説明

余剰スプレー再利用システム

【課題】 余剰スプレーを再利用するシステムを提供する。
【解決手段】 本システムは、対象物の外面にコーティングを施すために対象物へ向けて材料を吐出するときに生じる余剰スプレーを回収して再利用することができる。本システムは、概して、対象物が噴霧され得るように収容するハウジングと、対象物を保持するホルダと、対象物へ向けてコーティング材料を吐出する吐出デバイスと、余剰スプレーを回収および/または処理する容器と、再利用されるべき余剰スプレーを導くコンジットおよび流量調整器と、を備える。吐出デバイスおよびホルダは、ハウジング内に配置され得る。吐出デバイスとハウジングの壁との間に、少なくとも1つの多孔性材料が配置され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、対象物に塗料を噴霧しかつ余剰スプレーを再利用するシステムおよび方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ゴルフ競技は、アマチュアレベル、プロレベルを問わず、人気の高いスポーツである。当技術分野において、ゴルフボールの製造および設計に関する幅広い技術が知られている。例えば、ゴルフボールを製造する方法は、ゴルフボールにコーティング材料を噴霧することを含む。この方法を用いて、ゴルフボールの表面に、均一なコーティングが施される。しかし、噴霧プロセスにおいて、コーティング材料の少なからぬ量が、余剰スプレーとして失われている。この余剰スプレーを回収して再利用することができれば有益である。
【課題を解決するための手段】
【0003】
余剰スプレーを再利用するシステムを開示する。本システムは、対象物の外面にコーティングを施すために、対象物へ向けて材料を吐出するときに生じる余剰スプレーを回収し再利用することができる。本システムは、概して、対象物が噴霧され得るように収容するハウジングと、対象物を保持するホルダと、コーティング材料を対象物へ向けて吐出する吐出デバイスと、余剰スプレーを回収および/または処理する容器と、再利用されるべき余剰スプレーを導くコンジットおよび流量調整器と、を備える。吐出デバイスおよびホルダは、ハウジング内に配置され得る。少なくとも1つの多孔性材料が、吐出デバイスとハウジングの壁との間に配置され得る。
【0004】
一態様においては、本システムの一実施例は、壁を備えるハウジングを含み得る。このハウジング内に、吐出デバイスとホルダが配置され得る。吐出デバイスと壁との間に少なくとも1つの多孔性材料が配置され得る。ホルダが、ゴルフボールを保持するように構成され得る。ホルダは、スピンドルとすることができる。吐出デバイスは、スプレーノズルを有し得る。多孔性材料は、ネットとすることができる。本システムは、吐出デバイスと壁との間に配置された2枚〜10枚の多孔性材料を含み得る。これらの多孔性材料間の距離は、約0.5cm〜約10cmの範囲内とすることができる。これらの多孔性材料は、約0.5mm〜約5mmの範囲内の孔の寸法を有し得る。壁が、傾斜しているとよい。本システムは、この壁へ向けて溶媒を噴霧するように位置決めされたノズルを有するポンプを備え得る。ハウジングの床の下方に、タンクが配置され得るが、ハウジングは、この第1のタンクへと開口するドレインを備え得る。チューブがタンクへ接続されるとともに、吐出デバイスと流体的に連通し得る。
【0005】
他の態様においては、本システムの一実施例は、床を備えるハウジングを含み得る。このハウジング内に、吐出デバイスが配置され得る。ハウジング内に、ホルダが配置され得る。ハウジングの床の下方に、第1のタンクが配置され得る。ハウジングと第1のタンクとの間に、ドレインが配置され得る。ホルダが、ゴルフボールを保持するように構成され得る。ホルダは、スピンドルとすることができる。吐出デバイスは、スプレーノズルを有し得る。多孔性材料は、ネットとすることができる。第1のタンクは、非粘着性の表面を有し得る。本システムは、第1のタンク内へ溶媒を噴霧するように位置決めされたノズルを有するポンプを備え得る。第1のタンクは、吐出デバイスと流体的に連通し得る。本システムは、ハウジングの床の下に配置されたコーティング材料を供給する第2のタンクを備え得る。第1のタンクと第2のタンクは共に吐出デバイスと流体的に連通し得る。第1のチューブが、供給タンクと流体的に連通し得る。第2のチューブが、回収タンクと流体的に連通し得る。第1の弁が、第1のチューブに接続された第1の入口、第2のチューブに接続された第2の入口、および第1のチューブからの流体と第2のチューブからの流体とを混合する出口を有する。出口は、第3のチューブに接続されていて、吐出デバイスと流体的に連通し得る。第2の弁が、第2のチューブ内に配置され得る。
【0006】
他の態様においては、本システムの一実施例は、余剰スプレーを再利用する方法を含み得る。この方法は、ハウジング内の対象物へ向けてコーティング材料を噴霧するステップと、ハウジング内へ溶媒を圧送するステップと、ハウジングからタンク内へ余剰スプレーを排出するステップと、余剰スプレーを新規コーティング材料と混合して混合物を生成するステップと、ハウジング内の対象物へ向けて混合物を噴霧するステップと、を含み得る。この方法は、多孔性材料を使って余剰スプレーを捕捉することを含み得る。この混合物に含まれる余剰スプレー/新規コーティング材料の比は、約20:80〜約80:20の範囲内とされ得る。本発明の方法は、混合物内の余剰スプレー/新規コーティング材料の比を制御する弁を使用することを含み得る。本発明の方法は、タンク内へ溶媒を添加することを含み得る。本発明の方法は、余剰スプレーを濾過することを含み得る。
【0007】
本発明の他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照することによって、当業者に明らかとなる。追加的なシステム、方法、特徴および利点のすべてが、この説明およびこの要旨に含まれ、本発明の範囲内に含まれ、さらには以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【0008】
本発明は、以下の図面および説明を参照することによって、さらによく理解されよう。各図に示される構成要素は、必須的な寸法を示すものではなく、本発明の原理を例示することを主眼としている。さらには、各図において、同様の参照符号は、様々な視点から見た場合の対応部位を指している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】余剰スプレー再利用システムの一実施例を示す側面図。
【図2】図1に見られる余剰スプレーシステムのブース内を示す平面図。
【図3】図1に見られる余剰スプレーシステムのブースを示す斜視図。
【図4】余剰スプレー再利用システムのブースの一実施例を示す斜視図。
【図5】余剰スプレー再利用システムの一実施例を示す部分的側面図。
【図6】図5に見られる実施例の部分的斜視図。
【図7】ネットの一実施例を示す図。
【図8】ネットの一実施例を示す図。
【図9】ネットの一実施例を示す図。
【図10】ネットおよび基部の一実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
対象物に噴霧しかつ余剰スプレーを再利用するために回収するシステムを開示する。本システムは、対象物に材料を噴霧することによって該対象物にコーティングを施すように構成されている。できるだけ均一なコーティングを施すために、コーティング材料の粒子は、噴霧されている対象物の表面積よりも大きな面積に亘るように吐出され得る。そのように大きな表面積に亘るように材料を吐出することによって、吐出材料粒子のうちのいくらかが、対象物に接触することなく該対象物付近を通過し続けてしまうことがある。対象物に堆積しない或いはくっ付かない種々の吐出材料粒子は、余剰粒子であると見做され得る。開示するシステムは、この余剰スプレーを無駄にすることなく回収して再利用することができる。開示する実施例は、ゴルフボールにコーティングを施すのに使用されるシステムを示すが、このシステムは、様々な種類の対象物にコーティングを施すのに使用され得る。例えば、本システムは、自動車部品にコーティングを施すのに使用され得る。
【0011】
開示する実施例は、ゴルフボールに塗料をコーティングするのに使用されるシステムを示しているが、このシステムで使用されるコーティング材料は、様々な種類のコーティング材料を含み得る。例えば、このシステムでは、保護コーティングまたは他の種々のコーティング材料が使用され得る。コーティング材料は、液体および/または粉末の形態であってもよい。いくつかの実施例においては、コーティング材料は、揮発性有機化合物(VOCs)を含む。コーティング材料は、シクロヘキサン、シクロアルケン、水、脂肪族炭化水素、酢酸エチル、グリコールエーテル、アセトンまたは他の周知の溶媒を含む様々な溶媒に溶解し得る。
【0012】
図1の実施例においては、対象物に噴霧しかつ余剰スプレーを再利用するために回収するシステム100が示されている。システム100は、概して、噴霧される対象物を収容するハウジングと、対象物を支持するホルダと、対象物へコーティング材料を吐出する吐出デバイスと、余剰スプレーを回収および/または処理する容器と、再利用されるべき余剰スプレーを導くコンジットおよび流量調整器と、を備える。
【0013】
ハウジングは、種々の型式の閉鎖空間を含み得る。図1〜3に示されるように、いくつかの実施例においては、ハウジングは、ブース102であってもよい。図2は、ブース102内を示す平面図である。ブース102は、天井129、床130、第1の壁131、第2の壁133、第3の壁134および第4の壁236によって閉鎖され得る。図3は、第1の壁131および第4の壁236を有するブース102の斜視図であり、ブース102内が透けて見えるようになっている。ブース102は、(蓄積して重くなった)余剰スプレーが床130内のブースドレイン128へ向かって流れ落ちるように導く傾斜壁132を備え得る。図1および図3に示されるように、傾斜壁132は、一方の端部が天井129に接続され、他方の端部が床130に接続されている。角度β(天井129と傾斜壁132の一方の端部とがなす角度)は、直角であるとよい。いくつかの実施例においては、角度β<90°である。角度α(床130と傾斜壁132の他方の端部とがなす角)は、α<90°であるとよい。いくつかの実施例においては、角度α=90°である。傾斜壁132は、床130に近づくほど曲がりが大きくなるような曲率半径Rを有する。いくつかの実施例においては、傾斜壁132は、曲率半径がゼロで、平坦になっている。
【0014】
図1〜図3に示されるように、ブース102は、傾斜壁132、第2の壁133、天井129の一部および床130の一部によって閉鎖された小部屋(コンパートメント)139を含み得る。後述するように、小部屋139は、ポンプ138およびチューブ142を収容し得る。いくつかの実施例においては、小部屋139は、システム100の他の構成要素を収容し得る。例えば、小部屋139は、ブース102内で使用される構成要素の交換部品を収容し得る。いくつかの実施例においては、第2の壁133がなく、ブースは、第2の壁133の代わりに傾斜壁132によって閉鎖されている。いくつかの実施例においては、ブース102は、複数の傾斜壁を含み得る。例えば、ブース102の第1の側壁134と第2の側壁236が共に傾斜壁であってもよい。他の例においては、すべての壁が湾曲している。例えば、図4に示される一実施例においては、ブース402は、途切れなく湾曲している壁431と湾曲床430とによって全体的に形成されていて、ブース402がほぼ球形の形状になっている。床430は、該床430の最低点に配置されたドレイン428の周囲で湾曲しているとよい。
【0015】
図1〜図3に示される、天井129、床130、第1の壁131、第2の壁133、第3の壁134、第4の壁236および傾斜壁132は、金属材料、ガラス材料またはプラスチック材料などの当技術分野で周知の種々の材料から製造され得る。いくつかの実施例においては、床130および天井135を含む、ブース102の1つまたは複数の壁は、互いに異なる材料で製造され得る。例えば、第1の壁131が金属で製造される一方で、第2の壁234がプラスチックで製造され得る。いくつかの実施例においては、床130および天井135を含む1つまたは複数のブース102の壁は、透明につくられていて、ブース102の外側からブース102の内側が見えるようになっている。いくつかの実施例においては、ブース102の1つまたは複数の壁が、コーティング材料と不相溶の種々の周知の材料から形成されていて、コーティング材料が壁にくっ付かない。例えば、傾斜壁132は、シリコンから形成されている。いくつかの実施例においては、ブース102の1つまたは複数の壁は、非粘着性コーティングを含み得る。例えば、床130および傾斜壁132は、非粘着性コーティングを含み得る。非粘着性コーティングは、コーティング材料と不相溶の種々の周知の材料を含み得る。例えば、非粘着性コーティングとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やシリコンがある。いくつかの実施例においては、ブース102は、該ブース102を床よりも高い位置まで持ち上げる脚104を備える。
【0016】
いくつかの実施例においては、ブース102は、透明な窓を備え、この窓を通して、ブース102の外側からブース102の内側が監視されるようになっている。この透明な窓は、ガラスやプラスチックを含む種々の周知の材料からなるものとすることができる。いくつかの実施例においては、ブース102は、該ブース102の外側からブース102内へ空気が流入することを可能にする換気システムを備える。ブース102は、該ブース102内へのアクセスを可能にするポートやドアを備え得る。例えば、ポンプ138とチューブ142へのアクセスを可能にするドアが、第2の壁133に設けられている。いくつかの実施例においては、コーティング材料がVOCsから形成されていて、VOCsが揮発することを防ぐために、ブースが密閉され得る。いくつかの実施例においては、内部空間の環境が汚染されることを回避するために、ブース102が密閉され得る。いくつかの実施例においては、ブース102は、噴霧条件を制御するために、密閉され得る。
【0017】
上述したように、本システムは、対象物へ向けてコーティング材料を吐出する吐出デバイスを備え得る。この吐出デバイスは、流体を吐出することができる種々の周知の型式のデバイスとすることができる。例えば、吐出デバイスは、霧吹き器ないし噴霧器とすることができる。図1の実施例に示されるように、吐出デバイスは、スプレー銃106とすることができる。スプレー銃106は、対象物にコーティング材料を噴霧するためのスプレー銃ノズル108を有し得る。スプレー銃106は、スプレー銃チューブ190と流体的に連通した状態になり得る。以下に詳細に説明するように、スプレー銃チューブ190は、スプレー銃106と、コーティング材料の供給路とを流体的に連通した状態にし得る。スプレー銃106は、該スプレー銃106を床上に位置決めするスプレー銃スタンド107を備え得る。スプレー銃106は、スプレー銃スタンド107に可動となるように接続され得る。スプレー銃106は、該スプレー銃106が対象物に噴霧するときに前後に及び/または上下に動くように構成されている。このように動くことは、対象物に均一なコーティング材料の層をコーティングすることを支援し得る。いくつかの実施例においては、複数の吐出デバイスが使用され得る。例えば、システム100は、ブース102内の様々な位置に、2つまたは3つのスプレー銃を備え得る。
【0018】
上述したように、本システムは、噴霧されるべき対象物を保持するホルダを備え得る。ホルダは、種々の周知の型式のホルダとすることができる。例えば、ホルダは、ハウジングの床上に位置決めされたスタンドに載っているクレードルとしてもよいし、ハウジングの天井から吊り下がっているクランプとしてもよい。図1の実施例に示されるように、ホルダは、ブース102内に配置されたスピンドル110とされ得る。スピンドル110は、床130上に該スピンドル110を位置決めするスピンドルスタンド113を含み得る。スピンドル110は、スピンドルスタンド113に可動となるように接続され得る。
【0019】
いくつかの実施例においては、システム100は、ゴルフボールに塗料をコーティングするように構成されている。従って、スピンドル110は、ゴルフボール112を受けるように構成され得る。スピンドル110は、ゴルフボール112を受けるように構成されたフィンガ111を有し得る。スピンドル110は、スプレー銃ノズル108の前方にゴルフボール112を保持するように位置決めされ得る。図1および図2に示されるように、この位置決めによって、スプレー銃ノズル108から噴出する塗料の軌道109内にゴルフボール112が配置され、これによって、スプレー銃106がゴルフボール112に塗料を噴霧することが可能となる。いくつかの実施例においては、対象物に材料をコーティングし易くするために、ホルダは、対象物を回転ないし動かすように構成されている。例えば、ゴルフボール112に均一な塗料のコーティングを施し易くするために、スピンドル110は、スタンド113の長手方向軸を中心としてゴルフボール112を回転させるように構成されている。いくつかの実施例においては、スピンドル110およびスピンドルスタンド113は、チェーンコンベアシステム内に位置決めされている。チェーンコンベアシステムは、10セット〜150セットのスピンドルおよびスピンドルスタンドを備え得る。
【0020】
多孔性材料は、噴霧される対象物に隣接して配置され得る。多孔性材料は、吐出デバイスとは反対の側に位置決めされ得る。多孔性材料は、余剰スプレーの一部が該多孔性材料を通流できるようにしつつも、余剰スプレーを捕捉することができる種々の周知の材料から形成され得る。例えば、多孔性材料としては、スクリーン、フィルタ、穿孔された金属のシートを含む。図1の実施例に示されるように、システム100は、スプレー銃106がゴルフボール112に噴霧するときに余剰スプレーを捕捉するように、ゴルフボール112と傾斜壁132との間に配置された、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118を有し得る。第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、また、噴霧された塗料の空圧を低減することができる。第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、長方形のネットとすることができる。いくつかの実施例においては、ネットは、他の形状としてもよい。例えば、いくつかの実施例においては、ネットは、幅広の上部を有し、底部へ向かって幅が狭くなる。そのような形状は、ネットによって捕捉された余剰スプレーをネット下の中央の位置の方向へ導くことを助ける。図6〜図9に示される実施例においては、ネットが幅広の上部を有し、ネットの底部へ向かって幅が狭くなっている。図6に示されるネットにおいては、上部から底部へ向かって幅が狭くなっている。図7に示される三角形のネット714は、該三角形のネット714を基部726に繋いでいる脚720を備えている。図8に示されるネット814は、中央部から底部へ向かって幅が狭くなっており、該ネット814を基部826へ繋いでいる脚820を備えている。図9に示されるネット914は、上部から中央部へ向かって幅が広くなり、中央部から底部へ向かって幅が狭くなっている。脚920が、ネット914と基部926とを繋いでいる。
【0021】
図1に戻ると、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、ブース102内で垂直に立っている。いくつかの実施例においては、これらのネットは、床130に対してある角度となるように位置決めされている。図1に示される実施例によると、システム100は、3枚のネットを備え得る。しかし、他の実施例においては、本システムは、様々な枚数のネットを備え得る。例えば、一実施例においては、本システムは、1枚のネットを備える。図5および図6に示される他の実施例においては、本システムは、5枚のネットを備える。しかし、他の実施例においては、システムは、10枚のネットを備える。
【0022】
ネットの孔の寸法は、様々なファクタに基づいて選択され得る。例えば、孔の寸法は、ネットの数、使用されるコーティング材料の種類、再利用されるべきコーティング材料の割合、あるいはコーティングされる対象物の種類に基づいて選択され得る。図1〜図3の実施例においては、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118の各々は、約0.5mm〜約5mmの範囲の孔の寸法を有し得る。いくつかの実施例においては、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118のすべてが、同じ孔の寸法を有する。他の実施例においては、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、互いに異なる孔の寸法を有する。例えば、第1のネット114が5mmの孔の寸法を有する一方で、第2のネット116は、2mmの孔の寸法を有し、第3のネット118は、0.5mmの孔の寸法を有する。他の実施例においては、第1のネット114の孔の寸法は、第2のネット116の孔の寸法よりも大きく、第2のネット116の孔の寸法は、第3のネット118の孔の寸法よりも大きい。
【0023】
いくつかの実施例においては、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118のうちの1つまたは複数に、該ネット上に塗料が蓄積するのを防ぐことによって該ネットの洗浄を容易にする非粘着性コーティングが施されている。例えば、第1のネット114および第2のネット116に、非粘着性コーティングが施されている。非粘着性コーティングは、コーティング材料と不相溶の種々の周知の材料を含み得る。例えば、非粘着性コーティングとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やシリコンがある。いくつかの実施例においては、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、該第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118に余剰スプレーが蓄積した後、溶媒を使って洗浄され及び/または交換される。
【0024】
ネット間の距離は、様々なファクタに基づいて設定され得る。例えば、孔の寸法、ネットの数、使用されるコーティング材料の種類、再利用されるべきコーティング材料の割合、あるいはコーティングされる対象物の種類に基づいて設定され得る。図1の実施例においては、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、約0.5cm〜約10cmの範囲内にある。いくつかの実施例においては、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、互いに等間隔に配置されている。他の実施例においては、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、様々な間隔に配置されている。例えば、第1のネット114が第2のネット116から5cm離れた位置にある一方で、第3のネット118は、第2のネット116から1cm離れた位置にある。いくつかの実施例においては、第1のネット114と第2のネット116との間の距離は、第2のネット116と第3のネット118との間の距離よりも大きい。これらの距離を維持し易くするために、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、共通の基部126に接続されている。第1のネット114は、該第1のネット114を共通の基部126に繋いでいる第1の脚120を備え得る。他のネットを取り外しおよび/または交換することなく、第1のネットを取り外しおよび/または交換できるように、第1のネット114は、第1の脚120または共通の基部126に取り外し可能に取り付けられ得る。第2のネット116は、該第2のネット116を共通の基部126に繋いでいる第2の脚122を備え得る。他のネットを取外しおよび/または交換することなく、第2のネット116を取り外しおよび/または交換できるように、第2のネット116は、第2の脚122または共通の基部126に取り外し可能に取り付けられ得る。第3のネット118は、該第3のネット118を共通の基部126に繋いでいる第3の脚124を備え得る。他のネットを取外しおよび/または交換することなく、第3のネット118を取り外しおよび/または交換できるように、第3のネット118は、第3の脚124または共通の基部126に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0025】
いくつかの実施例においては、共通の基部は、傾斜した形状を有し得る。図5および図6に示されるシステム500の一実施例においては、共通の基部526がブースドレイン528へ向かって傾斜していて、この傾斜した形状によって、(蓄積して重くなった)余剰スプレーが床530内のブースドレイン528へ向かって流れ落ちるように導かれる。第1のネット514は、該第1のネット514を共通の基部526に繋いでいる第1の脚520を備え得る。他のネットを取り外しおよび/または交換することなく、第1のネット514を取り外しおよび/または交換できるように、第1のネット514は、第1の脚520または共通の基部526に取り外し可能に取り付けられ得る。第2のネット515は、該第2のネット515を共通の基部526に繋いでいる第2の脚521を備え得る。他のネットを取り外しおよび/または交換することなく、第2のネット515を取り外しおよび/または交換できるように、第2のネット515は、第2の脚521または共通の基部526に取り外し可能に取り付けられ得る。第3のネット516は、該第3のネット516を共通の基部526に繋いでいる第3の脚522を備え得る。他のネットを取り外しおよび/または交換することなく、第3のネット516を取り外しおよび/または交換できるように、第3のネット516は、第3の脚522または共通の基部526に取り外し可能に取り付けられ得る。第4のネット517は、該第4のネット517を共通の基部526に繋いでいる第4の脚523を備え得る。他のネットを取り外しおよび/または交換することなく、第4のネット517を取り外しおよび/または交換できるように、第4のネット517は、第4の脚523または共通の基部526に取り外し可能に取り付けられ得る。第5のネット518は、該第5のネット518を共通の基部526に繋いでいる第5の脚524を備え得る。他のネットを取り外しおよび/または交換することなく、第5のネット518を取り外しおよび/または交換できるように、第5のネット518は、第5の脚524または共通の基部526に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0026】
図1に戻ると、いくつかの実施例においては、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、個別の基部上に配置されている。いくつかの実施例においては、スプレー銃106と諸ネットとの距離を維持するように、スプレー銃スタンド107が共通の基部126に接続されている。共通の基部126に取り付けられているすべての構成要素を取り外しおよび/または交換することなく、スプレー銃106を取り外しおよび/または交換できるように、スプレー銃106は、スプレー銃スタンド107または共通の基部126に取り外し可能に取り付けられ得る。いくつかの実施例においては、スピンドルスタンド113は、スピンドル110と諸ネットとの間の距離を維持するように、共通の基部126に接続されている。共通の基部126に取り付けられた構成要素のすべてを取り外しおよび/または交換することなく、スピンドル110を取り外しおよび/または交換できるように、スピンドル110は、スピンドルスタンド113または共通の基部126に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0027】
いくつかの実施例においては、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、ブース102の床130に直接的に接続されている。図4に示される一実施例においては、第1のネット414、第2のネット416および第3のネット418は、床430に直接的に接続されている。図1〜図3の実施例と同様に、図4の実施例は、対象物にコーティングを施すためのスプレー銃ノズル408を有するスプレー銃406を備え得る。スプレー銃406は、スプレー銃チューブ490と流体的に連通し得る。スプレー銃チューブ490を介して、スプレー銃406とコーティング材料の供給路とが流体的に連通し得る。スプレー銃406は、床430上に該スプレー銃406を位置決めするスプレー銃スタンド407を備え得る。本システムは、対象物を保持するスピンドル410を含み得る。スピンドル410は、スプレー銃ノズル408の前に該スピンドル410を位置決めするスピンドルスタンド413を備え得る。スピンドル410は、ゴルフボール412を受けるように構成されたフィンガ411を備え得る。第1のネット414、第2のネット416および第3のネット418は、スプレー銃スタンド407とは反対の位置になるように、スピンドルスタンド413に隣接し得る。第1のネット414は、該第1のネット414を床430に接続している第1の脚420を含み得る。第1のネット414を取り外しおよび/または交換できるように、第1のネット414は、第1の脚420または床430に取り外し可能に取り付けられ得る。第2のネット416は、該第2のネット416を床430に接続している第2の脚422を含み得る。第2のネット416を取り外しおよび/または交換できるように、第2のネット416は、第2の脚422または床430に取り外し可能に取り付けられ得る。第3のネット418は、該第3のネット418を床430に接続している第3の脚424を備え得る。第3のネット418を取り外しおよび/または交換できるように、第3のネット418は、第3の脚424または床430に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0028】
いくつかの実施例においては、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118は、カートリッジ内に設けられていて、このカートリッジが、ブース102内に設けられたスロット内へスライドする。そのようなカートリッジの各々は、単一のまたは複数のネットを有し得る。図10に示される一実施例においては、各ネットが、基部1026に設けられたスロット内へスライドするカートリッジを有する。基部1026は、第1のスロット1020、第2のスロット1022および第3のスロット1024を有し得る。第1のスロット1020は、第1のネット1014を受けることができる。第2のスロット1022は、第2のネット1016を受けることができる。第3のスロット1024は、第3のネット1018を受けることができる。いくつかの実施例においては、スロットは、ブースの床および/または天井に形成されている。
【0029】
上述したように、小部屋139は、ポンプ138を収容し得る。ポンプ138は、チューブ142に接続され得る。チューブ142は、溶媒の源と流体的に連通し得る。溶媒は、種々の周知の溶媒とすることができる。例えば、溶媒としては、シクロヘキサン、シクロアルケン、水、脂肪族炭化水素、酢酸エチル、グリコールエーテル、アセトン、または種々の他の周知の溶媒がある。溶媒は、65℃よりも高い沸点を有するとよい。溶媒は、本システムで使用されるコーティング材料の特性に基づいて選択され得る。例えば、溶媒は、コーティング材料を溶かす溶媒とすることができる。図1に示されるように、溶媒は、ブース102の下に配置された溶媒タンク144内に用意され得る。チューブ142は、溶媒タンク144と流体的に連通し得る。ポンプ138は、傾斜壁132に隣接して配置されたノズル140を備え得る。ノズル140は、傾斜壁132上へ溶媒を吐出するように構成され得る。塗料がスプレー銃106から出て空気中を飛んでいるとき、塗料中の溶媒が気化することによって、塗料が乾燥する。傾斜壁132上で乾燥した余剰スプレーを溶かすために、ポンプは、溶媒タンク144から傾斜壁132上へ溶媒を圧送し、こうして、余剰スプレーの粘性を小さくし、余剰スプレーがブースドレイン128へ向かって流れ落ちることを促す。いくつかの実施例においては、ポンプ138は、傾斜壁132上へ溶媒を吐出させ続ける。いくつかの実施例においては、ポンプ138は、設定された間隔でポンプ138を起動させるようにプログラミングされたコントローラに接続されている。例えば、ポンプ138は、5分毎に起動される。他の実施例においては、ポンプ138は、スプレー銃106が噴霧しているときの任意の時刻に起動される。いくつかの実施例においては、オペレータがポンプ138を起動させることができる。例えば、オペレータが、噴霧プロセスを監視し、余剰スプレーが傾斜壁132上に蓄積し始めているときにポンプ138を起動させてもよい。いくつかの実施例においては、ポンプ138は、傾斜壁132上に余剰スプレーが蓄積したときを検知するように構成された少なくとも1つのセンサを備える閉ループシステムに接続され得る。そのような実施例においては、傾斜壁132上に余剰スプレーが蓄積したことを少なくとも1つのセンサが検知したときにポンプ138を起動させるコントローラをさらに備えている。
【0030】
いくつかの実施例においては、本システムは、壁へ向けて溶媒を吐出する複数のポンプを備える。例えば、図4に示されるように、本システムは、壁431に隣接して配置されたノズルを有する3つのポンプを備える。第1のノズル440は、スプレー銃406のスプレー銃ノズル108とは反対側に配置され得る。第2のノズル441と第3のノズル443は、第1のノズル440と同じ側に配置され得る。ポンプとノズルをどこに位置決めするかは、様々なファクタに基づいて選択され得る。例えば、ポンプの位置決めは、コーティング材料の経路に基づいてなされる。ポンプとノズルの位置決めは、さらに様々なファクタに基づいて選択され得る。例えば、ポンプの数量は、使用される種々のコーティング材料や溶媒の種類に基づいて選択される。
【0031】
いくつかの実施例においては、ネットで捕捉された余剰スプレーの粘性を小さくする溶媒が、該ネットから吐出される。例えば、図5および図6に示されるように、第1のネット514、第2のネット515、第3のネット516、第4のネット517および第5のネット518の各々が、チューブ551を介して溶媒の源に接続されている。溶媒の源は、溶媒で満たされたタンク549として、ブース502の天井529の上に配置され得る。タンク549は、天井529の上以外の位置に配置される場合もある。例えば、タンク549は、ブースの内側、ブースの下、またはブースの隣に配置される。溶媒は、種々の周知の溶媒を含み得る。例えば、溶媒としては、シクロヘキサン、シクロアルケン、水、脂肪族炭化水素、酢酸エチル、グリコールエーテル、アセトン、あるいは種々の他の周知の溶媒がある。溶媒は、65℃よりも高い沸点を有するとよい。溶媒は、本システムによって使用されるコーティング材料の特性に基づいて選択され得る。例えば、溶媒は、コーティング材料を溶かす溶媒とすることができる。第1のネット514、第2のネット515、第3のネット516、第4のネット517および第5のネット518は、これらのネットのフレーム内に配置された複数の開口553を有し得る。溶媒は、タンク549からネットのフレーム内へ分注され得る。そして、溶媒は、開口553からネット上へ吐出され得る。溶媒がネットに沿って流れ落ちるときに、乾燥していた余剰スプレーが、溶媒によって溶けて再び流れるようになり、ネットに沿って流れ落ちる。こうして、溶媒は、余剰スプレーがネット上に蓄積することを防ぐことおよび/またはネットから余剰スプレーを洗い流すことに寄与し得る。
【0032】
上述したように、本システムは、余剰スプレーの回収用および/または処理用の容器を備え得る。図1に戻ると、容器は、余剰スプレー回収タンク146とすることができる。余剰スプレー回収タンク146は、ブース102の床下に配置することができる。ブースドレイン128は、余剰スプレー回収タンク146へ開口していて、余剰スプレーおよび/または溶媒がブース102から余剰スプレー回収タンク146内へ排出されるようになっているとよい。余剰スプレー回収タンク146の内壁147は、該内壁147に再利用塗料がくっ付かないように、非粘着性の表面を有するようにコーティングが施されているとよい。非粘着性コーティングは、コーティング材料と不相溶の種々の周知の材料とすることができる。例えば、非粘着性コーティングとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やシリコンがある。以下に詳細に説明するように、余剰スプレー回収タンク146は、スプレー銃106用の塗料の源として提供され得る。
【0033】
上述したように、噴霧プロセス全体に亘って、溶媒が気化しがちであるため、塗料に粘性が生じる。従って、溶媒を添加して再利用塗料の粘性を小さくすることによって、再利用塗料の特性を新規塗料の特性と同様にする。ポンプ148が、余剰スプレー回収タンク146内へ開口しているノズル150を備えて配置されている。ポンプ148は、溶媒の源と流体的に連通しているチューブ152と接続され得る。いくつかの実施例においては、溶媒の源は、ポンプ148のみで使用されるように指定されている。図1に示される他の実施例においては、溶媒タンク144は、ポンプ138とポンプ148の両方で使用されるように指定されている。チューブ152は、溶媒タンク144と流体的に連通し得る。流量計154が、余剰スプレー回収タンク146内に配置され得る。例えば、流量計154が、余剰スプレー回収タンク146の底部にある再利用塗料用ドレイン162に隣接して配置され得る。再利用塗料用ドレイン162に流量計154を近接させることは、様々なファクタに基づいて選択され得る。例えば、再利用塗料用ドレイン162に流量計154を近接させることは、使用されるコーティング材料の特性、余剰スプレー回収タンク146の温度、または流量計154の能力に基づいて選択され得る。いくつかの実施例においては、流量計154は、再利用塗料用ドレイン162の真上に配置される。
【0034】
流量計154は、余剰スプレー回収タンク146内の流体の体積流量を測定することができる。この測定値は、余剰スプレー回収タンク146内に存在している再利用塗料の粘性を指示し得る。閉ループシステムを提供するために、電子ポンプコントローラ158が、ワイヤ160を介して、流量計154およびポンプ148と電気的に接続され得る。流量計154によって測定された体積流量を指示する信号が、電子ポンプコントローラ158へ通信され得る。体積流量が所定の限界値よりも小さいことを信号が指示したとき、電子ポンプコントローラ158は、ポンプ148を起動して余剰スプレー回収タンク146へ溶媒を添加させて、余剰スプレー回収タンク146内に存在している再利用塗料の粘性を小さくすることができる。
【0035】
いくつかの実施例においては、電子ポンプコントローラ158の代わりに、人が、流量計154から測定値を読み、体積流量が所定の限界値よりも小さいときにポンプ148を起動させる。他の実施例においては、流量計154とポンプ148とが互いに機械的に連結されている。この接続がなされていることで、体積流量が所定の限界値よりも小さいことを流量計154の機械的出力が指示したとき、ポンプ148が起動することが可能となる。
【0036】
上述したように、本システムは、再利用されるべき余剰スプレーを導くコンジットを備え得る。図1に示されるように、コンジットの一つとしては、再利用塗料用チューブ166がある。余剰スプレー回収タンク146から再利用塗料を引き出すために、再利用塗料用チューブ166と再利用塗料用ドレイン162とが流体的に連通しているとよい。再利用塗料が余剰スプレー回収タンク146から引き出されるときに、再利用塗料から乾燥した塗料および種々の他の塵や汚染物の粒子を濾別するために、フィルタ164が、再利用塗料用ドレイン162に隣接して配置されているとよい。
【0037】
本システムは、新規塗料を蓄える容器を備え得る。図1に示されるように、この容器は、新規塗料用タンク168とすることができる。新規塗料用タンク168は、もう一つのスプレー銃106用塗料源を提供するものとして、ブース102の下に配置され得る。新規塗料用タンク168の内壁169は、該内壁169に新規塗料がくっ付かないように、非粘着性の表面を有するようにコーティングされているとよい。この非粘着性コーティングは、新規塗料と不相溶の種々の周知の材料とすることができる。例えば、非粘着性コーティングとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やシリコンがある。本システムの他のコンジットとしては、新規塗料用チューブ170がある。新規塗料用チューブ170は、新規塗料用タンク168内に配置されていて、新規塗料を引き出すために使用され得る。新規塗料は、スプレー銃ノズル108から噴霧される前に、再利用塗料と混合され得る。
【0038】
上述したように、本システムは、再利用されるべき余剰スプレーを導く流量調整器を備え得る。図1に示されるように、流量調整器は、誘導弁172を備え得る。新規塗料用チューブ170と再利用塗料用チューブ166とが、誘導弁172によって接続され得る。誘導弁172は、第1の入口174、第2の入口176および出口178を有し得る。再利用塗料用チューブ166は、第1の入口174に接続され、新規塗料用チューブ170は、第2の入口176に接続され得る。
【0039】
本システムの他のコンジットとしては、ポンプチューブ180がある。ポンプチューブ180は、一端部で出口178と接続し、第2の端部でポンプ182と接続され得る。ポンプ182は、新規塗料用チューブ170内を流れるように新規塗料を圧送するとともに、再利用塗料用チューブ166内を流れるように再利用塗料を圧送する。誘導弁172は、再利用塗料が新規塗料用チューブ170に流入することを防ぐとともに新規塗料が再利用塗料用チューブ166に流入することを防ぐ誘導弁エレメント188を有し得る。また、誘導弁エレメント172の位置を決めることによって、余剰スプレー回収タンク146と新規塗料用タンク168から流出する流量を制御することができる。再利用塗料および新規塗料は、出口178において混合され、ポンプチューブ180内へ流入し得る。ポンプ182は、この混合物を、スプレー銃チューブ190を通してスプレー銃106まで圧送し得る。
【0040】
本システムの他の流量調整器は、弁184を備え得る。弁184は、再利用塗料用チューブ166内において、再利用塗料用ドレイン162と第1の入口174との間に配置され得る。弁184は、該弁184の開口の大きさを制御する電子弁コントローラ186に接続され得る。電子弁コントローラ186は、ポンプ182によって圧送されて新規塗料と混合される再利用塗料の量を調節する弁184を制御することができる。ポンプ182によって圧送されて新規塗料と混合される再利用塗料の量は、再利用塗料/新規塗料の(重量部の)比に基づいて決めることができる。再利用塗料/新規塗料の比は、約20:80〜80:20の範囲内にされ得る。再利用塗料/新規塗料の比は、様々なファクタに依存し得る。比は、例えば、再利用塗料の粘性つまり平均の粘性に影響を及ぼし得る温度や他のファクタに依存し得る。
【0041】
いくつかの実施例においては、ポンプ182によって圧送されて新規塗料と混合される再利用塗料の量を調節する弁184の開口の大きさが、電子弁コントローラ186の代わりに、人の手によって制御される。他の実施例においては、弁184は、ポンプ182によって圧送されて新規塗料と混合される再利用塗料の量が自動調整されるように機械的に構成されている。
【0042】
一実施例においては、システム100を使用する方法は、新規塗料用タンク168からスプレー銃ノズル108を通してゴルフボール112へ向けて塗料を圧送するポンプ182を備えている。余剰スプレー回収タンク146が空であるときには、吸引される塗料のすべてが新規塗料用タンク168からのものとするために、誘導弁エレメント188が新規塗料用チューブ170へ全開するように揺動し得る。余剰スプレー回収タンク146が再利用塗料を蓄えていて弁184が開いているときには、新規塗料用タンク168と余剰スプレー回収タンク146の両方から塗料が吸引されるように、誘導弁エレメント188が位置決めされ得る。スプレー銃ノズル108から塗料が噴霧されているとき、ゴルフボール112にコーティングが施されつつ、第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118が余剰スプレーを捕捉することができる。第1のネット114、第2のネット116および第3のネット118によって捕捉されなかった余剰スプレーは、傾斜壁132を滑り落ちて、ブースドレイン128を通って、余剰スプレー回収タンク146内へ回収される。噴霧プロセスを介して乾燥していた塗料の粘性を改善するために、ポンプ138が、溶媒タンク144から傾斜壁132上へ溶媒を圧送し、これによって、余剰スプレーがブースドレイン128へ流れ落ちることが促進され得る。
【0043】
余剰スプレー回収タンク146内の再利用塗料が流量計154を過ぎてドレインへ向かうときに、流量計154は、再利用塗料の体積流量を測定することができる。流量計154は、体積流量を指示する信号を電子ポンプコントローラ158へ送ることができる。体積流量が所定の限界値よりも小さいことを信号が指示したとき、電子ポンプコントローラ158は、ポンプ148を起動して余剰スプレー回収タンク146へ溶媒を添加させて、余剰スプレー回収タンク146内に存在している再利用塗料の粘性を小さくすることができる。体積流量が所定の限界値より大きくなったことを示す信号が流量計154によって電子ポンプコントローラ158へ送られるまで、ポンプ148が余剰スプレー回収タンク146へ溶媒を添加し続けるようにしてもよい。上述したように、電子ポンプコントローラ158の代わりに、人が、流量計154からの測定値を読み、体積流量が所定の限界値よりも小さくなったときにポンプ148を起動させてもよい。他の実施例においては、流量計154とポンプ148とが、互いに機械的に連結されている。この接続がなされていることで、体積流量が所定の限界値よりも小さいことを流量計154の機械的出力が指示したときに、ポンプ148が起動され得る。
【0044】
再利用塗料が余剰スプレー回収タンク146から引き出されるとき、フィルタ164が、再利用塗料から、塗料と種々の他の粒子とを濾別することができる。弁184および電子弁コントローラ186は、再利用塗料/新規塗料の比に基づいて、余剰スプレータンク146から引き出される再利用塗料の量を調節することができる。上述したように、ポンプ182によって圧送されて新規塗料と混合される再利用塗料の量を調節する弁184の開口の大きさが、電子弁コントローラ186の代わりに、人の手によって制御される場合もある。他の実施例においては、弁184が、ポンプ182によって圧送されて新規塗料と混合される再利用塗料の量を自動的に調節するように機械的に構成されている。
【0045】
本発明の様々な実施例について説明したが、上述した説明は、例示することを意図し、限定することを意図していない。本発明の範囲を逸脱することなく、さらに多くの実施の形態および適用が可能であることが当業者に明らかとなろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびこれの均等物に照らすこと以外によって制限されない。さらには、添付の特許請求の範囲内において、様々な変更や変形がなされ得る。
【符号の説明】
【0046】
100…システム
102…ブース
104…脚
106…スプレー銃
107…スプレー銃スタンド
108…スプレー銃ノズル
109…塗料の軌道
110…スピンドル
112…ゴルフボール
113…スピンドルスタンド
114…第1のネット
116…第2のネット
118…第3のネット
120…第1の脚
122…第2の脚
124…第3の脚
126…共通の基部
128…ブースドレイン
130…床
131…第1の壁
132…傾斜壁
133…第2の壁
138…ポンプ
139…小部屋
140…ノズル
142…チューブ
144…溶媒タンク
146…余剰スプレー回収タンク
147…内壁
148…ポンプ
150…ノズル
152…チューブ
154…流量計
160…ワイヤ
162…再利用塗料用ドレイン
164…フィルタ
166…再利用塗料用チューブ
168…新規塗料用タンク
169…内壁
170…新規塗料用チューブ
172…誘導弁
174…第1の入口
176…第2の入口
178…出口
180…ポンプチューブ
182…ポンプ
184…弁
186…電子弁コントローラ
188…誘導弁エレメント
190…スプレー銃チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に材料をコーティングするシステムであって、
少なくとも1つの壁を備えるハウジングと、
上記ハウジング内に配置された吐出デバイスと、
上記ハウジング内に配置された上記対象物を保持するホルダと、
上記吐出デバイスと上記少なくとも1つの壁との間に配置された少なくとも1つの多孔性材料と、
を備えるシステム。
【請求項2】
上記ホルダは、ゴルフボールを保持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記ホルダは、スピンドルであることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
上記吐出デバイスは、スプレーノズルを有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
上記少なくとも1つの多孔性材料は、ネットであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
上記吐出デバイスと上記少なくとも1つの壁との間に2個〜10個の多孔性材料が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
上記多孔性材料間の距離は、約0.5cm〜約10cmの範囲内にあることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
上記多孔性材料の孔の寸法は、約0.5mm〜約5mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
上記少なくとも1つの壁は、傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
上記少なくとも1つの壁へ向けて溶媒を噴霧するように位置決めされたノズルを有するポンプをさらに備えることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
上記ハウジングの床下にタンクが配置され、上記ハウジングは、このタンク内へ開口しているドレインを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
上記タンクに接続されかつ上記吐出デバイスと流体的に連通しているチューブをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
対象物に材料をコーティングするシステムであって、
床を備えるハウジングと、
上記ハウジング内に配置された吐出デバイスと、
上記ハウジング内に配置された上記対象物を保持するホルダと、
上記ハウジングの上記床の下に配置された第1のタンクと、
上記ハウジングと第1のタンクとの間に配置されたドレインと、
を備えるシステム。
【請求項14】
上記ホルダは、ゴルフボールを保持するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
上記ホルダは、スピンドルであることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
上記吐出デバイスは、スプレーノズルを有することを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
上記少なくとも1つの多孔性材料は、ネットであることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
第1のタンクが非粘着性の表面を有することを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
第1のタンク内へ溶媒を噴霧するように位置決めされたノズルを有するポンプをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
第1のタンクが上記吐出デバイスと流体的に連通していることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
コーティング材料を供給する第2のタンクが上記ハウジングの上記床の下に配置されていることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
第1のタンクと第2のタンクが共に上記吐出デバイスと流体的に連通していることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
上記供給タンクと流体的に連通している第1のチューブと、
上記回収タンクと流体的に連通している第2のチューブと、
第1のチューブに接続された第1の入口、第2のチューブに接続された第2の入口、および第1のチューブからの流体と第2のチューブからの流体とを混合する出口を有する第1の弁と、
をさらに備えることを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
上記出口は、上記吐出デバイスと流体的に連通している第3のチューブに接続されていることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
第2のチューブ内に配置された第2の弁をさらに備えていることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
余剰スプレーを再利用する方法であって、
ハウジング内の対象物へ向けてコーティング材料を噴霧するステップと、
ハウジング内へ溶媒を圧送するステップと、
上記ハウジングからタンク内へ余剰スプレーを排出するステップと、
上記余剰スプレーを新規コーティング材料と混合して混合物を生成するステップと、
上記ハウジング内の対象物へ向けて上記混合物を噴霧するステップと、
を含む方法。
【請求項27】
多孔性材料を使って上記余剰スプレーを捕捉するステップをさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
上記混合物中の余剰スプレー/新規コーティング材料の比が約20:80〜約80:20の範囲内にあることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
上記混合物中の余剰スプレー/新規コーティング材料の比を制御する弁を使用することをさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項30】
上記タンク内へ溶媒を添加することをさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項31】
上記余剰スプレーを濾過することをさらに含む請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−250231(P2012−250231A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−121765(P2012−121765)
【出願日】平成24年5月29日(2012.5.29)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】