説明

作動子駆動装置及びその作動子駆動装置に用いる配線又は配管保持部材

【課題】簡便かつ安価に、複数の配線や配管をまとめ、配線や配管が可動部の動作を妨げること、配線や配管が傷つくこと、及び配線や配管が閉塞することを防止することである。
【解決手段】作動子21と、前記作動子21を保持する可動部2と、前記可動部2を二次元平面内において移動可能に支持する本体部10と、前記可動部2と前記本体部10との間に架け渡される1又は複数の配管31と、前記可動部2と前記本体部10との間に架け渡されて、前記配管31を保持する配管保持部材11と、を備え、前記配管保持部材11が、板厚方向に可撓性を有し、前記二次元平面に垂直に設けた薄板111と、前記配管31を前記薄板111に沿わせて支持するための支持部112と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばノズルなどの作動子を駆動するための作動子駆動装置及びその作動子駆動装置に用いる配線又は配管保持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示す血液分析装置などのように、例えばノズルなどの作動子を駆動する装置においては、作動子を保持する可動部と、その可動部を移動可能に支持する本体部とがあり、その可動部と本体部との間に配線や配管が架け渡されている。
【0003】
この装置には、本体部と可動部との間に架け渡される配線や配管が複数ある場合にはそれぞれの配線や配管がばらけてしまい、可動部の動作を妨げたり、また可動部等に接触することにより傷ついてしまう等という問題がある。
【0004】
このようなことから、従来、配線や配管自身の剛性に頼る方法、配線や配管を被覆する弾性を有したスパイラル状材料を用いる方法、配線や配管を結束させる剛体部品を用いる方法、あるいは、ロボット用の配線具を用いる方法などにより上記問題を解決しようとしている。
【0005】
しかしながら、配線や配管自身の剛性に頼る方法は、配線や配管の剛性が小さい場合には、自重により撓んでしまい、可動部が移動する際に意図しない経路を取ってしまい、可動部の動作を妨げるおそれがあり、またそれにより配線や配管が傷ついてしまうという欠点がある。
【0006】
また、配管がばらけることがないように、配管を被覆する弾性を有したスパイラル状材料を用いる方法では、配管がスパイラル状材料に食い込んでしまい、配管が閉塞してしまうおそれがある。その他にも、スパイラル状材料は弾性を有することから、可動部が移動する際に意図しない経路を取ってしまい、可動部の動作を妨げるおそれがあり、またそれにより配線や配管が傷ついてしまうという欠点もある。
【0007】
さらに、配線や配管を結束させる剛体部品を用いる方法では、剛体部品を取り付けていない部分で屈曲して閉塞してしまう問題がある。
【0008】
加えて、ロボット用の配線具を用いる方法は、上記問題点を解決することができるが、非常に高価なものであり、コストの肥大化を招いてしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2004−4098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、簡便かつ安価に、複数の配線や配管をまとめ、配線や配管が可動部の動作を妨げること、配線や配管が傷つくこと、及び配線や配管が閉塞することを防止することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明に係る作動子駆動装置は、作動子と、前記作動子を保持する可動部と、前記可動部を二次元平面内において移動可能に支持する本体部と、前記可動部と前記本体部との間に架け渡される1又は複数の配線又は配管と、前記配線又は前記配管を保持する配線又は配管保持部材とを備え、前記配線又は配管保持部材が、板厚方向に可撓性を有し、前記可動部又は前記本体部の少なくとも一方に固定されて前記二次元平面に垂直に設けられた板状部材と、前記配線又は前記配管を前記板状部材に沿わせて支持するための支持部と、を有していることを特徴とする。
【0011】
このようなものであれば、簡便かつ安価に、複数の配線や配管をまとめ、配線や配管が可動部の動作を妨げること、配線や配管が傷つくこと、及び配線や配管が閉塞することを防止することができる。
【0012】
その具体的な実施の様態としては、前記支持部が複数あり、平面視において前記配線又は前記配管を沿わせる方向に実質的に直線上に設けていることが望ましい。
【0013】
さらに、本発明の効果を一層顕著にして、簡便で安価な配線又は配管保持部材を提供するためには、前記支持部が、前記配線又は前記配管を挿通させる前記板状部材に設けた取付孔であるが望ましい。
【0014】
取付孔の具体的な実施の様態としては、前記取付孔の長径が前記配線又は前記配管の径より大きく、前記取付孔の短径が前記配線又は前記配管の径より小さいことが望ましい。
【0015】
板状部材の板厚方向への可撓性を所望の大きさにするためには、前記支持部の間に1又は複数の細孔を設けていることが望ましい。
【0016】
作動子の具体的な実施の態様としては、前記作動子が、流体を吸引及び/又は吐出するノズルであることが考えられる。
【0017】
そして前記流体が血液検体又は当該血液検体を希釈するための希釈液などであり、血液分析装置に用いることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明に係る配線又は配管保持部材は、作動子を保持する可動部と、前記可動部を二次元平面内において移動可能に支持する本体部との間に架け渡される1又は複数の配線又は配管を保持する配線又は配管保持部材であって、板厚方向に可撓性を有し、前記可動部又は前記本体部の少なくとも一方に固定されて前記二次元平面に垂直に設けられた板状部材と、前記配線又は前記配管を前記板状部材に沿わせて支持するための支持部と、を有するものであることを特徴とする。
【0019】
このようなものであれば、簡便かつ安価に、複数の配線や配管をまとめ、配線や配管が可動部の動作を妨げること、配線や配管が傷つくこと、及び配線や配管が閉塞することを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
このように本発明によれば、簡便かつ安価に、複数の配線や配管をまとめ、配線や配管が可動部の動作を妨げること、配線や配管が傷つくこと、及び配線や配管が閉塞することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の作動子駆動装置の一種である血液分析装置に係る一実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係る血液分析装置1は、電気抵抗法により、WBC(白血球数)、RBC(赤血球数)、PLT(血小板数)、MCV(赤血球容積)、Hct(ヘマトクリット値)を測定し、またシアンメトヘモグロビン法における吸光光度法によりHgb(ヘモグロビン濃度)等を測定(CBC測定)するものである。
【0023】
そして、血液分析装置1の構成は、図1、図2、図3、図4及び図5に示すように、採血管Tから血液検体を吸引等するサンプリングノズル21を有するノズルユニット2と、サンプリングノズル21により吸引された血液検体や空気等の流体を流通させる流通経路3と、その流通経路3上に設けられた測定セル4と、流通経路3上の流体の流通をコントロールする1以上の流体制御ユニット5と、測定セル41内の血液検体のWBC等を分析する血液分析部6と、操作内容や測定結果などを表示する画面表示ユニット7と、測定結果をプリントアウトするためのプリンタユニット8と、血液分析装置1の電力供給源となる電源ユニット9と、それらを保持するケーシング10と、を備えている。なお、流通経路3は、血液検体、空気、希釈液などを流通させるものであり、配管31から構成される。
【0024】
ノズルユニット2は、特に図3及び図4に示すように、ケーシング10に垂直に立設されたベース部材101に沿うようにして水平方向に設けられた第1のタイミングベルト102によって、本体部であるケーシング10に対して水平方向の二次元平面上を往復運動できるように構成された可動部であり、第1のタイミングベルト102に固定され水平方向に往復運動するハウジング22と、ハウジング22に鉛直方向に設けられた第2のタイミングベルト23と、血液検体等を吸引及び吐出する作動子としてのサンプリングノズル21と、サンプリングノズル21を保持し、第2のタイミングベルト23によって鉛直方向に上下移動するノズル保持部24と、サンプリングノズル21の先端部が挿入されてその先端部の外周面を洗浄するノズル洗浄器25とを備えている。なお、第1のタイミングベルト102は、第1のモータM1によって駆動され、第2のタイミングベルト23は、第2のモータM2によって駆動される。また、104は、ノズルユニット2がその起立状態を保ったまま水平方向に往復運動することを案内する案内部材である。
【0025】
サンプリングノズル21は、採血管T内の血液検体を吸引してWBCセル411内にその血液検体を吐出し、さらにWBCセル411内で一次希釈された血液検体を吸引してRBCセル412に吐出するものであり、ノズルユニット2内に設けられたノズル洗浄器25に挿通され、先端部外周面が洗浄されるようにしている。また、サンプリングノズル21は、配管31により定注器ユニット52と連結されている。なお、26は、サンプリングノズル21が初期位置(定位置)にあるか否かを検出するための位置センサである。
【0026】
ノズル洗浄器25は、2つの接続ポート504を備え、一方はエアポンプユニット51と繋げるための空気流通用配管31Aに接続され、他方は定注器ユニット52と繋げるための希釈液流通用配管31Bに接続されている。
【0027】
測定セル41は、流通経路3上に設けられており、WBC(白血球数)及びHgb(ヘモグロビン濃度)を測定するためのWBC/Hgb測定セル411(以下、単にWBCセルという。)と、RBC(赤血球数)及びPLT(血小板数)を測定するためのRBC/PLT測定セル412(以下、単にRBCセルという。)とである。そして、後述する血液測定部42と一体となるようにユニット化されており、測定ユニット4を形成し、ケーシング10から取り外し可能に構成されている。
【0028】
WBCセル411においては、サンプリングノズル21により血液検体が注入され、希釈液容器12からの希釈液により一次希釈された後、定注器ユニット52及びアイソレータユニット54を介して溶血液容器13内の溶血液が注入され、WBC及びHgbが測定される。RBCセル412においては、サンプリングノズル21により一次希釈された血液検体が注入され、さらに希釈液容器12からの希釈液により二次希釈され後に、RBC及びPLTが測定される。
【0029】
血液測定部42は、図5に示すように、WBC測定部421と、Hgb測定部422と、RBC/PLT測定部423とを備えている。WBC測定部421は、WBCセル411に設けた例えば白金電極などの測定電極421a、421bによりWBCを測定する。Hgb測定部422は、WBCセル411の外部に設けたハロゲンランプなどの光源422aとWBCセル411を透過した光を検出する光検出器422bによりHgbを測定する。RBC/PLT測定部423は、RBCセル412に設けた例えば白金電極などの測定電極423a、423bによりRBC/PLTを測定する。
【0030】
流体制御ユニット5は、流体制御のための関連する機能をユニット化してなるものであり、内部流路501を形成するマニフォールド502と、内部流路501における流体の流通をコントロールする1以上の関連する電磁制御弁503と、内部流路501と流通経路3とを接続するための接続ポート504とを一体的に有し、ケーシング10から取り外し可能に構成されている。具体的な流体制御ユニット5は、流通経路3内での空気の流通及び廃液の流通をコントロールするエアポンプユニット51と、流通経路3内での液体の流通をコントロールする定注器ユニット52と、血液検体を希釈するための希釈液を貯蔵してその希釈液の温度を調節する希釈液温度調節ユニット53と、洗浄液を流通させるための内部流路501と廃液を流通させるための内部流路501とを区画して備えたアイソレータユニット54である。なお、図1においては、内部経路501、マニフォールド502、電磁制御弁503、接続ポート504の符号をエアポンプユニット51に代表させて示している。
【0031】
血液分析部6は、血液測定部42からの測定データに基づいて、測定セル41内の血液検体のWBC、RBC、PLT、MCV、Hctを分析するものである。その機器構成は、CPU、内部メモリ、外部メモリ、入出力インタフェース、AD変換器等からなる汎用又は専用のコンピュータであり、内部メモリ又は外部メモリの所定領域に格納してあるプログラムに基づいてCPUやその周辺機器等が作動することにより、測定セル41内の血液検体のWBC、RBC、PLT、MCV、Hctを分析する。また、温度センサからの信号に基づいてヒータ(図示しない)を制御したり、位置センサからの信号に基づいてノズルユニット2を制御したり等する。
【0032】
画面表示ユニット7、プリンタユニット8と、電源ユニット9はそれぞれケーシング10から取り外し可能に構成されており、電源ユニット9は、電源を筐体内に収容する構成にしており、電源が収容される空間を他のユニット2、4、5、6、7、8が収容される空間と分離するようにして電源により発生する熱が周囲のユニット2、4、5、6、7、8に悪影響を与えないようにしている。
【0033】
ケーシング10は、前述した各ユニット2、4、5、6、7、8、9を取り外し可能に収容するものであり、それら各ユニット2、4、5、6、7、8、9に電力を供給するための主配線(図示しない)を内部に収容し、各ユニット2、4、5、6、7、8、9と主配線とを電気的に接続する中継コネクタ103を、各ユニット2、4、5、6、7、8、9それぞれが取り付けられる領域近傍に設けている。
【0034】
しかして、本実施形態においては、本体部たるケーシング10と可動部たるノズルユニット2との間に架け渡されている配管31、つまりノズル洗浄器25と接続される空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bを配線又は配管保持部材11(以下、単に配管保持部材という。)によって保持している。
【0035】
配管保持部材11は、図6及び図7に示すように、板厚方向に可撓性を有する板状部材である薄板111と、空気流通用配管31Aと希釈液流通用配管31Bとを薄板111に沿って支持する支持部112とから構成される。
【0036】
薄板111は、樹脂などの板厚方向に可撓性を有する矩形状のものであり、空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bが挿通して保持する取付孔111aと、ベース部材101の表面に設けられた配管導入口101Aに接続され、空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bが通される接続孔111bと、薄板111をケーシング10又はノズルユニット2に固定するための固定用の細孔111cとを有する。
【0037】
取付孔111aは、空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bを薄板111に沿って支持する支持部112としての機能するものであり、図8に示すように、平面視において、その長径が配管31A、31Bの径よりも大きく、その短径が配管31A、31Bの径よりも小さい長円形の貫通孔である。本実施形態においては、空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bの2本を保持するものであるため、取付孔111aの長径は、それら2本の径の合計よりも大きくしている。そして、取付孔111aは、平面視において、空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bを沿わせる方向、つまり、本実施形態では薄板111の長尺方向の中心線Cに対して各取付孔111aの長径が直交するように等間隔に実質的に同一直線上に設けるようにしている。
【0038】
接続孔111bは、薄板111の一端部に形成されており、ベース部材101の表面に設けられた配管導入口101Aに連続して設けられ、空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bが通される孔である。
【0039】
細孔111cは、薄板111をケーシング10又はノズルユニット2に例えばリベットRにより固定するための固定用の孔であり、さらに、薄板111に所定の可撓性を持たせる機能も有する。そして、薄板111の長尺方向の中心線C上に設けられ、各取付孔111aの両側に1つずつ、つまり、2つの取付孔111a間に2つの細孔111cを設けるようにしている。なお、薄板111の板厚方向の可撓性を大きくするためには、細孔111cの数を多くする又は細孔111cの径を大きくすることが考えられる。
【0040】
そして、薄板111は、接続孔111bを有する一端部を、接続孔111bがベース部材101の配管導入口101Aに連続するように、ベース部材101の表面に沿って取り付けられる。また、薄板111の他端部は、ノズル洗浄器25の側端面25Aの一部分と接触するように取り付けられる。このとき、配線導入口101Aとノズル洗浄器25とは、同じ高さにあり、配線導入口101Aがあるベース部材101の表面及びノズル洗浄器25の側周面25Aは共に、ノズルユニットが移動する二次元平面に垂直である。これにより、薄板111はノズルユニット2の移動する二次元平面に垂直に設けられることになる。言い換えれば、第1のタイミングベルト102の動作方向(水平方向)に垂直に設けられる。
【0041】
このとき、図9及び図10に示すように、ノズルユニット2が採血管Tの位置Pにあるときと、ノズルユニット2がWBCセル411又はRBCセル412の位置Qにあるときとの間で、薄板111は所定の経路を取る。
【0042】
空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bを取付孔111aに挿通させる方法は、図11の断面図に示すように、薄板111の一方面から他方面に向かって空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bを取付孔111aに挿通させ、次に他方面から一方面に向かって、隣り合う取付孔111aに挿通させる。そして、これらを繰り返すことにより、空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bは薄板111に対して蛇行状となり、薄板111に沿わせて支持することができる。なお、図11においては、便宜的に空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bのみを蛇行状にしている。
【0043】
次にこのように構成した血液分析装置1の動作について、図12を参照して述べる。
【0044】
まず、血液を収容した採血管Tを採血管セット部(図示しない)にセットして測定ボタンSをオンにする(ステップS1)と、初期位置にあるサンプリングノズル21は、採血管セット部の位置に移動し(ステップS2)、採血管T内の血液検体(全血)を吸引する(ステップS3)。その検体吸引後、サンプリングノズル21はWBCセル411の位置に移動し、ノズル洗浄器25に希釈液が供給されて、サンプリングノズル21の外面が洗浄される。
【0045】
前記洗浄が終わったサンプリングノズル21は、WBCセル411内に血液検体を吐出する(ステップS4)一方、希釈液容器12内の希釈液が、エアポンプユニット51によりアイソレータユニット54を介してWBCセル411内に所定量注入されて、血液検体の一次希釈が行われる(ステップS5)。
【0046】
WBCセル411の位置にあるサンプリングノズル21は、前記一次希釈された血液検体を所定量吸引して(ステップS6)、RBCセル412に移動し(ステップS7)、前記吸引した一次希釈された血液検体をRBCセル412に吐出する(ステップS8)。そして、希釈液容器12内の希釈液が、エアポンプユニット51によりアイソレータユニット54を介してRBCセル412内に所定量注入され、血液検体の二次希釈が行われる(ステップS9)。
【0047】
上記一次希釈及び二次希釈が終わった後、溶血液容器13内の溶血液が定注器ユニット52及び注入ブロック14を介してWBCセル411内に所定量注入され(ステップS10)、WBC及びHgbの測定が行われるとともに、RBCセル412内では、RBC及びPLTの測定が行われ(ステップS11)、そのときの測定データは、信号処理器17を経て血液分析部6に出力される。
【0048】
血液分析部6においては、血液測定部42からの測定データに基づいてWBC、RBC、PLT、MCV、Hctを算出する。
【0049】
測定が終わると、一次希釈された血液検体及び二次希釈された血液検体は、アイソレータユニット54及びエアポンプユニット51を介して廃液容器15に排出され、WBCセル411とRBCセル412は希釈液及び洗浄液容器16からの洗浄液で洗浄される(ステップS12)。
【0050】
このように構成した本実施形態の血液分析装置1によれば、簡便かつ安価に、空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bをまとめ、空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bが可動部(ノズルユニット)2の動作を妨げること、空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bが傷つくこと、及び空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bが閉塞することを防止することができる。
【0051】
また、取付孔111aの短径を空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bの径よりも小さい長円形の貫通孔としているので、空気流通用配管31A及び希釈液流通用配管31Bに過度のストレスを与えることなく保持することができる。
【0052】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0053】
例えば、前記実施形態では、支持部を薄板(板状部材)に設けた取付孔としたが、この他にも薄板(板状部材)に配線又は配管を沿わせた状態で、紐や輪ゴムを用いて配線又は配管を薄板(板状部材)に縛り付けるようにしても良いし、薄板(板状部材)の表面に配線又は配管を狭持する狭持部を設けるようにしても良い。
【0054】
また、前記実施形態では、取付孔を長円形の貫通孔にしているが、幅の無い切
り欠きであっても良いし、矩形の貫通孔であっても良い。
【0055】
取付孔の寸法を変更することで複数の配管をまとめて保持することも可能である。
【0056】
さらに、前記実施形態では、ノズル洗浄器に接続される空気流通用配管及び希釈液流通用配管を配管保持部材によって保持するようにしたが、これに限られず、例えば、サンプリングノズルに接続される配管を配管保持部材によって保持するようにしても良い。
【0057】
加えて、前記実施形態では、配線又は配管保持部材は、配管を保持するものであったが、可動部と本体部との間に架け渡された配線を保持するものであっても良い。
【0058】
さらに加えて、前記実施形態の配管保持部材は、保持部である取付孔を一列に設けたものであったが、図13に示すように複数列(図13においては2列)設けるようにしても良い。
【0059】
前記実施形態では、板状部材として薄板を用いたが、所定の柔軟性を有した布又は紙などを用いることもできる。
その他には、前記実施形態では、薄板の両端部を本体部及び可動部にそれぞれ取り付けるようしているが、薄板の一端部のみを本体部又は可動部に取り付けるようにしても良い。
【0060】
さらに、本発明に係る配線又は配管保持部材11を、図14に示すように、配管31をケーシング10の壁面に沿わせて固定するように用いても良い。つまり、薄板111の中央部に設けた細孔111cにリベットRを挿通させて薄板111の中央部をケーシング10の壁面に固定する。このとき、薄板11の両端部は自由端となり、その両端部に設けた取付孔111aに配管31を挿通させる。これにより、配管31をケーシング10の壁面に沿わせて固定することができる。
【0061】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る血液分析装置の全体流体回路図。
【図2】同実施形態における血液分析装置の分解斜視図。
【図3】同実施形態における側面パネルを取り外した状態の血液分析装置を示す斜視図。
【図4】同実施形態におけるノズルユニットの部分拡大斜視図。
【図5】同実施形態におけるノズルユニット、測定ユニットを示す概略構成図。
【図6】同実施形態における配管保持部材の斜視図。
【図7】同実施形態における配管保持部材の平面図。
【図8】同実施形態における配管保持部材に配管挿通時の平面図。
【図9】ノズルユニットが採血管の位置にあるときの配管保持部材及び配管の状態を示す模式図。
【図10】ノズルユニットが測定セルの位置にあるときの配管保持部材及び配管の状態を示す模式図。
【図11】同実施形態における配管保持部材に配管挿通時の拡大断面図。
【図12】同実施形態における血液分析装置の動作を示すフローチャート。
【図13】その他の実施形態に係る配線又は配管保持部材の平面図。
【図14】さらにその他の実施形態に係る配線又は配管保持部材の配管挿通時の断面図。
【符号の説明】
【0063】
21 ・・・作動子(サンプリングノズル)
2 ・・・可動部(ノズルユニット)
10 ・・・本体部(ケーシング)
31 ・・・配管
11 ・・・配管保持部材
111 ・・・薄板
112 ・・・支持部
111a・・・取付孔
111c・・・細孔
1 ・・・血液分析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動子と、
前記作動子を保持する可動部と、
前記可動部を二次元平面内において移動可能に支持する本体部と、
前記可動部と前記本体部との間に架け渡される1又は複数の配線又は配管と、
前記配線又は前記配管を保持する配線又は配管保持部材と、を備え、
前記配線又は配管保持部材が、板厚方向に可撓性を有し、前記可動部又は前記本体部の少なくとも一方に固定されて前記二次元平面に垂直に設けられた板状部材と、
前記配線又は前記配管を前記板状部材に沿わせて支持するための支持部と、を有している作動子駆動装置。
【請求項2】
前記支持部が複数あり、平面視において前記配線又は前記配管を沿わせる方向に実質的に同一直線上に設けていることを特徴とする請求項1記載の作動子駆動装置。
【請求項3】
前記支持部が、前記配線又は前記配管を挿通させる前記板状部材に設けた取付孔であることを特徴とする請求項1又は2記載の作動子駆動装置。
【請求項4】
前記取付孔の長径が前記配線又は前記配管の径より大きく、前記取付孔の短径が前記配線又は前記配管の径より小さいことを特徴とする請求項1、2又は3記載の作動子駆動装置。
【請求項5】
前記支持部の間に1又は複数の細孔を設けていることを特徴とする請求項3又は4記載の作動子駆動装置。
【請求項6】
前記作動子が、流体を吸引及び/又は吐出するノズルであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の作動子駆動装置。
【請求項7】
前記流体が血液検体であり、血液分析装置に用いられる請求項6記載の作動子駆動装置。
【請求項8】
作動子を保持する可動部と、前記可動部を二次元平面内において移動可能に支持する本体部との間に架け渡される1又は複数の配線又は配管を保持する配線又は配管保持部材であって、
板厚方向に可撓性を有し、前記可動部又は前記本体部の少なくとも一方に固定されて前記二次元平面に垂直に設けられた板状部材と、
前記配線又は前記配管を前記板状部材に沿わせて支持するための支持部と、を有する配線又は配管保持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−93309(P2007−93309A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280959(P2005−280959)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】