説明

作業方法

【課題】ひざまずきながら作業を行っても、作業者のズボンの膝が汚れることがなく、作業者の膝が痛くなり難い作業方法を提供すること。
【解決手段】作業者Mの一方の膝を、クッション性を有する膝置き台11及びキャスター13を具備する膝置き具1における膝置き台11の上に置いて、ひざまずきながら作業を行う作業方法である。所定の作業範囲を区画可能で且つ折り畳み可能な区画具2を更に用い、区画具2により区画された作業範囲に対して作業を行うことが好ましい。前記作業方法は、路上に付着しているガムを溶剤及びヘラを用いて除去するガム除去方法に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上又は床上(以下単に「路上」というときは「床上」も含むものとする)に付着したガムの除去作業等の、ひざまずきながら行う作業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
路上に付着した(こびり付いた)ガムの除去作業の際には、通常、作業者は、ひざまずきながら、詳細は一方の膝を路上に置き、他方の足裏を路上に着いた状態で屈みこんで作業を行っている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−43914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、路上に膝を置くと、作業者のズボンが膝が汚れる。また、作業者は膝をテコの支点のように使って作業するが、作業者自身の体重に加え、路上に付着したガムを除去するために加える力も膝に負荷を与える。更に、膝の形状は路上に対して平らではなく凹凸がある。しかも、路上にも歩行者が滑らないように凹凸があり、また路上は非常に固いものである。このような要因から、ひざまずきながら作業を行うと作業者の膝が痛くなり易かった。
【0005】
従って、本発明の目的は、ひざまずきながら作業を行っても、作業者のズボンの膝が汚れることがなく、作業者の膝が痛くなり難い作業方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作業者の一方の膝を、クッション性を有する膝置き台及びキャスターを具備する膝置き具における該膝置き台の上に置いて、ひざまずきながら作業を行う作業方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の作業方法によれば、ひざまずきながら作業を行っても、作業者のズボンの膝が汚れることがなく、作業者の膝が痛くなり難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の作業方法について、その好ましい第1実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
第1実施態様の作業方法は、図1に示すクッション性を有する膝置き台11及びキャスター13を具備する第1形態の膝置き具1並びに図2に示す所定の作業範囲を区画可能で且つ折り畳み可能な区画具2を用いる。
【0009】
第1形態の膝置き具1は、図1に示すように、基体12、基体12の上部に設けられた膝置き台11及び基体12の下部に設けられた3個のキャスター13からなる。
基体12は、金属、木材、合成樹脂等からなり、本形態では金属からなる。基体12の平面視形状は、例えば正方形、長方形、台形、三角形であり、第1形態では略正三角形(各辺が緩く内側に湾曲している)である。
【0010】
膝置き台11は、クッション性を有していればその構成に制限はないが、単純な構造で安価な点からクッション材から形成されていることが好ましい。膝置き台11は、膝置き具1の上面全体に設けられていることが好ましいが、上面の一部のみに設けられていてもよい。
キャスター13は、基体12の下部に正三角形の3頂点を形成するように設けられている。キャスター13の個数、配置等には特に制限はない。
【0011】
区画具2は、図2に示すように、4本の枠材21と4個の連結材22とからなる。枠材21の端部同士は、連結材22を介して連結されており、そのため、区画具2は、平面方向に展開(伸張)させると矩形枠状となる。連結材22の長さは、適宜設定されるが、好ましくは1〜3mである。
【0012】
区画具2の展開形状は、作業範囲を効率的に区画する上で正方形であることが好ましいが、長方形でもよい。枠材21の個数は、3個又は5個以上でもよい。この場合、区画具2の展開形状は、3角形又は5角形以上となる。
区画具2は、雨やガムの溶剤に対して耐性を有しているものが好ましい。
【0013】
区画具2の枠材21は、持ち運びや作業の便宜上、折り畳み可能となっていることが好ましい。折り畳み可能な構造には特に制限はないが、例えば、枠材21を釣り竿のように蛇腹状に折り畳み可能な構造とすることができる。また、枠材21自体を紐等のような柔軟な部材から形成して折り畳み可能な構造とすることができる。
枠材21には、半端な作業範囲の長さを計測できるように目盛りが付されていることが好ましい。目盛りの刻みは適宜設定されるが、例えば5cm刻み、10cm刻み、20cm刻みである。
【0014】
第1実施態様の作業方法は、図3に示すように、作業者Mの一方の膝を膝置き具1における膝置き台11の上に置いて、ひざまずきながら作業を行うものである。具体的には、路上に付着しているガムGを溶剤及びヘラ3を用いて除去するガム除去方法である。必要に応じてガムGの除去後の路上を洗浄するための雑巾やバケツ等も用いることができる。作業の際には、複数の区画具2を用いて、作業範囲を区画することが好ましい。
【0015】
第1実施態様の作業方法によれば、作業者Mの一方の膝を、膝置き具1におけるクッション性を有する膝置き台11の上に置いて作業を行うため、ひざまずきながら作業を行っても、作業者Mのズボンの膝が汚れることがなく、作業者Mの膝が痛くなり難い。
作業位置を変えるために立ち上がるときや、ガムGの除去のときには、作業者Mの膝に特に力が掛かるが、このような場合にも、膝置き具1に加わる力は、クッション性を有する膝置き台11により吸収されるため、作業者Mの膝が痛くなり難い。
【0016】
膝置き具1にキャスター13が設けられているため、膝置き具1の移動、延いては作業者Mの移動が容易である。
膝置き具1の平面視形状が、略三角形であると、傾斜した路上にも柔軟に対応することができ、また衝撃に対する強度が高い。
【0017】
更に、第1実施態様の作業方法においては、所定の作業範囲を区画可能で且つ折り畳み可能な区画具2を用い、区画具2により区画された作業範囲に対して作業を行うため、以下の効果(イ)〜(ハ)が奏される。
(イ)作業範囲を区画する方法としてチョークで線を引くことが考えられるが、それでは作業後にチョークの線を消去する必要があるため作業が煩雑である。これに対し、第1実施態様の作業方法によれば、展開した区画具2を路上に載置するだけで作業範囲を区画することができると共に、作業後には区画具2を作業範囲からどかすだけでよいため、作業範囲の区画作業が簡便である。
【0018】
(ロ)ガム除去のような路上清掃の請負作業の費用は、通常、作業範囲の広さに応じて決まるため、作業範囲の面積を計測する必要があるが、区画具2を用いれば、それを路上に載置するだけで簡便に作業範囲の面積を計測することができ、便利である。区画具2に目盛りが付されていると、半端な面積も容易に計測可能である。
(ハ)路上清掃等の作業時には、作業済の範囲と未作業の範囲とを区別することが必要であるが、区画具2を用いれば、作業済の範囲と未作業の範囲とを容易に区別することができる。
【0019】
次に第2形態の膝置き具1について説明する。第2形態の膝置き具1は、図1に示す第1形態の膝置き具1に比して、膝置き具1を作業者の膝に括り付けて固定する括り付け具4を更に具備している点、及び平面視形状が長方形である点が主として異なる。第2形態の膝置き具1については、第1形態の膝置き具1とは異なる点を中心に説明し、同じ点の説明を省略する。従って、第2形態の膝置き具1については、第1形態の膝置き具1についての説明が適宜される。
【0020】
第2形態の膝置き具1は、図4に示すように、基体12、基体12の上部に設けられた膝置き台11、基体12の下部に設けられた3個のキャスター13及び基体12に設けられた括り付け具4からなる。
基体12は、長方形の平面視形状を有している。膝置き台11も、基体12と同じく長方形の平面視形状を有している。
キャスター13は、基体12の下部における前方の幅方向中央に1個、長手方向中央の幅方向外方に2個設けられている。
【0021】
括り付け具4は、膝置き具1を作業者の膝に括り付けて固定可能なものであれば制限はなく、例えばベルト、紐等を主体として構成されている。第2形態では、ベルト41を主体として構成されている。膝置き具1の固定位置としての「膝」は、膝自体だけでなく、膝近傍も含む。
括り付け具4は、基体12の下部における、前方の幅方向外方及び後方の幅方向外方にそれぞれ幅方向外方に延出するように1個ずつ設けられている。
【0022】
右側に延出する2本のベルト41の先端部上面には、マジックテープ(登録商標)等の機械的面ファスナーのオス材42が設けられている。左側に延出する2本のベルト41の先端部下面には、機械的面ファスナーのメス材43が設けられている。そして、図5に示すように、ベルト41の先端部の機械的面ファスナーのオス材42及びメス材43を係合させることにより、膝置き具1を作業者Mの膝に括り付けて固定することができる。
【0023】
ファスナーは、機械的面ファスナーに制限されず、フック状のファスナー、粘着剤からなるファスナー等を用いることができる。括り付け具4が紐から構成されている場合には、それを縛れば括り付けることができ、ファスナーは必ずしも必要ない。
【0024】
第2実施態様の作業方法によれば、図6に示すように、第2形態の膝置き具1を作業者Mの膝に固定した状態で、作業者Mの膝を膝置き台11の上に置いてひざまずきながら作業を行うことができる。
第2形態の膝置き具1のような、作業者Mの膝に括り付けて固定する膝置き具1を用いて、膝置き具1を作業者Mの膝に固定して作業を行うと、作業者Mの膝の移動に伴って膝置き具1も移動させることができるため、作業効率が一段と向上する。
【0025】
本発明の作業方法は、前述した実施態様に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更が可能である。
本発明の作業方法は、路上に付着しているガムの除去方法に制限されず、その他のひざまずきながら行う作業方法に適宜適用可能である。例えば、路上の清掃、路上の工事、床上の清掃、床の工事、新聞雑誌等の梱包、写真撮影に適用可能である。
区画具は、必ずしも用いなくてもよい。膝置き具には、括り付け具は必ずしも必要ない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の作業方法の第1実施態様に用いられる第1形態の膝置き具を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の作業方法の第1実施態様に用いられる区画具を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の作業方法の第1実施態様を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の作業方法の第2実施態様に用いられる第2形態の膝置き具を示す図で、(a)は斜視図、(b)は底面図である。
【図5】図5は、第2形態の膝置き具を作業者の膝に括り付けて固定した状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の作業方法の第2実施態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 膝置き具
11 膝置き台
12 基体
13 キャスター
2 区画具
3 ヘラ
4 括り付け具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の一方の膝を、クッション性を有する膝置き台及びキャスターを具備する膝置き具における該膝置き台の上に置いて、ひざまずきながら作業を行う作業方法。
【請求項2】
前記膝置き具を作業者の膝に固定して作業を行う請求項1記載の作業方法。
【請求項3】
前記膝置き具は、それを作業者の膝に括り付けて固定する括り付け具を更に具備している請求項2記載の作業方法。
【請求項4】
所定の作業範囲を区画可能で且つ折り畳み可能な区画具を更に用い、該区画具により区画された作業範囲に対して作業を行う請求項1〜3の何れかに記載の作業方法。
【請求項5】
路上又は床上に付着しているガムを溶剤及びヘラを用いて除去するガム除去方法である請求項1〜4の何れかに記載の作業方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−126765(P2007−126765A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318483(P2005−318483)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(596107970)
【Fターム(参考)】