説明

余長収納部材及びケーブル用収納箱並びにこれを用いた余長収納方法

【課題】 ケーブルの絡まりを防止し、簡便に余長を保持することにより、余長の有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減する。
【解決手段】 8の字巻きしたケーブル11を収納するケーブル用収納箱200に使用される余長収納部材100を、所定長に形成され両端が開口した中空管25とした。ケーブル用収納箱200は、前記余長収納部材100を具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、8の字巻きしたケーブルを箱から余分に引き出した際に生じる余長を収納する余長収納部材及びケーブル用収納箱並びにこれを用いた余長収納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に室内に布設されるLANケーブル、インドア用光ケーブルなどの比較的細径のケーブルの収納に、8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱が用いられている。このケーブル用収納箱は、ケーブルを絡めずに引き出しやすい、いわゆる8の字巻きしたケーブルの状態で収納するもので、一つの面に形成された穴からケーブルが引き出されて布設されるようになっている。このケーブル用収納箱は、使用後つまりケーブルがなくなった後に廃棄が容易となるようにダンボールを主体として形成されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3986067号公報
【特許文献2】特開2001−63784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したケーブル用収納箱においては、室内にケーブルを布設し終わった後、ケーブルを箱から余分に引き出した余長(例えば、5〜10m程度)が残ることがある。ケーブル用収納箱においては、この余長を箱の中に押し込んでしまうと、箱の中でケーブルが絡まってしまい、次に引き出そうとしてもスムーズに引き出せなかったり、ケーブルにキンク(折れ曲がり)が発生したりして、ケーブルが光ケーブルである場合は断線に至るなどのトラブルの原因となる。このため、布設作業後は箱の近傍でケーブルを切断し、余長は廃棄することとしている。しかしながら、このように余長を廃棄すると、資源の無駄になり、ネットワーク構築コストが増大してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ケーブルの絡まりを防止しつつ簡便に余長を保持することにより、余長の有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる、8の字巻きしたケーブルを収納する余長収納部材及びケーブル用収納箱並びにこれを用いた余長収納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱に使用される余長収納部材であって、
所定長に形成され両端が開口した中空管であることを特徴とする余長収納部材。
【0007】
この余長収納部材によれば、単にケーブル余長の先端を中空管の入り口に押し込むだけでよく、中空管より長いケーブルであっても中空管を複数回挿通して巻くことで簡単にホールド、すなわち、収納できる。つまり、中空管がホルダとなる。余長を引き出す際にも、箱に近い側のケーブルを引っ張って、余長を中空管から引き出すだけで、ケーブルに撚りが発生することなく引き出すことができ、布設作業性が良好となる。
【0008】
(2) (1)の余長収納部材であって、
前記中空管は両端が近接するように曲げられていることを特徴とする余長収納部材。
【0009】
この余長収納部材によれば、両端が近接することで、中空管がC字型となり、一端の入り口から挿入されたケーブルは、中空管内に沿って湾曲して、他端の出口から導出可能となる。ケーブル余長が中空管の全長よりも長い場合には、出口から導出されたケーブルの先端が再び中空管の入り口に挿入され、長尺のケーブルが複数回の周回により収納可能となる。また、中空管がC字型となることで、挿通されるケーブル余長の最小曲げ内径が一定以下とならないように規制することが可能となる。
【0010】
(3) (1)又は(2)の余長収納部材であって、
前記中空管が板状部材の平面に取り付けられていることを特徴とする余長収納部材。
【0011】
この余長収納部材によれば、ケーブル用収納箱と別体の板状部材に中空管が取り付けられ、ケーブル用収納箱位置と異なる作業しやすい位置でのケーブルの収納が可能となる。また、使用済みのケーブル用収納箱から中空管を板状部材ごと分離し、分離した中空管及び板状部材からなる余長収納部材の再利用が可能となる。
【0012】
(4) 8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱であって、
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の余長収納部材を具備することを特徴とするケーブル用収納箱。
【0013】
このケーブル用収納箱によれば、ケーブル用収納箱と余長収納部材が一体となり、布設作業現場への余長収納部材の搬入搬出が容易となる。つまり、関連部材同士がワンセットとなり、利便性が向上する。
【0014】
(5) (4)のケーブル用収納箱であって、
前記余長収納部材が、ケーブル引出口の開口した面を除く外側面に装備されることを特徴とするケーブル用収納箱。
【0015】
このケーブル用収納箱によれば、ケーブル引出口から引き出されたケーブル余長が、ケーブル引出口の形成面に隣接する外側面に設けられた余長収納部材に挿入でき、適度な挿入作業スペースが形成されて、挿入が容易になるとともに、余長を引き出す際には、ケーブル引出口から外側面に渡って露出した渡りケーブル部分を引っ張ることで、ケーブル余長を余長収納部材から容易に引き出すことができる。
【0016】
(6) (4)又は(5)のケーブル用収納箱であって、
前記余長収納部材が、スライド自在に装備されて箱内部に収納可能となることを特徴とするケーブル用収納箱。
【0017】
このケーブル用収納箱によれば、余長収納部材がケーブル用収納箱内に収納されることにより、余長もケーブル用収納箱によって保護されるので、搬出入作業により余長に生じる外傷を防止できる。また、余長収納作業中は、余長収納部材の口がケーブル用収納箱の外に出ている方が作業しやすいが、余長がケーブル用収納箱から飛び出したままであると他部材と干渉して外傷を受ける虞が生じる。本構成では、余長収納部材をスライド可能にケーブル用収納箱内に収納し、余長収納作業時は中空管の口を外に出し、作業終了後は余長全体をケーブル用収納箱内に収納することで、作業性向上と外傷防止を両立できる。
【0018】
(7) (4)〜(6)のいずれか1つのケーブル用収納箱であって、
前記余長収納部材の形態が箱体の外面寸法以下の大きさに形成されて装備されることを特徴とするケーブル用収納箱。
【0019】
このケーブル用収納箱によれば、余長収納部材の最大高さないし奥行きがケーブル用収納箱の高さ及び奥行きを越えないサイズとなることで、余長収納部材とケーブル用収納箱を並べて置くのが容易となり、複数のケーブル用収納箱を整頓する場合等の収納スペースを節減できる。
【0020】
(8) 8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱から余分に引き出された余長ケーブルを(1)〜(3)のいずれか1つの余長収納部材に挿通することを特徴とする余長収納方法。
【0021】
この余長収納方法によれば、ケーブル用収納箱から余分に引き出されたケーブル余長の先端を、中空管の入り口に挿入し、順次押し込んで行くことにより、ケーブル余長が中空管に沿って収納され、余長が中空管よりも長い場合にも、出口から出たケーブルを再度、中空管の入り口から挿入することで中空管に沿って周回させることができ、任意長さのケーブルが撚りを生じさせずに容易に収納可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る余長収納部材によれば、所定長に形成され両端が開口した中空管であるので、単にケーブル余長の先端を中空管に押し込むだけで収納でき、余長を引き出す際には中空管から引き出すだけで撚りが発生することなくケーブルを引き出すことができる。この結果、ケーブルの絡まりを防止しつつ簡便に余長を保持することにより、余長の有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減できる。
【0023】
本発明に係るケーブル用収納箱によれば、請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の余長収納部材を具備するので、ケーブル用収納箱と余長収納部材が一体となり、布設作業現場への搬入搬出が容易になる。この結果、作業性を向上させ、作業時間の短縮を可能とすることができる。
【0024】
本発明に係る余長収納方法によれば、ケーブル用収納箱から引き出された余長ケーブルを請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の余長収納部材に挿通するので、ケーブル余長の先端を中空管の入り口に挿入し、順次押し込むことにより、任意長さのケーブルを、撚りを生じさせずに容易に収納できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る余長収納部材を備えたケーブル用収納箱の斜視図である。
【図2】(a)は図1に示したケーブル用収納箱の外側面の正面図、(b)は図1に示したケーブルの断面図である。
【図3】中空管を取り付けた板状部材が外側面に装着された第二の実施の形態に係るケーブル用収納箱の分解斜視図である。
【図4】中空管がスライド自在となって箱内に収納される第三の実施の形態に係るケーブル用収納箱の斜視図である。
【図5】(a)は中空管を引き出した状態の側面図、(b)は中空管を箱内に収納した状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る余長収納部材及びケーブル用収納箱並びにこれを用いた余長収納方法の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第一の実施の形態に係る余長収納部材を備えたケーブル用収納箱の斜視図である。
本実施の形態による余長収納部材100は、8の字巻きしたケーブル11を収納するケーブル用収納箱200の箱本体13に取り付けて使用される。取り付けの形態は、固定、着脱自在な装着、或いはスライド自在な収納構造とすることができる。本実施の形態では、固定手段である例えば結束バンド(インシュロック)15で箱本体13の外側面17に固定される例を説明する。
【0027】
箱本体13は、ダンボール19にて例えば六面体形状に形成され、一つの面である正面21に円形状のケーブル引出口23が開口されている。箱本体13内にはケーブル11である例えば光ケーブルが8の字巻きされて収納されている。8の字巻きは、中央交差部を境に巻き方向が反転する巻取り方式で、ケーブル11を束から引き出しても撚れず、従来のドーナッツ状の巻取り方式と比べ、現場で捩れ戻しの手間、捩れ、キンクによる特性悪化、断線等の問題が発生し難い。
【0028】
余長収納部材100は、その主要部材として、所定長に形成され両端が開口した中空管25を有する。中空管25は、合成樹脂製可撓電線管(CD管;Combined Duct)やポリエチレン管のようなフレキシブルな管を曲げて使用してもよいし、C字型に成型、固定されたプラスチック管でもよい。また、いわゆるコルゲートチューブのように、蛇腹のものを用いれば、耐衝撃性、屈曲性、形状復元性、スムーズな通線性を得ることができる。
【0029】
中空管25は、両端の入り口27と出口29が近接するように曲げられる。両端が近接することで、中空管25がC字型となり、一端の入り口27から挿入されたケーブル11は、中空管25内に沿って湾曲して、他端の出口29から導出可能となる。したがって、箱本体13から引き出されて、布設作業後に残ったケーブル余長が中空管25の全長よりも長い場合には、出口29から導出されたケーブル11の先端が再び入り口27に挿入されることで、中空管25の全長より長いケーブル11が複数回の周回により収納可能となる。また、中空管25がC字型となることで、挿通されるケーブル余長の最小曲げ内径が一定以下とならないように規制することも可能となる。
【0030】
中空管25の形状は、本実施の形態のようにC字型以外にも、U字型、或いは直線であってもよい。直線型とした場合には、一本の直線型中空管25を設けてもよく、複数の直線型中空管25を、周回経路に離間して配設してもよい。一本の直線型中空管25を設けて構成する場合には、入り口27から挿入したケーブル11を出口29から引き出し、弧を描くように屈曲して再び入り口27に挿入し、これを繰り返すことにより、周回巻きされた環状ケーブル束の周方向の一部分を中空管25にて保持する。
【0031】
図2(a)は図1に示したケーブル用収納箱の外側面の正面図、(b)は図1に示したケーブルの断面図である。
C字型に曲げた中空管25は、最小の曲げ内径Dが、ケーブル11の最大外径dの20倍以上であることが好ましい。これにより、ケーブル11が光ケーブルであっても光ファイバ心線に過大な曲げ歪みを生じさせないため、伝送損失が抑制され、信頼性の低下を生じさせない。
【0032】
また、中空管25は、内径Aが、図2(b)に示すケーブル11の最大外径dの5倍以上であることが好ましい。なお、ケーブル11は、断面円形状のもの11A、或いは短辺s、長辺tからなる断面矩形状のもの11Bのいずれであってもよく、断面矩形状のもの11Bの場合には対角距離が最大外径dとなる。中空管25の内径Aがケーブル11の最大外径dより十分に大きいことで、ケーブル11を複数周収納する作業が容易になり、中空管25の長さ以上の余長を容易に収納することができるようになる。つまり、図1に示すように、周回巻きされた環状ケーブル束が余裕を持ってホールド可能となる。
【0033】
このように、余長収納部材100では、単に余長ケーブルの先端を中空管25の入り口27に押し込むだけでよく、中空管25より長いケーブル11であっても複数回挿通して巻くことで簡単にホールド、すなわち、収納できる。つまり、中空管25がホルダとなる。これに加え、余長ケーブルを引き出す際にも、箱本体13に近い側のケーブル11(後述する渡りケーブル部分11a)を引っ張って、余長ケーブルを中空管25から引き出すだけで、ケーブル11に撚りが発生することなく引き出すことができ、布設作業性が良好となる。
【0034】
次に、上記余長収納部材100を備えたケーブル用収納箱200について説明する。
ケーブル用収納箱200は、図1に示すように、上記した余長収納部材100を一体に備えたものとすることができる。本実施の形態では、C字型に曲げられた余長収納部材100が、ケーブル引出口23の開口した正面21を除く外側面17に、インシュロック15にて複数箇所(図例では3箇所)で固定されている。
【0035】
ケーブル用収納箱200は、余長収納部材100が一体となることで、布設作業現場への余長収納部材100の搬入搬出が容易となる。つまり、関連部材同士がワンセットとなり、利便性が向上する。また、ケーブル引出口23から引き出された余長ケーブルが、ケーブル引出口23の形成面(正面21)に隣接する外側面17に設けられた余長収納部材100に挿入でき、適度な挿入作業スペース(ケーブル引出口23から外側面17までのスペース)が確保でき、挿入が容易になる。また、余長を引き出す際には、ケーブル引出口23から外側面17に渡って露出した渡りケーブル部分11aを引っ張ることで、余長ケーブルを中空管25から容易に引き出すことができる。
【0036】
ここで、余長収納部材100の形態は、箱本体13の外面(本例では外側面17)寸法以下の大きさに形成されて装備されることが好ましい。すなわち、図2に示すように、余長収納部材100の最大高さhないし奥行きbがケーブル用収納箱200の高さH及び奥行きBを越えないサイズとなることで、余長収納部材100とケーブル用収納箱200を並べて置くのが容易となる。これにより、例えば複数のケーブル用収納箱200を整頓する場合等の収納スペースを節減することができる。また、余長収納部材100に挿通して周回巻きされた環状ケーブル束の余長収納部材100からの露出部分が、箱本体13の外面から飛び出すことによる、外傷を防止することができる。
【0037】
余長収納部材100の備えられたケーブル用収納箱200を用いる余長収納方法では、8の字巻きしたケーブル11を収納する箱本体13から余分に引き出された余長ケーブルを、余長収納部材100に挿通する。箱本体13から余分に引き出された余長ケーブルの先端を、中空管25の入り口27に挿入し、順次押し込んで行くことにより、余長ケーブルが中空管25に沿って収納されて行く。余長が中空管25よりも長い場合にも、出口29から出たケーブル11を再度、中空管25の入り口27から挿入することで、中空管25に沿って周回させることができ、任意長さのケーブル11が撚りを生じさせずに容易に収納可能となる。なお、入り口27と出口29を適宜な距離に近接させれば、出口29から導出されたケーブル11を、そのまま入り口27へ送り込むことも可能となる。この結果、箱本体13内におけるケーブル11の8の字巻きに乱れをなくし、もつれ、伸び、断線等を生じさせずにケーブル余長を円滑に引き出すことが可能となる。
【0038】
次に、本発明に係るケーブル用収納箱の第二の実施の形態を説明する。
図3は中空管を取り付けた板状部材が外側面に装着された第二の実施の形態に係るケーブル用収納箱の分解斜視図である。
この実施の形態によるケーブル用収納箱200Aは、中空管25が板状部材31の平面31aに取り付けられる。板状部材31は、外側面17とほぼ同じサイズのダンボール板にて形成される。中空管25は、インシュロック15にて板状部材31に固定される。つまり、中空管25と板状部材31が、余長収納部材100Aを構成する。余長収納部材100Aは、箱本体13の外側面17に取り付けられる。
【0039】
余長収納部材100Aは、例えば板状部材31がガムテープ(図示せず)により箱本体13に固定される。固定の方法は、ガムテープ以外にも、面ファスナーを箱本体13と板状部材31の接合面に貼り付けておいてもよいし、箱本体13に切れ目を入れ、板状部材31の一部から爪を立てて係止し、保持するようにしてもよい。あるいは、接着材により貼り付けてもよいが、余長収納部材100Aを再利用する場合には不利である。
【0040】
この実施の形態によるケーブル用収納箱200Aによれば、箱本体13と別体の板状部材31に中空管25が取り付けられ、ケーブル用収納箱200Aと異なる作業しやすい位置でのケーブル11の収納が可能となる。また、使用済みの箱本体13から中空管25を板状部材31ごと分離し、分離した中空管25及び板状部材31からなる余長収納部材100Aの再利用を可能とすることもできる。また、箱本体13と余長収納部材100Aの分離保管も可能となる。
【0041】
図4は中空管がスライド自在となって箱内に収納される第三の実施の形態に係るケーブル用収納箱の斜視図である。
この実施の形態によるケーブル用収納箱200Bは、余長収納部材100Aが、スライド自在に装備されて箱本体13に収納可能となっている。すなわち、箱本体13には外側面17の内側に横方向に薄い扁平な収容空間33が形成され、収容空間33は隔壁34にてケーブル収納空間と仕切られている。この収容空間33は、正面21に矩形状の開口部35となって開口される。収容空間33は、余長収納部材100Aの全体を収納可能としている。
【0042】
余長収納部材100Aは、板状部材31の奥行きを、箱本体13の奥行きよりも小さくすることで、余長収納部材100Aの全体が開口部35から進退自在にスライドできるようになされている。また、板状部材31のスライド手前側の一部分の高さを箱本体13の開口部35の高さよりも大きくすることで、余長収納部材100Aの全体が箱本体13から飛び出すのを防いでいる。
【0043】
本実施の形態では、開口部35の高さよりも板状部材31の高さを高く形成し、板状部材31の前縁上下を切り欠いて、開口部35の高さよりも小さい引出部37を形成している。これにより、引出部37を持って余長収納部材100Aを容易に引き出せるようになっている。また、引出部37と共に中空管25の入り口27及び出口29が箱本体13の外に配置でき、ケーブル11の挿入、引き出しが容易に行えるようになっている。
【0044】
図5(a)は中空管を引き出した状態の側面図、(b)は中空管を箱内に収納した状態の側面図である。
この実施の形態によるケーブル用収納箱200Bでは、余長収納部材100Aが箱本体13内に収納されることにより、余長も箱本体13によって保護されるので、搬出入作業により余長に生じる外傷を防止できる。図5(a)に示すように、余長収納作業中は、余長収納部材100Aの入り口27及び出口29が箱本体13の外に出ている方が作業しやすいが、余長が箱本体13から飛び出したままであると他部材と干渉して外傷を受ける虞が生じる。本構成では、図5(b)に示すように、余長収納部材100Aをスライド可能に箱本体13内に収納し、余長収納作業時は中空管25の出口29を外に出し、作業終了後は余長全体を箱本体13内に収納することで、作業性向上と外傷防止を両立させている。
【0045】
したがって、上記した余長収納部材100,100Aによれば、所定長に形成され両端が開口した中空管25であるので、単にケーブル余長の先端を中空管25に押し込むだけで収納でき、余長を引き出す際には中空管25から引っ張るだけで撚りを発生させずに引き出すことができる。この結果、ケーブル11の絡まりを防止しつつ簡便に余長を保持でき、余長の有効利用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減できる。
【0046】
また、ケーブル用収納箱100,100A,100Bによれば、上記の余長収納部材100を具備するので、箱本体13と余長収納部材100,100Aが一体となり、布設作業現場への搬入搬出が容易になる。この結果、作業性を向上させ、作業時間の短縮を可能にできる。
【0047】
さらに、余長収納方法によれば、ケーブル用収納箱100,100A,100Bから引き出された余長ケーブルを上記の余長収納部材100、100Aに挿通するので、余長ケーブルの先端を中空管25の入り口27に挿入し、順次押し込むことにより、任意長さのケーブル11を、撚りを生じさせずに容易に収納することができる。
【実施例】
【0048】
次に、図1に示した余長収納部材100及びケーブル用収納箱200と同様の構成で余長収納部材及びケーブル用収納箱を製作し、ケーブル収納の可否を調べた結果を説明する。
箱本体の外側面には中空管をC字型に曲げてインシュロックで固定した。中空管は、内径15mm、外径20mmのCD管で、曲げ内径を230mmとした。余長収納部材全体の外径は270mmとした。
この実施例によるケーブル用収納箱において、長辺2mm、短辺1.6mmの断面略矩形状のインドア用光ケーブルを、中空管の入り口に挿入し、出口から引き出したケーブルを再び入り口に挿入して周回させることで、10mの余長を容易に収納できることが確認できた。
【符号の説明】
【0049】
11 ケーブル
13 箱本体(箱体)
17 ケーブル引出口の開口した面を除く外側面
21 正面(ケーブル引出口の開口した面)
23 ケーブル引出口
25 中空管
31 板状部材
31a 平面
100,100A 余長収納部材
200,200A,200B ケーブル用収納箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱に使用される余長収納部材であって、
所定長に形成され両端が開口した中空管であることを特徴とする余長収納部材。
【請求項2】
請求項1記載の余長収納部材であって、
前記中空管は両端が近接するように曲げられていることを特徴とする余長収納部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の余長収納部材であって、
前記中空管が板状部材の平面に取り付けられていることを特徴とする余長収納部材。
【請求項4】
8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱であって、
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の余長収納部材を具備することを特徴とするケーブル用収納箱。
【請求項5】
請求項4記載のケーブル用収納箱であって、
前記余長収納部材が、ケーブル引出口の開口した面を除く外側面に装備されることを特徴とするケーブル用収納箱。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載のケーブル用収納箱であって、
前記余長収納部材が、スライド自在に装備されて箱内部に収納可能となることを特徴とするケーブル用収納箱。
【請求項7】
請求項4〜請求項6のいずれか1項記載のケーブル用収納箱であって、
前記余長収納部材の形態が箱体の外面寸法以下の大きさに形成されて装備されることを特徴とするケーブル用収納箱。
【請求項8】
8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱から余分に引き出された余長ケーブルを請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の余長収納部材に挿通することを特徴とする余長収納方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−168074(P2010−168074A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12095(P2009−12095)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】