説明

作像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】大幅なコストアップや複雑な構成とすることなく帯電ローラの汚れによる異常画像を確実に検知し、また、事前に異常画像の発生予測を行い異常画像の集中的な発生を防ぐ。
【解決手段】感光体ドラム110表面に近接して帯電する帯電ローラ140と、露光手段によって感光体ドラム110上に形成された潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置130とを有する作像装置100であり、帯電ローラ140はその長手方向のローラ表面であって感光体ドラム110の画像領域D以外の領域である検知領域Aに、該検知領域Aの他の領域よりも帯電ギャップが小さくて汚染されやすい検知領域141を設け、該検知領域141の汚染状態を画像濃度センサ160を設けて検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作像装置、及びこれを用いたプロセスカートリッジ、及び前記作像装置または前記プロセスカートリッジを用いた画像形成装置に係り、特に感光体表面に近接して帯電する帯電ローラと、露光手段によって感光体上に形成された潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段とを有する作像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境意識への高まりから、リサイクル性、信頼性を高め、高寿命化することが、画像形成装置においてはますます重要になってきている。さらに、オフィス環境への配慮から、オゾン発生量、粉塵発生量に関しても、意識が高まっている。そのために、電子写真方式の画像形成装置では、帯電部材として、オゾン発生量が少ない帯電ローラ方式が採用されるものが多くなってきている。図10はそのような従来の画像形成装置を示す模式図である。
【0003】
またさらに、高寿命化を狙って、感光体に微小ギャップを持って対向する帯電ローラを採用する画像形成装置も増えており、高画質化への要求から、帯電ローラに(帯電電流が十分に流れ帯電電位が安定する)交流電圧を印加するものも多くなってきている。
【0004】
しかしながら、こうした画像形成装置では、帯電ローラが感光体表面に近接しているため、帯電ローラ表面に感光体表面からトナーや潤滑剤等の汚れが付着しやすい。帯電ローラ表面に汚れが経時的に蓄積していくと、帯電ローラの抵抗が上昇していって、帯電不良が発生することがある。そこで帯電ローラ汚れを防止するために、帯電ローラ表面からトナー等の付着物を除去するスポンジローラやブラシローラ等のクリーニング部材が搭載されている。しかしながら、帯電ローラクリーナの能力にも限りがあり、徐々に帯電ローラ表面には汚れが蓄積していき、最終的には帯電ローラ抵抗が上昇して帯電不良となり、地肌部に色スジや地汚れ等の異常画像が発生することがある。
【0005】
このような異常画像の発生を防止するために、帯電電位を検知する電位センサを搭載して帯電バイアスを適当な値に変更するプロセスコントロールを実施する例がある。また、感光体上の地汚れを検知して、帯電バイアスを変更するプロセスコントロールを実施する例もある。
【0006】
図10は感光体ドラムを含む従来の作像ユニットの概略構成例を示す。図10(a)は正面図、(b)は断面図である。この作像ユニット300は、高画質化、高寿命を企図したものであり、感光体310の周囲に転写ローラ320、現像ローラ331を備える現像装置330、帯電装置である帯電ローラ340、クリーニング手段であるクリーニングブレード350、画像濃度センサ360が配置されている。帯電ローラ340は、感光体310に近接して配置され交流電圧が印加されている。また、画像濃度センサ360は、感光体310に近接して前記現像装置330と転写ローラ320との間に配置されており、感光体310上に作成されたパターン画像370の濃度を検出し、この検出した値に基づいて現像バイアスや帯電バイアスの変更等のプロセスコントロールを実行している。
【0007】
また、作像時よりも帯電ローラ340の帯電印加電圧を下げ、感光体310の帯電電位を低くして作成したアナログハーフトーン画像パターンの画像濃度を画像濃度センサ360で測定し、この読み取り値より、帯電電位の低下分(画像濃度が適正値より大:帯電電位低下)を検知して、作像時の帯電バイアスを補正するプロセスコントロールを実施して、帯電不良の発生を防止している。
【0008】
特許文献1には、プロセス条件の補正性能を向上させることができ、また、トナー濃度の検出器のゲイン調整等の煩わしさを無くすため、感光体、中間転写体等の像形成体上に形成したトナー像の光反射率を検出し、該光反射率に応じて帯電電位等のプロセス条件を補正するプロセスコントロール装置において、前記像形成体の全周の光反射率を検出し、該光反射率がほぼ最大となる領域を前記トナー像の形成領域として設定する手段を備えたものが記載されている。
【0009】
また、特許文献2には、画像形成装置の感光体ドラムにトナー像を形成する画像形成部と、感光体ドラム上に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト(無端状ベルト)を周回させる中間転写部と、無端状ベルトに転写されたトナー像の位置ずれを検知するための濃度検知センサ(検知体)と、検知体がトナー像の位置ずれを検知する際に、無端状ベルトに対向させつつ、主走査方向に沿って検知体を移動させる移動機構とを有するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の画像形成装置では、画像濃度センサ360で画像濃度の検出ができるのは、主走査方向において画像濃度センサ360が配置された領域のみであり、主走査方向全幅の画像濃度は検知できない。すなわち、主走査方向全域にわたって帯電電位が適正に維持されているかが検知できない。長時間の使用により帯電ローラ340が汚れた場合(汚れ部位を符号380で示す。ただしこれは一例である。)、汚れ部位380は表面抵抗が上昇しており、これに対応する感光体310の表面の領域311は帯電電位が低下し、画像濃度が濃くなる(図の画像濃度の差は単なる例示である)。しかし、この領域3111は画像濃度センサ360の検出領域外であるため、上述のような帯電ローラ340の抵抗上昇に伴う局所的な帯電電位の低下が該領域311に発生したとしても、画像濃度センサ360はこれを検知できない。そして、このような局所的な帯電不良は、スジ画像等の画像を発生させ得る。
【0011】
特許文献1に記載されている発明では、上述の従来の例と同様に、主走査方向で電位検知手段や画像濃度検知手段の配置されている場所のみの検知になるために、帯電ローラの部分的な汚れ蓄積による抵抗上昇を検知できない。また特許文献2に記載されている発明では、構成が複雑でコストアップにつながるという問題がある。
【0012】
さらに、上記帯電ローラ表面の汚れによる色スジや地汚れ等の異常画像は環境により発生状況が大きく異なり、常温常湿環境では全く発生しなくても、低温低湿環境になると発生してこれが顕在化するという特徴がある。従って、市場においては秋から冬にかけて、休み明けの寒い朝等に一気に異常画像の発生が集中することがある。
【0013】
本発明は、上記の課題にかんがみてなしたものであり、大幅なコストアップや複雑な構成とすることなく帯電ローラの汚れによる異常画像を確実に検知すること、及び事前に異常画像の発生予測を行い、異常画像の集中的な発生を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、感光体表面に近接して帯電する帯電ローラと、露光手段によって前記感光体上に形成された潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段と、を有する作像装置において、前記帯電ローラはその長手方向に沿ってローラ表面に他の領域より汚れやすい検知領域を備え、前記検知領域の汚染状態を検知する汚染検知手段を設けることを特徴とする作像装置である。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の作像装置において、前記検知領域は、他の領域より前記感光体表面と帯電ギャップの寸法を小さく構成していることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の作像装置において、前記汚染検知手段は、前記感光体又は中間転写体上の地肌濃度を検知することを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の作像装置において、前記汚染検知手段は、前記感光体上の帯電電位を検知することを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載の作像装置において、前記汚染検知手段は、前記帯電ローラ上の地肌濃度を検知することを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の作像装置において、前記検知領域は、画像形成領域外に設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項6に記載の作像装置において、前記検知領域にも潤滑剤が塗布されていることを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の作像装置において、前記汚染検知結果と、画像形成装置本体内の温湿度を検知する温湿度検知手段で検知した温湿度とに基づいて前記帯電ローラが交換時期に近づいたこと通知する交換通知手段を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の作像装置を備えることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0023】
請求項10の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の作像装置又は請求項9に記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、帯電ローラの表面にその長手方向に沿って設けられた他の領域より汚れやすい検知領域の汚染状態を設け、この検知領域を汚染検知手段で検知するようにしたので、帯電ローラの汚染状態を大幅なコストアップや複雑な構成とすることなく検出でき、帯電ローラの汚れによる異常画像を確実に検知することができると共に、事前に異常画像の発生予測を行い異常画像の集中的な発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】実施例に係る画像形成装置を示すものであり、(a)は作像装置の正面図、(b)は作像装置の断面図、(c)は(a)のC部の拡大図である。
【図3】作像装置で通紙試験を行ったときの帯電ギャップと帯電ローラ汚れの関係を示すグラフである。
【図4】実施例に係る作像装置の変形例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図5】第2の実施例に係る作像装置を示す断面図である。
【図6】第3の実施例に係る作像装置を示す断面図である。
【図7】第4の実施例に係る作像装置を示すものであり、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は(a)中C部の拡大図である。
【図8】異なる帯電ギャップを設けて低温低湿環境で耐久評価を行ったときのハーフトーン画像の色スジをランク評価した結果を示したグラフである。
【図9】地汚れ発生帯電電圧と温湿度の関係を示すグラフである。
【図10】従来の感光体を含む作像ユニットの概略構成を示すものであり、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る作像装置は、感光体表面に近接して帯電する帯電ローラと、露光手段によって前記感光体上に形成された潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段と、を有する作像装置において、前記帯電ローラはその長手方向に沿ってローラ表面に他の領域より汚れやすい検知領域を備え、前記検知領域の汚染状態を検知する汚染検知手段を設けるものである。本実施形態によれば、帯電ローラには汚染されやすい検知領域を設けるとともに、その位置に汚染検知手段を設けているので、帯電ローラの汚染の汚染を確実に検知することができ、帯電ローラの汚染状態を大幅なコストアップや複雑な構成とすることなく検出でき、帯電ローラの汚れによる異常画像を確実に検知することができると共に、事前に異常画像の発生予測を行い異常画像の集中的な発生を防ぐことができる。
【0027】
本発明の他の実施形態に係る作像装置においては、前記検知領域を他の領域より前記感光体表面と帯電ギャップの寸法を小さく構成する。本実施形態によれば、検知領域は、他の領域より感光体との帯電ギャップを狭くしているので、他の領域より早く汚染され、確実に帯電ローラ汚染を検知することができる。
【0028】
本発明の他の実施形態に係る作像装置においては、前記汚染検知手段が前記感光体又は中間転写体上の地肌濃度を検知する。本実施形態によれば、帯電ローラの汚染を感光体又は中間転写体に配置した安価なセンサで確実に検知することができる。
【0029】
本発明の他の実施形態に係る作像装置においては、前記汚染検知手段が前記感光体上の帯電電位を検知する。本実施形態によれば、帯電ローラの汚染を感光体に配置した安価なセンサで確実に精度よく検知することができる。
【0030】
本発明の他の実施形態に係る作像装置においては、前記汚染検知手段が前記帯電ローラ上の地肌濃度を検知する。本実施形態によれば、帯電ローラの汚染を直接検知しているので、帯電ローラの汚れを精度よく検知することができる。
【0031】
本発明の他の実施形態に係る作像装置においては、前記検知領域を画像形成領域外に設ける。本実施形態によれば、汚染状態を検知する検知領域を画像領域の外に設けているので、画像形成への影響を排除することができる。また、画像領域外で検知するので、画像として顕在化する前に発生を予測できる。
【0032】
本発明の他の実施形態に係る作像装置においては、前記検知領域にも潤滑剤を塗布する。本実施形態によれば、検知領域では他の領域より早く帯電ローラが汚れるので、確実に帯電ローラ汚れを検知できる。
【0033】
本発明の他の実施形態に係る作像装置は、前記汚染検知結果と、画像形成装置本体内の温湿度を検知する温湿度検知手段で検知した温湿度とに基づいて前記帯電ローラが交換時期に近づいたこと通知する交換通知手段を備える。本実施形態によれば、地汚れの発生した帯電電圧と温湿度の関係から帯電ローラ汚れを予測し表示/通報するので、環境も含めて確実に帯電ローラ汚れを検出するとともに地汚れの集中発生を防止できる。
【0034】
本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジは、前記作像装置を備える。本実施形態によれば作像装置をプロセスカートリッジとして一体的に画像形成装置に着脱でき、容易に交換することができる。
【0035】
本発明の実施形態に係る画像形成装置は、前記作像装置又は前記プロセスカートリッジを備える。本実施形態によれば、帯電ローラの汚れによる異常画像を確実に検知することができると共に、事前に異常画像の発生予測を行い異常画像の集中的な発生を防ぐことができ、良好な画像形成を行うことができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の実施例に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。以下では図示の実施例に係る画像形成装置としての複写機の基本構成とその動作を図面に基づいて説明するが本発明は図示の実施例に係る画像形成装置には限定されない。
【0037】
<実施例1>
図1は実施例に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。図示の実施例に係る画像形成装置は、装置本体50の下部に記録材としての用紙を収納する給紙カセット20を配した給紙部を備え、その上方に作像部30を配置した構成を備える。作像部30は、像担持体である感光体ドラム1Y、1M、1C、1K(以下、特に色を特定する必要がなければ感光体ドラム1という)及び現像装置9Y、9M、9C、9K(同じく現像装置9という)等を備えた4個の作像ユニット5Y、5M、5C、5K(同じく作像ユニット5という)と、複数のローラ11、12に巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成した中間転写体としての中間転写ベルト10と、各像担持体に潜像を形成する潜像形成装置である光書込みユニット4と、用紙にトナー像を定着させる定着装置23等が配置されて構成されている。給紙カセット20から定着装置23までの間には、用紙を搬送する搬送経路が形成している。図中21は呼び出しローラ、22はレジストローラを示している。
【0038】
これらローラ11、12に巻き掛けた中間転写ベルト10のうち、ローラ11とローラ12の間で下部側のベルト走行辺となる部位には、中間転写ベルト10を挟んで各感光体ドラム1に対応させて転写ローラ14を設け、ローラ12と対向する部位には2次転写装置となる2次転写ローラ16を用紙の搬送経路に臨ませて配し、ローラ11と対向する部位にベルト表面を清掃するベルトクリーニング装置15が設けてある。
【0039】
作像部30は、この下側走行辺に対向するように配置することで、中間転写ベルト10の下方に配設している。各作像ユニットは、中間転写ベルト10に接する感光体ドラム1をそれぞれ備えている。各感光体ドラム1の周りには、帯電装置7、現像装置9、クリーニング装置17がそれぞれ配置してある。各感光体ドラム1が中間転写ベルト10に接する位置における中間転写ベルト10の内側には、1次転写を行う転写装置としての転写ローラ14がそれぞれ設けてある。
【0040】
作像ユニット5Yは、上述のように感光体ドラム1と、現像装置9と、クリーニング装置17と、帯電装置7とが一体として構成され、プロセスカートリッジを構成している。他の作像ユニット5M、5C、5Kも同様の構成を備える。
【0041】
光書込みユニット4は、光変調したレーザ光Lを各感光体ドラム1の表面に照射して、像担持体表面に色毎の潜像を形成するものであり、本実施例では、作像部30の下方に配置している。
【0042】
また図1に示すように、装置本体50の上部にはトナーボトル31Y、31M、31C、31K(以下、特に色を特定する必要がなければトナーボトル31という。)を有し、通常はトナーボトル31のみの交換でトナーを補給し、感光体ドラム1や帯電装置7等のプロセスカートリッジの交換時期はプロセスカートリッジ全体を交換する。
【0043】
なお図1においてはトナーボトル31が各色とも機械上側に配置され、下側にある各色のプロセスカートリッジまでトナーを搬送してトナーを補給する構成となっている。このような構成にすることで通常はトナーボトルの交換のみで済むため、ユーザーのコストを低減させ得る。また装置の他の部分を開け閉めや出し入れの回数が減るためにシャッタ部等でのトナー飛散が防止できるようになり、メンテナンス性の向上を図り得る。
【0044】
画像形成動作が開始すると、各作像ユニットの感光体ドラム1を図示しない駆動装置によって図中で時計方向に回転駆動し、各感光体ドラム1の表面を帯電装置7によって所定の極性に一様に帯電させる。帯電した各感光体ドラム1の表面には、光書込みユニット4からレーザ光Lをそれぞれ照射し、それぞれの表面に静電潜像を形成する。このとき、例えばスキャナ40で読み取った画像を演算装置にて、各感光体ドラム1に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成した静電潜像は、各感光体ドラム1と現像装置9の間を通るとき、各現像装置9に収納したトナーによってトナー像として可視像化する。
【0045】
中間転写ベルト10を巻き掛けた複数のローラのうち1つのローラを、図示していない駆動装置によって反時計方向に回転駆動し、これにより中間転写ベルト10を走行駆動し、他のローラを従動回転させる。このように走行する中間転写ベルト10には、各作像ユニットで形成した各色のトナー像が転写ローラ14によって順次重ねて転写され、中間転写ベルト10の表面にはフルカラーのトナー像が担持される。
【0046】
トナー像を転写した後の各感光体ドラム1の表面に付着する残留トナーは、クリーニング装置17によって各感光体ドラム1表面から除去し、感光体ドラム1の表面を図示しない除電装置によって除電し、表面電位を初期化して次の画像形成に備えさせる。
【0047】
一方、給紙カセット20から給紙した用紙を搬送経路へ送り込み、2次転写ローラ16よりも給紙側に配設したレジストローラ対22によって給紙タイミングをとってローラ13と2次転写ローラ16との対向部に給送する。このとき2次転写ローラ16には、中間転写ベルト10表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧を印加し、これによって中間転写ベルト10の表面のトナー像を用紙上に一括して転写する。トナー像の転写を受けた用紙を定着装置23へと搬送し、定着装置23を通過させる際に熱と圧を加え、トナー像を溶融させて定着させる。そして、トナー像が定着した用紙、すなわちプリント済みの用紙は、装置本体50の上部寄りに設けた搬送経路の終端に位置する排出ローラ24へと搬送し、装置本体50の上部に構成した積載部へと排出する。トナー像を用紙に転写した後の中間転写ベルト10上に残留したトナーはベルトクリーニング装置15より除去する。
【0048】
また、ベルトクリーニング装置15及び各作像ユニット5Y、5M、5C、5K内のクリーニング装置17で除去されたトナーは搬送コイルによって搬送され、廃トナー回収容器45に回収される。
【0049】
このように構成した複写機は、4個の作像ユニット5Y、5M、5C、5Kを中間転写ベルト10に対向させて設け、中間転写ベルト10に順次各色のトナー像を重ねて転写するため、作像手段が1つで4色の現像装置を持ち、中間転写ベルト上にトナー像を重ねて転写し、その後用紙に転写する形式のものと比べて、作像時間を大幅に短縮できる。また、装置本体50の上部に積載部が構成してあるので、装置本体50から積載部が周囲に飛び出ることがなく、設置面積や占有面積が小さくなる。
【0050】
なお以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、作像部30の作像ユニット5Y、5M、5C、5Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもある。また、本形態のプリンタを用いてモノクロ印刷をする場合には、ブラックの作像ユニット5Kの感光体ドラム1K上にのみ静電潜像を形成して同ユニットによって現像して用紙に転写し、定着装置23で定着すればよい。
【0051】
以下作像装置について説明する。図2は実施例に係る画像形成装置を示すものであり、(a)は作像装置の正面図、(b)は作像装置の断面図、(c)は(a)のC部の拡大図である。この作像装置100は、感光体ドラム110の周囲に、転写ローラ120、現像ローラ131を備える現像装置130、帯電装置である帯電ローラ140、クリーニング手段であるクリーニングブレード150、及び画像濃度センサ160を配置して構成してある。帯電ローラ140は、感光体ドラム110に近接して配置され交流電圧が印加されている。また、帯電ローラ140の長手方向の端部に一個所の検知領域141(感光体ドラム110の検知領域Aに対向)、他の領域を通常領域142(感光体ドラム110の通常領域Bに対向)とし、検知領域141における帯電ローラ140と感光体ドラム110の隙間寸法(以下、帯電ギャップという)を通常領域142の帯電ギャップよりも狭く設定している。従って帯電ローラ140の検知領域141の直径は、通常領域142の直径より大きく形成している。また、検知領域141の外側両端部には感光体ドラム110と当接する当接部143を形成している。このような構成により、検知領域142は通常領域142よりも汚染されやすくなる。
【0052】
ここで、帯電ギャップと帯電ローラの汚染について説明する。帯電ローラ140を感光体ドラム110に当接させずギャップを持って対向させているにも拘わらず帯電ローラ140の表面が汚染されるのは、帯電ローラ140に交流電圧を印加しているため所定の直流電圧を中心に印加される帯電領域内で帯電電位が振動しているためである。このような電位の振動により、クリーニングブレード150をすり抜けたトナーや粉状の潤滑剤等の小粒径微粒子は帯電ギャップ間を飛翔して帯電ローラ140に付着する。特に潤滑剤は飛翔しやすいことがわかっている。
【0053】
このように帯電ローラ汚れは電位の振動によりトナーや潤滑剤が飛翔してローラ表面に付着する現象であるが、帯電ギャップの広さと飛翔のしやすさ(汚れやすさ)は相関がある。図3は作像装置で通紙試験を行ったときの帯電ギャップと帯電ローラ汚れの関係を示すグラフである。図3によれば、帯電ギャップが狭くなるほど帯電ローラ汚れが悪化することがわかる。また、帯電ギャップは、帯電ローラ材質や設定バイアス等により最適値は異なるが、異常放電やオゾン発生量と帯電ローラ汚れなどを考慮して10〜100μm程度で使用している。この実施例では通常領域142では40μm、検知領域141では20μmの帯電ギャップを設定した(図2(c)参照)。
【0054】
また、この帯電ギャップは帯電ローラ140両端部に設けた当接部143と帯電ローラ140の検知領域142のとの直径差で設定されている。ここで、帯電ギャップを一部分だけ狭くしたい場合には、感光体ドラム110に大径部(段差)を設けることによっても実現できる。しかし、帯電ギャップを小さくした場合、帯電ギャップの設定には精度が要求される。帯電ローラ140は、導電性樹脂を基材として形成され、最終仕上げを研削で行うことが多く、帯電ローラ140の外径を精度よく段差を持たせることは技術的にもコスト的にも問題ないことや、感光体に段差を持たせたときに他ユニットへ与える影響が大きいことから帯電ローラ140に段差を持たせるのが望ましい。
【0055】
次に、帯電ローラの汚れを検知する方法について説明する。この例では、感光体ドラム110の地汚れトナーを検知する。帯電ローラ140が汚れてくると帯電ローラ140表面の抵抗が上昇するために、帯電電位が低下して現像時に地汚れトナーが増加する。このとき、感光体ドラム110上の検知領域Aでの地肌濃度を地肌濃度検知手段で測定することで、地肌濃度が予め設定した閾値を越えたときに帯電ローラ汚れによる地汚れが発生したと判定することができる。
【0056】
地肌濃度を検知する画像濃度センサ160としては、反射型光センサやCCDイメージセンサを用いることができる。本例に係る作像装置100は、帯電ローラ140の汚染による感光体ドラム110上の地汚れを直接検出しているので、高い精度で汚染を検知できる。
【0057】
さらに、検知領域Aの汚染の検出に加えて通常領域Bの汚染を検知することで、帯電ローラ汚れ以外の原因で発生した地汚れ(例えば現像剤の劣化など)を判断することできる。通常領域の汚染を検知する画像濃度センサとしても反射型光センサやCCDイメージセンサを用いることができる。
【0058】
次にこの実施例の変形例について説明する。図4は実施例1に係る作像装置の変形例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は断面図である。本例では、画像濃度センサ160を感光体ドラム110のうちトナー像が形成される画像領域D以外の領域に設けている。また、感光体ドラム110に固体潤滑剤170を塗布するようにしている。この場合、固体潤滑剤170はトナー像が形成される画像領域D以外の領域にも塗布することが望ましい。
【0059】
作像装置100において、画像濃度センサ160は感光体ドラム110の長手方向のどの位置に設定しても差し支えないが、帯電ローラ140又は感光体ドラム110に段差を設けることによる画像への影響を考慮すると、画像濃度センサ160は、画像領域Dの以外の領域に設けることが望ましい。このとき、画像領域D以外の領域には、トナー像が形成されないが、トナーはクリーニングブレード150で拡散するため、画像領域D以外の領域においてもすり抜けたトナーが画像領域Dと同様に存在し、帯電ローラ140の汚れやすさは画像領域Dでも画像領域D以外の領域でも同等となる。また、潤滑剤の塗布を行う場合には、帯電ローラの汚れやすさを同等にするために、画像領域外の検知領域まで潤滑剤を延長しておく必要がある。
【0060】
<実施例2>
次に第2の実施例に係る作像装置について説明する。図5は第2の実施例に係る作像装置を示す断面図である。本例に係る作像装置200において、感光体ドラム110近傍の帯電ローラ140から現像装置130の間の個所に電位センサ210を設け、感光体ドラム110の帯電電位を検知する。前述の通り、帯電ローラ140が汚れてくると感光体表面の帯電電位が低下する。このため、電位センサ210で測定した感光体ドラム110の帯電電位が予め設定した閾値より低くなったとき帯電ローラ140帯電ローラ汚れが発生したと判定できる。電位センサ210は高速機ではプロセスコントロールに用いられており、プロセスコントロール用のセンサと兼用にすることで新たな部品を増やすことなく検出できる。
【0061】
<実施例3>
次に第3の実施例に係る作像装置について説明する。図6は第3の実施例に係る作像装置を示す断面図である。本例に係る作像装置220では、帯電ローラ140に近接して帯電ローラ140の汚染程度を検知する光センサ230を配置している。作像装置220において帯電ローラ140の表面が汚れてくると帯電ローラ140の表面の光沢が変化する。このとき、帯電ローラ表面近傍に反射型光センサ又はCCDイメージセンサからなる光センサ230を配置することで、帯電ローラ140の汚染状態を検知することができ、反射濃度が予め設定した閾値を越えたときに帯電ローラ汚れによる地汚れが発生したと判定することができる。
【0062】
<実施例4>
次に第4の実施例に係る作像装置について説明する。図7は第4の実施例に係る作像装置を示すものであり、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は(a)中C部の拡大図である。この例に係る作像装置240は感光体ドラム110にパターン画像を作成して画像濃度を検知するものである。帯電ローラ140に汚れのある部分では帯電電位が低下するため、ハーフトーン画像には濃度ムラが発生する。このとき、検知領域Aと通常領域Bに設けた画像濃度検出手段としての光センサ260及び270を配置している。本例では、2つの領域A、Bの画像の濃度を測定し、2つの画像濃度検出手段での画像濃度差が予め設定した閾値を越えたときに帯電ローラ汚れが発生したと判定することができる。
【0063】
本例に係る作像装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー像を作成する4台の作像手段280Y、280C、280M、280Kを備え、これらの作像手段280Y、280C、280M、280Kで作成したトナー像を転写ローラ290で中間転写ベルト250に転写し、中間転写ベルト250に転写したカラートナー像を二次転写ローラ251と中間転写ベルト250とのニップ部で用紙に転写するものである。252、253は中間転写ベルト250を巻き掛けたローラである。
【0064】
本例では、作像手段280Y、280C、280M、280Kの帯電ローラ140には、前記各例と同様に検知領域141、検知領域142及び当接部143を設けている。そして、この実施例では通常領域142では40μm、検知領域141では20μmの帯電ギャップを設定している(図7(c)参照)。
【0065】
本例によれば、フルカラー印刷を行う画像形成装置において中間転写ベルト250の汚染を検出することにより、帯電ローラの汚れによる異常画像を確実に検知することができると共に、事前に異常画像の発生予測を行い異常画像の集中的な発生を防ぐことができ、良好な画像形成を行うことができる。
【0066】
次に、帯電ローラ汚れによる異常画像の発生予測の一例について説明する。図8は帯電ギャップ20μm、40μm、60μmにおいて、低温低湿環境で耐久評価を行ったときのハーフトーン画像の色スジをランク評価した結果を示したグラフである。図8により帯電ギャップにより帯電ローラ汚れでの異常画像の発生時期に差がわかる。本実施例で設定している帯電ギャップは、20μm及び40μmとしているので、両者では10k枚程度の差がある。このため、前記第3の実施例のように検知領域と通常領域とでパターン画像の画像濃度を検知することで、帯電ローラ汚れによる異常画像が通常領域で顕在化する前に、通常領域での発生予測が可能である
【0067】
なお、ここではハーフトーン画像の色スジでの例をあげたが、地肌汚れや黒スジの発生、帯電電位の低下、帯電ローラ汚れの経時変動も同様に、帯電ギャップが狭いほど早く現れるので発生予測は可能となる。
【0068】
さらに、本発明では、急激な環境変動時に帯電ローラ汚れによる異常画像が集中しないように、異常画像の発生予測を行うことができる。この予測は、非画像形成時に通常の帯電電圧よりも低い帯電電圧を印加したときの地汚れの検出を行うことにより行う。図9は地汚れ発生帯電電圧と温湿度の関係を示すグラフである。
【0069】
まず、機械立ち上げ当初のプロセスコントロール実行時などに、地肌濃度検知センサで地汚れを検出するまで、帯電電圧を段階的に下げていき地汚れが発生する帯電電圧を検出する。あわせて、画像形成装置本体内に設けた温湿度センサで温湿度を検知して、予め設定した地汚れ発生帯電電圧と温湿度の関係(図9参照)から、地汚れ発生領域にある場合は帯電ローラが交換時期に近づいたことを図示していない操作パネル上に表示するか、サービスステーションに通報するようにする。ここでは地汚れを検出する例をあげたが、パターン画像濃度や帯電電位を検出しても上記と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0070】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム
4 光書込みユニット
5Y、5M、5C、5K 作像ユニット
7 帯電装置
9 現像装置
9Y、9M、9C、9K 現像装置
10 中間転写ベルト
11、12、13 ローラ
14 転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 2次転写ローラ
17 クリーニング装置
20 給紙カセット
22 レジストローラ対
23 定着装置
24 排出ローラ
30 作像部
31Y、31M、31C、31K トナーボトル
40 スキャナ
45 廃トナー回収容器
50 装置本体
100 作像装置
110 感光体
120 転写ローラ
130 現像装置
131 現像ローラ
140 帯電ローラ
141 検知領域
142 通常領域
143 当接部
150 クリーニングブレード
160 画像濃度センサ
170 固体潤滑剤
200 作像装置
210 電位センサ
220 作像装置
230 光センサ
240 作像装置
250 中間転写ベルト
252 中間転写ローラ
260及び270 光センサ
280Y、280C、280M、280K 作像手段
300 作像ユニット
310 感光体
311 領域
320 転写ローラ
330 現像装置
331 現像ローラ
340 帯電ローラ
350 クリーニングブレード
360 画像濃度センサ
370 パターン画像
380 汚れ部位
A 検知領域
B 通常領域
D 画像領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特許2962641号公報
【特許文献2】特開2008−299034号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体表面に近接して帯電する帯電ローラと、露光手段によって前記感光体上に形成された潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段と、を有する作像装置において、
前記帯電ローラはその長手方向の一部の領域にローラ表面に他の領域より汚染されやすい検知領域を備え、
前記検知領域の汚染状態を検知する汚染検知手段を設けることを特徴とする作像装置。
【請求項2】
前記検知領域は、他の領域より前記感光体表面と帯電ギャップの寸法を小さく構成していることを特徴とする請求項1に記載の作像装置。
【請求項3】
前記汚染検知手段は、前記感光体又は中間転写上の地肌濃度を検知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作像装置。
【請求項4】
前記汚染検知手段は、前記感光体上の帯電電位を検知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作像装置。
【請求項5】
前記汚染検知手段は、前記帯電ローラ上の地肌濃度を検知することを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の作像装置。
【請求項6】
前記検知領域は、画像形成領域外に設けたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の作像装置。
【請求項7】
前記帯電ローラのうち画像領域及び前記検知領域以外の領域には潤滑剤が塗布されていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の作像装置。
【請求項8】
前記汚染検知結果と、画像形成装置本体内の温湿度を検知する温湿度検知手段で検知した温湿度とに基づいて前記帯電ローラが交換時期に近づいたこと通知する交換通知手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の作像装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の作像装置を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の作像装置又は請求項9に記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−215577(P2011−215577A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198342(P2010−198342)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】