説明

作付けシミュレートプログラム、作付けシミュレート装置、および作付けシミュレート方法

【課題】高精度な連作障害判断を直感的かつわかりやすく提示すること。
【解決手段】2007年度の圃場f1には、全体にわたって麦類が作付けされている。この麦類の作付け領域をfbとする。2008年度は未来の年度であるため、ここでは、2007年度と同一の作付け品目をfbと同一の領域で作付けしたと仮定し、2008年度の作付け領域faとする。そして、作付け領域fa,fbの重複領域fabを取得する。そして、重複領域fabと2006年度の麦類の作付け領域fcとの重複領域fabcを取得する。そして、重複領域fabcと2005年度の麦類の作付け領域fhとの重複領域fabchを取得する。重複領域fabchが存在するため、4年連続で同一領域内において麦類を連作していることがわかる。重複領域fabchは、4年連続で麦類を連作しており、連作限度年数(=3)を超えているため、連作障害ありと判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農作物の作付けをシミュレートする作付けシミュレートプログラム、作付けシミュレート装置、および作付けシミュレート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数年連続して同じ作物を同じ田畑で作付けする行為を連作といい、連作を継続しすぎると、作物の生育が悪くなったり、収量が減るなどの連作障害が発生する。この連作障害が発生しないように、違う作物を植えて田畑を回すことを輪作といい、この輪作をおこなうことで連作障害を回避することが一般的である。
【0003】
下記特許文献1の栽培作物の経年管理方法は、適正な輪作栽培が行われている圃場あるいは連作障害が発生する恐れがある圃場を地図上で視覚的に表示する技術である。具体的には、圃場の形状、位置情報、栽培作物の種類、栽培年、栽培作物の種類を色分けするための表示属性を、圃場データとして圃場ごとに登録し、地図DBから管理対象の圃場が存在する地図データを取得して表示し、任意の区域と年度を指定して圃場データを取得し、指定区域に存在する圃場を表す図形と、各圃場の指定年度区間における栽培作物の種類を前記表示属性に従った色で重ね合わせて地図上に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−312346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の従来技術は、栽培作物ごとにあらかじめ決められた色を圃場に塗りわけしてレイヤ管理し、数年分を重ね合わせて表示している。この場合、重ねられた色がどの程度の状態(明度、彩度、色相、濃度など)のときに連作障害が発生するかは、ユーザ自身が識別しなければならない。したがって、連作障害の発生の有無を誤って判断してしまうという問題があった。
【0006】
たとえば、混合色の状態によっては、本来ならば連作障害が発生していないにもかかわらず、連作障害ありと判断してしまったり、また、連作障害が発生しているにもかかわらず、連作障害なしと判断してしまうこととなる。
【0007】
また、従来から、農作物の作付けには、輪作・転作など、連作による障害の回避や地力の維持などを目的としての農地の利用方法の検討が必要となる。水田や畑作において、同じ農地に一定年限をおいて異なる種類の作物を交代で繰り返し栽培する輪作体系は、担当者の経験と勘に頼っている。したがって、上述した特許文献1の従来技術で表される混合色を見ても連作障害の発生の有無が曖昧であるため、結局担当者の経験と勘に依存してしまうという問題があった。
【0008】
このように、農業の生産性を高めるための農地集約化経営が求められているにもかかわらず、人の経験と勘に頼った輪作体系のため、今後も連作障害が発生することが懸念されている。
【0009】
また、複数の耕作地や広大な耕作地を所有する農家などでは、農地の作付けを決定するのに多大な時間を要しており、かつ判断を行うためのデータの整備なども難しい。したがって、上述した特許文献1の従来技術で表される混合色を見ても連作障害の発生の有無が曖昧であるため、結局、農地の作付け決定やデータ整備も依然として困難であるという問題があった。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、高精度かつ効率的な連作障害判断を直感的かつわかりやすく提示することができる作付けシミュレートプログラム、作付けシミュレート装置、および作付けシミュレート方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面として、各年度単位での作付け品目および該作付け品目の作付け領域を記憶する記憶手段および作付け品目単位で連作限度年数を記憶する連作限度記憶手段にアクセス可能であり、任意の判定対象年度を取得し、前記記憶手段および前記連作限度記憶手段を参照し、取得された前記判定対象年度から前記連作限度年数を超えるまでの各作付け領域を特定し、同一作付け品目について前記各作付け領域を連続する年度同士で比較することにより、前記判定対象年度から前記同一作付け品目の連作開始年度までの連作年数が前記連作限度年数を超えたときの前記各作付け領域のすべてにおいて重複する重複領域を特定し、当該重複領域の前記判定対象年度の作付け領域に対する割合に基づいて、前記重複領域の連作障害の危険度を判定し、判定結果を出力する作付けシミュレートプログラム、作付けシミュレート装置、および作付けシミュレート方法が提案される。
【0012】
この作付けシミュレートプログラム、作付けシミュレート装置、および作付けシミュレート方法によれば、作付け領域の連作障害の可能性を自動判定することができる。また、重複領域の有無により連作障害の可能性を判定するため、重複領域の大きさ(面積)を得ることができる。また、連作障害またはその可能性の有無や、連作障害ありの場合の危険度を可視化することで、連作障害あり、その可能性あり、その可能性なしといった各種判定結果を可視的に分類することができる。また、連作障害ありの場合は危険度の段階を、可視的に分類することができる。
【発明の効果】
【0013】
この作付けシミュレートプログラム、作付けシミュレート装置、および作付けシミュレート方法によれば、高精度な連作障害判断を直感的かつわかりやすく提示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態にかかる作付けシミュレーション処理の概要を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる作付けシミュレート装置のハードウェア構成を示す説明図である。
【図3】作付けテーブル300の記憶内容を示す説明図である。
【図4】要素情報テーブル400の記憶内容を示す説明図である。
【図5】作付け領域の特定例を示す説明図である。
【図6】連作障害マスタ600の記憶内容を示す説明図である。
【図7】年度指定画面を示す説明図である。
【図8】地図画面を示す説明図である。
【図9】検索画面を示す説明図である。
【図10】図9の状態から「品目」を選択した場合の検索画面900を示す説明図である。
【図11】連作障害判定処理の実行後の地図画面800を示す説明図である。
【図12】過去作付け履歴1102の表示例を示す説明図である。
【図13】作付けシミュレート装置200の機能的構成を示すブロック図である。
【図14−1】2007年度の連作障害判定を示す説明図(その1)である。
【図14−2】2007年度の連作障害判定を示す説明図(その2)である。
【図14−3】2007年度の連作障害判定を示す説明図(その3)である。
【図15−1】2008年度の連作障害判定を示す説明図(その1)である。
【図15−2】2008年度の連作障害判定を示す説明図(その2)である。
【図15−3】2008年度の連作障害判定を示す説明図(その3)である。
【図16】本実施の形態にかかる作付けシミュレーション処理手順を示すフローチャートである。
【図17】作付け領域特定処理(ステップS1608)のフローチャートである。
【図18】障害判定処理(ステップS1609)のフローチャート(前半)である。
【図19】障害判定処理(ステップS1609)のフローチャート(後半)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この作付けシミュレートプログラム、作付けシミュレート装置、および作付けシミュレート方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は、地理情報を利用して、栽培作物の栽培履歴を管理する技術であり、その圃場の栽培履歴から、来シーズン生産者が適切な輪作をおこない、連作障害の発生を防ぐことができるように支援するものである。
【0016】
これにより、農地の集約化経営において、いままでより連作障害を考慮した作付面積を直感的かつわかりやすく提示することができる。また、法人農家・集団経営などに農業形態が移行するに伴って、このような作付けシミュレートをおこなうことにより、障害発生の回避、収量増加、作付け決定の時間短縮や農耕地のデータ整備の容易化を図ることができる。まず、本実施の形態の概要について説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態にかかる作付けシミュレーション処理の概要を示す説明図である。図1では、現在の年度(ここでは2007年度)に対し、2008年度を連作障害の判定対象年度として、2008年度の連作障害の発生可能性を予測する場合の例である。また、例として、作付け品目は麦類(図1では単に「麦」と表記)とし、麦類の連作限度年数を3年としている。連作限度年数とは、その年数を超えて連作すると連作障害が発生する年数である。
【0018】
まず、2007年度の圃場f1には、全体にわたって麦類が作付けされている。この麦類の作付け領域をfbとする。2008年度は未来の年度であるため、ここでは、2007年度と同一の作付け品目をfbと同一の領域で作付けしたと仮定し、2008年度の作付け領域faとする。そして、作付け領域fa,fbの重複領域fabを取得する(図1中、白い太矢印の示す先)。重複領域fabが存在するため、2年連続(2007〜2008年度)で同一領域内において麦類を連作していることがわかる。
【0019】
つぎに、地理データベースから圃場f1の2006年度の作付け結果を呼び出す。2006年度の圃場f1では、麦類のほか、豆類や芋類が作付けされている。それぞれの作付け領域を、fc(麦類の作付け領域)、fd(豆類の作付け領域)、fe(芋類の作付け領域)、ff(豆類の作付け領域)とする。
【0020】
そして、2007年度〜2008年度の麦類の重複領域fabと2006年度の麦類の作付け領域fcとの重複領域fabcを取得する(図1中、ハッチングがある太矢印の示す先)。重複領域fabcが存在するため、3年連続(2006〜2008年度)で同一領域内において麦類を連作していることがわかる。なお、作付け領域fd,fe,ffでは麦類の連作が止まっているため、2008年度においては連作障害が発生しない。
【0021】
つぎに、地理データベースから圃場f1の2005年度の作付け結果を呼び出す。2005年度の圃場f1でも、麦類のほか、豆類や芋類が作付けされている。それぞれの作付け領域を、fg(芋類の作付け領域)、fh(麦類の作付け領域)、fi(豆類の作付け領域)とする。
【0022】
そして、2006年度〜2008年度の麦類の重複領域fabcと2005年度の麦類の作付け領域fhとの重複領域fabchを取得する(図1中、黒い太矢印の示す先)。
重複領域fabchが存在するため、4年連続(2005〜2008年度)で同一領域内において麦類を連作していることがわかる。なお、作付け領域fabcでは麦類の連作が止まっているため、2008年度においては連作障害が発生しない。
【0023】
重複領域fabchは、4年連続で麦類を連作しており、連作限度年数(=3)を超えているため、連作障害ありと判定される。表示画面では、圃場f1中、重複領域fabchを強調表示することで、連作障害の発生領域を直感的かつわかりやすく表示することができる。
【0024】
(作付けシミュレート装置のハードウェア構成)
まず、この発明の実施の形態にかかる作付けシミュレート装置のハードウェア構成について説明する。図2は、この発明の実施の形態にかかる作付けシミュレート装置のハードウェア構成を示す説明図である。
【0025】
図2において、作付けシミュレート装置200は、コンピュータ本体210と、入力装置220と、出力装置230と、から構成されており、不図示のルータやモデムを介してLAN,WANやインターネットなどのネットワーク240に接続可能である。
【0026】
コンピュータ本体210は、CPU,メモリ,インターフェースを有する。CPUは、作付けシミュレート装置200の全体の制御を司る。メモリは、ROM,RAM,HD,光ディスク211,フラッシュメモリから構成される。メモリはCPUのワークエリアとして使用される。
【0027】
また、メモリには各種プログラムが格納されており、CPUからの命令に応じてロードされる。HDおよび光ディスク211はディスクドライブによりデータのリード/ライトが制御される。また、光ディスク211およびフラッシュメモリはコンピュータ本体210に対し着脱自在である。インターフェースは、入力装置220からの入力、出力装置230への出力、ネットワーク240に対する送受信の制御をおこなう。
【0028】
また、入力装置220としては、キーボード221、マウス222、スキャナ223などがある。キーボード221は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力をおこなう。また、タッチパネル式であってもよい。マウス222は、カーソルの移動や範囲選択、あるいはウィンドウの移動やサイズの変更などをおこなう。スキャナ223は、画像を光学的に読み取る。読み取られた画像は画像データとして取り込まれ、コンピュータ本体210内のメモリに格納される。なお、スキャナ223にOCR機能を持たせてもよい。
【0029】
また、出力装置230としては、ディスプレイ231、スピーカ232、プリンタ233などがある。ディスプレイ231は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。またスピーカ232は、効果音や読み上げ音などの音声を出力する。また、プリンタ233は、画像データや文書データを印刷する。
【0030】
(各種テーブルの記憶内容)
図3は、作付けテーブル300の記憶内容を示す説明図である。作付けテーブル300は、圃場に作付け品目が作付けされた作付け領域ごとに、SEQ番号、年度、領域ID、集落、農家、作付け面積、連作障害(当該年度)、連作障害(当該年度の翌年度)を保持する。
【0031】
SEQ番号とは、作付け領域ごとに与えられる固有の番号である。同一領域であっても年度が異なればSEQ番号も異なる。年度とは、作付け領域の作付け年度である。領域IDは、作付け領域を特定する固有の識別情報であり、圃場番号と枝番により構成される。圃場番号とは、作付け領域を含む圃場の番号である。枝番とは、圃場内の番号である。圃場には複数の作付け領域が存在する場合もあるため、この枝番により区別する。集落とは、作付け領域を管理する集落であり、農家とは作付け領域の管理者また所有者である。
【0032】
作付け面積とは、作付け領域の面積である。なお、作付け領域の座標データについては、後述する要素情報テーブルで説明する。連作障害(当該年度)とは、当該年度(2004年度の作付け領域であれば、その年度)の連作障害の判断対象となる品目とその障害レベルとからなる。品目とは作付け領域の作付け品目である。障害レベルとは、判定対象となる作付け領域中にどのくらい連作障害が発生している領域が含まれているかを示す情報である。
【0033】
ここでは、−1〜3までの数値によりあらわしている。たとえば、“−1”の場合は未判定、“0”の場合は連作障害となる作付け領域なし、“1”の場合は連作障害となる作付け領域が判定対象作付け領域の面積の半分未満、“2”の場合は連作障害となる作付け領域が判定対象作付け領域の面積の半分以上同一面積未満、“3”の場合は連作障害となる作付け領域が判定対象作付け領域の面積と同一面積であることをあらわしている。
【0034】
同様に、連作障害(当該年度の翌年度)とは、当該年度の翌年度(2004年度の作付け領域であれば、その翌年(2005年)度)の連作障害の判断対象となる品目とその障害レベルとからなる。品目とは作付け領域の作付け品目である。障害レベルとは、判定対象となる作付け領域中にどのくらい連作障害が発生している領域が含まれているかを示す情報であり、連作障害(当該年度)と同様である。
【0035】
すなわち、連作障害(当該年度)とは、その年度に対する連作障害を示す情報であり、連作障害(当該年度の翌年度)とは、同一品目をその翌年も作付けした場合の連作所具合の情報を示す情報である。したがって、当該年度が現在年度(ここでは2007年度)である場合、連作障害(当該年度の翌年度)は、2008年度の連作障害の発生予測をあらわす情報となる。
【0036】
また、当該年度が過去の年度(ここでは、2004〜2006年度)である場合、その翌年度の連作障害(当該年度)が得られている。その翌年度の連作障害(当該年度)は現在年度では既知情報であるが、品目を変更して当該年度とその翌年度の作付け品目を同一にすることにより、「あの年の翌年は前年度の作付け品目のまま連作をしても問題なかった。」といった結果や「あの年の翌年に作付け品目を変更しておいて正解だった。」といった結果を得ることができ、過去の輪作/連作行為の正当性を確認することができる。
【0037】
図4は、要素情報テーブル400の記憶内容を示す説明図である。要素情報テーブル400は、上述したSEQ番号ごとに、作付け領域の左下座標LLと右上座標URと図形レイヤとを保持する。作付け領域は、左下座標LLと右上座標URとにより特定される矩形内に存在する。また、図形レイヤとは、全圃場の図形データを有するレイヤであり、年度ごとに存在する。なお、L2007とは、2007年度の図形レイヤである。図形レイヤは上述した記憶部に記憶されている。
【0038】
図5は、作付け領域の特定例を示す説明図である。図5中、LLが左下座標であり、URが右上座標である。領域500内には作付け領域501,502が含まれていることが分かる。
【0039】
図6は、連作障害マスタ600の記憶内容を示す説明図である。連作障害マスタ600は、作付け品目(図6では、単に「品目」)ごとに連作限度年数が保持されている。連作限度年数とは、その年数を超えて連作すると連作障害が発生する年数である。たとえば、麦類の連作限度年数は“3”であるので、4年連続で同一領域に作付けすると連作障害が発生する。
【0040】
(各種画面例)
図7は、年度指定画面を示す説明図である。作付けシミュレートプログラムを起動すると、コンピュータの表示画面には、年度指定画面700が表示される。入力欄701には、現在または過去の年度を入力する。コンピュータは指定年度の翌年度を判定対象年度として連作障害を判定することとなる。たとえば、“2007”と入力した場合は、2008年度の連作障害を判定する。また、指定年度の連作障害が未判定の場合、指定年度を判定対象年度としてその連作障害も判定することもできる。OKボタン702をクリックすると、図8に示す地図画面が表示される。
【0041】
図8は、地図画面を示す説明図である。地図画面800中、画面801は指定年度の地図画面であり、画面802はその翌年度の地図画面である。図8の地図画面800は、指定年度およびその翌年度とも連作障害の判定結果が非表示の状態を示している。この状態で、検索ボタン803をクリックすると、図9に示す検索画面が表示される。
【0042】
図9は、検索画面を示す説明図である。図9に示した検索画面900は、連作障害の判定対象となる作付け領域を絞り込むための検索条件を指定する画面である。検索種別としては、「字(あざ)」、「耕作者」、「品目」、「その他」を選択することができる。「その他」では、直近の日付(たとえば、最近5日間)や圃場番号を条件として指定することができる。なお、図10は、図9の状態から「品目」を選択した場合の検索画面900を示す説明図である。そして、図9または図10において、検索実行ボタン901がクリックされると、検索条件に従って連作障害の判定がおこなわれる。
【0043】
図11は、連作障害判定処理の実行後の地図画面800を示す説明図である。両画面801,802ともに、色塗りで強調表示されている作付け領域が連作障害ありと判定された領域である。強調表示される色の種類によって、作付けテーブル300の障害レベルを参照することにより、その作付け領域にどの程度連作障害ありと判定された領域が含まれているかもわかる。
【0044】
また、図11では、地図だけではなく、検索条件に該当する作付け領域の台帳一覧も表示される。台帳一覧には作付け領域ごとに、作付けテーブル300に相当する情報が表示される。また、台帳一覧においては、過去の履歴が存在するレコードには履歴表示ボタン1101が表示される。この履歴表示ボタン1101をクリックすることで、過去作付け履歴1102にそのレコードに該当する作付け領域の過去の作付け履歴を表示することができる。図12は、過去作付け履歴1102の表示例を示す説明図である。
【0045】
(作付けシミュレート装置の機能的構成)
つぎに、作付けシミュレート装置200の機能的構成について説明する。図13は、作付けシミュレート装置200の機能的構成を示すブロック図である。図13において、作付けシミュレート装置200は、取得部1301と、特定部1302と、判定部1303と、出力部1304と、を備えている。これら各機能1301〜1304は、作付けシミュレート装置200の記憶部に記憶された当該機能1301〜1304に関するプログラムをCPUに実行させることにより、または、入出力I/Fにより、当該機能を実現することができる。
【0046】
また、各機能1301〜1304からの出力データは図2で説明した記憶部に保持される。また、図13中矢印で示した接続先の機能は、接続元の機能からの出力データを記憶部から読み込んで、当該機能に関するプログラムをCPUに実行させるものとする。
【0047】
まず、取得部1301は、任意の判定対象年度を取得する機能を有する。判定対象年度とは、連作障害の判定対象となる年度である。たとえば、図7に示した入力欄701への指定年度の翌年度が判定対象年度となる。また、指定年度の連作障害が未判定である場合には、指定年度も判定対象年度となり得る。
【0048】
なお、作付けシミュレート装置200がスタンドアロン型である場合、作付けシミュレート装置200は指定年度の入力を受け付けることで判定対象年度を取得する。また、サーバー&クライアント型である場合、作付けシミュレート装置200がサーバーとなるため、クライアントから指定年度を受信して、作付けシミュレート装置200で判定対象年度を取得することとなる。
【0049】
また、特定部1302は、取得部1301によって取得された判定対象年度の作付け領域を特定する機能を有する。具体的には、たとえば、図7で入力された指定年度に該当する作付け領域を特定する。指定年度だけでは、特定される圃場が多い場合には、図9または図10に支援したように、「字(あざ)」、「耕作者」、「品目」、「その他」などの検索条件により絞り込むこともできる。
【0050】
また、判定部1303は、特定部1302によって特定された作付け領域の作付け品目と当該作付け品目の連作限度年数とに基づいて、作付け領域の連作障害の可能性を判定する機能を有する。具体的には、たとえば、判定対象年度から作付け品目の連作開始年度までの作付け領域の重複領域に基づいて、作付け領域の連作障害の可能性を判定する。
【0051】
ここで、連作開始年度とは、作付け領域の作付け品目の作付けが開始された年度である。たとえば、作付け品目が麦類である場合、連作限度年数は3年(図6を参照)である。したがって、判定部1303では、連作開始年度から判定対象年度までが3年を超えた場合、作付け領域を連作障害ありと判定する。
【0052】
また、圃場(またはその中の作付け領域)の面積や位置、作付けされる品目は、年々変化する。したがって、作付け領域のうち、判定対象年度から作付け品目の連作開始年度までの連作年数が連作限度年数を超えたときの重複領域の有無により、作付け領域の連作障害の可能性を判定することが好ましい。
【0053】
たとえば、連作年数が連作限度年数を超えたときに重複領域が残存する場合、当該重複領域を連作障害ありと判定することとしてもよい。また、作付け領域のうち重複領域以外の非重複領域については、連作障害の可能性ありと判定することとしてもよい。
【0054】
ただし、この場合、無制限に連作障害の可能性ありと判定すると、一度も連作していない非重複領域も連作障害の可能性ありと判定される場合があるため、非重複領域のうち、連作年数が連作限度年数以下であり、かつ、連作年数と連作限度年数との差が所定年数以下である領域を、連作障害の可能性ありと判定するのが好ましい。
【0055】
たとえば、所定年数を0とした場合、連作年数=連作限度年数となった場合に、連作障害の可能性ありと判定される。このように、連作年数が連作限度年数に同一または近似する場合に連作障害の可能性ありとするのが好ましい。また、この場合、後述する出力部1304により「あと○年で連作障害が発生します。」といったアラート表示をすることとしてもよい。
【0056】
また、判定部1303は、作付け領域の中に存在する重複領域の割合に基づいて、連作障害の危険度を判定することとしてもよい。連作障害の危険度とは、連作障害ありと判定された作付け領域における障害レベル(図3を参照)である。具体的には、作付け領域中に占める重複領域の面積により、危険度を段階的に判定する。たとえば、図3に示したように、危険度である障害レベルは、−1〜3までの数値により段階的に判定される。
【0057】
また、出力部1304は、判定部1303によって判定された判定結果を出力する機能を有する。出力形式は、画面表示、プリンタによる印刷出力、音声による読み上げ、内部の記憶装置への格納、外部のコンピュータへの送信などがある。
【0058】
ここで、判定結果とは、特定部1302により特定された作付け領域の連作障害の有無や、連作障害の可能性の有無、連作障害ありの場合の危険度である。判定結果は文字情報として出力してもよく、地図情報として出力してもよい。地図情報として出力する場合、重複領域を他の領域とは区別するために色塗りなどで強調表示することとしてもよい。これにより、ユーザは連作障害がある領域を直感的かつわかりやすく認識することができる。
【0059】
特に、サーバー&クライアント型である場合、重複領域を強調表示させるための情報を、判定結果の要求元であるクライアントに送信することとしてもよい。クライアントでは、受信した情報をブラウザにより表示する。これにより、クライアントのユーザは連作障害がある領域を直感的かつわかりやすく認識することができる。
【0060】
また、連作障害ありと判定された重複領域と、連作障害の可能性ありと判定された重複領域とが残存する場合、2つの重複領域を互いに異なるように色分けするなどして、強調表示することとしてもよい。これにより、ユーザは連作障害ありの重複領域と連作障害の可能性ありの重複領域との違いを、直感的かつわかりやすく認識することができる。
【0061】
特に、サーバー&クライアント型である場合、連作障害ありと判定された重複領域と連作障害の可能性ありと判定された重複領域とを互いに異なるように強調表示させるための情報を、判定結果の要求元であるクライアントに送信することとしてもよい。クライアントでは、受信した情報をブラウザにより表示する。これにより、クライアントのユーザは連作障害ありの重複領域と連作障害の可能性ありの重複領域との違いを、直感的かつわかりやすく認識することができる。
【0062】
また、連作障害ありの場合、その危険度に応じて色分けするなどして、重複領域を強調表示することとしてもよい。これにより、ユーザはどの程度危険な領域であるかを直感的かつわかりやすく認識することができる。
【0063】
特に、サーバー&クライアント型である場合、危険度に応じて重複領域を強調表示させるための情報を、判定結果の要求元であるクライアントに送信することとしてもよい。クライアントでは、受信した情報をブラウザにより表示する。これにより、クライアントのユーザはどの程度危険な領域であるかが直感的かつわかりやすく認識することができる。
【0064】
(連作障害判定の具体例)
つぎに、連作障害判定の具体例について説明する。ここでは、図7の年度指定画面700の入力欄701に「2007」と入力された場合、すなわち、指定年度が2007年の場合について説明する。すなわち、2008年度の未知の連作障害を予測する例である。ここでは、2008年度の判定結果と対比される2007年度の連作障害(未判定)も判定する。
【0065】
図14−1〜図14−3は、2007年度の連作障害判定を示す説明図である。なお、各年度の図形レイヤは図1の図形レイヤと同一である。図14−1〜図14−3では、作付け領域fbが判定対象となる。図14−1では、2007年度と2006年度の連作障害判定を示している。すなわち、2007年度の圃場f1の作付け領域fbと2006年度における圃場f1の作付け領域fd,fe,ffとの麦類の重複領域を判定している。図14−1では、重複領域fabcが得られる。
【0066】
また、図14−2では、2007年度〜2005年度の連作障害判定を示している。すなわち、図14−1で得られた重複領域fabcと2005年度における圃場f1の作付け領域fg,fi,fhとの麦類の重複領域を判定している。図14−2では、重複領域fabchが得られる。
【0067】
また、図14−3では、2007年度〜2004年度の連作障害判定を示している。すなわち、図14−2で得られた重複領域fabchと2004年度における圃場f1の作付け領域fj,fkとの麦類の重複領域を判定している。図14−3では、重複領域はなく、連作障害はクリアされる。したがって、2007年度の麦類の作付け領域fbでは連作障害が発生していないことがわかる。
【0068】
図15−1〜図15−3は、2008年度の連作障害判定を示す説明図である。なお、各年度の図形レイヤは図1の図形レイヤと同一である。図15−1では、2008年度と2007年度の連作障害判定を示している。2008年度は未来の年度であるため、2007年度の麦類の作付け領域fbをコピーして、そのコピーを2008年度の麦類の作付け領域faに設定する。図15−1〜図15−3では、作付け領域faが判定対象となる。作付け領域faは作付け領域fbのコピーであるため、作付け領域fbと同一の作付け領域fabが重複領域として得られる。
【0069】
図15−2では、2008年度〜2006年度の連作障害判定を示している。すなわち、図15−1で得られた重複領域fabと2006年度における圃場f1の作付け領域fd,fe,ffとの麦類の重複領域を判定している。図15−2では、重複領域fabcが得られる。
【0070】
また、図15−3では、2008年度〜2005年度の連作障害判定を示している。すなわち、図15−2で得られた重複領域fabcと2005年度における圃場f1の作付け領域fg,fi,fhとの麦類の重複領域を判定している。図15−3では、重複領域fabchが得られる。したがって、麦類の作付け領域fbに2008年度も麦類の作付けをおこなうと連作障害が発生するという予測結果が得られる。図11に示した地図画面800の画面801には図14−3に示した内容と同等の地図が、画面802には図15−3に示した内容と同等の地図が表示され、ユーザは作付け状態を対比することができる。
【0071】
(作付けシミュレーション処理手順)
つぎに、本実施の形態にかかる作付けシミュレーション処理手順について説明する。図16は、本実施の形態にかかる作付けシミュレーション処理手順を示すフローチャートである。図16において、作付けシミュレートプログラムを起動すると、図7に示した年度指定画面700が表示される。この年度指定画面700の入力欄に年度を指定年度ydが入力されるまで待ち受ける(ステップS1601:No)。
【0072】
指定年度ydが入力された場合(ステップS1601:Yes)、検索画面を起動する(ステップS1602)。そして、検索条件が指定されるのを待ち受け(ステップS1603:No)、検索条件が指定された場合(ステップS1603:Yes)、検索条件に一致または関連するSEQ番号を作付けテーブル300から検索する(ステップS1604)。
【0073】
このあと、指定年度ydを判定対象年度yに設定し(ステップS1605)、検索されたSEQ番号の中に、障害未判定のSEQ番号があるか否かを判断する(ステップS1606)。未判定のSEQ番号がある場合(ステップS1606:Yes)、未判定のSEQ番号を一つ選択し(ステップS1607)、作付け領域特定処理(ステップS1608)および障害判定処理(ステップS1609)を実行して、ステップS1606に戻る。
【0074】
一方、ステップS1606において、未判定のSEQ番号がない場合(ステップS1606:No)、指定年度ydの翌年度(yd+1)の障害判定が実行済みか否かを判断する(ステップS1610)。実行済みでない場合(ステップS1610:No)、判定対象年度yを指定年度ydからyd+1に設定して(ステップS1611)、ステップS1606に戻る。一方、実行済みである場合(ステップS1610:Yes)、一連の処理を終了する。
【0075】
図17は、作付け領域特定処理(ステップS1608)のフローチャートである。まず、ステップS1607において選択されたSEQ番号を手がかりとして、要素情報テーブル400から座標値を取得する(ステップS1701)。つぎに、判定対象年度yの図形レイヤの中から、取得座標値で特定される領域に包含される図形(一部はみ出していてもよい)を抽出する(ステップS1702)。そして、抽出図形をすべて処理したか否かを判断する(ステップS1703)。
【0076】
すべて処理されていない場合(ステップS1703:No)、抽出図形の中から未処理の図形を選択し(ステップS1704)、SEQ番号が一致するか否かを判断する(ステップS1705)。不一致の場合(ステップS1705:No)、ステップS1703に戻る。
【0077】
一方、一致した場合(ステップS1705:Yes)、一致したSEQ番号を判定対象SEQ番号として保持して(ステップS1706)、ステップS1703に戻る。この保持されたSEQ番号の作付け領域が判定対象となる作付け領域である。また、ステップS1703において、抽出図形がすべて処理された場合(ステップS1703:Yes)、判定対象年度yにおける判定対象SEQ番号の品目を特定し(ステップS1707)、品目の連作限度年数nを連作障害マスタ600から取得する(ステップS1708)。このあと、判定対象SEQ番号とその品目により判定対象年度yの作付け領域を特定して(ステップS1709)、障害判定処理(ステップS1609)に移行する。
【0078】
図18および図19は、障害判定処理(ステップS1609)のフローチャートである。図18において、まず、指定年度ydの作付け領域を判定対象年度yの作付け領域Daに設定する(ステップS1801)。すなわち、判定対象年度yが指定年度ydである場合(y=yd)、その作付け領域が判定対象年度yの作付け領域Daに設定される。また、判定対象年度yが指定年度ydの翌年度yd+1である場合、翌年度yd+1の作付け領域が判定対象年度yの作付け領域Daに設定される。
【0079】
なお、指定年度ydが現在年度(たとえば2007年度)であり、かつ、上述したステップS1611で判定対象年度yがyd+1に設定された場合、翌年度yd+1は未来の年度であるため、作付け領域は存在しない。この場合、指定年度ydの作付け領域を、翌年度yd+1の作付け領域としてコピーし、そのコピーされた作付け領域を判定対象年度y(=yd+1)の作付け領域Daとして設定することとなる。
【0080】
このあと、連作限度年数nのインデックスiをi=1とし(ステップS1802)、(y−i)年度の図形レイヤLy-iを取得する(ステップS1803)。そして、作付け領
域Daをすべて処理したか否かを判断し(ステップS1804)、すべて処理していない場合(ステップS1804:No)、未処理の作付け領域Daを選択する(ステップS1805)。そして、選択された作付け領域Daと同一エリア内の作付け領域Dbを図形レイヤLy-iから抽出する(ステップS1806)。
【0081】
このあと、抽出した作付け領域Dbをすべて処理したか否かを判断し(ステップS1807)、すべて処理していない場合(ステップS1807:No)、未処理の作付け領域Dbを選択する(ステップS1808)。そして、作付け領域Da,Dbの重複領域Dwを特定し(ステップS1809)、重複図形Dwを所定の保存領域に保存して(ステップS1810)、ステップS1807に戻る。
【0082】
一方、ステップS1807で作付け領域Dbをすべて処理した場合(ステップS1807:Yes)、ステップS1804に戻る。一方、ステップS1804で作付け領域Daをすべて処理した場合(ステップS1804:Yes)、i>nであるか否かを判断する(ステップS1811)。i>nでない場合(ステップS1811:No)、iをインクリメントして(ステップS1812)、保存した重複領域Dwを作付け領域Daに設定し(ステップS1813)、ステップS1803に戻る。
【0083】
一方、ステップS1811でi>nである場合(ステップS1811:Yes)、図19に示す残存重複領域Dwの面積集計処理を実行する(ステップS1901)。そして、残存重複領域Dwの面積SがS=0であるか否かを判断する(ステップS1902)。S=0である場合(ステップS1902:Yes)、障害レベルをレベル0に決定し(ステップS1903)、ステップS1909に移行する。
【0084】
一方、S=0でない場合(ステップS1902:No)、S<SDa/2であるか否かを判断する(ステップS1904)。SDaとは、ステップS1801で設定された作付け領域Daの面積、すなわち、判定対象となる作付け領域の面積である。S<SDa/2である場合(ステップS1904:Yes)、障害レベルをレベル1に決定し(ステップS1905)、ステップS1909に移行する。
【0085】
一方、S<SDa/2でない場合(ステップS1904:No)、S<SDaであるか否かを判断する(ステップS1906)。S<SDaである場合(ステップS1906:Yes)、障害レベルをレベル2に決定し(ステップS1907)、ステップS1909に移行する。一方、S<SDaでない場合(ステップS1906:No)、障害レベルをレベル3に決定し(ステップS1908)、ステップS1909に移行する。
【0086】
ステップS1909では、決定されたレベルを作付けテーブル300に書き込むことで作付けテーブル300を更新する。そして、これら障害判定結果を図11に示したように画面表示する(ステップS1910)。なお、サーバー&クライアント型の場合は、障害判定結果をクライアントに送信する。このあと、ステップS1606に戻る。
【0087】
このように、上述した実施の形態では、作付け領域をポリゴン化して位置座標を管理するとともに、毎年の作付け情報を作付け領域ごとに記録することで作付け領域の栽培履歴を検索可能としている。
【0088】
また、選択されたあるエリアまたは作付け領域の位置と、当該位置に存在した過去の作付け領域および作付け範囲は、必ずしも一致しないため、選択された作付け領域と過去の作付け領域のポリゴン比較を行い、その範囲内の栽培作物の栽培履歴を検索するとともに、連作障害が発生するか否かをシミュレートする。これにより、作付け領域のなかで連作障害の限度を超える農地を強調表示することができる。
【0089】
このように、本実施の形態では、従来は栽培作物の種類ごとに色つけされ重ね合わされた作付け領域をユーザが見て連作障害を自ら判断する必要があったが、連作障害が発生している/する可能性が高いエリアが即座にわかるようになるという効果がある。またこれにより、障害発生の回避、収量増加、作付け決定の時間短縮や農耕地のデータ整備の容易化を図ることができる。
【0090】
なお、本実施の形態で説明した作付けシミュレート方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0091】
(付記1)各年度単位での作付け品目および該作付け品目の作付け領域を記憶する記憶手段にアクセス可能なコンピュータを、
任意の判定対象年度を取得する取得手段、
前記取得手段によって取得された判定対象年度の作付け領域を特定する特定手段、
前記記憶手段を参照し、前記特定手段によって特定された作付け領域内で、前記判定対象年度から前記作付け品目の連作開始年度までの同一品目が重複して作物されていた領域を連作障害の可能性有りと判定する判定手段、
前記判定手段によって判定された判定結果を出力する出力手段、
として機能させることを特徴とする作付けシミュレートプログラム。
【0092】
(付記2)前記コンピュータは、更に、作付け品目単位で連作限度年数を記憶する連作限度記憶手段にアクセス可能であり、
前記判定手段は、
前記連作限度記憶手段を参照し、前記作付け領域のうち、前記判定対象年度から前記作付け品目の連作開始年度までの連作年数が前記連作限度年数を超えたときの重複領域の有無に基づいて、前記作付け領域の連作障害の可能性を判定することを特徴とする付記1に記載の作付けシミュレートプログラム。
【0093】
(付記3)前記判定手段は、
前記連作年数が前記連作限度年数を超えたときに前記重複領域が残存する場合、当該重複領域を連作障害ありと判定することを特徴とする付記2に記載の作付けシミュレートプログラム。
【0094】
(付記4)前記判定手段は、
前記作付け領域のうち前記重複領域以外の非重複領域を連作障害の可能性ありと判定することを特徴とする付記3に記載の作付けシミュレートプログラム。
【0095】
(付記5)前記判定手段は、
前記非重複領域のうち、前記連作年数が前記連作限度年数以下であり、かつ、前記連作年数と前記連作限度年数との差が所定年数以下である領域を、連作障害の可能性ありと判定することを特徴とする付記4に記載の作付けシミュレートプログラム。
【0096】
(付記6)前記判定手段は、
前記作付け領域のうち、前記連作年数が前記連作限度年数以下であり、かつ、前記連作年数と前記連作限度年数との差が所定年数以下である重複領域を、連作障害の可能性ありと判定することを特徴とする付記2に記載の作付けシミュレートプログラム。
【0097】
(付記7)前記判定手段は、
前記作付け領域の中に存在する前記重複領域の割合に基づいて、連作障害の危険度を判定することを特徴とする付記2〜6のいずれか一つに記載の作付けシミュレートプログラム。
【0098】
(付記8)前記出力手段は、
前記重複領域が残存する場合、当該重複領域を強調表示することを特徴とする付記2〜7のいずれか一つに記載の作付けシミュレートプログラム。
【0099】
(付記9)前記出力手段は、
前記重複領域に、連作障害ありと判定された重複領域と、連作障害の可能性ありと判定された重複領域が残存する場合、前記2つの重複領域を互いに異なるように強調表示することを特徴とする付記2〜7のいずれか一つに記載の作付けシミュレートプログラム。
【0100】
(付記10)前記出力手段は、
前記判定手段によって判定された危険度に基づいて、前記重複領域を強調表示することを特徴とする付記7に記載の作付けシミュレートプログラム。
【0101】
(付記11)前記出力手段は、
前記重複領域が残存する場合、当該重複領域を強調表示させるための情報を、前記判定結果の要求元に送信することを特徴とする付記2〜7のいずれか一つに記載の作付けシミュレートプログラム。
【0102】
(付記12)前記出力手段は、
前記重複領域に、連作障害ありと判定された重複領域と、連作障害の可能性ありと判定された重複領域が残存する場合、前記2つの重複領域を互いに異なるように強調表示させるための情報を、前記判定結果の要求元に送信することを特徴とする付記2〜7のいずれか一つに記載の作付けシミュレートプログラム。
【0103】
(付記13)前記出力手段は、
前記重複領域が残存する場合、前記判定手段によって判定された危険度に応じた前記重複領域を強調表示させるための情報を、前記判定結果の要求元に送信することを特徴とする付記7に記載の作付けシミュレートプログラム。
【0104】
(付記14)任意の判定対象年度を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された判定対象年度の作付け領域を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された作付け領域の作付け品目と当該作付け品目の連作限度年数とに基づいて、前記作付け領域の連作障害の可能性を判定する判定手段と、
前記判定手段によって判定された判定結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする作付けシミュレート装置。
【0105】
(付記15)任意の判定対象年度を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された判定対象年度の作付け領域を特定する特定工程と、
前記特定工程によって特定された作付け領域の作付け品目と当該作付け品目の連作限度年数とに基づいて、前記作付け領域の連作障害の可能性を判定する判定工程と、
前記判定工程によって判定された判定結果を出力する出力工程と、
を含んだことを特徴とする作付けシミュレート方法。
【符号の説明】
【0106】
200 作付けシミュレート装置
300 作付けテーブル
400 要素情報テーブル
600 連作障害マスタ
1301 取得部
1302 特定部
1303 判定部
1304 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各年度単位での作付け品目および該作付け品目の作付け領域を記憶する記憶手段および作付け品目単位で連作限度年数を記憶する連作限度記憶手段にアクセス可能なコンピュータに、
任意の判定対象年度を取得し、
前記記憶手段および前記連作限度記憶手段を参照し、取得された前記判定対象年度から前記連作限度年数を超えるまでの各作付け領域を特定し、
同一作付け品目について前記各作付け領域を連続する年度同士で比較することにより、前記判定対象年度から前記同一作付け品目の連作開始年度までの連作年数が前記連作限度年数を超えたときの前記各作付け領域のすべてにおいて重複する重複領域を特定し、当該重複領域の前記判定対象年度の作付け領域に対する割合に基づいて、前記重複領域の連作障害の危険度を判定し、
判定結果を出力する、
処理を実行させることを特徴とする作付けシミュレートプログラム。
【請求項2】
前記出力する処理は、
前記判定対象年度の作付け領域を示す図において、前記判定対象年度の作付け領域内での前記重複領域を、前記判定対象年度の作付け領域内の他の領域とは区別可能な状態で出力することを特徴とする請求項1に記載の作付けシミュレートプログラム。
【請求項3】
各年度単位での作付け品目および該作付け品目の作付け領域を記憶する記憶手段と、
作付け品目単位で連作限度年数を記憶する連作限度記憶手段と、
任意の判定対象年度を取得する取得手段と、
前記記憶手段および前記連作限度記憶手段を参照し、取得された前記判定対象年度から前記連作限度年数を超えるまでの各作付け領域を特定する特定手段と、
同一作付け品目について前記各作付け領域を連続する年度同士で比較することにより、前記判定対象年度から前記同一作付け品目の連作開始年度までの連作年数が前記連作限度年数を超えたときの前記各作付け領域のすべてにおいて重複する重複領域を特定し、当該重複領域の前記判定対象年度の作付け領域に対する割合に基づいて、前記重複領域の連作障害の危険度を判定する判定手段と、
前記判定手段によって判定された判定結果を出力する出力手段と、
を有することを特徴とする作付けシミュレート装置。
【請求項4】
前記出力手段は、
前記判定対象年度の作付け領域を示す図において、前記判定対象年度の作付け領域内での前記重複領域を、前記判定対象年度の作付け領域内の他の領域とは区別可能な状態で出力することを特徴とする請求項3に記載の作付けシミュレート装置。
【請求項5】
各年度単位での作付け品目および該作付け品目の作付け領域を記憶する記憶手段および作付け品目単位で連作限度年数を記憶する連作限度記憶手段にアクセス可能なコンピュータが、
任意の判定対象年度を取得し、
前記記憶手段および前記連作限度記憶手段を参照し、取得された前記判定対象年度から前記連作限度年数を超えるまでの各作付け領域を特定し、
同一作付け品目について前記各作付け領域を連続する年度同士で比較することにより、前記判定対象年度から前記同一作付け品目の連作開始年度までの連作年数が前記連作限度年数を超えたときの前記各作付け領域のすべてにおいて重複する重複領域を特定し、当該重複領域の前記判定対象年度の作付け領域に対する割合に基づいて、前記重複領域の連作障害の危険度を判定し、
判定結果を出力する、
処理を実行することを特徴とする作付けシミュレート方法。
【請求項6】
前記出力する処理は、
前記判定対象年度の作付け領域を示す図において、前記判定対象年度の作付け領域内での前記重複領域を、前記判定対象年度の作付け領域内の他の領域とは区別可能な状態で出力することを特徴とする請求項5に記載の作付けシミュレート方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図14−3】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図15−3】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−191947(P2012−191947A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−150030(P2012−150030)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【分割の表示】特願2007−270631(P2007−270631)の分割
【原出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)