、検出された日ごとの睡眠時間の減少変化に基づいて就寝者の体重の増加変化を予測する記憶演算部と、予測された体重の増加変化に基づく警告を就寝者に対して表示する表示部(60)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体重管理システムに関し、特に、利用者の睡眠時間変動に基づく体重管理対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食事の欧米化や運動不足に伴い、肥満症の増加が問題となっている。特に、肥満症のうちでも内臓脂肪量が多い内臓脂肪型肥満の増加が問題となっている。そして、内臓脂肪蓄積により高血圧症、糖尿病、高脂血症等のさまざまな病気が誘発された状態は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と呼ばれて注目されるようになっている。このメタボリックシンドロームに陥った人は、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の危険性が高まるため、治療の対象として考えられるようにさえなってきている。
【0003】
このような肥満症の予防または改善を行うことを目的として、特許文献1には、体動センサや温度センサや脈波センサなどにより利用者の生体代謝状態をモニタリングし、該モニタリングの結果から利用者のエネルギ代謝(消費カロリやエネルギ消費量)を算出する代謝量モニタリングシステムが開示されている。利用者は、この代謝量モニタリングシステムで算出されるエネルギ代謝(消費カロリ)を把握し、該エネルギ代謝を基準として利用者の体重の管理等に利用することができる。
【特許文献1】特開2007−319487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年の研究結果によれば、睡眠時間とBMI(BODY MASS INDEX)との間に高い相関関係があることが指摘されており、睡眠時間の減少に伴いBMIが増加することがわかってきた。加えて本願発明者らは、永年の鋭意研究の結果、図6及び図7に示すように、睡眠時間が不足した日の翌々日の体重が増加するという新たな相関関係を見出した。つまり、特許文献1に示された利用者の活動によるエネルギ代謝(消費カロリ)のみに基づいて体重管理を行っても、睡眠時間の減少に適切に対応した体重管理を行わない限り、結果として利用者の体重は増加変動してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、利用者の睡眠時間の減少に起因する体重の増加を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、利用者の生体情報に基づいて該利用者の日ごとの体重を管理する体重管理システムであって、上記利用者の日ごとの睡眠時間を検出する睡眠時間検出手段(20,30)と、該睡眠時間検出手段(20,30)で検出された利用者の日ごとの睡眠時間の減少変化に基づいて上記利用者の体重の増加変化を予測する体重予測手段(50)と、該体重予測手段(50)で予測された体重の増加変化に基づく警告を利用者に対して行う警告手段(55,60)とを備えている。
【0007】
上記第1の発明では、睡眠時間検出手段(20,30)が、利用者の日ごとの睡眠時間を検出する。次に、体重予測手段(50)は、利用者の睡眠時間の減少変化から利用者の体重の増加変化を予測する。そして、警告手段(55,60)は、予測された体重の増加変化に基づいた警告を利用者に対して行う。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記体重予測手段(50)は、上記睡眠時間検出手段(20,30)で検出された睡眠時間の所定時間からの時間減少量を求め、該時間減少量から上記利用者の体重の増加量または体重の増加率を算出する体重算出部(50)を備えている。
【0009】
上記第2の発明では、睡眠時間検出手段(20,30)が、利用者の睡眠時間を検出する。次に、体重算出部(50)は、予め設定された所定時間から利用者の睡眠時間を除いて時間減少量を算出し、該時間減少量から利用者の体重の増加量または体重の増加率を算出する。そして、警告手段(55,60)は、算出された体重の増加量または増加率に基づいた警告を利用者に対して行う。
【0010】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、上記睡眠時間検出手段(20,30)は、上記利用者の睡眠時における中途覚醒時間(Ttotal)を検出する中途覚醒時間検出部(48,50)を備え、上記睡眠時間検出手段(20,30)は、上記利用者の総睡眠時間(Tmax)から中途覚醒時間(Ttotal)を除いた時間を該利用者の実睡眠時間(Ts)とするよう構成されている。
【0011】
上記第3の発明では、中途覚醒時間検出部(48,50)が、利用者の睡眠時の中途覚醒時間(Ttotal)を検出する。次に、睡眠時間検出手段(20,30)は、利用者の総睡眠時間(Tmax)から中途覚醒時間(Ttotal)を除いた実睡眠時間(Ts)を算出する。そして、体重予測手段(50)は、上記実睡眠時間(Ts)から利用者の体重の増加変化を予測する。そして、警告手段(55,60)は、利用者に対して予測された体重の増加変化に基づいた警告を行う。
【0012】
第4の発明は、上記第1〜3の何れか1つの発明において、上記睡眠時間検出手段(20,30)は、上記利用者の睡眠時間を計測する睡眠センサ(21,33)を備えている。
【0013】
上記第4の発明では、睡眠時間検出手段(20,30)は、睡眠センサ(21,33)で利用者の睡眠時間を計測する。そして、体重予測手段(50)は、睡眠センサ(21,33)で計測された睡眠時間の減少変化から利用者の体重の増加変化を予測する。そして、警告手段(55,60)は、利用者に対して予測された体重の増加変化に基づいた警告を行う。
【0014】
第5の発明は、上記第1〜4の何れか1つの発明において、上記警告手段(55,60)は、上記体重予測手段(50)で予測された体重の増加変化に基づく警告を利用者に対して表示する警告表示部(60)を備えている。
【0015】
上記第5の発明では、睡眠時間検出手段(20,30)が、利用者の睡眠時間を検出する。次に、体重予測手段(50)は、利用者の体重の減少変化から利用者の体重の増加変化を予測する。そして、警告表示部(60)は、予測された体重の増加変化に基づいた警告を利用者に対して表示する。
【発明の効果】
【0016】
上記第1発明によれば、利用者に対して日ごとの睡眠時間の減少変化に基づく体重の増加を警告するようにしたため、警告を受けた利用者が、睡眠時間の減少による体重の増加予測について認識することができる。これにより、利用者は、体重の増加に備えた注意や対策を行い易くなる。この結果、利用者の日ごとの睡眠時間の減少に起因する利用者の体重の増加を未然に防止することができる。
【0017】
上記第2の発明によれば、利用者の睡眠時間の減少量から利用者の体重増加量または体重増加率を求めるようにしたため、利用者は、予測される自己の体重増加量等について定量的に認識することができる。これにより、利用者は、体重の増加に備えた具体的な対応・対策を行うことができる。この結果、利用者の日ごとの睡眠時間の減少に起因する利用者の体重の増加を未然に防止することができる。
【0018】
上記第3の発明によれば、利用者の総睡眠時間(Tmax)から中途覚醒時間(Ttotal)を除いた実睡眠時間(Ts)を利用者の「睡眠時間」とするようにしたため、利用者の正確な睡眠時間を求めることができる。これにより、総睡眠時間(Tmax)から体重の増加予測をするよりも、体重の増加予測の精度を高めることができる。この結果、利用者の日ごとの睡眠時間の減少に起因する利用者の体重の増加を未然に防止することができる。
【0019】
上記第4の発明によれば、睡眠センサ(21,33)を用いて利用者の睡眠状態を測定するようにしたため、利用者の正確な睡眠時間を求めることができる。これにより、例えば利用者の在床している時間の全てを「睡眠時間」とするよりも、利用者の体重の増加予測の精度を高めることができる。この結果、利用者の日ごとの睡眠時間の減少に起因する利用者の体重の増加を未然に防止することができる。
【0020】
上記第5の発明によれば、予測された体重の増加変化に基づく警告を利用者に対して表示する警告表示部(60)を設けたため、利用者は、自己の体重の増加変化に基づく警告を視覚的に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る体重管理システム(1)は、寝室(5)内で就寝する利用者(以下、就寝者)の睡眠時間を検出し、検出された睡眠時間から就寝者の翌々日の体重の増加変化を予測し、予測された体重の増加変化に基づく警告を上記就寝者に対して行うものである。
【0023】
具体的に、上記体重管理システム(1)は、感圧ユニット(20)と、本体ユニット(30)と、表示装置(60)とを備えている。
【0024】
上記感圧ユニット(20)は、就寝者から生起する体動を本体ユニット(30)へ伝達させるためのものある。感圧ユニット(20)は、感圧部(21)と圧力伝達部(22)とを備えている。
【0025】
上記感圧部(21)は、一端が閉塞して他端が開口する細長の中空状のチューブによって構成されている。感圧部(21)は、寝室(5)のベッド等の寝具(6)内に敷設されている。
【0026】
上記圧力伝達部(22)は、両端が開口する細長の中空状のチューブによって構成されている。圧力伝達部(22)は、上記感圧部(21)よりも小径となっている。圧力伝達部(22)は、一端が上記感圧部(21)の開口部(23)に接続し、他端が本体ユニット(30)に接続している。
【0027】
上記本体ユニット(30)は、ケーシング(31)と取付部(32)と受圧部(33)とを有している。ケーシング(31)は、扁平な箱状に形成されており、例えば、寝室(5)内の床面に設置されている。ケーシング(31)の内部には、回路ユニット(40)が内蔵されている。
【0028】
上記取付部(32)は、ケーシング(31)の側面に形成されている。取付部(32)は、内方に向かって凹んだ略円環状の凹部(32a)と、該凹部(32a)内から外方へ突出する凸部(32b)とを有している。凸部(32b)には、ケーシング(31)の外部と内部とを連通するように軸方向に貫通穴(32c)が形成されている。そして、凸部(32b)には、上記圧力伝達部(22)の他端部が内嵌する。これにより、上記感圧部(21)の内部と圧力伝達部(22)の内部と貫通穴(32c)とが連通している。
【0029】
上記受圧部(33)は、貫通穴(32c)の背面側に位置するようにケーシング(31)に内蔵されている。受圧部(33)は、マイクロフォンや圧力センサ等によって構成されている。寝具(6)上の就寝者から体動が生起すると、この体動が感圧部(21)に作用する。これにより、感圧部(21)の内圧は、圧力伝達部(22)及び貫通穴(32c)を介して受圧部(33)に作用する。受圧部(33)は、この内圧を電気的な信号に変換し、本体ユニット(30)内の回路ユニット(40)に出力する。つまり、感圧部(21)及び受圧部(33)は、本発明に係る睡眠センサを構成している。以上のような上記感圧ユニット(20)、及び本体ユニット(30)は、就寝者の睡眠時間を検出する睡眠時間検出手段を構成している。
【0030】
上記回路ユニット(40)には、図3に示すように、信号処理部(41)と判定部(45)と記憶演算部(50)と出力部(55)とが設けられている。
【0031】
上記信号処理部(41)は、就寝者の体動が作用する受圧部(33)から出力された信号(以下、体動信号と称する)を所定のレベル、所定の周波数帯域の信号に変調するものである。例えば信号処理部(41)では、受圧部(33)から出力された体動信号から、就寝者の呼吸や心拍に由来する体動信号が注出される。
【0032】
上記判定部(45)は、信号処理部(41)で変調された後の体動信号に基づいて、就寝者の睡眠状態に関する種々の判定を行うものである。判定部(45)は、在床判定部(46)と、入眠判定部(47)と、中途覚醒判定部(48)と、覚醒判定部(49)とを有している。
【0033】
上記在床判定部(46)は、就寝者が寝具(6)に在床しているか、寝具から離床しているかの判定を行うものである。具体的には、在床判定部(46)では、上記の体動信号の大きさと、予め設定された判定閾値(在床判定閾値)との比較によって、在床/離床の判定が行われる。即ち、在床判定部(46)では、例えば体動信号が在床判定閾値を所定時間以上継続して下回る場合、就寝者から体動が生起していないとみなされるので、この場合には「離床」と判定される。逆に、在床判定部(46)では、例えば体動信号が在床判定閾値を所定時間以上継続して上回る場合、就寝者から体動が生起しているとみなされるので、この場合には「在床」と判定される。
【0034】
上記入眠判定部(47)は、就寝者が寝具(6)上で入眠したか否かを判定するものである。ここで、「入眠」とは、就寝者が寝具(6)に在床した後、初めて眠りについた動作を意味する。入眠判定部(47)では、就寝者が在床している状態において、体動信号の大きさと、所定の判定閾値(睡眠判定閾値)との比較によって、就寝者の入眠の判定が行われる。即ち、入眠判定部(47)では、上記在床判定部(46)で就寝者が「在床」と判定された後、初めて体動信号が所定時間以上継続して睡眠判定閾値を下回る場合、在床後に就寝者から体動がさほど生起していないとみなされるので、この場合には「入眠」と判定される。
【0035】
上記中途覚醒判定部(48)は、睡眠中の就寝者が寝具(6)上で中途覚醒したか否かを判定するものであって、中途覚醒検出手段を構成している。ここで、「中途覚醒」とは、就寝者が入眠した後、朝等に目覚めるまでの間に、就寝者が一時的に覚醒することを意味する。中途覚醒判定部(48)では、就寝者が入眠している状態において、体動信号の大きさと所定の判定閾値(睡眠判定閾値)との比較によって中途覚醒の発生の有無が検出される。
【0036】
上記覚醒判定部(49)は、就寝者が朝等に覚醒したか(目覚めたか)否かを判定するものである。ここで「覚醒」とは、就寝者が「在床」と判定されている状態において、就寝者が最後に覚醒したことをいう。つまり、覚醒時刻は、例えば朝などにおいて、就寝者が起床する直前に覚醒した時刻であり、睡眠中の一時的な中途覚醒の時刻とは異なるものである。この覚醒時刻は、例えば朝などに「在床」から「離床」へ移行した時刻の最も直前に「睡眠」から「覚醒」へ移行した時刻が用いられる。
【0037】
上記記憶演算部(50)は、就寝者の睡眠時間をカウントする睡眠時間カウンタ(51)と、就寝者の中途覚醒時間(Tn)をカウントする中途覚醒時間カウンタ(52)が設けられると共に、就寝者個人における睡眠不足時間と翌々日の体重増加量との関係を対応させた体重データ(53)と、所定期間(例えば一週間)における就寝者の平均睡眠時間データ(54)とが格納されている。記憶演算部(50)には、体動信号と、上記判定部(45)で判定された判定結果と、判定部(45)で判定された判定時刻とが、時々刻々と記憶/蓄積されていく。
【0038】
上記睡眠時間カウンタ(51)では、就寝者が「入眠」と判断された後から、就寝者が朝等に「覚醒」と判断されるまでの就寝者の睡眠時間がカウントされる。そして、記憶演算部(50)では、睡眠時間カウンタ(51)で就寝者が入眠した時刻から、就寝者が起床する直前に覚醒した時刻までの時間を算出し、この時間を就寝者の「総睡眠時間(Tmax)」とする。
【0039】
上記中途覚醒時間カウンタ(52)では、就寝者が「入眠」と判断された後において、就寝者の中途覚醒時間(Tn)がカウントされる。記憶演算部(50)では、中途覚醒時間カウンタ(52)のカウントを就寝者の「中途覚醒時間(Tn)」とする。ここで、就寝者が朝等に起床するまでに中途覚醒が複数回発生する場合がある。このため、1回目の中途覚醒時間(T1)から就寝者が起床するまでのn回目の中途覚醒時間(Tn)の合計時間(T1+T2+‥Tn)を算出し、この合計時間である中途覚醒合計時間(Ttotal)を就寝者の「中途覚醒時間」とする。
【0040】
そして、記憶演算部(50)では、就寝者の総睡眠時間(Tmax)から中途覚醒合計時間(Ttotal)を除いた就寝者の実睡眠時間(Ts)が算出される(Ts=Tmax−Ttotal)。続いて上記記憶演算部(50)では、平均睡眠時間データ(54)から得られた就寝者の1週間における平均睡眠時間と、就寝者の実睡眠時間(Ts)との差分から就寝者の睡眠時間減少量である睡眠不足時間を算出する。次に、この睡眠不足時間を体重データ(53)に格納された図4に示す関係に適用して就寝者の睡眠不足時間から予測される翌々日の体重増加量を算出する。つまり、記憶演算部(50)は、就寝者の睡眠時間の減少変化から翌々日の体重増加変化を予測する体重予測手段を構成し、且つ就寝者の睡眠時間減少量(睡眠不足時間)から翌々日の体重増加量を算出する体重算出部を構成するものである。
【0041】
上記出力部(55)は、上記記憶演算部(50)で算出された就寝者の体重増加量を外部出力装置に対して出力するためのものである。本実施形態では、出力部(55)は、表示装置(60)と接続されている。
【0042】
上記表示装置(60)は、上記回路ユニット(40)の出力部(55)から出力される就寝者の体重増加量を就寝者に対して表示するものである。つまり、出力部(55)と表示装置(60)とは、就寝者に対して体重増加変化に基づく警告を行う警告手段を構成している。また、表示装置(60)は、就寝者に対する警告を表示する警告表示手段を構成している。表示装置(60)は、液晶ディスプレイに構成され、本体ユニット(30)に接続されている。表示装置(60)では、出力部(55)から出力される就寝者の体重増加量を示す電気出力信号を受け取ると、該出力信号に基づいて就寝者に対して体重増加量を表示する。
【0043】
−体重管理システムの動作−
本実施形態に係る体重管理システム(1)の動作について説明する。
【0044】
上記体重管理システム(1)では、図5に示すように、まず就寝者の実睡眠時間(Ts)を算出する。
【0045】
ステップST1では、在床判定部(46)によって就寝者の在床/離床判定が行われる。ステップST1で就寝者が「在床」と判定されると、ステップST2へ移行する。ステップST2では、入眠判定部(47)によって就寝者の入眠判定が行われる。ステップST2で就寝者が「入眠」と判定されると、ステップST3へ移行する。
【0046】
ステップST3では、睡眠時間カウンタ(51)で就寝者の「睡眠時間」のカウントを開始する。カウントが開始されると、ステップST4へ移行する。次いで、ステップST4では、中途覚醒判定部(48)によって就寝者の「中途覚醒」の判定が行われる。ステップST4で就寝者が「中途覚醒」と判定されると、ステップST5へ移行する。ステップST5では、中途覚醒時間カウンタ(52)で就寝者の1回目の「中途覚醒時間(T1)」のカウントを開始する。カウントが開始されると、ステップST6へ移行する。
【0047】
ステップST6では、中途覚醒判定部(48)によって就寝者の「中途覚醒」の判定が行われる。ステップST6での「中途覚醒」の判定は、中途覚醒が継続しているか否かについて判断するものである。ここで、ステップST6で就寝者が「中途覚醒していない」と判定されると、ステップST12へ移行する。ステップST12では、中途覚醒時間カウンタ(52)のカウントを停止する。カウントが停止するとステップST4へ移行する。そして、ステップST4では、就寝者の2回目の「中途覚醒」の判定が行われる。これらの「中途覚醒」の判定は、就寝者が朝等に目覚めるまで繰り返し行われる。つまり、就寝者が目覚めるまでに「中途覚醒」は合計n回発生することになる。一方、ステップST6で就寝者が「中途覚醒」と判定されると、ステップST7へ移行する。ステップST7では、在床判定部(46)によって就寝者の在床/離床判定が行われる。ここでステップST7で就寝者が「在床」と判定されると、ステップST6へ移行する。一方、ステップST7で就寝者が「在床していない」と判定されると、ステップST8へ移行する。ステップST8では、睡眠時間カウンタ(51)のカウントを停止する。カウントが停止するとステップST9へ移行する。ステップST9では総睡眠時間Tmaxが算出され、ステップST10へ移行する。ステップST10ではn回の中途覚醒時間の合計時間(Ttotal)が算出されてステップST11へ移行する。ステップST11では、実睡眠時間(Ts)が算出される。
【0048】
次に、記憶演算部(50)では平均睡眠時間データ(54)から得られる就寝者の1週間の平均睡眠時間と上記実睡眠時間(Ts)との差分から就寝者の睡眠不足時間を算出する。そして、体重データ(53)に基づいて、得られた睡眠不足時間に対応する就寝者の翌々日の体重増加量を算出する。記憶演算部(50)は、算出された体重増加量を出力部(55)を介して表示装置(60)に表示することで就寝者に体重増加の警告を行う。
【0049】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、就寝者の睡眠不足時間から翌々日の体重増加量を求め、就寝者に対して体重増加量に基づく警告を行うようにした。これにより、就寝者は、自己の翌々日の体重増加の予測と共に、体重増加量について定量的に認識することができるため、体重増加に備えた注意や対策を行い易くなる。また、感圧部(21)及び受圧部(33)によって就寝者の睡眠状態を測定するようにしたため、例えば就寝者の在床時間の全てを「睡眠時間」とするよりも、より正確な睡眠時間を求めることができる。さらに、就寝者の総睡眠時間(Tmax)から中途覚醒合計時間(Ttotal)を除いた実睡眠時間(Ts)を就寝者の「睡眠時間」として使用したため、就寝者の正確な睡眠時間を求めることができる。これらにより、総睡眠時間(Tmax)を「睡眠時間」として体重の増加予測をするよりも、体重の増加予測の精度を高めることができる。続いて、予測された就寝者の体重の増加量を就寝者に対して表示しつつ警告するようにしたため、就寝者は、自己の体重の増加量を視覚的に認識することができる。これらの結果、就寝者の日ごとの睡眠時間の減少に起因する体重の増加を未然に防止することができる。
【0050】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0051】
本実施形態の体重管理システム(1)では、就寝者の睡眠不足時間から体重増加量を算出したが、本発明は、就寝者の睡眠不足時間から体重増加率を算出するようにしてもよい。これにより、様々な体重範囲の人々の体重を予測することができる。
【0052】
また、本実施形態の体重管理システム(1)では、就寝者の体重増加を液晶ディスプレイである表示装置(60)に表示して就寝者に警告するようにしたが、本発明は、印刷による出力手段、音声等その他の手段によって就寝者に警告するようにしてもよい。
【0053】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、本発明は、利用者の睡眠時間変動に基づく体重管理システムについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る体重管理システムの概略図である。
【図2】体重管理システムの本体ユニットを拡大した斜視図である。
【図3】回路ユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】記憶演算部に格納される就寝者の睡眠不足時間と体重増加量との関係を示すグラフである。
【図5】体重管理システムの実睡眠時間を求めるためのフローチャートである。
【図6】睡眠時間と体重との関係を示すグラフである。
【図7】睡眠不足が体重増加に影響するタイミングを示す模式図である。
【符号の説明】
【0056】
1 体重管理システム
20 感圧ユニット(睡眠時間検出手段)
21 感圧部(睡眠センサ)
30 本体ユニット(睡眠時間検出手段)
33 受圧部(睡眠センサ)
40 回路ユニット
48 中途覚醒判定部(中途覚醒時間検出部)
50 記憶演算部(体重予測手段・体重算出部・中途覚醒時間検出部)
55 出力部(警告手段)
60 表示装置(警告手段・警告表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の生体情報に基づいて該利用者の日ごとの体重を管理する体重管理システムであって、
上記利用者の日ごとの睡眠時間を検出する睡眠時間検出手段(20,30)と、
該睡眠時間検出手段(20,30)で検出された日ごとの睡眠時間の減少変化に基づいて上記利用者の体重の増加変化を予測する体重予測手段(50)と、
該体重予測手段(50)で予測された体重の増加変化に基づく警告を利用者に対して行う警告手段(55,60)とを備えている
ことを特徴とする体重管理システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記体重予測手段(50)は、上記睡眠時間検出手段(20,30)で検出された睡眠時間の所定時間からの時間減少量を求め、該時間減少量から上記利用者の体重の増加量または体重の増加率を算出する体重算出部(50)を備えている
ことを特徴とする体重管理システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記睡眠時間検出手段(20,30)は、上記利用者の睡眠時における中途覚醒時間(Ttotal)を検出する中途覚醒時間検出部(48,50)を備え、
上記睡眠時間検出手段(20,30)は、上記利用者の総睡眠時間(Tmax)から中途覚醒時間(Ttotal)を除いた時間を該利用者の実睡眠時間(Ts)とするよう構成されている
ことを特徴とする体重管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1つにおいて、
上記睡眠時間検出手段(20,30)は、上記利用者の睡眠時間を計測する睡眠センサ(21,33)を備えている
ことを特徴とする体重管理システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1つにおいて、
上記警告手段(55,60)は、上記体重予測手段(50)で予測された体重の増加変化に基づく警告を利用者に対して表示する警告表示部(60)を備えている
ことを特徴とする体重管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−63788(P2010−63788A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235157(P2008−235157)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】