説明

作業前後写真照合システム

【課題】作業前後の作業現場の同一性を高い精度で照合することが可能な作業前後写真照合システムを提供する。
【解決手段】作業前後写真照合システム1の事務側装置30は、撮影端末10により撮影された作業現場の写真の画像データを読み取る写真読取部302と、写真読取部302により読み取られた作業前後の写真の画像データの特徴点を解析する特徴点解析手段361と、写真における位置情報と、外部から入力された前記作業現場のスケッチデータに付随するテキストデータと、を関連付けた関連付けデータを作成する関連付け手段362と、特徴点解析手段361による解析結果と、前記関連付けデータとに基づいて、作業前後の作業現場の同一性を照合する同一性照合手段311とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業前後の作業現場の写真の同一性を確認するための作業前後写真照合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電所等の電力設備が設けられているプラントでは、電気設備の定期点検作業が行われている。この定期点検は、電気設備に接続されているケーブルを外して行われるが(以下、ケーブルを外すことを「解線」ともいう)、定期点検作業が終了した後には、解線したケーブルを再び結線して、解線前の状態に戻す作業を行っている(以下、解線前の状態に戻すことを「復旧」ともいう)。
【0003】
作業前後のケーブルの結線状態が同一であることを確認するために、従来においては、作業者は作業前後のケーブルの写真を撮影したり、作業前後のケーブルの結線状態をスケッチしてそのスケッチにケーブル番号や機器番号を記入したりしていた。そして、チェック担当者が、これらの写真とスケッチを比較することにより、作業前後の結線状態の同一性を確認したり、チェック結果やケーブル番号等をチェックシートに記入していた。
この作業前後の同一性の確認作業は、ヒューマンエラーを防止するために、何重もの確認が行われており、時間や人手がかかる作業となっていた。
【0004】
ケーブルの接続状態を判定するシステムとして、特許文献1には、端子及びケーブルにタグを取りつけて、端子及びケーブルの接続時に、前記タグから読み取ったIDと、予めデータベースに記憶しておいた端子とケーブルとの接続情報と、ケーブルの部品情報と、に基づいて、端子とケーブルの接続状態の合否を判定するシステムが開示されている。
また、特許文献2には、撮影したデジタル画像をCAD図面に変換するCAD図面作成支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−241829号公報
【特許文献2】特開2001−101430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載のシステムでは、作業前後の作業現場におけるケーブル結線等の同一性を判断することはできない。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、作業前後の作業現場の同一性を高い精度で照合することが可能な作業前後写真照合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る作業前後写真照合システムは、撮影手段により撮影された作業現場の写真の画像データを読み取る写真読取手段と、前記写真読取手段により読み取られた作業前後の写真の画像データの特徴点を解析する特徴点解析手段と、前記写真における位置情報と、外部から入力された前記作業現場のスケッチデータに付随するテキストデータと、を関連付けた関連付けデータを作成する関連付け手段と、前記特徴点解析手段による解析結果と、前記関連付け手段により関連付けされた関連付けデータとに基づいて、作業前後の前記作業現場の同一性を照合する同一性照合手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、作業前後写真照合システムは、同一性照合手段により、特徴点解析手段による解析結果と、関連付け手段により関連付けされた関連付けデータとに基づいて、作業前後の前記作業現場の同一性を照合するため、作業前後の作業現場の同一性を高い精度で照合して同一性を判定することができ、ヒューマンエラーをなくし、作業員の負担を軽減することができる。
【0009】
上記発明において、前記特徴点解析手段は、作業前後の前記写真の画像データそれぞれの特徴点をカウントし、作業前後の前記写真の画像データの特徴点の数の比率を算出し、該算出された比率から作業前後の前記写真の画像データの類似度を判定することを特徴とする。
本発明によれば、作業前後の写真の画像データの特徴点の数の比率によって、作業前後の写真の画像データの類似度を判定することができる。
【0010】
上記発明において、前記同一性照合手段は、前記特徴点解析手段により算出された類似度と、前記関連付け手段により作成された前記関連付けデータの作業前後での一致度とに基づいて、作業前後の前記作業現場の同一性を判定することを特徴とする。
本発明によれば、作業前後の作業現場の同一性を高い精度で判定することができる。
【0011】
上記発明において、作業前後の前記写真の画像データそれぞれに含まれる文字データを解析し、作業前後の前記写真の画像データに含まれる文字データの一致度を判定する文字照合手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、文字照合手段により文字データの一致度を確認することにより、作業前後の写真が同一の対象物を撮影した写真であることを確認することができ、正確性を高めることができる。
【0013】
上記発明において、前記画像データに含まれる文字データは、ラベルに記載された、機器を識別する識別情報であることを特徴とする。
本発明によれば、機器を識別する識別情報の一致度を確認することにより、作業前後の写真が同一の対象物を撮影した写真であることを確認することができ、正確性を高めることができる。
【0014】
上記発明において、前記同一性照合手段により判定された同一性の度合いが所定値以上の場合、作業報告用の書類データを作成する書類作成手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、前記同一性照合手段により判定された同一性の度合いが所定値以上の場合、作業報告用の書類データを作成するため、作業者は作業報告の作業が容易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作業前後写真照合システムは、同一性照合手段により、前記特徴点解析手段による解析結果と、関連付け手段により関連付けされた関連付けデータとに基づいて、作業前後の作業現場の同一性を照合するため、作業前後の前記作業現場の同一性を高い精度で照合することができ、ヒューマンエラーをなくし、作業員の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る作業前後写真照合システム全体の機能構成を示すブロック図である。
【図2】撮影端末により撮影された作業現場の写真の一例を示す図である。
【図3】スケッチ描画部により描かれて作業入力端末のディスプレイに表示されるスケッチの一例を示す図である。
【図4】関連付けデータの一例を示す図である。
【図5】作業前後の写真照合の手順を示すフローチャートである。
【図6】特徴点解析処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】作業入力端末と事務側装置に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る作業前後写真照合システム1全体の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、作業前後写真照合システム1は、作業前後の作業現場のケーブル等を撮影する撮影端末10と、作業現場のスケッチを描いたり作業確認の入力をするためのタブレット型の作業入力端末20と、撮影端末10及び作業入力端末20から受信したデータに基づいて作業前後の作業現場の写真の照合を行う事務側装置30と、チェックシート等の作業報告書類を出力する書類出力端末40と、を備えており、これらは有線又は無線により電気的に接続されている。
【0019】
撮影端末10は、カメラ12等の撮影手段を備えた移動通信端末である。撮影端末10は、カメラ12で作業前後の作業現場の写真を撮影し、撮影した写真の画像データを事務側装置30に送信する。本実施形態では、作業前の作業現場の写真として、解線前のケーブルの写真を撮影し、作業後の作業現場の写真として、解線して作業が終了した後に再度結線した(つまり、復旧した)ケーブルの写真を撮影するものとする。図2には、撮影端末10により撮影された作業現場の写真の一例を示す。同図に示すように、写真には、ブレーカーと、当該ブレーカーの両側面に設けられた3つの端子(不図示)にそれぞれ接続された6本のケーブルと、作業ラベルとが示されている。作業ラベルには、解線・復旧の別と、ケーブルが結線されている機器の機器番号と、機器名と、撮影日とが記入されている。
【0020】
作業入力端末20は、タブレット型の情報通信端末であり、スケッチ描画部22と、入力部24と、読取部26とを備えている。作業入力端末20には、例えば図7に示す画面が表示される。
【0021】
スケッチ描画部22は、作業者によるペン操作や、図7に示す画面の左側に表示されたアイコンの選択操作に基づいて、作業現場のスケッチを描画し、当該スケッチを画面上に表示する。また、スケッチ描画部22は、作業者による文字の入力操作に基づいて、スケッチが表示された画像上の指定された位置に、ケーブルの色、番号等の文字を表示する。
【0022】
図3には、スケッチ描画部22により描かれて作業入力端末20のディスプレイに表示されるスケッチの一例を示す。このスケッチにおいては、ブレーカーが四角形で表され、6本のケーブルが6本の直線で表されている。ブレーカーを表す四角形の近傍には、当該ブレーカーの製品番号「NS001T」の文字が表示されている。また、6本のケーブルを表す6本の直線それぞれの近傍には、各ケーブルを覆う被覆材の色「クロ」、「シロ」、「アカ」の文字が表示されている。ブレーカーの一方の側面に設けられた3つの端子(不図示)に接続される3本のケーブルの近傍には、これらのケーブルの識別番号「2AT002」の文字が表示されており、他方の側面に設けられた3つの端子(不図示)に接続される3本のケーブルの近傍には、これらのケーブルの識別番号「2BT002」の文字が表示されている。
【0023】
図1に示す作業入力端末20の入力部24は、スケッチ描画部22により描画されたスケッチの画像データを表すスケッチデータ及びスケッチに記入されたテキストデータを事務側装置30に出力する。読取部26は、事務側装置30に保存されているデータを読み取る。
【0024】
事務側装置30は、例えばパーソナルコンピュータであり、ハードウェア構成として、図示せぬCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム及びデータ等のソフトウェアが記憶されているメモリやハードディスク等の記憶装置と、外部装置との通信を制御する通信インターフェースと、キーボードやポインティングデバイス、プリンター等との入出力を制御する入出力インターフェースと、を備えている。上記CPUが記憶装置に記憶されているプログラムに従って処理を実行することにより、図1に示す写真読取部302、画像処理部306、データ読取部308、画像比較部310、手動比較部312及び書類作成部314の機能が事務側装置30に実現される。
【0025】
写真読取部302は、撮影端末10から送信されてきた作業現場の写真の画像データを読み取る。
画像処理部306は、特徴点解析手段361と、関連付け手段362と、文字照合手段363とを備えている。
【0026】
特徴点解析手段361は、写真の画像データの特徴点を解析する。具体的には、特徴点解析手段361は、作業前の写真の画像データの特徴点と、作業後の写真の画像データの特徴点とをそれぞれカウントし、作業前後の写真(本実施形態では、作業前の写真を「解線写真」といい、作業後の写真を「復旧写真」という)の画像データの特徴点の数の比率を算出する。
【0027】
ここで、本実施形態における特徴点とは、画像データを構成する画素のうち、隣り合う画素間で色が所定の閾値以上変化する位置をいう。色は、コンピュータ上においてRBGモデル又はHSVモデルで表すことができる。RBGモデルは、3原色(赤、緑、青)を混合して色を再現する方法である。HSVモデルは、色を色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)の3つの色空間の組み合わせで表す方法である。本実施形態では、特徴点解析手段361は、HSVモデルにより各画素の色を3つの色空間に分解し、隣り合う画素間の色相の差が所定の閾値以上である場合に、当該隣り合う画素のうち一方の画素を特徴点として抽出する。そして、当該抽出した特徴点の数をカウントして、作業前後での特徴点の数の比率を計算する。当該比率が1に近いほど、作業前後での特徴点の数が同じであることを意味し、作業前後のケーブルの輪郭や端点が同じ、すなわちケーブルの結線状態が同じであることを意味する。なお、作業前後での特徴点の数の比率に限らず、作業前後での特徴点の数の差をとってもよい。特徴点の数の差をとる場合には、差が小さいほど作業前後での特徴点の数が同じであることを意味することとなる。
また、特徴点は、色相の変化に限らず、彩度の差、明度の差、3原色の混合比率の変化等を基準として抽出してもよい。
【0028】
関連付け手段362は、写真上の位置を表す位置情報と、当該写真の位置に対応する、スケッチデータに付随するテキストデータと、を関連付けた関連付けデータを作成する。
図4には、関連付けデータの一例を示す。例えば、撮影端末10で図2に示す写真が撮影され、作業入力端末20で図3に示すスケッチが描かれ、これらの写真及びスケッチが事務側装置30に表示されている場合、操作者が、当該写真のケーブルの画像と当該スケッチに記入された当該ケーブルの色を示す文字とをそれぞれ、事務側装置30に接続されたポインティングデバイス等を用いて指定することで、関連付け手段362は図4に示すような関連付けデータを生成する。
【0029】
文字照合手段363は、作業前後の写真の画像データそれぞれに含まれる文字データを解析し、作業前後の写真の画像データに含まれる文字データの一致度を判定する。具体的には、文字照合手段363は、撮影された写真の画像データを2値化し、当該2値化した画像データを所定の領域毎に区分して順次文字認識を行う。この文字認識の処理を作業前後の写真の画像データそれぞれについて行い、作業前後の文字の一致度を判定する。
【0030】
本実施形態では、作業現場を撮影する際に、図2に示すように文字が記入された作業ラベルも撮影される。したがって、特徴点に基づく類似度の判定処理を行う前に、文字照合手段363により作業前後の写真の作業ラベルに記入された機器名が一致することや、解線と復旧の何れに丸印が付けられているかを確認することで、作業前後の同一の機器とケーブルを撮影した写真であることを確認することができ、その後の類似度の判定処理を正しく行うことができる。
【0031】
データ読取部308は、データ保存管理部304からデータを読み取る。
画像比較部310の同一性照合手段311は、特徴点解析手段361により算出された類似度と、関連付け手段362により作成された関連付けデータの作業前後での一致度とに基づいて、作業前後の作業現場の同一性を照合する。
【0032】
手動比較部312は、同一性照合手段311による照合結果では、作業前後の写真の画像データが同一であると判定できなかった場合に、作業前後の写真を事務側装置30のディスプレイに表示し、チェック担当者に作業前後の写真が同一であるか否かの入力をさせる。
【0033】
書類作成部314は、同一性照合手段311により判定された同一性の度合いが所定の閾値以上の場合、データ保存管理部304に記憶されているデータに基づいて、作業報告書類作成用の書類データを作成する。作業報告書類作成用の書類データとしては、作業前後に撮影した写真の画像データと、作業前後のスケッチデータと、作業入力端末20から入力された機器番号、ケーブル番号、ケーブルの色、端子番号、確認項目チェック等が反映されたチェックリストとが存在する。
【0034】
データ保存管理部304は、ハードディスク等の記憶装置で構成され、撮影端末10で撮影した写真の画像データ、作業入力端末20から入力されたスケッチデータ、テキストデータ、確認項目のデータ等を記憶する。
【0035】
書類出力端末40はプリンター42を備えており、事務側装置30の書類作成部314から書類データを受信した場合、当該書類データに基づいて作業報告書類を印刷する。
【0036】
次に、図5及び図6に示すフローチャートに基づいて、作業前後写真照合システム1が行う作業前後の写真照合の手順を説明する。
まず、作業員は、作業入力端末20に図7に示す画面を表示し、解線前のケーブルと当該ケーブルが結線されている機器をスケッチするとともに、ケーブルの色、ケーブル番号、端子番号、機器番号等をスケッチ上に記入する。また、作業者は、解線時の確認を行い、画面の上部に表示された確認項目番号をチェックする。そして、作業員は、作業入力端末20を操作してデータ送信の指示を行う。これにより、作業入力端末20の入力部24は、スケッチ描画部22により描画された作業現場のスケッチデータ及び当該スケッチデータに付随するテキストデータを事務側装置30に送信する(図5のステップS101)。
【0037】
また、作業者は、撮影端末10を操作して、カメラ12で解線前のケーブルを撮影する指示を行う。これにより、撮影端末10はカメラ12でケーブルを撮影し、解線前写真の画像データを生成する。そして、作業者は、撮影した写真を事務側装置30に送信する操作を行う。これにより、撮影端末10は、撮影された写真の画像データを事務側装置30に送信する(ステップS102)。
【0038】
次に、作業員はケーブルの解線を行い、機器を交換する等の作業を行う。作業が終了した後に、作業員はケーブルの結線を行って解線前の状態に復旧させる。復旧後においても作業者はケーブルの解線前と同様に、ステップS101において現場スケッチを記入し、ステップS102において復旧写真を撮影する。
【0039】
次に、事務側装置30の操作者は、作業前後の照合作業を行うために、図7に示す画面を事務側装置30に表示する。操作者が画面上部に表示されている「写真読込」ボタンと「スケッチ読込」ボタンをクリックすると、同画面には、解線写真と、復旧写真と、現場スケッチとが表示される。操作者は、画面左側の「関係指定」ボタンをクリックした後に、「写真選択」ボタンをクリックして、解線写真と復旧写真の何れを表示するかを選択する。そして、作業者は、画面上部の「関係付け」をクリックした後、写真に表示されている関係付け対象のケーブルの画像と、現場スケッチに記入されている当該ケーブルの色を示すテキストデータをクリックする。これにより、画像処理部306の関係付け手段362は、図4に示すような、写真上のクリックされた位置を示す座標及び位置番号と、クリックされたテキストデータと、を関連付ける関連付けデータを作成し、当該関連付けデータをデータ保存管理部304に記憶する(ステップS103)。
【0040】
次に、文字照合手段363は、作業前後の写真の画像データ中の作業ラベルに記入されている文字の文字認識を行い(ステップS104)、認識した文字を比較する(ステップS105)。ここでは、作業前後の作業ラベルに記入されている機器名が一致しており、かつ、解線写真中の作業ラベルに予め印刷された「解線」に丸印が記入されており、復旧写真中の作業ラベルに予め印刷された「復旧」に丸印が記入されている場合に、文字照合手段363は解線写真と復旧写真は同じ機器及びケーブルを撮影した写真であると判定する。
【0041】
次に、画像処理部306の特徴点解析手段361は、図6に示す特徴点解析処理を行う(ステップS106)。具体的には、特徴点解析手段361は、図6に示すように、データ保存管理部304から解線写真の画像データを読み込み(ステップS201)、当該画像データからチェック領域を選択し(ステップS202)、当該チェック領域の画素を解析して特徴点を抽出し(ステップS203)、抽出した特徴点をカウントする(ステップS204)。
【0042】
復旧写真についても同様に、特徴点解析手段361は、データ保存管理部304から復旧写真の画像データを読み込み(ステップS205)、解線前写真に対応するチェック領域を選択し(ステップS206)、当該チェック領域の画素を解析して特徴点を抽出し(ステップS207)、抽出した特徴点をカウントする(ステップS209)。
【0043】
次に、特徴点解析手段361は、ステップS204及びステップS209でカウントした特徴点の比率を算出する(ステップS210)。そして、特徴点解析手段361は、算出した特徴点の比率に基づいて類似度を算出する(ステップS211)。例えば、特徴点の比率が0.8以上1.2未満の場合には類似度が大と判定し、特徴点の比率が0.6以上0.8未満の場合又は1.2以上1.4未満の場合には類似度が中と判定し、それ以外の場合は類似度が小と判定する。
【0044】
次に、画像比較部310の同一性照合手段311は、特徴点解析手段361により算出された類似度と、関連付け手段362により作成された関連付けデータの作業前後での一致度とに基づいて、作業前後の作業現場のケーブル結線の同一性を判定する(図5のステップS107)。例えば、同一性照合手段311は、特徴点解析手段361により算出された類似度が大、かつ、関連付けデータが作業前後で全て一致している場合には、同一であると判定する。また、同一性照合手段311は、類似度が中又は小であっても、関連付けデータが作業前後で全て一致している場合には、同一であると判定する。上記以外の場合は同一でないと判定する。
【0045】
ステップS108で同一であると判定された場合は(ステップS108のYes)、ステップS110に進む。一方、ステップS108で同一でないと判定された場合は(ステップS108のNo)、同一性照合手段311は、作業前後の写真(解線写真、復旧写真)と、作業前後の写真が同一であるか否かを選択させるチェック欄と、をディスプレイに表示する(ステップS109)。操作者は、表示された作業前後の写真を比較して、ケーブルの結線状態が同一であるか否かを判定する。操作者が作業前後のケーブルの結線状態が同一であると判定し、同一であることを示すチェック入力をした場合に、ステップS110に進む。
【0046】
ステップS110では、データ読取部308は、データ保存管理部304から、作業前後の写真の画像データ、作業前後のスケッチデータ、スケッチ上に記入された機器番号・ケーブル番号・端子番号、チェック入力された確認項目番号等を読み取る。書類作成部314は、これらのデータに基づいて、作業前後に撮影した写真、作業前後のスケッチ、機器番号・ケーブル番号・端子番号・確認項目のチェック等が反映されたチェックリスト等の作業報告書類を印刷するための書類データを作成する(ステップS111)。書類作成部314は書類出力端末40に書類データを送信し、書類出力端末40のプリンター42は書類データに基づいて作業報告書類を印刷する(ステップS112)。また、書類作成部314は、作成した書類データをデータ保存管理部304に記憶する。
【0047】
以上説明したように、特徴点の解析結果のみならず、写真とスケッチに記入したテキストデータとを対応付けた関連付けデータに基づいて、作業前後の作業現場のケーブル結線の同一性を照合するため、撮影した写真が不鮮明であって特徴点の解析により判定した類似度が小さい場合にも、高い精度で同一性を判定することが可能となる。
【0048】
なお、上述した実施形態では、作業前後のケーブル結線の同一性を照合するとして説明したが、ケーブル結線に限定されることはなく、作業現場の他の機器や部品の配置や結線の同一性を照合することもできる。
【0049】
また、上述した実施形態における作業前後写真照合システム1の装置構成は一例に過ぎず、例えば事務側装置30が備える図1に示す機能が複数の装置に分散して配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1………作業前後写真照合システム、10………撮影端末、12………カメラ、20………作業入力端末、22………スケッチ描画部、24………入力部、26………読取部、30………事務側装置、40………書類出力端末、42………プリンター、302………写真読取部、304………データ保存管理部、306………画像処理部、308………データ読取部、310………画像比較部、311………同一性照合手段、312………手動比較部、314………書類作成部、361………特徴点解析手段、362………関連付け手段、363………文字照合手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段により撮影された作業現場の写真の画像データを読み取る写真読取手段と、
前記写真読取手段により読み取られた作業前後の写真の画像データの特徴点を解析する特徴点解析手段と、
前記写真における位置情報と、外部から入力された前記作業現場のスケッチデータに付随するテキストデータと、を関連付けた関連付けデータを作成する関連付け手段と、
前記特徴点解析手段による解析結果と、前記関連付け手段により関連付けされた関連付けデータとに基づいて、作業前後の前記作業現場の同一性を照合する同一性照合手段と
を備えたことを特徴とする作業前後写真照合システム。
【請求項2】
前記特徴点解析手段は、作業前後の前記写真の画像データそれぞれの特徴点をカウントし、作業前後の前記写真の画像データの特徴点の数の比率を算出し、該算出された比率から作業前後の前記写真の画像データの類似度を判定することを特徴とする請求項1に記載の作業前後写真照合システム。
【請求項3】
前記同一性照合手段は、前記特徴点解析手段により算出された類似度と、前記関連付け手段により作成された前記関連付けデータの作業前後での一致度とに基づいて、作業前後の前記作業現場の同一性を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業前後写真照合システム。
【請求項4】
作業前後の前記写真の画像データそれぞれに含まれる文字データを解析し、作業前後の前記写真の画像データに含まれる文字データの一致度を判定する文字照合手段を備えたことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の作業前後写真照合システム。
【請求項5】
前記画像データに含まれる文字データは、ラベルに記載された、機器を識別する識別情報であることを特徴とする請求項4に記載の作業前後写真照合システム。
【請求項6】
前記同一性照合手段により判定された同一性の度合いが所定の閾値以上の場合、作業報告用の書類データを作成する書類作成手段を備えたことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の作業前後写真照合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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