説明

作業手順提案装置

【課題】農作業を効率的に行うための作業手順を提案することができる作業手順提案装置の提供。
【解決手段】比較する作業手順に対応した作業管理テーブルを読み出し(S11)、各作業手順に従って作業を実施した場合の作業量を算出する(S12)。次いで、各作業手順に従って作成した農作物に対する評価を算出し(S13)、算出した作業量、評価の比較を行い、推奨する作業手順を選択する(S14)。そして、選択した作業手順をモニタなどに表示することにより作業者に報知する(S15)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業を効率的に行うための作業手順を提案することができる作業手順提案装置に関する。
【背景技術】
【0002】
農作業管理は、農家の経験及び勘により行われることが大半である。農作業の生産対象は生き物であり、工業製品のように作業基準を設定することができない場合も多いからである。そこで、近年では、農作業を支援する目的で様々な農作業管理方法が提案されている。
【0003】
例えば、特定の地域、特定の農作物品種に関する作業内容、気候、土壌情報を入力し、これらの情報の相関関係の強いものを抽出してルールデータベースを作成し、このルールデータベースに基づいて作業スケジュールを作成する農業作業支援装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、生産者の販売高予測情報と消費者へ提供する農作物の生産履歴情報とを生成し、同一システム上で管理する栽培計画管理方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開平11−346578号公報
【特許文献2】特開2006−11562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ルールデータベースを作成するために入力される情報は、土壌状態、稲の種類、田植え日時、除草剤散布日時、追肥日時、潅漑作業、排水作業、落水日時、刈り取り日時などの作業データ、気温、湿度、日射量、降水量などの気象データ、病害虫、冷害、干害、出穂日時などの稲の生育に関するデータなどであり、これらのデータの中から相関が強いデータを選択して作業スケジュールを決定したとしても、生産物の収穫量及び品質を確保した作業手順が確立する訳ではない。
【0006】
また、特許文献2では、設定した予測収量となるように、栽培品目、作型、作付け面積、栽培基準等を決定するものであり、生産物の収穫量及び品質を確保したうえで最適な作業手順を見つけるものではない。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、作業量が異なる複数の作業手順に従って農作物を作った場合、各作業手順の作業量及び農作物に対する評価に基づいて推奨する作業手順を選択し、選択した作業手順を報知する構成とすることにより、収穫量や品質が確保された作業手順を確立させることができる作業手順提案装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る作業手順提案装置は、農作物を作る複数の作業手順から推奨する作業手順を提案する装置において、作業量が異なる複数の作業手順及び各作業手順に従って作成した農作物に対する評価を関連付けて記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶されている作業手順の作業量及び農作物に対する評価に基づいて推奨する作業手順を選択する手段と、該手段が選択した作業手順を報知する手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る作業手順提案装置は、前記農作物に対する評価は、収穫量、歩留まり、見掛け、糖度、及び酸度の何れか1つを含むことを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る作業手順提案装置は、農作物の収穫量、歩留まり、見掛け、糖度、及び酸度のうち、少なくとも2つを用いて農作物の評価を算出する手段を備えることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る作業手順提案装置は、各作業手順に従う作業の開始時刻及び終了時刻に係る情報を取得する手段と、取得した開始時刻及び終了時刻の情報により作業量を算出する手段とを備え、算出した作業量を前記記憶手段に記憶するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る作業手順提案装置は、各作業手順に従う作業について途中経過を評価するための評価基準を備え、該評価基準に従って作業の途中経過を評価するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
第1発明にあっては、作業手順を異ならせて農作物を作成したときの作業量及び農作物に対する評価に基づいて推奨する作業手順を選択する構成であるから、農作物の品質に対する影響がない場合には、作業効率が良いもの(すなわち、作業量が少ない作業手順)を次回から選択することにより、最適な作業手順が確立する。
【0014】
第2発明にあっては、農作物の収穫量、歩留まり、見掛け、糖度、及び酸度の何れか1つを用いて農作物の評価が決定される。
【0015】
第3発明にあっては、農作物の収穫量、歩留まり、見掛け、糖度、及び酸度の少なくとも2つを用いて評価が決定される。
【0016】
第4発明にあっては、作業の開始時刻及び終了時刻に係る情報を取得し、取得した開始時刻及び終了時刻の情報により作業量を算出するため、実際の作業時間が作業量として反映される。
【0017】
第5発明にあっては、途中経過を予め設定した評価基準に従って評価するため、作業管理工程が明確化される。
【発明の効果】
【0018】
第1発明による場合は、作業手順を異ならせて農作物を作成したときの作業量及び農作物に対する評価に基づいて推奨する作業手順を選択する。したがって、農作物の品質に対する影響がない場合には、作業効率が良いもの(すなわち、作業量が少ない作業手順)を次回から選択することにより、より良い作業手順で農作業を行うことができる。また、作業量及び農作物の評価に基づく作業手順の選択を繰り返してゆくことにより、収穫量及び品質が確保された最適な作業手順を確立させることができる。
【0019】
第2発明による場合は、農作物の収穫量、歩留まり、見掛け、糖度、及び酸度の何れか1つを用いて農作物の評価を決定することができる。
【0020】
第3発明による場合は、農作物の収穫量、歩留まり、見掛け、糖度、及び酸度の少なくとも2つを用いて評価を決定することができる。
【0021】
第4発明による場合は、作業の開始時刻及び終了時刻に係る情報を取得し、取得した開始時刻及び終了時刻の情報により作業量を算出するため、実際の作業時間を作業量として反映させることができる。特に、各作業者にボタン型のRFIDタグなどの通信端末を携帯させ、作業開始時及び作業終了時にその旨を通知させることにより、作業時間を自動的に集計することができる。
【0022】
第5発明にあっては、途中経過を予め設定した評価基準に従って評価するため、作業管理工程を明確化することができ、途中で不備が生じた場合には作業手順の見直しを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本実施の形態に係る農作業管理システムの全体構成を示す模式図である。本実施の形態に係る農作業管理システムは、農作業を行う各作業者が携帯する通信端末10と、農作業の管理を行う作業管理センタに設置され、作業者に対して効率的な作業手順を提案することができる作業手順提案装置20とを備える。
【0024】
通信端末10は、例えば、ボタン型RFIDタグ(RFID : radio frequency identification)であり、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、位置検出部15を備える。制御部11は、各ハードウェア12〜15の動作を制御するための制御プログラム、自他を識別するための識別情報(以下、RFID番号という)を予め記憶したROM、及びこのROMに記憶された制御プログラムを実行するCPU等を備える。
【0025】
操作部12が備える操作ボタン12A〜12Cが押下操作された場合、制御部11は、操作ボタン12A〜12Cのそれぞれに応じて異なる信号を生成し、通信部14を通じて作業手順提案装置20に送信する。これらの信号を送信するとき、通信端末10は、前述した識別情報であるRFID番号と位置検出部15が取得した自己の位置に係る情報(以下、位置情報という)とを作業手順提案装置20に送信する。なお、RFID番号及び位置情報の送信は、操作ボタン12A〜12Cが押下操作されたときに送信する信号と同時的に送信する構成であってもよく、前後して送信する構成であってもよい。
【0026】
作業手順提案装置20は、CPU21、ROM23、RAM24、入力インタフェース25、出力インタフェース26、通信インタフェース27、HDD28、及び補助記憶装置29を備える。これらのハードウェア各部はバス22を介して接続されている。ROM23には、作業手順を提案させるために実行されるコンピュータプログラム、及び前述のハードウェア各部を制御するための制御プログラム等が予め記録されており、CPU21がこれらのプログラムをRAM24上にロードして実行することにより、装置全体を本発明に係る作業手順提案装置20として機能させる。また、CPU21は内蔵の時計を有しており、各種の処理を実行したときの時刻情報を出力することができるように構成されている。
【0027】
通信インタフェース27には、作業者が携帯する通信端末10と通信を行う通信装置270が接続されており、この通信装置270の動作を制御することによって通信端末10との通信を行う。通信装置270は、例えば、通信端末10から送信される信号を受信するためのアンテナ回路、アンテナ回路にて受信した信号をデジタル信号に変化する信号変換回路、送信すべき情報の出力先を決定するフォワーディングエンジン等を備える。
【0028】
HDD28は磁気記憶装置であり、その記憶領域の一部は、標準作業管理テーブル281、作業管理テーブル282A〜282C、途中経過評価テーブル283、作業員管理テーブル284、RFID管理テーブル285、作業履歴管理テーブル286として利用されている。各テーブル281〜286の内容は自動又は手動により随時更新される。なお、これら各テーブル281〜286については後に詳述することとするが、本作業手順提案装置20は、これらのテーブル281〜286に登録されている内容を基に効率的な作業手順を導き出し、作業者に対して提案するように構成されている。
【0029】
入力インタフェース25にはキーボード250が接続されており、HDD28に設けられた各テーブル281〜286に登録すべき情報、各種処理の実行指示等を受付ける。また、出力インタフェース26にはモニタ260が接続されており、各テーブル281〜286に登録された情報、各種処理の実行結果等を表示する。また、補助記憶装置29は、コンピュータプログラム、データ等が記録されたFD、CD−ROM等の記録媒体からコンピュータプログラム、データ等を読み取るための読取装置である。
【0030】
以下、作業手順提案装置20のHDD28内に設けられた各種テーブルの構成について説明する。図2は標準作業管理テーブル281の一例を示す概念図である。標準作業管理テーブル281では、作物名、品種名、作業番号、作業名、標準作業時間、生育ステージの情報を互いに関連付けて記憶する。この標準作業管理テーブル281では、実施順序に従って作業名が登録されている。したがって、例えば、施設消毒の作業の後に播種作業を行うことがこの標準作業管理テーブル281から分かる。また、標準作業時間としては、10aの栽培面積を1人の作業者が作業時間するとした場合の作業時間が記録されている。
【0031】
図3及び図4はそれぞれ作業管理テーブル282A,282Bの一例を示す概念図である。これらの作業管理テーブル282A,282Bは、前述の標準作業管理テーブル281をベースとして一部の作業手順を変更したものである。図3に示した作業管理テーブル282Aでは、施肥作業の標準作業時間を10時間に変更し、使用する肥料をA肥料及びB肥料としている。また、点滴潅水を120時間行うように変更している。これに対し図4に示した作業管理テーブル282Bでは、施肥作業の標準作業時間を5時間とし、使用する肥料をB肥料のみとしている。また、芽かき、一斉潅水の標準作業時間をそれぞれ120時間、60時間とし、摘果作業及び摘葉作業を行わないように設定している。なお、作業管理テーブル282Cについては、具体例を示していないが、作業管理テーブル282A,282Bの何れとも異なる作業手順が登録されている。作業手順提案装置20では、これらの作業管理テーブル282A〜282Cに従って農作物(図3及び図4の例ではトマト)を作成した場合の作業時間と作成された農作物の品質評価とを用いて作業手順に関するフィードバックを行う。
【0032】
なお、本実施の形態では、3つの作業管理テーブル282A〜282CがHDD28に記憶されているが、2つ又は4つ以上の作業管理テーブルを用意してもよいことは勿論のことである。
【0033】
図5は途中経過評価テーブル283の一例を示す概念図である。途中経過評価テーブル283では、作物名、品種名、生育ステージ、経過日数、評価基準を互いに関連付けて記憶する。このように、作業の経過日数によりチェックポイントを設定しておくことにより、チェックポイント毎の評価が可能となり、作業管理工程をより明確化することができる。
【0034】
図6は作業員管理テーブル284及びRFID管理テーブル285の一例を示す概念図である。図6(a)に示す作業員管理テーブル284では、作業員名、性別、年令、経験年数、就業日数、就業時間の情報を互いに関連付けて記憶する。図6(b)に示すRFID管理テーブル285は、RFID番号、作業員名、作業開始フラグ、作業切替フラグ、作業中断フラグを互いに関連付けて記憶する。RFID番号は前述したように各通信端末10に割り当てられた固有の識別情報である。作業開始フラグは、作業者が作業中であるか否かを示すフラグであり、作業中である場合「1」がセットされ、作業中でない場合「0」がセットされる。作業切替フラグは、作業の切替回数を示すフラグであり、切替回数に等しい整数値がセットされる。作業中断フラグは、作業者による作業が中断しているか否かを示すフラグであり、中断中である場合「1」がセットされ、中断中でない場合「0」がセットされる。このRFID管理テーブル285は、通信端末10の操作ボタン12A〜12Cが押下操作されたときに送信される信号を受信した場合、自動更新されるように構成されている。したがって、作業手順提案装置20は、通信端末10の操作ボタン12A〜12Cが押下操作されたときに送信される通信装置270を介して受信したとき、その信号の識別処理を行い、該当するフラグを参照することで前記通信端末10を携帯する作業者が作業を開始したのか、終了したのか、作業内容を切り替えたのか、作業を中断したのかを把握することができる。
【0035】
図7は作業履歴管理テーブル286の一例を示す概念図である。作業履歴管理テーブル286では、作業日、作業内容、作業開始時刻、作業終了時刻、中断開始時刻、中断終了時刻、中断理由を互いに関連付けて記憶する。この作業履歴管理テーブル286は、作業者毎に用意されるテーブルであり、通信端末10の操作ボタン12A〜12Cが押下操作されたときに送信される信号を受信した場合、自動更新されるように構成されている。また、必要に応じて中断理由の項目の入力を入力インタフェース25に接続されたキーボード250を介して受付ける。
【0036】
なお、本実施の形態では、作業者毎の情報を管理する構成としたが、作業者のグルーピングを行い、グループ全体での時間把握、作業工程把握を行うことで、個人の能力差を埋め、チームとしての生産性を向上させることができる。
【0037】
以下、作業手順提案装置20が実行する処理について説明する。図8は作業手順提案装置20が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。作業手順提案装置20は、まず、比較対象の作業手順に対応した作業管理テーブルの読み出しを行う(ステップS11)。例えば、HDD28に格納されている作業管理テーブル282A、282Bを読み出す。
【0038】
次いで、作業手順提案装置20は、各作業手順に従って作業を実施した場合の作業量を算出する(ステップS12)。例えば、比較対照の作業手順が、作業管理テーブル282A及び282Bで示される手順である場合、作業管理テーブル282Aの各作業工程の標準作業時間の和、及び作業管理テーブル282Bの各作業工程の標準作業時間の和を算出する。図3及び図4に示すように、作業管理テーブル282Aで示される作業手順の方が作業管理テーブル282Bで示される作業手順より作業量が多いことになる。
【0039】
次いで、作業手順提案装置20は、各作業手順に従って作成した農作物に対する評価を算出する(ステップS13)。農作物に対する評価としては、収穫量、歩留まり、見掛け(大きさ、色、形)、糖度、酸度などの値を用いることができる。または、これらに対する品質評価係数を予め設定しておき、この係数に実際の数値をかけ算した和を求めることで評価を算出することができる。図9は品質評価係数の一例を示す図表である。図9に示した例では、みかん、りんご、イチゴ、トマトの各作物に対して、収穫量、歩留まり、大きさ、色、形、糖度、酸度の各評価係数を定めている。また、作業手順に違いによる品質の許容範囲を予め設定しておき、算出した品質が許容範囲内であれば品質が同程度であるとみなす。
【0040】
例えば、作業管理テーブル282Aに従う作業手順(作業手順Aとする)で作成したみかんの収穫量、歩留まり、大きさ、…を夫々5t、90%、6cm、…として評価値を算出した場合、評価値は3×5t×3×90%+4×6cm+…のように算出される。同様に、作業管理テーブル282Bに従う作業手順(作業手順Bとする)作成したみかんの収穫量、歩留まり、大きさ、…を夫々4t、95%、7cm、…として評価値を算出した場合、評価値は3×4t×3×95%+4×7cm+…のように算出される。作業手順Aにより作成したみかんの品質を500、作業手順Bにより作成したみかんの品質を400とした場合、品質の許容範囲が100であるとき、作業手順Aで作成されたみかんの品質と作業手順Bで作成されたみかんの品質とは同程度であると判定される。また、品質の許容範囲が50である場合、作業手順Bで作成されたみかんの品質より、作業手順Aで作成されたみかんの品質の方が高いと判定される。
【0041】
評価の比較例として別の方法を用いることも可能である。例えば、係数の大きい順に実際の生産物の数値を作業項目毎に比較し、比較結果に基づいて最終的に品質評価を行うようにしてもよい。この際、係数4以上の項目を比較するなど、比較範囲を予め設定しておく。そして優勢点が多い作業手順の方が品質が高いと判定する。
【0042】
また、係数4以上の項目を抽出し、抽出した項目の係数の和の大小により品質の評価を行ってもよい。例えば、手順Aについて、係数4以上の作業項目が3つあり、その係数が「5」,「4」,「4」である場合、品質評価は5+4+4=13となる。一方、手順Bについて係数4以上の作業項目が2つであり、その係数が「4」,「4」である場合、品質の評価は4+4=8となる。この場合、手順Aで作成した農作物の方が品質がよいと判断することができる。
【0043】
次いで、作業手順提案装置20は、算出した作業量、評価の比較を行い、推奨する作業手順を選択する(ステップS14)。例えば、農作物に対する評価が同程度である場合、作業量が少ない作業手順を推奨する作業手順として選択する。
【0044】
次いで、作業手順提案装置20は、選択した作業手順を作業者に対して報知する(ステップS15)。作業手順の報知は、出力インタフェース26を通じてモニタ260に選択した作業手順の情報を表示することによって行う、又は通信インタフェース27を通じて作業者の通信端末10に作業手順の情報を送信することによって行う。
【0045】
このような作業量及び評価の比較をHDD28内の全ての作業管理テーブル282A〜282Cについて行うことにより、収穫量及び品質が確保された、最適な作業手順が確立される。
【0046】
また、作業手順提案装置20は、各作業者の通信端末10から送信される情報を受信することにより、どの作業をどれだけの時間行ったかを自動的に計測することが可能であるため、作業空間密度による違いを把握することができる。作業密度及び収穫量などの比較を行うことで、その人にとって最適な作業空間密度を割り出すことができる。
【0047】
本実施の形態では、農作業について効率的な作業手順を提案する装置について説明したが、畜産物等の生産についても同様の手法により効率的な作業手順の提案が可能であることは言うまでもないことである。
【0048】
(付記1) 農作物を作る複数の作業手順から推奨する作業手順を提案する装置において、作業量が異なる複数の作業手順及び各作業手順に従って作成した農作物に対する評価を関連付けて記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶されている作業手順の作業量及び農作物に対する評価に基づいて推奨する作業手順を選択する手段と、該手段が選択した作業手順を報知する手段とを備えることを特徴とする作業手順提案装置。
【0049】
(付記2) 前記農作物に対する評価は、収穫量、歩留まり、見掛け、糖度、及び酸度の何れか1つを含むことを特徴とする付記1に記載の作業手順提案装置。
【0050】
(付記3) 農作物の収穫量、歩留まり、見掛け、糖度、及び酸度のうち、少なくとも2つを用いて農作物の評価を算出する手段を備えることを特徴とする付記1に記載の作業手順提案装置。
【0051】
(付記4) 各作業手順に従う作業の開始時刻及び終了時刻に係る情報を取得する手段と、取得した開始時刻及び終了時刻の情報により作業量を算出する手段とを備え、算出した作業量を前記記憶手段に記憶するようにしてあることを特徴とする付記1乃至付記3の何れか1つに記載の作業手順提案装置。
【0052】
(付記5) 各作業手順に従う作業について途中経過を評価するための評価基準を備え、該評価基準に従って作業の途中経過を評価するようにしてあることを特徴とする付記1乃至付記4の何れか1つに記載の作業手順提案装置。
【0053】
(付記6) 農作物の収穫量、歩留まり、見掛け、糖度、及び酸度のうち、少なくとも1つの情報を取得する手段と、取得した情報に基づいて農作物に対する評価を行う手段とを備え、該手段による評価を前記記憶手段に記憶するようにしてあることを特徴とする付記1乃至付記3の何れか1つに記載の作業手順提案装置。

(付記7) コンピュータに、農作物を作る複数の作業手順から推奨する作業手順を提案させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、作業量が異なる複数の作業手順及び各作業手順に従って作成した農作物に対する評価を関連付けて記憶装置に記憶させるステップと、コンピュータに、前記記憶装置に記憶されている作業手順の作業量及び農作物に対する評価に基づいて推奨する作業手順を選択させるステップと、コンピュータに、前記ステップにて選択させた作業手順を報知させるステップとを有することを特徴とするコンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施の形態に係る農作業管理システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】標準作業管理テーブルの一例を示す概念図である。
【図3】作業管理テーブルの一例を示す概念図である。
【図4】作業管理テーブルの一例を示す概念図である。
【図5】途中経過評価テーブルの一例を示す概念図である。
【図6】作業員管理テーブル及びRFID管理テーブルの一例を示す概念図である。
【図7】作業履歴管理テーブルの一例を示す概念図である。
【図8】作業手順提案装置が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【図9】品質評価係数の一例を示す図表である。
【符号の説明】
【0055】
10 通信端末
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 通信部
20 作業手順提案装置
21 CPU
22 バス
23 ROM
24 RAM
25 入力インタフェース
26 出力インタフェース
27 通信インタフェース
28 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を作る複数の作業手順から推奨する作業手順を提案する装置において、
作業量が異なる複数の作業手順及び各作業手順に従って作成した農作物に対する評価を関連付けて記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶されている作業手順の作業量及び農作物に対する評価に基づいて推奨する作業手順を選択する手段と、該手段が選択した作業手順を報知する手段とを備えることを特徴とする作業手順提案装置。
【請求項2】
前記農作物に対する評価は、収穫量、歩留まり、見掛け、糖度、及び酸度の何れか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の作業手順提案装置。
【請求項3】
農作物の収穫量、歩留まり、見掛け、糖度、及び酸度のうち、少なくとも2つを用いて農作物の評価を算出する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の作業手順提案装置。
【請求項4】
各作業手順に従う作業の開始時刻及び終了時刻に係る情報を取得する手段と、取得した開始時刻及び終了時刻の情報により作業量を算出する手段とを備え、算出した作業量を前記記憶手段に記憶するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の作業手順提案装置。
【請求項5】
各作業手順に従う作業について途中経過を評価するための評価基準を備え、該評価基準に従って作業の途中経過を評価するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の作業手順提案装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−245620(P2008−245620A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94069(P2007−94069)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)