説明

作業平面が回転する作業台装置

【課題】作業平面の回転操作と位置決め固定の操作を簡易に効率よく確実に行える作業台装置を提供する。
【解決手段】基台1は、その左右両側に起立する支持体部2、2を備え、作業台部3の側面は正多角形の多面体で、同正多角形の各辺をそれぞれ軸方向へ延長した作業平面の集合で回転体に構成されている。同作業台部3の中心に位置する回転軸30が、前記基台1の支持体部2、2の軸受11により水平姿勢で回転自在に支持されている。基台1には、上下方向への回動が自在に支持された位置決め部材6が設置され、同位置決め部材6の自由端側に、作業台部3の各作業平面を構成する横梁材3aを挟み持つ位置決め具7が下向きに設けられ、位置決め部材6を上下方向へ回動させる操作により、各作業平面の一部を構成する横梁材3aを位置決め具7により挟み持たせて該当する作業平面の作業位置を固定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の作業平面を備え、各作業平面は水平軸を中心に順次回転させて複数の作業工程を進めることが可能であり、しかも各作業平面の回転操作と位置決め固定の操作を簡易に効率よく確実に行える作業台装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年はセル生産方式の生産ラインが主流となっている。即ち、作業員は一人で数種の作業工程を受け持って製作を進める多能化方式であり、同じ場所に位置して複数工程の作業を進めることにより、場所を移動する時間の無駄を省き、一秒単位の能率化を図る作業を進めて、生産効率を高めることが図られている。その上、製品の品質の安定化を図り、効率的な用となるレイアウトを追求し、作業台の配置に工夫を凝らして、作業の間違いによる無駄や、作業の待ち時間の無駄など、様々な無駄を削る努力を日々進めている。
【0003】
こうしたセル生産方式の実施に好適な作業台装置の開発も、当然に進められている。例えば下記の特許文献1に開示された作業台は、両端に同径の円輪を備えた反転台が、基台の受けローラに前記両端の円輪を回転自在に支持されて水平軸を中心に回転する構成である。前記反転台の中央部(直径線近傍の位置)の軸線方向に平板状のパネル(作業平面)を支持させており、反転台の回転角は基台側に設置したストッパ装置で円輪を位置決め固定する構成と認められる。
【0004】
また、下記の特許文献2に開示された作業用ターンテーブルは、水平な固定台の上面中央に垂直上向きの回転軸を設け、前記回転軸を中心に水平回転する回転台を作業用ターンテーブルとして設置した構成と認められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−46184号公報
【特許文献2】特開2009−113174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された作業台は、反転台が水平軸を中心に回転する構成であり、同反転台に支持された平板状パネルの表面と裏面を作業平面として使用できるが、平板状パネルの表裏2面しか作業平面に利用できない構成である。そのため、複数の作業工程を同じ場所(一箇所)で、作業員が動かないで作業を進めるセル生産方式の実施には、余りにも利用面数が少なすぎて不便である。その上、基台の受けローラに両側の円輪を回転自在に支持させる構成であるが故に、多角形状の作業台では回転自在に支持させることはできないという問題点もある。
また、上記の特許文献2に開示された作業用ターンテーブルは、水平回転する回転台を作業用ターンテーブルとして利用する構成であるが、セル生産方式の実施を一つのターンテーブルの平面でのみ複数の作業工程を実行するには、許容される作業スペースが余りにも狭すぎて不利、不便である。仮にターンテーブルの直径を拡大して対応する場合には、占有する床面積が大きくなり過ぎる欠点があり、使用に不便であることは否めない。
【0007】
因みに、セル生産方式の実施に適切な作業台装置として望ましい条件は、一人の作業員が複数の作業工程を一箇所で、場所を動かないで実行する上で必要なだけの作業平面数をできるだけ小さい床面積で用意でき、各作業工程の効率や品質を維持、安定させるために各作業工程に必要な治具や工具、ユニット類を、各作業平面毎に、使用に便利な状態と配置に用意して(設備して)置くことができ、治具の頻繁な交換作業や工具類の出し入れ等はできるだけ少なくて済む構成であることが望まれる。
【0008】
したがって本発明の目的は、水平軸を中心に回転する正多角形の多面体における各平面を作業平面として使用することができ、その各作業平面毎に区分してセル生産方式の作業工程を実施でき、しかも各作業平面毎にその作業工程に必要な治具や工具、ユニット類を使用に便利な状態や配置に用意又は設備でき、治具や工具の頻繁な交換や出し入れを省けて、作業上の無駄が少ないセル生産方式を実現可能な作業台装置を提供することである。また、セル生産以外の順立て式の生産方式を実施する場合でも、作業上の無駄が少ない作業台装置として提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る作業平面が回転する作業台装置は、
上向きのコ字形状に構成された基台1が、その左右両側の位置に起立する支持体部2、2を備えており、
作業台部3は、側面方向に見ると、少なくとも正三角形以上の正多角形の多面体であり、同正多角形の各辺をそれぞれ軸方向へ延長した作業平面の集合で回転体に構成されており、同作業台部3の回転中心に位置する回転軸30が、前記基台1の左右両側に起立する支持体部2、2の軸受11により水平姿勢で回転自在に支持されている。
前記基台1には、前記作業台部3よりも上方の位置に、同作業台部3と直交する配置として基端部を上下方向への回動が自在に支持された位置決め部材6が設置され、同位置決め部材6の自由端側に、前記作業台部3の各作業平面それぞれの一部を構成する横梁材3aを挟み持つ位置決め具7が下向きに設けられており、
前記位置決め部材6を上下方向へ回動させる操作により、前記各作業平面の一部を構成する横梁材3aを前記位置決め具7により挟み持たせて該当する作業平面の作業位置を固定でき、又は同横梁材3aから位置決め具7を解放して作業台部3の回転を許容する構成であることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載した発明に係る作業平面が回転する作業台装置も、
基台1は、その左右両側の位置に起立する支持体部2、2を備え、両側の支持体部2、2は共通な中心線上に支軸を備えており、
作業台部3は、側面方向に見ると、少なくとも正三角形以上の正多角形の多面体であり、同正多角形の各辺をそれぞれ軸方向へ延長した作業平面の集合で回転体に構成されており、この作業台部3は、その回転中心の位置に軸受を備え、同軸受へ前記基台1の支軸を通して水平姿勢で回転自在に支持されている。
前記基台1には、前記作業台部3よりも上方の位置に、同作業台部3と直交する配置として基端部を上下方向への回動が自在に支持された位置決め部材6が設置され、同位置決め部材6の自由端側に、前記作業台部3の各作業平面それぞれの一部を構成する横梁材3aを挟み持つ位置決め具7が下向きに設けられており、
前記位置決め部材6を上下方向へ回動させる操作により、前記各作業平面の一部を構成する横梁材3aを前記位置決め具7により挟み持たせて該当する作業平面の作業位置を固定でき、又は同横梁材3aから位置決め具7を解放して作業台部3の回転を許容する構成であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した作業平面が回転する作業台装置において、
基台1の左右両側の位置に起立する支持体部2、2の少なくとも一方の内側面部に、正多角形の多面体として構成された作業台部3の各作業平面それぞれの一部を構成する横梁材3aの端部を受け入れて挟み持つ下向きの位置決め凹部8aを備え、且つ同位置決め凹部8aの外郭面部を、作業台部3の回転に伴って前記横梁材3aが接触しつつ周回する回転にしたがい同横梁材3aが迫り上げ作用を発揮するのに適切な角度の傾斜面8bに形成された位置決めブロック8が、前記横梁材3aが前記傾斜面8bと接触する位置を下限として鉛直上方向への移動が自在に設置されており、
更に、前記位置決めブロック8の前記位置決め凹部8aへ横梁材3aが進入した作業平面の位置決め固定の状態から、手作業として又は足踏み作業として、前記位置決めブロック8を鉛直上方向へ持ち上げて横梁材3aを解放し作業台部3の回転を許容する解除手段を備えた第二の位置決め装置を更に含むことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した作業平面が回転する作業台装置において、
上記第二の位置決め装置を構成する位置決めブロック8は、同位置決めブロック8が横梁材3aを解放するのに必要なストロークだけ上方へ変位することを許容する構成の弾性体21により常時下向きに押されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜4記載の発明に係る作業台装置は、少なくとも正三角形以上の正多角形の各辺をそれぞれ軸方向へ延長した作業平面の集合で回転体に構成された作業台部3を備えており、基台1に起立する支持体部2、2により水平姿勢で回転自在に支持された構成であり、この作業台部3は正多角形の辺数だけ作業平面を有するので、セル生産や順立ての複数の作業工程を、一つの作業台部3の水平回転を順次に進めることに適応し、一箇所で複数の作業工程を自在に実施できる。
従って、作業台装置の台数を減らして省スペース化が図れるし、また、人や物の移動を大幅に省略できる。即ち、各作業工程に必要な治具やユニット、工具類は、予め工程順に作業台部3の各作業平面へ順に設備しておくことにより、治具の交換や工具類の出し入れなどを頻繁に行う作業を大幅に削減できる。必然的に、治具の交換作業に使用されるクレーン、フォークリフト、ハンドフォークなどの使用頻度も削減できる。その上、周囲の安全面を気遣いながらの交換作業を省けて、作業効率を高めることができる。勿論、作業工場の小スペース化も図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による作業台装置の実施例を示した斜視図である。
【図2】同上の作業台装置を示した側面図である。
【図3】A、Bは第一の位置決め固定装置の使用状態の要点を主要部について示した斜視図である。
【図4】A、Bは同上の第一位置決め固定装置による作業台部の位置決め固定とその解除状態を示した部分図である。
【図5】第二の位置決め固定装置を主要部について示した斜視図である。
【図6】A〜Cは同上の第二の位置決め固定装置による作業台部の位置決め固定とその解除の状態を順に示した部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による作業平面(作業台部3)が回転する作業台装置は、基台1の左右両側に起立する支持体部2、2により、作業台部3が水平姿勢で回転するように支持されている。
作業台部3は、側面方向に見ると、少なくとも正三角形以上の正多角形の多面体であり、同正多角形の各辺をそれぞれ軸方向へ延長した作業平面が集合した回転体に構成されており、同作業台部3は上記基台1の支持体部2、2により水平姿勢で回転自在に支持されている。
上記基台1には、作業台部3よりも上方の位置に、同作業台部3と直交する配置として基端部を上下方向への回動が自在に支持された位置決め部材6が設置され、同位置決め部材6の自由端側に、前記作業台部3の各作業平面それぞれの一部を構成する横梁材3aを挟み持つ位置決め具7が下向きに設けられている。
前記位置決め部材6を上下方向へ回動させる操作により、前記各作業平面の一部を構成する横梁材3aを前記位置決め具7により挟み持たせて該当する作業平面の作業位置を固定でき、又は同横梁材3aから位置決め具7を解放して作業平面(作業台部3)の回転を許容する構成である。
【実施例1】
【0016】
以下に、本発明による作業平面(作業台部)が回転する作業台装置を、図1〜図6に示した実施例に基づいて説明する。
先ず図1〜図6で理解できるように、図示した実施例の作業台装置は、パイプ材と継手により、更に具体的に言えば、薄肉鋼管の外周面に合成樹脂を薄く均一な層状に被覆し接着した樹脂被覆接着鋼管と、同鋼管を連結して組み立てるのに適した各種形態及び構造の合成樹脂製又は金属製の継手とを用いて組み立てた構成とされている。しかし、図示例の形態や構造に限定する理由はなく、如何なる構造材料を用い、どのように製作するかは、使用態様や要求される機能に応じて自由な設計思想の基に製作すればよいことである。
【0017】
図1が分かり易いように、図示例の作業台装置は、基台1を構成する下部繋ぎ材1aにより、その左右両側に位置して起立する支持体部2、2の下底梁2a、2aを連結して、上向きのコ字形状をなす基台1が構成されている。
左右両側に起立する支持体部2、2は、セル生産に臨む作業員が立つ位置(図1の手前側)から見て向こう側(背面側)の支柱2bの背を高く形成し、同支柱2b、2bの上端部の相互間を、上位の繋ぎ材1bにより連結した構成とされている。一方、作業員が立つ位置の側(手前側)における支持体部2の支柱2cは背を必要限度に低く形成し、これら手前側の支柱2c、2c間には繋ぎ材を配置せず、作業員によるセル生産や順立て作業の動作に邪魔物が一切無い、広くて自由な作業空間を形成した構成とされている。
【0018】
水平回転させる作業台部3の構成に関しては、図示例の場合、図2のように側面方向に見た形態を正五角形に形成されている。同正五角形の各辺を形成するパイプ3bが隣接するものとで形成する各頂角部の位置へ、軸方向(回転中心線と同方向)に配置した横梁材3aを接合して、正五角形柱状の作業台部3が組立られ、平行に相隣接する横梁材3a、3aの間がそれぞれ作業平面とされている。作業平面には、作業台板3c(図1、図2を参照)を取り付けて(敷設して)完成されるが、図示の分かり易さを確保する便宜上、図1などには作業台板3cの表記を省いて示している。
一方、上記正五角形の各辺を形成するパイプ3bが隣接するものとで形成する頂角部の位置へは、更に同正五角形を図2の方向に見た中心(図心=後述する回転中心線の位置)の位置と結ぶスポークパイプ3dを放射状に配置して連結と組立が行われ、該スポークパイプ3dが中心部で集合する部分に、図示例の場合は上記回転中心線の位置へ回転軸30が配置され各スポークパイプ3dと一体的に連結されている。
【0019】
上記作業台部3の回転中心の位置に配置された回転軸30は、図1に示す実施例の場合は、上記基台1の左右両側に位置して起立する支持体部2、2の間へ架設可能な長さに形成され、同回転軸30の両端部は、左右両側に起立する支持体部2、2へそれぞれ設置した軸受11により回転自在に支持されている(以上、請求項1の発明)。
但し、上記回転軸30の構成と支持構造に関しては、上記したように基台1の左右両側に起立する支持体部2、2の間へ架設可能な長さに長く形成する構成に限らない。作業台部3の回転の支持に必要十分な長さを有すれば、中間部分を切除した短軸が作業台部3の両端部から必要な長さ外方へ突き出る構成とし、この短軸が、左右両側に起立する支持体部2、2に設置された軸受で回転自在に支持された構成で実施することができる。
或いは上記と逆に、基台1の左右両側に起立する支持体部2、2の間へ架け渡して固定支持させた固定軸に対し、作業台部3の回転中心線の位置に前記固定軸を中心に回転する軸受を設置して、作業台部3が水平回転する構成で実施することもできる(以上、請求項2の発明)。この支持方式の場合にも、前記固定軸は、左右の支持体部2、2の間へ架け渡する長さでる必要はなく、両側の各支持体部2、2が共通な回転中心線上で片持ち支持した固定短軸を、作業台部3の軸受へ支持に必要な長さ通して回転自在に支持させた構成で実施することも同様にできる。
【0020】
なお、ついでに説明すると、図示例の作業台部3は、側面方向に見た形態を正五角形に形成されているが、勿論この限りではない。セル生産の都合上、作業台部3に要求される作業平面の数に応じて、少ない場合は正三角形とし、多く必要であれば正六角形とか正八角形の構成でも実施することができる。
【0021】
次に、上記基台1の背後側(セル生産の作業員が立つ位置(図1の手前側)から見て向こう側)の支柱2bは、上記したとおり、背を高く形成して、同支柱2b、2bの上端部間を上位の繋ぎ材1bにより連結している。この上位の繋ぎ材1bを利用して、作業平面の第一の位置決め固定装置が次のように構成されている。
即ち、図1の場合は、上記の繋ぎ材1bへ取り付けた左右2個の回転継手15、15により回転自在に支持された支軸16により、図示例の場合は2本のパイプを平行に束ねて一体化した構成の位置決め部材6の基端部が、上下方向への回動が自在に取り付けられている。この位置決め部材6は、上記作業台部3よりも上方に位置して同作業台部3と直交する配置とされ、上下方向への回動が自在に設置されている。この位置決め部材6の自由端側には、図2に見るとおり、およそ上記作業台部3を横断して、作業員の立ち位置側へ届く長さとされた自由端側の下面側に、作業台部3の各作業平面の一部を構成する上記横梁材3aを図4A、Bに示したように下向きに挟み持ち固定する位置決め具7が下向きに設けられている。
【0022】
上記位置決め部材6及び位置決め具7と、作業台部3の各作業平面の一部を構成する横梁材3aとが関係する構成については、図3と図4に示したとおり、作業台部3の一つの作業平面が図2に示した作業適正角度に至ると、該当する横梁材3aを位置決め具7が下向きに挟み持ち(図4Aを参照)、その位置へ固定してセル生産作業に支障ない静止状態に保つ。位置決め具7は、前記の機能を働くための構成として、横梁材3aの外径とほぼ一致する口幅で下向きコ字形の受け口7aを備えている。そして、同受け口7aにおいて横梁材3aの周回(回転)方向(図4の線分Mを参照)に前後する両側の外郭面は、作業台部3の回転に伴って周回する前記横梁材3aが接触したまま、作業台部3の回転の進みにしたがい前記横梁材3aが周回移動をするのにつれて迫り上げ作用を発揮するのに適切な角度(例えば45°前後)の傾斜面7bに形成されている。
つまり、作業台部3の回転に伴って周回する横梁材3aは、その前方で待ち受ける位置決め具7へ接して進む。そして、位置決め具7の前記傾斜面7bを押し退け(押し上げ)つつ進み、遂には受け口7aへ到達して嵌り込み止めて位置決め固定の状態となる(図4Aを参照)。
その後、作業員によるセル生産作業などの工程が該作業平面において終了したときは、作業員が手で位置決め部材6を持ち上げて、位置決め具7の受け口7aを横梁材3aから引き上げて解放することにより、作業台部3は次の作業平面に向かって回転を進めることができるのである。
【0023】
なお、セル生産や順立て作業の安全性、安定性を担保する目的で、図示した作業台装置には、第二の位置決め固定装置が次のように設置されている。
即ち、図5は、上記構成の作業台部3における回転軸30の支持部分を抽出して示している。上記正五角形の柱状に構成された作業台部3の各作業平面の一部を構成する横梁材3aは、上記スポークパイプ3dにより回転軸30と連結して一体的に回転する構成とされているが、その横梁材3aの端部が周回する周回線M上の位置(図6を参照)である、基台1の支持体部2の内面側に、横梁材3aの端部が到達するとこれを受け入れて挟み持つ下向きの位置決め凹部8aを備えた位置決めブロック8が、鉛直上向き方向へ上下動自在に設置されている。
【0024】
具体的には、図6A〜Cに示したとおり、上記位置決めブロック8は、その下面中央の位置に、横梁材3aの外径とほぼ同じ口幅で下向きコ字形の位置決め凹部8aを備えている。そして、該位置決め凹部8aにおいて前記横梁材3aが周回する周回線Mに沿って前後する側面(外郭面部)は、作業台部3の回転に伴って周回する前記横梁材3aの端部が接触し、且つ同作業台部3の回転の進みにしたがい横梁材3aが迫り上げ作用を発揮するのに適切な角度(例えば水平に対し45°前後)の傾斜面8bに形成されている。前記構成の位置決めブロック8は、前記横梁材3aの端部が前記傾斜面8bと接触する位置(図6Aを参照)を下限位置とし、そこから鉛直上方向へ移動自在な構成で設置されている。
【0025】
更に、具体的に説明すると、上記位置決めブロック8を取り付けた台プレート12は、その上下の部位を、基台1の支持体部2を構成する2本の平行な縦材13、13を滑る滑り継手14aと14bに取り付けられている。上位の滑り継手14aには、支持体部2の外面側へ水平方向に突き出るハンドル20が組み付けられている。しかも前記2本の平行な縦材13、13において、前記ハンドル20を組み付けた上位の滑り継手14aの直上位置には、該滑り継手14aを常時下向きに押し下げる弾性体として、図示例ではコイルバネ21が設置されている。他方、同下位の滑り継手14bは、直下の固定継手22へ突き当たることで、上記位置決めブロック8の下限位置を確定する構成とされている。
【0026】
したがって、作業員がセル作業等の進行に伴い、上記した作業台部3の作業平面を一つ進める回転を行うと、同作業台部3の回転に伴って周回する横梁材3aの端部が、位置決めブロック8の傾斜面8bへ接触するに至る(図6A)。そして、同作業台部3の回転の進みにしたがい、前記横梁材3aは傾斜面8bを押し退けて迫り上げる作用を働き、位置決めブロック8を鉛直上向き方向へ押し上げて(押し退けて)進む。そして、遂には上記位置決め凹部8aへ横梁材3aが嵌り込む(図6B)。その結果、作業台部3の回転が止められ、該当する作業平面を作業位置に適切に位置決めした固定状態となる。
その後、作業員のセル作業が進行し、次の作業平面へ作業台部3の回転を進める必要が生じたときは、手作業として上記ハンドル20を鉛直上向き方向へ一定のストローク引き上げる。かくすると前記位置決めブロック8とその位置決め凹部8aは、横梁材3aから上方へ引き離されて横梁材3aを解放して、作業台部3の回転を許容する解除状態となる(図6Cを参照)。したがって、その後は作業台部3の回転を進めることができる。
【0027】
上記の動作を前提として、弾性体21は、常時は位置決めブロック8を押し下げて、位置決め凹部8aが横梁材3aを挟み固定した状態を保持する。そして、上記ハンドル20を鉛直上向き方向へ引き上げて横梁材3aを解放する際には、その解放動作に必要なストロークの上方変位を許容する構成で設置されている(請求項4の発明)。
なお、位置決めブロック8は、上記ハンドル20の手動操作で鉛直上向き方向へ一定のストローク引き上げる構成に代えて、足踏み作業として鉛直上向き方向へ一定のストローク引き上げる機構と手段を採用して同様に実施することもできる。
【0028】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、勿論、本発明は上記実施例の構成に限定されるものではない。本発明の要旨、及び技術思想を逸脱しない範囲で、当業者が必要に応じて行う設計変更や応用、変形として種々な態様で実施され得ることを、念のため申し添える。
【符号の説明】
【0029】
1 基台
2 支持体部
3 作業台部
3a 横梁材
30 回転軸
11 軸受
6 位置決め部材
7 位置決め具
8 位置決めブロック
8a 位置決め凹部
8b 傾斜面
21 弾性体




【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台は、その左右両側の位置に起立する支持体部を備えており、
作業台部は、側面方向に見ると、少なくとも正三角形以上の正多角形の多面体であり、同正多角形の各辺をそれぞれ軸方向へ延長した作業平面の集合で回転体に構成され、同作業台部の回転中心に位置する回転軸が、前記基台の左右両側に起立する支持体部の軸受により水平姿勢で回転自在に支持されており、
前記基台には、前記作業台部よりも上方の位置に、同作業台部と直交する配置として基端部を上下方向への回動が自在に支持された位置決め部材が設置され、同位置決め部材の自由端側に、前記作業台部の各作業平面それぞれの一部を構成する横梁材を挟み持つ位置決め具が下向きに設けられており、
前記位置決め部材を上下方向へ回動させる操作により、前記各作業平面の一部を構成する横梁材を前記位置決め具により挟み持たせて該当する作業平面の作業位置を固定でき、又は同横梁材から位置決め具を解放して作業台部の回転を許容する構成であることを特徴とする、作業平面が回転する作業台装置。
【請求項2】
基台は、その左右両側の位置に起立する支持体部を備え、両側の支持体部は共通な中心線上に支軸を備えており、
作業台部は、側面方向に見ると、少なくとも正三角形以上の正多角形の多面体であり、同正多角形の各辺をそれぞれ軸方向へ延長した作業平面の集合で回転体に構成され、この作業台部は、その回転中心の位置に軸受を備え、同軸受へ前記基台の支軸を通して水平姿勢で回転自在に支持されており、
前記基台には、前記作業台部よりも上方の位置に、同作業台部と直交する配置として基端部を上下方向への回動が自在に支持された位置決め部材が設置され、同位置決め部材の自由端側に、前記作業台部の各作業平面それぞれの一部を構成する横梁材を挟み持つ位置決め具が下向きに設けられており、
前記位置決め部材を上下方向へ回動させる操作により、前記各作業平面の一部を構成する横梁材を前記位置決め具により挟み持たせて該当する作業平面の作業位置を固定でき、又は同横梁材から位置決め具を解放して作業台部の回転を許容する構成であることを特徴とする、作業平面が回転する作業台装置。
【請求項3】
基台の左右両側の位置に起立する支持体部の少なくとも一方の内側面部に、正多角形の多面体として構成された作業台部の各作業平面それぞれの一部を構成する横梁材の端部を受け入れて挟み持つ下向きの位置決め凹部を備え、且つ同位置決め凹部の外郭面部を、作業台部の回転に伴って前記横梁材が接触しつつ周回する回転にしたがい同横梁材が迫り上げ作用を発揮するのに適切な角度の傾斜面に形成された位置決めブロックが、前記横梁材が前記傾斜面と接触する位置を下限として鉛直上方向への移動が自在に設置されており、
更に前記位置決めブロックの前記位置決め凹部へ横梁材が進入した作業平面の位置決め固定の状態から、手作業として又は足踏み作業として、前記位置決めブロックを鉛直上方向へ持ち上げて横梁材を解放し作業台部の回転を許容する解除手段を備えた第二の位置決め装置を更に含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載した作業平面が回転する作業台装置。
【請求項4】
上記第二の位置決め装置を構成する位置決めブロックは、同位置決めブロックが横梁材を解放するのに必要なストロークだけ上方へ変位することを許容する構成の弾性体により常時下向きに押されていることを特徴とする、請求項3に記載した作業平面が回転する作業台部装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−66311(P2012−66311A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210624(P2010−210624)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000245830)矢崎化工株式会社 (47)
【Fターム(参考)】