説明

作業工作車

【課題】本発明は、工具、救助器具、その他の機材を収納する収納部と前記収納部の開口部を閉塞する踏板兼用開閉扉を少なくとも搭載している作業工作車に関するものである。
【解決手段】収納部を閉塞する踏板兼用開閉扉は、作業工作車に取り付けられ、前記収納部の一方の入り口を閉じる直立位置と外側に回動するように倒れて水平位置とに移動することにより、踏み板兼用の扉板となる。前記踏板兼用開閉扉は、回動アームにより、直立位置と水平位置とに回動させるものであり、一方が前記収納部の外側下部に取り付けられ、他方が前記踏板兼用開閉扉の下部に取り付けられており、回動軸を中心にして回動する。前記踏板兼用開閉扉は、水平位置に回動した際に、前記踏板兼用開閉扉が前記収納部の底面より低い位置まで移動し、かつ、前記扉板の一部が前記収納部の底部の下方に設けられた踏板兼用開閉扉格納部に入り込むようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具、救助器具、その他の機材を収納する収納部と前記収納部の開口部を閉塞する踏板兼用開閉扉を少なくとも搭載している作業工作車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業工作車は、大火災あるいは震災等の災害、または事故に会った被災者を救出する際に使用される。前記作業工作車は、前記被害者の救出または救助を行なうための工具、救助器具、あるいはその他の機材を運搬する収納部を備えている。前記収納部の開口部を閉塞する開閉扉は、垂直位置から水平位置に回動しながら移動することにより、前記工具等を出し入れする際に、作業者が乗れる踏板にもなるようになっている。前記作業工作車は、前記収納部を開いた際に、開閉扉兼踏板が突出し過ぎると狭い道での移動、活動、あるいは通行等に支障をきたす場合があった。
【0003】
前記作業工作車は、前記収納部の開口部を閉塞する開閉扉を回動して、作業者が乗れる踏板としているものとして、たとえば、特許第3744619号公報がある。
【特許文献1】特許第3744619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許公報に記載された作業工作車は、回動アームおよび付勢手段が収納部の内部にある場合がある。前記作業工作車の開閉扉は、荷崩れ等が発生した場合、前記扉の開閉機構が破壊され、開かなくなるおそれがあった。前記作業工作車は、L字形回動アームによって前記扉を支えている。前記L形回動アームは、作業員が前記踏板に複数人乗る場合があり、厚さを十分に厚くする必要があり、高価な材料費および作製費に問題があった。
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明は、故障が無く、安価で、かつ、扉の開閉がスムーズにできる作業工作車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明の作業工作車は、工具等を収納する収納部と前記収納部の開口部を閉塞する踏板兼用開閉扉を搭載しており、前記作業工作車に取り付けられた収納部と、前記収納部の一方の入り口を閉じる直立位置と外側に倒れて水平位置となるように回動可能な踏板兼用開閉扉と、前記収納部の外側下部に取り付けられた回動軸を中心にして回動し、前記回動軸の他方が前記扉の下部に取り付けられている回動アームと、前記踏板兼用開閉扉を水平位置にした際に、前記踏板兼用開閉扉が前記収納部の底面より低い位置まで移動し、かつ、前記踏板兼用開閉扉の一部が前記収納部の底部の下方に入り込む踏板兼用開閉扉格納部と、一方が前記回動アームの回動部に取り付けられ、他方が前記収納部の下部で、かつ、前記回動アームの取付部より奥に取り付けられた長さを自在に変えられるダンパーとから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明の作業工作車において、第1発明の回動アームは、蝶番からなることを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明の作業工作車において、第2発明の蝶番は、補強部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明の作業工作車において、第1発明から第3発明の踏板兼用開閉扉は、下部に取り付けられた前記回動アームと、前記回動アームの上部に取り付けられたスライドアームと、前記スライドアーム内に設けられたスライド溝を移動する前記収納部の側部に設けられた軸とを有することにより開閉自在になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回動アーム(蝶番)を収納部の外側下部に設けるため、前記収納部内において、荷崩れ等があっても、開閉機構に不具合を発生させることがない。
【0011】
本発明によれば、簡単(既製)な回動アームおよびスライドアーム機構を利用することにより、踏板兼用開閉扉に乗る人数等の重量に合ったものが作製し易く、材料等に無駄が無く、安価な作業工作車を作成することができる。
【0012】
本発明によれば、前記回動アーム、ダンパー、およびスライドアーム機構を組み合わせることにより、既製品からなる機構を使用できるだけでなく、故障のない作業工作車を作製できるようになった。
【0013】
本発明によれば、前記蝶番とスライドアーム機構を協働させることにより、前記踏板兼用開閉扉の開閉を軽くまたはスムーズに動かすことができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1発明)
第1発明の作業工作車は、前記作業工作車に取り付けられた収納部と、前記収納部の一方の入り口を閉じる踏板兼用開閉扉と、前記踏板兼用開閉扉を回動する回動アームと、前記踏板兼用開閉扉を水平位置にして一部を前記収納部の底部の下方に入り込む踏板兼用開閉扉格納部とから少なくとも構成されている。前記収納部は、工具類、救助作業用具、その他の機材を格納するものである。前記踏板兼用開閉扉は、作業工作車に取り付けられ、前記収納部の一方の入り口を閉じる直立位置と外側に回動するように倒れて水平位置とに移動することにより、踏み板兼用の扉板となる。前記踏板兼用開閉扉は、前記収納部の下部に一部が入るため、前記格納部内にある機材の出し入れに都合の良い大きさと高さを有する踏み台になっている。
【0015】
前記回動アームは、前記踏板兼用開閉扉を直立位置と水平位置とに回動させるものであり、一方が前記収納部の外側下部に取り付けられ、他方が前記踏板兼用開閉扉の下部に取り付けられており、回動軸を中心にして回動する。前記踏板兼用開閉扉は、水平位置に回動した際に、前記踏板兼用開閉扉が前記収納部の底面より低い位置まで移動し、かつ、前記扉板の一部が前記収納部の底部の下方に設けられた踏板兼用開閉扉格納部に入り込むようになっている。前記踏板兼用開閉扉格納部は、作業工作車の下部に設けられている空間部からなる。
【0016】
ダンパーは、一方が前記回動アームの回動部に取り付けられ、他方が前記収納部の下部で、かつ、前記回動アームの取付部より奥に取り付けられている。前記ダンパーは、長さを変えることにより、前記回動アームの回動軸を中心にして前記踏板兼用開閉扉を垂直位置と水平位置に回動させることができる。
【0017】
(第2発明)
第2発明の作業工作車において、第1発明の回動アームは、蝶番とすることができる。前記蝶番は、前記収納部側を短く、また、前記踏板兼用開閉扉側を長くするように作製されている。
【0018】
(第3発明)
第3発明の作業工作車において、第2発明の蝶番は、少なくとも一方に補強部材が設けられている。また、前記補強部材は、前記蝶番の下方に設けられ、回動の際に邪魔にならないようになっている。
【0019】
(第4発明)
第4発明の作業工作車において、第1発明から第3発明の踏板兼用開閉扉は、一方の端部を回動アームの下部に、前記回動アームが取り付けられている場所より上部をスライドアームによって固定されている。前記スライドアームは、内部にスライド溝が設けられている。前記収納部の側部には、スライド溝を移動する軸が設けられている。前記踏板兼用開閉扉は、前記回動アームおよびスライドアームによって、開閉を自在に行なうことができる。
【実施例】
【0020】
図1は本発明の作業工作車における収納部および踏板兼用開閉扉の側部から見た側面図である。図2は本発明の踏板兼用開閉扉を開いた状態を説明するための側面図である。図1および図2において、作業工作車(図示されていない)は、前記作業工作車に取り付けられた収納部11と、前記収納部11の一方の入り口を閉じる踏板兼用開閉扉12と、前記踏板兼用開閉扉12を回動する回動アーム13と、前記踏板兼用開閉扉12を水平位置にして一部を前記収納部11の底部の下方に入り込む踏板兼用開閉扉格納部(前記収納部11の下部空間部)とから少なくとも構成されている。
【0021】
前記収納部11は、工具類、救助作業用具、その他の機材を格納するものであり、大型のものあるいは小型のものがある。前記踏板兼用開閉扉12は、作業工作車に取り付けられ、前記収納部11の一方の入り口を閉じる直立位置(図1参照)と外側に回動するように倒れた水平位置(図2参照)との間を回動しながら移動できるようになっている。また、前記踏板兼用開閉扉12は、前記水平位置にした場合、前記収納部11から工具あるいは機材等を出し入れする際に都合が良い踏み板となる。
【0022】
前記踏板兼用開閉扉12は、開けた際に、前記収納部11の下部に一部が入り込むため、前記格納部11内にある機材の出し入れに都合の良い大きさと高さを有する踏み台になっている。前記回動アーム13は、前記踏板兼用開閉扉12を直立位置と水平位置とに回動させるものであり、一方が前記収納部11の外側下部に取り付けられ、他方が前記踏板兼用開閉扉12の下部に取り付けられており、回動アームの回動軸を中心にして回動する。
【0023】
前記踏板兼用開閉扉12は、水平位置に回動した際に、前記収納部11の底面より低い位置まで移動し、かつ、一部が前記収納部11の底部の下方に設けられた踏板兼用開閉扉格納部に入り込むようになっている。前記踏板兼用開閉扉格納部は、作業工作車の下部に設けられている空間部からなる。
【0024】
ダンパー14は、一方が前記回動アームの回動部側132に取り付けられており、他方が前記収納部11の下部で、かつ、前記回動アーム13の取付部131より奥に取り付けられている。前記ダンパー14は、長さを変えることにより、前記回動アーム13の回動軸を中心にして前記踏板兼用開閉扉12を垂直位置と水平位置とに回動するのを容易にできる。また、前記ダンパー14は、一方が可動部であり、前記踏板兼用開閉扉12の下部における可動側固定部142に固定され、他方が固定部であり、前記収納部11の下部における固定側固定部141に固定されている。
【0025】
図3は本発明の実施例で、収納部の底部から見た図で、回動アームが3個設けられた例を説明するための底面図である。図4は本発明の実施例で、回動アームを蝶番とした例を説明するための斜視図である。図3および図4において、回動アームは、図4に示す蝶番とすることができ、符号13−1、13−2、13−3と3個によって前記踏板兼用開閉扉12と接続されている。前記蝶番13は、前記収納部側131を短く、また、前記踏板兼用開閉扉側132を長くするように作製されている。
【0026】
前記蝶番13は、少なくとも一方に補強部材133、135が設けられている。また、前記補強部材133、135は、前記蝶番13の下方に設けられ、回動の際に邪魔にならないようになっている。前記補強部材133、135の形状は、限定されるものではない。さらに、前記蝶番13は、回動軸134によって回動自在になっている。
【0027】
前記踏板兼用開閉扉13は、図3から判るように、両側から2本のダンパー14によって開閉できるようになっている。また、前記踏板兼用開閉扉13は、スライドアーム15が左右に設けられている。前記スライドアーム15は、一方が回動アーム13の取付部より上部の固定部152に回動自在に固定されている。前記スライドアーム15は、内部にスライド溝153が設けられており、前記収納部11の側部に設けられている前記スライド溝153を移動する軸151により取り付けられている。前記軸151は、前記収納部11の側部に固定されている。前記踏板兼用開閉扉13は、前記回動アーム13およびスライドアーム15によって、開閉を自在に行なうことができる。
【0028】
以上、本実施例を詳述したが、本発明は、前記本実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。たとえば、本発明の収納部、踏板兼用開閉扉、回転アーム、蝶番、ダンパー、スライドアーム等の形状および構造、あるいは材質は、周知または公知のものを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の作業工作車における収納部および踏板兼用開閉扉の側部から見た側面図である。(実施例1)
【図2】本発明の踏板兼用開閉扉を開いた状態を説明するための側面図である。
【図3】本発明の実施例で、収納部の底部から見た図で、回動アームが3個設けられた例を説明するための底面図である。
【図4】本発明の実施例で、回動アームを蝶番とした例を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
11・・・収納部
12・・・踏板兼用開閉扉
13・・・回転アーム(蝶番)
131・・・取付部
132・・・回動部側
133・・・補強部材
134・・・回転軸
135・・・補強部材
14・・・ダンパー
141・・・固定側固定部
142・・・可動側固定部
15・・・スライドアーム
151・・・軸
152・・・回動軸
153・・・スライド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具等を収納する収納部と前記収納部の開口部を閉塞する踏板兼用開閉扉を搭載した作業工作車において、
前記作業工作車に取り付けられた収納部と、
前記収納部の一方の入り口を閉じる直立位置と外側に倒れて水平位置となるように回動可能な踏板兼用開閉扉と、
前記収納部の外側下部に取り付けられた回動軸を中心にして回動し、前記回動軸の他方が前記扉の下部に取り付けられている回動アームと、
前記踏板兼用開閉扉を水平位置にした際に、前記踏板兼用開閉扉が前記収納部の底面より低い位置まで移動し、かつ、前記踏板兼用開閉扉の一部が前記収納部の底部の下方に入り込む踏板兼用開閉扉格納部と、
一方が前記回動アームの回動部に取り付けられ、他方が前記収納部の下部で、かつ、前記回動アームの取付部より奥に取り付けられた長さを自在に変えられるダンパーと、
から少なくとも構成されていることを特徴とする作業工作車。
【請求項2】
前記回動アームは、蝶番からなることを特徴とする請求項1に記載された作業工作車。
【請求項3】
前記蝶番は、補強部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載された作業工作車。
【請求項4】
前記踏板兼用開閉扉は、
下部に取り付けられた前記回動アームと、
前記回動アームの上部に取り付けられたスライドアームと、
前記スライドアーム内に設けられたスライド溝を移動する前記収納部の側部に設けられた軸と、
を有することにより開閉自在になっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された作業工作車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−52618(P2010−52618A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221096(P2008−221096)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(391043240)日本機械工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】