体重管理装置
【課題】体水分量を用いて体重変化の傾向を予測する。
【解決手段】被測定者の生体インピーダンスを測定する手段と、測定される生体インピーダンスを用いて、被測定者の体内の水分量の時間的変化を検出する水分変化検出手段と、水分量の時間的変化に基づき、水分量の単位期間あたりの水分変動量を算出する水分変動量算出手段と、単位期間あたりの水分変動量を用いて、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する判定手段と、判定手段による判定の結果を出力する手段と、を備える。
【解決手段】被測定者の生体インピーダンスを測定する手段と、測定される生体インピーダンスを用いて、被測定者の体内の水分量の時間的変化を検出する水分変化検出手段と、水分量の時間的変化に基づき、水分量の単位期間あたりの水分変動量を算出する水分変動量算出手段と、単位期間あたりの水分変動量を用いて、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する判定手段と、判定手段による判定の結果を出力する手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体重管理装置に関し、特に、体重変動を予測する機能を備える体重管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康維持のために体重変動を予測する機能の提供が要求されてきた。当該機能としては、たとえば、一定期間体重値を測定して、その結果から得られる近似曲線から体重変動を予測する方法などがある。
【0003】
また、健康維持のために生体中の水分量を測定し、測定結果から体水分量の状態を判定し、病態把握を支援するために、その判定結果を出力する装置が、特許文献1(特開2002−45346号公報)に記載される。
【0004】
また、体重変化の状態と体水分量の状態とを組合わせて、総合的に健康状態の判定を行う体重管理装置が、特許文献2(特開2002−112976号公報)に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−45346号公報
【特許文献2】特開2002−112976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、体重変動は体水分量と関係することが知られている。ダイエット目的など正確な体重管理を実現するために、体水分量との関係から体重変動を予測する機能の提供が望まれる。しかしながら、特許文献1(特開2002−45346号公報)では体重変動を予測するものではない。また、特許文献2(特開2002−112976号公報)は、測定した体水分量の状態を用いて健康状態の判定をし、その結果を出力するが、体水分量の状態を用いて体重変動を予測する機能を提供するものではない。
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、体重変化の傾向を予測する体重管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被測定者の生体インピーダンスを測定する手段と、測定される生体インピーダンスを用いて、被測定者の体内の水分量の時間的変化を検出する水分変化検出手段と、水分量の時間的変化に基づき、水分量の単位期間あたりの水分変動量を算出する水分変動量算出手段と、単位期間あたりの水分変動量を用いて、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する判定手段と、判定手段による判定の結果を出力する手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、体重の変化傾向を予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る体重体組成計の外観図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る体重管理システム1の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る体重体組成計の体重管理に係る機能構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る全体処理のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る記録・分析処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る減量判定処理のフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係るリバウンド判定処理のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る体重記憶部の記憶内容を例示する図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るインピーダンス記憶部の記憶内容を例示する図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る体重・インピーダンスの移動平均値の変化を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態に係る表示部による表示例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る表示部による表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0012】
本実施の形態では、「リバウンド」とは、体重減少が順調に継続している状態から増加状態に移行する現象を指す。「リバウンド期」とは、リバウンドを経て体重が増加する状態が継続する期間を指す。
【0013】
また「停滞期」とは、体重減少が順調に継続している状態から体重が変化しない状態が継続する期間を指す。
【0014】
本実施の形態では、体重管理装置として、体重だけでなく生体インピーダンスを測定することにより体脂肪率などの体組成情報も取得することができる体重体組成計を例示する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る体重体組成計3の外観図である。図2は、本発明の実施の形態に係る体重管理システム1の構成図である。
【0016】
図2の体重管理システム1は、体重体組成計3と、体重体組成計3と通信するサーバ(サーバコンピュータ)5を備える。図2では、説明を簡単にするために、サーバ5には1台の体重体組成計3が接続されるとしているが、複数台の体重体組成計3が接続されてもよい。図2では、体重体組成計3とサーバ5は無線または有線により通信する。なお、体重体組成計3とサーバ5との間でのデータの授受は通信によらず、記憶媒体を介して授受するようにしてもよい。
【0017】
図1を参照して、体重体組成計3は、被測定者(ユーザ)が手で持つ第1の筐体である表示操作部10、被測定者が乗る第2の筐体である体重測定部30とを備える。
【0018】
表示操作部10は、図2に示すように通信部11、記憶部12、計時部13、操作部14、表示部15、定電流回路部16、電源部17、CPU(Central Processing Unit)181を有する制御部18、二重積分AD(Analog/Digital)部19、インピーダンス検知部20、および電極部21を含む。
【0019】
通信部11は、制御部18に接続されており、該制御部18からの制御信号に従ってサーバ5と通信する。なお、通信部11は、サーバ5に限らず、歩数計などの他の生体情報取得装置と通信する、あるいはパーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話機など)と通信するなど、適宜の装置と通信するとしてもよい。
【0020】
記憶部12は、不揮発性のメモリやハードディスクなどの情報を記憶できる装置を含む。記憶部12は、接続された制御部18から制御信号に従って情報の読出しと書き込みがされる。記憶部12は、測定した体重を記憶するための体重記憶部121、および測定(算出)されたインピーダンス値を記憶するためのインピーダンス記憶部122を含む。
【0021】
計時部13は、現在日時などの時刻を計時するタイマ・カウンタから構成される装置であり、必要に応じて時刻を制御部18へ出力する。
【0022】
操作部14は、押下などの操作がされる複数のボタン・スイッチなど(図1参照)を含む。被測定者は操作部14を操作することにより、ID、性別、年齢、身長、体重などの被測定者の個人情報・身体情報を入力することができる。入力されたこれら情報は、制御部18へ出力される。
【0023】
表示部15は、液晶画面(図1参照)などの表示装置によって構成され、制御部18から与えられる画像信号に従って文字や図形などの画像を表示する。
【0024】
定電流回路部16は、制御部18の制御に基づいて、電源部17から供給される高周波(交流)電流を電流印加用の電極部21に一方向に流す。
【0025】
電源部17は、制御部18を含む各部に動作電力を供給する。
制御部18は、CPU181、および図示のないROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を含むマイコン(マイクロコンピュータ)により構成されており、ROM等に記憶されているプログラムおよび各種データに従って各部の制御動作や演算動作を実行する。
【0026】
このプログラムおよびデータには、体重管理のためのプログラムおよびデータが含まれる。
【0027】
二重積分AD部19は、二重積分型のAD変換部である。動作においては、インピーダンス検知部20から出力されるアナログ信号(電圧信号)をデジタル信号に変換して制御部18に出力する。
【0028】
インピーダンス検知部20は、体重測定部30に設けられている電極部36と表示操作部10に設けられている電極部21との電位差に基づいて、被測定者の生体インピーダンスを算出する。生体インピーダンス値とは、人体が伝導性の高い組織(Conductor:除脂肪)と低い組織(Insulator:体脂肪)で構成されているという電気的特性と、インピーダンス測定値に二つの組織の比率が反映されるという特性を反映する。したがって、筋肉・体水分は脂肪に比較して電流が流れ易く電気的抵抗が低いために、他の組織構成がかわらないとすれば、算出されるインピーダンス値が低いほど、体水分量は多く、逆に、インピーダンス値が高いほど、体水分量は少ないことがわかる。
【0029】
電極部21は、被測定者が手で持つ表示操作部10のグリップ部分(図1参照)の表面に設けられる。電極部21は、生体インピーダンスを算出するために、グリップ部分を握っている被測定者の手のひらへ電源部17から供給される高周波(交流)電流を印加する。
【0030】
体重測定部30は、操作部31、電池32、荷重検知部33、および電極部36を含む。操作部31は、電源のON/OFFを切り替えるために操作される入力スイッチとして機能し、操作部31は操作されると操作に応じた入力信号を制御部18に出力する。
【0031】
電池32は、電源部17を中心に各部へ電力を供給する。
荷重検知部33は、複数のロードセル34を内蔵する。筐体の上面カバーを兼ね備える上面カバー部35(図1参照)の上に乗った被測定者の体重を測定する。測定された体重は、二重積分AD部19に出力される。
【0032】
電極部36は、被測定者が乗る体重測定部30の上面部分(図1参照)の表面に設けられており、生体インピーダンスを算出するために、被測定者の足裏から流れてくる電流を検出する電流測定用の電極である。電極部36は、被測定者の左足指側、左足踵側、右足指側、右足踵側に接触する4つの電極を含む。
【0033】
荷重検知部33のロードセル34のそれぞれは、体重測定部30の上面部分にかかる荷重を測定可能なように、ここでは、電極部36の各電極の下部に配置される。したがって、上面部分に被測定者が乗った場合に、生体インピーダンスと体重の両方を測定することができる。
【0034】
体重測定において、各ロードセル34には、被測定者の体重による荷重がかかる。各ロードセル34は、かけられる荷重に応じて変形する金属部材からなる歪体と、歪体に張られた歪ゲージとからなる。歪体が歪むと、歪ゲージが伸縮して歪ゲージの伸縮に応じて抵抗値が変化し、その抵抗変化は荷重信号出力として導出される。したがって、被測定者が上面部分に乗って、両足が各ロードセル34にかかった場合、ロードセル34にかけられる被測定者の体重により歪体が歪むと、上述の荷重信号出力の変化として体重が測定される。
【0035】
なお、荷重を検出するための荷重センサとして、本実施の形態では、ロードセル34を利用しているが、上面部へ加えられた力の量が検出できるものであれば、たとえば、ばねやピエゾフィルムを利用したセンサや、圧縮素子、変位センサなどであってもよい。
【0036】
サーバ5は、通信部51、CPU521、ROM、RAMを有するコンピュータからなる制御部52、操作部53、表示部54、および記憶部55を含む。さらに、CD−ROM(compact-disc Read Only Memory)などの記憶媒体57が着脱自在に装着されて、装着された記憶媒体57をCPU521の制御の下にアクセス(読み書き)するI/F(Interface)56を備える。
【0037】
通信部51は、制御部52の制御に従って体重体組成計3とデータを送受信する。制御部52のCPU521は、ROMなどに記憶されているプログラムおよびデータに従って各部の動作を制御するとともに、各種の演算を実行する。
【0038】
操作部53は、キーボードやマウスなどを含む。オペレータにより操作されることにより入力された信号は、制御部52に出力される。
【0039】
表示部54は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどに相当する。表示部54は、制御部52から与えられる制御信号に従って絵・文字などの画像を表示する。
【0040】
記憶部55は、ハードディスクなどの固定の記憶装置、またはフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのCPU521のコンピュータが読取り可能な記録媒体に相当する。
【0041】
記憶部55は、体重体組成計3で測定したデータ(体組成情報、体重データ、測定日時データなど)、および被測定者の氏名(ID)や住所といった個人情報など、被測定者に関する種々のデータが記憶される。
【0042】
図3は、本発明の実施の形態に係る体重体組成計3の体重管理に係る機能構成図である。図3を参照して、CPU181は、体重取得部182、水分量取得部183、記録処理部184、減量判定部185、リバウンド判定部186および出力処理部187を含む。これらの各部は、CPU181によって実行されるプログラム、またはプログラムと回路の組合せにより実現される。このプログラムは、制御部18の図示のないROMに予め格納されている。CPU181は、ROMからプログラムを読出し、読み出したプログラムの命令を実行することにより、各部の機能が実現される。
【0043】
体重取得部182は、荷重検知部33からの出力信号に基づき、体重を算出する。
水分量取得部183は、二重積分AD部19から出力される生体インピーダンス値を体水分量として取得する。
【0044】
記録処理部184は、体重取得部182および水分量取得部183により取得される被測定者の体重と体水分量を、体重記憶部121とインピーダンス記憶部122のそれぞれに格納する。本実施の形態では、上述したように体重と生体インピーダンスとは同時に測定されるので、記録処理部184は、体重、生体インピーダンスおよび計時部13により計時された測定時間を関連付けして記憶部12に格納する。また、記録処理部184は、記憶部12からのデータ読出時には、関連付けされた体重、生体インピーダンスおよび測定時間を記憶部12から読出す。
【0045】
減量判定部185は、体重の変動に基づき体重が順調に減少し続けている減量過程にあるか否かを判定する。
【0046】
リバウンド判定部186は、リバウンドまたはリバウンド期を判定する。
出力処理部187は、表示部15への情報の表示、または通信部11を介したサーバ5への情報送信のための処理をする。
【0047】
図4は、本発明の実施の形態に係る全体処理のフローチャートである。図5は、本発明の実施の形態に係る記録・分析処理のフローチャートである。図6は、本発明の実施の形態に係る減量判定処理のフローチャートである。図7は、本発明の実施の形態に係るリバウンド判定処理のフローチャートである。
【0048】
図10は、本発明の実施の形態に係る体重・インピーダンスの移動平均値の変化を示すグラフである。グラフの横軸には、体重管理の所定期間の各日が測定日として当てられている。また、縦軸には、測定された体重(単位:kg)とインピーダンス(単位:Ω)とが当てられる。
【0049】
これらフローチャートに従うプログラムは予め記憶部12の所定領域に格納されて、CPU181は、当該記憶領域からプログラムを読出し、読出したプログラムを実行することにより処理が実現される。
【0050】
ここでは、被測定者は体重を減らすダイエットを目的として体重体組成計3を利用すると想定する。本実施の形態では、体重管理のための的確な支援情報を提供するために、毎日、決まった時間帯に測定された体重を用いる。好ましくは、1日のうち最も体重が少ない起床後の所定時間帯において測定された体重を用いる。所定時間帯の情報は、予め記憶部12の所定領域に格納されていると想定する。なお、被測定者に対しては、“体重管理のためには、起床後の所定時間帯(午前○時〜○時まで)において、飲食前且つ用便後に測定して下さい”のメッセージが表示部15に表示される。これにより、被測定者は起床後の所定時間帯において体重測定することが習慣づけされる。
【0051】
(全体処理)
図4を参照して、被測定者は測定を開始するために、操作部31を操作して電源ONの操作をする。CPU181は、操作部31からの入力信号に基づき、電源ONの指示を入力する(ステップS1)。これにより、電源部17から各部に電力が供給される。
【0052】
CPU181は、個人情報(身長、性別、年齢などの情報)が記憶部12に格納済みであるかを判定する。これら情報は、体組成の算出のために必要とされる情報である。既に格納されていると判定すると(ステップS5でYES)、処理をステップS9に移行させる。未だ格納されていないと判定すると、被測定者が操作部14を操作することにより入力するこれら情報を記憶部12の所定領域に格納し(ステップS7)、処理をステップS9に移行させる。
【0053】
次に、測定処理が行われる。このとき、被測定者は、上面カバー部35(図1参照)の上に乗った状態である。体重取得部182は体重を取得するとともに、水分量取得部183は生体インピーダンスを取得する(ステップS9とS11)。
【0054】
次に、後述の記録・分析処理(ステップS13)が行われる。記録・分析処理では、取得された体重およびインピーダンスが体重記憶部121およびインピーダンス記憶部122において、計時部13の測定日時データを関連付けて格納される。
【0055】
次に、減量判定部185は、体重記憶部121から読出したデータに基づき、後述の減量判定処理を行う(ステップS15)。
【0056】
減量判定部185からの出力に基づき、減量過程にあると判定されないときは(ステップS17でNO)、処理はステップS21に移行するが、減量過程にあると判定されると(ステップS17でYES)、リバウンド判定部186により後述するリバウンド判定処理(ステップS19)が行われる。
【0057】
判定処理の結果は、出力処理部187によって出力される(ステップS21)。たとえば、表示部15に表示される、または通信部11を介してサーバ5に送信される、または記憶部12の所定領域に格納される。
【0058】
判定結果を出力した後に、CPU181は、操作部31の操作による指示を入力する。つまり、被測定者は、測定を終了する場合には操作部31を介して電源OFFの操作をするので、CPU181は操作部31から電源OFFの指示を入力し、電源OFFの指示に基づき電源部17を、各部への電力供給を断つように制御する(ステップS23)。これにより、一連の処理は終了する。
【0059】
(記録・分析処理)
図5を参照して記録・分析処理(ステップS13)を説明する。CPU181は、計時部13が出力する時間データに基づき、現在時間が所定時間帯に該当するか否かを判定する(ステップS31)。所定時間帯に該当しないと判定すると(ステップS31でNO)、測定された体重およびインピーダンスのデータは記憶部12に格納されずに廃棄されて、記録・分析処理は終了する。
【0060】
また、所定時間帯に該当すると判定すると(ステップS31でYES)、体重記憶部121に所定時間帯の時間に関連付けされた体重が格納されているか否かを判定する(ステップS33)。体重が既に格納されていると判定すると(ステップS33でNO)、測定された体重およびインピーダンスは記憶部12に格納されずに廃棄されて、記録・分析処理は終了するが、未だ体重が格納されていないと判定すると(ステップS33でYES)、取得された体重およびインピーダンス、ならびに測定時間は関連付けされて記憶部12の体重記憶部121およびインピーダンス記憶部122に格納される(ステップS35)。
【0061】
ここでは、記憶部12に格納されない体重およびインピーダンスは廃棄されるとしたが、記憶部12の別の記憶領域に格納されてもよい。または、記憶するのに代替して表示部15に表示されるとしてもよい。
【0062】
(記憶内容例)
図8は、本発明の実施の形態に係る体重記憶部121の記憶内容を例示する図である。図9は、本発明の実施の形態に係るインピーダンス記憶部122の記憶内容を例示する図である。図8と図9に示すように、記録・分析処理によって、ダイエットのための体重管理期間を想定する。ここでは、体重管理期間の開始日を1日目とし、現在は29日目であると想定する。図8と図9では、体重管理期間の1日目から本日(29日目)までの測定体重値と測定インピーダンス値などの値が格納されている状態が示される。
【0063】
(減量判定処理)
次に、図10を参照しながら、図6のフローチャートに従って減量判定処理(ステップS15)を説明する。
【0064】
減量判定部185は、体重記憶部121の測定体重値について単純移動平均を算出し、算出した各移動平均を用いて体重が減量過程にあるか否かを判定する。
【0065】
ここでは、直近のたとえば7日間の移動平均を算出する。したがって、まず7日目において体重管理期間の1日目〜7日目までの平均が算出され、8日目において2日目〜8日目までの平均が算出され、9日目において3日目〜9日目までの平均が算出される。以降、1日ずつずらした7日間について、平均が算出される。その結果、図8に示すように、体重記憶部121には、移動平均体重値が格納される。
【0066】
29日目において、減量判定部185は、23日目〜本日(29日目)までの測定体重値の平均を算出し、算出結果を29日目の移動平均体重値(図8では67.5kg)として格納する(ステップS41)。
【0067】
減量判定部185は、ステップS41で算出した移動平均体重値と前回(前日)の移動平均体重値(図8では67.3kg)との差分である移動平均体重差分を算出し、29日目の移動平均体重差分(図8では0.11kg)として格納する(ステップS43)。
【0068】
減量判定部185は、算出された移動平均体重差分に基づき体重が減少しているか否かを判定する(ステップS45)。具体的には、移動平均体重差分が負の値であれば、減少していると判定し(ステップS45でYES)、ゼロまたは正の値であれば減少していないと判定し(ステップS45でNO)、29日目の体重減少判定として“増加”を格納し、減量判定処理を終了する。
【0069】
減少していると判定した場合には(ステップS45でYES)、29日目の体重減少判定として“減少”を格納する。そして、減量判定部185は、減量日カウントの値を1インクリメントした値を、29日目の減量日カウントとして格納する(ステップS47)。図8では、29日目は“増加”と判定されたために、減量日カウントは格納されていない。
【0070】
減量判定部185は、所定期間以上の減量日が継続しているかを判定する(ステップS49)。たとえば、直近の10日間について体重減少判定が“減少”と記憶されていないと判定した場合には(ステップS49でNO)、減量過程にはないとの判定結果を出力し、処理を終了する。
【0071】
一方、直近の10日間について体重減少判定が“減少”と記憶されていると判定した場合には(ステップS49でYES)、処理はステップS51に移行する。図8によれば、17日目で所定期間(10日)以上の“減少”があると判定される。そして、減量判定部185は、次に、所定以上の体重減少があったかを判定する(ステップS51)。具体的には、体重記憶部121の減量日カウントの値が0から1に変わった時点の移動平均体重値(図8では7日目の移動平均体重値)を基準として、本日の移動平均体重値が、この基準値の2%減量後の値以下であると判定した場合には、所定以上の体重減少があったと判定する。たとえば、7日目の移動平均体重値(68.9kg)を用いると、68.9kg×0.02=1.4kgの減量を指す移動平均体重値が算出された、たとえば22日目においては、所定以上の体重減少があったと判定される(ステップS51でYES)。この判定は、図10のポイントP2が指示する22日目の減量判定に対応する。
【0072】
所定以上の体重減少はないと判定されると(ステップS51でNO)、減量過程にはないとの判定結果を出力し、処理を終了するが、所定以上の体重減少があると判定されると(ステップS51でYES)減量判定部185は、減量過程にあるとの判定結果を出力し(ステップS53)、処理を終了する。
【0073】
(リバウンド判定処理)
次に、図7を参照してリバウンド判定処理(ステップS19)を説明する。
【0074】
リバウンド判定部186は、インピーダンス記憶部122の測定インピーダンス値について単純移動平均を算出し、算出した各移動平均を用いてインピーダンスが増加過程にあるか否かを判定する。上述したように、インピーダンスが増加傾向にあることは、体水分量が減少過程にあることを指し、インピーダンスが減少傾向にあることは、体水分量が増加過程にあることを指す。
【0075】
ここでも、体重と同様に直近のたとえば7日間の移動平均を算出する。したがって、図9に示すように、インピーダンス記憶部122には、移動平均インピーダンス値が格納される。
【0076】
29日目において、リバウンド判定部186は、23日目〜本日(29日目)までの測定インピーダンス値の平均を算出し、算出結果を29日目の移動平均インピーダンス値(図9では501.4Ω)として格納する(ステップS61)。
【0077】
リバウンド判定部186は、ステップS61で算出した移動平均インピーダンス値と前回(前日)の移動平均インピーダンス値(図9では505.7Ω)との差分である移動平均インピーダンス差分を算出し、29日目の移動平均インピーダンス差分(図9では−4.4Ω)として格納する(ステップS63)。
【0078】
リバウンド判定部186は、算出された移動平均インピーダンス差分に基づきインピーダンスが増加しているか否かを判定する(ステップS65)。具体的には、移動平均インピーダンス差分が負の値であれば、減少していると判定し(ステップS65でNO)、ゼロまたは正の値であれば増加していると判定する(ステップS65でYES)。29日目のインピーダンス増加判定としては“減少”が格納されて、リバウンド可能性なしの判定結果が出力されて、リバウンド判定処理を終了する。
【0079】
増加していると判定した場合には(ステップS65でYES)、29日目のインピーダンス増加判定として“増加”を格納する。そして、リバウンド判定部186は、増加日カウントの値を1インクリメントした値を、29日目の増加日カウントとして格納する(ステップS67)。図9では、29日目は“減少”と判定されたために、増加日カウントは格納されていない。
【0080】
リバウンド判定部186は、所定期間以上の増加日が継続しているかを判定する(ステップS69)。たとえば、直近の10日間についてインピーダンス増加判定が“増加”と記憶されていないと判定した場合には(ステップS69でNO)、リバウンド可能性なしの判定結果を出力し、処理を終了する。
【0081】
一方、直近の10日間についてインピーダンス増加判定が“増加”と記憶されていると判定した場合には(ステップS69でYES)、処理はステップS71に移行する。図9によれば、17日目で所定期間(10日)以上の“増加”があると判定される。
【0082】
そして、リバウンド判定部186は、次に、所定以上のインピーダンス増加があったかを判定する(ステップS71)。具体的には、インピーダンス記憶部122の増加日カウントの値が0から1に変わった時点の移動平均インピーダンス値(図8では7日目の移動平均インピーダンス値)を基準として、本日の移動平均インピーダンス値が、この基準値の5%増加後の値以上であると判定した場合には、所定以上のインピーダンス増加があったと判定する。たとえば、7日目の移動平均インピーダンス値(464.7Ω)を用いると、464.7Ω×0.05=23.2Ωの増加を指す移動平均インピーダンス値が算出された、たとえば16日目においては、所定以上のインピーダンス増加があったと判定される(ステップS71でYES)。この判定は、図10のポイントP1が指示する16日目のリバウンドの可能性ありの判定に対応する。
【0083】
所定以上のインピーダンス増加はないと判定されると(ステップS71でNO)、リバウンドの可能性はないとの判定結果を出力し、処理を終了するが、所定以上のインピーダンス増加があると判定されると(ステップS71でYES)リバウンド判定部186は、リバウンドの可能性があるとの判定結果を出力し(ステップS73)、処理を終了する。
【0084】
また、リバウンドの可能性ありの判定は、図10のポイントP2が指示する22日目においてもなされる。
【0085】
図10を参照して、上述の判定処理に従えば、ポイントP1が指示する16日目では、リバウンドの可能性ありとの判定がされているけれども、減量過程にあると判定されていないために、リバウンド可能性ありの判定は出力されないが(ステップS21)、ポイントP2が指示する22日目では、リバウンドの可能性ありの判定がされて、且つ減量過程にあると判定されているために、リバウンド可能性ありの判定が出力される(ステップS21)。
【0086】
このように、所定期間の移動平均インピーダンス差分を、体水分量の変動差分(傾き)として算出し、算出した変動差分に基づき、被測定者の体重がその後に停滞期またはリバウンド期を迎えるかの変化の傾向を予測し、その結果を通知する。
【0087】
図11と図12は、本発明の実施の形態に係る表示部15による表示例を示す図である。図11には、ポイントP2においてリバウンドの可能性ありを報知する表示画面が示されて、図12には、ポイントP1においてリバウンドの可能性なしを報知する表示画面が示される。
【0088】
図11の画面からは、リバウンドの可能性がある旨のアラームが報知される。図11の画面には、現在のダイエットの順調度(体重は順調に減量する過程にあること)をあわせて表示してもよい。これにより、順調に減量する過程にあるけれども、リバウンドの可能性が有る旨をアドバイスすることができる。このとき、“予測されるリバウンドは体水分量に起因するものであり、減量は順調である”旨をメッセージ出力して、被測定者が、体重管理に対するモチベーションを維持し易いようにしてもよい。
【0089】
また、被測定者毎に、インピーダンス記憶部122に格納されている長期間に測定されたインピーダンスのデータをパターン分析し、リバウンド期の平均的な継続期間を算出し、リバウンドの可能性とともに、その継続期間を図11の画面で表示してもよい。
【0090】
また、体重記憶部121に格納されている長期間に測定された体重データの分析結果と、インピーダンス記憶部122に格納されている長期間に測定されたインピーダンスのデータの分析結果とから、リバウンドの可能性が判定された日から、実際にリバウンドが測定される、すなわち体重の減少が停止(または増加開始)する日までの平均的な猶予期間を算出し、図11の画面で表示してもよい。
【0091】
ここでは、表示を用いて報知をするが、表示に代替して音声により行ってもよい。また、体重体組成計3による判定の結果は、サーバ5に送信し、サーバ5によって出力(表示、音声出力、記憶部55への格納)してもよい。
【0092】
(体水分量の他の推定方法)
上述した実施の形態では、体水分量が多いほど、生体インピーダンスは小さくなるとの関係性に基づき、水分量取得部183は、測定された生体インピーダンスの変動を、体水分量の変動として扱うようにしたが、体水分量を算出してもよい。たとえば、上述の特許文献2(特開2002−112976号公報)の算出方法を用いることができる。
【0093】
つまり、測定された生体インピーダンスから算出されるパラメータReおよびRiと、ステップS7で個人情報として入力された身長(H)、測定された体重(W)とに基づいて、細胞内液量ICwと細胞外液量ECwを算出し、体水分量TBw=ICw+ECwを算出する。
【0094】
ICw=Ki1×H2/Ri+Ki2×W+Ki3
ECw=Ke1×H2/Re+Ke2×W+Ke3
TBw=ICw+ECw
ただし、Ki1、Ki2、Ki3、Ke1、Ke2、Ke3は所定係数である。また、測定された生体インピーダンスからパラメータReおよびRiを算出する方法は、特許文献2に詳述されるので、ここでは説明を略す。
【0095】
水分量取得部183は、上述の式に従って生体インピーダンスを用いて体水分量TBwを算出し、リバウンド判定部186は、算出された体水分量TBwの変動に基づき、リバウンドの可能性を判定するようにしてもよい。
【0096】
本実施の形態によれば、短期間の体重変動要因としては、筋肉量や脂肪量の変動よりも体水分量の出入りによる寄与が大きいことから、その後の体重増加時には、それに先立って体水分量が増加し、体重減少時には、それに先立って体水分量が減少することに着目し、所定期間の体水分量の変動差分(正(増加)、負(減少)の傾き、およびその大きさ)を算出することにより、順調に減量が進行している場合であっても数日後に体重の停滞期またはリバウンド期など体重が増加する傾向に移行すると予測をした場合には、被測定者に通知することができる。これにより、被測定者は、ダイエットなどの体重管理に対するモチベーションを向上させる、またはモチベーションを維持することができる。
【0097】
また、減量判定部185、またはリバウンド判定部186による判定結果のみを出力するようにしてもよい。つまり、減量過程にあるか否かの判定結果のみ、または体水分量が増加傾向にあるか否かの判定結果のみを出力するようにしてもよい。このように、出力態様として、減量判定部185またはリバウンド判定部186による判定結果のみを出力する態様とするか、または減量判定部185とリバウンド判定部186の判定の組合せ結果(リバウンドの可能性の判定結果)を出力する態様とするかは、被測定者の操作部14を介した操作によって切替えるようにしてもよい。
【0098】
(他の実施の形態)
上述の実施の形態の体重体組成計3による体重管理機能は、サーバ5が備えてもよい。
【0099】
サーバ5は、体重体組成計3で測定された体重およびインピーダンスのデータを、体重体組成計3から受信し、受信したデータに基づき減量過程およびリバウンド可能性の判定、判定結果の出力など、を行う。したがって、本実施の形態に係る減量判定およびリバウンド可能性の判定は、体重体組成計3に代替してサーバ5に行わせることもできる。
【0100】
サーバ5は、典型的には、汎用のコンピュータで構成される。サーバ5で実行される上述の各種機能に係るプログラムは、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)などの記憶媒体57に格納されて流通する。記憶媒体57に格納されたプログラムは、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)ドライブに相当の機能を有するI/F56によって読取られ、サーバ5内の記憶部55の一部であるハードディスク(図示せず)などへ格納される。あるいは、上位のホストコンピュータなどからネットワークを通じてプログラムをダウンロードするように構成してもよい。
【0101】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0102】
1 体重管理システム、3 体重体組成計、5 サーバ、10 表示操作部、13 計時部、15 表示部、20 インピーダンス検知部、30 体重測定部、57 記憶媒体、121 体重記憶部、122 インピーダンス記憶部、182 体重取得部、183 水分量取得部、184 記録処理部、185 減量判定部、186 リバウンド判定部、187 出力処理部。
【技術分野】
【0001】
本発明は体重管理装置に関し、特に、体重変動を予測する機能を備える体重管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康維持のために体重変動を予測する機能の提供が要求されてきた。当該機能としては、たとえば、一定期間体重値を測定して、その結果から得られる近似曲線から体重変動を予測する方法などがある。
【0003】
また、健康維持のために生体中の水分量を測定し、測定結果から体水分量の状態を判定し、病態把握を支援するために、その判定結果を出力する装置が、特許文献1(特開2002−45346号公報)に記載される。
【0004】
また、体重変化の状態と体水分量の状態とを組合わせて、総合的に健康状態の判定を行う体重管理装置が、特許文献2(特開2002−112976号公報)に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−45346号公報
【特許文献2】特開2002−112976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、体重変動は体水分量と関係することが知られている。ダイエット目的など正確な体重管理を実現するために、体水分量との関係から体重変動を予測する機能の提供が望まれる。しかしながら、特許文献1(特開2002−45346号公報)では体重変動を予測するものではない。また、特許文献2(特開2002−112976号公報)は、測定した体水分量の状態を用いて健康状態の判定をし、その結果を出力するが、体水分量の状態を用いて体重変動を予測する機能を提供するものではない。
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、体重変化の傾向を予測する体重管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被測定者の生体インピーダンスを測定する手段と、測定される生体インピーダンスを用いて、被測定者の体内の水分量の時間的変化を検出する水分変化検出手段と、水分量の時間的変化に基づき、水分量の単位期間あたりの水分変動量を算出する水分変動量算出手段と、単位期間あたりの水分変動量を用いて、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する判定手段と、判定手段による判定の結果を出力する手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、体重の変化傾向を予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る体重体組成計の外観図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る体重管理システム1の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る体重体組成計の体重管理に係る機能構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る全体処理のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る記録・分析処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る減量判定処理のフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係るリバウンド判定処理のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る体重記憶部の記憶内容を例示する図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るインピーダンス記憶部の記憶内容を例示する図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る体重・インピーダンスの移動平均値の変化を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態に係る表示部による表示例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る表示部による表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0012】
本実施の形態では、「リバウンド」とは、体重減少が順調に継続している状態から増加状態に移行する現象を指す。「リバウンド期」とは、リバウンドを経て体重が増加する状態が継続する期間を指す。
【0013】
また「停滞期」とは、体重減少が順調に継続している状態から体重が変化しない状態が継続する期間を指す。
【0014】
本実施の形態では、体重管理装置として、体重だけでなく生体インピーダンスを測定することにより体脂肪率などの体組成情報も取得することができる体重体組成計を例示する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る体重体組成計3の外観図である。図2は、本発明の実施の形態に係る体重管理システム1の構成図である。
【0016】
図2の体重管理システム1は、体重体組成計3と、体重体組成計3と通信するサーバ(サーバコンピュータ)5を備える。図2では、説明を簡単にするために、サーバ5には1台の体重体組成計3が接続されるとしているが、複数台の体重体組成計3が接続されてもよい。図2では、体重体組成計3とサーバ5は無線または有線により通信する。なお、体重体組成計3とサーバ5との間でのデータの授受は通信によらず、記憶媒体を介して授受するようにしてもよい。
【0017】
図1を参照して、体重体組成計3は、被測定者(ユーザ)が手で持つ第1の筐体である表示操作部10、被測定者が乗る第2の筐体である体重測定部30とを備える。
【0018】
表示操作部10は、図2に示すように通信部11、記憶部12、計時部13、操作部14、表示部15、定電流回路部16、電源部17、CPU(Central Processing Unit)181を有する制御部18、二重積分AD(Analog/Digital)部19、インピーダンス検知部20、および電極部21を含む。
【0019】
通信部11は、制御部18に接続されており、該制御部18からの制御信号に従ってサーバ5と通信する。なお、通信部11は、サーバ5に限らず、歩数計などの他の生体情報取得装置と通信する、あるいはパーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話機など)と通信するなど、適宜の装置と通信するとしてもよい。
【0020】
記憶部12は、不揮発性のメモリやハードディスクなどの情報を記憶できる装置を含む。記憶部12は、接続された制御部18から制御信号に従って情報の読出しと書き込みがされる。記憶部12は、測定した体重を記憶するための体重記憶部121、および測定(算出)されたインピーダンス値を記憶するためのインピーダンス記憶部122を含む。
【0021】
計時部13は、現在日時などの時刻を計時するタイマ・カウンタから構成される装置であり、必要に応じて時刻を制御部18へ出力する。
【0022】
操作部14は、押下などの操作がされる複数のボタン・スイッチなど(図1参照)を含む。被測定者は操作部14を操作することにより、ID、性別、年齢、身長、体重などの被測定者の個人情報・身体情報を入力することができる。入力されたこれら情報は、制御部18へ出力される。
【0023】
表示部15は、液晶画面(図1参照)などの表示装置によって構成され、制御部18から与えられる画像信号に従って文字や図形などの画像を表示する。
【0024】
定電流回路部16は、制御部18の制御に基づいて、電源部17から供給される高周波(交流)電流を電流印加用の電極部21に一方向に流す。
【0025】
電源部17は、制御部18を含む各部に動作電力を供給する。
制御部18は、CPU181、および図示のないROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を含むマイコン(マイクロコンピュータ)により構成されており、ROM等に記憶されているプログラムおよび各種データに従って各部の制御動作や演算動作を実行する。
【0026】
このプログラムおよびデータには、体重管理のためのプログラムおよびデータが含まれる。
【0027】
二重積分AD部19は、二重積分型のAD変換部である。動作においては、インピーダンス検知部20から出力されるアナログ信号(電圧信号)をデジタル信号に変換して制御部18に出力する。
【0028】
インピーダンス検知部20は、体重測定部30に設けられている電極部36と表示操作部10に設けられている電極部21との電位差に基づいて、被測定者の生体インピーダンスを算出する。生体インピーダンス値とは、人体が伝導性の高い組織(Conductor:除脂肪)と低い組織(Insulator:体脂肪)で構成されているという電気的特性と、インピーダンス測定値に二つの組織の比率が反映されるという特性を反映する。したがって、筋肉・体水分は脂肪に比較して電流が流れ易く電気的抵抗が低いために、他の組織構成がかわらないとすれば、算出されるインピーダンス値が低いほど、体水分量は多く、逆に、インピーダンス値が高いほど、体水分量は少ないことがわかる。
【0029】
電極部21は、被測定者が手で持つ表示操作部10のグリップ部分(図1参照)の表面に設けられる。電極部21は、生体インピーダンスを算出するために、グリップ部分を握っている被測定者の手のひらへ電源部17から供給される高周波(交流)電流を印加する。
【0030】
体重測定部30は、操作部31、電池32、荷重検知部33、および電極部36を含む。操作部31は、電源のON/OFFを切り替えるために操作される入力スイッチとして機能し、操作部31は操作されると操作に応じた入力信号を制御部18に出力する。
【0031】
電池32は、電源部17を中心に各部へ電力を供給する。
荷重検知部33は、複数のロードセル34を内蔵する。筐体の上面カバーを兼ね備える上面カバー部35(図1参照)の上に乗った被測定者の体重を測定する。測定された体重は、二重積分AD部19に出力される。
【0032】
電極部36は、被測定者が乗る体重測定部30の上面部分(図1参照)の表面に設けられており、生体インピーダンスを算出するために、被測定者の足裏から流れてくる電流を検出する電流測定用の電極である。電極部36は、被測定者の左足指側、左足踵側、右足指側、右足踵側に接触する4つの電極を含む。
【0033】
荷重検知部33のロードセル34のそれぞれは、体重測定部30の上面部分にかかる荷重を測定可能なように、ここでは、電極部36の各電極の下部に配置される。したがって、上面部分に被測定者が乗った場合に、生体インピーダンスと体重の両方を測定することができる。
【0034】
体重測定において、各ロードセル34には、被測定者の体重による荷重がかかる。各ロードセル34は、かけられる荷重に応じて変形する金属部材からなる歪体と、歪体に張られた歪ゲージとからなる。歪体が歪むと、歪ゲージが伸縮して歪ゲージの伸縮に応じて抵抗値が変化し、その抵抗変化は荷重信号出力として導出される。したがって、被測定者が上面部分に乗って、両足が各ロードセル34にかかった場合、ロードセル34にかけられる被測定者の体重により歪体が歪むと、上述の荷重信号出力の変化として体重が測定される。
【0035】
なお、荷重を検出するための荷重センサとして、本実施の形態では、ロードセル34を利用しているが、上面部へ加えられた力の量が検出できるものであれば、たとえば、ばねやピエゾフィルムを利用したセンサや、圧縮素子、変位センサなどであってもよい。
【0036】
サーバ5は、通信部51、CPU521、ROM、RAMを有するコンピュータからなる制御部52、操作部53、表示部54、および記憶部55を含む。さらに、CD−ROM(compact-disc Read Only Memory)などの記憶媒体57が着脱自在に装着されて、装着された記憶媒体57をCPU521の制御の下にアクセス(読み書き)するI/F(Interface)56を備える。
【0037】
通信部51は、制御部52の制御に従って体重体組成計3とデータを送受信する。制御部52のCPU521は、ROMなどに記憶されているプログラムおよびデータに従って各部の動作を制御するとともに、各種の演算を実行する。
【0038】
操作部53は、キーボードやマウスなどを含む。オペレータにより操作されることにより入力された信号は、制御部52に出力される。
【0039】
表示部54は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどに相当する。表示部54は、制御部52から与えられる制御信号に従って絵・文字などの画像を表示する。
【0040】
記憶部55は、ハードディスクなどの固定の記憶装置、またはフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのCPU521のコンピュータが読取り可能な記録媒体に相当する。
【0041】
記憶部55は、体重体組成計3で測定したデータ(体組成情報、体重データ、測定日時データなど)、および被測定者の氏名(ID)や住所といった個人情報など、被測定者に関する種々のデータが記憶される。
【0042】
図3は、本発明の実施の形態に係る体重体組成計3の体重管理に係る機能構成図である。図3を参照して、CPU181は、体重取得部182、水分量取得部183、記録処理部184、減量判定部185、リバウンド判定部186および出力処理部187を含む。これらの各部は、CPU181によって実行されるプログラム、またはプログラムと回路の組合せにより実現される。このプログラムは、制御部18の図示のないROMに予め格納されている。CPU181は、ROMからプログラムを読出し、読み出したプログラムの命令を実行することにより、各部の機能が実現される。
【0043】
体重取得部182は、荷重検知部33からの出力信号に基づき、体重を算出する。
水分量取得部183は、二重積分AD部19から出力される生体インピーダンス値を体水分量として取得する。
【0044】
記録処理部184は、体重取得部182および水分量取得部183により取得される被測定者の体重と体水分量を、体重記憶部121とインピーダンス記憶部122のそれぞれに格納する。本実施の形態では、上述したように体重と生体インピーダンスとは同時に測定されるので、記録処理部184は、体重、生体インピーダンスおよび計時部13により計時された測定時間を関連付けして記憶部12に格納する。また、記録処理部184は、記憶部12からのデータ読出時には、関連付けされた体重、生体インピーダンスおよび測定時間を記憶部12から読出す。
【0045】
減量判定部185は、体重の変動に基づき体重が順調に減少し続けている減量過程にあるか否かを判定する。
【0046】
リバウンド判定部186は、リバウンドまたはリバウンド期を判定する。
出力処理部187は、表示部15への情報の表示、または通信部11を介したサーバ5への情報送信のための処理をする。
【0047】
図4は、本発明の実施の形態に係る全体処理のフローチャートである。図5は、本発明の実施の形態に係る記録・分析処理のフローチャートである。図6は、本発明の実施の形態に係る減量判定処理のフローチャートである。図7は、本発明の実施の形態に係るリバウンド判定処理のフローチャートである。
【0048】
図10は、本発明の実施の形態に係る体重・インピーダンスの移動平均値の変化を示すグラフである。グラフの横軸には、体重管理の所定期間の各日が測定日として当てられている。また、縦軸には、測定された体重(単位:kg)とインピーダンス(単位:Ω)とが当てられる。
【0049】
これらフローチャートに従うプログラムは予め記憶部12の所定領域に格納されて、CPU181は、当該記憶領域からプログラムを読出し、読出したプログラムを実行することにより処理が実現される。
【0050】
ここでは、被測定者は体重を減らすダイエットを目的として体重体組成計3を利用すると想定する。本実施の形態では、体重管理のための的確な支援情報を提供するために、毎日、決まった時間帯に測定された体重を用いる。好ましくは、1日のうち最も体重が少ない起床後の所定時間帯において測定された体重を用いる。所定時間帯の情報は、予め記憶部12の所定領域に格納されていると想定する。なお、被測定者に対しては、“体重管理のためには、起床後の所定時間帯(午前○時〜○時まで)において、飲食前且つ用便後に測定して下さい”のメッセージが表示部15に表示される。これにより、被測定者は起床後の所定時間帯において体重測定することが習慣づけされる。
【0051】
(全体処理)
図4を参照して、被測定者は測定を開始するために、操作部31を操作して電源ONの操作をする。CPU181は、操作部31からの入力信号に基づき、電源ONの指示を入力する(ステップS1)。これにより、電源部17から各部に電力が供給される。
【0052】
CPU181は、個人情報(身長、性別、年齢などの情報)が記憶部12に格納済みであるかを判定する。これら情報は、体組成の算出のために必要とされる情報である。既に格納されていると判定すると(ステップS5でYES)、処理をステップS9に移行させる。未だ格納されていないと判定すると、被測定者が操作部14を操作することにより入力するこれら情報を記憶部12の所定領域に格納し(ステップS7)、処理をステップS9に移行させる。
【0053】
次に、測定処理が行われる。このとき、被測定者は、上面カバー部35(図1参照)の上に乗った状態である。体重取得部182は体重を取得するとともに、水分量取得部183は生体インピーダンスを取得する(ステップS9とS11)。
【0054】
次に、後述の記録・分析処理(ステップS13)が行われる。記録・分析処理では、取得された体重およびインピーダンスが体重記憶部121およびインピーダンス記憶部122において、計時部13の測定日時データを関連付けて格納される。
【0055】
次に、減量判定部185は、体重記憶部121から読出したデータに基づき、後述の減量判定処理を行う(ステップS15)。
【0056】
減量判定部185からの出力に基づき、減量過程にあると判定されないときは(ステップS17でNO)、処理はステップS21に移行するが、減量過程にあると判定されると(ステップS17でYES)、リバウンド判定部186により後述するリバウンド判定処理(ステップS19)が行われる。
【0057】
判定処理の結果は、出力処理部187によって出力される(ステップS21)。たとえば、表示部15に表示される、または通信部11を介してサーバ5に送信される、または記憶部12の所定領域に格納される。
【0058】
判定結果を出力した後に、CPU181は、操作部31の操作による指示を入力する。つまり、被測定者は、測定を終了する場合には操作部31を介して電源OFFの操作をするので、CPU181は操作部31から電源OFFの指示を入力し、電源OFFの指示に基づき電源部17を、各部への電力供給を断つように制御する(ステップS23)。これにより、一連の処理は終了する。
【0059】
(記録・分析処理)
図5を参照して記録・分析処理(ステップS13)を説明する。CPU181は、計時部13が出力する時間データに基づき、現在時間が所定時間帯に該当するか否かを判定する(ステップS31)。所定時間帯に該当しないと判定すると(ステップS31でNO)、測定された体重およびインピーダンスのデータは記憶部12に格納されずに廃棄されて、記録・分析処理は終了する。
【0060】
また、所定時間帯に該当すると判定すると(ステップS31でYES)、体重記憶部121に所定時間帯の時間に関連付けされた体重が格納されているか否かを判定する(ステップS33)。体重が既に格納されていると判定すると(ステップS33でNO)、測定された体重およびインピーダンスは記憶部12に格納されずに廃棄されて、記録・分析処理は終了するが、未だ体重が格納されていないと判定すると(ステップS33でYES)、取得された体重およびインピーダンス、ならびに測定時間は関連付けされて記憶部12の体重記憶部121およびインピーダンス記憶部122に格納される(ステップS35)。
【0061】
ここでは、記憶部12に格納されない体重およびインピーダンスは廃棄されるとしたが、記憶部12の別の記憶領域に格納されてもよい。または、記憶するのに代替して表示部15に表示されるとしてもよい。
【0062】
(記憶内容例)
図8は、本発明の実施の形態に係る体重記憶部121の記憶内容を例示する図である。図9は、本発明の実施の形態に係るインピーダンス記憶部122の記憶内容を例示する図である。図8と図9に示すように、記録・分析処理によって、ダイエットのための体重管理期間を想定する。ここでは、体重管理期間の開始日を1日目とし、現在は29日目であると想定する。図8と図9では、体重管理期間の1日目から本日(29日目)までの測定体重値と測定インピーダンス値などの値が格納されている状態が示される。
【0063】
(減量判定処理)
次に、図10を参照しながら、図6のフローチャートに従って減量判定処理(ステップS15)を説明する。
【0064】
減量判定部185は、体重記憶部121の測定体重値について単純移動平均を算出し、算出した各移動平均を用いて体重が減量過程にあるか否かを判定する。
【0065】
ここでは、直近のたとえば7日間の移動平均を算出する。したがって、まず7日目において体重管理期間の1日目〜7日目までの平均が算出され、8日目において2日目〜8日目までの平均が算出され、9日目において3日目〜9日目までの平均が算出される。以降、1日ずつずらした7日間について、平均が算出される。その結果、図8に示すように、体重記憶部121には、移動平均体重値が格納される。
【0066】
29日目において、減量判定部185は、23日目〜本日(29日目)までの測定体重値の平均を算出し、算出結果を29日目の移動平均体重値(図8では67.5kg)として格納する(ステップS41)。
【0067】
減量判定部185は、ステップS41で算出した移動平均体重値と前回(前日)の移動平均体重値(図8では67.3kg)との差分である移動平均体重差分を算出し、29日目の移動平均体重差分(図8では0.11kg)として格納する(ステップS43)。
【0068】
減量判定部185は、算出された移動平均体重差分に基づき体重が減少しているか否かを判定する(ステップS45)。具体的には、移動平均体重差分が負の値であれば、減少していると判定し(ステップS45でYES)、ゼロまたは正の値であれば減少していないと判定し(ステップS45でNO)、29日目の体重減少判定として“増加”を格納し、減量判定処理を終了する。
【0069】
減少していると判定した場合には(ステップS45でYES)、29日目の体重減少判定として“減少”を格納する。そして、減量判定部185は、減量日カウントの値を1インクリメントした値を、29日目の減量日カウントとして格納する(ステップS47)。図8では、29日目は“増加”と判定されたために、減量日カウントは格納されていない。
【0070】
減量判定部185は、所定期間以上の減量日が継続しているかを判定する(ステップS49)。たとえば、直近の10日間について体重減少判定が“減少”と記憶されていないと判定した場合には(ステップS49でNO)、減量過程にはないとの判定結果を出力し、処理を終了する。
【0071】
一方、直近の10日間について体重減少判定が“減少”と記憶されていると判定した場合には(ステップS49でYES)、処理はステップS51に移行する。図8によれば、17日目で所定期間(10日)以上の“減少”があると判定される。そして、減量判定部185は、次に、所定以上の体重減少があったかを判定する(ステップS51)。具体的には、体重記憶部121の減量日カウントの値が0から1に変わった時点の移動平均体重値(図8では7日目の移動平均体重値)を基準として、本日の移動平均体重値が、この基準値の2%減量後の値以下であると判定した場合には、所定以上の体重減少があったと判定する。たとえば、7日目の移動平均体重値(68.9kg)を用いると、68.9kg×0.02=1.4kgの減量を指す移動平均体重値が算出された、たとえば22日目においては、所定以上の体重減少があったと判定される(ステップS51でYES)。この判定は、図10のポイントP2が指示する22日目の減量判定に対応する。
【0072】
所定以上の体重減少はないと判定されると(ステップS51でNO)、減量過程にはないとの判定結果を出力し、処理を終了するが、所定以上の体重減少があると判定されると(ステップS51でYES)減量判定部185は、減量過程にあるとの判定結果を出力し(ステップS53)、処理を終了する。
【0073】
(リバウンド判定処理)
次に、図7を参照してリバウンド判定処理(ステップS19)を説明する。
【0074】
リバウンド判定部186は、インピーダンス記憶部122の測定インピーダンス値について単純移動平均を算出し、算出した各移動平均を用いてインピーダンスが増加過程にあるか否かを判定する。上述したように、インピーダンスが増加傾向にあることは、体水分量が減少過程にあることを指し、インピーダンスが減少傾向にあることは、体水分量が増加過程にあることを指す。
【0075】
ここでも、体重と同様に直近のたとえば7日間の移動平均を算出する。したがって、図9に示すように、インピーダンス記憶部122には、移動平均インピーダンス値が格納される。
【0076】
29日目において、リバウンド判定部186は、23日目〜本日(29日目)までの測定インピーダンス値の平均を算出し、算出結果を29日目の移動平均インピーダンス値(図9では501.4Ω)として格納する(ステップS61)。
【0077】
リバウンド判定部186は、ステップS61で算出した移動平均インピーダンス値と前回(前日)の移動平均インピーダンス値(図9では505.7Ω)との差分である移動平均インピーダンス差分を算出し、29日目の移動平均インピーダンス差分(図9では−4.4Ω)として格納する(ステップS63)。
【0078】
リバウンド判定部186は、算出された移動平均インピーダンス差分に基づきインピーダンスが増加しているか否かを判定する(ステップS65)。具体的には、移動平均インピーダンス差分が負の値であれば、減少していると判定し(ステップS65でNO)、ゼロまたは正の値であれば増加していると判定する(ステップS65でYES)。29日目のインピーダンス増加判定としては“減少”が格納されて、リバウンド可能性なしの判定結果が出力されて、リバウンド判定処理を終了する。
【0079】
増加していると判定した場合には(ステップS65でYES)、29日目のインピーダンス増加判定として“増加”を格納する。そして、リバウンド判定部186は、増加日カウントの値を1インクリメントした値を、29日目の増加日カウントとして格納する(ステップS67)。図9では、29日目は“減少”と判定されたために、増加日カウントは格納されていない。
【0080】
リバウンド判定部186は、所定期間以上の増加日が継続しているかを判定する(ステップS69)。たとえば、直近の10日間についてインピーダンス増加判定が“増加”と記憶されていないと判定した場合には(ステップS69でNO)、リバウンド可能性なしの判定結果を出力し、処理を終了する。
【0081】
一方、直近の10日間についてインピーダンス増加判定が“増加”と記憶されていると判定した場合には(ステップS69でYES)、処理はステップS71に移行する。図9によれば、17日目で所定期間(10日)以上の“増加”があると判定される。
【0082】
そして、リバウンド判定部186は、次に、所定以上のインピーダンス増加があったかを判定する(ステップS71)。具体的には、インピーダンス記憶部122の増加日カウントの値が0から1に変わった時点の移動平均インピーダンス値(図8では7日目の移動平均インピーダンス値)を基準として、本日の移動平均インピーダンス値が、この基準値の5%増加後の値以上であると判定した場合には、所定以上のインピーダンス増加があったと判定する。たとえば、7日目の移動平均インピーダンス値(464.7Ω)を用いると、464.7Ω×0.05=23.2Ωの増加を指す移動平均インピーダンス値が算出された、たとえば16日目においては、所定以上のインピーダンス増加があったと判定される(ステップS71でYES)。この判定は、図10のポイントP1が指示する16日目のリバウンドの可能性ありの判定に対応する。
【0083】
所定以上のインピーダンス増加はないと判定されると(ステップS71でNO)、リバウンドの可能性はないとの判定結果を出力し、処理を終了するが、所定以上のインピーダンス増加があると判定されると(ステップS71でYES)リバウンド判定部186は、リバウンドの可能性があるとの判定結果を出力し(ステップS73)、処理を終了する。
【0084】
また、リバウンドの可能性ありの判定は、図10のポイントP2が指示する22日目においてもなされる。
【0085】
図10を参照して、上述の判定処理に従えば、ポイントP1が指示する16日目では、リバウンドの可能性ありとの判定がされているけれども、減量過程にあると判定されていないために、リバウンド可能性ありの判定は出力されないが(ステップS21)、ポイントP2が指示する22日目では、リバウンドの可能性ありの判定がされて、且つ減量過程にあると判定されているために、リバウンド可能性ありの判定が出力される(ステップS21)。
【0086】
このように、所定期間の移動平均インピーダンス差分を、体水分量の変動差分(傾き)として算出し、算出した変動差分に基づき、被測定者の体重がその後に停滞期またはリバウンド期を迎えるかの変化の傾向を予測し、その結果を通知する。
【0087】
図11と図12は、本発明の実施の形態に係る表示部15による表示例を示す図である。図11には、ポイントP2においてリバウンドの可能性ありを報知する表示画面が示されて、図12には、ポイントP1においてリバウンドの可能性なしを報知する表示画面が示される。
【0088】
図11の画面からは、リバウンドの可能性がある旨のアラームが報知される。図11の画面には、現在のダイエットの順調度(体重は順調に減量する過程にあること)をあわせて表示してもよい。これにより、順調に減量する過程にあるけれども、リバウンドの可能性が有る旨をアドバイスすることができる。このとき、“予測されるリバウンドは体水分量に起因するものであり、減量は順調である”旨をメッセージ出力して、被測定者が、体重管理に対するモチベーションを維持し易いようにしてもよい。
【0089】
また、被測定者毎に、インピーダンス記憶部122に格納されている長期間に測定されたインピーダンスのデータをパターン分析し、リバウンド期の平均的な継続期間を算出し、リバウンドの可能性とともに、その継続期間を図11の画面で表示してもよい。
【0090】
また、体重記憶部121に格納されている長期間に測定された体重データの分析結果と、インピーダンス記憶部122に格納されている長期間に測定されたインピーダンスのデータの分析結果とから、リバウンドの可能性が判定された日から、実際にリバウンドが測定される、すなわち体重の減少が停止(または増加開始)する日までの平均的な猶予期間を算出し、図11の画面で表示してもよい。
【0091】
ここでは、表示を用いて報知をするが、表示に代替して音声により行ってもよい。また、体重体組成計3による判定の結果は、サーバ5に送信し、サーバ5によって出力(表示、音声出力、記憶部55への格納)してもよい。
【0092】
(体水分量の他の推定方法)
上述した実施の形態では、体水分量が多いほど、生体インピーダンスは小さくなるとの関係性に基づき、水分量取得部183は、測定された生体インピーダンスの変動を、体水分量の変動として扱うようにしたが、体水分量を算出してもよい。たとえば、上述の特許文献2(特開2002−112976号公報)の算出方法を用いることができる。
【0093】
つまり、測定された生体インピーダンスから算出されるパラメータReおよびRiと、ステップS7で個人情報として入力された身長(H)、測定された体重(W)とに基づいて、細胞内液量ICwと細胞外液量ECwを算出し、体水分量TBw=ICw+ECwを算出する。
【0094】
ICw=Ki1×H2/Ri+Ki2×W+Ki3
ECw=Ke1×H2/Re+Ke2×W+Ke3
TBw=ICw+ECw
ただし、Ki1、Ki2、Ki3、Ke1、Ke2、Ke3は所定係数である。また、測定された生体インピーダンスからパラメータReおよびRiを算出する方法は、特許文献2に詳述されるので、ここでは説明を略す。
【0095】
水分量取得部183は、上述の式に従って生体インピーダンスを用いて体水分量TBwを算出し、リバウンド判定部186は、算出された体水分量TBwの変動に基づき、リバウンドの可能性を判定するようにしてもよい。
【0096】
本実施の形態によれば、短期間の体重変動要因としては、筋肉量や脂肪量の変動よりも体水分量の出入りによる寄与が大きいことから、その後の体重増加時には、それに先立って体水分量が増加し、体重減少時には、それに先立って体水分量が減少することに着目し、所定期間の体水分量の変動差分(正(増加)、負(減少)の傾き、およびその大きさ)を算出することにより、順調に減量が進行している場合であっても数日後に体重の停滞期またはリバウンド期など体重が増加する傾向に移行すると予測をした場合には、被測定者に通知することができる。これにより、被測定者は、ダイエットなどの体重管理に対するモチベーションを向上させる、またはモチベーションを維持することができる。
【0097】
また、減量判定部185、またはリバウンド判定部186による判定結果のみを出力するようにしてもよい。つまり、減量過程にあるか否かの判定結果のみ、または体水分量が増加傾向にあるか否かの判定結果のみを出力するようにしてもよい。このように、出力態様として、減量判定部185またはリバウンド判定部186による判定結果のみを出力する態様とするか、または減量判定部185とリバウンド判定部186の判定の組合せ結果(リバウンドの可能性の判定結果)を出力する態様とするかは、被測定者の操作部14を介した操作によって切替えるようにしてもよい。
【0098】
(他の実施の形態)
上述の実施の形態の体重体組成計3による体重管理機能は、サーバ5が備えてもよい。
【0099】
サーバ5は、体重体組成計3で測定された体重およびインピーダンスのデータを、体重体組成計3から受信し、受信したデータに基づき減量過程およびリバウンド可能性の判定、判定結果の出力など、を行う。したがって、本実施の形態に係る減量判定およびリバウンド可能性の判定は、体重体組成計3に代替してサーバ5に行わせることもできる。
【0100】
サーバ5は、典型的には、汎用のコンピュータで構成される。サーバ5で実行される上述の各種機能に係るプログラムは、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)などの記憶媒体57に格納されて流通する。記憶媒体57に格納されたプログラムは、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)ドライブに相当の機能を有するI/F56によって読取られ、サーバ5内の記憶部55の一部であるハードディスク(図示せず)などへ格納される。あるいは、上位のホストコンピュータなどからネットワークを通じてプログラムをダウンロードするように構成してもよい。
【0101】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0102】
1 体重管理システム、3 体重体組成計、5 サーバ、10 表示操作部、13 計時部、15 表示部、20 インピーダンス検知部、30 体重測定部、57 記憶媒体、121 体重記憶部、122 インピーダンス記憶部、182 体重取得部、183 水分量取得部、184 記録処理部、185 減量判定部、186 リバウンド判定部、187 出力処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の生体インピーダンスを測定する手段と、
測定される前記生体インピーダンスの時間的変化を検出する手段と、
前記生体インピーダンスの時間的変化に基づき、単位期間あたりの生体インピーダンス変動量を算出する変動量算出手段と、
単位期間あたりの前記生体インピーダンス変動量を用いて、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する判定手段と、
前記判定の結果を出力する手段と、を備える、体重管理装置。
【請求項2】
被測定者の体重データを取得する手段と、
取得する体重データに基づき、体重の時間的変化を検出する体重変化検出手段と、
体重の時間的変化に基づき、前記単位期間あたりの体重変動量を算出する体重変動量算出手段と、をさらに備え、
前記判定手段は、
前記単位期間あたりの前記生体インピーダンス変動量と、当該単位期間あたりの体重変動量との関係から、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する、請求項1に記載の体重管理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記単位期間あたりの増加した前記生体インピーダンス量と、当該単位期間あたりの体重の減少量との関係から、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する、請求項2に記載の体重管理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、
前記単位期間あたりの増加した前記生体インピーダンス量と、当該単位期間において継続して減少する場合の体重の減少量との関係から、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する、請求項3に記載の体重管理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
前記単位期間において継続して増加する場合の前記生体インピーダンス増加量と、当該単位期間において継続して減少する場合の体重の減少量との関係から、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する、請求項3または4に記載の体重管理装置。
【請求項6】
測定される前記生体インピーダンスを用いて、被測定者の体内の水分量を算出する手段を、さらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の体重管理装置。
【請求項7】
測定される前記生体インピーダンスを用いて、被測定者の体内の水分量の時間的変化を検出する水分変化検出手段と、
水分量の時間的変化に基づき、水分量の単位期間あたりの水分変動量を算出する水分変動量算出手段と、をさらに備え、
単位期間あたりの前記水分変動量を用いて、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する、請求項1から6のいずれかに記載の体重管理装置。
【請求項8】
被測定者について測定される生体インピーダンスを取得する手段と、
取得される前記生体インピーダンスの時間的変化を検出する手段と、
前記生体インピーダンスの時間的変化に基づき、単位期間あたりの生体インピーダンス変動量を算出する変動量算出手段と、
単位期間あたりの前記生体インピーダンス変動量を用いて、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する判定手段と、
前記判定の結果を出力する手段と、を備える、体重管理装置。
【請求項1】
被測定者の生体インピーダンスを測定する手段と、
測定される前記生体インピーダンスの時間的変化を検出する手段と、
前記生体インピーダンスの時間的変化に基づき、単位期間あたりの生体インピーダンス変動量を算出する変動量算出手段と、
単位期間あたりの前記生体インピーダンス変動量を用いて、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する判定手段と、
前記判定の結果を出力する手段と、を備える、体重管理装置。
【請求項2】
被測定者の体重データを取得する手段と、
取得する体重データに基づき、体重の時間的変化を検出する体重変化検出手段と、
体重の時間的変化に基づき、前記単位期間あたりの体重変動量を算出する体重変動量算出手段と、をさらに備え、
前記判定手段は、
前記単位期間あたりの前記生体インピーダンス変動量と、当該単位期間あたりの体重変動量との関係から、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する、請求項1に記載の体重管理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記単位期間あたりの増加した前記生体インピーダンス量と、当該単位期間あたりの体重の減少量との関係から、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する、請求項2に記載の体重管理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、
前記単位期間あたりの増加した前記生体インピーダンス量と、当該単位期間において継続して減少する場合の体重の減少量との関係から、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する、請求項3に記載の体重管理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
前記単位期間において継続して増加する場合の前記生体インピーダンス増加量と、当該単位期間において継続して減少する場合の体重の減少量との関係から、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する、請求項3または4に記載の体重管理装置。
【請求項6】
測定される前記生体インピーダンスを用いて、被測定者の体内の水分量を算出する手段を、さらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の体重管理装置。
【請求項7】
測定される前記生体インピーダンスを用いて、被測定者の体内の水分量の時間的変化を検出する水分変化検出手段と、
水分量の時間的変化に基づき、水分量の単位期間あたりの水分変動量を算出する水分変動量算出手段と、をさらに備え、
単位期間あたりの前記水分変動量を用いて、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する、請求項1から6のいずれかに記載の体重管理装置。
【請求項8】
被測定者について測定される生体インピーダンスを取得する手段と、
取得される前記生体インピーダンスの時間的変化を検出する手段と、
前記生体インピーダンスの時間的変化に基づき、単位期間あたりの生体インピーダンス変動量を算出する変動量算出手段と、
単位期間あたりの前記生体インピーダンス変動量を用いて、被測定者の体重のその後の変化傾向を判定する判定手段と、
前記判定の結果を出力する手段と、を備える、体重管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図10】
【公開番号】特開2012−205817(P2012−205817A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74688(P2011−74688)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
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