説明

作業台車及び紡績機

【課題】作業台車の着脱作業を容易に行うことができると共にスペースの有効利用が可能な作業台車、及び、紡績機を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の紡績ユニット2間を上レール41a及び下レール41bに沿って移動可能な糸継台車3であって、上レール41aに当接する上側ガイドローラ対350と、上側ガイドローラ対350を、上レール41aに当接する当接位置、及び、上レール41aから離間する離間位置に切り替える可倒ブラケット360と、可倒ブラケット360が取り付けられ、レール41a,41bに沿って移動する筐体300と、を備える。可倒ブラケット360によって上側ガイドローラ対350の位置を切り替えることで、レール41a,41bに対する糸継台車3の着脱が容易となる。また、任意の位置で糸継台車3の着脱ができ、上レール41aの端部などに糸継台車3の着脱用のスペースが不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業台車及び紡績機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1には、複数の紡績ユニットと、複数の紡績ユニット間を移動して糸継作業を行う作業台車と、を備えた紡績機が記載されている。この紡績機には、紡績ユニットの並び方向に沿ってレールが設置され、作業台車のフレームには、レールに噛み合うガイドローラが設けられている。作業台車に設けられたガイドローラをレールに噛み合わせることで、作業台車がレールに沿って移動する。作業台車をレールから取り外す場合、作業台車をレールの延在方向の端部まで移動させ、レールの端部から作業台車を取り外していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−77577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された紡績機では、作業台車をレールから取り外す場合には作業台車をレールの端部まで移動させる必要がある。また、作業台車をレールに取り付ける場合にはレールの端部から作業台車をレールに取り付ける必要がある。このように、作業台車のレールへの着脱作業が容易とは言い難い。また、作業台車を着脱するためのスペースを紡績機の端部に設けておく必要があり、スペースを有効利用できているとは言い難かった。そこで、本発明は、作業台車の着脱作業を容易に行うことができると共にスペースの有効利用が可能な作業台車、及び、紡績機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る作業台車は、複数の処理ユニット間をレールに沿って移動可能である。この作業台車は、レールに当接するガイドと、ガイドを、レールに当接する当接位置、及び、レールから離間する離間位置に切り替えるガイド切替部と、ガイド切替部が取り付けられ、レールに沿って移動する本体部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この作業台車では、レールに当接するガイドが、レールに当接する当接位置と、レールから離間する離間位置とに切り替えられる。ガイドを離間位置に切り替えることでガイドがレールから離間するため、作業台車をレールから容易に取り外すことができる。また、ガイドが離間位置にある状態で作業台車をレールへの取り付け位置に搬入し、ガイドを当接位置に切り替えることにより、作業台車のレールへの取り付けが容易となる。レール上の任意の場所で作業台車の着脱を行うことができるので、レールの端部位置に作業台車の着脱のためのスペースを設けておく必要がなく、スペースの有効利用が可能となる。
【0007】
ガイド切替部は、ガイドを可倒させることによりガイドを当接位置と離間位置とに切り替えることが好ましい。この構成によれば、ガイドを可倒させることにより、当接位置と離間位置とにガイドが切り替えられる。このように、ガイドの位置の切り替えを容易に行うことができる。
【0008】
ガイド切替部は、ガイドを本体部の移動方向に略平行な方向に沿って回動させることが好ましい。この構成によれば、本体部の移動方向に略平行な方向に沿ってガイドが回動される。これにより、ガイドがレールに干渉してガイドの切り替えが阻害されるといったことがなく、ガイドの位置の切り替えを容易に行うことができる。
【0009】
作業台車は、ガイド切替部を当接位置で固定する固定部材を更に備えることが好ましい。この構成によれば、固定部材によって、ガイドが当接位置で固定される。これにより、固定部材によってガイドの位置を当接位置で容易に固定することができる。
【0010】
作業台車は、レールに設けられた被検出ポイントを検出する検出センサと、検出センサを、被検出ポイントを検出する検出位置、及び、レールから離間する離間位置に切り替えるセンサ切替部と、を更に備えることが好ましい。この構成によれば、センサ切替部によって、検出センサの位置が切り替えられる。これにより、検出センサが設けられている場合であっても、この検出センサの位置を切り替えることで、作業台車の着脱作業時に検出センサがレールに干渉することがなくなり、作業台車の着脱作業を容易に行うことができる。
【0011】
作業台車は、レールに設けられた被検出ポイントを検出する検出センサを更に備える。ガイド切替部は、ガイドの位置の切り替えと共に検出センサを、被検出ポイントを検出する検出位置、及び、レールから離間する離間位置に切り替えることが好ましい。この構成によれば、ガイド切替部によって、検出センサの位置が切り替えられる。これにより、検出センサが設けられている場合であっても、この検出センサの位置をガイドと共に切り替えることで、作業台車の着脱作業時に検出センサがレールに干渉することがなくなり、作業台車の着脱作業を容易に行うことができる。
【0012】
ガイドは、本体部の上方に設けられたレール、又は、本体部の下方に設けられたレールのいずれか一方に当接することが好ましい。この構成によれば、作業台車の本体部の上方に設けられたレール、又は、作業台車の本体部の下方に設けられたレール、に当接するガイドの位置を、ガイド切替部によって切り替えることができる。
【0013】
ガイドは、本体部の上方に設けられたレールに当接する上部ガイドと、本体部の下方に設けられたレールに当接する下部ガイドと、より構成されていることが好ましい。この構成によれば、作業台車の本体部の上方に設けられたレールに上部ガイドが当接し、本体部の下方に設けられたレールに下部ガイドが当接する。また、これらの上部ガイドと下部ガイドは、ガイド切替部によって、当接位置と離間位置とにそれぞれ切り替えられる。このように、上部ガイド及び下部ガイドを離間位置に切り替えることで、作業台車をレールから取り外すことができる。また、下部ガイドを離間位置に切り替えることで、下部ガイドがレールに干渉することがなくなり、作業台車を僅かに持ち上げるだけで作業台車をレールから容易に取り外すことができる。
【0014】
ガイドは、レールを挟み込む一対のローラであることが好ましい。この構成によれば、ガイドを一対のローラによって構成することで、レールに沿って作業台車をがたつきなく移動させることができる。
【0015】
本発明に係る紡績装置は、複数の処理ユニットと、複数の処理ユニット間をレールに沿って移動可能であって、複数の処理ユニットに対して作業を行うことが可能な上述の作業台車と、を備えることを特徴とする。この構成によれば、複数の処理ユニットと、複数の処理ユニット間を移動する作業台車と、を備える紡績機において、紡績機に設けられたレールに対する作業台車の着脱を容易に行うことができる。また、レール上の任意の場所で作業台車の着脱を行うことができるので、レールの端部位置に作業台車を着脱するためのスペースを設けておく必要がなく、スペースの有効利用が可能となる。
【0016】
複数の処理ユニットのそれぞれは、紡績糸を供給する給糸装置と、給糸装置により供給された紡績糸を巻取り、パッケージを形成する巻取装置と、を備える。作業台車は、少なくとも一つの処理ユニットにおいて、紡績糸の連続状態が分断された場合に、給糸装置から供給される紡績糸とパッケージの紡績糸とを継ぐ糸継装置を備えることが好ましい。この構成によれば、給糸装置から供給された紡績糸の糸継ぎを行う作業台車を、レールに対して容易に着脱することができる。
【0017】
給糸装置は、スライバをドラフトして繊維束とするドラフト装置と、ドラフト装置によりドラフトされた繊維束を旋回気流によって紡績し紡績糸を生成する空気紡績装置と、を備えることが好ましい。この構成によれば、ドラフト装置と、空気紡績装置と、を備える給糸装置で生成された紡績糸の糸継ぎを行う作業台車を、レールに対して容易に着脱することができる。
【0018】
紡績機は、本体部に対して給糸装置と巻取装置との間の紡績糸の糸道側と反対側から、ガイドを当接位置及び離間位置に切り替えることにより作業台車をレールに対して着脱可能とする開口部が形成された機台フレームを備えることが好ましい。この構成によれば、紡績機が、紡績装置と巻取装置との間の紡績糸の糸道側と反対側に開口部を有する機台フレームを備える。これにより、糸道側に設けられた装置や、紡績装置と巻取装置との間の紡績糸等に干渉することなく、開口部を介して作業台車をレールに対して容易に着脱することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、作業台車の着脱作業を容易に行うことができると共にスペースの有効利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る紡績機の正面図である。
【図2】図1の紡績機の縦断面図である。
【図3】図1の紡績機の縦断面を示す概略図である。
【図4】図1の上側ガイドローラ対の周りを紡績機の奥側から見た図である。
【図5】図1の上側ガイドローラ対の周りを糸継台車の移動方向側から見た図である。
【図6】図1の上側ガイドローラ対の周りを上方から見た図である。
【図7】図4の可倒部材を回動させて上側ガイドローラ対を離間位置に切り替えた状態を示す図である。
【図8】図1の紡績機の奥側から糸継台車を見た概略図である。
【図9】着脱装置を用いて糸継台車を持ち上げる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る作業台車及び紡績機の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において「上流」及び「下流」とは、紡績時での糸の走行方向における上流及び下流を意味するものとする。図1は紡績機の全体的な構成を示した正面図、図2は紡績機の縦断面図である。
【0022】
図1に示す紡績機1は、並設された多数の紡績ユニット(処理ユニット)2を備えている。この紡績機1は、糸継台車(作業台車)3と、ブロアボックス80と、原動機ボックス5と、を備えている。なお、以下の説明において、糸継台車3に対して紡績糸10の糸道側を紡績機1の手前側と呼び、その反対側を奥側と呼ぶことがある。紡績機1の手前側に、紡績ユニット2の配列方向に延びる作業者通路が設けられる。作業者は、作業者通路側から、各紡績ユニット2の操作や監視等を行うことができる。
【0023】
図1に示すように、各紡績ユニット2は、上流から下流へ向かって順に、ドラフト装置(給糸装置)7と、空気紡績装置(給糸装置)9と、糸貯留装置12と、ワキシング装置14と、巻取装置13と、を備えている。ドラフト装置7は紡績機1の筐体(機台フレーム)6の上端近傍に設けられている。このドラフト装置7から送られてくる繊維束8は、空気紡績装置9で紡績される。空気紡績装置9から送出された紡績糸10はヤーンクリアラ52を通過した後、糸貯留装置12で更に下方に送られてワキシング装置14でワックスが付与される。その後、紡績糸10は、巻取装置13によって巻き取られ、これによりパッケージ45が形成される。
【0024】
ドラフト装置7は、スライバ15を延伸して繊維束8にするためのものである。このドラフト装置7は図2に示すように、バックローラ対16、サードローラ対17、エプロンベルト18を装架したミドルローラ対19、及びフロントローラ対20の4つのローラ対を備えている。各ローラ対16,17,19,20のボトムローラは、原動機ボックス5、又は個別に設けられた不図示の駆動源からの動力により駆動される。各ローラ対16,17,19,20は、回転速度を異ならせて駆動され、この結果、上流側から供給されたスライバ15を延伸して繊維束8にし、下流側の空気紡績装置9に送ることができる。
【0025】
空気紡績装置9は、旋回気流を利用して繊維束8に撚りを与え、紡績糸10を生成する。空気紡績装置9は、詳細な説明や図示は省略するが、繊維案内部と、旋回流発生ノズルと、中空ガイド軸体と、を備えている。繊維案内部は、ドラフト装置7から送られた繊維束8を、空気紡績装置9の内部に形成される紡績室に案内する。旋回流発生ノズルは、繊維束8の経路の周囲に配置され、紡績室内に旋回流を発生させる。この旋回流によって、紡績室内の繊維束8の繊維端が反転され旋回する。中空ガイド軸体は、紡績された紡績糸10を紡績室から空気紡績装置9の外部へと案内する。
【0026】
空気紡績装置9の下流には、糸貯留装置12が設けられている。この糸貯留装置12は、紡績糸10に所定の張力を与えて空気紡績装置9から引き出す機能と、糸継台車3による糸継ぎ時などに空気紡績装置9から送出される紡績糸10を滞留させて紡績糸10の弛みを防止する機能と、巻取装置13側の張力の変動が空気紡績装置9側に伝わらないように張力を調節する機能と、を有している。図2に示すように、糸貯留装置12は、糸貯留ローラ21と、糸掛け部材22と、上流側ガイド23と、電動モータ25と、下流側ガイド26と、糸貯留量センサ27と、を備えている。
【0027】
糸掛け部材22は、紡績糸10に係合する(引っ掛ける)ことが可能に構成されており、紡績糸10に係合した状態で糸貯留ローラ21と一体回転することにより、当該糸貯留ローラ21の外周面に紡績糸10を巻き付けることができるように構成されている。
【0028】
糸貯留ローラ21は、その外周面に紡績糸10を一定量巻き付けて貯留することができるように構成されている。また、糸貯留ローラ21は、電動モータ25によって回転駆動される。この構成で、糸貯留ローラ21の外周に巻き付けられた紡績糸10は、糸貯留ローラ21が回転することにより当該糸貯留ローラ21を締め付けるようにして巻かれ、糸貯留装置12よりも上流側の紡績糸10を引っ張る。即ち、外周に紡績糸10を巻き付けた状態の糸貯留ローラ21を所定の回転速度で回転させることで、紡績糸10に所定の張力を与えて空気紡績装置9から所定の速度で引き出し、所定の速度で下流側に搬送することができる。
【0029】
そして、糸貯留ローラ21の外周に所定量の紡績糸10を巻き付けることで、糸貯留ローラ21と紡績糸10との間で所定の接触面積を確保することができる。これにより、糸貯留ローラ21が十分な力で紡績糸10を保持して引っ張ることが可能となり、糸貯留装置12は、スリップ等を発生させることなく空気紡績装置9から安定した速度で紡績糸10を引き出すことができる。
【0030】
糸貯留量センサ27は糸貯留ローラ21上に貯留されている紡績糸10の貯留量を非接触式で検出し、不図示のユニットコントローラに送信するように構成されている。
【0031】
上流側ガイド23は糸貯留ローラ21のやや上流側に配置される。上流側ガイド23は、糸貯留ローラ21の外周面に対して紡績糸10を適切に案内する案内部材であるとともに、空気紡績装置9から伝播してくる紡績糸10の撚りが当該上流側ガイド23よりも下流側に伝わることを防止する撚り止めの役割を兼ねている。
【0032】
紡績機1の筐体6の前面側であって空気紡績装置9と糸貯留装置12との間の位置には、ヤーンクリアラ52が設けられている。空気紡績装置9で紡出された紡績糸10は、糸貯留装置12で巻き取られる前にヤーンクリアラ52を通過するようになっている。ヤーンクリアラ52は走行する紡績糸10の太さを監視し、紡績糸10の糸欠点を検出した場合に、糸欠点検出信号をユニットコントローラへ送信するように構成されている。
【0033】
上記ユニットコントローラは、糸欠点検出信号を受信すると、直ちに、空気紡績装置9の旋回気流発生ノズルからの圧空の噴出を停止させる。これにより、旋回気流が停止して繊維束8の加撚が停止すると共に空気紡績装置9への繊維束8の導入も停止する。そして、空気紡績装置9において繊維の連続状態が分断され、紡績糸10が切断される。その後、ユニットコントローラは、更にドラフト装置7等を停止させる。また、ユニットコントローラは糸継台車3に制御信号を送り、当該紡績ユニット2の前まで走行させる。その後、空気紡績装置9等を再び駆動し、糸継台車3に糸継ぎを行わせて巻取りを再開させる。このとき、糸貯留装置12は、空気紡績装置9が紡績を再開してから巻取りが再開されるまでの間、空気紡績装置9から連続的に送出される紡績糸10を糸貯留ローラ21に滞留させて紡績糸10の弛みを取る。
【0034】
糸継台車3は、図1及び図2に示すように、スプライサ(糸継装置)43と、サクションパイプ44と、サクションマウス46と、を備えている。糸継台車3は、ある紡績ユニット2で糸切れや糸切断が発生すると、上レール41a及び下レール41bに沿って当該紡績ユニット2まで走行し、停止するように構成されている。サクションパイプ44は、軸を中心に上下方向に回動しながら、空気紡績装置9から送出される糸端を吸い込みつつ捕捉してスプライサ43へ案内する。サクションマウス46は、軸を中心に上下方向に回動しながら、巻取装置13に支持されたパッケージ45から糸端を吸引しつつ捕捉してスプライサ43へ案内する。スプライサ43は、案内された糸端同士の糸継ぎを行う。
【0035】
糸貯留装置12の下流には、ワキシング装置14が設けられている。ワキシング装置14は、糸貯留装置12から巻取装置13に向けて走行する紡績糸10に、ワックスを付与する装置である。
【0036】
巻取装置13は、支軸70まわりに揺動可能に支持されたクレードルアーム71を備える。このクレードルアーム71は、紡績糸10を巻回するためのボビン48を回転可能に支持することができる。
【0037】
また、巻取装置13は、巻取ドラム72と、トラバース装置75と、を備えている。巻取ドラム72は、ボビン48やそれに紡績糸10を巻回して形成されるパッケージ45の外周面に接触して駆動できるように構成されている。また、トラバース装置75は、紡績糸10に係合可能なトラバースガイド76を備えている。この構成で、巻取装置13は、トラバースガイド76を図略の駆動手段によって往復動させながら巻取ドラム72を図略の電動モータによって駆動することで、巻取ドラム72に接触するパッケージ45を回転させ、紡績糸10を綾振りしつつパッケージ45を巻き取るようになっている。なお、トラバース装置75のトラバースガイド76は、複数の紡績ユニット2で共有されるシャフトにより、各紡績ユニット2で共通に駆動される。
【0038】
ブロアボックス80には、紡績ユニット2の各部や糸継台車3等に供給するエアーを発生させるエアー供給源(負圧源)が格納されている。
【0039】
次に、糸継台車3の設置位置の詳細について説明する。図3は、紡績機の縦断面を示す概略図である。図3に示すように、紡績機1の筐体6は、上フレーム(機台フレーム)61、手前側支柱(機台フレーム)62、奥側支柱(機台フレーム)63、下フレーム(機台フレーム)64、ベース65を含んで構成されている。紡績機1の高さ方向において、上フレーム61は下フレーム64の上方位置に配置され、下フレーム64に立設された手前側支柱62及び奥側支柱63によって支持されている。上フレーム61及び下フレーム64は、紡績ユニット2の配列方向に延在している。手前側支柱62及び奥側支柱63は、紡績ユニット2の配列方向に所定の間隔で複数設けられている。奥側支柱63は、紡績機1の奥側近傍の位置に設けられる。手前側支柱62は、奥側支柱63よりも紡績機1の手前側(作業者通路側)の位置に設けられる。ベース65は、下フレーム64と地面Gとの間に設置されて下フレーム64を支持する。ベース65は、紡績ユニット2の配列方向に所定の間隔で複数設けられる。
【0040】
上フレーム61には、上述のドラフト装置7、空気紡績装置9、ヤーンクリアラ52、糸貯留装置12、及び、ワキシング装置14等が取り付けられている。上フレーム61の下面には、手前側支柱62よりも紡績機1の手前側の位置に、紡績ユニット2の配列方向に延在する上レール41aが取り付けられている。なお、上レール41aは、開放部分が下方側に向けて配置されて紡績ユニット2の配列方向に延在する断面略U字状のU字状部材41のうち、垂直方向に延びる一つの面部によって構成されている。
【0041】
下フレーム64には、上述の巻取装置13が取り付けられている。下フレーム64の上面には、手前側支柱62よりも紡績機1の手前側(作業者通路側)の位置に、紡績ユニット2の配列方向に延在する下レール41bが取り付けられている。
【0042】
糸継台車3は、下レール41b上に載置される。糸継台車3には、当該糸継台車3が下レール41b上に載置された状態で下レール41bの上面に当接する走行輪42が設けられている。糸継台車3は、この走行輪42を図示しない走行駆動輪モータによって駆動することで下レール41b上を走行する。また、糸継台車3には、下レール41bにおける紡績機1の手前側の面、及び、奥側の面にそれぞれ摺動可能に当接する下側ガイドローラ対(ガイド、下部ガイド)310が設けられている。下側ガイドローラ対310は、下レール41bの延在方向に略平行な方向(糸継台車3の移動方向に略平行な方向)において、糸継台車3の両端部近傍に、それぞれ設けられている(図1参照)。
【0043】
糸継台車3の上部には、上レール41aにおける紡績機1の手前側の面、及び、奥側の面にそれぞれ摺動可能に当接する上側ガイドローラ対(ガイド、上部ガイド)350が設けられている。上側ガイドローラ対350によって、上レール41aにおける紡績機1の手前側の面、及び、奥側の面を挟み込むことで、糸継台車3が紡績機1の手前側及び奥側へ倒れこむことが防止される。上側ガイドローラ対350は、上レール41aの延在方向に略平行な方向(糸継台車3の移動方向に略平行な方向)において、糸継台車3の両端部近傍に、それぞれ設けられている(図1参照)。
【0044】
糸継台車3は、下側ガイドローラ対310が下レール41bに摺動可能に当接し、上側ガイドローラ対350が上レール41aに摺動可能に当接していることで、上レール41a及び下レール41bの延在方向に略平行な方向に沿って移動する。
【0045】
次に、上側ガイドローラ対350の取り付け構造の詳細について説明する。図4は、上側ガイドローラ対の周りを紡績機の奥側から見た図である。図5は、上側ガイドローラ対の周りを糸継台車の移動方向側から見た図である。図6は、上側ガイドローラ対の周りを上方から見た図である。図4〜6に示すように、上側ガイドローラ対350は、糸継台車3の筐体(本体部)300に、可倒ブラケット(ガイド切替部、センサ切替部)360を介して固定される。上側ガイドローラ対350は、ガイドローラ350aと、ガイドローラ350bと、より構成されている。可倒ブラケット360は、軸支持部材370と、可倒部材380と、を含んで構成されている。
【0046】
軸支持部材370は、固定部370aと、軸支持部370b及び370cと、を含んで構成される。固定部370aは、糸継台車3の筐体300の側面に図示しないボルト等によって固定される。軸支持部370bは、固定部370aにおける紡績機1の手前側の端部から、紡績ユニット2の配列方向に略平行な方向に延びている。同様に、軸支持部370cは、固定部370aにおける紡績機1の奥側の端部から、紡績ユニット2の配列方向に略平行な方向に延びている。軸支持部370b及び軸支持部370cは、回動軸371の両端部をそれぞれ支持する。即ち、回動軸371の軸線の方向は、上レール41aの延在方向に対して直交する方向となっている。
【0047】
可倒部材380は、ローラ取付部380aと、回動部380b及び380cと、補強部380dと、を含んで構成される。回動部380b及び380cは、一端側がそれぞれ回動軸371に回動可能に支持される。回動部380b及び380cの他端側は、それぞれローラ取付部380aに接続されている。回動部380b及び380cの一端側は、それぞれ軸支持部370bと軸支持部370cとの間に位置している。補強部380dは、回動部380bと回動部380cとの間に設けられている。なお、補強部380dは、ローラ取付部380aが上方位置となるように回動軸371を回転軸として回動部380bと回動部380cとを回動させた状態(図4に示す状態)において、軸支持部材370の固定部370aに当接する位置に設けられている。補強部380dは、ローラ取付部380aと、回動部380b及び380cとにそれぞれ接続されて可倒部材380を補強している。
【0048】
ローラ取付部380aが上方位置となるように回動部380b及び380cを回動させた状態(図4に示す状態)におけるローラ取付部380aの上面には、上側ガイドローラ対350がそれぞれガイドスペーサ381を介して取り付けられている。上側ガイドローラ対350は、紡績機1の手前側及び奥側から上レール41aを挟み込む。なお、ガイドローラ350aと、ガイドローラ350bと、の距離は、上レール41aの厚みとほぼ等しくなっている。ガイドスペーサ381は、上側ガイドローラ対350が上レール41aに当接するときの高さ位置を調節する。回動部380bと回動部380cには、ローラ取付部380aが上方位置となるように回動部380bと回動部380cとを回動させた状態において、上レール41aに向かって延びるセンサ取付部380bbとセンサ取付部380ccとがそれぞれ設けられている。センサ取付部380bbとセンサ取付部380ccとは、上レール41aに設けられた図示しない被検出ポイントを検出するための検出センサを取り付けるためのものである。本実施形態では、センサ取付部380ccに、上レール41aに設けられた図示しない被検出ポイントを検出する検出センサ385が取り付けられている。なお、検出センサ385は、センサ取付部380ccにセンサスペーサ386を介して取り付けられている。センサスペーサ386は、検出センサ385と上レール41aとの間の距離を調節する。
【0049】
可倒部材380は、可倒部材380の補強部380dと軸支持部材370の固定部370aとを当接させた状態で、ローラ取付部380aに設けられた孔380eから固定ボルト(固定部材)390を固定部370a及び筐体300側にねじ込むことで、補強部380dと固定部370aとを接合可能となっている。この固定ボルト390によって、可倒部材380の回動が規制されて、ローラ取付部380aが上方位置となるように可倒部材380を回動させた状態が維持される。なお、ローラ取付部380aが上方位置となるように可倒部材380を回動させた状態における上側ガイドローラ対350の位置を、上側ガイドローラ対350が上レール41aに当接する当接位置と呼ぶ。
【0050】
次に、上側ガイドローラ対350が回動する様子を説明する。図7は、可倒部材を回動させて上側ガイドローラ対を離間位置に切り替えた状態を示す図である。図4に示すように、固定ボルト390によって可倒部材380が当接位置で固定されている状態から固定ボルト390を取り外すと、図7に示すように、可倒部材380は回動軸371を回転軸として回動する。このとき、上レール41aの延在方向に略平行な方向に沿って上側ガイドローラ対350が移動するように可倒部材380が回動する。このように、上側ガイドローラ対350が上レール41aから離間する位置まで可倒部材380を回動させることにより、糸継台車3の上部が上レール41aにガイドされなくなる。なお、上側ガイドローラ対350が上レール41aから離間した状態における上側ガイドローラ対350の位置を、離間位置と呼ぶ。このように、可倒部材380の回動により、上側ガイドローラ対350の位置を、当接位置と、離間位置と、に切り替えることができる。
【0051】
一方、図7に示すように、上側ガイドローラ対350が上レール41aから離間した状態から可倒部材380を回動させることで、図4に示すように、上側ガイドローラ対350が上レール41aを挟み込む状態となる。この状態で、固定ボルト390を用いて、補強部380dと固定部370aとが当接するように両者を固定することで、可倒部材380の回動が規制される。
【0052】
次に、糸継台車3を上レール41a及び下レール41bから取り外す手順について説明する。図8は、紡績機の奥側から糸継台車を見た概略図である。図9は、着脱装置を用いて糸継台車を持ち上げる様子を示す図である。図8及び図9に示すように、紡績機1において、糸継台車3における紡績機1の奥側の位置には、エアーが流れる配管等の部材が設けられておらず、上フレーム61,手前側支柱62,奥側支柱63、及び、下フレーム64によって囲まれる開口部Rが形成されている。反対に、糸継台車3における紡績機1の手前側の位置には、巻取装置13や、糸貯留装置12と巻取装置との間の紡績糸10の糸道が設けられている。即ち、紡績機1は、紡績機1の奥側に開口する開口部Rを介して、糸継台車3を取り外し、及び、取り付けができるように構成されている。
【0053】
また、図8に示すように、糸継台車3の筐体300の下部には、下フレーム301が設けられている。下フレーム301の下面には、上述の走行輪42や、下側ガイドローラ対310などが取り付けられている。下フレーム301と下レール41bとの間には、所定の隙間が設けられている。この隙間が、着脱装置100によって糸継台車3を持ち上げる際に糸継台車3を支持する支持アーム101の差込口302となる。
【0054】
糸継台車3を上レール41a及び下レール41bから取り外す場合、まず、糸継台車3の背後(糸継台車3における紡績機1の奥側)に、糸継台車3を持ち上げて移動させるための着脱装置100を配置する。そして、下フレーム301と下レール41bとの間の差込口302に、着脱装置100の本体部102から水平方向に延びる支持アーム101を差し込む。このとき、支持アーム101に設けられた支持機構103によって、糸継台車3が倒れないように支持する。
【0055】
そして、可倒部材380の回動を規制する固定ボルト390を取り外す。その後、可倒部材380を回動させて、上側ガイドローラ対350を上レール41aから離間させる。そして、着脱装置100に設けられた図示しないリフト機構によって支持アーム101を上昇させて糸継台車3を持ち上げる。このとき、糸継台車3を持ち上げる高さは、糸継台車3の下部に設けられた下側ガイドローラ対310が下レール41bから外れるまでの高さとする。
【0056】
糸継台車3の筐体300の上面と上レール41aとの間、及び、筐体300と上フレーム61の下面との間には所定の隙間が設けられている。これにより、糸継台車3の持ち上げが可能となっている。また、糸継台車3の持ち上げを可能とするため、上レール41aの下側の端部が可倒ブラケット360にぶつからないように、可倒ブラケット360の形状が設定されている。
【0057】
糸継台車3の持ち上げ後、着脱装置100を紡績機1の奥側方向に移動させることで、糸継台車3を紡績機1の外部に取り出すことができる。
【0058】
同様に、糸継台車3を下レール41b上に設置する場合、着脱装置100により、糸継台車3を紡績機1の奥側から紡績機1内に運び入れる。そして、走行輪42が下レール41bの上面に乗り、且つ、下側ガイドローラ対310が下レール41bにおける紡績機1の手前側の面と奥側の面とに当接するように、支持アーム101をおろして糸継台車3を下レール41b上に載置する。
【0059】
そして、可倒部材380を回動させて上側ガイドローラ対350によって上レール41aを挟み込む。その後、固定ボルト390によって可倒部材380の回動を規制する。
【0060】
そして、支持機構103による糸継台車3の支持を解除し、着脱装置100を紡績機1の奥側に移動させることで、支持アーム101を差込口302から引き抜く。
【0061】
このように、紡績機1の奥側から、上レール41a及び下レール41bに対する糸継台車3の着脱を行うことができる。
【0062】
以上、上記本実施形態に係る糸継台車3では、上レール41aに摺動可能に当接する上側ガイドローラ対350が、上レール41aに当接する当接位置と、上レール41aから離間する離間位置とに切り替えられる。上側ガイドローラ対350を離間位置に切り替えることで上側ガイドローラ対350が上レール41aから離間するため、糸継台車3を上レール41a及び下レール41bから容易に取り外すことができる。また、上側ガイドローラ対350が離間位置にある状態で糸継台車3を下レール41b上に設置し、可倒部材380を回動させて上側ガイドローラ対350を当接位置に切り替えることにより、糸継台車3の上レール41a及び下レール41bへの取り付けが容易となる。上レール41a及び下レール41b上の任意の場所で糸継台車3の着脱を行うことができるので、上レール41a及び下レール41bの端部位置に糸継台車3の着脱のためのスペースを設けておく必要がなく、スペースの有効利用が可能となる。
【0063】
可倒部材380を可倒させるだけで、上側ガイドローラ対350を当接位置と離間位置とに切り替えることができ、上側ガイドローラ対350の位置の切り替えを容易に行うことができる。
【0064】
上側ガイドローラ対350を上レール41aの延在方向に略平行な方向に沿って回動させることで、上側ガイドローラ対350が上レール41aに干渉して上側ガイドローラ対350の位置の切り替えが阻害されるといったことがなく、上側ガイドローラ対350の位置の切り替えを容易に行うことができる。
【0065】
固定ボルト390によって、上側ガイドローラ対350を当接位置で固定することができる。これにより、固定ボルト390によって上側ガイドローラ対350の位置を当接位置で容易に固定することができる。
【0066】
可倒部材380を回動させることで、検出センサ385の位置を、上レール41aに設けられた図示しない被検出ポイントを検出する検出位置と、上レール41aから離間する離間位置と、に切り替えることができる。このように可倒部材380の回動によって、上側ガイドローラ対350と共に検出センサ385の位置も切り替えることができるので、糸継台車3の着脱作業時に検出センサ385が上レール41aに干渉することを防止でき、糸継台車3の着脱作業を容易に行うことができる。
【0067】
糸継台車3の上部位置に設けられた上側ガイドローラ対350の位置が、可倒ブラケット360によって切り替えられる。これにより、可倒部材380を回動させて上側ガイドローラ対350を離間位置に切り替え、糸継台車3を持ち上げることにより、糸継台車3を上レール41a及び下レール41bから容易に取り外すことができる。
【0068】
上レール41aに摺動可能に当接するガイドを、上レール41aを挟み込む上側ガイドローラ対350とすることで、糸継台車3を上レール41aに沿ってがたつきなく移動させることができる。同様に、下レール41bに摺動可能に当接するガイドを、下レール41bを挟み込む下側ガイドローラ対310とすることで、糸継台車3を下レール41bに沿ってがたつきなく移動させることができる。
【0069】
複数の紡績ユニット2と、複数の紡績ユニット2間を移動する糸継台車3と、を備える紡績機1であっても、紡績機1に備えられた上レール41a及び下レール41bに沿って移動する糸継台車3を容易に着脱することができる。
【0070】
紡績ユニット2で生成された紡績糸10の糸継ぎを行う糸継台車3を、上レール41a及び下レール41bに対して容易に着脱することができる。
【0071】
空気紡績装置9によって紡績された紡績糸10の糸継ぎを行う糸継台車3を、上レール41a及び下レール41bに対して容易に着脱することができる。
【0072】
空気紡績装置9と巻取装置13との間の紡績糸10の糸道側と反対側、即ち、紡績機1の奥側の開口部Rから、糸継台車3を着脱することができる。これにより、紡績機1における手前側に設けられた巻取装置13や紡績糸10の糸道等に干渉することなく、糸継台車3を上レール41a及び下レール41bに対して紡績機1の奥側の開口部Rから容易に着脱することができる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。
【0074】
実施形態の糸継台車3では、上レール41aに摺動可能に当接する上側ガイドローラ対350の位置を可倒ブラケット360によって切り替えるものとしたが、可倒ブラケット360と同様の構成を下側ガイドローラ対310に適用し、上側ガイドローラ対350に代えて、下側ガイドローラ対310の位置を切り替える構成としてもよい。この場合であっても、下側ガイドローラ対310の位置を、下レール41bに当接する当接位置と、下レール41bから離間する置換位置とに切り替えることで、糸継台車3を上レール41a及び下レール41bに対して容易に着脱することができる。
【0075】
また、可倒ブラケット360と同様の構成を下側ガイドローラ対310に適用し、上側ガイドローラ対350及び下側ガイドローラ対310の両方の位置の切り替えを行ってもよい。この場合には、上側ガイドローラ対350及び下側ガイドローラ対310を離間位置に移動させることで、下フレーム301が下レール41bに干渉することがなくなり、糸継台車3を僅かに持ち上げるだけで糸継台車3を上レール41a及び下レール41bから取り外すことができる。
【0076】
実施形態の糸継台車3では、固定ボルト390によって可倒部材380の回動を規制するものとしたが、固定ボルト390以外の部材(例えば、ロック機構など)によって可倒部材380の回動を規制することもできる。
【0077】
実施形態の糸継台車3では、可倒ブラケット360の可倒部材380に検出センサ385を取り付けるものとしたが、可倒ブラケット360以外の可倒ブラケットに検出センサ385を取り付け、上側ガイドローラ対350とは独立して検出センサ385の位置を検出位置と離間位置とに切り替えることもできる。
【0078】
実施形態の紡績機1及び紡績ユニット2では、紡績糸10を一定量巻き付けて貯留する糸貯留ローラ21によって空気紡績装置9から紡績糸10を引き出しているが、本発明は、デリベリローラとニップローラとで空気紡績装置から紡績糸を引き出すタイプの紡績機及び紡績ユニットに適用してもよい。
【0079】
実施形態の紡績機1及び紡績ユニット2では、上部のドラフト装置7から下部の巻取装置13に向けて、紡績糸10が下向きに走行するように糸道が設定されているが、本発明は、紡績糸が機台高さ方向において下から上に向けて走行するように糸道が設定された紡績機や紡績ユニットに適用してもよい。
【0080】
実施形態の紡績機1及び紡績ユニット2では、空気紡績装置9は、繊維案内部に保持され、紡績室に突出するように配置されたニードルを備えていてもよい。当該ニードルは、繊維束8の撚りが空気紡績装置9の上流側に伝播することを防止する。空気紡績装置9は、ニードルの代わりに、繊維案内部の下流側端部により、繊維束8の撚りの伝播を防止してもよい。また、空気紡績装置9は、互いに反対方向に撚りを掛ける一対のエアジェットノズルを備えていてもよい。
【0081】
実施形態の紡績機1及び紡績ユニット2では、ドラフト装置7の複数のボトムローラのうちの少なくとも一部やトラバース装置75のトラバースガイド76が、各紡績ユニット2に共通で駆動されているが、本発明は、紡績ユニットの各部(例えば、ドラフト装置、空気紡績装置、糸巻取装置等)が各紡績ユニット2で独立で駆動されるタイプの紡績機及び紡績ユニットに適用してもよい。
【0082】
上記実施形態は、紡績機1の糸継作業を行う糸継台車3に本発明を適用した場合を例に説明したが、糸継台車3に限られず、例えば、満巻となったパッケージ45を巻取装置13から取り外して所定の場所へ移動させる玉揚台車に本発明を適用することができる。
【0083】
実施形態のヤーンクリアラ52は、紡績糸10の太さを監視して紡績糸10の糸欠点を検出するものとしたが、紡績糸10に含まれる異物の有無を監視し、異物が含まれている場合を糸欠点として検出することもできる。
【符号の説明】
【0084】
1…紡績機、2…紡績ユニット(処理ユニット)、3…糸継台車(作業台車)、6…筐体(機台フレーム)、7…ドラフト装置、9…空気紡績装置、13…巻取装置、41a…上レール(レール)、41b…下レール(レール)、61…上フレーム(機台フレーム)、62…手前側支柱(機台フレーム)、63…奥側支柱(機台フレーム)、64…下フレーム(機台フレーム)、310…下側ガイドローラ対(ガイド、下部ガイド)、350…上側ガイドローラ対(ガイド、上部ガイド)、360…可倒ブラケット(切替部)、385…検出センサ、390…固定ボルト(固定部材)、R…開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理ユニット間をレールに沿って移動可能な作業台車であって、
前記レールに当接するガイドと、
前記ガイドを、前記レールに当接する当接位置、及び、前記レールから離間する離間位置に切り替えるガイド切替部と、
前記ガイド切替部が取り付けられ、前記レールに沿って移動する本体部と、
を備えることを特徴とする作業台車。
【請求項2】
前記ガイド切替部は、前記ガイドを可倒させることにより前記ガイドを前記当接位置と前記離間位置とに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の作業台車。
【請求項3】
前記ガイド切替部は、前記ガイドを前記本体部の移動方向に略平行な方向に沿って回動させることを特徴とする請求項2に記載の作業台車。
【請求項4】
前記ガイド切替部を前記当接位置で固定する固定部材を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の作業台車。
【請求項5】
前記レールに設けられた被検出ポイントを検出する検出センサと、
前記検出センサを、前記被検出ポイントを検出する検出位置、及び、前記レールから離間する離間位置に切り替えるセンサ切替部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の作業台車。
【請求項6】
前記レールに設けられた被検出ポイントを検出する検出センサを更に備え、
前記ガイド切替部は、前記ガイドの位置の切り替えと共に前記検出センサを、前記被検出ポイントを検出する検出位置、及び、前記レールから離間する離間位置に切り替えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の作業台車。
【請求項7】
前記ガイドは、前記本体部の上方に設けられた前記レール、又は、前記本体部の下方に設けられた前記レールのいずれか一方に当接することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の作業台車。
【請求項8】
前記ガイドは、前記本体部の上方に設けられた前記レールに当接する上部ガイドと、前記本体部の下方に設けられた前記レールに当接する下部ガイドと、より構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の作業台車。
【請求項9】
前記ガイドは、前記レールを挟み込む一対のローラであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の作業台車。
【請求項10】
複数の処理ユニットと、
前記複数の処理ユニット間を前記レールに沿って移動可能であって、前記複数の処理ユニットに対して作業を行うことが可能な請求項1〜9のいずれか一項に記載の作業台車と、
を備えることを特徴とする紡績機。
【請求項11】
前記複数の処理ユニットのそれぞれは、紡績糸を供給する給糸装置と、前記給糸装置により供給された前記紡績糸を巻取り、パッケージを形成する巻取装置と、を備え、
前記作業台車は、少なくとも一つの前記処理ユニットにおいて、前記紡績糸の連続状態が分断された場合に、前記給糸装置から供給される紡績糸と前記パッケージの紡績糸とを継ぐ糸継装置を備えた糸継台車である、
ことを特徴とする請求項10に記載の紡績機。
【請求項12】
前記給糸装置は、
スライバをドラフトして繊維束とするドラフト装置と、
前記ドラフト装置によりドラフトされた繊維束を旋回気流によって紡績し紡績糸を生成する空気紡績装置と、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の紡績機。
【請求項13】
前記本体部に対して前記給糸装置と前記巻取装置との間の前記紡績糸の糸道側と反対側から、前記ガイドを前記当接位置及び前記離間位置に切り替えることにより前記作業台車を前記レールに対して着脱可能とする開口部が形成された機台フレームを備えることを特徴とする請求項11又は12に記載の紡績機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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