説明

作動流体用試験台調整システム及びこの種の試験台調整システムを駆動する装置

【課題】作業機械の作動流体の温度経過の最適なシミュレーションが所定経過から最小偏差により可能である試験台調整システムとこの種のシステムを作動する装置を提供すること。
【解決手段】
試験台に存在する作業機械の作動流体用の試験台調整システムは、作動流体を循環させる少なくとも一つのポンプ(3)と、作業機械の放出導管(1)から来る作動流体を冷却させる熱交換器(4)並びに作業機械への供給導管(2)に供給された作動流体用の加熱装置(5)と混合弁(6)を含有する。さらに、遮断可能な迂回路(8)が放出導管(1)と供給導管(2)の間に設けられ得る。制御装置によって作動流体用の温度経過の付与が可能である。予定経過から最小偏差を伴って作業機械の作動流体の現実の温度経過の最適にシミュレーションを可能とするために、混合弁(6)の前で制御弁(11)を備える連結導管(10)が放出導管(1)へ案内し、ポンプ(3)の前でこの放出導管(1)に連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試験台に存在する作業機械の作動流体、特に作業機械の冷却剤用の試験台調整システムに関し、調整(コンディショニング)システムが作動流体を循環させる少なくとも一つのポンプと、作業機械の放出導管から来る作動流体を冷却させる熱交換器並びに作業機械への供給導管に供給された作動流体用の加熱装置と混合弁を含有し、放出導管と供給導管の間の遮断可能な迂回路と、作動流体用の温度経過を設定する制御装置並びにこの種の試験台調整システムを作動する装置を備える。
【0002】
車両内の空気流により強制された冷却は、冷却水或いは例えば潤滑剤のような他の作動流体によって行われて、試験台では水熱交換器と交換される。熱交換器内の追加的流れ抵抗を補償させるために冷却すべき媒体用の循環ポンプが設けられてその媒体の熱入力が同様に考慮されなければならない。冷却器、加熱レジスタ、種々のユニット、測定要素と制御要素を介して作動流体が実際の作動中に生じる温度経過を再生させるように調整(コンディショニング)される。
【0003】
通常には、制御回路を介して冷却器及び/又は加熱レジスタを介して案内された作動流体が駆動試験から知られた温度経過を出来るだけ正確に再生させるように設定されて、しかし、それはユニットの応答時間とシステム内の無駄時間に基づいて実行出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第857958号明細書
【特許文献2】フランス国特許第2909713号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故に、この発明の課題は、作業機械の作動流体の温度経過の最適なシミュレーションが所定経過から最小偏差により可能である試験台調整システムとこの種のシステムを作動する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、調整システムは、混合弁の前で制御弁との連結導管が放出導管に案内され、ポンプの前でこの放出導管に連通することを特徴としている。この連結導管によって、温度制御が三つのそれ自体独立の制御回路に分割されて、加熱作動流体、冷却作動流体とこれらの二つの割合の混合物に別々に応答できる。異なった割合の加熱作動流体と冷却作動流体の混合によって混合された作動流体の所定温度が加熱或いは冷却のみによって可能であるより実質的により迅速に調整され得る。加熱レジスタ或いは冷却器における装置関連遅延がこのアプローチによって回避される。
【0007】
この発明の実施例によると、このシステムはさらに、熱交換器の冷媒回路には、迂回導管が冷媒の供給導管からその放出導管まで案内され、混合弁が迂回流の量を調整するように設けられている。この特徴によって冷却回路がより正確に且つ迅速に冷却された作動流体の所望の温度に制御できる。
【0008】
この発明の別の実施態様は、作業機械の放出導管と供給導管の間の遮断可能な迂回路の分岐と注入は加熱装置或いは熱交換器に属するシステム成分より近くに配置されている。
【0009】
この課題を解決するために、最初に挙げられた装置は、この発明によると、温度経過が制御装置に貯蔵され、制御装置が熱交換器の迂回導管中の混合弁や加熱装置へ平行な連結導管中の制御弁を制御して、各時点の作動流体用の混合弁には、温度経過による現実の目標温度を備える部分流や現実の目標温度以下に位置する温度を備える部分流が供給され、そして制御装置が作動流体用の混合弁を制御して、両部分流が現実の目標温度で正確に混合される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来のシステムを示す。
【図2】この発明によるシステムを示す。
【図3】部分流や調整された作動流体の温度経過の線図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明は、次に添付図面に基づいて詳細に説明される。
【0012】
図1は先行技術による従来のシステムを示し、図2はこの発明によるシステムの表示であり、図3は部分流や調整された作動流体の温度経過の線図を示す。
【0013】
作業機械に循環する作動流体、特に冷却水、しかも、潤滑油などが放出導管1を介して作業機械から放出され、供給導管2を介して空調後に再び作業機械、例えば内燃機関に供給される。第一装置までの放出導管1或いは供給導管2は代表的にはおよそ5メータである。作動流体の循環のために、調整システムが少なくとも一つのポンプ3を有する。通常には、作業機械の放出導管1から来る作動流体を冷却する熱交換器4及び供給導管2で作業機械へ供給された作動流体用の加熱装置5が設けられている。好都合には、しばしば、直接にポンプ3の前や混合弁6の後にこれら構成部材のそれぞれに直接付近に連通していて、弁7によって遮断可能な迂回路8が放出導管1と供給導管2の間に設けられている。作動流体用の温度経過を与える制御装置が図面には図示されていない。
【0014】
この発明による作動流体用の調整システムの図2に図示された実施例は、従来のシステムとの基本的差異として連結導管10を有し、この連結導管は混合弁6の前、即ちこの混合弁6の作業機械と反対側で出発し、ポンプ3の前、即ちこのポンプ3と作業機械の間で放出導管1に連通する。連結導管10には、制御弁11が挿入されている。この連結導管10によって、温度制御が三つのそれ自体独立の制御回路に分割され、加熱された作動流体、冷却された作動流体とこれら二つの作動流体の混合物に別々に応答できる。
【0015】
好ましくは作業機械の放出導管1と供給導管2の間で遮断可能な迂回路10の分岐と連通が加熱装置5或いは熱交換器4に属するシステム成分よりも作業機械に接近して配置されている。
【0016】
熱交換器4の冷媒回路には、好ましくは、迂回導管12が冷媒の供給導管3からその放出導管14へ案内され得て、その迂回導管12には、混合弁15が迂回流の量を調整するように設けられて、冷却回路をより正確に且つ迅速に冷却された作動流体の所望温度に制御できる。
【0017】
非常に正確に且つ迅速に与えられた温度経過を実施できるために、好ましくは、空調システムの制御装置には、温度経過が貯蔵され、制御装置が熱交換器4の迂回導管12における可能な混合弁15を作動し、加熱装置5と平行な連結導管10における制御弁11を作動し、温度経過による現実の目標温度S以上を備える部分流Wと現実の目標温度S以下である温度の部分流Kが各時点で作動流体の混合弁6に供給される。さらに、制御装置が作動流体の混合弁6を作動し、両部分流W、Kから全体流が現実の目標温度Sに正確に混合される。
【0018】
図3の線図において明確に認識するように、異なった割合の加熱作動流体Wと冷却作動流体Kのこれら混合物によって本質的に迅速に且つ正確に混合された作動流体の制御装置によって与えられた目標温度Sが加熱或いは冷却単独によって可能であるように設定される。加熱レジスタ5或いは冷却器4における装置関連遅延がこのアプローチによって回避される。
【符号の説明】
【0019】
1.....放出導管
2.....供給導管
3.....ポンプ
4.....冷却器
5.....加熱レジスタ
6.....混合弁
8.....迂回路
10....連結導管
11....制御弁
12....迂回導管
13....供給導管
14....放出導管
15....混合弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験台に存在する作業機械の作動流体、特に作業機械の冷却剤用の試験台調整システムであって、調整システムが作動流体を循環させる少なくとも一つのポンプ(3)と、作業機械の放出導管(1)から来る作動流体を冷却させる熱交換器(4)並びに作業機械への供給導管(2)に供給された作動流体用の加熱装置(5)と混合弁(6)を含有し、放出導管(1)と供給導管(2)の間の遮断可能な迂回路(8)と、作動流体用の温度経過を設定する制御装置とを備える作動流体用試験台調整システムにおいて、混合弁(6)の前で制御弁(11)を備える連結導管(10)が放出導管(1)へ案内し、ポンプ(3)の前でこの放出導管(1)に連通することを特徴とする試験台調整システム。
【請求項2】
熱交換器(4)の冷媒回路には、迂回導管(12)が冷媒の供給導管(13)からその冷媒の放出導管(14)まで案内し、迂回流の量を調整する混合弁(15)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の試験台調整システム。
【請求項3】
作業機械の放出導管(1)と供給導管(2)の間の遮断可能な迂回路(8)の分岐と連通とが加熱装置(5)或いは熱交換器(4)の属するシステム成分より作業機械により接近して配置されていることを特徴とする請求項1或いは2に記載の試験台調整システム。
【請求項4】
制御装置には、温度経過が貯蔵され、制御装置が熱交換器(4)の迂回導管(12)における可能な混合弁(15)を作動し、加熱装置(5)と平行な連結導管(10)における制御弁(11)を作動し、温度経過による現実の目標温度(S)以上を備える部分流(W)と現実の目標温度(S)以下である温度の部分流(K)が各時点で作動流体の混合弁(6)に供給され、そして、制御装置が作動流体の混合弁(6)を作動し、両部分流(W、K)から全体流が現実の目標温度(S)に正確に混合されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の作動流体用試験台調整システムを作動する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−107510(P2010−107510A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246234(P2009−246234)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(398055255)アー・ファウ・エル・リスト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (30)
【Fターム(参考)】