説明

作品携帯ホルダ

【課題】未乾燥の作品を壁や床等の周囲を汚損することなく鉛直にすることができ、作品携帯ホルダに作品を係止することができ、作品携帯ホルダに収納されている作品が脱落されずに携帯可能な作品携帯ホルダを提供する。
【解決手段】長形の作品携帯ホルダの表面に作品の一端を係止する作品係止帯を取付け、前記作品携帯ホルダの裏面には作品素材保持部を設け、素材を積層して一端部が互いに縫着部と接着材により接合される複数の作品素材集部の接合部を前記作品素材保持部に着脱可能に貼付する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作品を書上げた直後の生乾きの状態で掲示することができるために閲覧や講評を直ちに得ることができ、また収納して携帯することのできる作品携帯ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、書道教育を行なう学校、私塾及び自己学習において、作成した書道作品をコンパクトに収納する書道携帯ホルダとして特許文献1に記載された書道携帯ホルダを提案している。この書道携帯ホルダは、書道作品を収納するために余分なスペースを要することなく、作品の収納と乾燥を同時に実施すること、乾燥及び収納時に周囲を汚さないこと等の課題を同時に解決可能な極めて優れたホルダである。
【0003】
【特許文献1】特許第3564124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記、書道携帯ホルダを使用するにあたり、書家にとって不可欠な作業である書道作品作成後における書道作品の縦覧において前記書道携帯ホルダを適用することの必要性を認識するに至った。
【0005】
すなわち、書家が書道作品を一点書き終えると次の書道作品を作成するにあたり、書き終えた書道作品を充分に研究して、書道作品の線の太さや大小や、墨の色、筆の運びである、払い、止め、はね等の位置や方向等を確認し、次作品への構想に役立たせる。これらの確認を行なうためには書道作品を鉛直方向に立てる必要がある。これは、書道作品が特に大きく長くなればなるほど床に置いたままでは書道作品の正しい閲覧が困難となるからである。しかしながら、書道作品を作成した直後は墨で紙が濡れており、書道作品の下敷きとなるものが無い状態で掲示をするのでは墨等が壁等に付着して汚損するおそれがあり、直接、書道作品を鉛直にすることが難しい。
【0006】
そこで、出願人は一点を書き終えた際に書道携帯ホルダに鉛直方向からの書道作品の閲覧をすべく検討したところ三つの課題を有することが判明した。
【0007】
すなわち第一の課題は、本作品携帯ホルダをいかにして鉛直とするかにある。特に書家が作品携帯ホルダを把持することなく鉛直とする必要がある。
【0008】
第二の課題は、壁等に貼り付けられている作品携帯ホルダに如何にして壁や床等の周囲を汚損することなく作品を係止するかであり、係止する手段の必要性である。この係止手段は、作品完成後に係止するため簡易に係止できるものでなければならない。
【0009】
第三の課題は、作品携帯ホルダを鉛直にした場合、作品携帯ホルダに収納されている作品が脱落することに有る。すなわち、書道作品を鉛直にして掲示する際には全作品を収納させる必要は無い。携帯して移動する際に収納機能が作用すればよい。
【0010】
そこで、本発明の目的は、本作品携帯ホルダを壁や床等の周囲を汚損することなくいかにして鉛直にすることができ、作品携帯ホルダに作品を係止することができ、かつ、作品携帯ホルダに収納されている作品が脱落せず、携帯することができる作品携帯ホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る作品携帯ホルダは、通気性を有して湿気を有する作品よりも大きく湿気を発散させる通気性シートと、前記湿気を有する作品と前記通気性シートとを交互に積層させてその端部を固着させる固着部と、前記通気性シートの少なくとも一方に少なくとも前記通気性シート相当の大きさから構成される保護カバーとからなり、湿気を有する作品を乾燥させながら作品を携帯保持することができる。
【0012】
また、長形の作品携帯ホルダの表面に作品の一端を係止する作品係止帯を取付け、前記作品携帯ホルダの裏面には作品素材保持部を設け、素材を積層して一端部が互いに縫着部と接着材により接合される複数の作品素材集部の接合部を前記作品素材保持部に着脱可能に貼付することを特徴とする。
【0013】
さらに、作品素材の接合部を前記素材保持帯に面ファスナで着脱可能に貼付することを特徴とする。
【0014】
そしてまた、作品携帯ホルダの一端部にリング金具またはハトメから構成される掲示用紐固定部を設けることを特徴とする。
【0015】
そのうえ、作品携帯ホルダの作品係止部側の下端部と、作品携帯ホルダの裏面に面ファスナを設けて収納時に固定できるよう配置したことを特徴とする。
【0016】
さらにまた、作品の端部を挟みこんで固定する挟みこみ部と、前記挟みこみ部を一端に備えた下敷部とを備えて、下敷部の裏面に設けられる面ファスナと作品携帯ホルダ側に設けられる面ファスナとを結着させることで容易に作品の掲示が可能な事を特徴とする。
【0017】
そしてさらに、作品の端部を挟みこんで固定する挟みこみ部と、前記挟みこみ部を一端に備えた下敷部とを備えて、前記下敷部に設けられた第二接続部によって作品携帯ホルダ表面に結着自在に結合することで作品の掲示が可能となる。
【0018】
さらに、前記第二接続部は、下敷部の裏面に設けられる面ファスナと作品携帯ホルダ側に設けられる面ファスナとを結着させることを特徴とする。
【0019】
続いて、素材が不織布で構成されることを特徴とする。
【0020】
保護カバーは前記複数の通気性シートを内側に綴じ込む2枚の樹脂から構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る作品携帯ホルダを実施することで、第一に本作品携帯ホルダを容易に鉛直方向に掲示することができるようになり、書道作品を作成後直ちに壁や床等の周囲を汚損することなく閲覧が簡易にでき、書家の作品チェックの負担が軽減されるという利点がある。
【0022】
第二に作品完成後に直ちに係止するのが容易となる。さらに、第三に作品素材集部を着脱自在とすることで、掲示を行なう際は作品素材集部を取りはずし、床に置くことで、作品の脱落を防ぐことができるという利点がある。また、すぐに数多くの作品を収納できる利点もある。
【0023】
さらに、作品携帯ホルダの構成素材を不織布等を用いることで極めて軽い作品携帯ホルダを形成することが可能となる。
【0024】
続いてサイズを半紙を半分に折り曲げることでコンパクトなサイズに変更される。例えば半紙サイズでは不可能であるがA4サイズに折り曲げることでランドセルや鞄等に容易に収納することができる。但し、作品のサイズによって様々なサイズになる可能性があり、他のサイズとすることは設計変更の範囲内である。
【0025】
さらに、本発明に係る作品携帯ホルダには下敷と半紙が同封可能であり、従って荷物の削減が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、この発明の実施形態例を、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明に係る作品携帯ホルダの作品係止帯側の正面図を示す。図2は、本発明に係る作品携帯ホルダの作品係止帯側に半紙を装着した正面図を示す。図3は、本発明に係る作品携帯ホルダの作品素材保持部側に作品素材集部を装着した正面図を示す。図4Aは、本発明に係る作品携帯ホルダの作品素材保持部側になんら装着することのない正面図を示す。図4Bは、本発明に係る作品携帯ホルダの作品素材保持部側になんら装着することのない側面図を示す。図4Cは、本発明に係る作品携帯ホルダを巻いたあとの構成図を示す。図5Aは、本発明に係る作品携帯ホルダの作品素材集部の正面図を示す。図5Bは、本発明に係る作品携帯ホルダの作品素材集部の背面図を示す。図5Cは、本発明に係る作品携帯ホルダの作品素材集部の側面図を示す。
【0028】
作品携帯ホルダ2は、図1に示すように全体がホルダシート4からなりその頂部に綴じカバー6が縫着される。この綴じカバー6には本例では2箇所が開口されてハトメ14、16が設けられる。ホルダシート4の一方の面の綴じカバー6よりやや下部に作品係止帯8が綴じカバー6と平行に縫着される。作品係止帯8は、クリップまたは磁石、鋲及び針と受け金を配置することによる磁石止め等で係止できるように複数個のポケット10、12が設けられる。一方、ホルダシート4の下部には面ファスナ18、20、22を複数枚、本例では3枚が縫着される。図2に半紙24を作品係止帯8にクリップ26、28で係止した状態を示す。クリップ26、28は、ポケット10、12に対応する位置に係止される。この作品携帯ホルダ2の長さLは半紙の大きさによって異なり500mm〜3000mmであり、幅Wは200mm〜1500mmである。
【0029】
次に本発明に係る作品携帯ホルダ2の作品素材集部貼付け面を図3に示す。作品携帯ホルダ2の作品係止帯8を設けた面とは反対側面には、綴じカバー6に隣接して作品素材集部34の綴じカバー32が貼付されている。作品素材集部34は、その長さが半紙24より長く、複数枚のホルダシートが綴じカバー32によって綴じられている。作品携帯ホルダ2の裏面の最下部に面ファスナ36、38、40が縫着される。これらの面ファスナ36、38、40は、面ファスナ18、20、22に対応するものである。
【0030】
この本発明に係る作品携帯ホルダ2の作品素材集部貼付け面から作品素材集部34を取り外した構成を図4Aに示す。綴じカバー6の下側に面ファスナ44、46が縫着される。この面ファスナ44、46と作品素材集部34に設けられる面ファスナ48、50(図5B)とが結着できるように構成される。これらを側面から示す図を図4Bに示す。ハトメ14、16は綴じカバー6を貫通して配置され、面ファスナ44、46が綴じカバー6の下部に作品素材集部貼付け面方向に突出する。一方、面ファスナ36、38、40は作品携帯ホルダ2の最下段に作品素材集部貼付け面方向に突出する。一方、面ファスナ18、20、22は、作品携帯ホルダ2の最下端より所定の間隔上部に表面側に突出する。収納する場合は巻き取った上で面ファスナ36、38、40と面ファスナ18、20、22とが重なるようにする。この場合、いずれか一方がフック部であり、他方がループ部となる。
【0031】
作品素材集部34は、図5Aに示すように複数のホルダシートを上端である一端部で綴じカバー32によって被覆して綴じている。綴じカバー32の裏面は図5Bに示すように綴じカバー32裏に面ファスナ48、50が縫着される。この面ファスナ48、50は、図4Aに示される作品携帯ホルダ2の綴じカバー6の下部に縫着される面ファスナ44、46と結着されるように構成される。
【0032】
次に本発明の使用方法について説明する。
【0033】
第一に携帯していた作品携帯ホルダ2を使用するために広げたとする。この際の構成は図3に示されるように、作品携帯ホルダ2に作品素材集部34が結着した状態となる。前回書いた作品を閲覧する場合は、作品素材集部34から作品を取り出す。
【0034】
第二に作品を1点作成し、作成した作品を閲覧、講評する場合を想定する。作品を作成後に未乾燥のままで閲覧講評することができる。この場合、作品が複数綴じてある作品素材集部34を作品携帯ホルダ2より外す(図4A)。
【0035】
第三に作品携帯ホルダ2を反転させると図1に示される作品係止帯8が出現する。この作品係止帯8にクリップ及び磁石、鋲および針等で作成された作品を係止した様子を図2に示す。このときに、ハトメ14、16に紐を通して例えば居室の壁に設けられるフック等に掛けることによって容易に鉛直に立てた状態で作品の閲覧が可能となる。このとき、下地であるホルダシート4を色彩の濃い紺色等のカラーとすることで作品の掲載用下敷きとして十分見栄えがするのみでなく、あたかも実際に表装したものと同様の作品が浮き上がる効果を得ることができ、さらには作品が浮き出てくる印象を閲覧者に与えることが可能となる。また、閲覧、講評が容易にできるため、作品を作成する度に他人の手を煩わせることなく一人でも閲覧が可能である。その上、閲覧を終了後に直ちに作品素材集部34に書道作品を収納することができ、書道作品を作成するための集中力を保持したまま、次の作品の作成に携わることができる。
【0036】
第四に複数の作品を書き終えて、作品を携行して移動する際は、作品素材集部34に未乾燥の状態で作品を収納することができる。さらに収納してから作品携帯ホルダ2に結着させて作品携帯ホルダ2とともに巻取ることができ容易に携帯することができる。
【0037】
この際に作品は数枚のホルダシートの間に未乾燥の状態で複数枚綴じることができる。
【0038】
ここで、ホルダシートとしては不織布を用いることが好ましい。通気性が良い一方で撥水性があり墨が不織布に付着せずに作品の乾燥が素早く進行し、重量が軽く、大きさがコンパクトに纏まり、さらに乾き皺ができ難い。
【実施例2】
【0039】
図6Aは、半紙サイズの作品携帯ホルダ60の第2実施例の正面図であって、作品携帯ホルダ60は、厚手の不織布等から構成される表紙62の上に不織布74が複数枚積層され、その一端辺で不織布74が縫着される。半紙は、複数枚の不織布74内に挿入される。不織布74を利用することで通気性がよく、撥水性も有するため、未乾燥であっても作品に染み込んでいる墨が他に付着し難い。
【0040】
表紙62は、不織布等から構成される。縫着部には、綴じカバー64が端辺全体にわたって被覆する。この綴じカバー64にさらにハトメ68、70が設けられ固定される。
【0041】
表紙62のサイズは、長さLは、380〜500mm程度、望ましくは400〜460mmであり幅Wは260mm〜500mm程度、好適には270〜350mmが望ましい。また、この表紙62の綴じカバー64に上向きに面ファスナのループ部66,72が縫着される。一方、表紙の底部に面ファスナのフック部76,78が縫着される。
【0042】
一方、図6Bは、不織布74を綴じカバー64で縫着し、さらにハトメ68、70によって綴じた側面図を示す。図6Cでは、本発明に係る作品携帯ホルダ60を面ファスナが重なるように折畳む。学校などではハトメ68、70に紐を通して書き終えた作品を未乾燥の状態で作品携帯ホルダ60に挟み机脇のフックに掛けることもできるので、狭い場所でも整理整頓が可能である。
【実施例3】
【0043】
図7は、半切サイズの作品携帯ホルダの第3実施例の正面図であって、作品を掲示する際に半切の下に作品の墨色を見やすくするために白色の下敷きを重ねて掲載可能に構成した作品携帯ホルダである。図8は半切紙25を掲示する場合の構成図であり、図9は半切紙25、白下敷き80、作品素材集部34を格納する場合の構成図である。
【0044】
ホルダシート79の上部には、端部が折り曲げられて、貫通孔が設けられてハトメ14、16が挿入される。一方、ホルダシート79の下部には面ファスナ18、20、22、裏面にも面ファスナ36,38,40が複数枚、本例では各3枚が片面に縫着される。
【0045】
ホルダシート79の上部には、ハトメ14、16に隣接して表裏にそれぞれ面ファスナ84と86とが縫着される。面ファスナ84が掲示用面ファスナであり、面ファスナ86が収納用面ファスナである。
【0046】
図8に示されるように、半切紙25を掲示する場合は、白色の白下敷き80がホルダシート79にある掲示用面ファスナ84と白下敷き80の裏面に縫着される面ファスナ85とが結着される。また、白下敷き80の頭頂部には半切紙の幅の長さに等しいマグネットクリップ82が設けられ、このマグネットクリップ82の間に半切紙25が挿入されて掲示される。
【0047】
一方、図9には収納時の構成図が示されており、白下敷き80の面ファスナ85が収納用面ファスナ86に装着される。さらに、作品素材集部34の上端部に設けられる面ファスナ91が収納用面ファスナ86に装着される。
【0048】
以上のように構成することで、第一に半切紙を掲示する場合に、白下敷きによって作品の見栄えが向上し墨色が判かるようになる。また、面ファスナが着脱可能であるために容易に掲載用と収納用ファスナの交換は任意である。
【実施例4】
【0049】
図10は、本発明に係る作品携帯ホルダの第4の実施例の構成図を示す。
【0050】
作品携帯ホルダ102は、略半紙よりも大きめの大きさの複数枚の不織布108と、その複数枚の不織布108と同等か大きめの板目紙104、112によって挿まれ、その長辺端部に不織布による背表紙106によって固定され、祭り縫い110によって縫い込まれる。不織布の枚数は2枚以上であれば1枚以上挟みこむことができるが10枚以上とすることで纏まった数の半紙を収納できる。
【0051】
作品携帯ホルダ102は、例えば携帯用バッグ等で持ち運びが可能である。
【0052】
不織布108の内部に書き終えた墨汁で濡れた状態の半紙を挿入すると、不織布108が通気性を有するので半紙内の水分が乾燥し易い。
【0053】
また、不織布は通気性を有するので他の作品に触れることなく乾燥させることができる。
【0054】
さらに、作品携帯ホルダは不織布10と板目紙104、112から構成されるため重量が軽く、携帯に最適である。更に汚れた場合は、洗濯も可能であり、清潔性を維持することができる。
【0055】
そのうえ、略半紙よりも大きめの大きさの複数枚の不織布の間に挟みこむため、半紙等に皺などつけることなく平坦な状態で保管することができる。
【0056】
以上本発明の好適な実施例1、実施例2、実施例3並びに実施例4について説明をしたが、本発明は前記実施例に限定されることなく、その精神を逸脱しない範囲内において多くの設計変更が可能である。例えば、ホルダシートとして不織布を採用したが、不織布に限定されるものではなく、通気性を有する素材であれば、フェルトと、麻布と、網目状布、ポリエステル製網、目の細かいレース布、また、その他の天然素材として植物性素材であるケナフ、バナナ、竹等の素材、さらに金属を利用した素材としてステンレス、ニッケル等、さらに炭素素材、さらに再生素材としてPETボトルを再生したPET素材等の通気性を有する素材を選択することができる。
【0057】
また、不織布を採用した場合、本実施例では縫着させているが、超音波を発生させる超音波ホーンを溶着部の両側に配位させて溶着させても接合できる。また、粘着テープや接着剤また、ホチキスで固定することもできる。更には、熱可塑性樹脂を塗布して加熱融着させることもできる。
【0058】
その他にもホルダシートとしては紙類又は、プラスチック樹脂が利用可能である。紙類として、例えば、ボール紙、厚紙も使用可能であるが、好ましくは板目紙がよい。プラスチック樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、低発泡性ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等を採用することもできる。また、フェルト地等の書道用の下敷きを利用することもできる。また、合成皮革等の使用も十分その対象となる。フェルト等を利用する場合は、特に表紙部のみをフェルトとすることで最外部のみをフェルトとすることが好ましく、また、このフェルトを下敷きとして使用することも可能である。
【0059】
さらに、収納する作品として仮名用、漢字用、また南画等の水墨画用を含めて、半紙、半切、全紙、色紙、連落、画仙紙、条巾紙、2×6尺紙、尺八紙等その形状の変更により書道作品または水墨画作品や版画作品等収納可能なものはいろいろ考えられる。
【0060】
なお、本発明に係るホルダに、1mm〜3mm程度のフェルトの下敷を巻き込みフェルトの下敷とホルダの双方に面ファスナを縫着して着脱自在に結合したり、そのまま巻回したりする。このように構成することで、書道用具を携行して移動する際に携行品数を削減することができる。
【0061】
また、作品携帯ホルダの一方の面に作品係止帯を付着させる代わりに所定の長さの紐を複数本縫着し、その紐の縫着側とは反対の端部にクリップや磁石等の保持具を配置する。この保持具によって作品を掲示することができる。
【0062】
さらに、白下敷について紙を挟む方法として、マグネットクリップ82を提案したが、マグネットクリップに限定されるものではなく、紐、面ファスナ、バネクリップ、ピン、留め金、その他のバインダまたは綴じ具等の部品で固定することは設計変更の範囲内である。
【0063】
さらに、実施例4では板目紙を表紙としたが、例えば不織布より可撓性を有するポリプロピレン製の表紙部を設けてもよい。また、不織布の縫着方法として祭り縫いを例としたが、溶融圧着やホチキス止め、接着剤等によって固定することも当然に設計変更の範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
長形の作品携帯ホルダの表面に作品の一端を係止する作品係止帯を取付け、前記作品携帯ホルダの裏面には作品素材保持部を設け、素材を積層して一端部が互いに縫着部と接着材により接合される複数の作品素材集部の接合部を前記作品素材保持部に着脱可能に貼付することで、毛筆でしたためられて未だ墨汁で濡れた状態の作品を鉛直に懸吊して壁や床等の周囲を汚損することなく閲覧、講評でき、さらに、乾燥させながらコンパクトに複数枚収納できる携帯型書道作品携帯ホルダとして、日本古来の教えとして見直されつつある学校書道教育の授業や、一般の書道教室の生徒、さらには愛好家、そして書家に至るまで、半紙程度の小型の作品から全紙の2倍程度の大型の書道作品の書いた直後からの収納や整理、さらに搬送と保管に大いに役立つものである。しかも、移動時に不織布等を使用することで軽く嵩張らずに携帯が可能な上に、作品作成後に直ちに壁や床等の周囲を汚損することなく掲載等を行なうことができる。
【0065】
さらに、面ファスナのような取り外し可能な固定具で固定した場合には、いずれも積層された不織布はホルダから取り外しが自在であるため、省スペースが図れ、且つ状況に応じて使い分けることができる。しかも、不織布の枚数は綴じカバーで綴じられた枚数に限定されること無く1枚から追加することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施例に係る作品携帯ホルダの作品係止帯側の正面図である。
【図2】本発明の第1の実施例に作品係止帯側に半紙を装着した正面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に作品携帯ホルダにおける作品素材保持部側に作品素材集部を装着した正面図である。
【図4A】本発明の第1の実施例に作品携帯ホルダの作品素材保持部側になんら装着することのない正面図である。
【図4B】本発明の第1の実施例に作品携帯ホルダの作品素材保持部側になんら装着することのない側面図である。
【図4C】本発明の第1の実施例に作品携帯ホルダを巻回してコンパクトにした構成図である。
【図5A】本発明の第1の実施例に係る作品携帯ホルダの作品素材集部の正面図である。
【図5B】本発明の第1の実施例に係る作品携帯ホルダの作品素材集部の背面図である。
【図5C】本発明の第1の実施例に係る作品携帯ホルダの作品素材集部の側面図である。
【図6A】本発明の第2の実施例に係る作品携帯ホルダ正面図である。
【図6B】本発明に第2に係る作品携帯ホルダの背面図である。
【図6C】本発明に第2に係る作品携帯ホルダを閉じた場合の構成図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係る作品携帯ホルダ正面図である。
【図8】本発明に第3の実施例に係る作品携帯ホルダの掲示する際の構成図である。
【図9】本発明に第3の実施例に係る作品携帯ホルダを収納する際の構成図である。
【図10】本発明に第4の実施例に係る作品携帯ホルダを収納する際の構成図である。
【符号の説明】
【0067】
2 作品携帯ホルダ
4 ホルダシート
6 綴じカバー
8 作品係止帯
10、12 ポケット
14、16 ハトメ
18、20、22 面ファスナ
24 半紙
25 半切紙
26 クリップ
32 綴じカバー
34 作品素材集部
36、38、40 面ファスナ
44、46 面ファスナ
48、50 面ファスナ
79 ホルダシート
82 マグネットクリップ
80 白下敷き
84、86 面ファスナ
85 面ファスナ
88 作品素材集部
91 面ファスナ
100 携帯用バッグ
102 作品携帯ホルダ
104、112 板目紙
106 背表紙
108 不織布
110 祭り縫い
114 本体
116と118 細辺
122、124 取手
120 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有して湿気を有する作品よりも大きく湿気を発散させる通気性シートと、前記湿気を有する作品と前記通気性シートとを交互に積層させてその端部を固着させる固着部と、前記通気性シートの少なくとも一方に少なくとも前記通気性シート相当の大きさから構成される保護カバーとからなり、湿気を有する作品を乾燥させながら作品を携帯保持することのできる作品携帯ホルダ。
【請求項2】
長形の作品携帯ホルダの表面に作品の一端を係止する作品係止帯を取付け、前記作品携帯ホルダの裏面には作品素材保持部を設け、素材を積層して一端部が互いに縫着部と接着材により接合される複数の作品素材集部の接合部を前記作品素材保持部に着脱可能に貼付することを特徴とする請求項1記載の作品携帯ホルダ。
【請求項3】
作品素材の接合部を前記素材保持帯に面ファスナで着脱可能に貼付することを特徴とする請求項2記載の作品携帯ホルダ。
【請求項4】
作品携帯ホルダの一端部にリング金具から構成される掲示用紐固定部を設けることを特徴とする請求項2記載の作品携帯ホルダ。
【請求項5】
作品携帯ホルダの下端部の作品係止部側と、作品携帯ホルダの裏面に面ファスナを設けて収納時に固定できるよう配置したことを特徴とする請求項2記載の作品携帯ホルダ。
【請求項6】
作品の端部を挟みこんで固定する挟みこみ部と、前記挟みこみ部を一端に備えた下敷部とを備えて、前記下敷部に設けられた第二接続部によって作品携帯ホルダ表面に結着自在に結合することで作品の掲示が可能な請求項2記載の作品携帯ホルダ。
【請求項7】
前記第二接続部は、下敷部の裏面に設けられる面ファスナと作品携帯ホルダ側に設けられる面ファスナとを結着させることを特徴とする請求項6記載の作品携帯ホルダ。
【請求項8】
素材が不織布で構成されることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の作品携帯ホルダ。
【請求項9】
保護カバーは前記複数の通気性シートを内側に綴じ込む2枚の樹脂から構成されることを特徴とする請求項1に記載の作品携帯ホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−22074(P2007−22074A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164549(P2006−164549)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(503300731)
【Fターム(参考)】