説明

作業指図管理方法および作業指図管理システム

【課題】複数の作業手順を含む作業指図の内容について、作業者ごとの改善点を作業指図に反映することができる作業指図管理方法を提供する。
【解決手段】セル作業端末20は、指図識別情報の作業手順に従い表示装置23に作業図を表示し、表示された作業図に対して改善情報が画面に直接手書き入力されると、入力された作業図の改善情報を、該作業図の頁情報と指図識別情報とに関連付けて管理サーバ30に送信し、管理サーバ30は、作業図の改善情報を受信すると、作業者識別情報で識別される作業者ごとに、作業図の頁情報および指図識別情報と対応付けて受信した改善情報を記憶部32に記憶し、セル作業端末20は、次に、同一の指図識別情報および作業者識別情報に基づいて作業手順に従い表示装置23に作業図を表示する際に、作業者ごとの作業図の改善情報を、表示装置23に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の作業手順を含む作業指図の内容について、作業者ごとの改善点を作業指図に反映することができる作業指図管理方法および作業指図管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
組み立て製造業において、1人または複数の作業者が部品の取り付けから組み立て、加工、検査までの全工程(1人が多工程)を担当するセル生産方式がある。セル生産方式は、部品や工具などを配置したセルと呼ばれるセル作業台で作業を行う。セル生産方式は、部品箱の入れ替えやセルでの作業者の作業順序を変えるだけで、生産品目(製品バリエーションなど)を容易に変更できるため、多品種少量生産への対応に優れている。また、生産量の調整についても、セル内人数の調整やセル数の増減によって対応しやすいことが特徴である。
【0003】
セル生産方式では、セル作業台に設置されたデータ表示部に、作業手順情報を表示する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。データ表示部の画面には、作業手順に関する文書、画像、および使用部品の表示データが表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-242928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セル生産方式では、熟練者や非熟練者などさまざまな技量の作業者が対応しているため、表示画面に表示される指図の作業手順である作業指示画面の良し悪しにより作業効率が大幅に変化することが知られている。このため、作業指示画面の作成には、ベテラン作業者が携わり、作業者が一目見るだけで作業内容を把握できるように、わかりやすい視線(目線)や視点を考慮しつつ作り込みを行っている。このような状況においても、全ての作業者が理解できる作業指示画面(作業図)を作成することには、多大な手間がかかる。
【0006】
作業者は、作業図の改善点などがあれば、指図の指図ID(IDentification)、作業図の番号、改善内容などを控えておいて、後に管理者などに知らせる必要があった。また、知らせを受けた管理者は、指図を改善すべきか否かを検討するが、作業者の熟練度には大きな違いがあり、詳細にかけば作業図が煩雑になり、簡潔に書くと非熟練者にはわかりづらいことになり、作業図を改善すべきか否かについて検討時間を要していた。
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、複数の作業手順を含む作業指図の内容について、作業者ごとの改善点を作業指図に反映することができる作業指図管理方法および作業指図管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の作業指図管理方法は、作業の指図ごとに作業手順を管理する管理サーバと、作業場所に設置され管理サーバから受信した作業手順に従い表示装置に作業図を表示する作業端末(例えば、セル作業端末20)とを備え、管理サーバが作業端末から作業者の作業図の改善情報(例えば、コメント、メモ)に基づき、該作業者ごとに自動的に該改善情報を管理する作業指図管理方法である。
【0009】
作業端末は、入力装置から作業を特定するための指図識別情報および作業者を特定するための作業者識別情報の入力を受け付け、入力された指図識別情報の作業手順に従い画面に直接手書き入力できる表示装置に作業図を表示し、表示装置を介して表示された作業図の改善情報が入力された場合、入力された作業図の改善情報を、該作業図の頁情報と指図識別情報とに関連付けて管理サーバに送信し、
管理サーバは、送信された作業図の改善情報に基づき、作業者識別情報で識別される作業者ごとに、作業図の頁情報および指図識別情報と対応付けて受信した改善情報を記憶部に記憶し、
作業端末は、次に、同一の前記指図識別情報および前記作業者識別情報に基づいて、作業手順に従い表示装置に作業図を表示する際に、作業者ごとの作業図の改善情報を、表示装置に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の作業手順を含む作業指図の内容について、作業者ごとの改善点を作業指図に反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】作業指図管理システムを示す構成図である。
【図2】作業エリアのセル作業台の一例を示す外観斜視図である。
【図3】指図管理情報の例を示す説明図である。
【図4】表示装置の表示画面例を示す説明図である。
【図5】表示装置にメモ書きをした例を示す説明図である。
【図6】作業指図管理システムの処理を示すフローチャートである。
【図7】指図管理情報の他の例を示す説明図である。
【図8】作業実績情報収集と作業指図の改善との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、作業指図管理システムを示す構成図である。作業指図管理システムSは、指図管理端末10(管理端末)と、セル作業端末20(作業端末)と、管理サーバ30とを備えている。指図管理端末10と、セル作業端末20と、管理サーバ30とは、LAN(Local Area Network)などのネットワーク40で接続されている。
【0013】
本実施形態において、1人または数人の作業者が複数の作業を担当するセル生産方式の作業工程を例に説明する。セル生産方式では、部品や工具などを配置したセルと呼ばれるセル作業台71で作業を行う。セル生産方式は、部品箱の入れ替えやセルでの作業者の作業順序を変えるだけで、生産品目(製品バリエーションなど)を容易に変更でき、多品種少量生産への対応に優れている。また、生産量の調整についても、セル内人数の調整やセル数の増減によって対応しやすいことが特徴である。
【0014】
指図管理端末10は、作業が必要になった際に、指図50を発行・管理するコンピュータ端末であり、管理サーバ30の記憶部32に、指図内容および組付指示情報(図示せず)を登録する。なお、組付指示情報とは、製品・半製品を組み立てていく(組み付けていく)上で必要な部品および手順の情報をいう。ここでは、組付指示情報として、ワーク60に部品61を組み付ける組付工程を例として説明する。なお、ワーク60は、作業対象物品である。
【0015】
指図管理端末10は、処理部11、入力装置12、表示装置13、ICタグリーダライタ14、およびプリンタ15を備え、処理部11は、指図50を管理する指図管理部11Aを有する。
【0016】
指図管理部11Aは、入力装置12から指図出力要求を受理すると、例えば、指図50をリライタブルのプリンタ15にて出力する。また、ICタグリーダライタ14は、指図管理部11Aの指示により、作業内容を特定する情報を作業特定用ICタグ51に書き込む。
【0017】
作業内容を特定する情報とは、例えば、指図50のバージョン番号を含む指図ID(指図識別情報)、製造する製品・半製品の品名または型番、製作員数である。また、作業対象物品の作業内容を特定する情報の詳細情報として、作業者が、ワーク60に部品61を組み付ける際の組付情報が記載されており、具体的には、部品61の種別、員数、および部品の組み付け順序である。
【0018】
指図50は、作業者が担当する組付工程が記載された書類である。指図50の書類には、RFID(Radio Frequency IDentification)などの非接触の無線ICタグである作業特定用ICタグ51が添付されている。
【0019】
セル作業端末20は、投入口を有する作業管理ボックス21、作業管理ボックス21の側面に付設され作業特定用ICタグ51を読み取るICタグリーダライタ22と、作業手順を表示する表示装置23と、ポインティングデバイス24と、表示装置23に表示された作業手順を作業者が切り替えるためのスイッチ25と、制御装置26とを備えている。なお、スイッチ25が押下されると、表示されていた作業手順が終了したこと、また、次の作業手順が開始されたことを意味する。
【0020】
表示装置23は、画面に直接手書き入力できる表示装置であり、ポインティングデバイス24の専用ペンにより、画面に表示された作業図に対し、コメントやメモを書くことができる。作業者は、表示された作業図にコメントを記入したい場合、ポインティングデバイス24を用いて、画面にコメントを記入し、登録ボタン237(図4参照)を押下する。すると、セル作業端末20の制御装置26は、現在表示されている頁のプリントスクリーンによりワンショット画像を取得し改善情報として、作業図の頁情報と、指図識別情報と、作業者識別情報とを関連付けて、管理サーバ30に送信する。なお、ここでは改善情報として画像としているが、記入されたコメントを位置情報とともに送付し、管理サーバ30側で、元画像と合成してもよい。
【0021】
作業管理ボックス21は、作業者が、指図50を作業の開始時に投入するボックスである。また、作業者は、作業が終了すると、指図50を作業管理ボックス21から取り出し、例えば、ワーク60に取り出した指図50を添付して、次の工程に配送する。
【0022】
ICタグリーダライタ22は、作業管理ボックス21に指図50が投入された際、作業特定用ICタグ51との通信を確認すると、指図50に添付されている作業特定用ICタグ51の情報を読み取り、制御装置26を介して管理サーバ30に、作業特定用ICタグ51との通信開始情報と、作業内容を特定する情報とを送信する。通信開始情報には、作業管理ボックス21のID、通信開始時刻がある。作業内容を特定する情報には、例えば、指図50の指図ID、製造する製品・半製品の型番、製作員数がある。また、ICタグリーダライタ22は、作業管理ボックス21から、指図50が取り出された際、作業特定用ICタグ51との通信の断絶を確認すると、制御装置26を介して管理サーバ30に、作業特定用ICタグ51との通信終了情報と、作業内容を特定する情報とを送信する。通信終了情報には、作業管理ボックス21のID、通信終了時刻がある。作業内容を特定する情報には、例えば、指図50の指図ID、製造する製品・半製品の型番、製作員数がある。
【0023】
なお、ICタグリーダライタ22は、周期的にICタグの読取動作をしているとき、作業特定用ICタグ51と最初に通信の開始を検知したときを通信開始時刻とし、作業特定用ICタグ51と最初に通信の断絶を検知したときを通信終了時刻とするとよい。また、作業管理ボックス21には、複数のICタグを投入してもよい。他のICタグとしては、例えば、作業者を特定する情報が書き込まれた作業者特定用ICタグ52がある。ICタグリーダライタ22は、作業者特定用ICタグ52が投入された際、作業者特定用ICタグ52の情報を読み取り、制御装置26を介して管理サーバ30に、作業者特定用ICタグ52との通信開始情報と、作業者を特定する情報とを送信する。通信開始情報には、例えば、作業管理ボックス21のID、通信開始時刻がある。また、ICタグリーダライタ22は、作業管理ボックス21から、作業者特定用ICタグ52が取り出された際、作業者特定用ICタグ52との通信の断絶を確認すると、管理サーバ30に、作業者特定用ICタグ52との通信終了情報と、作業者を特定する情報とを送信する。通信終了情報には、例えば、作業管理ボックス21のID、通信終了時刻がある。
【0024】
管理サーバ30は、処理部31、記憶部32を有し、指図50とその作業手順とを関連付けた指図管理情報33(図3参照)を記憶部32に記憶し、指図50を管理するサーバであり、指図管理端末10、セル作業端末20からの情報を記憶する。
【0025】
管理サーバ30は、作業時には、セル作業端末20からの情報、例えば、通信開始情報、作業内容を特定する情報、通信終了情報を受信すると、記憶部32に記憶する。受信した情報には、年月日を含む時刻情報(タイムスタンプ)が付加されて記憶される。記憶部32に記憶される時刻情報には、通信開始情報に含まれる通信開始時刻、通信終了情報に含まれる通信終了時刻、および受信された情報に付加される時刻情報(タイムスタンプ)がある。受信した情報に付加される時刻情報(タイムスタンプ)は、通信開始時刻および通信終了時刻のバックアップとして利用してもよい。また、ICタグリーダライタ22から送信された情報に、時刻情報が含まれていない場合は、受信した情報に付加される時刻情報(タイムスタンプ)が、受信した情報の管理に利用される。また、管理サーバ30は、スイッチ25が押下された時刻情報も記憶部32の作業実績情報(図示せず)として記憶する。管理サーバ30の処理部31は、記憶部32の情報から、例えば、指図別、各指図の作業手順別の作業時間を演算し、演算結果を記憶部32に記憶する。
【0026】
なお、管理サーバ30の管理者端末(図示せず)は、指図50の発行状態などの作業計画に対する着手実績および製造工程内の作業実績を、管理サーバ30の記憶部32を検索することにより、監視、分析することができる。
【0027】
本実施形態の特徴について、図8を参照して概要を説明する。
図8は、作業実績情報収集と作業指図の改善との関係を示す説明図である。適宜図1を参照して説明する。管理サーバ30は、複数のセル作業端末20から複数の作業手順を含む指図50の作業図の作業実績データを収集するとともに、表示装置23に表示された作業図について、作業者からの改善情報(例えば、コメント、メモ)を収集し、作業実績DB322に格納する(ステップS1)。管理サーバ30は、作業実績DB322に記憶された作業実績データから「改善情報」を抽出し、作業者、指図IDおよび該指図IDの頁番号と関連付けて作業指図DB321の更新指令をし(ステップS2)、管理サーバ30の作業指図DB321を修正する。
【0028】
次回、セル作業端末20から、同じ作業者についての同じ作業内容の作業要求があると、管理サーバ30は改善された作業図の作業指示を表示装置23に表示することができる(ステップS3)。本実施形態では、複数の作業手順を含む作業指図の内容の改善点を容易に収集することができ、また、収集した改善点を作業者ごとに管理することができる。
【0029】
図2は、作業エリアのセル作業台の一例を示す外観斜視図である。セル作業台71の下部には、作業管理ボックス21が設置されており、作業管理ボックス21にICタグリーダライタ22が付設されている。作業管理ボックス21は、作業者が、指図50を作業開始時に投入、作業終了時に取出しが容易なように、図面前方に傾斜している。これにより、作業者は、作業管理ボックス21内の指図50の有無を容易に目視確認できる。なお、作業管理ボックス21の投入口は、略垂直で上方向にあることが好ましい。これにより、作業管理ボックス21の設置面積を最小化することができる。
【0030】
セル作業台71の上部(上面)は、ワーク60の組付作業エリアであり、また、作業者の前方には、表示装置23、複数の部品箱72が設置されている。組み付け作業時には、作業者は、表示装置23に表示された情報(作業指示画面)に従い、ワーク60に対して部品61を組み付け作業を行う。
【0031】
また、セル作業台71の上部(上面)には、図1で説明したように、スイッチ25が配置されており、作業者がスイッチ25を押下すると、表示装置23に表示されている作業手順の指示画面を切り替えることができる。また、作業者は、表示装置23に表示された作業図にコメント、メモを記入しようとする場合、ポインティングデバイス24を使用して記入することができる。なお、セル作業端末20は、スイッチ25の押下操作、および、表示装置23に表示された作業図に対する記録操作、削除操作があると、操作内容、操作時刻を管理サーバ30に送信する。
【0032】
図3は、指図管理情報の例を示す説明図である。図3(a)は、指図管理端末10(図1参照)で管理された指図管理情報33A(33)であり、図3(b)は、指図管理情報33Aの行をマウスなどでクリック(選択)した場合に表示される指図管理情報33B(33)である。
【0033】
指図管理情報33Aは、指図ID、バージョン番号(Ver)、作業者(作業者名または作業者ID)、該指図IDの作業手順の作業図頁(1頁、2頁などを識別する頁識別情報)から構成されている。具体的に説明すると、図3(a)に示す指図IDが123ABC(バージョン番号0.0)の場合、作業図は1頁から9頁で構成されている。また、指図IDが123DEF(バージョン番号は0.0)の場合、作業図は1頁から7頁で構成されている。さらに、指図IDが123ABCで同じであっても、バージョン番号が異なる場合(例えば、バージョン番号0.1)、作業図頁は1頁から8頁で構成されている。
【0034】
図3(b)に示す指図管理情報33Bには、各指図IDに対する、作業者ごとに管理された指図情報が格納されている。具体的に説明すると、図3(a)に示す指図IDが123ABC(バージョン番号は0.0)の場合、通常、作業図頁は1頁から9頁で構成されている。しかしながら、作業者Aの場合、作業図2頁のあとに、追加作業図として2−1頁が追加されている。同様に、作業者Cの場合、作業図6頁のあとに、追加作業図として6−1頁が追加されていることがわかる。本実施形態では、作業者が、以前に改善情報を登録した場合、次回の作業を指図50(図1参照)に基づいて作業する際に、改善情報の作業図を表示できることが特徴となっている。なお、図3(b)の斜線部分は、説明の便宜上明示しているが、データベース(DB)上は、情報を保持していなくてもよい。
【0035】
図3(a)、図3(b)に示す作業図頁の各セルを選択した場合には、各作業図頁に関する関連情報を表示することができる。例えば、図3(a)に示す指図IDが123ABC(バージョン番号0.0)の場合、作業図頁の2頁のセルをクリックすると、別画面に関連情報として、指図ID、作業内容、部品情報、目標作業時間、追加頁の有無などが表示される。また、図3(b)に示す作業図頁2−1頁のセルをクリックすると、別画面に2頁の関連情報とともに、2−1頁が追加登録された時刻、作業者名が表示される。
【0036】
図4は、表示装置の表示画面例を示す説明図である。図4に示す表示画面には、ICを挿入する際の具体例を示す。表示装置23に表示された画面には、作業概要欄231、作業図欄232、部品情報欄233、作業経過時間欄234、手順番号欄235、追加頁欄236、登録ボタン237、削除ボタン238およびクリアボタン239が表示されている。
【0037】
作業者は、作業図欄232、部品情報欄233の内容を見て、例えば、IC(型式ABC3)を、所定のプリント基板に挿入することがわかる。また、作業経過時間欄234の目標時間に対し、現在、どの程度時間が経過しているか確認することができる。また、現在の画面が、手順番号欄235を参照することにより、例えば、9頁中の2頁目であることがわかる。
【0038】
作業者は、作業図に対し、コメント、メモなど改善情報を記入する場合には、ポインティングデバイス24(図1参照)を用いて、表示装置23の画面に記入することができる。記入した改善情報を記録する場合には、登録ボタン237を押下するとよい。また、表示された頁を削除する場合には、削除ボタン238を押下するとよい。また、記入したコメント、メモを削除する際には、クリアボタン239を押下するとよい。本実施形態では、作業者は、表示された画面に対し、改善情報を登録し、改善情報をクリアし、既に追加されている頁そのものを削除することができる。
【0039】
作業者は、追加頁欄236を参照することにより、本頁に対する追加頁があるか否かを判断できる。具体的には、追加頁欄236が○の場合、スイッチ25を押下すると、次の頁が表示装置23に表示される。すなわち、図4の場合、2頁のあとの2−1頁が表示される。なお、追加頁欄が×の場合、追加頁236がないことを示す。
【0040】
図5は、表示装置にメモ書きをした例を示す説明図である。図4を参照して説明する。熟練した作業者は、図4に示す作業図欄232にある『ピン折れ注意して挿入のこと』の注意書きを見て、挿入対象のICは、ピン折れがしやすいことがわかる。これと同時に、記載はないが、ICの装着の向きが重要であることに注意することは周知事頁となっていることが多い。
【0041】
一方、非熟練者は、次回の作業時に注意書きを残しておいたほうがよいと思った場合に、表示されている画面に対し、図5に示す吹き出しのように、『型式名の向きに注意!』とコメントを記入することができる。本実施形態では、作業内容の改善情報を、その場で、その時に、記入し登録することができるので、作業者の作業内容について改善することが容易となる。また、作業指図管理システムSは、作業者ごとに改善情報を記憶し、再生することができるので、熟練者、非熟練者に対応した指図内容を保持することができる。
【0042】
次に、作業指図管理システムSの処理について、図6を参照して説明する。
図6は、作業指図管理システムの処理を示すフローチャートである。適宜図1を参照して説明する。作業エリアの作業者は、最初に作業者特定用ICタグ52(作業者タグ)を
セル作業台71の下部に設置されている作業管理ボックス21に投入する。すると、ICタグリーダライタ22は作業者タグの投入を検知できたか否かを判定し(ステップS201)、作業者タグの投入が検知された場合(ステップS201,Yes)、ステップS202に進み、作業者タグの投入が検知されない場合(ステップS201,No)、ステップS201に戻る。なお、例えば、作業者が、その日の午前中にその作業エリアを担当する際は、常時投入しておくとよい。
【0043】
作業者は、指図50が添付されたワーク60を受け取ると、指図50を、セル作業台71の下部に設置されている作業管理ボックス21に投入する。すると、ICタグリーダライタ22は作業特定用IC51タグ(指図タグ)が付された指図50の投入を検知できたか否かを判定し(ステップS202)、指図投入が検知された場合(ステップS202,Yes)、ステップS203に進み、指図投入が検知されない場合(ステップS202,No)、ステップS202に戻る。なお、ステップS201、ステップS202の判定は、順序が入れ替わってもよい。
【0044】
ICタグリーダライタ22は、作業特定用ICタグ51から指図識別情報を読み取り、さらに作業者特定用ICタグ52から作業者識別情報を読み取り、通信開始情報を含めて作業開始情報として、制御装置26を介して管理サーバ30に送信する(ステップS203)。
【0045】
管理サーバ30は、受信した作業開始情報を記憶部32に記録する(ステップS301)。このときに受信された情報には、時刻情報(タイムスタンプ)を付加して記録してもよい。
【0046】
管理サーバ30は、指図50の組付指示情報(頁識別情報毎に対応する作業指示画面)を含む指図情報をセル作業端末20に送信する(ステップS302)。
【0047】
セル作業端末20の制御装置26は、指図情報を受信すると、1頁目の作業指示画面(頁画面)を表示する(ステップS204)。
【0048】
そして、セル作業端末20の制御装置26は、予め設定された所定時間内に(例えば、頁に関する作業時間に基づいて設定される。)表示装置23の登録ボタン237(図4参照)の押下があるか否かを判定する(ステップS205)。制御装置26は、登録ボタン237の押下を検知すると(ステップS205,Yes)、現在表示されている頁のプリントスクリーンによりワンショット画像を取得し、セル作業端末20の端末番号、指図ID、頁識別情報、作業者識別情報とともに改善情報を管理サーバ30に送信する(ステップS206)。管理サーバ30は、改善情報を受信すると、時刻情報(タイムスタンプ)を付加して記憶部32に記録する(ステップS303)。一方、登録ボタン237の押下を検知しない場合(ステップS205,No)、ステップS207に進む。
【0049】
ステップS207において、制御装置26は、スイッチ25の押下があるか否かを判定する。制御装置26は、スイッチ25の押下を検知すると(ステップS207,Yes)、次の頁の作業手順に更新を行い(ステップS208)、ステップS204に戻る。
【0050】
ステップS207において、制御装置26が、スイッチ25の押下を検知できない場合(ステップS207,No),ICタグリーダライタ22は、作業管理ボックス21から指図50の取出しを検知できたか否かを判定し(ステップS209)、指図取出しが検知された場合(ステップS209,Yes)、制御装置26は、管理サーバ30に、作業特定用ICタグ51との通信終了情報(作業終了情報)を送信し(ステップS210)、処理を終了する。一方、指図取出しが検知されない場合(ステップS209,No)、ステップS209に戻る。
【0051】
管理サーバ30は、セル作業端末20から通信終了情報と、作業対象物品の作業内容を特定する情報とを受信すると、受信した情報に、時刻情報(タイムスタンプ)を付加して作業終了情報として記憶部32に記録する(ステップS304)。
【0052】
なお、ステップS205において、登録ボタン237の押下について説明しているが、図4に示す削除ボタン238の押下を検知した場合には、ステップS206において、セル作業端末20の端末ID、指図ID、削除要求した頁識別情報、作業者識別情報とともに削除に係る改善情報を送信するとよい。具体的には、図3(b)で示した作業者Aの場合には、2頁目のあとに2−1頁の作業図が表示されるが、作業者Aが、表示が必要ないと判断した場合には、2−1頁を表示したあとに削除ボタン238を押下することにより、2−1頁を削除することができる。
【0053】
また、ステップS205において、複数の頁が登録できる。すなわち、登録ボタン237を押下後、さらに、コメントやメモを記載し、登録ボタン237を押下し、この操作を繰り返すことができる。この場合には、例えば、2−1頁、2−2頁、2−3頁、・・・と、管理サーバ30に登録することができる。
【0054】
図7は、指図管理情報の他の例を示す説明図である。図7(a)の指図管理情報33Aは、図3(a)の指図管理情報33Aと同様である。図7(b)の指図管理情報33Cは、図3(b)の指図管理情報33Bと異なり、図3においては、作業図の各頁に対して、改善情報を受理すると、追加頁として登録したが、図7(b)は、元の頁と、登録指示を受けた頁とを入れ替えた場合である。
【0055】
図7(b)を参照すると、作業者Aの場合、元の2頁が2−1頁に入れ替えられており、作業者Cの場合、元の6頁が、6−1頁に入れ替えられている。本実施形態では、作業者が、以前に改善情報を登録した場合、次回の指図50(図1参照)に基づいて作業する際に、改善情報の作業図を、即座に表示できることが特徴となっている。
【0056】
本実施形態によれば、セル作業端末20は、指図識別情報の作業手順に従い表示装置23に作業図を表示し、表示された作業図に対して改善情報が画面に直接手書き入力されると、入力された作業図の改善情報を、該作業図の頁情報と指図識別情報とに関連付けて管理サーバ30に送信する。管理サーバ30は、作業図の改善情報を受信すると、作業者識別情報で識別される作業者ごとに、作業図の頁情報および指図識別情報と対応付けて受信した改善情報を記憶部32に記憶する。セル作業端末20は、次に、同一の指図識別情報および作業者識別情報に基づいて作業手順に従い表示装置23に作業図を表示する際に、作業者ごとの作業図の改善情報を、表示装置23に表示する。これにより、複数の作業手順を含む作業指図の内容について、作業者ごとの改善点を作業指図に自動的に反映することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 指図管理端末(管理端末)
11 処理部
11A 指図管理部
12 入力装置
13 表示装置
20 セル作業端末(作業端末)
21 作業管理ボックス
22 ICタグリーダライタ(ICタグ読取装置)
23 表示装置
24 ポインティングデバイス
25 スイッチ
26 制御装置
30 管理サーバ
31 処理部
32 記憶部
33 指図管理情報
40 ネットワーク
50 指図
51 作業特定用ICタグ
52 作業者特定用ICタグ
60 ワーク
61 部品
71 セル作業台
S 作業指図管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業の指図ごとに作業手順を管理する管理サーバと、作業場所に設置され前記管理サーバから受信した前記作業手順に従い表示装置に作業図を表示する作業端末とを備え、前記管理サーバが前記作業端末から作業者の前記作業図の改善情報に基づき、該作業者ごとに該改善情報を管理する作業指図管理方法であって、
前記作業端末は、
入力装置から前記作業を特定するための指図識別情報および前記作業者を特定するための作業者識別情報の入力を受け付け、前記入力された指図識別情報の作業手順に従い画面に直接手書き入力できる前記表示装置に前記作業図を表示し、
前記表示装置を介して前記表示された作業図の改善情報が入力された場合、前記入力された作業図の改善情報を、該作業図の頁情報と前記指図識別情報とに関連付けて前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、
前記送信された作業図の改善情報に基づき、前記作業者識別情報で識別される作業者ごとに、前記作業図の頁情報および前記指図識別情報と対応付けて前記受信した改善情報を記憶部に記憶し、
前記作業端末は、
次に、同一の前記指図識別情報および前記作業者識別情報に基づいて前記作業手順に従い前記表示装置に作業図を表示する際に、前記作業者ごとの前記作業図の改善情報を、前記表示装置に表示する
ことを特徴とする作業指図管理方法。
【請求項2】
前記入力装置は、ICタグを読み取るICタグ読取装置である
ことを特徴とする請求項1に記載の作業指図管理方法。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記作業図の改善情報を前記記憶部に記憶する際、
前記改善情報が入力された作業図の後頁として追加する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業指図管理方法。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記作業図の改善情報を前記記憶部に記憶する際、
前記改善情報が入力された作業図を、前記改善情報を有する作業図と入れ替える
ことを特徴とする請求項1に記載の作業指図管理方法。
【請求項5】
作業の指図ごとに作業手順を管理する管理サーバと、作業場所に設置され前記管理サーバから受信した前記作業手順に従い表示装置に作業図を表示する作業端末とを備え、前記管理サーバが前記作業端末から作業者の前記作業図の改善情報に基づき、該作業者ごとに該改善情報を管理する作業指図管理システムであって、
前記作業端末は、
前記作業を特定するための指図識別情報および前記作業者を特定するための作業者識別情報が入力されるための入力装置と、
前記入力された前記指図識別情報の作業手順に従い前記作業図を表示し、画面に直接手書き入力できる前記表示装置と、
前記表示装置を介して前記表示された作業図の改善情報が入力された場合、前記入力された作業図の改善情報を、該作業図の頁情報と前記指図識別情報とに関連付けて前記管理サーバに送信する制御装置と、を有し、
前記管理サーバは、
前記送信された作業図の改善情報に基づき、前記作業者識別情報で識別される作業者ごとに、前記作業図の頁情報および前記指図識別情報と対応付けて前記受信した改善情報を記憶部に記憶する処理部を有し、
前記作業端末は、
次に、同一の前記指図識別情報および前記作業者識別情報に基づいて前記作業手順に従い前記表示装置に作業図を表示する際に、前記作業者ごとの前記作業図の改善情報を、前記表示装置に表示する
ことを特徴とする作業指図管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−174157(P2012−174157A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37885(P2011−37885)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】